希望ってやつは ◆gMrrx6WqIM
まったく、ろくでもないことに巻き込まれたものだ。
見覚えのない民家で目覚めた私は真っ先にため息をついた。
見覚えのない民家で目覚めた私は真っ先にため息をついた。
そりゃ、ピンチに陥ってお姫様みたいに助けだされるのは常々想ってきた夢だけれど。
こんな状況じゃ、勇者を待つ間に殺されたリ勇者と見せかけられて騙し討ちされてもおかしくない。
おまけに、私のためだとしてもそれが血なまぐさい殺し合いだなんて反吐が出る。
こんな状況じゃ、勇者を待つ間に殺されたリ勇者と見せかけられて騙し討ちされてもおかしくない。
おまけに、私のためだとしてもそれが血なまぐさい殺し合いだなんて反吐が出る。
結論。このゲームは私の趣向にそぐわない。よって破壊。
「と、言うは良いんだけど……どうしたものかしら」
一応腕に覚えはある。全くの一般人というわけではないから、何かあっても辛うじて襲撃に対応できる
自信はある。余り気は乗らないけれど。
だからといってどうするのか。このゲームを破壊するならやっぱり『ラスボス』ジェダの打倒が一番の
解決策だろう。
しかし、そのジェダがどこにいるかが問題だ。海の向こうにでも居を構え、もしくは異次元空間にでも
身を隠しているというのならまずどうしようもない。
前者ならまだ希望はあるが、問題はこの首輪。これがある限りはかなり行動を制限される。
海に出るはおろか、監視されているであろうことを考慮すれば奴に近づいたと思ったらドカン、なんて
十分想定できることだ。
(……となったら、まずこの首輪をどうにかするしかないわね)
当然、力づくで外すのは不可能。となれば何か別の方法で解体するしか他はない。
どうやらこれは機械の模様。となれば目には目を、毒には毒をもって、機械には機械──
一応腕に覚えはある。全くの一般人というわけではないから、何かあっても辛うじて襲撃に対応できる
自信はある。余り気は乗らないけれど。
だからといってどうするのか。このゲームを破壊するならやっぱり『ラスボス』ジェダの打倒が一番の
解決策だろう。
しかし、そのジェダがどこにいるかが問題だ。海の向こうにでも居を構え、もしくは異次元空間にでも
身を隠しているというのならまずどうしようもない。
前者ならまだ希望はあるが、問題はこの首輪。これがある限りはかなり行動を制限される。
海に出るはおろか、監視されているであろうことを考慮すれば奴に近づいたと思ったらドカン、なんて
十分想定できることだ。
(……となったら、まずこの首輪をどうにかするしかないわね)
当然、力づくで外すのは不可能。となれば何か別の方法で解体するしか他はない。
どうやらこれは機械の模様。となれば目には目を、毒には毒をもって、機械には機械──
ひょっとしたら、首輪解体にゲーム脱出の手がかりとなるかもしれないノート状の機械。
『光子朗の愛用品』との説明書きがある、パイナップルのマークが刻まれた『パソコン』。
それは確かにこの神子──ジュジュの手にあったのだった。
『光子朗の愛用品』との説明書きがある、パイナップルのマークが刻まれた『パソコン』。
それは確かにこの神子──ジュジュの手にあったのだった。
「……でもこれ、使い方が全く分からないわ」
それが、それを扱える人物に渡っていたかは別の話なのだが。
◆ ◆ ◆
それからすぐにジュジュは結論を出した。
まず、こういったアイテムに長けているトマ、もしくは名簿にもあったこの持ち主らしい『光子朗』という人物と優先して合流する。
当然ニケとも合流したい。手先の器用なニケなら適当に操ってのけてしまうかもしれない。
まあ、女に惑わされやすいという不安要素はあるが、仮にも勇者である彼なら心配は余りいらなそうだ。
まず、こういったアイテムに長けているトマ、もしくは名簿にもあったこの持ち主らしい『光子朗』という人物と優先して合流する。
当然ニケとも合流したい。手先の器用なニケなら適当に操ってのけてしまうかもしれない。
まあ、女に惑わされやすいという不安要素はあるが、仮にも勇者である彼なら心配は余りいらなそうだ。
しかし問題はククリだ。
一応彼女も魔法使いという立場であり、なんともまあ強力な魔法を扱うことができる。
しかしその魔法が感情によって左右されるという、ニケの女癖や守銭癖よりももっと厄介な要素があるのだ。
最悪、嫉妬という感情が爆発してしまえば悪魔と化し、殺人者になってしまう虞もある。
「……やっぱりクーちゃんを最優先しないとね」
一応彼女も魔法使いという立場であり、なんともまあ強力な魔法を扱うことができる。
しかしその魔法が感情によって左右されるという、ニケの女癖や守銭癖よりももっと厄介な要素があるのだ。
最悪、嫉妬という感情が爆発してしまえば悪魔と化し、殺人者になってしまう虞もある。
「……やっぱりクーちゃんを最優先しないとね」
ひとまずは南を目指すかと、それといつまでここに篭ってはいられないと扉を出た直後。
「うゅ……」
早速目の前にぬいぐるみを抱いた人形のような少女……いや、人形がいた。
どういう原理で動いているかはともかくとして──見るからに幼そうなその少女は、いきなり出てきた自分に
慄いたらしい。
少し刺激すれば泣き出してしまいそうな顔で一歩たじろぎつつ、何やらぱくぱくと口を動かしている。
どうやら戦いに乗ってるわけではなさそうである。
「……安心して。あなたが攻撃してこないのなら私も戦うつもりはないわ」
努めて落ち着き払い、刺激しないように声をかける。
「う……ヒナだって……戦いたくないのよ……」
どうやら相手に戦意はなさそうだ。人形ではあるものの、精神は純粋な少女のようだ。
演技である素振りも見受けられない。合流して損は……大いにありそうだが、流石にここで見捨てていく程
頑固ではないつもりだ。
「とりあえず、話でも聞かせてくれないかしら」
「うゅ……」
早速目の前にぬいぐるみを抱いた人形のような少女……いや、人形がいた。
どういう原理で動いているかはともかくとして──見るからに幼そうなその少女は、いきなり出てきた自分に
慄いたらしい。
少し刺激すれば泣き出してしまいそうな顔で一歩たじろぎつつ、何やらぱくぱくと口を動かしている。
どうやら戦いに乗ってるわけではなさそうである。
「……安心して。あなたが攻撃してこないのなら私も戦うつもりはないわ」
努めて落ち着き払い、刺激しないように声をかける。
「う……ヒナだって……戦いたくないのよ……」
どうやら相手に戦意はなさそうだ。人形ではあるものの、精神は純粋な少女のようだ。
演技である素振りも見受けられない。合流して損は……大いにありそうだが、流石にここで見捨てていく程
頑固ではないつもりだ。
「とりあえず、話でも聞かせてくれないかしら」
それに、ここで見捨てたらクーちゃんに嫌われてしまうもの。
◆ ◆ ◆
予想通り、いやそれ以上に精神が幼かった人形の自己紹介を解読するのには少し苦労を要したが、
なんとか一通りの話を終えることができた。
なんとか一通りの話を終えることができた。
この人形は雛苺と言い、ローゼンメイデンとかいう姉妹の六人目であるとのことだ。
名簿と彼女の話によれば、ここには彼女の他に四人の姉が呼ばれているらしい。
名簿と彼女の話によれば、ここには彼女の他に四人の姉が呼ばれているらしい。
どこにも悪趣味な者はいたものだ、とため息をつきながらついでに彼女の支給品も確認することにした。
「………それじゃ、そろそろ出発……」
それから話がまとまった所でそれではと立ち上がった瞬間。
それから話がまとまった所でそれではと立ち上がった瞬間。
窓から強い光が入ってきたかと思うと、耳を劈くかのような轟音が響いた。
「キャ──────────!!?」
押し倒さんかという勢いで雛苺がしがみついてきた。
衝撃で呆然としていた私も我に返った。……まいったわね。いきなり爆発だなんて……
足にくっついたままの雛苺をなんとか引き摺りつつ、外に出て様子を伺って見る。
……まだ小さい影だが、何者かの姿が見えた。あれが犯人だろうか。
押し倒さんかという勢いで雛苺がしがみついてきた。
衝撃で呆然としていた私も我に返った。……まいったわね。いきなり爆発だなんて……
足にくっついたままの雛苺をなんとか引き摺りつつ、外に出て様子を伺って見る。
……まだ小さい影だが、何者かの姿が見えた。あれが犯人だろうか。
「……穏やかじゃないわね」
「うぅ……怖いのよ……」
落ち着いて考えよう。まず、さっきの爆発が戦闘でかつあの影が犯人だったとする。
だとすれば、自分達が見つかったらまず命はないと見て良い。あの爆発が自分達に向けられたとして、
流石に逃げ切れるという保障はないのだ。
とりあえず一旦『ぱそこん』とやらをしまっておき、代わりにランドセルから出てきたのは妙にファンタジー的な
バット。これであの爆発に敵うとは到底思えないが、もしものときの自衛手段にはなりうる。
その前に、あれがこっちに来なければいいのだけれど……
「うぅ……怖いのよ……」
落ち着いて考えよう。まず、さっきの爆発が戦闘でかつあの影が犯人だったとする。
だとすれば、自分達が見つかったらまず命はないと見て良い。あの爆発が自分達に向けられたとして、
流石に逃げ切れるという保障はないのだ。
とりあえず一旦『ぱそこん』とやらをしまっておき、代わりにランドセルから出てきたのは妙にファンタジー的な
バット。これであの爆発に敵うとは到底思えないが、もしものときの自衛手段にはなりうる。
その前に、あれがこっちに来なければいいのだけれど……
「……うゅ? あのひと……こっちに来てるのよ……」
未だしがみついたままの雛苺がぼそっと呟いた。。
なるほど、言う通りにあの影はだんだん大きくなってきてる。なるほど、ちょっと不味いわね。
未だしがみついたままの雛苺がぼそっと呟いた。。
なるほど、言う通りにあの影はだんだん大きくなってきてる。なるほど、ちょっと不味いわね。
……
…………
「に、逃げるわよ!!」
「え、えぅ!?」
脱兎のごとく走り出す。とりあえず逃げよう、とにかく逃げよう。
「早くついてきなさい! 見つかったら殺されるわよ!」
「殺ッッ!? ……びゃあぁぁああぁぁ!!」
「え、えぅ!?」
脱兎のごとく走り出す。とりあえず逃げよう、とにかく逃げよう。
「早くついてきなさい! 見つかったら殺されるわよ!」
「殺ッッ!? ……びゃあぁぁああぁぁ!!」
結局、雛苺の足どりがおぼつかないので私が手を引っ張ることとなった。
あぁもう。
なんでこんなことに。
「私は助けられる役がいいのにぃぃ……」
約一名が汗だくになりながら、少女達の逃走劇が始まったのであった。
果たして気付かれるか気付かれないか。
果たして気付かれるか気付かれないか。
逃げ切れても、ひょっとしたら到着した場所もまた戦場になっているかもしれないのだが。
【G-4 真ん中あたり 1日目 午前】
【ジュジュ@魔法陣グルグル】
[状態]:かなり疲労
[装備]:マジカントバット@MOTHER2
[道具]:支給品一式、光子朗のノーパソ@デジモンアドベンチャー
[思考]
1: とにかく爆発の犯人(フランドール)から離れる。
2:ククリ>トマ・光子朗>ニケ・ククリ・ドール達の順で捜索。
パソコンを扱えるか首輪を外せそうな人物でもOK。
3:首輪を外して脱出、もしくはジェダの所へ行く方法を模索。
[状態]:かなり疲労
[装備]:マジカントバット@MOTHER2
[道具]:支給品一式、光子朗のノーパソ@デジモンアドベンチャー
[思考]
1: とにかく爆発の犯人(フランドール)から離れる。
2:ククリ>トマ・光子朗>ニケ・ククリ・ドール達の順で捜索。
パソコンを扱えるか首輪を外せそうな人物でもOK。
3:首輪を外して脱出、もしくはジェダの所へ行く方法を模索。
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:ちょっと疲労
[装備]:うさぎのぬいぐるみ@TOS
[道具]:支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
[思考]
1:爆発こわいのよー……
2:ジュジュについていく。
3:みんな(ドール達)と会いたい。
※支給品はぬいぐるみ以外、ジュジュだけが確認しています。
[状態]:ちょっと疲労
[装備]:うさぎのぬいぐるみ@TOS
[道具]:支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
[思考]
1:爆発こわいのよー……
2:ジュジュについていく。
3:みんな(ドール達)と会いたい。
※支給品はぬいぐるみ以外、ジュジュだけが確認しています。
[共通備考]:南へ向けて全速力疾走中。
【光子朗のノーパソ@デジモンアドベンチャー】
光子朗が愛用しているノートパソコン。
様々な機能がついており、(ネット・メール機能等は排除)
デジヴァイスを差し込めばデジモンなどのデータを読み取ることができる。
首輪解除の鍵となるか。
光子朗が愛用しているノートパソコン。
様々な機能がついており、(ネット・メール機能等は排除)
デジヴァイスを差し込めばデジモンなどのデータを読み取ることができる。
首輪解除の鍵となるか。
【マジカントバット@MOTHER2】
マジカント(ネスの夢の世界)で売っているバット。終盤手に入るだけあって性能は良い。
デザインが不明なのでなんだかファンタジーなバットにしときました。
マジカント(ネスの夢の世界)で売っているバット。終盤手に入るだけあって性能は良い。
デザインが不明なのでなんだかファンタジーなバットにしときました。
【うさぎのぬいぐるみ@TOS】
プレセアが称号「おしゃま」を装備するとたまーに斧から変化するぬいぐるみ。
本作では斧と同じ性能を持つが、流石にそれはネタだろってことでこのロワじゃただのぬいぐるみ。
つまりハズレ。
プレセアが称号「おしゃま」を装備するとたまーに斧から変化するぬいぐるみ。
本作では斧と同じ性能を持つが、流石にそれはネタだろってことでこのロワじゃただのぬいぐるみ。
つまりハズレ。
【ぼうし@ちびまる子ちゃん】
まる子らが登校時に装備する黄色いアノ帽子。
おまえらも一度は装備したことがあるはずだ。ランドセルによく映える。まあハズレ。
まる子らが登校時に装備する黄色いアノ帽子。
おまえらも一度は装備したことがあるはずだ。ランドセルによく映える。まあハズレ。
【ツーカー錠@ドラえもん】
カプセルの形の、二つ一組の薬。
一人が片方を、もう一人を残りの片方を飲んで使う。
するとその2人は「ツー」「カー」の一言で意思疎通が取れる。
ただし思ったことがそのまま伝わるので嘘がつけない、紙にすら「ツー」「カー」としか書けないという弱点もある。
このロワでは効力は二時間で、5セット分ある。
カプセルの形の、二つ一組の薬。
一人が片方を、もう一人を残りの片方を飲んで使う。
するとその2人は「ツー」「カー」の一言で意思疎通が取れる。
ただし思ったことがそのまま伝わるので嘘がつけない、紙にすら「ツー」「カー」としか書けないという弱点もある。
このロワでは効力は二時間で、5セット分ある。
≪018:SLUM No.5~そして狂を生きる | 時系列順に読む | 039:ひとりぼっちのテディベア≫ |
≪033:天使が来たりて娘ツッコむ | 投下順に読む | 035:世界は美しくなんかない≫ |
GAME START | ジュジュの登場SSを読む | 075:這い上がるくらいで丁度いい≫ |
雛苺の登場SSを読む |