できれば、戦いたくはなかった
だが、こちらの前に立ちふさがると言うのならば、仕方ない
だが、こちらの前に立ちふさがると言うのならば、仕方ない
そちらに譲れぬものがあるように
こちらとて、譲れぬものがある
こちらとて、譲れぬものがある
ただ一人の大切な存在の為ならば
たとえ、街ひとつ滅びようとも、国一つ滅びようとも………世界が滅びようとも、俺は構わない
たとえ、街ひとつ滅びようとも、国一つ滅びようとも………世界が滅びようとも、俺は構わない
目の前の、髑髏の仮面をかぶった少年に、イザークは剣を向ける
……奪う命の感触が、直に手に伝わってくる接近戦武器
あの少年の命を奪う結果になったならば、自分はそれも背負う事になるだろう
……奪う命の感触が、直に手に伝わってくる接近戦武器
あの少年の命を奪う結果になったならば、自分はそれも背負う事になるだろう
今までも、してきた事だ
…何も、変わらない
…何も、変わらない
「………どうしても、退かないか」
「当たり前だ」
「当たり前だ」
強い意志
まっすぐで、まぶしい程の意志
…この少年を退けるには、この意志を叩き折らなければならない
まっすぐで、まぶしい程の意志
…この少年を退けるには、この意志を叩き折らなければならない
………気が進まないとそう感じるのは、自分にも良心が残っていたと言うことなのだろうか
剣を振りかぶる
足を狙えば、動きぐらいは封じられるか………
剣を振りかぶる
足を狙えば、動きぐらいは封じられるか………
少年……真は、イザークの動きに反応したように、攻撃の構えを取った
互いの攻撃が、相手に届こうとした直後
互いの攻撃が、相手に届こうとした直後
-------ざくっ!!と
二人の間に、一本の槍が飛んできた
光り輝く槍
見覚えのある装飾に、イザークは思わず、槍が飛んできた方向を見た
見覚えのある装飾に、イザークは思わず、槍が飛んできた方向を見た
能力を発動し、飛んでいるジョルディ
何かを、誰かを、見下ろしている
何かを、誰かを、見下ろしている
……己の後方
ふりかえり、それを確認する
ふりかえり、それを確認する
黒いスーツを身にまとった、青年
…この学校町で一度顔を合わせている、それは
…この学校町で一度顔を合わせている、それは
「……エーテル・エリオット……っ!」
…何故、よりによって、自分が忠告した相手ばかりが、自分達の前に立ちふさがるのか
その事実に、イザークは小さく舌打ちした
その事実に、イザークは小さく舌打ちした
「---戦う、戦う、戦う、戦う、戦うっ!!!」
赤い瞳を、爛々と輝かせるジョルディ
バーサークした彼は、無数の武器を生み出し、それをエーテルに向ける
剣が、斧が、槍が、エーテルに向けて投擲されていく
あまりにもおおざっぱな攻撃
エーテルは自分に当たりそうな物だけを、レーザーメスで叩き落とす
バーサークした彼は、無数の武器を生み出し、それをエーテルに向ける
剣が、斧が、槍が、エーテルに向けて投擲されていく
あまりにもおおざっぱな攻撃
エーテルは自分に当たりそうな物だけを、レーザーメスで叩き落とす
「くそ、少しは話を聞いてくれ!」
エーテルが声を掛けるが、ジョルディは答えない
声が耳に届いていないのか、それとも、聞くつもりがないのか……
声が耳に届いていないのか、それとも、聞くつもりがないのか……
周囲に武器を旋回させて己の身を護りながら、ジョルディが手にしたのは、巨大な弓
常人ならば弦を引く事すらできないだろうその弦に手をかけ、現れた光り輝く矢を引いた
常人ならば弦を引く事すらできないだろうその弦に手をかけ、現れた光り輝く矢を引いた
ドンッ!!と
弓矢が放たれる音とは思えぬ音と共に放たれた矢
撃ち落とすには、危険すぎる
すんでのところでエーテルが避けると、雪が積もった地面に突き刺さったそれは、衝撃で積もっていた雪を吹き飛ばし、コンクリートにめり込んだ
弓矢が放たれる音とは思えぬ音と共に放たれた矢
撃ち落とすには、危険すぎる
すんでのところでエーテルが避けると、雪が積もった地面に突き刺さったそれは、衝撃で積もっていた雪を吹き飛ばし、コンクリートにめり込んだ
「……身体能力もかなり強化されている、か」
厄介な
だが……部の悪い勝負と言う訳ではない
少々天気は悪いが、日の光は届いている
雪が降り続き、雪が積もっているこの現場、能力を使うには乱反射してやや危ないが……
だが……部の悪い勝負と言う訳ではない
少々天気は悪いが、日の光は届いている
雪が降り続き、雪が積もっているこの現場、能力を使うには乱反射してやや危ないが……
「…やるしかないか?」
仕方ない
エーテルは、空飛ぶジョルディに光線を放とうとした
エーテルは、空飛ぶジョルディに光線を放とうとした
その、瞬間
感じた、鋭い殺気
感じた、鋭い殺気
前方から、剣を手に、背中から漆黒の翼を生やした青年が飛び掛かってくる
…イザーク・シーフェルデッカー
常にジョルディと共に行動しているのだと言う青年
…イザーク・シーフェルデッカー
常にジョルディと共に行動しているのだと言う青年
大ぶりのその攻撃を、後方に跳ぶ事で避ける
「っ!」
イザークもまた、自分へと向けられた攻撃を避けた
先ほどまでイザークと戦闘していた真の攻撃が飛んできたのだ
先ほどまでイザークと戦闘していた真の攻撃が飛んできたのだ
ばさり、イザークは空へと飛びあがる
真がエーテルと合流したのを見下ろしながら、ジョルディの隣へと飛んだ
真がエーテルと合流したのを見下ろしながら、ジョルディの隣へと飛んだ
「ジョルディ、怪我は?」
「ないよ、大丈夫」
「ないよ、大丈夫」
……受け答えできる程度の状態
バーサークしていても、ジョルディはイザークの言葉にだけは反応を返す事がある
バーサークしていても、ジョルディはイザークの言葉にだけは反応を返す事がある
「…できればお前を戦わせたくはなかったが。エーテル・エリオット相手では分が悪いな」
「そう。でも、大丈夫。僕とイザークなら、大丈夫だよ」
「……あぁ、そうだな」
「そう。でも、大丈夫。僕とイザークなら、大丈夫だよ」
「……あぁ、そうだな」
たとえ、相手が誰であろうとも
決して、負ける訳にはいかないのだ
決して、負ける訳にはいかないのだ
ジョルディを、護る為に
ジョルディを、物言わぬ屍に戻さぬ為に
ジョルディを、物言わぬ屍に戻さぬ為に
「やるぞ、ジョルディ」
「うん、行こう、イザーク」
「うん、行こう、イザーク」
ーーーーたとえ
もし、勝ち目のない戦いであったとしても
退く事は、許されない
もし、勝ち目のない戦いであったとしても
退く事は、許されない
あの日、あの時
悪魔の誘惑に乗ってしまった、瞬間から
自分は決して、逃げる事を許されていないのだ
悪魔の誘惑に乗ってしまった、瞬間から
自分は決して、逃げる事を許されていないのだ
to be … ?