夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

美樹さやか&キャスター

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『魔法少女との契約を取り結ぶ僕の役目はね。
 君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変えることなのさ』



全てを知った少女は、絶望した。
自分は最早人間の身体ではないということを嘆いた。
魂を抜き取られ、肉体のみで動き、その身が朽ちるまで只管に戦う。
まるで、活動する屍人――――――ゾンビのようだと。
少女は、悲しみに暮れた。



『本当の気持ちと向き合えますか?』



親友の言葉が少女の胸の内に響く。
親友は、少女の片思い相手に恋をしていた。
ゾンビである自分が愛される資格なんてない。
抱きしめて貰うことなんて、出来ない。
故に親友が片思いの相手に告白するのを、ただ黙って見過ごすことしか出来なかった。
そうして少女は、初恋を失った。


本当の祈りを見失い。
無我夢中で戦い続け。
もう一人の親友を突き放して。
偶々汚い大人の姿を目の当たりにして。
何を守ろうとしたのかも。
何の為に戦ってきたのかも。
解らないまま。
心と身体は、消耗していった。



『―――――結局あたしは、一体何が大切で、何を守ろうとしてたのか―――――――』



もう何もかも、解らなくなった。
故に少女は――――美樹さやかは、奇跡に祈る。
魔法少女とは違う、もう一つの奇跡に。




何もかも、やり直したい。




◆◆◆


◆◆◆



「本当に、バカだった」


悔いるように、さやかは呟く。
自らの道を後悔するように。
こうなってしまった運命を悲しむように。


「やっと解ったんだ、あたし」


月光の射す廃ビルにて、さやかは壁に寄りかかるように座り込んでいた。
その表情から感じ取れるのは疲弊。消耗。そして、ある種の悟り。
さやかは、自らの過ちを理解していた。
己の信念が己を蝕んでいたことを、認識していた。

『魔法は自分の為に使うもの』。

あの言葉も今なら解る。
全く持って、その通りだ―――――――と。
自分を省みずに戦い続けた結果がこれだ。
結局の所、自分の行く末にはこんな破滅しかなかったのだろう。
だったら今度は、他人の為ではなく。
自分の為に、戦いたい。
手元に転がるグリーフシードに触れながら、言葉を紡ぎ続ける。


「自分がゾンビだって思っちゃって、恭介に告白も出来なくて。
 自暴自棄になって、何の為に戦ってるのかも解らなくなって。
 最後の最後で、ようやく後悔して―――――――――――――」


懺悔のようにさやかは呟き、グリーフシードを手に取る。
既にソウルジェムの穢れを吸い取り、黒く濁っている。
さやかは魔法を自分の為に使わないと決心していた。
自分が傷付くことも厭わず、自暴自棄同然にグリーフシードの使用を拒み続けていた。

だが、彼女はそれを使った。
自らの運命に後悔をしたさやかは、グリーフシードを使用したのだ
故に彼女は疲弊しながらも魔女化を免れた。
それはさやかが己の理想を捨てたことを意味する。
自分自身の為にグリーフシードを使ったのだから。

この冬木にも、使わずに放置していたものを幾つか持参してきている。
恐らく聖杯戦争の集結までは保つ―――――と、信じたい。


「だからあたし、こんな運命を、」
「ゾンビって、私への当てつけ?」


言葉を紡いでいた最中、どこか不服そうな声が耳に入る。
さやかは顔を上げ、傍の窓辺に立つ小さな少女の方へと目を向ける。

生気を感じさせぬ程に真っ白の肌。
皮膚の至る所に見受けられる継ぎ接ぎ。
死人の様に濁った瞳。
その外見から連想されるものは、ゾンビ。
死人でありながら活動を続けるリビングデッド。
尤も、そう感じるのも無理は無いだろう。

キャスターのサーヴァント、リタ。
彼女は正真正銘のゾンビなのだから。


「……えっと、ごめん」
「冗談よ。気にしないで」


僅かに表情に影を落としながら、さやかは謝る。
対するキャスターは得に気にする様子も無く、窓辺から無表情のまま夜空を見上げる。
キャスターの血相の悪い白色の肌が月明かりに照らされる。
黒く染まった瞳で、彼女はぼんやりと空を見つめていた。


――――――この子は、何を考えているんだろう。


さやかは己のサーヴァントにそんな感情を抱く。
自分より幼い外見をしているのに、妙に達観してて。
落ち着き払ってるけど、常に無愛想な返事ばかりで。
どことなく、あの暁美ほむらを思い出してしまう。
だから、何となく苦手意識を感じてしまう。
この子が『ゾンビ』であるということも含めて。
自分の身体をゾンビと揶揄したことを思い出してしまう。

でも、この子は自分のサーヴァント――――たった一人の仲間だ。
複雑な気持ちではあるが、協力し合わなければならない。
さやかはそう思い、キャスターに問いかける。


「ねえ、キャスター。聞いておきたいんだけど、あんたの願いって……」
「私の願い?」


キャスターの願い。
これから共に戦う上で、それを知っておきたい。
さやかはそう思ったのだ。
そんな彼女の問いかけに対し、キャスターはほんの少し考え込んだ後。


「別に、大したものでもないわよ」


素っ気なくそう呟く。
現に、キャスターの願いは当人にとってそう重要なものではない。
さやかのような深い渇望があった訳でもない。
此処に来たのも、ただ呼ばれたから。
奇跡を得る手段があったから、願いを叶えたい者がいたから、それに応えただけ。
叶わなくても構わないし、仕方無いと思う。
そんな程度の願い。
それでも、一度だけ奇跡に縋れる機会があるというのならば。



「昔の知り合いと、また会ってみたいってだけ」



キャスターは静かに呟きながら追憶する。
かつて旅を共にした、一人の騎士の姿を脳裏に蘇らせていた。



【クラス】
キャスター

【真名】
リタ@神撃のバハムート GENESIS

【パラメータ】
筋力E 耐久E++ 敏捷D 魔力B+ 幸運B 宝具C

【属性】
中立・中庸

【クラス別スキル】
陣地作成:D
魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる。
当人が不得手である為、作成出来るのは簡素な工房のみに留まる。
陣地内では宝具「夜霧の死霊郷」の効果が強化される。

道具作成:C
魔力を帯びた器具を作成できる。
魔術的な薬の調合に特化している。

【保有スキル】
医術:C
医療に関する技術。
薬物の知識に精通している。
前述の道具作成スキルはこのスキルに基づく技能。

死霊術:E-
魔術師としての技能。死者のゾンビ化を得手とするネクロマンサー。
ただし魔導書の喪失に伴い大半の技能が失われている。
ゾンビとしての能力、後述の宝具等でそれらを補っている。

屍人:A
ゾンビ。首を切り落とされぬ限り活動を続けるリビングデッド。
本来ならば知性無き亡者と化すのだが、リタの場合自我を失わずにゾンビへと転じている。
切り離した肉体の遠隔操作、噛み付きによる他者のゾンビ化などの異能力を持つ。
リタが生み出したゾンビも噛み付きによって同胞を増やすことが可能だが、肉体の遠隔操作は行えない。
ゾンビ達は神秘を帯び、サーヴァントに干渉する能力を得る。

魔力で肉体を構成された霊体であるサーヴァントはゾンビ化出来ない。
魔力パスを持つマスターはゾンビ化にある程度の耐性を持つが、
致命傷を負うか複数回に渡って噛まれ続ければゾンビ化は免れないだろう。
マスターがゾンビ化すれば魔力パスを喪失し、サーヴァントへの魔力供給が不可能になる。

【宝具】
『屍群の先導者(リード・ネクロマンサー)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:? 最大捕捉:?
傘に偽装した髑髏の魔術杖。
本来ならば本能のみでしか行動できないゾンビ達を自在に使役することが可能となる。
使役の精度と能力射程は魔力量に依存する。
死霊術によってゾンビを処分することも出来る。

『夜霧の死霊郷(ミスト・ネブルビル)』
ランク:C 種別:結界宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:-
壊滅した故郷を霧で包み、来訪者に幻覚を見せ続けた逸話の具現。
他者に幻覚を見せる霧の結界を展開する。
幻覚によって周囲の景観を偽ることが出来る他、ゾンビ達を生者に見せかけることさえ可能。
ただし陣地の外では射程と効力が大幅に劣化する。
精神干渉耐性などによって効果の軽減が可能。

【Weapon】
宝具『屍群の先導者』

【人物背景】
ゾンビの少女。無愛想な性格で、幼い外見とは不相応な程に落ち着き払っている。
元々はネブルビルという町に住んでいた町医者の娘。
町は200年前に魔物の襲撃によって滅びており、彼女だけが生還し魔導書によって不老化。
それ以来ネクロマンサーと化し、現在までの200年間に渡ってゾンビ化した住人達を使役してきた。
後に賞金稼ぎであるカイザル・リドファルド、ファバロ・レオーネ一行との交戦によって魔導書を喪失。
両親のゾンビに噛まれ、自我を保ったままゾンビと化す。
以降は自らにとどめを刺さなかったカイザルの旅路に同行し、成り行きで彼の手助けをすることに。

【サーヴァントとしての願い】
カイザル・リドファルドと再会する。
尤も、それほど願いに執着はしていない。
マスターの願いを叶えるついでに叶えたい程度の願い。

【基本戦術・運用】
基本はゾンビ化したNPCによる人海戦術。
ゾンビに他者を噛ませることで爆発的にゾンビを増加させることが出来るが、
使役における負担も大きくなるので適度な人数で制御することが推奨させる。
敵を陣地に引き込むことが出来れば幻覚によって罠に嵌めることも可能。
サーヴァントのゾンビ化が行えず、効果的な攻撃手段も持たない為、基本的にサーヴァント戦には向いていない。
可能な限りマスターを標的にするべし。

【方針】
正面対決を避けつつ勝ち残る。



【マスター】
美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ

【マスターとしての願い】
魔法少女になってしまった過去をやり直す。

【道具】
『ソウルジェム』
魔法使いに変身する為のアイテム。普段は指輪として装着している。
その正体は物質化した魔法少女の魂そのもの。
ソウルジェムを破壊された魔法少女は魂を失い、死亡する。
また、ソウルジェムが肉体から100m以上離れることで仮死状態に陥る。
魔法を使うごとに穢れが溜まり、穢れが頂点に達することで魔法少女は魔女に転じる。

『グリーフシード』
魔女を倒すことで得られる道具。
ソウルジェムの穢れを移し替えることが出来る。
ただし一定以上の穢れを吸うと魔女が生まれてしまう。
さやかは魔女から回収したまま使わなかったものを幾つか持ち込んでいる。

【能力・技能】
魔法少女としての能力。
剣術による白兵戦を得意とする。
素質は高いが身体能力頼りの戦いが目立ち、戦闘技術は未熟である。
癒しの祈りで魔法少女になった為、治癒能力はずば抜けて高い。

【人物背景】
見滝原中学校に通う中学二年生。鹿目まどかとは親友同士。
明るく元気で活発な性格だが、思い込みの激しい一面も。
入院中のバイオリニストである上条恭介は幼馴染みであり片思い相手。
巴マミとの出会いで魔法少女に憧れる様になり、マミの死後に自らも魔法少女になる。
ソウルジェムに込められた願いは「現代の医学では治せない恭介の手を治すこと」。
当初は正義の魔法少女として活動し、利己的な暁美ほむらや佐倉杏子に強い反発を抱いていた。
しかし後に魔法少女の真実が明かされ、更に親友の志築仁美に恭介への想いを告白されてしまう。
ショックと失恋によって心身を疲弊させたさやかは、己を省みぬまま自暴自棄の戦いを続けてしまう。

穢れを限界まで蓄積させ、自らの運命に後悔したさやかは『やり直し』を願った。

【方針】
勝ち残る。
キャスターとは出来る限り協調する。

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