ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ

only my railgun (後編)

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
管理者のみ編集可

only my railgun (後編) ◆UcWYhusQhw








【scene 3  白井黒子ティーの場合】





ティーは夜空を見ていた。
星が沢山輝いていて。
綺麗だなと思う。

あの人も、星を綺麗と思っていたのだろうか。
答えは、もう解らないけど。

でも、きっと綺麗と言ってくれるだろう。


ティーの好きだったあの人は、きっとそういう人だろう。


ずっと、ティーはあの人の事を沢山思っている。
あの少女が言ってくれた。
あの人を誰も思い出さなくなった時、本当に死んでしまうと。

だから、ティーは思う。

あの人との旅の事を。
あの人との想い出を。
あの人の優しさを。
あの人の温もりを。
あの人の言葉を。
あの人のてのひらを。
あの人の笑顔を。

たくさん、たくさん。


もう、戻らぬとおきひを。


たくさん、たくさん、思っている。


忘れないように、零れ落ちないように。
ずっと、ずっと、ずーーーっと、抱えられていられるように。


忘れない、あの人が、呼んでくれた名前を。


重くても、ずっと抱えて、生きていく。



ふと見ると、あの少女がとぼとぼと歩いている。
大切な人を失った、あの少女が歩いて。

そして、地面に座って震えていた。


差し伸べてくれた手のひらを、ティーは思い出す。


助け合って生きていこうと言ってくれた。
怖い時、不安な時は誰かそばにいてもらえばいいと言ってくれた。


あの少女が震えていた。


ティーは歩き出す。
ゆっくりと、一歩ずつ。
あの手のひらの温かさと、優しさを思い出しながら。


「あ、ティー……情けない所を見せてしまいましたね」


少女は、気丈に笑っている。
無理をしている。
みれば、わかる。


「あ、ちょっと……ティー……?」


黙って、少女の膝の上に、ティーはちょこんと座った。
少女の胸に、おさまる形になった。
これで、いい。


「なけばいい」


ティーは小さく言葉を紡ぐ。
え、と少女は聞き返すが気にしない。
無理はして欲しくない。
だから、


「かなしいとき、せつないとき、おもいっきりなけばいい」


言葉を紡ぐ。
あの人のように。
この少女のように。


「わたしはみすてたりしない……これからもいっしょにたすけてあっていこう」


この少女がティーに言ってくれたこと。
それはティーをささえてくれたこと。
だから、ティーもお返しする。


「だから、なけばいい」


哀しい時は、切ない時は、思いっきり泣けばいい。


あの人が、そう言ってくれたから。




「ああ……ああ……うう…………うぅ――――」


少女はやっと泣けた。
温かい雫が、沢山沢山零れていく。
ティーをぎゅっと抱きしめてくる。
温もりが、沢山溢れた。


あの人も、ティーをぎゅっと抱きしめてくれた時があった。
悲しい時、あの人はティーを抱きしめた。
あの人は、涙を流すかわりに、ティーの温もりを感じていた。


だから、今は、こうやっていればいい。


星空が見えた。


あの人の笑顔も、見えた気がした。


ティーの頬に、少女が流した雫が沢山沢山つたう。


それは、


とても、とても、あたたかった。








【final scene  白井黒子と御坂美琴の場合】






わたくしにとってお姉様とは何だったのでしょう。
考えても考えても、これといって正しい答えは思い浮かばませんの。
どれも当たっているようで、間違っている。
そんな気がしてならなくて。

そして、お姉様が死んでしまった。
それはやはり耐え難い程の喪失でして。
惨めにも身体を震わせて、湧き出る吐き気を必死に堪えるので精一杯でしたの。

けれども、涙を流す事は出来ませんでした。
それが、最後のわたくしの抵抗だったのかもしれません。
認めたくない気持ちがあるのに。
どうしても、理性的にお姉様は死んでしまったという納得をしている自分自身に納得がいかなくて。
ですから、喪失の涙を流したくなったかもしれません。


ですが――――涙を流してしまった。
ティーの言葉で。
哀しみの涙を沢山、流し始めてしまって止まる訳が無くて。
ただ、ぼろぼろと涙を流してしまったのですの。
その時のティーの温かさが救いだった。
哀しみが溢れましたけれども、その温かさがわたくしを此処に留めさせてくれた。


けれども、わたくしは、わたくしはその瞬間に。



――――完全に、御坂美琴の、お姉様の死を認めてしまった。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





「あー寒いですわね……」

わたくしはティーの前で沢山泣いた後、一人で星空を見ていた。
何となくそうしたかったのだが、夜になったせいか些か寒い。
それは心の空白もあるのかもしれないですが、気にしない事にしたんですの。

「お姉様……」

お姉様はもう、居ない。
その現実に心がジクジク痛む。
そして、わたくし自身も戸惑ってしまう。
お姉様が亡くなった事で、わたくしはどうすればいいんでしょう?と。
護りたい場所は、もう無い。
大好きな、お姉様が死んでしまったから。

わかってた、わかってたつもりでしたの。
鮮花さんに言われるまでもない。
お姉様だって命を落としかねない事に。
それでも、死ぬ訳が無いとも思ってました。
だって、当然ですもの。
あの、お姉様なのですから。

でも、もう居ない。

なら、わたくしはどうすればいいんでしょう?

迷う。
戸惑う。
答えが見つからない。

意味も無く、周囲を回る。
辿る道と一緒で、何も考えも変わらない。

お姉様が護りたかった世界。
お姉様が思っていた事。
あの温かい居場所。

わたくしも、上を目指しました。
あの温かい、居場所を護る為に。

でも、お姉様は、もう居ない。


なら、わたくしが望むものは?
望む上は?


解らない。
わたくしの中で答えが纏まらない。


「はぁ……」

思わず、溜息が出てしまう。
何やってんですの、わたくしは。
呆れるほど、何も見つからなかった。
吹き付ける風が冷たい。
わたくしは星空を見ながら、スカートのポケットに手を突っ込む。

「ん……?」

手に当たる、固い感触。
それを、取り出してみると、一枚のコイン。
物資を集めてる時に、一緒に取ったのでしょうか?
何故か、一枚がポケットに紛れ込んでいた。
わたくしはそのコインを手で弄び、そして。

「お姉様もこうして……」

わたくしはそれを指で弾いた。
コインは宙を舞って。
放物線を描いて。
わたくしはそれを打ち出した。

コインは、真っ直ぐ軌跡を描いて消えていく。

何処までも真っ直ぐ。

真っ直ぐ。


「あ――――」


途端に、頭に広がる光景。
思い出されるのは、お姉様のあの姿。
努力から打ち出される自信に満ち溢れたあの姿。


それこそが、学園都市のレベル5『超電磁砲』


お姉様が、見せたあのキセキは――――何処までも真っ直ぐで。


ああ、そうですの。


わたくしは




わたくしは――――!







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







星がいつまでも、輝いている。
わたくしはいつまでも、それを見つめて。
すぅーと息を吸い込んで。


「聞こえていらっしゃいますか、お姉様」


大切な、お姉様に、語りかける。


「見つけましたわ、わたくしが進む道を」


迷って、戸惑って。
そして、見つけた道。


「わたくしは、やっぱり変わりませんの。変われませんの」

わたくしは、白井黒子ですの。
ここまで培ってきたものは簡単には変えることは出来ませんの。
お姉様を敬愛し、『白井黒子』と言う人物を固めてきたのだから。

「ですけれども……」

ですが、わたくしは、わたくしは

「わたくしの意志で、わたくしの思いで」

例え、未だに力が足りなくても。
未だに、程遠いのだとしても。

わたくしの、わたくし自身の意志で。


「お姉様が護りたかった居場所を、お姉様の護りたかった世界を、絶対に、わたくしが護ってみせますの!」


それが、わたくしが、お姉様に捧げられる手向け。
お姉様が、安心していられるように。
お姉様が、目指したものを、護りたかったものを。
わたくしが、わたくし自身が護ってみせる。


「わたくしが、ティーが、リリアさんが、鮮花さんが味わった大切な人を失うという痛みから、誰かを守る為にっ」


もう、こんな哀しみを、苦しみを、痛みを誰かに知ってほしくない。
瞳から涙が溢れてきたけれども、気にしませんの。
この光る涙を、それさえも、強さに変えて。


「わたくしはお姉様を失った絶望に――――負けません!」


お姉様の失った絶望さえも超えてみせる。
絶対に負けてやるもんですか。


「わたくしはずっと……真っ直ぐ、真っ直ぐ、進んでみせますの! そして――」


ずっと、ずっと。
真っ直ぐ、真っ直ぐ、
何処までも、貫いてみせる。

わたくしが大好きな、お姉様のように。


「わたくしがわたくしを胸を張って全て誇れるまで――ずっと見守っていらしてくだささい。黒子は、絶対に諦めませんの!」


わたくしが、わたくし自身を、わたくしが進んだ道を全て誇れるその時まで。
どうか、見守ってください。
わたくしは私が目指す所で、絶対に諦めませんですの。


――――いいわ、ずっと見てて上げる。あんたが無様になりながらも、絶対諦めない姿をね。だから、真っ直ぐ進みなさい。


そんな、お姉様の声が聞こえた、聞こえた気がした。
だから、わたくしは答える。


「ええ、必ず。どんなに傷ついても……走り続けますの」


そうしたら、お姉様が笑った、笑ってくれた、そんな気がした。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「よっし……黒子ちゃんはもう大丈夫だな」
「ああ、そのようだな」

クルツは、そう呟いて。
照準から目をそらし、黒子にずっと向けていた銃口を下げた。
何時でも殺せるようにしていた、その銃を。

「クルツ、白井黒子が暴走していたのなら、やはり殺していたのか?」
「……とーぜんだろ。あれだけの実力者が暴走したら全滅の可能性だってあるだろ」

理由は単純。
白井黒子が御坂美琴の死亡を聞いて暴走した場合。
クルツは、直ぐに殺すつもりだった。
自分や、集団を護る為に。

「それもそうだが……」
「お前は違ったのか? 其処まで牙を失ったか?」
「いや、そうだな……俺もそうしていたかもしれん」

宗介をクルツに対して重々頷く。
クルツは飄々としながらも、その言葉は何処か、冷たいものだった。
現実を見れば、生き残る事だけを考えれば、クルツの行為はあくまでも正しくて。


結局の所、クルツ・ウェーバーは人情派(オヒトヨシ)でもあり、そして、現実主義者(リアリスト)でもあった。

ただ、それだけの事だった。







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






「あ、戻ってきた」
「何だ、戻ってきましたか。つまらない」
「………………」

わたくしが戻ると、其処にはリリアさん、鮮花さん、ティーが揃っていました。
鮮花さんはどうか知りませんが、皆心配してくれたようで。
少しだけ、申し訳ない気分になってしまう。

「まよいはきえた?」

ティーがわたくしを見つめて呟いてくる。
わたくしは、笑顔で言ってやるですの。

「ええ、とっくの昔に吹き飛ばしましましたわ」

お姉様、見ていて下さい。

「わたくしは、わたくしの道を見つけました。わたくしが進むべき道を、望みを、誰にも邪魔させない」


もう、限界なんて知らない。意味無い。


「わたくしは、最後まで抗って……私が守るべき、あの世界を、絶対に護って見せますの。だってわたくしは――」



だから、笑顔で言ってやるのですの。


「白井黒子っ!――――『風紀委員(ジャッジメント)』ですの!」



打ち出した答えが今も、わたくしの胸を駆け巡る。



さよな……いえ、ありがとう。




      only my  railgun
――――たった一人の、わたくしだけの、『超電磁砲』






【B-5/飛行場/一日目・夜】

【白井黒子@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:鉄釘&ガーターリング、グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ
[道具]:
[思考・状況]
 基本:ギリギリまで「殺し合い以外の道」を模索する。お姉様が護りたかった居場所を、世界を守る。
 0:ジャッジメントですの!
 1:その後のことはクルツ達と相談して決める。
 2:状態が落ち着けば、この世界のこと、人類最悪のことなど、色々と考えたい。
 3:上条当麻を探し合流する。また彼ら以外にも信頼できる仲間を見つける。
[備考]
 『空間移動(テレポート)』の能力が少し制限されている可能性があります。
 現時点では、彼女自身にもストレスによる能力低下かそうでないのか判断がついていません。


【ティー@キノの旅】
[状態]:健康
[装備]:RPG-7(1発装填済み)、シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱
[道具]:デイパック、支給品一式、RPG-7の弾頭×1
[思考・状況]
 基本:「くろいかべはぜったいにこわす」
 0:よかった
 1:黒子と一緒にいる。
 2:RPG-7を使ってみたい。
 3:手榴弾やグレネードランチャー、爆弾の類でも可。むしろ色々手に入れて試したい。
 4:『黒い壁』を壊す方法、壊せる道具を見つける。そして使ってみたい。
 5:浅羽には警戒。
[備考]
 ティーは、キノの名前を素で忘れていたか、あるいは、素で気づかなかったようです。


リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ@リリアとトレイズ】
[状態]:健康
[装備]:ハリセン@現地調達、早蕨薙真の大薙刀@戯言シリーズ
[道具]:なし
[思考・状況]
 基本:がんばって生きる。憎しみや復讐に囚われるような生き方をしてる人を止める。
 1:飛行場にてしばらく休憩。
 2:飛行機を飛ばしてみる。
 3:トラヴァスを信じる。信じつつ、トラヴァスの狙いを考える。
 4:トレイズが心配。トレイズと合流する。
 5:鮮花とはあわない


黒桐鮮花@空の境界】
[状態]:復讐心、疲労
[装備]:火蜥蜴の革手袋@空の境界、コルトパイソン(5/6+予備弾x7)
[道具]:デイパック、支給品一式、包丁×3、ナイフ×3
[思考・状況]
 基本:黒桐幹也の仇を取る。そのためならば、自分自身の生命すら厭わない。
 1:寝床と食事の用意をする。休憩する。
 2:暇な時間は”黒い空白”や”人類最悪の居場所”などの考察に費やしたい。
 3:リリアがうざい
[備考]
 ※「忘却録音」終了後からの参戦。
 ※白純里緒(名前は知らない)を黒桐幹也の仇だと認識しました。


【クルツ・ウェーバー@フルメタル・パニック!】
[状態]:復讐心、左腕に若干のダメージ
[装備]:ウィンチェスター M94(7/7+予備弾x28)
[道具]:デイパック、支給品一式、ホヴィー@キノの旅、ママチャリ
     缶ジュース×17(学園都市製)@とある魔術の禁書目録、エアガン(12/12+BB弾3袋)、メッセージ受信機
     デイパック、支給品一式、黒子の調達した物資
     姫路瑞希の手作り弁当@バカとテストと召喚獣、地虫十兵衛の槍@甲賀忍法帖
[思考・状況]
 基本:生き残りを優先。
 1:休息をとり、また今後の動きについて相談しあう。
 2:テッサ、かなめとの合流を目指す。
 3:鮮花の復讐を手助けする。
 4:メリッサ・マオの仇を取る。
 5:摩天楼で拾った3人。特に浅羽とティーの動向には注意を払う。
 6:次のメッセージを待ち、メッセージの意味を考える。
[備考]
 ※土御門から“とある魔術の禁書目録”の世界観、上条当麻、禁書目録、ステイル=マグヌスとその能力に関する情報を得ました。
 ※最初に送られてきたメッセージは『摩天楼へ行け』です。次のメッセージがいつくるかは不明です。


【相良宗介@フルメタル・パニック!】
[状態]:全身各所に火傷及び擦り傷・打撲(応急処置済み)
[装備]:IMI ジェリコ941(16/16+1、予備マガジンx4)、サバイバルナイフ
[道具]:デイパック、支給品一式(水を相当に消耗、食料1食分消耗)、確認済み支給品x0-1
[思考・状況]
 基本:この状況の解決。できるだけ被害が少ない方法を模索する。
 1:飛行場にてしばらく休憩。白井黒子らとの合流、意見交換を済ませる。
 2:飛行機を飛ばしてみる。空港へ行って航空機を先に確保する? 航空機用の燃料を探す? 自動車の燃料で代用を試してみる?
 3:まずはリリアを守る。もうその点で思い悩んだりはしない。
 4:リリアと共に、かなめやテッサ、トレイズらを捜索。合流する。


投下順に読む
前:intermezzo――(間奏) 次:CROSS†POINT――(交語点) 前編
時系列順に読む
前:浅羽直之の人間関係【改】 次:CROSS†POINT――(交語点) 前編

前:忘却のイグジスタンス クルツ・ウェーバー 次: 
前:忘却のイグジスタンス 黒桐鮮花 次: 
前:忘却のイグジスタンス 相良宗介 次: 
前:忘却のイグジスタンス リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ 次: 
前:とおきひ――(memory once again) 白井黒子 次: 
前:とおきひ――(memory once again) ティー 次: 



ウィキ募集バナー