「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ハーメルンの笛吹き-114

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
【上田明也の探偵倶楽部after.act19~笛吹探偵事務所の悪魔率がストップ高です~】

「と、言う訳でサンジェルマンからの依頼だ。
 この最新式契約書二十六本をこの事務所で管理して欲しいんだ。」
「テキゴウリツ90%オーバーケイヤクヲッ!?」

もの凄い勢いで自分に向けて飛んできたUSBメモリをキャッチして、ケースの中に詰め直す。
人間の意志を無視して契約を始めようだなんて不届きな契約書もあった物だ。

「契約ってのは双方の合意あってのものだ。
 その根本的なルールを無視しちまってるんじゃねえかよこれ。」
「知らないよ、サンジェルマンがまた作ったんだもん。」
「いや別に、俺は報酬が貰えれば法律の範囲内でいくらでも仕事するけどさ。
 これは正直どうかと思うねえ……。」

そう言って俺は目の前のトランクの中身を眺める。
丁度二十六本の最新型都市伝説契約書。
なんでもサンジェルマンが江戸時代に始めた実験の産物だとか。

「人造都市伝説だっけ?」
「ああ、人工的に任意の都市伝説の噂を流布させることで思い通りの都市伝説を作るって計画だな。
 完全な成功は収めなかったが、まあそれでもほら、そこそこの物ができた。」
「確かにどれも平均を遙かにしのぐ力は感じるが……。」

人が作る物というのはそもそも危うい。
宝石でも人造の物と天然の物ではパワーストーンとしての意味が異なるという。
こういうものはそもそもこの世に有って良いのかが俺には疑問だ。






「お兄ちゃん、夜ゴハンできたよー。」
「おお穀雨ちゃん、ごめんごめん……」
「テキゴウリツ90%オーバー、ケイヤクヲカイシシマス」
「なにっ!?」
「しまった、吉静ちゃん伏せろ!」
「え!?」

トランクからメモリが二本浮かび上がる。
一本は何故か事務所の開いていた窓ガラスを突き抜けて外へ飛んでいった。
もう一本は迷うことなく穀雨ちゃんの額に向けて飛んでいく。

「やっべえええええええ!?」

必死でメモリに向けて手を伸ばす。
だがしかし微妙に手が届かない。

「ひゃうっ!?なんか入ってくるよぉ……。」

吉静の中にメモリがするすると入っていく。
なんてこったい、契約が完了してしまったのか……。

「おい、どうするんだよレモンお前……。
 お前の義妹だぞ義妹、さっそく虐めてるのか?
 小姑vs嫁か?彼方にばれたら色々不味いんじゃないのか?」
「ま、待つんだ所長、これは事故だ、私は悪くない……。」

醜い責任のなすりつけ合いが始まってしまった。
彼方にばれたら本当に洒落にならないからお互い必死である。





「う~ん……、なんかむずむずするよ?」
「大丈夫か吉静ちゃん、おいレモンお前どうすんだよー。」
「どうすんだよーじゃないよ、とりあえずサンジェルマンに見せるかこれ?」
「とりあえずそのトランクしまっておけ。
 これ以上被害者が出られると困る。」
「わ、解った。」
「皆さんどうしたんですか?」
「あ、お兄ちゃん!」
「げげっ、彼方!」
「どうしたんですか橙さん?」
「いやーこいつが最新型の契約書の扱いを誤って吉静を契約させてしまってだな……。」
「え、ちょっと待て!違うんだ彼方!事故だったんだ!」
「私契約したの?」

吉静ちゃんが首をかしげて聞いてくる。
あらやだ可愛い。

「ああ、どうもそうらしい。
 おいこらレモン、何と契約したんだよ。」
「うぅ……多分雲外鏡だな。」
「一体何が有ったんですか?」
「やったー!これでお兄ちゃん達と一緒だよ!」

あらやだ可愛い。
やっぱ純粋な子供って良いわあ。







数分後、とりあえず食卓へ場面は移る。
暢気そうに酢豚を食べる吉静ちゃんと対照的に空気は重たい。

「おいどうすんだよこれ……。」
「正直、管理が甘かったかなあ……と。」
「いや僕も橙さんに部屋に吉静を近づけないように言われたの忘れてましたし……。」
「茜さんお代わりー!」
「はい、もっと沢山食べてくださいね。」
「とりあえずサンジェルマン呼ばない?」
「そうですね、サンジェルマンならとりあえず安全に雲外鏡でしたっけ?それを引き離せますし。」
「本当に……、申し訳なかったと思っている……。」
「茜さんゴハンお代わりー!」
「はいはいもっと沢山……あれ?」
「あー、ゴハンなくなっちゃってるー!」
「とりあえず能力の説明もう一回行ってみようか。
 雲外鏡は何をするんだって?」
「闇を切り裂き光をもたらすー。」
「違いますよね?闇を切り裂き魔を照らすんでしたよね?」
「細かいことは良いさ。」
「それ以外にも影の兵隊を出す能力も有る。」
「何それ便利。」
「適合者だからな、それくらいはできるだろうさ。」
「酢豚おかわりー!」
「もうありませんよ?」
「うー。」
「そのうーうー言うのをやめなさい。駄目っていつも言ってますよね?」
「にゃー。」
「それなら良いです。」


いや、基準解らないよ茜さん!?

「うーうーは被ってるけどにゃーにゃーなら問題無いですよね。」

そこかよ。

「とりあえずサンジェルマン呼ぶ?」
「そうしましょう。」
「こんなホイホイ呼び出されて良いのかな。
 あいつ忙しいんじゃないの?」
「そんなことも言ってられないだろ。」
「そうですよ、こう言う時は素直に呼んでください。」
「やっぱそうなのかー」
「あらお医者様、今丁度おかずを切らしてまして、何かお作りしましょうか?」
「いえいえお構いなく。すぐ帰りますので。
 吉静ちゃん、私が飴をあげましょう。」
「わーい!」
「……あれ?」
「おや?」
「え?」
「何皆さん不思議そうな顔で見てるんですか。
 私は便利要員ですからね、必要になり次第何時でも何処でも現れますよ。
 ちなみに今吉静ちゃんに与えたキャンディーはサンジェルル(飴玉タイプ)です。
 誤って契約してしまった場合にすぐ飲めば都市伝説との契約を破棄できます。」
「うわー便利ー。」
「SSS(サスガサンジェルマン)だな。」
「本当にSSSですね。」
「これは流行る。」




「いや、流行らないですから。」
「ならば俺が流行らせる。」

とか何とか言っていると吉静ちゃんの後頭部からコロンとUSBメモリが出てきた。
俺はすかさずそれをキャッチして先ほどのトランクの中にしまってくる。
部屋に戻ると吉静ちゃんが不機嫌そうな顔をしていた。

「お兄ちゃんが私の都市伝説とったー!」
「良いか吉静ちゃん、都市伝説は玩具じゃないんだ。
 一度契約すれば他の都市伝説に狙われやすくなるし色々危険な訳よ。」
「そうだぞ穀雨、もうちょっと大きくなってからしっかり考えて契約しないと……。」
「あ、それならどのみち無駄ですよ?」
「え?」
「吉静さんも半分都市伝説ですからね。ぶっちゃけ都市伝説と関わらないで一生過ごせるなんてことありません。
 しかも調べたところ結構上級の悪魔みたいで……。」
「空気読めよ……。今諦めさせようとしてるのに……。」
「SSS」
「本当にSSSだな……。」
「流行らせる気なの!?」
「ほら!穀雨が契約しても良いでしょう?」
「駄目な物は駄目です。」
「むー……。」
「解りました、じゃあこうしましょう。」

サンジェルマンが懐から古びた銃弾を取り出す。
何故か懐かしいような気配がする。





「これなぁに?」
「先ほどの都市伝説の代わりです。さっきのよりもずっとすごい都市伝説ですよ?」
「待て待てサンジェルマン、さっきまで契約をやめさせる話をしてたよな?」
「これを貴方にあげましょう。」
「良いの!?」
「ただし貴方がもうちょっと大きくなってからですけどね。」
「うーん、……解った!」
「はい、それでは一件落着。私帰りますね。」
「……あ、ああ。」
「これは明也さんに預けておきましょう。
 かの有名な魔弾です、悪魔系のこれなら彼女と相性が良いでしょうから。」
「わ、解った。」
「穀雨ちゃんが良い子にしてないとこれも貰えませんからね?」
「はーい!」

とりあえず全員文句はなさそうだ。
まあ大きくなってから彼女が契約したいというなら止めることは出来ないし、
ここが落としどころと言えば落としどころか。
俺は気を取り直して飯を食べ始めるのであった。

「あ、それと明也さん。」
「何?」
「今度貴方の身体を調べたいのでまた研究所に来てくださいね。
 またハーメルンの笛吹きの悪魔の要素が強くなってるみたいですし。」
「ああ、良いけど……?」

【上田明也の探偵倶楽部after.act19~笛吹探偵事務所の悪魔率がストップ高です~fin】

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー