黒服Y 24
組織内にある休憩所のうち、あまり人が立ち寄らない場所、そこに黒服Yが寄るとソファで黒服の少女が寝ていた
顔は、肩まで伸ばした黒髪で隠れて見えない。髪がところどころ寝癖のように外側に跳ねている
座った状態で腕を組んで、その上に豊かな胸を乗せていた。胸を抱えているようにも見える
顔は、肩まで伸ばした黒髪で隠れて見えない。髪がところどころ寝癖のように外側に跳ねている
座った状態で腕を組んで、その上に豊かな胸を乗せていた。胸を抱えているようにも見える
「こんなとこで寝てると、風邪ひくよ?」
「……んぅ?」
とりあえず起こして見ると眠そうな目でこちらをじっと見てくる
「……医務室は向こうよ」
「え?」
寝ぼけてるのだろうか。視線もこちらを向いていない
「……? あ~……違った、何でもなかった」
少女はやっと目が覚めたらしい。両腕を真上に突き出し、胸を強調するかのように上体を反らして背伸びをしている。
顔を見ると高校生くらいに見える。目は眠そうに半分くらい閉じているが、これで普通なのかもしれない
顔を見ると高校生くらいに見える。目は眠そうに半分くらい閉じているが、これで普通なのかもしれない
「それで、何の用だい? 夜這い?」
「まだ昼だし。いや、特に用はなかったけど」
「ほほう、用も無いのにこの私の眠りを妨げるとはいい度胸だなぁおい」
「ほら、こんなとこで寝てると風邪ひくかもよ? 寝るならもっと普通のとこで寝たほうが」
「馬鹿め、普通のとこで寝てたら起こされてしまうだろう。私には1日12時間以上の睡眠が必要なんだ」
……なんというダメ人間
「よし、殺す」
「人の心を読まないでよ」
「そのくらい顔見たら分かるわ、ボケ。……まだ昼過ぎか。まぁいい、とりあえず隣に座れ、酷い目に逢いたくなければ」
もともと休憩するつもりだったから座らない理由はないので、腰を下ろしたが
「…………」
何か気まずいんだけど……
「ところで【魔弾】よ」
「あれ? 何で僕の契約してるやつ知ってるの?」
「ふふふ、実は私は死神の目を寿命半分と交換していて、顔見るだけで相手の事が分かるのだよ」
「へぇ、すごいね」
「……」
「……?」
「冗談なんだから突っ込めよ」
「冗談かどうか判断つきにくいよ」
「……まぁそれは置いといて、だ。…………その、後ろの、背負ってる女は、なぁに?」
少女の指差す先は、Yの背後、何もいない空間
「え、と。見えるんだ? 強い霊感か、子供じゃないとほとんど見えないと思うけど……」
「んなこた知らんよ。最初見た時はすぐ消えたから勘違いかと思ったけど、今も居るし。病人でも運んでるのかと思ったわ」
寝起きのセリフは勘違いで言ったらしい
「あ~それで。いつも出てるわけじゃ無いんだけどね。たまに見えた人が居ても普通に背負ってるようにしか見えないだろうし」
「座ってるのに人を背負ってたらどう考えてもおかしいだろ」
「違いない。ま、でも大人で見える人なんてほとんどいないだろうし……ん?」
「どした?」
「いや、子供にしか見えないのに、見えるってことは……つまり精神的に子dぐふっ!!」
「覚えておくがいい、口は災いの元だと」
突き刺さるボディブロウ。重すぎるだろう、その華奢な身体的に考えて
「まったくもぅ、いまいち話が進まないじゃないか。めんどくさい、ちょっと失礼するよ」
そう言って正面に立った少女が顔を近づけてきた
上体を逸らして距離をとろうとすると両手で顔を固定された
鼻が触れそうになる距離まで顔を近づけてくる。
少女の目はまっすぐこちらの目を覗き込んでくる
さっきまでの眠そうな瞳ではなく、大きく見開いていて、黒い真円の瞳がよく見えた
ガラス細工のようにきれいで、吸い込まれそうなほど黒くて深くて
視線を、逸らすことが、できない
上体を逸らして距離をとろうとすると両手で顔を固定された
鼻が触れそうになる距離まで顔を近づけてくる。
少女の目はまっすぐこちらの目を覗き込んでくる
さっきまでの眠そうな瞳ではなく、大きく見開いていて、黒い真円の瞳がよく見えた
ガラス細工のようにきれいで、吸い込まれそうなほど黒くて深くて
視線を、逸らすことが、できない
しばらくの間見つめ合って少女はようやく顔を離した
呼吸するのも忘れるくらい魅入ってしまっていたらしい
呼吸するのも忘れるくらい魅入ってしまっていたらしい
「……はっ、はぁ、いったい、何を……?」
「んん、暗示の一種に私の能力を使っただけだよ。ちょっと君の中を覗かせて貰ったの。目は心の窓っていうでしょ?
その後ろの女、明らかに都市伝説の類でしょ。けれど資料じゃ【魔弾】としか契約してないはずの君の中から気配がする気がしてね
君が話逸らしてなかなか先に進まないから、悪いけど勝手に覗かせてもらった。目が疲れるんだよ、これすると」
その後ろの女、明らかに都市伝説の類でしょ。けれど資料じゃ【魔弾】としか契約してないはずの君の中から気配がする気がしてね
君が話逸らしてなかなか先に進まないから、悪いけど勝手に覗かせてもらった。目が疲れるんだよ、これすると」
説明しながらまた隣にストンと座る少女、自分も話を逸らした事は棚にあげている
「たぶん、君が組織の黒服になったとき何らかの不手際があったんでしょう、精神体の欠片がくっついてるみたい。
まぁ見た感じ危険でもなさそうだし、むしろ君を守ったりしてるみたいだから特に問題はないと思う
ただ、癒着してるっていうのかな、だから多少の影響はあると思うんだけど」
まぁ見た感じ危険でもなさそうだし、むしろ君を守ったりしてるみたいだから特に問題はないと思う
ただ、癒着してるっていうのかな、だから多少の影響はあると思うんだけど」
「特に問題ないからそれは気にしないでいいよ」
「ところで途中で言った僕の資料って……?」
「資料は資料だよ。君の上位ナンバーなんだから持っててもおかしくないでしょう?
もっと言うと Y-No.0 なんだけど。ぐーたらで子供っぽくて悪かったね」
もっと言うと Y-No.0 なんだけど。ぐーたらで子供っぽくて悪かったね」
少女は優しいお姉さん的な笑みを浮かべている。目は笑ってないが
「へ、え……すごい偉い、上司だったのか、ふ~ん……
おっと、もう仕事場に戻らなきゃいけない時間だすいませんこれで失礼します」
おっと、もう仕事場に戻らなきゃいけない時間だすいませんこれで失礼します」
あれ? 足が動かない……何かの荊のようなものが巻き付いてる
「まあまあ落ち着けよ、勤勉なのはけっこうだが、生き急ぐな若者よ。も少しなんだ、付き合えよ」
――――――
――――――
「Y-No.ってね、なんて言うか全体的に覇気が無いって言うのかね。まわりへの興味関心が薄いんだよ、時には自分の命にさえも。君はむしろ自分の命を優先してるみたいだけど」
そろそろ戻らないといろいろまずいんで帰らせてほしいんだけど
――――――
「んん、そういえばこないだの……何だっけ、マッドガッサーだったっけ? それで被害にあって女体化した黒服がいたそうだね
そうそう、この写真の娘なんだけど、可愛いよねぇ? ぜひ、"実物"を、見てみたいねえ」
そうそう、この写真の娘なんだけど、可愛いよねぇ? ぜひ、"実物"を、見てみたいねえ」
Y-No.0が懐から取り出したのは一枚の写真、それにはゴスロリな服を着た少女が写っていた
なぜ、同僚に撮られた写真が、ここにある
写真をひらひらとさせながら少女は嗤っている
なぜ、同僚に撮られた写真が、ここにある
写真をひらひらとさせながら少女は嗤っている
「な……何で、それを君が……?」
「くふふ、私にかかればこの程度造作もないさ。君の同僚の女性も都市伝説の能力でこれを隠していたようだが、私の方が上だったようだな。
なかなか優秀な、隠す事に特化した能力で隠してあって、手に入れるのが面倒だったよ」
なかなか優秀な、隠す事に特化した能力で隠してあって、手に入れるのが面倒だったよ」
「か、返してもらう!」
写真を掴みとろうとするが、少女は写真を遠ざけて躱す。花の間を舞う蝶のように写真は動き、手をすり抜けてゆく
ソファに並んで座ったまま一枚の写真を取り合う、奇妙な光景
しかし、腰を浮かし手を伸ばして、もう少しで取れそうだというとき、少女の足払いをくらった
ソファに並んで座ったまま一枚の写真を取り合う、奇妙な光景
しかし、腰を浮かし手を伸ばして、もう少しで取れそうだというとき、少女の足払いをくらった
バランスを崩され少女の方に身体が倒れる
とっさに手をついて少女を下敷きにすることは避けたが
目の前にソファに押し倒された少女の顔があるわけで
目が合うと、視線を伏し目がちに横に逸らされた
とっさに手をついて少女を下敷きにすることは避けたが
目の前にソファに押し倒された少女の顔があるわけで
目が合うと、視線を伏し目がちに横に逸らされた
「いやん、いきなり押し倒すなんて……大胆」
「や……えっと、その、ごめん……っ!?」
退こうとすると、写真を掴む為に伸ばした手を捕まれて引っ張られた。
身体が引き倒され距離が零になる。 ムニュン
少女が耳元に甘い声で囁く
身体が引き倒され距離が零になる。 ムニュン
少女が耳元に甘い声で囁く
「くふふ……ねぇ、この状態で誰かが来たら、どう見える?」
入口に目を向けるとツインテールの少女が立っていて、手に持っていたポーチをとり落としたとこだった
「……な、No.0様……何を、している、ですか……?」
まずい、確実に誤解される。説明をしなけ
「……ぐすん、もうお嫁に行けない」
空気が凍った
No.0という少女は目に(眠気による)涙を浮かべながら、事態をややこしくする一言を放った
No.0という少女は目に(眠気による)涙を浮かべながら、事態をややこしくする一言を放った
「貴様…… No.0様から離れろ!!」
ツインテールはそう叫ぶと手刀を振り下ろした
鋭い殺気の塊がこちらに"飛んでくる"
慌ててソファから転がって遠ざかる
鋭い殺気の塊がこちらに"飛んでくる"
慌ててソファから転がって遠ざかる
「うぉあっっ!?」「むぎゃっ!」
どいた直後、ソファの背もたれは切り裂かれ、中身を散らした
ソファから転げ落ちた少女は奇妙な声をあげたがそれどころじゃない
ツインテールは少女を護るように仁王立ちしている
ソファから転げ落ちた少女は奇妙な声をあげたがそれどころじゃない
ツインテールは少女を護るように仁王立ちしている
「貴様……よくも……!」
「待て、落ち着け、僕は何もしていない」
「待て、落ち着け、僕は何もしていない」
「戯れ言を!」「誤解だって!」
ツインテールは腕を横に薙いだ
姿勢を低く横に飛んで躱した
背後の観葉植物が綺麗な断面を晒した
姿勢を低く横に飛んで躱した
背後の観葉植物が綺麗な断面を晒した
「やめてー私の為に争わないでー」
棒読みの台詞を吐きながら、入口から外に出ていく事態の元凶、Y-No.0。
「シチュエーションとしては【姫を護るドジっ娘聖騎士と通りすがりの不運の騎士】みたいな、殺しちゃだめだぞ、うん
【魔弾】の、子供っぽいとか言った罰だと思って、がんばれ。たまには本気を出してみろよ、そんなんじゃいつか死ぬぞー
……んん、よし、これでしばらくだいじょぶだろ。さて、も少し寝るか。力を(遊びに)使ったから眠い」
【魔弾】の、子供っぽいとか言った罰だと思って、がんばれ。たまには本気を出してみろよ、そんなんじゃいつか死ぬぞー
……んん、よし、これでしばらくだいじょぶだろ。さて、も少し寝るか。力を(遊びに)使ったから眠い」
もしかして部下の足止めの為に嵌められたのか?
そうこうしてるうちにY-No.0はどこかへ消え、ツインテールは周りが見えてない様子で、大技を繰り出しそうな気配
そうこうしてるうちにY-No.0はどこかへ消え、ツインテールは周りが見えてない様子で、大技を繰り出しそうな気配
「まずい、この殺気は死ねる。止めなくては」
素早く拳銃を抜き、ツインテールの額を狙って発砲した
それに気付いたツインテールは、なんと腕を交差させて銃撃を防いだ
漆黒の銃弾は、着弾と同時に爆ぜ、ツインテールの腕は弾かれたが傷は見当たらない。
それに気付いたツインテールは、なんと腕を交差させて銃撃を防いだ
漆黒の銃弾は、着弾と同時に爆ぜ、ツインテールの腕は弾かれたが傷は見当たらない。
「くっ、実弾ではないようですね。……なるほどそれがあなたの、持ち主の望む結果を生み出す悪魔の銃弾ですか。実体の無い弾、力の塊を撃ち出す能力……
防御時の当たった感触から推測するに貫通力を弱く、着弾時に爆ぜることによって気絶を狙う弾のようですが……
あの人だけじゃなく私をも気絶させて弄ぶつもりか! 外道!」
防御時の当たった感触から推測するに貫通力を弱く、着弾時に爆ぜることによって気絶を狙う弾のようですが……
あの人だけじゃなく私をも気絶させて弄ぶつもりか! 外道!」
「だからそれは誤解だって言ってるでしょ!??」
「問答無用! 吹き飛べ!」
ツインテールは右手の手刀を後ろに大きく引き、ねじりながら前へ突き出した
螺旋状の刃が放たれる
横へと飛び込んで避けた
壁を見るとドリル状にえぐれていた。これ当たったら即死じゃない?
螺旋状の刃が放たれる
横へと飛び込んで避けた
壁を見るとドリル状にえぐれていた。これ当たったら即死じゃない?
「うふ、安心して下さい。斬れたら血止めの薬を優しく塗ってさしあげます、殺すまではしませんよ」
うわぁ……安心出来ない
……魔弾の出力上げないと危ないかな
――――――
――――【都合により戦闘シーンは省略します orz】
――
……魔弾の出力上げないと危ないかな
――――――
――――【都合により戦闘シーンは省略します orz】
――
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい【魔弾】さんごめんなさいごめんなさいすいませんすいませんすいませんあの人のせいでごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「あの、ほら、特に(死ぬような)怪我もなかったし、ね、怒ってないからさ」
ツインテールが床にごつごつと頭を打ち付けて謝っている
ツインテールかと思ってたら後頭部にもう一本あった。……トリプルテール?
ツインテールかと思ってたら後頭部にもう一本あった。……トリプルテール?
まぁいいや、ツインテールの話によるとどうやら、Y-No.0の能力で同じ景色の異空間の中で暴れていたらしい
異空間と夢の性質を持つ空間で催眠効果があって、ツインテールはそれの影響を受けやすく、勘違いで熱血(?)属性が上がっていたらしい
異空間の中では都市伝説の力も制限されていて、殺すまでの力は発揮出来ないそうな
異空間と夢の性質を持つ空間で催眠効果があって、ツインテールはそれの影響を受けやすく、勘違いで熱血(?)属性が上がっていたらしい
異空間の中では都市伝説の力も制限されていて、殺すまでの力は発揮出来ないそうな
「仮に【魔弾】さんがあの人に襲い掛かったとしてどうにか出来るとは思いませんが、あの人があんな風にしてるとこなんて初めて見たんですごめんなさい」
No.0 は少し子供っぽいとこがあり、相手がキレない程度にからかったり、興味が湧くと首を突っ込んだりよくするようで
僕の事を気に入ってからかっていたんじゃないか、だそうで。
僕の事を気に入ってからかっていたんじゃないか、だそうで。
異空間は端の方から泡が弾けるように解けていき、元の景色に戻りはじめている
「うぅ…すいません……。ぐす、それではあの人を、探さないといけないので失礼します……ぐす」
涙目でそう言うと、よろよろと立ち上がり出ていった
さて異空間は全て消えてもとの景色に戻ったが
最初に切り裂かれたソファの表面には傷がついている。来たときは無かったような気がする
最初に切り裂かれたソファの表面には傷がついている。来たときは無かったような気がする
「休憩しに来たのに……疲れた……」
終われ