連載 - 我が願いに踊れ贄共・幼馴染、二人-07 - 「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

　たとえ、世界のすべてが
　君の敵に、なろうとも……………

「イザーク……」

　はらはらと、イザークの闘いを見守るジョルディ
　イザークは今、明日　真と言う、この街に住んでいるらしい少年と戦っている
　……つい二日前、自分達を助けてくれた、少年と

　本当は、戦いたくないはずだ
　自分達を救ってくれた相手を殺したくなど、ないはずだ
　イザークとの付き合い長いジョルディは、それを理解する

　それでも
　イザークは、戦わなければならない
　目的の障害となるであろう、真と言う少年を始末しなければならない
　自分達は、命令に逆らえないから

「…無理、しないでね…」

　はらはらとイザークの戦いを見守りながら、ぽつり、ジョルディは呟く

　…本当ならば、戦ってほしくない
　幼い頃から、ジョルディの為に無理を続けているイザーク
　本人は隠しているつもりのようだが、ずっとそばにいたのだ、嫌でも気づいてしまう
　イザークが、ずっと、ジョルディの為に、戦い続けている事を
　そのうえで、少なからず………世間一般的に言う、「悪事」と呼ばれる行為に、手を染めている事も

　ジョルディは、それに気づかぬふりをする
　イザークが、それを望むから
　イザークが、自分に笑っていてほしいと望むのならば
　自分は、できる限り、笑っていよう
　……「教会」に引き取られたその時に、ジョルディはそう決めたのだ

　けれど、同時に思う
　イザークに、無理をしてほしくないと
　イザークに、戦ってほしくないと
　イザークに、傷ついてほしくないと

　だから、ヴァーチャーズと契約した
　自分も、戦えるように
　イザークの力になれるように
　イザークを、護れるように

　イザークは、ジョルディが戦うことを望まないだろう
　それでも、ジョルディは自分も戦う手段を手に入れる事を選んだ
　イザークだけが、傷つかずに済むように
　その背中を、自分が護れるように

　…それでも
　実際はこうやって、イザーク一人が戦うことが多いのだが

　………戦況は、一見、イザークが有利なように見える
　だが、油断は禁物だ
　…あの真と言う少年、実力的に言えば、イザークより下かもしれない
　しかし……イザークと同等か、それよりも強い信念を、持っている
　そういう相手が一番厄介であることを、ジョルディもまた、把握していた

「…負けないで」

　祈るように、そう、呟く

「……僕は、ずっと、イザークの傍にいるよ。イザークの傍からみんないなくなってしまっても、ずっとずっと、傍にいるよ」

　たとえ、世界の全てが
　君の敵に、なろうとも

　僕が君を護るから
　だから、君は

「だから………イザーク、死なないでね。いなくならないでね………僕の傍で、笑っていてね」

　それは祈りにも似た、願い
　それを口にした直後………ジョルディは、気づく

　こちらに近づく気配に
　……自分達が戦うべき相手が、近づいてきている

　イザークは、真の相手に集中している
　自分が、相手をしなければ

「…イザーク、僕は死なないから。イザークも、死なないでね」

　戦うイザークを見つめ、小さく、ジョルディは笑って

「ちゃんと生き延びて………また一緒に、笑おうね」

　能力を、展開する
　ヴァーチャーズの、能力を

　迫る気配の、その強さに
　自分は、勝てないかもしれない
　心のどこかで、そう思いながら

　たとえ、世界のすべてが
　君の敵になろうとも
　僕が、君を護るから
　いつまでも一緒に、笑っていようね

to be … ?

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