ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ
いつか、届く、あの空に。
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いつか、届く、あの空に。 ◆UcWYhusQhw
空。
空が見えた。
蒼い、蒼い空。
空が見えた。
蒼い、蒼い空。
いつも飛んだ蒼い空。
何故かわたしにはそれが霞んで見えて。
可笑しいなと思ってしまった。
夜が明けて来たのだ。
その蒼い空に手を伸ばそうとする。
あの、空に届くように。
なのにわたしの体が上手く動かせない。
可笑しいなと思ってしまった。
夜が明けて来たのだ。
その蒼い空に手を伸ばそうとする。
あの、空に届くように。
なのにわたしの体が上手く動かせない。
ああ、空に飛びたいなぁ。
そんな事を危うげな意識の中でわたしは――アリソン・ウィグットン・シュルツ――そんな場違いな事を考えていた。
記憶が若干混乱しているのかもしれない。
体は何か湿っぽいし胸がズキズキと痛む。
体は何か湿っぽいし胸がズキズキと痛む。
あぁ……そういえばシズに刺されたんだっけ。
だから……痛いのか。
だから……痛いのか。
んー失敗しちゃったなぁ……
もっと話してやればあんな馬鹿なことにはならなかったかなぁ。
それも……もう仕方ないか。
刺されて……わたしは……
もっと話してやればあんな馬鹿なことにはならなかったかなぁ。
それも……もう仕方ないか。
刺されて……わたしは……
……ん? はて?
その刺された私はなんで濡れてしかも動いているんだろう?
そう想って視線を下に向けるとヴィルのような茶色の髪の毛が。
えーとこれは……
その刺された私はなんで濡れてしかも動いているんだろう?
そう想って視線を下に向けるとヴィルのような茶色の髪の毛が。
えーとこれは……
「キョン君……?」
キョン君……かな?
さっきであったばかりの気だるそうな子。
わたしはキョン君の背中におぶさっているのかな?
そしてキョン君はひたすらに走っている。
さっきであったばかりの気だるそうな子。
わたしはキョン君の背中におぶさっているのかな?
そしてキョン君はひたすらに走っている。
「……!?……意識が戻ったんですか」
「……………………おはよう、キョン君、どうして運ばれてるの?」
「おはようじゃないですよ……喋らないでください。重傷をおってんですから。先程色々あってアリソンさん助ける為に川から落ちたんです
俺も一瞬気を失いましたが……直ぐ目を醒まして岸に上がったんです。橋ではマオさんが頑張ってるんで治療できる場所まで移動しますから」
「……ああ」
「ああ、じゃないです。ちょっと待ってください……橋からもう少し離れたら治療始めますから」
「……………………おはよう、キョン君、どうして運ばれてるの?」
「おはようじゃないですよ……喋らないでください。重傷をおってんですから。先程色々あってアリソンさん助ける為に川から落ちたんです
俺も一瞬気を失いましたが……直ぐ目を醒まして岸に上がったんです。橋ではマオさんが頑張ってるんで治療できる場所まで移動しますから」
「……ああ」
「ああ、じゃないです。ちょっと待ってください……橋からもう少し離れたら治療始めますから」
治療……か。
でもね、キョン君。
解ってるのよ、自分の体くらいね。
でもね、キョン君。
解ってるのよ、自分の体くらいね。
わたしが
「……ああ、無駄よ。多分わたし助からないから」
助からないってことくらい……
解ってるんだから。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「何……言ってるんですか?」
キョン君の声が震えている。
そりゃそうよね……人が死ぬと言っているのだから。
でも、死はやってくる。
誰にだって平等に。
そしてそれはわたしにも。
そりゃそうよね……人が死ぬと言っているのだから。
でも、死はやってくる。
誰にだって平等に。
そしてそれはわたしにも。
「アリソンさん……まだ判らないじゃないですか……傷の治療もしないで」
でも、キョン君はまだ、私が助かると思っている。
いや、私を死なせたくないのかな?
……優しい子だなぁ。
……本当に優しいなぁ……
いや、私を死なせたくないのかな?
……優しい子だなぁ。
……本当に優しいなぁ……
「ううん……もう無理だとわかってるから」
でも、体が無理だと言っているのよ。
どんどん体が震えて。
段々温かさを奪われていく。
認めたくないけど……これが死なんだろう。
どんどん体が震えて。
段々温かさを奪われていく。
認めたくないけど……これが死なんだろう。
「諦めないでくださいよ!……アリソンさん……言ったじゃないですか。娘が居るって……アリソンさんが諦めてどうするんですか」
リリアかぁ……
あの子頑張ってるかな?
元気でいるかな?
あの子頑張ってるかな?
元気でいるかな?
お願いだから生き続けて欲しいなぁ。
リリア。
わたしとヴィルの愛しい子。
あの平和になった世界で。
誰よりも幸せになって欲しい。
だから……だから生きて欲しいなぁ。
あの平和になった世界で。
誰よりも幸せになって欲しい。
だから……だから生きて欲しいなぁ。
「……あははっ、まさか娘と同じような子に説教されるなんて」
「笑い事じゃないですよ……ここまで離れればいいか……治療始めますよ。俺は諦めませんから」
「笑い事じゃないですよ……ここまで離れればいいか……治療始めますよ。俺は諦めませんから」
結構の間走った後、私は樹にもたれかけるようにゆっくりと置かれた。
日が昇り始めて蒼い青い空がより鮮明に見える。
キョン君は諦める気は絶対無いみたい。
どんなに無理だと解っていても。
きっと私を助けようとするんだろう。
日が昇り始めて蒼い青い空がより鮮明に見える。
キョン君は諦める気は絶対無いみたい。
どんなに無理だと解っていても。
きっと私を助けようとするんだろう。
「絶対に助けますから」
そういうキョン君の声は震えていた。
哀しみに耐えるように。
包帯を出して治療を始めようとする。
私は体も上手く動かないでそれに抵抗もする事無く従った。
哀しみに耐えるように。
包帯を出して治療を始めようとする。
私は体も上手く動かないでそれに抵抗もする事無く従った。
ああ、いい子なんだなぁ。
この子は。
誰かが死ぬのが耐えられなくて。
それでも自分ができる限りの事をやろうとする。
例え自分に力が無くても。
それでも、諦めたくないんだ。
誰かが死ぬのが耐えられなくて。
それでも自分ができる限りの事をやろうとする。
例え自分に力が無くても。
それでも、諦めたくないんだ。
わたしの上着を脱がして包帯を巻いて止血をさせようとしている。
それでも血は止まる訳がない。
キョン君は焦って色々治療道具を出して必死に必死に思案するもそれ以上の打開策が思いつかないのだろう。
それでも血は止まる訳がない。
キョン君は焦って色々治療道具を出して必死に必死に思案するもそれ以上の打開策が思いつかないのだろう。
「……何でだ……このままじゃ……」
キョン君は頭を抱えている。
所詮……唯の一般学生でしかない。
そんな治療できるなんて知識……持っていないのだ。
だから、彼がどんなに頑張った所で私を治せるわけが無い。
所詮……唯の一般学生でしかない。
そんな治療できるなんて知識……持っていないのだ。
だから、彼がどんなに頑張った所で私を治せるわけが無い。
そんなの解りきっていた事。
キョン君だって解りきってただろう、本当は。
キョン君だって解りきってただろう、本当は。
それでも、彼は諦めたくないんだ。
力が無くても。
わたしが死ぬをなにもせず受け入れたくないんだ。
力が無くても。
わたしが死ぬをなにもせず受け入れたくないんだ。
ああ。
優しい……いい子だなぁ。
こんなあったばっかりの知らない人の為にこんなにもこんなにも頑張って、頑張って。
立派に育ってるんだなぁ……キョン君は。
立派に育ってるんだなぁ……キョン君は。
偉い……優しいいい子だ。
なら……わたしがこんなに頑張ってくれた子に出来る事はなんだろう?
キョン君の為に残せる事は何だろう?
アリソン・シュルツがキョン君に託せるのは何だろう?
キョン君の為に残せる事は何だろう?
アリソン・シュルツがキョン君に託せるのは何だろう?
ふと、空を見る。
蒼い、蒼い、空だった。
いつも、飛んだ蒼い、蒼い空。
手を伸ばす。
届くように。
もう一度飛べたらと。
もう一度飛べたらと。
あの、蒼い空に思いっきり飛べたらいいのにな。
ああ……わたしはこんな事を託していいのかな?
わたしはキョン君にこんなのでいいのかな?
わたしはキョン君にこんなのでいいのかな?
でも、それしかなかった。
それが、アリソン・シュルツなのだから。
それが、アリソン・シュルツなのだから。
「キョン君……みて、蒼い空」
「……え?」
「ほら、高い、高い空」
「……そうですね」
「何処までも広く、何処までも果てしなく……蒼く高い空」
「……」
「キョン君……空に届くと思う? 人が」
「……え?」
「出来るんだよ……あの空に」
「……え?」
「ほら、高い、高い空」
「……そうですね」
「何処までも広く、何処までも果てしなく……蒼く高い空」
「……」
「キョン君……空に届くと思う? 人が」
「……え?」
「出来るんだよ……あの空に」
ああ、馬鹿だなぁ。
こんな事、普通の子に言ったって理解してもらえる訳が無いのに。
でも、わたしはそんな事をどうしても言いたかった。
いつか、理解してもらえたらと思って。
こんな事、普通の子に言ったって理解してもらえる訳が無いのに。
でも、わたしはそんな事をどうしても言いたかった。
いつか、理解してもらえたらと思って。
あの、偉大な、大きな翼を思い出して。
「飛行機でね。飛べるのよ……あの蒼い偉大な空に」
「……」
「楽しいわよー、本当何でも良くなって、すごく気持ちよくなっちゃう」
「そうなんですか……?」
「そうよ、すっごい楽しいんだから」
「……」
「楽しいわよー、本当何でも良くなって、すごく気持ちよくなっちゃう」
「そうなんですか……?」
「そうよ、すっごい楽しいんだから」
だから……
「キョン君も飛んでみない? あの空に」
「……え?」
「何時でもいいわ……何時かでいいから……空に自分の力で飛んでみない?」
「……え?」
「何時でもいいわ……何時かでいいから……空に自分の力で飛んでみない?」
わたしは彼に思いを託した。
わたしの思いは空と共に。
だから、わたしがずっとやり続けた行為をあったばかりなのにキョン君に託してみたかった。
ただの自己満足。
それでも、託したかった。
ただの自己満足。
それでも、託したかった。
「それは……楽しそうですね」
「でしょ?」
「ええ……本当に」
「なら……」
「でしょ?」
「ええ……本当に」
「なら……」
キョン君。
あなたは
あなたは
「生きなさい。生きて帰って、わたしの分まで空を飛びなさい……それがわたしが生きた証になるから」
生きなきゃ駄目よ。
最後まで、年をとってお爺さんになるまで。
生きなきゃ駄目よ。
最後まで、年をとってお爺さんになるまで。
生きなきゃ駄目よ。
そんなわたしにキョン君は驚いて顔を向ける。
哀しそうな表情をして。
今にも泣きそうな顔をしていた。
哀しそうな表情をして。
今にも泣きそうな顔をしていた。
私はそんなキョン君を軋む体で必死に抱きしめてあげた。
そっと頭を撫でた。
震えていた。
本当に……御免ね。
そっと頭を撫でた。
震えていた。
本当に……御免ね。
「ずるいですよ……そんな言い方したら……受けるしかないじゃないですか」
「……そうね。御免なさい……でも、キョン君。あなたは生きなさい……いいかしら」
「……はい」
「いい子ね……本当いい子」
「……そうね。御免なさい……でも、キョン君。あなたは生きなさい……いいかしら」
「……はい」
「いい子ね……本当いい子」
そっと震える体を撫で続ける。
ああ、辛い事をさせちゃったな。
出来る事ならこの子が幸せであるように。
わたしはそれを願い続けながら最後の言葉を紡ぎ続ける。
ああ、辛い事をさせちゃったな。
出来る事ならこの子が幸せであるように。
わたしはそれを願い続けながら最後の言葉を紡ぎ続ける。
「シズを恨まないでやってね……できればあの子をとめて上げて」
「……」
「あの子はちょっと焦ってるだけだから。きっととめる事ができから……お願いね」
「……約束は出来ないですけど……」
「少しでも思ってくれればそれで充分よ」
「……」
「あの子はちょっと焦ってるだけだから。きっととめる事ができから……お願いね」
「……約束は出来ないですけど……」
「少しでも思ってくれればそれで充分よ」
シズはきっと焦っているだけ。
ただ、がむしゃらに一つの事しか信じられないだけだから。
だから、誰かが優しさを与えてあげれば……きっと戻れるはず。
そう思ったから。
ただ、がむしゃらに一つの事しか信じられないだけだから。
だから、誰かが優しさを与えてあげれば……きっと戻れるはず。
そう思ったから。
リリアとヴィルに残す言葉を。
ベゼルとロクシェの言葉の両方を使って。
キョン君に託した。
ベゼルとロクシェの言葉の両方を使って。
キョン君に託した。
さあ……これで御終い。
本当に色々託しちゃったなぁ。
駄目だなぁ……キョン君に辛い思いさせるだけなのに。
「キョン君……」
「……はい?」
「ありがとうね……最期まで」
「最期じゃないですよ……」
「……はい?」
「ありがとうね……最期まで」
「最期じゃないですよ……」
うん……本当に。
「いい子だなぁ……ありがとう……」
「そんな事……ないですって」
「そんな事……ないですって」
だから、最期にキョン君に言葉を残そう。
「キョン君……空を見て……何処までも広がってる……君もあの空のように……果てしなく……永久に……いき……てね……本当に……優しくて……強い……いい子だから」
そして、わたしは静かに目を閉じる。
キョン君が私を呼ぶ声が聞こえた。
最期には私の目に見えたのは。
キョン君が私を呼ぶ声が聞こえた。
最期には私の目に見えたのは。
大好きな、大好きな。
あの、蒼い空だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
会ったばかりの人だ。
正直、どんな人か俺には未ださっぱり解らない。
でもそれでも、この人がどんなに優しくて強い……『母親』だった事ぐらい解る。
正直、どんな人か俺には未ださっぱり解らない。
でもそれでも、この人がどんなに優しくて強い……『母親』だった事ぐらい解る。
そしてその人が今死に逝こうとする。
俺はそれに結局何もする事ができない。
俺はそれに結局何もする事ができない。
会ったばかりなのに。
こんなのに哀しむ必要なんてないのに。
こんなのに哀しむ必要なんてないのに。
俺は堪らなく……どうにも哀しかった。
そして憎たらしい放送が流れ始める。
俺は……この人の死が堪らなく……哀しかった。
まだ、空の飛び方も教わってないのだ。
死んでもらっては困る。
それなのに……もう、この人は死んでしまう。
死んでもらっては困る。
それなのに……もう、この人は死んでしまう。
ただ、哀しかった。
【C-3/北部/一日目・早朝(放送開始)】
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:深い深い悲しみ、両足に擦過傷、中程度の疲労
[装備]:発条包帯@とある魔術の禁書目録
[道具]:デイパック×2、支給品一式×2(確認済みランダム支給品0~1個所持)、カノン(6/6)@キノの旅、かなめのハリセン@フルメタル・パニック! 、カノン予備弾×24
[思考・状況]
0:????????????
[備考]
[状態]:深い深い悲しみ、両足に擦過傷、中程度の疲労
[装備]:発条包帯@とある魔術の禁書目録
[道具]:デイパック×2、支給品一式×2(確認済みランダム支給品0~1個所持)、カノン(6/6)@キノの旅、かなめのハリセン@フルメタル・パニック! 、カノン予備弾×24
[思考・状況]
0:????????????
[備考]
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ねぇ……ヴィル。
折角平和になったんだから、皆で行きましょうよ。
きっと楽しいわ。
そして、何時か幸せに3人で暮らしましょうよ。
空を飛びながら、平和にね。
空を飛びながら、平和にね。
きっと。
きっと幸せよ。
きっと幸せよ。
……でも、それももう叶わないんだなぁ。
哀しいのかなぁ。
解らない。
でも、でもね、ヴィル。
でも、でもね、ヴィル。
わたし、貴方を愛してよかった。
そしてリリアを産めて良かったと思ってる。
一緒に暮らす事はできなかったけど。
そしてリリアを産めて良かったと思ってる。
一緒に暮らす事はできなかったけど。
……とっても、とっても幸せだったよ。
だから……ヴィル。
これからも、ずっと生きていてね。
あんな島から脱出して幸せになってね。
あんな島から脱出して幸せになってね。
幸せに、幸せに生きてね。
私は……ヴィルを愛してます。
だから、ありがとう……さようなら。
リリア。
あなたはヴィル似て……そしてとても立派に育った。
なたの成長を最後まで見れないのは残念だけど……リリアなら大丈夫。
なたの成長を最後まで見れないのは残念だけど……リリアなら大丈夫。
だって、私とヴィルの子よ。
きっと、きっと元気になって幸せになってくれるって思ってる。
だから……頑張って、最後まで立派にいきなさい。
母の最期の願いです。
……リリア……愛しています。
私は、ヴィルとリリアを愛しています。
今も、これからも、ずっと、ずっと。
今も、これからも、ずっと、ずっと。
だから、ヴィル、リリア。
あなたたちの気持ちが、わたしの気持ちと同じように、どこまでも永遠でありますように。
どこまでも永遠でありますように。
【アリソン・ウィッティングトン・シュルツ@リリアとトレイズ 死亡】
※アリソンは放送開始直後に息を引き取りました。第一回放送に呼ばれるか後継にお任せします。
前:コロシアムをもう一度 | キョン | 次:ゆうじスネイク |
前:コロシアムをもう一度 | アリソン・ウィッティングトン・シュルツ | 死亡 |