ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ
Memories Off (下)
最終更新:
Bot(ページ名リンク)
-
view
Memories Off (下) ◆MjBTB/MO3I
やっとこさ"D-5"の橋にたどり着いたというところで、浅羽の疲労はピークに達した。
片腕にハンデを背負った状態での運転、挙句に二人乗り。
なおかつ、頑強なわけでもない学生がよくやった、とむしろ褒められてもいい距離を走った末である。
せめて原チャリならよかったと思うばかりだが、手近なところに無かったんだから仕方ない。
車ならもっと良かったかもしれないが、水前寺の様に無免許で運転する勇気ははっきり言って皆無だ。
片腕にハンデを背負った状態での運転、挙句に二人乗り。
なおかつ、頑強なわけでもない学生がよくやった、とむしろ褒められてもいい距離を走った末である。
せめて原チャリならよかったと思うばかりだが、手近なところに無かったんだから仕方ない。
車ならもっと良かったかもしれないが、水前寺の様に無免許で運転する勇気ははっきり言って皆無だ。
この橋に到着するまでの道中、特にその後半はもう地獄の苦しみだった。
興奮状態だったのも手伝って無視を続けられた腕の痛みも、今になってみると正直辛い。
こうして現在も、タイミングを見計らったかの様に腕や脚が震えだしている。
映画館はまだ先なのに。ここからが踏ん張り時だというのに、この体は。本当に使えないやつだ。
興奮状態だったのも手伝って無視を続けられた腕の痛みも、今になってみると正直辛い。
こうして現在も、タイミングを見計らったかの様に腕や脚が震えだしている。
映画館はまだ先なのに。ここからが踏ん張り時だというのに、この体は。本当に使えないやつだ。
「あさば」
ふいに耳元で声がした。話しかけられたのだ、と気付くまでに数秒のディレイを要した。
「な、なに……?」
汗だくで橋を渡りながら、訊ねる。
大丈夫、会話は出来る。それなら大丈夫だ。まだ余裕があるということだ。
そう、大丈夫。大丈夫、諦めちゃ、ダメだ。だいじょうぶ、だいじょうぶ、だいじょう、ぶ。
大丈夫、会話は出来る。それなら大丈夫だ。まだ余裕があるということだ。
そう、大丈夫。大丈夫、諦めちゃ、ダメだ。だいじょうぶ、だいじょうぶ、だいじょう、ぶ。
「きゅうけいしよう。あさば、つらいでしょ?」
「……いや」
「……いや」
だいじょうぶだから、しんぱいしないでほしい。
そんなことばをきいてしまったら、あまえたくなってしまう。
だいじょうぶだから、もんだいないから、だいじょう、ぶ、だ、から。
そんなことばをきいてしまったら、あまえたくなってしまう。
だいじょうぶだから、もんだいないから、だいじょう、ぶ、だ、から。
「うそつかないで」
「うそじゃ……うそじゃ…………」
「あさばがつらいのをみるの、つらいよ」
「…………」
「うそじゃ……うそじゃ…………」
「あさばがつらいのをみるの、つらいよ」
「…………」
はい、ダメでした。
結局浅羽はブレーキをかけ、無様な姿を晒しながら停止する。
伊里野が先に降りたのを確認してから自分も降り、自転車を橋の欄干に立てかける。スタンドを使う気力も無かった。
決して心地よくなどない疲労感が浅羽を包み、汗が流れに流れてシャツが体にへばりつく。
腹式呼吸などに縁の無い生活を送っていたせいで、呼吸をするたびに肩と胸が上下した。
結局浅羽はブレーキをかけ、無様な姿を晒しながら停止する。
伊里野が先に降りたのを確認してから自分も降り、自転車を橋の欄干に立てかける。スタンドを使う気力も無かった。
決して心地よくなどない疲労感が浅羽を包み、汗が流れに流れてシャツが体にへばりつく。
腹式呼吸などに縁の無い生活を送っていたせいで、呼吸をするたびに肩と胸が上下した。
「ごめん、伊里野……もっと鍛えておけば……」
「きにしてない」
「きにしてない」
だが、そこまでだ。痛みを訴えていた肺も段々と自己主張を抑えてきたし、おかげで伊里野に話しかける余裕も出てきた。
勿論未だに腕もぶるぶると震えていたりなどして、辛い事には変わりは無いのだが。
空気が美味しい。この街は、地球にしてみればかなり強引な発展を行った様に見えるのに、断然良い味がする。
ちょっとしたスポーツマン気分だ。バッドエンドに一直線で進むマラソン選手とでもいったところか。ああ、全然傑作じゃない。
勿論未だに腕もぶるぶると震えていたりなどして、辛い事には変わりは無いのだが。
空気が美味しい。この街は、地球にしてみればかなり強引な発展を行った様に見えるのに、断然良い味がする。
ちょっとしたスポーツマン気分だ。バッドエンドに一直線で進むマラソン選手とでもいったところか。ああ、全然傑作じゃない。
またも、無言が続く。
儚げな伊里野の姿は綺麗で、可愛くて、いつも通りだ。
まるで、もうすぐ消え行こうとしているとは到底思えない。
まるで、もうすぐ消え行こうとしているとは到底思えない。
しかし何故だろう。こうしてみていても時々、目を放した隙にどこかに消えてしまいそうな感覚を覚えるのだ。
今、例えば握手をしようとするとしよう。彼女は生きている人間なのだから、握手自体は出来るだろう。当然だ。
しかしそうであると解っていても、互いの手が触れられずにすり抜けてしまう気がしてしまう。不安を覚えてしまう。
今、例えば握手をしようとするとしよう。彼女は生きている人間なのだから、握手自体は出来るだろう。当然だ。
しかしそうであると解っていても、互いの手が触れられずにすり抜けてしまう気がしてしまう。不安を覚えてしまう。
「あさば……?」
伊里野の目をじっと見つめたまま、彼女の手を握った。そうしなければならない気がした。
この手が、彼女を繋ぎとめる最後の鎖にも思える。いや、鎖では冷たすぎるからリボンだ、リボンにしよう。
自分と伊里野をリボンで結ぶ。決して離さないぞとばかりに、手をぎゅっと握る。
柔らかくて、暖かい。生きている。彼女は今、確実に生きているのだ。そう感じるには充分だった。
この手が、彼女を繋ぎとめる最後の鎖にも思える。いや、鎖では冷たすぎるからリボンだ、リボンにしよう。
自分と伊里野をリボンで結ぶ。決して離さないぞとばかりに、手をぎゅっと握る。
柔らかくて、暖かい。生きている。彼女は今、確実に生きているのだ。そう感じるには充分だった。
と思っていたのに。不意に、謎の喪失感を覚えた。
目を見開いて、ぞっとした。視界の中では確かに伊里野がいる。
気のせいだっただろうかと思うが、そうは思えない。
握っているはずの手の感触が、一瞬だが失われた気がしたのだ。
更に、じっと見つめていたはずの伊里野を、一瞬だが"探してしまった"。
気のせいだっただろうかと思うが、そうは思えない。
握っているはずの手の感触が、一瞬だが失われた気がしたのだ。
更に、じっと見つめていたはずの伊里野を、一瞬だが"探してしまった"。
まさか、これが終わりの合図なのだろうか。
最後を告げる鐘代わりの、いわゆる前兆だとでも言うのだろうか。
最後を告げる鐘代わりの、いわゆる前兆だとでも言うのだろうか。
もう終わる? もう消える? 最後? これが最後? 何もかもが、無くなる?
怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い。時間が迫ってくるのが、怖い。
時は待ってくれない、なんて言葉は本やテレビで散々聞いたのに。
時は待ってくれない、なんて言葉は本やテレビで散々聞いたのに。
そのはずなのに、なんの心構えも出来てなかったのかもしれない。
漠然としていた恐怖が、だんだんと圧縮されていく。現実感に溢れていく。
漠然としていた恐怖が、だんだんと圧縮されていく。現実感に溢れていく。
「あさば」
「……何? 何、伊里野! どうしたの!?」
「……何? 何、伊里野! どうしたの!?」
そんな中で、伊里野が呟く。消え入りそうな声で、そっとだ。
焦りを覚えた浅羽は、そのトーンに反して一人大声で答えた。声も上擦っている。
焦りを覚えた浅羽は、そのトーンに反して一人大声で答えた。声も上擦っている。
周りに危険人物がいるかもしれないという危惧など、もう考える暇は無かった。
これが最後の会話になったらどうしよう、と考えるだけでもう泣いてしまいそうだ。
鼻水や涎をだらだらと流す無様な姿まで後もう少しと押し迫られている。
これが最後の会話になったらどうしよう、と考えるだけでもう泣いてしまいそうだ。
鼻水や涎をだらだらと流す無様な姿まで後もう少しと押し迫られている。
だが悟られてはならない。伊里野にはせめて、最後まで笑っていて欲しいのだ。
そう、最後。最後って言うのは彼女が消える事で、彼女が消えるって事はそれは、つまり、えっと、
そう、最後。最後って言うのは彼女が消える事で、彼女が消えるって事はそれは、つまり、えっと、
「これからも、いっしょにいられるよね……? わたし、いっしょに、いたい」
混乱する自分をよそに、伊里野が、そう言って、微笑んだ。
消えそうになっている伊里野が、そう言って、微笑んだ。
辛くて辛くて泣きそうになっている浅羽に、消えそうになっている伊里野が、そう言って、微笑んだ。
何も出来なくなって、辛くて辛くて泣きそうになっている浅羽に、消えそうになっている伊里野が、そう言って、微笑んだ。
消えそうになっている伊里野が、そう言って、微笑んだ。
辛くて辛くて泣きそうになっている浅羽に、消えそうになっている伊里野が、そう言って、微笑んだ。
何も出来なくなって、辛くて辛くて泣きそうになっている浅羽に、消えそうになっている伊里野が、そう言って、微笑んだ。
優しい、天使の様な微笑み。彼女の背中に、純白の羽を見たような気がした。
本当に綺麗だ、可愛い、最高。
本当に綺麗だ、可愛い、最高。
ああ、もう。
やっぱりダメだ。
やっぱり、こんなのが最後じゃあダメだ。こんな哀しい最後なんでお断りだ。
本当はもっと言いたい事があって、本当はそれを伝えてしまいたいんだ。
彼女の記憶が何だろうが、言いたいことは沢山あるんだ。
やっぱりダメだ。
やっぱり、こんなのが最後じゃあダメだ。こんな哀しい最後なんでお断りだ。
本当はもっと言いたい事があって、本当はそれを伝えてしまいたいんだ。
彼女の記憶が何だろうが、言いたいことは沢山あるんだ。
もう、我慢出来ない。
浅羽は、伊里野を強く強く抱きしめた。急な事で驚いているのだろう、息を呑む音が耳元で聞こえた。
やはり彼女にとっては"急な事"だったのだろう。記憶が逆行しているのだ、仕方が無い。拒絶されないだけ良しだ。
やはり彼女にとっては"急な事"だったのだろう。記憶が逆行しているのだ、仕方が無い。拒絶されないだけ良しだ。
浅羽は自分の思いを全て、彼女に伝えきるつもりだった。記憶なんて関係なしに、言いたいことだけ言う事に決めたのだ。
"記憶が追いついていない"今の伊里野には、恐らく何が何だかわからないかもしれないと思いつつも、こうなったらやってやる。
"記憶が追いついていない"今の伊里野には、恐らく何が何だかわからないかもしれないと思いつつも、こうなったらやってやる。
だって心が叫んでいるから。伊里野の記憶に拘った所為で何も言えないままになってしまうなんて絶対に嫌だと、そう叫んでいるから。
だからもう良い。たとえ伝わらなくても良い。彼女が今生きている時間は"今"ではなく初デートの日なのだという事実だってどうだっていい。
伝える。伝えるのだ。今から、自分の思いを、全て!
だからもう良い。たとえ伝わらなくても良い。彼女が今生きている時間は"今"ではなく初デートの日なのだという事実だってどうだっていい。
伝える。伝えるのだ。今から、自分の思いを、全て!
「帰ったらまた学校へ行こう。鉄人定食なんかにも一緒にチャレンジしよう!
部長と一緒にまた何かを究明するのも良い! また髪が伸びたらぼくが切る!
帰ったら、そうやっていつもの時間に戻ろう! 地球で、一緒に生きていこう!」
部長と一緒にまた何かを究明するのも良い! また髪が伸びたらぼくが切る!
帰ったら、そうやっていつもの時間に戻ろう! 地球で、一緒に生きていこう!」
彼女が消えるという話だって、もう知らない。
自分は彼女と一緒に園原に帰りたいと思っている、ただそれだけなのだから。
自分は彼女と一緒に園原に帰りたいと思っている、ただそれだけなのだから。
「伊里野……ぼくは、ぼくは、君の事が……!」
後悔しない為に。せめて最後は、少しでも綺麗に飾れるように。
あの夏を、浅羽と伊里野の物語を、再開(はじ)めよう。
あの夏を、浅羽と伊里野の物語を、再開(はじ)めよう。
「君の事が、好きだ!」
南の島。そこで叫んだ告白を、もう一度。
伊里野自身はあの出来事を記憶していないだろうけれど。
伊里野自身はあの出来事を記憶していないだろうけれど。
「大好きだ、愛してる! 伊里野っ!」
ここで言わなきゃ、もう終われないのだ!
「伊里野! 伊里野っ! 伊里……げほっ、げほっ!」
むせた。だがどうした、こんなもんじゃないぞ!
「愛してる! 伊里野のことをっ! 伊里野のことが! ぼくはっ! 大好きだぁぁぁああぁあぁぁあぁ!」
懇親の大絶叫。喉や周りのことなど一切考えず、遂に言ってやった。
究極の自己満足だと思う。突然の大声での告白など、ドン引きものだろう。
再び両肩が上下に動く。だが今の浅羽を包むのは心地よい方の疲労感だ。
ああ、言った。これでいい。後は間に合わないだろうが映画館に向かうだけだ。
究極の自己満足だと思う。突然の大声での告白など、ドン引きものだろう。
再び両肩が上下に動く。だが今の浅羽を包むのは心地よい方の疲労感だ。
ああ、言った。これでいい。後は間に合わないだろうが映画館に向かうだけだ。
ここで、ようやく伊里野が震えていることに気付いた。
そりゃそうだ。彼女の時間軸から考えるに、ただの部活の仲間に突然セクハラを受けたようなものなのだ。
急いで体から離れた。何を言われるか解らないと思い、心の中で身構える。
そりゃそうだ。彼女の時間軸から考えるに、ただの部活の仲間に突然セクハラを受けたようなものなのだ。
急いで体から離れた。何を言われるか解らないと思い、心の中で身構える。
「……浅、羽?」
"はっきりとした声質で"名前を呼ばれた。
予想だにしなかった出来事が目の前で起こり、浅羽の頭が一寸固まる。
予想だにしなかった出来事が目の前で起こり、浅羽の頭が一寸固まる。
「浅羽、わたし……わたしは……」
伊里野が少しずつ言葉を紡いでいくと同時に、その目からルビーが一粒零れ落ちた。
いや、違う。これはルビーじゃなくて涙だ。夕焼けに光ってそう見えたのだ。
そしてその涙を生んだ瞳を見れば、生気が宿っている。見間違いではない、確実に先程とは全く違う。
虚ろな瞳はもうそこにはなくなっていた。どこか危なっかしい、記憶が逆行しているときに見られた雰囲気も、消し飛んでいる。
これは宇宙へと旅立っていく直前の伊里野と全く同じだ。完全に一致した。
いや、違う。これはルビーじゃなくて涙だ。夕焼けに光ってそう見えたのだ。
そしてその涙を生んだ瞳を見れば、生気が宿っている。見間違いではない、確実に先程とは全く違う。
虚ろな瞳はもうそこにはなくなっていた。どこか危なっかしい、記憶が逆行しているときに見られた雰囲気も、消し飛んでいる。
これは宇宙へと旅立っていく直前の伊里野と全く同じだ。完全に一致した。
「浅羽、浅羽! 浅羽ぁっ!」
「伊里野……!」
「浅羽っっっ!」
「伊里野っ! 伊里野ぁ!」
「どうしてかな……! 凄く、頭がすっきりしてるの……ねえ、なんで、わたし……っ!」
「伊里野……伊里野、良かった! 伊里野!」
「ふしぎ……すごく嬉しくて、浅羽が今、"とっても近いの"!」
「うん、うん! そうか、そうか伊里野! そうなんだね伊里野!」
「伊里野……!」
「浅羽っっっ!」
「伊里野っ! 伊里野ぁ!」
「どうしてかな……! 凄く、頭がすっきりしてるの……ねえ、なんで、わたし……っ!」
「伊里野……伊里野、良かった! 伊里野!」
「ふしぎ……すごく嬉しくて、浅羽が今、"とっても近いの"!」
「うん、うん! そうか、そうか伊里野! そうなんだね伊里野!」
何故なのかだなどと訊くまでもない。
つまりは、戻ったのだ。
浅羽の自爆覚悟の告白によって、伊里野の記憶は"今"へと進んだのだ。
つまりは、戻ったのだ。
浅羽の自爆覚悟の告白によって、伊里野の記憶は"今"へと進んだのだ。
最後の最後、自己満足にも思えた叫び。
その果てにはいまどき安っぽい小説でも見ないような、とんでもないシナリオが待っていた。
告白の言葉が引き金となって復活だなんて、王道中の王道過ぎだ。見る人が見れば物笑いの種そのものだろう。
だがそれでも良かった。関係ない。今は奇跡が確かに起こった、それが現実なのだ。
最後の最後の土壇場に、気まぐれな神様が浅羽にチャンスをくれたのだ。きっとそうだ。
神様、いるならありがとう。いたならいたで、こんな街に呼ばれるのを防いで欲しかったけど。
その果てにはいまどき安っぽい小説でも見ないような、とんでもないシナリオが待っていた。
告白の言葉が引き金となって復活だなんて、王道中の王道過ぎだ。見る人が見れば物笑いの種そのものだろう。
だがそれでも良かった。関係ない。今は奇跡が確かに起こった、それが現実なのだ。
最後の最後の土壇場に、気まぐれな神様が浅羽にチャンスをくれたのだ。きっとそうだ。
神様、いるならありがとう。いたならいたで、こんな街に呼ばれるのを防いで欲しかったけど。
「好きだ……大好きなんだ、ぼくは! 伊里野が大好きだ! 愛してる!」
「わたしも……わたしも、好き! 浅羽がっ、浅羽が大好き!」
「わたしも……わたしも、好き! 浅羽がっ、浅羽が大好き!」
お互いに涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、もう一度抱きしめあう。
大粒の涙を流しながら、伊里野は笑っていた。とても大きな声で笑っていた。
そうだ、これがこんな街に連れて来られた後もずっと求めていた、彼女の真の姿だ。
もう二人は止まらない。止まる事など許されないのだ。
大粒の涙を流しながら、伊里野は笑っていた。とても大きな声で笑っていた。
そうだ、これがこんな街に連れて来られた後もずっと求めていた、彼女の真の姿だ。
もう二人は止まらない。止まる事など許されないのだ。
その奇跡を祝福するためだろうか、橋を横断するように強い風が吹き始めた。
風は二人を撫ぜ、髪や服を揺らしていきながら、段々とその勢いを増していく。
風は二人を撫ぜ、髪や服を揺らしていきながら、段々とその勢いを増していく。
「結婚しよう!」
「えっ!?」
「式は和洋どっちだっていい! 伊里野が好きな方で良い!」
「けっ、こん……? けっこんって、けっこんって、"あの"……!?」
「そうさ! ずっと一緒にいられるんだ!」
「えっ!?」
「式は和洋どっちだっていい! 伊里野が好きな方で良い!」
「けっ、こん……? けっこんって、けっこんって、"あの"……!?」
「そうさ! ずっと一緒にいられるんだ!」
勢いに任せているのもあるだろうが、気付けば浅羽はとんでもないことも口にしていた。
だがこれは本音だ。浅羽は本当に彼女と結婚出来ればそれだけで死んでもいいとも思えたのだ。
もはや本能だ。ロマンもへったくれも無い、どうしようもないプロポーズだ。
夕焼けに染まる橋の上でと言えば聞こえは良いが、それでも無茶苦茶な宣言だった。
だがこれは本音だ。浅羽は本当に彼女と結婚出来ればそれだけで死んでもいいとも思えたのだ。
もはや本能だ。ロマンもへったくれも無い、どうしようもないプロポーズだ。
夕焼けに染まる橋の上でと言えば聞こえは良いが、それでも無茶苦茶な宣言だった。
「結婚したら……結婚したら、そうだね! ずっと一緒! 浅羽と、ずっとずっと一緒!」
「そうだ……そうさ、結婚だよ伊里野! 結婚しよう! ずっとずっと大好きだ! 伊里野ぁ!」
「うん! 結婚! 結婚しよう、浅羽! 結婚! 浅羽と結婚! 浅羽大好きっ!」
「そうだ……そうさ、結婚だよ伊里野! 結婚しよう! ずっとずっと大好きだ! 伊里野ぁ!」
「うん! 結婚! 結婚しよう、浅羽! 結婚! 浅羽と結婚! 浅羽大好きっ!」
けれど伊里野は、それでよかった。むしろ、"それがよかった"のかもしれない。
彼女は浅羽の想いに答え、同じく大声で結婚を口にする。そして、今までで一番大きな声を出して笑った。
風はますます強くなっており、遂に音も伴うようになってきていた。しかしそんなものでは彼女の笑い声は掻き消えなどしない。
互いに抱き締め合ったまま、踊るようにくるくると橋の上を舞う。車道に出たり歩道に出たりと、なかなかに忙しいダンスだ。
そしてふいに、それは終了。突如伊里野の体が浅羽から離れた。まさか時が来てしまったのだろうかと、かなり焦る。
しかし彼女はしっかりと両腕でこちらの肩を掴んでおり、じっと見つめてくれていた。大丈夫だった。まだ、伊里野はここにいる。
彼女は浅羽の想いに答え、同じく大声で結婚を口にする。そして、今までで一番大きな声を出して笑った。
風はますます強くなっており、遂に音も伴うようになってきていた。しかしそんなものでは彼女の笑い声は掻き消えなどしない。
互いに抱き締め合ったまま、踊るようにくるくると橋の上を舞う。車道に出たり歩道に出たりと、なかなかに忙しいダンスだ。
そしてふいに、それは終了。突如伊里野の体が浅羽から離れた。まさか時が来てしまったのだろうかと、かなり焦る。
しかし彼女はしっかりと両腕でこちらの肩を掴んでおり、じっと見つめてくれていた。大丈夫だった。まだ、伊里野はここにいる。
「……ねぇ、浅羽……お願いがあるの」
「お願い……?」
「お願い……?」
そしてそのまま、伊里野がこんな事を言った。
その言葉の意味を捉えるまでに少しディレイが発生したが、すぐに我に帰る。
いいだろう、ばっちこい。心の中で呟く。
今の浅羽は何でも聞くつもりだ。本当に、もう何だって良い。
その言葉の意味を捉えるまでに少しディレイが発生したが、すぐに我に帰る。
いいだろう、ばっちこい。心の中で呟く。
今の浅羽は何でも聞くつもりだ。本当に、もう何だって良い。
「うん、お願い。ずっと、夢だったの……笑わない?」
「笑わないよ」
「うん、じゃあ……」
「笑わないよ」
「うん、じゃあ……」
伊里野の唇が、微かに動いた。
そして誰かに聞かれたら恥ずかしいと言うかのような声量で、言葉を紡ぐ。
そして誰かに聞かれたら恥ずかしいと言うかのような声量で、言葉を紡ぐ。
「キス、して」
小さな小さな声でも確かに耳に届いた。
伊里野の願い。伊里野の夢。その正体は、とても甘いものだった。
伊里野の願い。伊里野の夢。その正体は、とても甘いものだった。
「き、す……え、それって……それって!?」
「うん……」
「うん……」
浅羽は、自分の体が固まっていく感覚を覚えながらも、それでもどうにか脳味噌をフル回転させていた。
喉が鳴る。緊張のあまり唾を飲み込みまくる。まさかのキスを、しちゃっていいのか、と考える。
だがすぐにそんな疑問は捨てた。だって良いじゃないか、結婚するんだし。
そうだ、ぼくらはこの地で今、新婚さんになったのだ。
ぼくは新郎、君は新婦。ここから帰ったら、すぐにでも二人きりの生活が始まるんだ。
文句を言われるわけないじゃないか。
喉が鳴る。緊張のあまり唾を飲み込みまくる。まさかのキスを、しちゃっていいのか、と考える。
だがすぐにそんな疑問は捨てた。だって良いじゃないか、結婚するんだし。
そうだ、ぼくらはこの地で今、新婚さんになったのだ。
ぼくは新郎、君は新婦。ここから帰ったら、すぐにでも二人きりの生活が始まるんだ。
文句を言われるわけないじゃないか。
キスは、愛し合うが故に出来るもの。
愛し合う二人だけに許された、最高の特権なのだ。
愛し合う二人だけに許された、最高の特権なのだ。
伊里野が、ゆっくりと目を閉じた。受け止める準備はもう出来ているのだろう。
浅羽の方はといえば、まだまだ混乱してしばらく時間がかかるだろうと自分でも思っていたのだが、違っていた。
勇気を振り絞って目を閉じ、伊里野の願いを叶える準備を既に完了させていた。後は少しの距離、顔を近づけるだけだ。
浅羽の方はといえば、まだまだ混乱してしばらく時間がかかるだろうと自分でも思っていたのだが、違っていた。
勇気を振り絞って目を閉じ、伊里野の願いを叶える準備を既に完了させていた。後は少しの距離、顔を近づけるだけだ。
色々な思い出が、脳内を猛スピードで駆け巡る。
全ては伊里野の為だった。けれど自分はここまでたどり着く道中で、色々な過ちを犯した。
きっとそれは許される事ではないし、現実に今自分は罰を受けている最中なのだろう。
全ては伊里野の為だった。けれど自分はここまでたどり着く道中で、色々な過ちを犯した。
きっとそれは許される事ではないし、現実に今自分は罰を受けている最中なのだろう。
本当に色々な事があった。今この瞬間が、全ての集大成だ。
そう。このキスは、浅羽が伊里野の唇に刻む"よかったマーク"なのだ。
彼女の心に永遠に残るミステリーサークル。それが、二人の、キス。
そう。このキスは、浅羽が伊里野の唇に刻む"よかったマーク"なのだ。
彼女の心に永遠に残るミステリーサークル。それが、二人の、キス。
「浅羽……愛してる。ありがとう」
二人の唇の距離がもう残り数センチと迫ったとき。
伊里野が再び、浅羽にしか聞こえない程小さな声で、そう呟いた。
伊里野が再び、浅羽にしか聞こえない程小さな声で、そう呟いた。
その刹那。
吹き荒れる風の速度が、一瞬だけ絶頂を向かえる。
そしてあっさりと、何もなかったかのように、凪いだ。
吹き荒れる風の速度が、一瞬だけ絶頂を向かえる。
そしてあっさりと、何もなかったかのように、凪いだ。
◇ ◇ ◇
「あ……」
「……消えた」
「あの子が……!」
「遂にか」
「そう、か。伊里野特派員……」
「……消えた」
「あの子が……!」
「遂にか」
「そう、か。伊里野特派員……」
水前寺邦博と島田美波の大喧嘩の後、本人達に頼まれた"ほんとうのこと"の解説。
それが済んでからしばらくして、各々思い思いに過ごし始めた頃である。
名簿を見た悠二が唐突に"異変"に気付き、声を上げる。
それに続いて全員が悠二へと迫り、彼の手にある名簿を見て、同じく察知した。
それが済んでからしばらくして、各々思い思いに過ごし始めた頃である。
名簿を見た悠二が唐突に"異変"に気付き、声を上げる。
それに続いて全員が悠二へと迫り、彼の手にある名簿を見て、同じく察知した。
「知覚、出来る。おれは記憶している……! 記憶しているぞ、島田特派員!」
「ウチも! ウチもわかる……覚えてる! でも……」
「ああ。俺も驚いた……不思議だ、"こうなる"のか」
「ウチも! ウチもわかる……覚えてる! でも……」
「ああ。俺も驚いた……不思議だ、"こうなる"のか」
名簿から、伊里野加奈の名前が消えていたのだ。物理的に。
あるべきところに彼女の名前はなく、別の名が繰り上がってその位置に収まっている。
それはトーチが消えた際に起きる、"現実を補修する力"が発動した証だ。
つまりあの少女のトーチは、伊里野加奈という存在は、この世界から完全に消失したということである。
そして同時に、水前寺が伊里野のことを覚えている。これはつまり、土壇場での解説が功を成したという事だろう。
あるべきところに彼女の名前はなく、別の名が繰り上がってその位置に収まっている。
それはトーチが消えた際に起きる、"現実を補修する力"が発動した証だ。
つまりあの少女のトーチは、伊里野加奈という存在は、この世界から完全に消失したということである。
そして同時に、水前寺が伊里野のことを覚えている。これはつまり、土壇場での解説が功を成したという事だろう。
「そうか……終わったのだな、これで」
憑き物が全て取れた様子の水前寺がそう呟きながら、ベンチへと倒れこむように座った。
背もたれに体重を預けたまま大きな溜息を一つつき、乾いた笑いを短く浮かべる。
背もたれに体重を預けたまま大きな溜息を一つつき、乾いた笑いを短く浮かべる。
「浅羽、伊里野、両特派員は……間に合ったのだろうか」
「…………」
「…………」
悠二は、この質問に答えることが出来なかった。
「そこらへんにあった自転車だしな……」
「…………」
「…………」
シャナも同じく、彼の質問に答えられないようだった。
「……流石に映画館は、分が悪かったかもしれん」
「…………」
「…………」
アラストールも、無言だった。
「やはり……これもこれでやはり、多少は辛いな。解ってはいたつもりだったが。
……っと、ああ、自分で選んだ道なのだから、こんなことを言うのはおかしいな。すまん。
こんな無駄に暗くて重くしてしまって……いかんいかん。こういうのはおれの仕事ではないんだ」
……っと、ああ、自分で選んだ道なのだから、こんなことを言うのはおかしいな。すまん。
こんな無駄に暗くて重くしてしまって……いかんいかん。こういうのはおれの仕事ではないんだ」
空元気半分なのだろう。少しだけ声が上ずっているのが判る。
だが誰もそのことは言わないし、言えない。言えるわけがない。
悠二も、シャナも、アラストールも、今は無言で様子見に徹している。
何をどう言えば彼の負担を下げられるかを模索しつつも、実行可能なものを思いつくことが出来なかったのだ。
だが誰もそのことは言わないし、言えない。言えるわけがない。
悠二も、シャナも、アラストールも、今は無言で様子見に徹している。
何をどう言えば彼の負担を下げられるかを模索しつつも、実行可能なものを思いつくことが出来なかったのだ。
「それでも、二人は一緒にいられた……映画なんてどうでも良い、全てはそこだって、ウチはそう思う」
が、美波だけは違っていた。
彼女だけは水前寺の言葉を受けてなお、口を開いたのである。
この街に来てからの付き合いは長い方だとは、既に本人達からは聞いている。
だから彼女は口を開ける理由があって、権利があって、勇気があって、力があったのだろう。
彼女だけは水前寺の言葉を受けてなお、口を開いたのである。
この街に来てからの付き合いは長い方だとは、既に本人達からは聞いている。
だから彼女は口を開ける理由があって、権利があって、勇気があって、力があったのだろう。
「アンタの選択は正しかったよ……Der Direktor(部長)」
更に、さっきとは逆に水前寺の頭を撫でる美波。
その行動に対し水前寺は文句の一つを言うかと思ったが、意外にも何もなし。
彼女の手を無言で受け入れ、同時に何かを喋っているのか、口を微かに動かしている。
予想に過ぎないが、きっと美波に対し小声で礼を言っているんだろう。多分、水前寺はそんな男だ。
その行動に対し水前寺は文句の一つを言うかと思ったが、意外にも何もなし。
彼女の手を無言で受け入れ、同時に何かを喋っているのか、口を微かに動かしている。
予想に過ぎないが、きっと美波に対し小声で礼を言っているんだろう。多分、水前寺はそんな男だ。
「んじゃさ……もし良かったら、ウチのリボン探してくれない? さっきの喧嘩でどっかいっちゃってさ」
「っと、そうだったな。すまないが坂井特派員も協力してくれ」
「うん、わかっ……ん? え? 特派員?」
「っと、そうだったな。すまないが坂井特派員も協力してくれ」
「うん、わかっ……ん? え? 特派員?」
背伸びをしながらの美波の頼み事を了承し、いつも通りの姿に戻った水前寺。
悠二は二人の様子に安心感を覚えていた途中だったが、突如水前寺が言い放った言葉に驚いた。
あのーどういう事なんでしょうか水前寺に島田さん、と思わず質問をする。
すると美波は苦笑いを浮かべながら「まーた始まった」と一言。明確な回答は無い。言った本人に聞けということか。
悠二は二人の様子に安心感を覚えていた途中だったが、突如水前寺が言い放った言葉に驚いた。
あのーどういう事なんでしょうか水前寺に島田さん、と思わず質問をする。
すると美波は苦笑いを浮かべながら「まーた始まった」と一言。明確な回答は無い。言った本人に聞けということか。
「あのー、つまりは?」
「今までの君の活躍と情報提供へと感謝の意を込め、今からそう呼ばせてもらう!
同時に君を我がSOS団の団員に任命だ! これから改めて宜しく頼むぞ、坂井特派員!」
「は? ちょっと話の内容が唐突過ぎてよく……いや、そういえばSOS団って、ああ、そんな事も言ってたね……秘密組織とかいうやつ」
「そう、その秘密組織だ。というわけで団員が一名増えましたとさ、めでたしめでたし。頼りにしてるぞ坂井特派員よ!」
「あははは……」
「ちょっと! 何勝手に決めてるの!? 悠二を変なグループに引き抜かないで!」
「今までの君の活躍と情報提供へと感謝の意を込め、今からそう呼ばせてもらう!
同時に君を我がSOS団の団員に任命だ! これから改めて宜しく頼むぞ、坂井特派員!」
「は? ちょっと話の内容が唐突過ぎてよく……いや、そういえばSOS団って、ああ、そんな事も言ってたね……秘密組織とかいうやつ」
「そう、その秘密組織だ。というわけで団員が一名増えましたとさ、めでたしめでたし。頼りにしてるぞ坂井特派員よ!」
「あははは……」
「ちょっと! 何勝手に決めてるの!? 悠二を変なグループに引き抜かないで!」
水前寺の言葉を受け、苦笑しながら"そう言えばそんな言葉がちょくちょく出ていたな"と考えていた途中。
意外にもシャナが全力でお断り宣言を発してきた。会話に割り込んでまで、水前寺の言葉をぶった切っている。
意外にもシャナが全力でお断り宣言を発してきた。会話に割り込んでまで、水前寺の言葉をぶった切っている。
「あーあ、遂にウチにも後輩が出来ちゃったかー。水前寺はほんと仕方ないわよねー」
「ちょっ、お前っ! まさか裏切る気!? あんな自分勝手な変人が統率するグループなんかにいて良いの!?」
「まぁまぁシャナ、島田さんにも考えがあるんだよきっと。だからそこまで言わなくたって……」
「うるさいうるさいうるさぁい! 悠二だって何まんざらでもないって顔してるのよ! そんなだから変なのに引っかかるのよ!」
「ではさっそくSOS団の活動を開始! まずは島田特派員のリボン探しだ、キビキビ行くぞー!」
「些か活動内容が安い気がするのは我の気の所為か……まあ良かろう、シャナも手伝ってやるがいい」
「はぁい……」
「まぁ安心しろシャナクン。君も功績を上げれば、SOS団の特派員として認められるであろう。除け者にはせんさ。
というかむしろ、今すぐでも別に構わんのだぞ? 島田特派員の身辺警護的なこともしてくれていたのだしな?」
「いらん!」
「"シャナ特派員"か……ふむ、特派員とは何をする者なのかは解らぬが、実に新鮮な響きだな」
「あ、アラストールまでぇ……っ!」
「ちょっ、お前っ! まさか裏切る気!? あんな自分勝手な変人が統率するグループなんかにいて良いの!?」
「まぁまぁシャナ、島田さんにも考えがあるんだよきっと。だからそこまで言わなくたって……」
「うるさいうるさいうるさぁい! 悠二だって何まんざらでもないって顔してるのよ! そんなだから変なのに引っかかるのよ!」
「ではさっそくSOS団の活動を開始! まずは島田特派員のリボン探しだ、キビキビ行くぞー!」
「些か活動内容が安い気がするのは我の気の所為か……まあ良かろう、シャナも手伝ってやるがいい」
「はぁい……」
「まぁ安心しろシャナクン。君も功績を上げれば、SOS団の特派員として認められるであろう。除け者にはせんさ。
というかむしろ、今すぐでも別に構わんのだぞ? 島田特派員の身辺警護的なこともしてくれていたのだしな?」
「いらん!」
「"シャナ特派員"か……ふむ、特派員とは何をする者なのかは解らぬが、実に新鮮な響きだな」
「あ、アラストールまでぇ……っ!」
先ほどの重苦しい雰囲気は何処へやら。あっという間に、この場は和やかなものへと変わっていった。
皆はまるで仲良く四葉のクローバーでも探すかのように、全力かつ入念に事に励んでいる。
これを楽しいと思うのはまだまだ不謹慎かもしれない。けれど、今はこれでいい気がする。
出口の見えない鬱屈とした世界が広がるよりは、全然、健康的だ。
皆はまるで仲良く四葉のクローバーでも探すかのように、全力かつ入念に事に励んでいる。
これを楽しいと思うのはまだまだ不謹慎かもしれない。けれど、今はこれでいい気がする。
出口の見えない鬱屈とした世界が広がるよりは、全然、健康的だ。
◇ ◇ ◇
紅色に輝く川沿いを、自転車で進む。
目指すは映画館。必ず行かなくてはならない場所。
休憩はもう充分したから、後は一直線。
デイパックも二つになったし、一人でもどうにか出来ると思う。
目指すは映画館。必ず行かなくてはならない場所。
休憩はもう充分したから、後は一直線。
デイパックも二つになったし、一人でもどうにか出来ると思う。
こうして一人きりで映画館に向かっていると、思い出す。
一人きりの夏休み。水前寺邦博に指示され、山にこもったあの日々だ。
まるで隔離された気分で、正直結構辛かったのは秘密である。
一人きりの夏休み。水前寺邦博に指示され、山にこもったあの日々だ。
まるで隔離された気分で、正直結構辛かったのは秘密である。
結局あの山篭りは、なんの収穫もなかった。
最後は一人でプールに忍び込んで、孤独にひとしきり遊んで終わり。
目立った収穫なんて、プールは実に気持ちよかったという感想ただ一つのみ。
最後は一人でプールに忍び込んで、孤独にひとしきり遊んで終わり。
目立った収穫なんて、プールは実に気持ちよかったという感想ただ一つのみ。
ボーイミーツガールなんて夢のまた夢、あんなのはフィクションの世界だけだった。
新たな出会いがあったわけでもないし……今思えば本当、寂しい夏休みだったな。
【C-5/百貨店近くの裏路地/一日目・夕方】
【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:鉄釘&ガーターリング、グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ
[道具]:
[思考・状況]
基本:ギリギリまで「殺し合い以外の道」を模索する。
1:ティーの回答を待つ。
2:ひとまずティーの確保を優先(放送の時間までには帰る)
3:状態が落ち着けば、この世界のこと、人類最悪のこと、浅羽と伊里野のことなど、色々考えたい。
4:御坂美琴、上条当麻を探し合流する。また彼ら以外にも信頼できる仲間を見つける。
[備考]
『空間移動(テレポート)』の能力が少し制限されている可能性があります。
現時点では、彼女自身にもストレスによる能力低下かそうでないのか判断がついていません。
[状態]:健康
[装備]:鉄釘&ガーターリング、グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ
[道具]:
[思考・状況]
基本:ギリギリまで「殺し合い以外の道」を模索する。
1:ティーの回答を待つ。
2:ひとまずティーの確保を優先(放送の時間までには帰る)
3:状態が落ち着けば、この世界のこと、人類最悪のこと、浅羽と伊里野のことなど、色々考えたい。
4:御坂美琴、上条当麻を探し合流する。また彼ら以外にも信頼できる仲間を見つける。
[備考]
『空間移動(テレポート)』の能力が少し制限されている可能性があります。
現時点では、彼女自身にもストレスによる能力低下かそうでないのか判断がついていません。
【ティー@キノの旅】
[状態]:健康
[装備]:RPG-7(1発装填済み)、シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:デイパック、支給品一式、RPG-7の弾頭×1
[思考・状況]
基本:「くろいかべはぜったいにこわす」
1:黒子の手を取るか、否か。
2:百貨店でシャミセンのごはんを調達したい。
3:RPG-7を使ってみたい。
4:手榴弾やグレネードランチャー、爆弾の類でも可。むしろ色々手に入れて試したい。
5:『黒い壁』を壊す方法、壊せる道具を見つける。そして使ってみたい。
6:浅羽には警戒。
[備考]
ティーは、キノの名前を素で忘れていたか、あるいは、素で気づかなかったようです。
[状態]:健康
[装備]:RPG-7(1発装填済み)、シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:デイパック、支給品一式、RPG-7の弾頭×1
[思考・状況]
基本:「くろいかべはぜったいにこわす」
1:黒子の手を取るか、否か。
2:百貨店でシャミセンのごはんを調達したい。
3:RPG-7を使ってみたい。
4:手榴弾やグレネードランチャー、爆弾の類でも可。むしろ色々手に入れて試したい。
5:『黒い壁』を壊す方法、壊せる道具を見つける。そして使ってみたい。
6:浅羽には警戒。
[備考]
ティーは、キノの名前を素で忘れていたか、あるいは、素で気づかなかったようです。
【B-4/市街地/一日目・夕方】
【水前寺邦博@イリヤの空、UFOの夏】
[状態]:健康だがフルボッコ、髪の毛ぐしゃぐしゃ [装備]:電気銃(1/2)@フルメタル・パニック! [道具]:デイパック、支給品一式、「悪いことは出来ない国」の眼鏡@キノの旅、
ママチャリ@現地調達、テレホンカード@現地調達、湊啓太の携帯電話@空の境界(バッテリー残量100%)
[思考・状況]
基本:この状況から生還し、情報を新聞部に持ち帰る。
1:浅羽の帰りを待ちつつ、皆で島田美波のリボンを捜索。
2:事態を打開する為の情報を探す。
├「朝倉涼子」「人類最悪」の二人を探す。
├街中などに何か仕掛けがないか気をつける。
├”少佐”の真意について考える。
└”死線の寝室”について情報を集める。またその為に《死線の蒼》と《欠陥製品》を探す。
3:もし途中で探し人を見つけたら保護、あるいは神社に誘導。
4:記録されていた危険人物(キノ)のことを神社に伝える。
[備考]
伊里野加奈に関連する全てからの忘却を免れました。「ほんとうのこと」を理解した結果です。
1:浅羽の帰りを待ちつつ、皆で島田美波のリボンを捜索。
2:事態を打開する為の情報を探す。
├「朝倉涼子」「人類最悪」の二人を探す。
├街中などに何か仕掛けがないか気をつける。
├”少佐”の真意について考える。
└”死線の寝室”について情報を集める。またその為に《死線の蒼》と《欠陥製品》を探す。
3:もし途中で探し人を見つけたら保護、あるいは神社に誘導。
4:記録されていた危険人物(キノ)のことを神社に伝える。
[備考]
伊里野加奈に関連する全てからの忘却を免れました。「ほんとうのこと」を理解した結果です。
【島田美波@バカとテストと召喚獣】
[状態]:健康だがフルボッコ、鼻に擦り傷(絆創膏)、髪を下ろしている
[装備]:第四上級学校のジャージ@リリアとトレイズ、ヴィルヘルミナのリボン@現地調達
[道具]:デイパック、支給品一式、
フラッシュグレネード@現実、文月学園の制服@バカとテストと召喚獣(消火剤で汚れている)
[思考・状況]
基本:みんなと協力して生き残る。
1:自分のリボンを皆で探す。
2:シャナに同行し、姫路瑞希を探す。
3:川嶋亜美を探し、高須竜児の最期の様子を伝え、感謝と謝罪をする。
4:竜児の言葉を信じ、全員を救えるかもしれない涼宮ハルヒを探す。
[備考]
シャナからトーチについての説明を受けて、「忘れる」ということに不安を持っています。
伊里野加奈に関連する全てからの忘却を免れました。「ほんとうのこと」を理解した結果です。
[状態]:健康だがフルボッコ、鼻に擦り傷(絆創膏)、髪を下ろしている
[装備]:第四上級学校のジャージ@リリアとトレイズ、ヴィルヘルミナのリボン@現地調達
[道具]:デイパック、支給品一式、
フラッシュグレネード@現実、文月学園の制服@バカとテストと召喚獣(消火剤で汚れている)
[思考・状況]
基本:みんなと協力して生き残る。
1:自分のリボンを皆で探す。
2:シャナに同行し、姫路瑞希を探す。
3:川嶋亜美を探し、高須竜児の最期の様子を伝え、感謝と謝罪をする。
4:竜児の言葉を信じ、全員を救えるかもしれない涼宮ハルヒを探す。
[備考]
シャナからトーチについての説明を受けて、「忘れる」ということに不安を持っています。
伊里野加奈に関連する全てからの忘却を免れました。「ほんとうのこと」を理解した結果です。
【シャナ@灼眼のシャナ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:メリヒムのサーベル@灼眼のシャナ
[道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品×1~2、コンビニで入手したお菓子やメロンパン、
[思考・状況]
基本:悠二やヴィルヘルミナと協力してこの事件を解決する。
1:悠二も水前寺も見つかったので、リボン捜索及び浅羽直之待ち。
2:百貨店にいると思われる“狩人”フリアグネの発見及び討滅。そしてその為に、一度水前寺と美波を神社に帰す。
3:トーチを発見したらとりあえず保護するようにする。
4:古泉一樹にはいつか復讐する。
[備考]
紅世の王・フリアグネが作ったトーチを見て、彼が《都喰らい》を画策しているのではないかと思っています。
[状態]:疲労(小)
[装備]:メリヒムのサーベル@灼眼のシャナ
[道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品×1~2、コンビニで入手したお菓子やメロンパン、
[思考・状況]
基本:悠二やヴィルヘルミナと協力してこの事件を解決する。
1:悠二も水前寺も見つかったので、リボン捜索及び浅羽直之待ち。
2:百貨店にいると思われる“狩人”フリアグネの発見及び討滅。そしてその為に、一度水前寺と美波を神社に帰す。
3:トーチを発見したらとりあえず保護するようにする。
4:古泉一樹にはいつか復讐する。
[備考]
紅世の王・フリアグネが作ったトーチを見て、彼が《都喰らい》を画策しているのではないかと思っています。
【坂井悠二@灼眼のシャナ】
[状態]:健康
[装備]:メケスト@灼眼のシャナ、アズュール@灼眼のシャナ
[道具]:デイパック、支給品一式、リシャッフル@灼眼のシャナ、ママチャリ@現地調達、贄殿遮那@灼眼のシャナ
[思考・状況]
基本:この事態を解決する。
1:シャナに贄殿遮那を渡し、一度神社に戻ってもらいそれからフリアグネを共に討伐する。
2:事態を打開する為の情報を探す。
├「朝倉涼子」「人類最悪」の二人を探す。
├街中などに何か仕掛けがないか気をつける。
├”少佐”の真意について考える。
└”死線の寝室”について情報を集める。またその為に《死線の蒼》と《欠陥製品》を探す。
3:もし途中で探し人を見つけたら保護、あるいは神社に誘導。
4:記録されていた危険人物(キノ)のことを神社に伝える。
[備考]
清秋祭~クリスマスの間の何処かからの登場です(11巻~14巻の間)。
会場全域に“紅世の王”にも似た強大な“存在の力”の気配を感じています。
[状態]:健康
[装備]:メケスト@灼眼のシャナ、アズュール@灼眼のシャナ
[道具]:デイパック、支給品一式、リシャッフル@灼眼のシャナ、ママチャリ@現地調達、贄殿遮那@灼眼のシャナ
[思考・状況]
基本:この事態を解決する。
1:シャナに贄殿遮那を渡し、一度神社に戻ってもらいそれからフリアグネを共に討伐する。
2:事態を打開する為の情報を探す。
├「朝倉涼子」「人類最悪」の二人を探す。
├街中などに何か仕掛けがないか気をつける。
├”少佐”の真意について考える。
└”死線の寝室”について情報を集める。またその為に《死線の蒼》と《欠陥製品》を探す。
3:もし途中で探し人を見つけたら保護、あるいは神社に誘導。
4:記録されていた危険人物(キノ)のことを神社に伝える。
[備考]
清秋祭~クリスマスの間の何処かからの登場です(11巻~14巻の間)。
会場全域に“紅世の王”にも似た強大な“存在の力”の気配を感じています。
【D-5/東側の橋の上/一日目・夕方】
【浅羽直之@イリヤの空、UFOの夏】
[状態]:全身に打撲・裂傷・歯形、右手単純骨折、右肩に銃創、左手に擦過傷、(←白井黒子の手により、簡単な治療済み)
微熱と頭痛。前歯数本欠損。
[装備]:毒入りカプセルx1、ママチャリ@現地調達
[道具]:デイパック、支給品一式、ビート板+浮き輪等のセット(少し)@とらドラ!
カプセルのケース、伊里野加奈のパイロットスーツ@イリヤの空、UFOの夏、伊里野のデイパック、トカレフTT-33(8/8)
[思考・状況]
基本:映画館に行く。その理由とは……?
[備考]
参戦時期は4巻『南の島』で伊里野が出撃した後、榎本に話しかけられる前。
伊里野のデイパックの中身は「デイパック、支給品一式×2、トカレフの予備弾倉×4、インコちゃん@とらドラ!(鳥篭つき)」です。
[状態]:全身に打撲・裂傷・歯形、右手単純骨折、右肩に銃創、左手に擦過傷、(←白井黒子の手により、簡単な治療済み)
微熱と頭痛。前歯数本欠損。
[装備]:毒入りカプセルx1、ママチャリ@現地調達
[道具]:デイパック、支給品一式、ビート板+浮き輪等のセット(少し)@とらドラ!
カプセルのケース、伊里野加奈のパイロットスーツ@イリヤの空、UFOの夏、伊里野のデイパック、トカレフTT-33(8/8)
[思考・状況]
基本:映画館に行く。その理由とは……?
[備考]
参戦時期は4巻『南の島』で伊里野が出撃した後、榎本に話しかけられる前。
伊里野のデイパックの中身は「デイパック、支給品一式×2、トカレフの予備弾倉×4、インコちゃん@とらドラ!(鳥篭つき)」です。
伊里野加奈に関連する全てを忘却し、世界を修復する力に飲み込まれました。
【伊里野加奈@イリヤの空、UFOの夏 消失】
| 前:forever blue | 白井黒子 | 次:とおきひ――(memory once again) |
| 前:forever blue | ティー | 次:とおきひ――(memory once again) |
| 前:forever blue | 水前寺邦博 | 次:CROSS†POINT――(交語点) 前編 |
| 前:forever blue | 島田美波 | 次:intermezzo――(間奏) |
| 前:forever blue | シャナ | 次:intermezzo――(間奏) |
| 前:forever blue | 坂井悠二 | 次:intermezzo――(間奏) |
| 前:forever blue | 浅羽直之 | 次:浅羽直之の人間関係【改】 |
| 前:forever blue | 伊里野加奈 |