ストーリー解説
旅の目的を基準にすると、9章までが打倒死霊皇帝編、10章からがソフィア探索編となります。
始めは単純な勧善懲悪譚としてスタートしましたが
今では秘められた世界の真実を解き明かしていく系統の物語となっています。
打倒死霊皇帝編(1章~9章)
目的:死霊皇帝を倒すこと
基本構図:光の勇者御一行が死霊皇帝軍と戦いつつ死霊皇帝を倒すために旅をする。
割と単純な光VS闇の構図だった。
(9章まで境界の眷族はまだ設定されておらず、人間などは光の眷族とみなされていた)
物語は妖精のテイルが先代勇者である族長レジナの命を受け
光の勇者として仲間を集めて闇の王死霊皇帝を倒す旅に出発するお約束のパターンから始まる。
ろくに人が来る保障もなかったので単純で分かりやすい勧善懲悪譚を想定してスタート。
よって、女神ガイアが支配する光の世は明るく美しく素晴らしく
ガイアにつかえる星の守護者である妖精が率いる光の勇者は無条件で正義の味方で
人間は当然ガイア側につく善玉という前提であった。
一方の死霊皇帝は問答無用で絶対悪、闇の眷属は全員死霊皇帝の手先で人権なんかない
見つけたら片っ端から駆逐すべき凶暴なモンスターという扱いだった。
5章までは基本的にこの構図だったが、6章で物語は1回目の転換点を迎える。
ガイアと死霊皇帝を両方滅ぼそうとしている黒い魔導師が登場。
テイルは、闇の眷属は本当に悪い奴なのか、人間は本当は光の眷属ではないのではないかという疑問を持ち始める。
7章と8章を通してその疑問は大きくなっていき第9章で2回目の転換点を迎える。
この章から第三の神ソフィアの過激勢力が本格的に暗躍し始める一方
テイル達はソフィアにガイアと死霊皇帝の仲を取り持ってくれる希望を見いだす。
そして一縷の望みをかけてソフィア探索の旅が始まる。
ソフィア探索編(10章~)
目的:黄昏の龍神ソフィアの復活
基本構図:勇者御一行が襲いくる境界過激派勢力から身を守りつつ境界との融和を目指す
死霊皇帝との和解の糸口を求めてはじまったソフィア探索の旅だったが、10章で意外とあっさり死霊皇帝と和解。
しかしそれをきっかけにソフィアの過激派が表舞台に現れ、勇者達を潰そうと動き始める。
真実を明らかにして境界とも和解するために、ソフィアを復活させるための旅は続く。
さらに、旅が進むうちに邪神デミウルゴスという存在が明らかになり、ガイアを含む全ての世界を滅ぼす運命にある事が発覚する。
そして世界滅亡の原因は現在のガイアにあるらしい。
ガイアの勢力を一つにまとめ、世界の運命を変えることはできるのか!?
現在進行中
光と闇と境界の確執
遙か古から続く神々の確執が全体を通したストーリーの主題になっています。
度重なる設定改変を経て今に至っています。それをまとめるとこうなります。
世界の始まりの時に光と闇の大戦があり、それ以来光と闇は対立し続けている。
光の頂点はガイア、闇の頂点は死霊皇帝である。
死霊皇帝は1000年に一回復活するのでその度に光の勇者が封印している。
↓
原初の大戦と思われているものは実は世界の終末の始まりであった。
世界は、光の世界(高天原)・境界の世界(葦原の中つ国)・闇の世界(黄泉の国)の三層構造。
光と闇の仲を取り持ち地上を支配する第三の神ソフィアが存在し、ガイアと死霊皇帝に倒され姿を消した。
その理由については、境界の勢力側は、全ての世界を自らの勢力に染め上げたいガイアと死霊皇帝の両方にとって邪魔だったためと主張。
光と闇の勢力側は、ソフィアが光と闇の世界までも支配しようとしたためと主張し、真っ向から対立している。
原初の大戦と思われている光と闇の戦いはソフィアが倒された直後に起こったものである。
また、ガイアや死霊皇帝は原初神ではなく、それぞれの勢力の現在の表向きの頂点にすぎなかった。
遥か昔……まだ空と海が分かたれていなかった頃、光と闇の熾烈なる戦いがあった。
壮絶な攻防の末、光の眷属は、闇の眷属を世界の最も深き場所へと幽閉した。
こうして、世界は光が支配する事になった。
- 天地開闢の伝説マイナーバージョン(現在の設定にほぼ対応)
遥か古……光と闇と境界が世界を創造した。
永遠とも思える平和な時が流れた。
しかしある時、境界は姿を消し、光と闇は永久に相容れぬ運命を背負った。
三柱神
光と闇と境界のそれぞれの頂点であり、世界を創造したと言われている三柱神が
星の女神ガイア・死霊皇帝タルタロス・黄昏の龍神ソフィアである。
ただし、ガイアと死霊皇帝の義理の母にあたる神が登場しており、ガイアと死霊皇帝は原初神ではないらしい。
よって、実際にはガイアや死霊皇帝は世界を創造したわけではない可能性が高く
後に頂点に上り詰めて有名になったものと思われる。
星の女神ガイア
光と生命を司り、世界の始まりからガイアを支配してきたといわれる女神。
ただし元々の名前はアマテラスで、専ら光の女神だった。光の世界高天原の支配者だった。
ソフィア消滅の直後、闇との大戦に勝利して地上をも支配するようになり
境界の眷属達のほとんどを自らの眷属として取り込んだ。
その際にガイアという名を得て大地母神となった。
長年に渡り死霊皇帝と戦っていたのは、境界無き世界の危うい均衡を保つためだった。
イメージ:光・(生命)・自然・輪廻・(大地)・白・(虹色)・(多様性)
()付きはソフィアとの重複項目。
ソフィアが姿を消したときに属性を吸収したと思われる。
死霊皇帝タルタロス
闇の神であり、生命の理に反する不死の王としてガイアの宿敵とみなされていた。
しかし実際にはガイアと表裏一体をなす黄泉の国の支配者であった。
元々の名前はスサノオで、最初から闇の神だったわけではないようだ。
ガイアと争っていたのは、光と闇の勢力を束ねて、いつか復活するソフィアに対抗するためだった。
イメージ:闇・不死・永遠・奈落・黒
本スレ4-323
「光の勇者達よ、よくぞここまでたどり着きました」
そう、星の女神ガイア、またの名をアマテラスが降臨したのだ!
テイルの体を借りたガイアと、ノウェをの体を借りたタルタロスは、どちらからともなく歩み寄る。
「久しいですね、スサノオ……。悠久の時を超えて私たちが向かい合っている。
それが何を意味するのか分かっていますね?」
「ああ、この時が来るのをずっと恐れていた。そしてずっと待っていた。
もう後戻りはできないが姉上こそいいのか?」
片や何代にもわたり生け贄を捧げての究極魔法を行使してきた勇者の導き手。
片や死霊皇帝封印の生け贄となった娘。
捧げられた者と捧げるはずだった者が向かい合う光景は、幾度となく繰り返してきた筋書き通りの悲劇の終わりを意味していた。
「母に会いたいと泣いていたお前が……立派な闇の王になりましたね」
ガイアはさりげなく死霊皇帝の黒歴史を披露し、再び一同に語りかける。
「本来ならソフィアが滅びた時にこの世界は終わりを迎えているはずでした。
その時に私はガイアという新たな名を授かり、崩れゆく世界を辛うじて繋ぎとめた。
タルタロスと争っていた……争わねばならなかったのは境界無き世の均衡を保つため。
しかし今この時、我らは契りを結びます。
時が満ちた今ならソフィアの力の一端が暫し世界の境界を繋ぎとめてくれるでしょう。
されど長くは持ちません。
この選択が未来を切り開くか、破滅を早めるだけに終わるかはあなたたちにかかっています」
黄昏の龍神ソフィア
遥か古に姿を消したとされる、万物の境界を司る第三の神。様々な色をとるドラゴンの姿とされている。
今はガイアの物となっている世界樹を植えた存在でもあるらしい。
この神の眷族達は、今は光の眷族か闇の眷族として取り込まれているため
この神の存在を知る者はほとんどいないが、近頃この神の眷族としての自覚に目覚める者が現れ始めている。
イメージ:境界・暁・黄昏・知恵・文明・生命・虹色・多様性
三顕王(ソフィアの力が顕現してる者達)
拳王:エド。境界をあやふやにする能力。歴史や距離を改ざんする。大人数が体験している事実を覆す事は難しい。
例:今回の瘴気のような無差別で広範囲な被害を隠す事はできない。自分がその対象に居なかった事にはできる。
賢王:ロランド。境界を明白にする能力。相手の能力の看破&固定。思考や魔術を読み取る事ができる。サトリ。
(ただしロランドは一回死亡して再構築されたことによりこのポジションから脱落したと思われる。ソフィアの特殊能力を失ったうえで天使一派に流れた可能性あり)
剣王:詳細不明。境界を作り出す能力を持つソードマスター。名前は剣王キラとかソードマスターヤマトとかそんな感じ。先生の次回作にご期待ください。
邪神デミウルゴス
上記のようなガイアでの争いに乗じて世界を滅ぼそうとしている存在。現在最も有力なラスボス候補である。
本スレ5―218~219
イースはゴローに自分とテイル達の関係を説明した後、様々な事情を話し始めます。
いわく、自分たちイースの民は時間を越えて移動できる精神体種族である事。
必要な時はほかの生物の体を借りて活動している事。
過去、現在、未来を移動してきたが、ある時一定以上未来に行けない事に気づいた事。
未来が無いとは世界の終りであり、世界が終わる原因はテイル達の時代のガイアにある事を突き止めた事。
一度は月に向かっていたが、テイル達が過去jに飛ばされたことを知って後を追ってきた事。
今いる場所はすべての時間と世界をつなぐ中心地、世界樹の中である事などなどです。
「そうだ、肝心な情報を忘れていました。
デミウルゴスは生きています。
世界樹に寄生して復活のための力を蓄えているのです。
私の記憶が確かならば、この世界を滅ぼすのは復活したデミウルゴスです。
黒幕っぽい人達
黒い魔導師(先代勇者ロランド・ランズ)
ガイアと死霊皇帝を共倒れにしようとした危険思想の持ち主。
今の目的は光に勝たせることと言って、一時勇者ご一行と一応手を組んでいた。
正体は、ソフィアの腹心でエドと共に第三勢力のトップだった。
9章でアイリスに分解消去の魔法をかけられ消滅しかけたところを
インペトゥスに救出され、突如現れたルナによって再構成される。
その時ルナは、復活したばかりのロランドを言葉巧みに自らの勢力に誘うのであった。
今後の動向は果たして……!?
本スレより抜粋
「今から千年程前、死の帝王と人間の戦い、今で言う光と闇の戦いがあった。
不死である死霊皇帝を倒すことは出来ない、だから封印することになった。
そして封印は成功したものの、尊い一人の犠牲を出し、
死霊皇帝により、その場にいた数人に呪いがかかった。
人間たちは、己の存在を脅かす存在の死霊皇帝を封印したのだから
自分たちを助けてくれと、人間たちが信仰する神ガイヤに要求したが。
ガイヤは、自分を助けるのがさも当たり前のように振る舞い、人間達の要求を無視した。
それから世界は、平和であり続けたが、その平和を作り出した人間たちの一部
呪いをかけられた者数人は、死ぬまで苦しみを味わい続けた。
呪いをかけられし者の一人の魔導師つまり俺は、死霊皇帝とガイヤ、
両方に復讐をすること誓い、罪に手を染めてでもひたすら力と知識を求め続けた。
そして復讐する手段を見つけた、この世界にある特殊な力の源、魔力を破壊すること。
たとえ神と言われし存在でも、己の持つ魔力を完全に破壊されれば、普通の人と同然だ。
そして俺は、今度また光と闇の戦いが起きれば全てが終わるように計画を立てた。
その計画は、魔力を破壊する能力を持った、光と闇のゴーレムを作り
それぞれの勢力に持たせ、お互いの頭のガイヤと死霊皇帝を倒させ共倒れにすること。
しかし実際に事が始まると問題が起きた、製作中の闇のゴーレムが暴走して行方不明に。
仕方なくそのゴーレムを試作として新たに作り直そうとしたが
材料がなかなか手に入らなくて計画が崩壊した。
さらには製作途中の光のゴーレムが死霊皇帝軍に見つかり、契約上仕方なく売る事になり
もう全て終わりになったという所だね。
此の侭ほって置けばガイヤが負けて全て終わりになっちまうなーと思っていたら
闇のゴーレムが生きててしかも光側に付いてると知ってね。
取り合えず世界を闇にすることは、元光の勇者としては許せなかったから君たちをこの島に招きいれたのさ。
そんで今の目的は、闇と光の共倒れではなく、光側に勝たせようとのことだ。
まあ、魔力破壊能力つきのゴーレムがいるから今のこの状態で勝ったほうが永遠の勝ちだろうし。
そうすれば俺の呪いも解けるだろうしな。」
レジナ(妖精の族長)
テイルを旅に送り出した張本人で、先代勇者。
テイルの糸を引いてトンデモないことを企んでそうな気配がしなくもない。
メルティアベル(通称ティア:エルフの族長)
PTの一員メルディの祖母で先代勇者。ボケているふりをしているが
レジナあたりと結託してトンデモないことを企んでそうな気配がしなくもない。
疾風のアルベル(死霊皇帝軍六武神)
死霊皇帝軍の中にあって、ひときわ異彩を放ついい人。お姉ちゃん(メルディ)大好き。
ある目的を達成するために、姉と敵同士になってまでも死霊皇帝軍に身を置いていると思われる。
3スレ目47
「アル、メルが来てるよ。いかなくていいの?」
楓の木の枝に腰掛けアルベルに話しかける女性。
正確には女性の姿をした風の精霊シルフィードだ。
彼女の隣に座っているアルベルは
死霊皇帝軍の誰にも見せることが無い優しげでそれでいて切なげな顔をしている。
「いいんだ。会ったらメルに辛い思いをさせるだけ。
どっちにしろ光の下にいるのは許されない身だ。もう後戻りはできない。
こうなるのは生まれるずっと前からの定め……」
「そう。……あの人はあなたの目的を達するのに十分な人材?」
「どうだろう。もう少し見極めてみるよ」
遠くを見つめるアルベルの心中を、シルフィードは言い当てた。
「……1000年の平和のために
この世界とすら無関係な1人を犠牲にしていいのかなって思ってるんでしょ」
「ああ、なにやってんだろうなって時々思うんだ。
それが嫌で光を捨てたのに……その過程で結局光の世と同じことをしなきゃいけないのかって」
シルフィードはきっぱりと言い切る。
「違うわ。あなたが目指す闇の世は
何一つ確かな物がない偽りと矛盾に満ちた光の世とは違う。
誰も死ぬ事も無く誰も虐げられない真の平穏。究極の平等な世界……」
「お前は本来光に属する精霊なのにな……つき合わせてゴメン」
「弱気にならないで! アルのしてることは正しいから。
達成したらメルもティア様もきっと分かってくれるよ」
本スレ抜粋集
- テイル(妖精)が夢で見た魂に刻まれたガイアの記憶(3スレ目18)
その夜、夢を見た。内容はよく覚えていない。
抗うことすら許されない悲しい別離。同質にして真逆、鏡に映したような似姿。
互いに必要としあっていながら否定し合う定め。ただ一つの同じ願いのために、奪い合う宿命。
断片をあえて言葉にすると、こんな感じだった。
ガイアとその作り出す光の世に対する絶対的肯定は、母への愛ゆえ。
妖精には父親もなければ先祖もいない。女神ガイアだけが親と言えるたった一つの存在なのだ。
まして自らの魂を分け与えて地上に送りだし、妖精の森という世界の残酷さから隔離された場所に住まわせ
惜しみない愛を注ぎ続けてくれる親に反逆なんてできるはずがない。
- 闇の眷属の宿命:ガレス(魔族)の夢(3スレ目28)
夢の中、籠の中に男がいた。まるでしばりつけるように
冷たく自分を覆う鉄の籠の中の男はただただ外の世界を見つめる。
まるでここが自分の場所だと、ここからは出られないのだといった悟ったような表情で、
陰鬱に空虚な叫びを放ち続ける、「ここから出たい」と、しかし自らの意思で男はここにいる。
その証拠に檻の扉を開く黄金の鍵は彼自身の手の中に
しっかりと握られているのだ。檻の外は光に溢れ。どこまでも青い空が広がり
遙か彼方へと続く広い道があり休むことなく刻まれる時がある。
だが男は何もしない、ただ空虚に叫ぶ
「ここから出たい」
ならばなぜ男は光を拒むように俯いているのだろう。
なぜ男は限りなく広がる空を見上げないのだろう。
男はどこまでも続く道の終わりを望まないのだろう。
男はまた今日も、またこの時も悲哀に満ちた表情を浮かべ、
嘆きと自虐の甘美な薫りに包まれ、外の世界を拒絶するように扉から遠ざかり、
外の世界をぼかすように涙を流し、ただひたすら世界に向かって叫び続ける
「こ こ か ら 出 た い!」
その時、ふと差しこんだ光が映し出した男の顔。
絶望に歪みやつれていたが、確かにその顔は自分……
「ソフィア・・・あの光の眷属が、あなたを敵視し始めたようだ・・・
眷属達のようにあの姉弟神の魔力を受ける事もできず、
幻獣達のように肉体に強大な霊力を備える事もできず、
ただ物質界の法則に隷従するしかない人間が
長い年月の末に辛うじて手に入れた、ただ一つのわずかな力であるあなたを・・・」
想いだけが静かに流れてゆく
「今、姉弟喧嘩を繰り返す魔力を破壊して平穏な世界を得たとしても
その代償にあなたを失ってしまったら
人間は無力なだけの野の獣として滅びるしかない・・・」
漂うのは無念か諦観か
「これだけ追い求めても、まだ、遠いのだな・・・真のあなたの姿は・・・」
「なるほど……他の人も呪いをかけられてたんだね……」
「他の人もって……ティア様も!?」
「うん、本人もかかってることにすら気づいてなかった。
二代も後になって牙をむいた恐ろしい呪い……。
もしかしたら僕がああなってるかもしれなかったんだ」
「もしかして弟くんのこと!?」
「そう。ナイトメアは普通は人間にしか発生しない。
でもおばあちゃんはガイア様を少しもうらんでないと思う。
全部死霊皇帝ごときの呪いにかかった自分のせいだって言ってる……」
そう、それがボク達光の眷属なのだ。でも人間は違う。
目的のためなら仲間であるはずの光の眷属を手にかける。
時には世界たる神にすら容赦なく刃を向ける。
まるで光の眷属であって光の眷属じゃないような……。
- 世界樹と血の魔石とブループラネット(4スレ目149)
「剣王。
代理プランにあるように血の魔石に替え、予備として用意しておいたブループラネットを使用する事とする」
我らが血の魔石を入手するために赴いたのは理由があった。
我らカタチのある生命体が欲しいのだ。
生命力を生むだけならブループラネットの方が高性能であるし、入手も(血の魔石に比べれば複数存在する分)容易ではある。
しかしエネルギーだけでは意味がない。
それで生きていく生物がいなければダメなのだ。
その点、血の魔石は命を取り込む性質があって、それを放出させる事によって取り込んだ生物を再構成することができるのであった。
我らはいずれ天に上る。
空に浮かべる新たな星のために生命を産み落とす必要がある。
先行者である天使達は星を生む事自体には成功したが、生命を生み落とす事はできなかった。
緑のない星は殺風景な岩の固まりそのものであり、普通の生命が住んでいける場所ではなかったのだ。
結果として先の計画で移住できたのは高い科学技術を持つ彼ら天使と一部の者たちであり、天から地上を焼き払い浄化する計画は大幅に遅れたのだった。
「承知。第二段階に移行するのだな?世界樹の伐採は任された」
「うむ。遠慮なくやれ。
あれは元々ソフィアが天地開闢の折に植えた物。
地の穢れ天に還し、地を焼く有害な光と相殺させる循環システム。
生まれたばかりの不安定な星には必要不可欠だからな。」
ちなみにガイアと死霊皇帝も開闢の折に作り出したものがある。
そう例の2種の魔石だ。
地上の生物に力を与えるために作り出されたブループラネット。
そしてその力が暴走しないように生み出された血の魔石。
だがそれはあくまで表向きの理由だ。
開闢の折にソフィアの補助役として産み落とされた最初の眷属である私は知っている。
ブループラネットはガイアが自身の領分を無限に広げるために生み出した物であり、
血の魔石はその力を我が物とするために死霊皇帝が作り出したものなのだ―――――――――――――――― 。
「ああ。今は、前回私を封印する際に生贄となった娘の体を借りている。
我が名はタルタロス……死霊皇帝と呼ばれし者だ。光の勇者よ、ソフィアを復活させてはならない」
「そんなこと言って世界征服しようったってそうはいかないぞ!」
ロッドを構え、臨戦態勢に入る。
「待て、まずは話を聞いてくれ。もうずっと昔の事だ……」
死霊皇帝は、光と闇の戦いの始まりの話を語り始めた。
「最初、この世界はガイアと呼ばれていなかった。
我が姉アマテラスが統べる光の世界、高天原。ソフィアが治める地上、葦原の中つ国。
そして私が支配する闇の世界……黄泉の国。
光の眷属達と闇の眷族達は互いに交わる事無くそれぞれの世界で生きる存在だった。
そして境界の眷属達は地上で生き、死後は我が袂に来て魂の傷を癒し
穢れを浄化された後に姉上の住まう高天原へ旅立つ。
そして再び命を与えられ地上に送りだされるのだ。
全てがうまくいっていた。恐るべき龍王ソフィアが本性を現すまでは……。
あやつはあろうことか全ての世界を我が物にせんと企み、私達を滅ぼそうとした。
私達姉弟は必死に抵抗し、倒すことに成功した。だがおそらく滅ぼす事はできなかった」
そこで烏天狗が死霊皇帝の話を遮り、激昂した口調で反論する。
「何を言うのですか……!?
ソフィア様はどーしょーもない貴様ら姉弟の仲を取り持っていたというのに……
貴様らの際限のない私欲のために滅ぼされたのですよ!
その上濡れ衣まで着せるとはシャレになりません!
でも大口が叩けるのも今のうちだけ……。間もなくソフィア様は復活します。
復活すればあとは貴様らをぶち殺すだけです! 争いの元たる光と闇は消え我らの時代が始まるでしょう……!」
最終更新:2010年08月01日 23:38