【上田明也の探偵倶楽部after.act2~親の因果が子に報い~】
時間軸は少々未来へ向かう。
COAの事件を片付けた上田明也は父に会いに茜を伴って自らの実家を訪ねようとしていた。
COAの事件を片付けた上田明也は父に会いに茜を伴って自らの実家を訪ねようとしていた。
「あの~、なんていうか、その、大丈夫なんでしょうか?」
「何が?」
「また前回見たくバトル展開になると……。」
「何が?」
「また前回見たくバトル展開になると……。」
茜はスカートの中に仕込んでいる投げナイフを確認する。
確認してからため息を吐く。
確認してからため息を吐く。
「これだけだと確実に見破られる気がして……。」
「いや、バトル展開にはならないから大丈夫。」
「どういうことですか?」
「あいつ弱い相手には興味無いもん。今の強さをデチューンした俺に興味なんて出ないだろ。」
「デチューンって……、なんかしてましたっけ?」
「村正と正宗を封印してるじゃないか。
都市伝説を扱う才能に依存した戦闘スタイルの俺としては、
あの二つが無くなるだけで戦闘力を大幅に削られるぜ。」
「ああそういえば、まあ確かに手持ちの銃器だけじゃどう考えても心許ないですね。」
「だからあいつは戦おうとはしない。」
「成る程成る程、それなら安心ですね。」
「いや、バトル展開にはならないから大丈夫。」
「どういうことですか?」
「あいつ弱い相手には興味無いもん。今の強さをデチューンした俺に興味なんて出ないだろ。」
「デチューンって……、なんかしてましたっけ?」
「村正と正宗を封印してるじゃないか。
都市伝説を扱う才能に依存した戦闘スタイルの俺としては、
あの二つが無くなるだけで戦闘力を大幅に削られるぜ。」
「ああそういえば、まあ確かに手持ちの銃器だけじゃどう考えても心許ないですね。」
「だからあいつは戦おうとはしない。」
「成る程成る程、それなら安心ですね。」
上田は茜の手を引くと緩やかな坂を上り始める。
「おんぶする?」
「良いですよ。」
「良いですよ。」
茜は恥ずかしそうに笑う。
それを見た上田は嬉しそうに笑う。
「全く以て困ったことに可愛いな。」
「無駄に持って回った言い回しにしないでくださいよ。」
「ごめんごめん。そういえばこの坂から見る月はすごく綺麗でなあ……。
子供の時は家を抜け出して良く月を見に外へ出たよ。」
「そうなんですか?明也さんの子供の頃って気になりますね。」
「無駄に持って回った言い回しにしないでくださいよ。」
「ごめんごめん。そういえばこの坂から見る月はすごく綺麗でなあ……。
子供の時は家を抜け出して良く月を見に外へ出たよ。」
「そうなんですか?明也さんの子供の頃って気になりますね。」
大きな門のある日本家屋。
そこが上田明也の両親が住む家。
そこが上田明也の両親が住む家。
「ん、あれ誰だ?」
「さぁ……、怪しいなあってのは解りますけど。」
「さぁ……、怪しいなあってのは解りますけど。」
家の前に眼帯をした怪しげな男がうろうろしていた。
男は意を決したように門を蹴破ろうとして……
撃たれた。
短機関銃と思しき銃声が日本家屋の内側から響く。
銃弾をまともにくらった男が倒れていると中から割烹着を着て袖からウージーを出している女中さんが現れる。
男は意を決したように門を蹴破ろうとして……
撃たれた。
短機関銃と思しき銃声が日本家屋の内側から響く。
銃弾をまともにくらった男が倒れていると中から割烹着を着て袖からウージーを出している女中さんが現れる。
「明久様に御用向きの際は改めてお越しくださりやがりませ。生きていれば。」
ペコリ、と一礼してからその女中はそそくさと家の中に入っていった。
「今の誰ですか?」
「……俺の居た頃はあんなの居なかった。」
「女中さんなんじゃないんですか?」
「いや、ウージーぶっ放す女中さんなんて居なかったぞ。」
「……俺の居た頃はあんなの居なかった。」
「女中さんなんじゃないんですか?」
「いや、ウージーぶっ放す女中さんなんて居なかったぞ。」
上田はとりあえず撃たれて虫の息になっている男の様子をうかがう。
年はまだ若い、放っておいてもあと数分で死にそうだった。
年はまだ若い、放っておいてもあと数分で死にそうだった。
「くそっ……父さんの仇、取れなかった……。」
「おいあんた大丈夫か?」
「ゴホッ!あんた達は……?」
「通りすがりの若夫婦だ、何か助けられることが有ったら……。」
「ああ、じゃあ、……あれ?」
「ん?」
「おいあんた大丈夫か?」
「ゴホッ!あんた達は……?」
「通りすがりの若夫婦だ、何か助けられることが有ったら……。」
「ああ、じゃあ、……あれ?」
「ん?」
男は彼の顔を見ると急に驚き始める。
「お前は……上田明久!?」
成る程、表情やら今までの文脈から判断するに父親の仇討ちに来たけど返り討ちにされて、
もう死を覚悟してたけれど目の前にいきなり仇にそっくりな男が現れて混乱してるのか。
と、自らの異常性で完全に男の置かれた状況を理解する上田。
もう死を覚悟してたけれど目の前にいきなり仇にそっくりな男が現れて混乱してるのか。
と、自らの異常性で完全に男の置かれた状況を理解する上田。
男は上田に巨大な鋏のような物を向けてくる。
茜さんは咄嗟にそれをはたき落として男の頭も胴体から叩き落とした。
茜さんは咄嗟にそれをはたき落として男の頭も胴体から叩き落とした。
鋏は大きな音を立てて地面に落ちる。
ふむ、刃物マニアの俺も唸るくらい手入れの行き届いた大鋏だ。
などと不謹慎なことを考える上田。
ふむ、刃物マニアの俺も唸るくらい手入れの行き届いた大鋏だ。
などと不謹慎なことを考える上田。
「茜さん、ここまで強かったっけ?」
「明也さんの心の器から大量に力が流れ込んでるから……、基本性能がすごいことになってますね。」
「そうかそうか、まあ偉大なる俺の都市伝説だし当然か。
そして、この刃物は頂いていこう!」
「何言っているんですか明也さん!前にもそれで失敗したじゃないですか!」
「でも初期の俺は他人の武器奪い取るのがデフォルトだったぜ?」
「そんなの知りません!」
「明也さんの心の器から大量に力が流れ込んでるから……、基本性能がすごいことになってますね。」
「そうかそうか、まあ偉大なる俺の都市伝説だし当然か。
そして、この刃物は頂いていこう!」
「何言っているんですか明也さん!前にもそれで失敗したじゃないですか!」
「でも初期の俺は他人の武器奪い取るのがデフォルトだったぜ?」
「そんなの知りません!」
上田が情け無い顔をして嘆いて見せようとした丁度その時、
日本家屋の門が厳かに開く。
日本家屋の門が厳かに開く。
「あれ、明久様が二人?」
「うわっ、バイオレンス女中じゃねえか。
俺は明久の息子、明也だよ。」
「杏奈は杏奈と申します、バイオレンス女中などではございません。」
「どうでも良いけどそこの肉片掃除しておいて。
俺ってば親父に会わなくちゃいけないから。」
「脳内メモリ検索……、上田明也、発見。
警戒レベル極低、信用しても大丈夫そうですね。
どうぞお通りくださりやがりませ。」
「ご苦労。じゃあ行こうか茜さん。」
「って、その鋏持って行くんですかぁ?」
「うわっ、バイオレンス女中じゃねえか。
俺は明久の息子、明也だよ。」
「杏奈は杏奈と申します、バイオレンス女中などではございません。」
「どうでも良いけどそこの肉片掃除しておいて。
俺ってば親父に会わなくちゃいけないから。」
「脳内メモリ検索……、上田明也、発見。
警戒レベル極低、信用しても大丈夫そうですね。
どうぞお通りくださりやがりませ。」
「ご苦労。じゃあ行こうか茜さん。」
「って、その鋏持って行くんですかぁ?」
杏奈という女中の横を通り過ぎて上田と茜は実家に堂々の帰還を果たす。
この鋏を持ったせいで上田はまたトラブルに巻き込まれるのだがそれはまた別の話。
【上田明也の探偵倶楽部after.act2~親の因果が子に報い~】
この鋏を持ったせいで上田はまたトラブルに巻き込まれるのだがそれはまた別の話。
【上田明也の探偵倶楽部after.act2~親の因果が子に報い~】