「ポレポレ~ッ!!」◆Nxwpg0XSAk
ククリがあのフロアから転送されて最初に見えたのは、一面に敷き詰められている闇だけだった。
辺りを見回したが何も見えない。ここがどこなのか、本当に周りに誰もいないのかすらも分からなかった。
これでは荷物の確認すら出来ないだろう。
「誰か~、いませんか~? 勇者さま~、どこ~?」
とりあえず呼びかけてみるものの、木霊が返ってきただけだった。
そのことに不気味さを感じたものの、まずはここから出なければいけないと考え歩くことにした。
暗闇の中であちこちにぶつかりながらも何とか出口らしき場所に辿り着き、扉を開けてみる。
そこはテラスのような場所で、青い空が広がっていた。
ククリは建物から出られたことに安堵しつつも、テラスの縁により眼下を覗いてみる。
「…落ちちゃったら…死んじゃうよね」
そこには50mほどの高さの白い壁が広がっていた。あまりの高さのためか頭部が痛みを訴える。
ふらつく頭を押さえつつ、頭上を見上げてみると円錐状の建築物があった。
「お城…かな?」
建物の全貌は巨大すぎて分からなかったが今までの記憶と先ほど見た光景を照らし合わせて城だと予測し、
今自分のいる場所は最上階だろうと見当をつける。そして、ふと気が付いた。杖を持っていないことに。
(大変だ!!)
ククリは杖がなければ自身がなにもできないことに気付き。杖か箒か何かが鞄の中に入っているであろう荷物の確認をすることにした。
中には不思議な道具や食料などが入っており、支給品と呼ばれる物は自分の愛用しているものとは違う鳥の飾りが付いた杖に
赤い目覚まし時計、そして訳の分からない小さい道具だった。それぞれに説明書が付いていたものの『携帯電話』というアイテムだけは
意味が分からなかった。ククリは分からないものはしかたがないと思い別のことを考える。
(勇者さま、ジュジュちゃん、トマくん、どこ?)
名簿に載っていた仲間のことを思い浮かべる。今まで彼らと旅をしてきたが、一人で冒険する機会はあまりなかったために
不安になる。とにかく仲間を探さねばと思い、自分の力――『魔法陣グルグル』を使うため杖の先端を地面に押し付けながら踊る。
すると杖の先から光が発せられ、その光でククリは硬い地面に魔法陣を描く。描き終わると煙が発生し、
その中から、もじゃもじゃした円盤型の獣が生まれた。
「…いつもよりちっちゃいね」
だが、その空を飛ぶための召喚獣『ヨンヨン』は彼女の想像していたものよりもかなり小さかった。
だが決して失敗ではない。グルグルとはククリの心に左右される魔法であるため、失敗した場合は巨大な笑う花や
巨大な禿親父等の別のものが召喚されるだけであって、このような現象はククリにとっては始めてであった。
そんなことを考えていた彼女の脳裏にとある言葉が浮かんだ。
『どの幼子にもチャンスがあるように、強過ぎる力は強さに応じて制限させてもらった。
そしてランダムで支給品を与えるので、それと『知恵と勇気』で戦い抜いてもらいたい』
自分の力はあの魔族に制限されているらしい。以前にもグルグルが使えなくなったことがあったが、
そのときは自身が原因であった。
(どうやったの?)
ゆえに、他人にグルグルを制限されることは始めてであったため、魔王ギリですらも不可能なことを成し遂げた
あの魔族の力は、どれほどのものなのだろうかと考える。
(勝てるのかな?)
そして、ジェダと名乗る魔族に立ち向かったために首を吹き飛ばされてしまった魔法使いに自分を重ね思わず身震いする。
(でも、大丈夫だもん。勇者さまがいればどんなことでもなんとかなる。今までもそうだったし。
それに、ジュジュちゃんやトマくんだっているから絶対やっつけられるもん)
そう勇者のパーティとしての自分を奮い立たせ、ジェダを倒すことを決意する。
とにかく誰かを探そうと思い、ククリは一人乗りサイズのヨンヨンに乗り、先ほど眼下に見えた桜の木を目指すことにした。
辺りを見回したが何も見えない。ここがどこなのか、本当に周りに誰もいないのかすらも分からなかった。
これでは荷物の確認すら出来ないだろう。
「誰か~、いませんか~? 勇者さま~、どこ~?」
とりあえず呼びかけてみるものの、木霊が返ってきただけだった。
そのことに不気味さを感じたものの、まずはここから出なければいけないと考え歩くことにした。
暗闇の中であちこちにぶつかりながらも何とか出口らしき場所に辿り着き、扉を開けてみる。
そこはテラスのような場所で、青い空が広がっていた。
ククリは建物から出られたことに安堵しつつも、テラスの縁により眼下を覗いてみる。
「…落ちちゃったら…死んじゃうよね」
そこには50mほどの高さの白い壁が広がっていた。あまりの高さのためか頭部が痛みを訴える。
ふらつく頭を押さえつつ、頭上を見上げてみると円錐状の建築物があった。
「お城…かな?」
建物の全貌は巨大すぎて分からなかったが今までの記憶と先ほど見た光景を照らし合わせて城だと予測し、
今自分のいる場所は最上階だろうと見当をつける。そして、ふと気が付いた。杖を持っていないことに。
(大変だ!!)
ククリは杖がなければ自身がなにもできないことに気付き。杖か箒か何かが鞄の中に入っているであろう荷物の確認をすることにした。
中には不思議な道具や食料などが入っており、支給品と呼ばれる物は自分の愛用しているものとは違う鳥の飾りが付いた杖に
赤い目覚まし時計、そして訳の分からない小さい道具だった。それぞれに説明書が付いていたものの『携帯電話』というアイテムだけは
意味が分からなかった。ククリは分からないものはしかたがないと思い別のことを考える。
(勇者さま、ジュジュちゃん、トマくん、どこ?)
名簿に載っていた仲間のことを思い浮かべる。今まで彼らと旅をしてきたが、一人で冒険する機会はあまりなかったために
不安になる。とにかく仲間を探さねばと思い、自分の力――『魔法陣グルグル』を使うため杖の先端を地面に押し付けながら踊る。
すると杖の先から光が発せられ、その光でククリは硬い地面に魔法陣を描く。描き終わると煙が発生し、
その中から、もじゃもじゃした円盤型の獣が生まれた。
「…いつもよりちっちゃいね」
だが、その空を飛ぶための召喚獣『ヨンヨン』は彼女の想像していたものよりもかなり小さかった。
だが決して失敗ではない。グルグルとはククリの心に左右される魔法であるため、失敗した場合は巨大な笑う花や
巨大な禿親父等の別のものが召喚されるだけであって、このような現象はククリにとっては始めてであった。
そんなことを考えていた彼女の脳裏にとある言葉が浮かんだ。
『どの幼子にもチャンスがあるように、強過ぎる力は強さに応じて制限させてもらった。
そしてランダムで支給品を与えるので、それと『知恵と勇気』で戦い抜いてもらいたい』
自分の力はあの魔族に制限されているらしい。以前にもグルグルが使えなくなったことがあったが、
そのときは自身が原因であった。
(どうやったの?)
ゆえに、他人にグルグルを制限されることは始めてであったため、魔王ギリですらも不可能なことを成し遂げた
あの魔族の力は、どれほどのものなのだろうかと考える。
(勝てるのかな?)
そして、ジェダと名乗る魔族に立ち向かったために首を吹き飛ばされてしまった魔法使いに自分を重ね思わず身震いする。
(でも、大丈夫だもん。勇者さまがいればどんなことでもなんとかなる。今までもそうだったし。
それに、ジュジュちゃんやトマくんだっているから絶対やっつけられるもん)
そう勇者のパーティとしての自分を奮い立たせ、ジェダを倒すことを決意する。
とにかく誰かを探そうと思い、ククリは一人乗りサイズのヨンヨンに乗り、先ほど眼下に見えた桜の木を目指すことにした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(もう殺し合いは始まっているんだ)
ゴンは憤りつつ目の前の斬殺された遺体を見ながらそう思った。
その死んでしまった少年の苦悶に満ちた、それでいて悲しそうな表情を見ながら開いた瞳を閉じ、これからどうするかを考える。
(埋めてあげなきゃ)
そう考え穴を掘ることにする。『絶』を解除し右手に『練』を篭めて地面を殴りつける。
轟音と共に、人ひとりが入れるような穴ができあがった。ゴンはそのできあがった穴に、少年の遺体を横たえようとした。
だがその時、彼の耳に鳥が飛んでくるような風きり音が聞こえてきた。彼がその方向を見ると、何かがこちらに飛んでくるのが見えた。
ゴンは一旦作業を中断して、それがやってくることを待つことにした。自分やキルアが合流したとしても状況は打開できない、
誰か別の仲間が必要だろうと考えたからだ。そうしてゴンが待っていると、見たことも無い円盤状の獣とそれに乗った女の子が
少し離れた所に舞い降りてきた。女の子の格好は杖を持ち、二つのおさげを両肩からたらしており、黒い服を着ているだけで
他に変わったところはなかった。
「始めまして、私はククリと言います」
「俺はゴン、よろしく」
ゴンは相手が友好的に接してきたので、敵ではないと感じ情報交換をしようと思った。
(ひょっとしたら、この子はキルアのことを知っているかもしれない)
そう思い、ゴンは少女の次の言葉を待つ。
「………」
だが、自己紹介をしたきり相手は言葉を発さず、青ざめた表情をしている。
なぜだろうとゴンは考え、とあることを思い出した。それは自分の背後にある、埋葬される前の遺体の存在。
(もしかして、俺勘違いされてる?)
とんでもない誤解をされているのではないのだろうかと考え、ゴンは否定の言葉を紡ごうとした。
「こ…」
「来ないで!!」
だがククリはゴン言葉を遮るように叫び、踊りながら杖を筆に大地をキャンパスに見立てたかのように、地に何かを描く。
そして少女の足元が光り、煙が噴出した。
ゴンはマズイと思い咄嗟に飛び掛ろうとしたが、その行動は煙の中から迫ってくる何かに止められることとなった。
「ポレポレ~ッ!!」
その何かは、飛び掛ろうとしたために回避できないゴンに向かって高速で殴りかかってきた。
ゴンは両手をクロスさせ防御のための念、『堅』を用いて相手の一撃を受け止めようとする。
相手の右拳がゴンの両腕に突き刺さり、両者の肉体に衝撃が走り、肉と肉がぶつかる音がその場に響く。
「クッ!!」
ゴンは堪えようと踏ん張ったものの、体重が軽かったためかあっさり吹き飛ばされてしまった。
ダメージ自体は0であったために、空中で簡単に体勢を立て直し地へと両足をつける。
ゴンはその場で構えながら、突然現れた自分を殴った相手を観察する。
相手は鎧を着込んだ老人だった。身長は自分と同程度であったが、とてもではないが先ほどの力を出せるようには見えない。
また自分に気配を悟らせずに、どうやって近づいてきたのかすらも分からなかった。
(具現化系の念能力者?)
とはいえ、普通の人にとっては不思議な現象も念能力者である彼にとっては既存の知識の範囲内であったため
少女を具現化系に連なる念能力者、老人を念で出来た人形と判断した。
「やっちゃって!!」
「ポレポレ~ッ!!」
少女の命令に従い老人が再び襲ってきた。だが、ゴンは左手をポケット入れたまま、相手が眼前に迫ってくるまで動こうとしなかった。
「ポレポレ~ッ!!」
老人が踏み込み、その拳がゴンの顔面を貫くように打ち放たれる。
「えい!!」
だが、それを赤いマント―――ヒラリマントで受け止める。するとヒラリマントの効果で老人の拳が反れた。
その隙にゴンは全力で地を踏み込み、体勢を崩したためにがら空きとなった老人のボディに念で強化した右拳を突き立てる。
車が人を撥ね飛ばすような轟音と共に老人が吹き飛んだ。
「ポレ…ポ…レ…」
そんな最後の言葉を残し、吹き飛ばされた老人は煙となって掻き消えた。
そのことを確認したゴンが残された少女を取り押さえようと、そちらの方を振り向くとまた煙と共に地面が光り、
そこから再び何かが現れた。煙が晴れると小さな人間と劇場が、いつのまにかその場にできていた。
「ミグミグ劇場が始まるよ~」
少女によって具現化されたであろう小さな人間がそんなことを言いつつ、これもまた作りだされたであろう劇場へと
登っていき、閉まっていたカーテンの中へと入っていった。いかにも簡単に破壊できそうな小さな建物である。
だが、ゴンは落ち着いて対処することにした。先ほどは迂闊にも飛び込んでしまったが、具現化されたものの脇を
カウンター気味に通り抜けて、少女に近づいてしまえば容易に相手を取り押さえられると踏んだからだ。
接近する機会を窺うために、劇場のような物を注視する。
そうしていると閉め切ったカーテンが少し開き、中から奇妙な兎の被り物をした人物がこちらの様子を窺ってきた。
何をしてくるのだろうと警戒していると、視界の端に先ほどのUFOに乗った少女が逃げていくのが見える。
「待って!」
そう言い、彼女を追うために体を動かそうとした。だが、
(う、動かない!?)
そう、ゴンの体は劇場を注視したまま首を動かすことさえできなかった。
彼の目の前にあるものはミグミグ劇場、演劇に意識を引き入られた相手を動かせなくするグルグルと呼ばれる魔法。
その『じっと観客を睨む劇』を注視することによって、ゴンは体を動かせなくされてしまったのだ。
数十秒後、劇場も消えて動けるようになったゴンが、少女のいた方向を見つめたが既に彼の目の届かない所に
行ってしまったらしく、少女の姿を見つけることが出来なかった。
すぐに少女の後を追って誤解を解こうとは考えたものの、このまま遺体を野ざらしにしてしまえば、野性の動物に食い荒らされてしまうと
思いなおし、ゴンは遺体を埋め終ってからククリと名乗る少女の後を追った。
ゴンは憤りつつ目の前の斬殺された遺体を見ながらそう思った。
その死んでしまった少年の苦悶に満ちた、それでいて悲しそうな表情を見ながら開いた瞳を閉じ、これからどうするかを考える。
(埋めてあげなきゃ)
そう考え穴を掘ることにする。『絶』を解除し右手に『練』を篭めて地面を殴りつける。
轟音と共に、人ひとりが入れるような穴ができあがった。ゴンはそのできあがった穴に、少年の遺体を横たえようとした。
だがその時、彼の耳に鳥が飛んでくるような風きり音が聞こえてきた。彼がその方向を見ると、何かがこちらに飛んでくるのが見えた。
ゴンは一旦作業を中断して、それがやってくることを待つことにした。自分やキルアが合流したとしても状況は打開できない、
誰か別の仲間が必要だろうと考えたからだ。そうしてゴンが待っていると、見たことも無い円盤状の獣とそれに乗った女の子が
少し離れた所に舞い降りてきた。女の子の格好は杖を持ち、二つのおさげを両肩からたらしており、黒い服を着ているだけで
他に変わったところはなかった。
「始めまして、私はククリと言います」
「俺はゴン、よろしく」
ゴンは相手が友好的に接してきたので、敵ではないと感じ情報交換をしようと思った。
(ひょっとしたら、この子はキルアのことを知っているかもしれない)
そう思い、ゴンは少女の次の言葉を待つ。
「………」
だが、自己紹介をしたきり相手は言葉を発さず、青ざめた表情をしている。
なぜだろうとゴンは考え、とあることを思い出した。それは自分の背後にある、埋葬される前の遺体の存在。
(もしかして、俺勘違いされてる?)
とんでもない誤解をされているのではないのだろうかと考え、ゴンは否定の言葉を紡ごうとした。
「こ…」
「来ないで!!」
だがククリはゴン言葉を遮るように叫び、踊りながら杖を筆に大地をキャンパスに見立てたかのように、地に何かを描く。
そして少女の足元が光り、煙が噴出した。
ゴンはマズイと思い咄嗟に飛び掛ろうとしたが、その行動は煙の中から迫ってくる何かに止められることとなった。
「ポレポレ~ッ!!」
その何かは、飛び掛ろうとしたために回避できないゴンに向かって高速で殴りかかってきた。
ゴンは両手をクロスさせ防御のための念、『堅』を用いて相手の一撃を受け止めようとする。
相手の右拳がゴンの両腕に突き刺さり、両者の肉体に衝撃が走り、肉と肉がぶつかる音がその場に響く。
「クッ!!」
ゴンは堪えようと踏ん張ったものの、体重が軽かったためかあっさり吹き飛ばされてしまった。
ダメージ自体は0であったために、空中で簡単に体勢を立て直し地へと両足をつける。
ゴンはその場で構えながら、突然現れた自分を殴った相手を観察する。
相手は鎧を着込んだ老人だった。身長は自分と同程度であったが、とてもではないが先ほどの力を出せるようには見えない。
また自分に気配を悟らせずに、どうやって近づいてきたのかすらも分からなかった。
(具現化系の念能力者?)
とはいえ、普通の人にとっては不思議な現象も念能力者である彼にとっては既存の知識の範囲内であったため
少女を具現化系に連なる念能力者、老人を念で出来た人形と判断した。
「やっちゃって!!」
「ポレポレ~ッ!!」
少女の命令に従い老人が再び襲ってきた。だが、ゴンは左手をポケット入れたまま、相手が眼前に迫ってくるまで動こうとしなかった。
「ポレポレ~ッ!!」
老人が踏み込み、その拳がゴンの顔面を貫くように打ち放たれる。
「えい!!」
だが、それを赤いマント―――ヒラリマントで受け止める。するとヒラリマントの効果で老人の拳が反れた。
その隙にゴンは全力で地を踏み込み、体勢を崩したためにがら空きとなった老人のボディに念で強化した右拳を突き立てる。
車が人を撥ね飛ばすような轟音と共に老人が吹き飛んだ。
「ポレ…ポ…レ…」
そんな最後の言葉を残し、吹き飛ばされた老人は煙となって掻き消えた。
そのことを確認したゴンが残された少女を取り押さえようと、そちらの方を振り向くとまた煙と共に地面が光り、
そこから再び何かが現れた。煙が晴れると小さな人間と劇場が、いつのまにかその場にできていた。
「ミグミグ劇場が始まるよ~」
少女によって具現化されたであろう小さな人間がそんなことを言いつつ、これもまた作りだされたであろう劇場へと
登っていき、閉まっていたカーテンの中へと入っていった。いかにも簡単に破壊できそうな小さな建物である。
だが、ゴンは落ち着いて対処することにした。先ほどは迂闊にも飛び込んでしまったが、具現化されたものの脇を
カウンター気味に通り抜けて、少女に近づいてしまえば容易に相手を取り押さえられると踏んだからだ。
接近する機会を窺うために、劇場のような物を注視する。
そうしていると閉め切ったカーテンが少し開き、中から奇妙な兎の被り物をした人物がこちらの様子を窺ってきた。
何をしてくるのだろうと警戒していると、視界の端に先ほどのUFOに乗った少女が逃げていくのが見える。
「待って!」
そう言い、彼女を追うために体を動かそうとした。だが、
(う、動かない!?)
そう、ゴンの体は劇場を注視したまま首を動かすことさえできなかった。
彼の目の前にあるものはミグミグ劇場、演劇に意識を引き入られた相手を動かせなくするグルグルと呼ばれる魔法。
その『じっと観客を睨む劇』を注視することによって、ゴンは体を動かせなくされてしまったのだ。
数十秒後、劇場も消えて動けるようになったゴンが、少女のいた方向を見つめたが既に彼の目の届かない所に
行ってしまったらしく、少女の姿を見つけることが出来なかった。
すぐに少女の後を追って誤解を解こうとは考えたものの、このまま遺体を野ざらしにしてしまえば、野性の動物に食い荒らされてしまうと
思いなおし、ゴンは遺体を埋め終ってからククリと名乗る少女の後を追った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(もう殺し合いは始まっちゃてるんだ)
ククリはゴンと名乗る黒髪のとげとげ頭の少年から逃げる最中にそう思った。
武器こそ持っていなかったものの、グルグルを簡単に退けられる少年に恐怖を抱いていた。
あのまま戦っていたらどうなっていたか分からなかった、だから逃げた。最強である勇者を探すために。
あの殺し合いに乗った少年を倒すために。
(勇者さま達はあんなことにならないよね)
そうして思い浮かべる。自分とたいして年の変わらない少年が、魔法で作った剣で別の少年を斬殺する様子を。
勇者が、ジュジュが、トマが誰かに切り裂かれる様子を。
(勇者さま……会いたいよぉ)
ククリは怯えながらも、ヨンヨンに乗って愛しい勇者を探す。
例え離れていても、ピンチの時には必ず彼は助けに来てくれる筈だから。
ククリはゴンと名乗る黒髪のとげとげ頭の少年から逃げる最中にそう思った。
武器こそ持っていなかったものの、グルグルを簡単に退けられる少年に恐怖を抱いていた。
あのまま戦っていたらどうなっていたか分からなかった、だから逃げた。最強である勇者を探すために。
あの殺し合いに乗った少年を倒すために。
(勇者さま達はあんなことにならないよね)
そうして思い浮かべる。自分とたいして年の変わらない少年が、魔法で作った剣で別の少年を斬殺する様子を。
勇者が、ジュジュが、トマが誰かに切り裂かれる様子を。
(勇者さま……会いたいよぉ)
ククリは怯えながらも、ヨンヨンに乗って愛しい勇者を探す。
例え離れていても、ピンチの時には必ず彼は助けに来てくれる筈だから。
【F-1/桜の下/1日目/午前】
【ゴン@HUNTER×HUNTER】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ひらりマント@ドラえもん(ポケットに入ってます)
[道具]:基本支給品、未使用の支給品×1
[思考]
1、ククリを追って誤解を解きたい
2、キルアを探す
3、ゲームを止める
[備考]:サトシの遺体はF-1の桜の下に埋められました。また、ククリのグルグルの魔法陣が3つその場に残されています。
【ゴン@HUNTER×HUNTER】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ひらりマント@ドラえもん(ポケットに入ってます)
[道具]:基本支給品、未使用の支給品×1
[思考]
1、ククリを追って誤解を解きたい
2、キルアを探す
3、ゲームを止める
[備考]:サトシの遺体はF-1の桜の下に埋められました。また、ククリのグルグルの魔法陣が3つその場に残されています。
【F-1/空中/1日目/午前】
【ククリ@魔法陣グルグル】
[状態]:魔力消耗(小)、ヨンヨン召喚
[装備]:ベホイミの杖@ぱにぽに
[道具]:基本支給品、インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録、目覚まし時計@せんせいのお時間
[思考]
1、 勇者さまとジュジュちゃんとトマくんを探す
2、 とりあえずゴンから逃げる
3、ジェダを倒す
[備考]:ゴンが殺し合いに乗っていると考えている。ククリの逃走先は次の書き手さんに任せます。
【ククリ@魔法陣グルグル】
[状態]:魔力消耗(小)、ヨンヨン召喚
[装備]:ベホイミの杖@ぱにぽに
[道具]:基本支給品、インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録、目覚まし時計@せんせいのお時間
[思考]
1、 勇者さまとジュジュちゃんとトマくんを探す
2、 とりあえずゴンから逃げる
3、ジェダを倒す
[備考]:ゴンが殺し合いに乗っていると考えている。ククリの逃走先は次の書き手さんに任せます。
アイテム解説
【インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録】
学園都市製の携帯電話。上条当麻の番号しか入っていない。ちなみに原作では役に立たないことの方が多い。
学園都市製の携帯電話。上条当麻の番号しか入っていない。ちなみに原作では役に立たないことの方が多い。
【ベホイミの杖@ぱにぽに】
1年D組に在籍する生徒、ベホイミの杖。鳥を模った飾りが片端に付いている。二巻からはその存在を消しており、
一巻でしか確認できない。特殊な効果はなし、回復効果すら期待できない。ドラクエとは関係が無い。
1年D組に在籍する生徒、ベホイミの杖。鳥を模った飾りが片端に付いている。二巻からはその存在を消しており、
一巻でしか確認できない。特殊な効果はなし、回復効果すら期待できない。ドラクエとは関係が無い。
【目覚まし時計@せんせいのお時間】
鈴木みか愛用の赤い目覚まし時計。アナログ式。
鈴木みか愛用の赤い目覚まし時計。アナログ式。
グルグル補足説明
【ヨンヨン@魔法陣グルグル】
UFO型の謎の生物、空を飛べる。本来は複数乗れるけど制限により一人乗りサイズになっている。
UFO型の謎の生物、空を飛べる。本来は複数乗れるけど制限により一人乗りサイズになっている。
【じいさん大活躍@魔法陣グルグル】
ポレポレと叫ぶ鎧を着た魔人を呼び出す、じいさんだけど格闘能力が高い。本来は大型だが制限により子供サイズになっている。
ポレポレと叫ぶ鎧を着た魔人を呼び出す、じいさんだけど格闘能力が高い。本来は大型だが制限により子供サイズになっている。
【ミグミグ劇場@魔法陣グルグル】
演劇により敵の意識を引き付け足止めする魔法。制限により効果は一分きっかり。
演劇により敵の意識を引き付け足止めする魔法。制限により効果は一分きっかり。
≪042:英雄志願 | 時系列順に読む | 044:もっと楽しいことして遊ばない?≫ |
≪042:英雄志願 | 投下順に読む | 044:もっと楽しいことして遊ばない?≫ |
≪016:ゴン×制限×血の臭い | ゴンの登場SSを読む | 070:禁忌『エキストラバージン』≫ |
GAME START | ククリの登場SSを読む |