ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ

Triangle Wave

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Triangle Wave ◆UcWYhusQhw



あたし――須藤晶穂――が浅羽直之を気になったのはいつだろう?
そう頭の中でその言葉を反芻させて直ぐ答えは見つかった。
それは夏が始まる前の春。
あたしの級友である清美の時の事。
意地悪い先生が清美を責めていてた時の事だった。
その時浅羽が浅羽らしくない行動を起して意地悪い先生を止めたときのことだった。
その時……ちょっと気になったのだ。

それから新聞部に入って。
自分自身も新聞を作る事に興味が無かった訳ではない。
寧ろ作りたい方だった。
それでもその部活に入った理由……

それは浅羽のせいだと思う。
浅羽が気になるから……。
そんな理由で。
浅羽があの水前寺邦博といるのが気に食わなかったのかもしれない。
兎も角……何かしら浅羽が関わっていたと思う。

切っ掛けなんて本当些細なもので。
よく考えても途轍もなくあやふやのものだった。
でも、それでもあたしはそれでいいと思っていた。
ゆっくりとした平凡とした日常の中で浅羽と居られればよかった。
そう思っていたんだと思う。
変らない日常の中でゆっくりと。
そのはずだった。
なのに、それなのに。

あの長い夏にあの子がやってきた。

大嫌いなあの子――伊里野加奈――がやってきたのは。

あの子は日常を尽く破壊していった。
クラスメイトに溶け込もうともせず一人特別扱いみたいに。
クラスメイトに対して「あっちいけ」なんて言って遠ざけた。
いつの間にいなくなったりあの子を呼ぶ放送なんてよくあった。
そんな何処か特別な存在。
でもそんな事よりもっと嫌だった事。

あの子は何故か浅羽と仲が良かった。
そして何より浅羽が彼女を気にかけていた事。
それが無性に腹に立ったのだった。
あの子も同じ新聞部に入って浅羽もっとあの子に気を使って。
浅羽のそんな様子を見てさらに苛立つわたし。

そんなこんなであたしは伊里野加奈を嫌いになっていた。
単純な嫉妬かもしれないけど……それでも嫌いに。

あたしが望んでいた浅羽との平穏な日常があの子によって滅茶苦茶になった。
浅羽はあの子を気にして。
あの子の事ばっか考えて。
いやだった。

そして浅羽をそうしたあの子を嫌いになった。
特別の代名詞のようなあの子を。

嫌いになったのだった。


……そんな理由で人を嫌いになったあたしへの天罰なんだろう、これは。

ある意味最悪だった。
とても手痛くとても哀しい。

それは浅羽があの子の為に、伊里野の為に殺しなんかやろうとした事。
浅羽があの子に全てを懸けて殺そうとした事。

それは浅羽があの子の事を好きだって事を証明して。
あたしの想いの終わりだった。


……あは……あはは。

何なんだろう。
何で……だろうな。

何となく解っていたというのに。
いや……解っていない風に思い込もうとしていただけで解っていたんだと思う。

でも。
それでも。

こう見せつけられると……

……とても切なく哀しい……な。


何か。
何でか。
……どうでもよくなっちゃった。


浅羽があの子を選んだ事による哀しみなのか。
殺すという愚かな選択を浅羽に対する怒りなのか。


もう……よかった。


今は……何も考えたくない。
今は……何も知りたくない。


そうすれば……罰などこれ以上を受けなくていいのだから。

浅羽の事も。
あの子の事も。
失恋の事も。

今は……いい。

そうすれば……これ以上の哀しみはないのだから。


……思考停止なのだろうか?
……そうなのかもしれない。
……単なる逃げなんだろうか?
……そうなのかもしれない。

でも……だからといって考えろってのは……できない。
今何をしたいかなんて……思いつかなかった。

だから……
だから……?

あたしは……


「痛てて……まだ痛いけど……でも応急処置はこれでいっか……?」


ふとその声にあたしは現実に帰る。
目の前に居るのはふわふわとした茶髪の小柄の少女。
だけど何処か勝気で虎のような……実は年上のひと。
可愛い人だけど見ただけでも痛そうな右手の欠損が。
逢坂大河といった少女がその欠損した箇所の応急処置をしていた。
最も彼女に医療知識など無いから本当に素人知識のものでしかなかったけど。

「あの義手は……?」
「説明書見てつけようと思ったけど難しい……何処かしっかりとした施設で付けたいわ……」

彼女に支給された義手はどうやら上手くつけなかったらしい。
大河さんはやや不機嫌な顔をしながら無くなった手を見つめていた。
傷口には消毒し包帯を巻きつけた上で切ったタオルをその上に巻きつけたもの。
乱暴で且つ簡素なものだった。
とはいえ大河さんは義手をつける気らしく説明書をもう一度精読していた。
その顔を途端に上げ

「それであんたは結局どうするの……?」

ギラギラとしためをわたしに向けてきた。
もう一度わたしの意志を確かめる為に。

あたしが最初同じ彼女の質問に答えられなかった時彼女は鼻で笑いつつも治療の後でいいと言ってくれた。
それが大河さんの乱暴で不器用ながらの優しさだと知りながらあたしは甘えてしまった。
でもそれはポジティブな甘えではなく本当にただの甘え。
その間何も考えなくていいというただの甘えでしかなかった。

それで今もう一度同じ選択を問い返している。
時間だ、答えなければならない。
でも思いつくわけが無い。

どうしよう……?
どうしよう……?

喉が渇いてく。
声を出そうにも上手く出なかった。


「え……あ、あの」

ようやく搾り出した声。
その時だった。


「ホールドアップ。すいません、大人しくして下さい」

背後から凛とした静止を求める女の声が響いたのは。

その声に緊張しながらも……答えを出さずに済んだ事に安心してしまった。
なんて答えを出そうとしたのか知らずに。

ただ安堵した自分が憎かった。


「有難う……そのままこっちを向いてください」


そしてあたし達はゆっくりと顔を上げる。


顔を上げた先には声と同じく凛とした銀髪の綺麗な女の人が存在していた。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





私は何をしているんだろう。
頭の中でその言葉が反芻がしていた。
私――テレサ・テスタロッサ――は深い山の中を歩いていた。
目的は切り取られたエリアを確認する為。
近くに流れている川の分岐点から私がBー3地点に居る事は想像できたからだ。
となると西に向かえば切り取られたエリアが見れるはず。
そう判断して歩き始めていたのだ。

……なのだけれども足取りは重い。

脱出の為。
そういった目的があるのに何故だろう?
私は何をしているんだろうと疑問に思ってしまう。

……思い起こすのはあの一件。
先ほど襲ってきた少年の事。
あの人は殺し合いに乗っていたのだろうか。
ただ混乱していただけなのだろうかと思ってしまう。
もし一般人なら錯乱していただけかもしれない。
それなら……もしそうだというのなら。

つまり私はこう思ってしまう。

私の対処が間違っていたと。

あの少年にやるべき事を間違っていたという事。
もし、あの時私が不用意に銃を向けていなければ。
もし、あの時何か言葉をかけて少年の言葉の真意を確かめていれば。
もし、もし……

イフばかり思いついてしまう。

いくら死ねといわれても……装備も無い人間に何が出来るのだろうか。

格闘技を極めているというのならば遠くから殺人宣言するならば逃げられるのは解っているというのに。
つまり彼はこんな殺し合いに巻き込まれて錯乱していた善良な一般人とするのならば。
私の判断は間違っていたのかもしれない。

そう、間違っていた……


「……違う」


それでも確かに殺すと言っていたのだ。
あの少年は。
しっかりと殺すと。
もし殺し合い乗っているのならば危ないのは確かなのだ。
だから私の対処は間違ってはいない。
何かが起きる前に排除しなければならなかった。
だから間違い無い……はずなのに……
……あぁ、でも。

……あの子は怯えてなかっただろうか? 私に。

私は銃に怯えたと思っていた。
でも、それは違ったんじゃないだろうか。
銃より……殺そうとした私に。
例え銃だけ有っても撃たなければただの鉄の塊だ。
もし、彼が一般人の少年であるのとするのなら。
錯乱した上で殺し合いをするしかないと考えたのなら。
またはそもそも最初から殺す気ではなかったとするのならば
銃ではなく明確な殺意に怯えた。
そう考えるのが自然だ。

……つまり、あの子は……私の行為に怯えていた……


「……あぁ……馬鹿ですね」


……あぁ。
私はなんて馬鹿なんだろう。
どうしてこう間違えるんだろう。
あの時もっと冷静になっていれば。
あの時もっと考えていれば、優しくなっていれば。
……私は間違えなったのだろうか。

もし彼が本当に一般人だったとしたならば。
……私は最初から間違っていた……のだろう。
一般人は保護しなきゃと考えていたのに。

何で……かなぁ。

こうやってとるべき選択を間違っちゃうんだろうか。

そうしてこうやって後悔するんだ。


あはは……はぁ。

もっとしっかり考えればよかったんだろうか。

もっと違い選択肢を取っていれば……結果はいいものに変ったんだろうか。

いつもこうだ。
こうやって間違いをする。
こうやって後悔する。

駄目だなぁ……私。

強くなきゃ駄目なのに。
強くならないと駄目なのに。
強く振舞わなきゃ駄目なのに。


サガラさんの時も。
もっと早く色々していれば。
違った決着になっていたかもしれない。

ミスリルがああなった時も……

あれも……これも。

もし、もっと私がしっかりしていれば……

もし……もし……

もし……


「……こんな事……考えても仕方ありません」


頭を大きく振って思考を止めた。
そんな事考えても仕方ないのだ。
だから、今は行かなければ。

そう割り切って歩き始める。

心はモヤモヤして解決しないまま。





そうして目撃する。
少し急になっている崖に近いところに居る二人の少女を。
二人別の違う制服を纏い地べたに座っていた。
一人は小さく愛らしい様子。
もう一人は勝気そうだけど何処か沈んでいる様子の

彼女達はどうしたのだろう?
彼女達は安全なのだろうか?

どうコンタクトを取ろうか考えて……そして自分に失望してしまった。
彼女達に危険性がある可能性も考えて銃を付けつけようと決めた自分に。
冷静な判断だ。
一般人にしか見えないのにそう判断をしたのだから。
そしてそんな選択を選んだ自分に失望する。
結局、これしか選べないのかと。

でも、それしかないのだ。

それしか選べなかったのだから。


「ホールドアップ。すいません、大人しくして下さい」

彼女の達の背後からそう声をかける。
彼女達はそのまま従って手を上げる。
私は冷静であるように振る舞いながら言葉を続ける。
自分に嫌悪しながら。

「有難う……そのままこっちを向いてください」

彼女達はそのまま振り向いてくれた。
可愛らしい子は敵意を向けて。
少し沈んでそうな子は驚きを向けて。
そして私は続けて

「貴方達はころ……」
「見れば解るでしょ、この手」
「……あ」

言葉を失う。
小さな子の右手が……無い。
巻きつけられている白いタオルは生々しくて。
明らかに最近失った事を示していた。

「こんな手で真面目に殺そうなんて思える?、あんた」
「……い、いえ……すいません疑って……」
「別にいいわよ……だからさっさと銃を下げて」
「……は、はい」

小さな女の子の言葉に従う。
いつの間にか主導を奪われていた。
それでも言葉が失っていた。
手を失っていても強い瞳を放っていた彼女に。
私は辛うじて言う。

「貴方の名前は……?」
「逢坂大河よ……あんたは?」
「テレサ・テスタロッサ……です、テッサとよんでください」
「あっそ。こっちは須藤晶穂
「……あ、そうです。わたしは須藤晶穂」
「……宜しくお願いします」

大河さんはそうもう一人の少女に対しても説明する。
私はその手を失っても気丈に振舞う彼女に戸惑うばかり。
大河さんはやがて口を開き

「取りあえずここから離れましょ、こんな崖に近い所に何時までも居たら危ないわよ」
「ええ、そうですね」
「話はそれからでいいよね?」
「……ええ」

大河さんに従い頷く。
そのまま、大河さんに着いて行く事に。


大河さんは強かった。
普通の少女にしみえないのにこんなに強い。

なのに。
私は……なんで。
強くあろうとしているのに。
強くならなきゃいけないのに。
なんで、なんで……


こんなに駄目なんだろう……


本当……駄目だなぁ……






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





あたし達は新たにテッサさんを含めて進んでいた。
山を登って少し上流に。
やがて川の流れはゆっくりになって穏やかなものになった。
川も足を膝につくかつかないぐらいの浅さになっている。
川の麓といった感じで傾きも無く穏やかな感じで。
あたし達はその川のすぐ近くの草に腰を下ろしていた。

「……そうだったんですか」



そのなかであたし達は話をしている。
大河さんがあたしにあう前のこと。
テッサさんがあたし達にあう前のことを。
テッサさんは何処か沈みながら話していた。
後悔しているように。
そして

「晶穂さんの知り合いが……」

嫌がおうにも浅羽の話が出てくる。
言いたくないのに。
聞きたくもないのに。
耳を塞ごうにも聞こえてくるのだ。

「そ、後は晶穂から聞いて」
「……え?」

……え?
大河さん?
どうして、あたしに?
……やめてよ、ねぇ。
これ以上苦しめないでよ……


「おーつめた!」

大河さんはさっさと川に行った。
我関せずという風に。

……どうしよう。
……どうすればいい?

テッサさんが見つめてくる。

あたしは……
あたしは……?


「浅羽っていうんだけど……馬鹿で……殺し合いに乗ってた」


言えてた。
哀しいけど、言えてた。

どうでもいいはずなのに。
言えていた。

「好きな人の為に全部殺すつもりで……ばかみたい」
「……」

言葉が勝手にでてくる。

全てを吐き出すように。

嫌だ、これ以上哀しみたくないのに。

なのに……

なのに……


涙が出ていた。


「本当……ばかみたい……ばかみたい」


考えたくないのに。
それでも想いが溢れて。


「あんな事するなんて……」

そして。
告げたくないのに。
行ったら全部壊れてしまう気がするのに。

「……そして、わたし失恋しちゃった……好きだったのに」

言ってしまったのだ。
涙が溢れて止まらない。

これでよかったのだろうか?
言わなかった方がいいのに。
考えない方がいいのに。

いっちゃった。

「変ですね……御免なさい」


溢れる涙を拭いながら。
それでも言葉が溢れて止まらない。


「なんだろ……哀しいんですよね……浅羽がこんな事したのが……」


テッサさんに言ったってしょうがないのに。
溢れて仕方ないのだ。
感情が想いが。

「……何処で間違ったのかなぁ……わたし……今ならちゃんとした選択肢選べたのかなぁ」

そんな言葉を言ってしまう。
その言葉にテッサさんが反応する。
テッサさんも言葉を紡いで

「……私も失恋したんですよ」
「……え?」

私は顔を上げる。
テッサさんは哀しそうに顔を上げて。

「好きな人が居て……でもその人も違う好きな人がいてその人を護るって言われて振られちゃった」
「そうなんですか……」

テッサさんもそう笑う。
哀しそうに。
あたしは何時もの癖で踏み込んでしまう。

「振り切ったんですか?」
「どうなんでしょうね……?」

テッサさんの顔が歪む。
哀しそうに。
聞かれたくなかったと思うように。

ああ、またやってしまった。
そうやって踏み込んで誰かを気付けてしまう、わたしは。

「駄目だなぁ……私は」
「……」

だから、こうやって天罰を受けるのだ。
本当にあたしは……

「間違ってないと思ってるのに後悔していないと思うのに……駄目だなぁ」

そうやって呟くテッサさん。
自嘲する様に。
でもあたしも思う。

「わたしも……もっとやり方変えてれば……違ったのかな?」
「私も……サガラさんの時も……あのときの事も……たったさっきの事も」

あたしも違ったのだろうか?
やり方を変えていればこの結末は無かったかもしれない。
テッサさんもそう呟いて顔を明け始めた空を見ていた。
涙が流れていたかはあたしは解らなかった。


言葉が無くなる。


あたしはどうしたいんだろう?
こうやって人に話して。
そのせいで誰かの古傷さえ抉って。

こんな事なら……浅羽を好きにならなかったほうがよかったのかな?

ねぇ……あたしは。


どうしたいんだろう……?


解んない


わかんな……


「わぷっ!?」
「ひゃぁ!?」

その時唐突に冷たい水が顔にかかった。
頭が醒めていく。
振り向くとそこに居たのは


「あーーー……このばか晶穂! ばかテッサ!」


荒ぶる猛虎。
逢坂大河だった。


人を馬鹿呼ばわりして。


「あんたら……間違ったとか……違ったとか……何いってるのよ!」


怒りを全身から露わにして。
浅羽に向けたような怒りをわたし達に向けている。


「確かに上手くいかなかったかもしれない……望んでない答えかもしれない……後悔するものかもしれない」

左手を強く握って。
眼を決意に滾らせて。

「でも……それで止まるなぁ! 止まっちゃったら何も……生れないっ! 今のあんた達は止まったままだっ! 間違っても……それを糧に進めばいい!」

それでいてあたし達を諭すように。

停止を否定した。


「失恋した……だから何?……それで諦めるの? 全部? 失敗した……だから何?……それで諦めるの? 全部?……ふざんけじゃないわよ」


そして言う。


「あんた達の想いはその程度? 違うでしょ? だったら『今』を見据えろぉ! 諦めたら終わり! 諦めるなぁ!」


強く。
逢坂大河がそうしてきたように。
止まろうとしているわたし達に。
強く優しいエールを送ってくれる。


今を見て。
止まるなと。


停止をしようとしていたあたしに。


そういった。

言ってくれたんだ。




「ばか晶穂っ! 吐き出してすっきりした?」
「う、うん……」
「だったら! 晶穂!」
「は、はいっ!?」
「だったら晶穂は何がしたい!? 直ぐに全部決めなくていいけど……でもとりあえずとまらない為に!」

……あたし。

あたしは。


何をする……?


浅羽……


浅羽。


うん。


「……もう一回、浅羽に会いたい……わたしも私自身がまだ判っていない……だけどもう一度浅羽に会って……しっかり決めたいよぉ……」
「それで! いい!」


浅羽に会いたい。
どうしたいかわかんない。
あたしの心だってよくわかっていない。

でも、これだけはそう思ったから。

浅羽にもう一度会わないまま終わるなんて嫌だ。

そう思ったから。

そう……言えた。

「テッサは!?」
「私は…………選択を間違っても……それを信じたい、駄目だと思わないようにします!」
「それで、いい!」

テッサさんも笑顔で言えた。
強く、諦めないように。

そう言えていた。


大河さんは笑う。
すすめたあたし達を祝福するように。

「それでいい! うん!」

その笑顔にあたしも笑えた。
あたしはそのまま元気を出して川に向かって走っていく。

お返しをする為に。

「この、大河さんやったな!」
「こ、こら、晶穂、みずかけるなぁ!」
「おかえし!」
「この……こら、テッサも! かけるな!」
「えへへ、お返しです!」
「この、ずるいぞ!、二人ががりで!」
「そんなことない!」
「ずるくないですっ!」
「こ、このーーーー! みてろ、このばかども!」
「わ、わぁ!?」
「ひゃあ!?」


三人笑えていた。


うん、笑ってる。



笑えてるよ。


進む為に一歩踏み出して。


笑えている。


あたしたち三人。


笑ってた。



【B-1/川辺/一日目・早朝】

【逢坂大河@とらドラ!】
[状態]:右手欠損(止血処置済み)、全身に細かく傷(軽い打撲や裂傷)、怒りと強い意志
[装備]:なし
[道具]:デイパック、支給品一式、フラッシュグレネード×2@現実、
     無桐伊織の義手(左右セット)@戯言シリーズ
[思考・状況]
0:こ、このー!?
1:他人を蹴落とそうなんて考えるバカは、ぶっとばす! もちろん返り討ちに会わないよう頭は使うけどね!
2:そのためにも、どこかに腰を落ち着けて、この義手をしっかりと取り付けておきたい。
3:3人で行動
[備考]
※原作3~4巻のあたりからの参戦です。

【須藤晶穂@イリヤの空、UFOの夏】
[状態]:健康。
[装備]:園山中指定のヘルメット@イリヤの空、UFOの夏
[道具]:デイパック、支給品一式
[思考・状況]
0:おかえし!
1:浅羽にもう一度あいたい
2:3人で行動。
[備考]
※原作二巻終了後からの参戦

【テレサ・テスタロッサ@フルメタル・パニック!】
[状態]:健康
[装備]:S&W M500 残弾数5/5
[道具]:予備弾15、デイパック、支給品一式(未確認ランダム支給品1~2個所持)
[思考・状況]
0:お返しです!
1:宗介、かなめ、ウェーバーとの合流。
2:3人で行動。
3:ガウルンにたいして強い警戒。



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前:奇々怪界 次:what a beautiful people
時系列順に読む
前:silky heart 次:ユケムリトラベル 人類五名温泉宿の旅

前:虎と機関銃 須藤晶穂 次:『物語』の欠片集めて
前:虎と機関銃 逢坂大河 次:『物語』の欠片集めて
前:バカと誤解とボン太くん テレサ・テスタロッサ 次:『物語』の欠片集めて
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