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連載 - ハーメルンの笛吹き-82

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【上田明也の探偵倶楽部42~疾走~】

町に戻ってダメージを回復するとすぐに俺はラストダンジョンに入った。
ラストダンジョン、冥界はラストにふさわしい難易度で沢山の敵がうごめいていた。
撃鉄のあがる音。
撃鉄の落ちる音。
火薬の爆ぜる音。
銃弾の空を征く音。
敵の肉体を穿つ音。
的が崩れ落ちる音。
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自分の指先と一体化しているように馴染んだモーゼル。
元はと言えば他人の物だったことが信じられない。
この銃とこの銃の前の持ち主に愛情さえ感じてしまう。
自らの為に、自らにこの銃を運ぶ為に彼女は居たのではないだろうか。
今度会ったら告白してみよう。
まあそんなことしてもぶっ殺されるだけだとは思うのだが。
それにしてもここは嫌な場所だ。
なぜだか倒す雑魚敵の全てが今まで自分が殺してきた人間に見えてくる。


まあそんなことはどうでもいい。
それより先ほど奪ったヨハネルト=ラハイの短剣を試してみよう。
首のない騎士が放つ槍を紙一重で躱し、鎧の隙間に短剣を通す。
その隙間から大量のスカイフィッシュが鎧の騎士に殺到する。
鎧の中から大量の血が噴き出す。
どうにも中ボスらしかったがそんな事は関係ない。
一撃必殺だ。
先ほどのヨハネルト=ラハイの戦いで時間を食ってしまったのだ。
とにもかくにも急いで聖杯の所に向かわなくてはならない。

「……次だ。」
「はぁ、はぁ、明也さん。少し休みませんか?」
「駄目だ、もう少しなんだ。」

目的に向けて急ぐなんて自分らしくもない。
焦っているのだろうか?
違う、……多分戦うことが楽しいのだ。
殺すことが殺されることが闘争が戦闘が戦争が楽しく感じられてしょうがないのだ。
そんな自分の精神状態が怖い、とすらもう感じられない。
この自分が飲み込まれているというのか?
これではメルと契約したばかりの頃の精神状態だ。
殺すのが自分の義務であり使命であるような錯覚に陥っている。
ハーメルンの笛吹きや赤い部屋やスカイフィッシュに精神を侵されているというのか?
巫山戯るな、俺は俺だ。俺の目の前に立つ者の生殺与奪は全て俺が決めるんだ。
敵だから殺しているだけなんだ。俺の殺した死人が怖くて殺し直している訳じゃない。
中ボスらしき相手の部屋を出るとまたゾロゾロと雑魚が現れる。
塔の中を進むごとにどんどん辺りの雰囲気は暗く重くなっていく。




「だから……!」

スカイフィッシュを操って空を飛ぶ。
一気に宙を舞って相手の後ろに回り込んだ。

「数だけ揃えても勝てないんだよ!」

茜さんを撃たないように気をつけながらもありったけの銃弾をばらまく。
それにしても弾が無くならないモーゼルだ。
この銃はコスモガンなのだろうか?
そんなことを考えながら撃ちまくっていると辺りは何時の間にか血の海になっていた。
茜さんがこっちを見ている。
なんでそんな目でこっちを見るんだ。
まるで俺が化け物みたいじゃないか。

「明也さん、もう、休みましょうよ?」

駄目だ。
今戦いを止めたら自分が何者なのか解らなくなる。
都市伝説による浸食が始まっているに違いない。
戦う相手を失ってしまえば俺はまた見境無く他人を手にかける。
内側にドロドロと溜まっていた他人への怒りを爆発させて殺しまくる。
他人をこんなにも理解出来る自分を理解しない他人達への怒り。
それに任せて俺はあんなにも人を……。
殺さなくても良い人まで、メルの為だと自分に言い訳して殺してしまった。
でもそんなこと今の戦闘には関係ないはずなのに。
なんで俺はこんな事を考えているんだ。




そうだ、殺そう。
一心不乱の大殺戮だ。
闘い続けて殺し続けてれば余計なことを考えないで済む。

「――――――明也さん!」

俺の右腕を茜さんが掴む。

「…………なんだ?」

邪魔だ。
そう思うと俺の右腕は自然に彼女を振り払おうとする。
だがそんなことはしてはいけない。
俺はすんでの所で自分の右腕を左腕で掴んだ。

「明也さん、何やってるんですか?」

俺は今何をしようとしていた?
答えは簡単、自分を心配してくれる茜さんを振り払おうとしていたのだ。
自分は最低だ。
自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。
自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。
自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。
自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。
自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。
自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。自分は最低だ。





「明也さん、泣いてますよ?」
「え?」

確かに目から涙が流れている。
なんで俺は泣いているのだ?
自分は自分の感情を制御できていたと思っていたのに。
自分が泣いている理由さえも解らない。

「……休みましょうよ、明也さん。」
「…………うん。」

そこら辺の物陰に腰を下ろす。
解らないんじゃないのか。
解りたくないのか?
最低だ。
やっぱり最低じゃないか。
解っていたけど、でもやっぱり俺は駄目なんだ。

「茜さん、俺沢山人殺しちゃったよ。
 今まで少しもそんなこと気にしなかったのにさあ。
 なんで今更むかしやったこと気にしているんだろ。」
「それはほら、明也さんが優しいからじゃないですか?
 最初貴方を殺そうとしたワタシもこうしてお側に置いて貰ってる現状を考えると。」
「そうかな?」
「そうですよ、だってそんな無防備にして……。
 私が今貴方を殺そうと思ったら一ひねりですよ?」


怖い。
そんなこと笑顔で言うのはやめてほしい。
そしてゆっくりと首に手を回さないで欲しい。
忘れられがちだが赤い部屋は力が強いのだ。
なんせ本来は素手で人間を原型が無くなるまで破壊する都市伝説なんだから。

「でも、茜さんに殺されるならそれでもいい気はするなあ。」
「あらあら、らしくないですよ?
 いつもなら俺の生き方を決められるのは俺だけだ。
 とか言って傲岸不遜に笑ってくれるのに。」
「駄目だよ、今日の俺はなーんかおかしいんだ。」

そうですか、と茜さんは笑う。
突然彼女は立ち上がって嬉しそうに声を上げた。

「あ、向こうにセーブポイントありますよ。」

これはラッキーだ。セーブポイントでしか使えない回復アイテムも使える。

「マジで?じゃあそこまで行ってから今日は休むか。
 テントじゃなくてコテージでしっかり回復しておかないと。」
「そうですね、今日は休んだ方が良いですよ。」
「……茜さん。」
「どうしたんです?」
「傍に居てくれてありがとう。」
「らしくないなあ。」

そう言って茜さんは笑った。
【上田明也の探偵倶楽部42~疾走~fin】

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