這い上がるくらいで丁度いい ◆gMrrx6WqIM
結局、あの女の子の姿は見つからなかった。
……いや、「見つからなかった」のではなく「見つけさせてくれなかった」と言った方がいい。
どうも怪しいのはこの霧と、そしてこれを操ってると思われるあの紅い服の人形。
あの人形が何かを企んでる気がする。
……いや、「見つからなかった」のではなく「見つけさせてくれなかった」と言った方がいい。
どうも怪しいのはこの霧と、そしてこれを操ってると思われるあの紅い服の人形。
あの人形が何かを企んでる気がする。
それならそれで、受けて立ってやろうじゃないか。
きっと人形は僕の後を追ってくるだろう。ひょっとしたら南で消耗した所で殺そうという魂胆かもしれない。
だったらその作戦を逆利用してやればいいだけだ。
きっと人形は僕の後を追ってくるだろう。ひょっとしたら南で消耗した所で殺そうという魂胆かもしれない。
だったらその作戦を逆利用してやればいいだけだ。
さっきの女の子を見失ってしまったけど、それは仕方ないことだ。
あんまり焦って僕が命を落としても仕方ない。それに、まだあいつら以外に七十七人もいるんだ。
あんまり焦って僕が命を落としても仕方ない。それに、まだあいつら以外に七十七人もいるんだ。
南へ向けて足を進め始める。そういや、いつの間にか霧が晴れてるや。
来るなら来なよ。どんなつもりでも、僕が相手になってやるからさ。
◆
あの少年が南へ方向を定めたことを確認し、霧から脱出させた頃だった。
追跡のため距離をはかろうとしていた真紅が、遠目であるがあのシェルターへ近づく二人の影を見つけた。
両者とも消耗しているのがふらふらとした足取りから見てとれる。
追跡のため距離をはかろうとしていた真紅が、遠目であるがあのシェルターへ近づく二人の影を見つけた。
両者とも消耗しているのがふらふらとした足取りから見てとれる。
今ならあれらを討つ、またと来ないかもしれぬ好機。あの二人が先ほどの二人に相応する
実力を持っているとすれば直さらのことだ。
薔薇の花弁で心臓を一撃、いやニ撃。消耗しているのならそれぞれ一撃ずつで十分だろう。
すぐに仕留めてしまえばあの少年を見失うこともない。それなら──
実力を持っているとすれば直さらのことだ。
薔薇の花弁で心臓を一撃、いやニ撃。消耗しているのならそれぞれ一撃ずつで十分だろう。
すぐに仕留めてしまえばあの少年を見失うこともない。それなら──
スピード全開で南下を続けていた二名の少女が、ようやく背後に誰もいないと
気付いて休息を取れたのは、ちょうど西に見えるシェルターを通り過ぎるかという頃だった。
「……どうやらこっちには来ないようね」
「ふぇええ……むぃぃぃ……」
力が抜けその場にへたりこむ。今になって随分と汗をかいたと実感できた。
「ちょっと、走りすぎたわね……あそこの建物で隠れながら休みましょう」
「はふぅ…………」
既に言葉にならず、息ばかりついている雛苺の手をしっかりと握り、ジュジュは適当に入り口を探そうと
シェルターに近づくべく歩き始めた。
気付いて休息を取れたのは、ちょうど西に見えるシェルターを通り過ぎるかという頃だった。
「……どうやらこっちには来ないようね」
「ふぇええ……むぃぃぃ……」
力が抜けその場にへたりこむ。今になって随分と汗をかいたと実感できた。
「ちょっと、走りすぎたわね……あそこの建物で隠れながら休みましょう」
「はふぅ…………」
既に言葉にならず、息ばかりついている雛苺の手をしっかりと握り、ジュジュは適当に入り口を探そうと
シェルターに近づくべく歩き始めた。
それが、いけなかったのだ。
「……入り口……どこよ……」
いくらほど歩いただろうか。さっきはようやく入り口に辿り着いたと思ったのに、
ほっと一息ついてさあ入ろうかと歩き始めたらいつの間にか入り口を見失ってしまっていた。
後ろを見ても建物の陰も形も見えず、知らぬ間に霧までもが発生している。
とうとう精神的にも限界がきたか、二人は地面に座りこんでしまった。
「ヒナ……もうだめぇ……」
「何かもう色々と嫌になったわ……」
どう考えてもこの状況で休むのは無防備すぎる。だからってどうすることも出来ないのだが。
せめて木でも見つかればと内心で毒づく。
それから、とりあえず少しでも水分を補給しようとランドセルを降ろそうとして──
いくらほど歩いただろうか。さっきはようやく入り口に辿り着いたと思ったのに、
ほっと一息ついてさあ入ろうかと歩き始めたらいつの間にか入り口を見失ってしまっていた。
後ろを見ても建物の陰も形も見えず、知らぬ間に霧までもが発生している。
とうとう精神的にも限界がきたか、二人は地面に座りこんでしまった。
「ヒナ……もうだめぇ……」
「何かもう色々と嫌になったわ……」
どう考えてもこの状況で休むのは無防備すぎる。だからってどうすることも出来ないのだが。
せめて木でも見つかればと内心で毒づく。
それから、とりあえず少しでも水分を補給しようとランドセルを降ろそうとして──
肩に激痛が走って、血が飛んで──
「……はずしてしまったのだわ」
わずかに顔をゆがめた、そういえばさっき雛苺が話してたようなかっこの少女が現れてから──
「し……んく……?」
ようやく、これはどうやら危険な状況だと判断することができていた。
「……はずしてしまったのだわ」
わずかに顔をゆがめた、そういえばさっき雛苺が話してたようなかっこの少女が現れてから──
「し……んく……?」
ようやく、これはどうやら危険な状況だと判断することができていた。
見つけた標的の片方が知り合いだと分かってしまって。だからって動揺することはないのに。
「……私もまだ、覚悟が足りてないようね」
地に膝をついている少女でなく、呆然としている雛苺の方に照準を変える。
彼女が逃げださない内に。それから最早風前の灯火となった少女を。
確実に、両方とも仕留めるために。
かつての水銀燈を見ているような、怯えに恐怖……そしてきっと、侮蔑の混じった視線。
それでも真紅はもう迷わなかった。自分が穢れていくことを厭わなかった。
「ごめんなさい、雛苺」
最後にかつて同じ家で暮らしていた仲間に、分かれの言葉を乗せて。
「……私もまだ、覚悟が足りてないようね」
地に膝をついている少女でなく、呆然としている雛苺の方に照準を変える。
彼女が逃げださない内に。それから最早風前の灯火となった少女を。
確実に、両方とも仕留めるために。
かつての水銀燈を見ているような、怯えに恐怖……そしてきっと、侮蔑の混じった視線。
それでも真紅はもう迷わなかった。自分が穢れていくことを厭わなかった。
「ごめんなさい、雛苺」
最後にかつて同じ家で暮らしていた仲間に、分かれの言葉を乗せて。
一直線に舞う薔薇の花弁は──
「……が……ぐぅっ……」
皮肉にも、花弁は薔薇乙女を傷つけることを避けたかのように別の人物を貫いた。
「じゅ…………じゅ…………?」
さっきから一歩も動かなかった雛苺が、ようやく一歩後ずさった。
目の前には血に濡れた少女。たったさっき知り合って、それまでは元気だったあの子。
「じゅ…………じゅ…………?」
さっきから一歩も動かなかった雛苺が、ようやく一歩後ずさった。
目の前には血に濡れた少女。たったさっき知り合って、それまでは元気だったあの子。
「……大丈……夫……こんなの、なんてこと……ないわよ」
肩と胸を貫かれた。血が止まらない。もう助からないことなんて考えなくても分かっていた。
だからこそ、残された時間で出来ることをしなければならないのだ。
「これ……持って、先に行きなさい。この……Wってかいてある方に……走り続ければ、いいから。
…………すぐ、追いつく……わよ……」
手渡したのはノートパソコン、それとコンパス。あいつの気がそれた内にすぐ引き出したものだ。
こんな機械、きっとあの子にだって使い方は分からないだろう。
でも、もし善良で使い方が分かるような人に会うことができれば、あるいは脱出の力になれるかもしれない
そしてコンパスは霧からの脱出のため。大方あいつの魔法かなんかだろう。
とにかくそれから逃げおおせられればそれでいいのだ。
「行って!」
私が叫んだ途端、火が点いたように雛苺が走り去った。
そして直に見えなくなった。
肩と胸を貫かれた。血が止まらない。もう助からないことなんて考えなくても分かっていた。
だからこそ、残された時間で出来ることをしなければならないのだ。
「これ……持って、先に行きなさい。この……Wってかいてある方に……走り続ければ、いいから。
…………すぐ、追いつく……わよ……」
手渡したのはノートパソコン、それとコンパス。あいつの気がそれた内にすぐ引き出したものだ。
こんな機械、きっとあの子にだって使い方は分からないだろう。
でも、もし善良で使い方が分かるような人に会うことができれば、あるいは脱出の力になれるかもしれない
そしてコンパスは霧からの脱出のため。大方あいつの魔法かなんかだろう。
とにかくそれから逃げおおせられればそれでいいのだ。
「行って!」
私が叫んだ途端、火が点いたように雛苺が走り去った。
そして直に見えなくなった。
「……また、逃がしたか」
体から流れる血が、雛苺が落としていったぬいぐるみを紅く濡らす。
残った力を振り絞って、紅い少女の方に向き直る。
「何か、言い残すことはあるかしら」
バットも置いてきてしまったから、もうどうしようもないのだけれど。
だから、その代わりに口を開いた。
体から流れる血が、雛苺が落としていったぬいぐるみを紅く濡らす。
残った力を振り絞って、紅い少女の方に向き直る。
「何か、言い残すことはあるかしら」
バットも置いてきてしまったから、もうどうしようもないのだけれど。
だから、その代わりに口を開いた。
「くそばか」
◆
急所を外したとはいえ、体を貫いたのは確かだ。
普通の人間なら動くこともできない傷。それでも彼女は雛苺を庇い、そして散った。
普通の人間なら動くこともできない傷。それでも彼女は雛苺を庇い、そして散った。
雛苺が、あんなにしっかりしてるなんて思わなかった。てっきり彼女が散ったあとも
足がすくみその場に立ち尽くしてるかと思ったのに。
既に彼女の姿は見えない。これ以上深追いしたらあの少年に引き離されてしまう。
ここは諦めざるを得ないようだ。
足がすくみその場に立ち尽くしてるかと思ったのに。
既に彼女の姿は見えない。これ以上深追いしたらあの少年に引き離されてしまう。
ここは諦めざるを得ないようだ。
さっきの場所からは大して離れてはいない。
少し移動速度をあげれば直に追いつくだろう。
少し移動速度をあげれば直に追いつくだろう。
二人分の荷物を入れたランドセルを背中に、紅い蝶は再び南を目指す。
もう、逃すまい。
【H-6 北端/一日目/昼】
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]: 健康
[装備]: パピヨンマスク@武装錬金、核金LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)拡散状態@武装錬金
[道具]: 支給品一式(食料のみx2)、マジカントバット
[思考・状況]
1: レックスを南下させ、戦闘させる
2: 参加者と接触し、情報を得た後殺害する
3: 最後の一人になる
※ジュジュのランドセルから食料と武器だけを抜き取りました。
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]: 健康
[装備]: パピヨンマスク@武装錬金、核金LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)拡散状態@武装錬金
[道具]: 支給品一式(食料のみx2)、マジカントバット
[思考・状況]
1: レックスを南下させ、戦闘させる
2: 参加者と接触し、情報を得た後殺害する
3: 最後の一人になる
※ジュジュのランドセルから食料と武器だけを抜き取りました。
【H-6 橋/一日目/昼】
【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:すこし疲労
[装備]:ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り3回)
[道具]:基本支給品、エーテル×5@FINAL FANTASY4
[思考]
第一行動方針:南の廃墟で戦闘を起こすなどして、真紅を誘き寄せて殺す。
廃墟に人がいなくなったら(いなかったら)戻り、残っていればアリサを殺す。
第二行動方針:タバサの居場所を知るために、三人殺してご褒美を得る。
第三行動方針:タバサ以外の参加者を全て殺し、最後に自殺してタバサを優勝させる。
第四行動方針:もしタバサが死亡した場合、自分が優勝を目指し、タバサの蘇生を願う。
基本行動方針:兄妹どちらかの優勝(タバサ優先) できれば二人でグランバニアの両親の元に帰る。
参戦時期:エンディング直後
[備考] エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:すこし疲労
[装備]:ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り3回)
[道具]:基本支給品、エーテル×5@FINAL FANTASY4
[思考]
第一行動方針:南の廃墟で戦闘を起こすなどして、真紅を誘き寄せて殺す。
廃墟に人がいなくなったら(いなかったら)戻り、残っていればアリサを殺す。
第二行動方針:タバサの居場所を知るために、三人殺してご褒美を得る。
第三行動方針:タバサ以外の参加者を全て殺し、最後に自殺してタバサを優勝させる。
第四行動方針:もしタバサが死亡した場合、自分が優勝を目指し、タバサの蘇生を願う。
基本行動方針:兄妹どちらかの優勝(タバサ優先) できれば二人でグランバニアの両親の元に帰る。
参戦時期:エンディング直後
[備考] エンディング後なので、呪文は一通り習得済み
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:大分疲労、精神的ショック大
[装備]:光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、ジュジュのコンパス
[道具]:支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
[思考]
1:ジュジュの言った通りとにかく西に逃げる。
2:ジュジュが死んだことに気付いているが、認めたくない。
3:真紅のやったことが信じられない。
4:みんな(ドール達)と会いたい。
※支給品はぬいぐるみ以外確認していません。
※微妙に西をそれてやや南西よりに移動しています。
[状態]:大分疲労、精神的ショック大
[装備]:光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、ジュジュのコンパス
[道具]:支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
[思考]
1:ジュジュの言った通りとにかく西に逃げる。
2:ジュジュが死んだことに気付いているが、認めたくない。
3:真紅のやったことが信じられない。
4:みんな(ドール達)と会いたい。
※支給品はぬいぐるみ以外確認していません。
※微妙に西をそれてやや南西よりに移動しています。
【ジュジュ・クー・シュナムル@魔法陣グルグル 死亡確認】
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