【上田明也の探偵倶楽部after.act28~旅行中~】
「いやー大変だったなあ。」
「そうですねー。」
「まさか月宮駅なんて都市伝説があるとは知らなかったよ。」
「お客様、お客様をお訪ねしている方が……」
「あらら、お医者様もういらしたのかしら。」
「サンジェルマンの奴妙に速くないか?」
「そうですねー。」
「まさか月宮駅なんて都市伝説があるとは知らなかったよ。」
「お客様、お客様をお訪ねしている方が……」
「あらら、お医者様もういらしたのかしら。」
「サンジェルマンの奴妙に速くないか?」
俺と茜さんは長い電車の旅の末、目的地の数寄屋町にたどり着いていた。
ここに来るまでに“月宮駅”とかいう妙な駅に停まったのである。
そこでF-No.の黒服に出会ったので、
その時襲いかかってきた邪魔な都市伝説を蹴散らしつつ、
黒服から携帯電話を奪い取ってサンジェルマンに今まであったことについて話したところ
「今すぐ行くから旅館で待っててください」
と言われたのだ。
ここに来るまでに“月宮駅”とかいう妙な駅に停まったのである。
そこでF-No.の黒服に出会ったので、
その時襲いかかってきた邪魔な都市伝説を蹴散らしつつ、
黒服から携帯電話を奪い取ってサンジェルマンに今まであったことについて話したところ
「今すぐ行くから旅館で待っててください」
と言われたのだ。
「今来ました!」
「なんだよ、555くんなら何もしてないぞ?」
「違います!桐咲くんです!」
「なに?もしかしてお前のおほもだ……」
「今回は違います!彼は研究対象で!私の研究所を勝手に脱走したんですよ!」
「そうなの?」
「はい。」
「じゃあちょっと待ってて。」
「なんだよ、555くんなら何もしてないぞ?」
「違います!桐咲くんです!」
「なに?もしかしてお前のおほもだ……」
「今回は違います!彼は研究対象で!私の研究所を勝手に脱走したんですよ!」
「そうなの?」
「はい。」
「じゃあちょっと待ってて。」
パソコンを取り出す。
画面に手を突っ込んで桐咲くんの脚を掴んで引きずり渡す。
画面に手を突っ込んで桐咲くんの脚を掴んで引きずり渡す。
「なぜ脚だけ……。」
「だってこいつ俺に襲いかかってきたんだもん。
また襲われたくないぜ。
あとはお前が引っ張り出せ。」
「はーい。さて筑紫さん、帰りますよー。」
「だってこいつ俺に襲いかかってきたんだもん。
また襲われたくないぜ。
あとはお前が引っ張り出せ。」
「はーい。さて筑紫さん、帰りますよー。」
返事がない。
「あれ?もう死んでるんじゃない?」
「良いですよ、死体残ってりゃ老衰以外の死因なら治せますから。」
「やだそれ怖い。」
「良いですよ、死体残ってりゃ老衰以外の死因なら治せますから。」
「やだそれ怖い。」
サンジェルマンがなんとか彼を引きずり出す。
先ほどのショットガンで手足が少々あれなことになっているが……
まあサンジェルマンに任せれば大丈夫だろう。
先ほどのショットガンで手足が少々あれなことになっているが……
まあサンジェルマンに任せれば大丈夫だろう。
「いやーわりと死んでるね。」
「死んでますね。」
「やーべっ、吉静ちゃんとの約束破っちゃうかも」
「とりあえず治してきますね。」
「――――まだ、死んでないみたいですよ。」
「死んでますね。」
「やーべっ、吉静ちゃんとの約束破っちゃうかも」
「とりあえず治してきますね。」
「――――まだ、死んでないみたいですよ。」
筑紫少年の身体が俺めがけて跳ね上がる。
茜さんがそれを片手で捕獲。
開いていた窓から彼を投げ捨てたかと思うと、
俺の眼で捉えられない速さで彼女自身も窓から外に出て筑紫少年を捕縛。
地面にめり込むまで殴り始めた。
茜さんがそれを片手で捕獲。
開いていた窓から彼を投げ捨てたかと思うと、
俺の眼で捉えられない速さで彼女自身も窓から外に出て筑紫少年を捕縛。
地面にめり込むまで殴り始めた。
「なあサンジェルマン」
「なんでしょう。」
「時々思うんだ。」
「はい。」
「子供産まれるのは良いとして親子喧嘩になったら勝てないと思うの。」
「…………良いじゃないですか、親より優秀な子を持てるのは幸福です。
それより夫婦喧嘩は?」
「女性に対していかに上手に負けるかが男の器量を教えてくれるんだぜ。」
「なんでしょう。」
「時々思うんだ。」
「はい。」
「子供産まれるのは良いとして親子喧嘩になったら勝てないと思うの。」
「…………良いじゃないですか、親より優秀な子を持てるのは幸福です。
それより夫婦喧嘩は?」
「女性に対していかに上手に負けるかが男の器量を教えてくれるんだぜ。」
筑紫少年が地面に30cm程めり込んだところで茜さんは帰ってきた。
ここが和風の旅館で、しかも離れで、この部屋は一階だったことに心から感謝したい。
ここが和風の旅館で、しかも離れで、この部屋は一階だったことに心から感謝したい。
「お二人とも油断しすぎです。」
「すまんすまん。」
「いやまさかあの状況でも闘争本能を失わないとは……。」
「すまんすまん。」
「いやまさかあの状況でも闘争本能を失わないとは……。」
私って改造の天才ですね、と言いかけたところでサンジェルマンは俺と茜さんのダブルラリアットを喰らった。
「まあとりあえずそいつが一体何者なのかは聞かせてもらうぞ。」
「そうですよ、危険極まりないじゃないですか!」
「解りました解りました……、それでは事情をお話しします。」
「そうですよ、危険極まりないじゃないですか!」
「解りました解りました……、それでは事情をお話しします。」
サンジェルマンは丁度淹れ終えた緑茶を飲むと話を始めた。
「そもそも私は数千年前から生きています。
だから時間とか有り余るんですよ。
そこでふと思いついたのが人間の進化の限界を確かめる実験でした。
それで世界中の様々な民族の様々な人々の遺伝的な特質をさらに強化する実験をしてたんですよ。
大成功でしたね。
天然物まではいかなくても中々どうして良い契約の器が生まれました。」
「俺はレアだぜ。」
「その実験って組織の人には……」
「あー、一人知ってる同僚が居ますけど……多分言わないでしょう。
うるさ型の同僚が騒ぎだしますしー。今トラブルを起こしている暇無いしー。同意の上で行った非人道的な実験だしー。
文句言われる筋合いは今回みたいな場合を除いてありません。」
「ぶーぶー」
「豚ですか?」
「文句言ってみた。」
「で、この少年が……。」
だから時間とか有り余るんですよ。
そこでふと思いついたのが人間の進化の限界を確かめる実験でした。
それで世界中の様々な民族の様々な人々の遺伝的な特質をさらに強化する実験をしてたんですよ。
大成功でしたね。
天然物まではいかなくても中々どうして良い契約の器が生まれました。」
「俺はレアだぜ。」
「その実験って組織の人には……」
「あー、一人知ってる同僚が居ますけど……多分言わないでしょう。
うるさ型の同僚が騒ぎだしますしー。今トラブルを起こしている暇無いしー。同意の上で行った非人道的な実験だしー。
文句言われる筋合いは今回みたいな場合を除いてありません。」
「ぶーぶー」
「豚ですか?」
「文句言ってみた。」
「で、この少年が……。」
サンジェルマンは桐咲を地面から引きずり上げると指を鳴らす。
するとあっという間に桐咲は居なくなってしまった。
するとあっという間に桐咲は居なくなってしまった。
「他人への戦闘意欲を向上させている家系の人間でして。」
「わー、今の競争社会にぴったり。」
「ええ、適応しています。
そういえば良いお酒持ってきたんですけど飲みます?」
「飲む飲む。」
「私は遠慮しますね。」
「わー、今の競争社会にぴったり。」
「ええ、適応しています。
そういえば良いお酒持ってきたんですけど飲みます?」
「飲む飲む。」
「私は遠慮しますね。」
俺とサンジェルマンは縁側に座って酒を飲み始める。
それにしてもさっきから飲み物飲み過ぎじゃないだろうか?
こいつは腹がタポタポにならないのか?
それにしてもさっきから飲み物飲み過ぎじゃないだろうか?
こいつは腹がタポタポにならないのか?
「ちなみにそういう家は全部植物の名字になってるんです。」
「なんでさ。」
「私が思い出しやすいように。」
「えー…………。」
「ちなみに彼の都市伝説は……なんだっけ。」
「え?」
「ど忘れしちゃいました。なんちゃらの枝って古代神話の武器だったんですけど……。」
「俺が攻撃された時はシャーペンだったぞ?」
「無茶苦茶沢山の説があるせいで形が自在に変化する武器なんです。」
「うわすっげー。」
「明也さん、家族風呂の予約どうするんですか?
もうそろそろ行かないと駄目ですよ。」
「あれ?そうだったっけか。」
「じゃあこの話は一旦打ち切りと言うことで。」
「そういえばサンジェルマン、このあたりで面白い観光名所は無いか?」
「そうですね、水族館が新設されたらしいですよ?」
「興味深いね。行ってみるか。部屋出る時は鍵閉めといてくれよ。」
「なんでさ。」
「私が思い出しやすいように。」
「えー…………。」
「ちなみに彼の都市伝説は……なんだっけ。」
「え?」
「ど忘れしちゃいました。なんちゃらの枝って古代神話の武器だったんですけど……。」
「俺が攻撃された時はシャーペンだったぞ?」
「無茶苦茶沢山の説があるせいで形が自在に変化する武器なんです。」
「うわすっげー。」
「明也さん、家族風呂の予約どうするんですか?
もうそろそろ行かないと駄目ですよ。」
「あれ?そうだったっけか。」
「じゃあこの話は一旦打ち切りと言うことで。」
「そういえばサンジェルマン、このあたりで面白い観光名所は無いか?」
「そうですね、水族館が新設されたらしいですよ?」
「興味深いね。行ってみるか。部屋出る時は鍵閉めといてくれよ。」
俺は浴衣に着替えてタオルの準備をする。
そして茜さんと一緒に風呂に向かった。
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そして茜さんと一緒に風呂に向かった。
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