もっと楽しいことして遊ばない? ◆uOOKVmx.oM
他の参加者に遅れること数十分。リリスは森の上で目を覚ました。
退屈な城内から解き放たれたこともあってか、森からのそよ風は柔らかく心地よく感じる。
これで嫌味っぽく輝く太陽が、血に染まるような赤い満月なら最高だろう。
他の参加者の持つ悲壮感とは逆にリリスは上機嫌だった。
それもそのはず、彼女達サキュバスにとって退屈とは空腹の同意語である。
たとえ自らを滅ぼす事になろうとも快楽を追い求めてしまう。そんな困った種族なのだ。
しかも今回の彼女はちゃんとした目的を持って参加していた。機嫌の悪いはずがない。
退屈な城内から解き放たれたこともあってか、森からのそよ風は柔らかく心地よく感じる。
これで嫌味っぽく輝く太陽が、血に染まるような赤い満月なら最高だろう。
他の参加者の持つ悲壮感とは逆にリリスは上機嫌だった。
それもそのはず、彼女達サキュバスにとって退屈とは空腹の同意語である。
たとえ自らを滅ぼす事になろうとも快楽を追い求めてしまう。そんな困った種族なのだ。
しかも今回の彼女はちゃんとした目的を持って参加していた。機嫌の悪いはずがない。
(優勝すれば『本当の身体』を貰えるかな?)
ジェダは魔力だけの存在であった自分にかりそめの身体を作ってくれた。
それには感謝しているつもりだ。だから退屈な命令にだって従ってきた。
暗くて冷たくて寂しい指輪に封じられていた時より、ずっと楽しかったから。
なのにジェダはいつまで待っても本当の身体の在処を教えてくれない。
不満を燻らせていた所に今回のゲームだった。死んだ娘に感謝したいくらいだ。
それには感謝しているつもりだ。だから退屈な命令にだって従ってきた。
暗くて冷たくて寂しい指輪に封じられていた時より、ずっと楽しかったから。
なのにジェダはいつまで待っても本当の身体の在処を教えてくれない。
不満を燻らせていた所に今回のゲームだった。死んだ娘に感謝したいくらいだ。
「ランラランララーン♪」
リリスはハミングしながらランドセルを開けた。鮮血のように赤い色のランドセル。
実はキュービーが用意している時から目を付けていたのだ。絶対この色が欲しいと。
支給品は3つ入っていたが、結論から言えば大きく期待外れだった。
実はキュービーが用意している時から目を付けていたのだ。絶対この色が欲しいと。
支給品は3つ入っていたが、結論から言えば大きく期待外れだった。
一つ目は古ぼけた指輪。
地味な上に宝石もない指輪は、一度も指を通される事もなくランドセルへ放り込まれた。
数百年の長きに渡って指輪に封じられていたのだから、毛嫌いするのも無理はない。
二つ目は拳銃。
引き金を引いてみたが弾が出ない。振ったり銃口を覗いたりしたがやはり出ない。
玩具だと決め付けランドセルへ放り込んだ。安全装置のせいだが説明書は読まない主義らしい。
三つ目はラム酒だった。
取りあえず匂いを嗅ぎ、口を付けてみたが一口で吐き出した。火の点くような度の強い酒。
アルコールは別に大丈夫だが、甘味を期待していたリリスは顔をしかめた。
大人はこんな苦いものを飲んでいるのかと感心し、もうちょっと子供でもいいかなーとも思った。
結局これもランドセルへ放り込まれた。好みには合わなかったのか、飲料水で口を濯いでいる。
その参加者に配られた水も食料も、彼女は必要とはしてしない。サキュバスの糧は他人が放つ快楽。
それを手軽に摂取する方法が夜の夢を奪うことであり、直接肉体に快楽を与え精を絞ることなのだ。
地味な上に宝石もない指輪は、一度も指を通される事もなくランドセルへ放り込まれた。
数百年の長きに渡って指輪に封じられていたのだから、毛嫌いするのも無理はない。
二つ目は拳銃。
引き金を引いてみたが弾が出ない。振ったり銃口を覗いたりしたがやはり出ない。
玩具だと決め付けランドセルへ放り込んだ。安全装置のせいだが説明書は読まない主義らしい。
三つ目はラム酒だった。
取りあえず匂いを嗅ぎ、口を付けてみたが一口で吐き出した。火の点くような度の強い酒。
アルコールは別に大丈夫だが、甘味を期待していたリリスは顔をしかめた。
大人はこんな苦いものを飲んでいるのかと感心し、もうちょっと子供でもいいかなーとも思った。
結局これもランドセルへ放り込まれた。好みには合わなかったのか、飲料水で口を濯いでいる。
その参加者に配られた水も食料も、彼女は必要とはしてしない。サキュバスの糧は他人が放つ快楽。
それを手軽に摂取する方法が夜の夢を奪うことであり、直接肉体に快楽を与え精を絞ることなのだ。
「つまんないのばっかり。もっと大きくて硬くて強いのが欲しかったな」
期待していた見た目の派手な支給品は何一つ入ってはいなかった。
そんな彼女が格好の玩具を見つけたのは、それからすぐのこと。
そんな彼女が格好の玩具を見つけたのは、それからすぐのこと。
――――――――――――――――――――
ええと最初に謝っておきます。ごめんなさい。
年長者である僕がコナン君を守らなきゃいけなかったのに、こんなことになるなんて。
年長者である僕がコナン君を守らなきゃいけなかったのに、こんなことになるなんて。
僕とコナン君は自己紹介を済ませてから、お互いの情報を交換しました。
情報と言っても師匠や小太郎君のこと、コナン君のお友達のこと、支給品のことくらいです。
僕が魔法使いだっていうのは黙ってました。魔法が使えないからってわけじゃありません。
最初の少女の件もありますからコナン君を怖がらせてはいけないと思ったからです。
僕が先生だという事は話しましたが、思いっきり不審な目で見られました。シクシク。
そんな事を思いながら彼と話している時でした。
情報と言っても師匠や小太郎君のこと、コナン君のお友達のこと、支給品のことくらいです。
僕が魔法使いだっていうのは黙ってました。魔法が使えないからってわけじゃありません。
最初の少女の件もありますからコナン君を怖がらせてはいけないと思ったからです。
僕が先生だという事は話しましたが、思いっきり不審な目で見られました。シクシク。
そんな事を思いながら彼と話している時でした。
「ふぅーん。男の子ってぇ、こーいうのが好きなんだ」
「え!?」
「え!?」
突然、甘ったるい声が傍らからしたんです。
驚く僕たちを尻目に、彼女はスクール水着を拾い上げて観察していました。
薄紫のショートカットに頭と腰に赤い羽根、そして目のやり場に困る衣装。
間違いないありません。最初の広間でルール説明をしていたリリスさんです。
空から降りてきたのでしょうか? ほとんど気配は感じられませんでした。
そういえばあのスクール水着、僕もコナン君も出来るだけ目を晒していたんです。
恥ずかしがらずに早く拾って置けばよかった。そうすればもっと周囲に注意を配れたのに。
たぶん僕の最初の過ちです。
驚く僕たちを尻目に、彼女はスクール水着を拾い上げて観察していました。
薄紫のショートカットに頭と腰に赤い羽根、そして目のやり場に困る衣装。
間違いないありません。最初の広間でルール説明をしていたリリスさんです。
空から降りてきたのでしょうか? ほとんど気配は感じられませんでした。
そういえばあのスクール水着、僕もコナン君も出来るだけ目を晒していたんです。
恥ずかしがらずに早く拾って置けばよかった。そうすればもっと周囲に注意を配れたのに。
たぶん僕の最初の過ちです。
「どぉ、似合う?」
くるりと宙返りした彼女の衣装は、手にしたのと同じスクール水着に変わっていました。
ご丁寧に胸には師匠の名が書いてあります。そのなんとコメントをして良いのか。
とにかくホウキを取り出して構え、コナン君を背中に庇いました。
司会者だった彼女がここにいる理由はありません。監視役なのでしょうか。
それとも僕らがジェダを倒そうと話したことが早々にバレたのでしょうか。
もしかしたら首輪に盗聴器くらい付いていたのかも知れません。迂闊でした。
ご丁寧に胸には師匠の名が書いてあります。そのなんとコメントをして良いのか。
とにかくホウキを取り出して構え、コナン君を背中に庇いました。
司会者だった彼女がここにいる理由はありません。監視役なのでしょうか。
それとも僕らがジェダを倒そうと話したことが早々にバレたのでしょうか。
もしかしたら首輪に盗聴器くらい付いていたのかも知れません。迂闊でした。
「リリスさん、あなたは僕達を監視し……」
「あのねぇキミ。あたしは似合ってるかって、き・い・て・る・の」
「は、はい。凄く似合っている……と思います」
「あのねぇキミ。あたしは似合ってるかって、き・い・て・る・の」
「は、はい。凄く似合っている……と思います」
迫力に押されて答えてしまいました。コナン君が冷ややかな目で僕を見ています。
きっと頼りにならない水着好きな先生だと思われたに違いありません。ショックです。
そうこうしている間にコナン君に質問を取られました。ダブルショックです。
きっと頼りにならない水着好きな先生だと思われたに違いありません。ショックです。
そうこうしている間にコナン君に質問を取られました。ダブルショックです。
「ねぇ、お姉ちゃんは僕たちを見張っていたの?」
「ちっちゃいキミはどう思うの?」
「僕はちょっと違うと思うけど……」
「そーだよね。やっぱこんな地味な服、リリスには似合わないよね」
「ちっちゃいキミはどう思うの?」
「僕はちょっと違うと思うけど……」
「そーだよね。やっぱこんな地味な服、リリスには似合わないよね」
噛み合わない会話をして彼女はまた元の衣装に戻りました。少し残念です。
あ、別にスクール水着が好きってわけじゃありません。断じて違いますよ。
彼女の場合、普通の服の方がその、色々と面積が少なくて目のやり場に困るんです。
むかしTバックとか流行ったそうですけど、それ風に言うとIフロントとでも表現するのでしょうか?
あ、別にスクール水着が好きってわけじゃありません。断じて違いますよ。
彼女の場合、普通の服の方がその、色々と面積が少なくて目のやり場に困るんです。
むかしTバックとか流行ったそうですけど、それ風に言うとIフロントとでも表現するのでしょうか?
「そーじゃなくて。お姉ちゃんは僕達を追ってきたの? それとも別の用事?」
「んー、たまたまかな。遊びにきたらキミ達を見つけたの。リリスもゲームに参加するから」
「んー、たまたまかな。遊びにきたらキミ達を見つけたの。リリスもゲームに参加するから」
その言葉に僕は身構えました。最初に彼女は殺し合いをゲームだと言っていたんです。
つまり僕達を殺す気でいるってこと。可愛い顔をしててもやっぱりジェダの手下なんですね。
なんかコナン君が呆れてます。僕だって呆れてます。
つまり僕達を殺す気でいるってこと。可愛い顔をしててもやっぱりジェダの手下なんですね。
なんかコナン君が呆れてます。僕だって呆れてます。
「それてっよ、なんかズルくねーか? 開催側の人間(?)が参加って」
「そんなことないもん! ちゃんと首輪だって貰ったし、ランドセルだってあの子のだし!」
「いや、そーいう問題じゃねーし」
「そんなことないもん! ちゃんと首輪だって貰ったし、ランドセルだってあの子のだし!」
「いや、そーいう問題じゃねーし」
コナン君の言葉に彼女は頬を膨らませ、首輪とランドセルを指差して抗議してます。
どうでもいいけどコナン君、急に口が悪くなった気がするよ。
どうでもいいけどコナン君、急に口が悪くなった気がするよ。
「あっそう。キミはもーイイよ。可愛くないし」
僕は彼女の魔力が高まっているのを感じました。たぶんジェダのような凄い攻撃が来る。
「……ヒソヒソ(コナン君、ここは僕が何とかするから逃げて)」
「……ヒソヒソ(お兄ちゃん一人で大丈夫?)」
「……ヒソヒソ(大丈夫。実は僕、魔法使いなんです。だから大丈夫です)」
「……ヒソヒソ(お兄ちゃん一人で大丈夫?)」
「……ヒソヒソ(大丈夫。実は僕、魔法使いなんです。だから大丈夫です)」
ほとんど魔法は使えませんが、なんとかコナン君だけでも守らなきゃ。
それに僕だって遊びで修行をしてきたんじゃありません。何とか戦って見せます。
それに僕だって遊びで修行をしてきたんじゃありません。何とか戦って見せます。
「なーにコソコソしてるの? あー分かった。順番を決めてるんでしょ。男の子って独占欲が
強いらしいから、リリスを独り占めしたいんでしょ? 困っちゃうなぁ」
強いらしいから、リリスを独り占めしたいんでしょ? 困っちゃうなぁ」
リリスさんがブツブツ言っている間にコナン君を後ろへ下がらせます。
森に入ってしまえば、何とか逃げられるでしょう。それまで僕が時間を稼げればですが。
森に入ってしまえば、何とか逃げられるでしょう。それまで僕が時間を稼げればですが。
「……ヒソヒソ(今だ。コナン君逃げて)」
「うん」
「そーだ。いーこと思いついた。やっぱりリリスって天才だね」
「うん」
「そーだ。いーこと思いついた。やっぱりリリスって天才だね」
そう言った彼女が頭上で腕を交差させると、僕の背後から悲鳴が上がりました。
振り向くとコナン君の前には『もう一人』リリスさんが立っていたんです。
彼女の左腕は大きな刃物に変化していて、まるで断頭台の刃のようでした。
コナン君を助けなきゃ。そう思って飛び出そうとした瞬間、背後から首に腕が巻きつきました。
細くて柔らかい腕、最初に出会った方のリリスさん。驚いて振り向いた僕を彼女の赤い瞳が捉えました。
振り向くとコナン君の前には『もう一人』リリスさんが立っていたんです。
彼女の左腕は大きな刃物に変化していて、まるで断頭台の刃のようでした。
コナン君を助けなきゃ。そう思って飛び出そうとした瞬間、背後から首に腕が巻きつきました。
細くて柔らかい腕、最初に出会った方のリリスさん。驚いて振り向いた僕を彼女の赤い瞳が捉えました。
「よそ見しちゃダメだよぉ。リリスだけを見てくれなきゃ」
「……」
「……」
言葉が出ませんでした。彼女の唇で塞がれたからです。何をされたのかさっぱり分かりません。
抵抗する間もなく彼女の舌が滑り込んできました。とてもとても甘い味がした気がします。
まるで別の生き物のように蠢く彼女の舌が、僕の舌と艶かしく踊っていました。
もしかしたら僕も自分から舌を絡めていたのかもしれません。そのまま頭の中が真っ白になって……
抵抗する間もなく彼女の舌が滑り込んできました。とてもとても甘い味がした気がします。
まるで別の生き物のように蠢く彼女の舌が、僕の舌と艶かしく踊っていました。
もしかしたら僕も自分から舌を絡めていたのかもしれません。そのまま頭の中が真っ白になって……
『コラー! 何してんのよアンタは――――!!』
「あ、ちが、これは!」
「あ、ちが、これは!」
どこからか明日奈さんの声が聞こえた気がして、思わずリリスさんを突き飛ばしました。
そういえば戦闘中でしたっけ。良く分かりません。僕の中で何かが膨らんで弾けていました。
いつの間にか僕はその場にへたり込んでいたんです。身体が、特に下半身がヌルヌルと変な感じ。
異性を虜にする魔族がいると文献で見たことがあります。
たしか瞳や体液に強力な魅了の魔力があるとかないとか。
でも―――彼女が魅力的なことには何の関係ありませんよね。
彼女のスベスベした綺麗な指が僕を撫でていき、頭上へ掲げられました。
離れる指の感触が惜しくて思わず目で追ってしまいます。
うねうねと魅惑的に動く指を、細長く変形した翼が包んで大きな刃物へと変わりました。
ああ、そうやって腕を刃物にしていたんですね。
そういえば戦闘中でしたっけ。良く分かりません。僕の中で何かが膨らんで弾けていました。
いつの間にか僕はその場にへたり込んでいたんです。身体が、特に下半身がヌルヌルと変な感じ。
異性を虜にする魔族がいると文献で見たことがあります。
たしか瞳や体液に強力な魅了の魔力があるとかないとか。
でも―――彼女が魅力的なことには何の関係ありませんよね。
彼女のスベスベした綺麗な指が僕を撫でていき、頭上へ掲げられました。
離れる指の感触が惜しくて思わず目で追ってしまいます。
うねうねと魅惑的に動く指を、細長く変形した翼が包んで大きな刃物へと変わりました。
ああ、そうやって腕を刃物にしていたんですね。
「キミ、美味しかったよ。じゃあね、イッちゃえ!」
それが振り下ろされた時、感じていたのは恐怖ではなく奇妙な高揚感でした。
―――――――――――――――――――――
「なにボケッとしてんだ!」
俺は間一髪のところでネギを体当たりで押し倒し、助けることに成功した。あっぶねー。
まったく何やってんだよ。刃物を振り下ろされて逃げもしねぇなんて。
威勢のいい事を言ってたくせに腰でも抜かしたのかよ。
まったく何やってんだよ。刃物を振り下ろされて逃げもしねぇなんて。
威勢のいい事を言ってたくせに腰でも抜かしたのかよ。
「おいネギ、大丈夫か?!」
「あぁ、コナン君か。僕は大丈夫、大丈夫だから」
「あぁ、コナン君か。僕は大丈夫、大丈夫だから」
虚ろな目でネギが返答した。全然大丈夫じゃねーよコイツ。何かされやがったな。
俺がもう一人のリリスに追い回されている間に、何があったってんだ?
俺がもう一人のリリスに追い回されている間に、何があったってんだ?
「あー、もしかして二人はそーゆー仲なんだ? ちょっと妬いちゃうかも」
リリスがワケ分かんねぇ事を言って片足を振り上げると、それは即座に大きな刃へと変わる。
慌てて俺はネギの首根っこを必死で引っ張り、かろうじて斬撃を回避した。いや違うな。
わざと攻撃を遅くしている。まるでネコがネズミを弄ぶように、逃げ惑う俺を弄んでやがる。
慌てて俺はネギの首根っこを必死で引っ張り、かろうじて斬撃を回避した。いや違うな。
わざと攻撃を遅くしている。まるでネコがネズミを弄ぶように、逃げ惑う俺を弄んでやがる。
「ん-、つまんないな。こんなのキミも楽しくないよね? もう終わりにしよっか」
リリスの赤い眼が怪しく光る。何処の世界に殺し合いを楽しいなんて思う奴がいるかよ。
そんな俺の意思を完全に無視したまま、リリスは刃の腕を振り上げた。マジでヤバイぜ。
まだ惚けて腰の立たないネギを連れていたら避けられない。かといって一人で逃げ切れるものでもない。
どうする。諦めたらそこで事件は迷宮入りだ。考えろ工藤新一。解決の糸口は必ずあるはずだ。
そんな俺の意思を完全に無視したまま、リリスは刃の腕を振り上げた。マジでヤバイぜ。
まだ惚けて腰の立たないネギを連れていたら避けられない。かといって一人で逃げ切れるものでもない。
どうする。諦めたらそこで事件は迷宮入りだ。考えろ工藤新一。解決の糸口は必ずあるはずだ。
「バイバイ。あんまり楽しくなかったけどね」
(これだ!)
(これだ!)
ある一案が脳裏に閃き、記憶の断片がパズルのように埋まってゆく。彼女を止める手段。
俺の主義には反するが、躊躇している暇はなかった。
俺の主義には反するが、躊躇している暇はなかった。
「お姉ちゃん、もっと楽しいことして遊ばない?」
振り下ろされた刃が俺達に当たる寸前で止まる。よし、食い付いた。
「もっと楽しいことって?」
「うん。お姉ちゃんって凄く強いから、僕たちとケンカしたんじゃ全然楽しくないでしょ?
だから僕たちと競争しようよ。それなら僕たちでもお姉ちゃんを楽しませられるよ。
夕方までにどっちが沢山の人を倒せるか競争するんだ。負けた方は勝った方の家来になるの」
だから僕たちと競争しようよ。それなら僕たちでもお姉ちゃんを楽しませられるよ。
夕方までにどっちが沢山の人を倒せるか競争するんだ。負けた方は勝った方の家来になるの」
その場しのぎの嘘を言っていると分かっていても『殺す』という言葉は言えなかった。
俺、なにやってんだろうな。生き延びたくて必死に他人を売ってやがる。情けねぇ。
放っておいてもリリスは他人を襲う。結果は何も変わらない。だけどよ……
俺、なにやってんだろうな。生き延びたくて必死に他人を売ってやがる。情けねぇ。
放っておいてもリリスは他人を襲う。結果は何も変わらない。だけどよ……
「それ面白いかもね。キュービーにだって家来がいるんだから、あたしにも家来がいて良いよね。
夕方は何処に集まるの? 逃げちゃダメだよ。キミ達、リリスの家来になるんだから」
「え、えーとB-7のタワーなんかどう? 大きなの」
「ネギ、キミも聞いてた? 競争するんだよ。夕方にタワーだって。それでいい?」
「……あ、はい」
夕方は何処に集まるの? 逃げちゃダメだよ。キミ達、リリスの家来になるんだから」
「え、えーとB-7のタワーなんかどう? 大きなの」
「ネギ、キミも聞いてた? 競争するんだよ。夕方にタワーだって。それでいい?」
「……あ、はい」
咄嗟に俺は適当に憶えていた場所を答えた。ヤベェ。殺し合い競争なんてする気は毛頭ない。
だがタワーみたい目立つところには人が集まる。コイツが行ったら大惨事に間違いなしだ。
それとネギ、お前さっさと正気に戻れ。ガキのクセに色ボケしてんじゃねぇ。
だがタワーみたい目立つところには人が集まる。コイツが行ったら大惨事に間違いなしだ。
それとネギ、お前さっさと正気に戻れ。ガキのクセに色ボケしてんじゃねぇ。
「えーとB-7、B-7……ネギ、B-7ってどこだっけ?」
リリスはランドセルを逆さに振って地図を出した。他の物までボロボロと撒き散らしてやがる。
だらしねぇ女だ。きっと片付けられない女とか言われてるんだろうな。ん、拳銃が落ちている。
チャンスだ。ネギに地図を調べさせているリリスの背後にゆっくりと近づく。
だらしねぇ女だ。きっと片付けられない女とか言われてるんだろうな。ん、拳銃が落ちている。
チャンスだ。ネギに地図を調べさせているリリスの背後にゆっくりと近づく。
「お姉ちゃん、いっぱい散らかっちゃってるよ。ボクが拾ってあげる」
俺は散らかった名簿を拾い上げる振りをして拳銃に手を伸ばした。ワルサーPPKに間違いない。
世界一有名なスパイ、ジェームズ・ボンドが愛用する銃だ。扱い方は映画で何度も見ている。
銃を突きつけて形勢逆転を狙ってみるか、それとも懐に隠すか。
そんな事を脳裏に浮かべながら銃に触った瞬間、右腕に激痛が走った。
リリスに踏みつけられたのだ。俺のひ弱な腕がメキメキと悲鳴を上げる。
世界一有名なスパイ、ジェームズ・ボンドが愛用する銃だ。扱い方は映画で何度も見ている。
銃を突きつけて形勢逆転を狙ってみるか、それとも懐に隠すか。
そんな事を脳裏に浮かべながら銃に触った瞬間、右腕に激痛が走った。
リリスに踏みつけられたのだ。俺のひ弱な腕がメキメキと悲鳴を上げる。
「それはリリスの。ズルっ子はダメダメだよ」
俺としたことが『もう一人』後ろにいたのを忘れていた。なんてこった。ヒールが痛ぇ。
痛みを堪えて、必死に笑顔を取り繕う。ここで機嫌を損ねたらプライドを捨てた意味がねぇ。
痛みを堪えて、必死に笑顔を取り繕う。ここで機嫌を損ねたらプライドを捨てた意味がねぇ。
「ご、ごめんなさい。ボク、武器がさっきの水着だけだったから。競争するのに欲しいなぁって」
「そーなんだぁ。あたしも期待外れだったけど。うふふ、どーしよっかなぁ、あげよっかなぁ」
「そーなんだぁ。あたしも期待外れだったけど。うふふ、どーしよっかなぁ、あげよっかなぁ」
ワルサーでハズレかよ。自分よりも情けない支給品を引いた俺(本当はネギのだけど)に
同情したのか、リリスの顔に笑みが浮かんだ。なんとか誤魔化せたとホッと胸を撫で下ろす。
だがそれと同時に、腕を踏みつけている足に力が加えられた。
同情したのか、リリスの顔に笑みが浮かんだ。なんとか誤魔化せたとホッと胸を撫で下ろす。
だがそれと同時に、腕を踏みつけている足に力が加えられた。
パキッ
乾いた音を立てて俺の右腕は踏み折られた。
口から出ようとする悲鳴を必死で堪えたのは、俺に残された最期のプライドだった。
口から出ようとする悲鳴を必死で堪えたのは、俺に残された最期のプライドだった。
「アハハ、泣かないんだ。偉い偉い。それはキミにあ・げ・る。リリスからのご褒美だよ」
「あ……ありがとう、お姉ちゃん」
「あ……ありがとう、お姉ちゃん」
そういうとリリスは足をどけた。その足が刃でなかった事を感謝しろってか。
最初っからトコトン弄ぶ気だったんじゃねーのか、このアマ。
ランドセルに地図と名簿だけを戻して、残りは放りっぱなし。全部くれるって、余裕かよ。
最初っからトコトン弄ぶ気だったんじゃねーのか、このアマ。
ランドセルに地図と名簿だけを戻して、残りは放りっぱなし。全部くれるって、余裕かよ。
「あ……リリスさん……」
「そろそろ始めようか。ネギ、続きはまた後でね。キミが勝ったらリリスはキミのものだよ」
「僕の……もの……?」
「そろそろ始めようか。ネギ、続きはまた後でね。キミが勝ったらリリスはキミのものだよ」
「僕の……もの……?」
もう一人のリリスの声に振り返ると、彼女は抱きしめたネギから唇を離したところだった。
唾液が糸を引いて光っている。お前ら俺が踏まれてる間、地図を見ながらイチャついてたのかよ。
随分と扱いが違うじゃねーか。俺を踏んでいたリリスは消えるよう薄れて、もう一人と同化した。
やれやれ、痛い女が二人いると痛さは数倍ってのは本当だったな。
彼女はいつの間にかネギが持っていたホウキを手にしている。色香で差し出させたのか?
唾液が糸を引いて光っている。お前ら俺が踏まれてる間、地図を見ながらイチャついてたのかよ。
随分と扱いが違うじゃねーか。俺を踏んでいたリリスは消えるよう薄れて、もう一人と同化した。
やれやれ、痛い女が二人いると痛さは数倍ってのは本当だったな。
彼女はいつの間にかネギが持っていたホウキを手にしている。色香で差し出させたのか?
「そーれ!」
リリスは大きくホウキを頭上に放り投げた。この女が何をしたいんだかさっぱり分かんねぇ。
空中でクルクルと回転したホウキは境内の石畳にカランコロンと音を立てて転がった。
その衝撃でホウキの持ち手が不自然に伸びたことに気付いたが。それを調べている暇はない。
空中でクルクルと回転したホウキは境内の石畳にカランコロンと音を立てて転がった。
その衝撃でホウキの持ち手が不自然に伸びたことに気付いたが。それを調べている暇はない。
「よーし、あっちにきーめた。じゃーねネギ、コナン。待ち合わせに遅れたらお仕置きだからね」
「えっと、お姉ちゃんこそ遅れないでね」
「リリスさん、また、後で…」
「たくさん首輪を集めた方が勝ちだからねー」
「えっと、お姉ちゃんこそ遅れないでね」
「リリスさん、また、後で…」
「たくさん首輪を集めた方が勝ちだからねー」
手を振りながらホウキの向いた方向へ飛び立つリリスに、俺は適当に返事をした。
ネギお前、名残惜しそうに手を振り返しやがって。状況分かってないだろ。
ネギお前、名残惜しそうに手を振り返しやがって。状況分かってないだろ。
「バーロー……」
窮地を抜けた俺はその場にへたり込んだ。折れた右腕が痛むがそんなものはどうでもいい。
その場しのぎの嘘とはいえ、自分の口にしたことへの自己嫌悪で一杯だった。
その場しのぎの嘘とはいえ、自分の口にしたことへの自己嫌悪で一杯だった。
【C-4/神社の境内/一日目/午前】
【ネギ=スプリングフィールド@魔法先生ネギま!】
[状態]:健康(生気を奪われ少し疲労、催淫作用でドキドキのビンビン状態)
[装備]:七夜の短刀@MELTY BLOOD、仕込み箒(秘密の業物)@MELTY BLOOD
[道具]:スクール水着@魔法先生ネギま!、紙袋×1、支給品一式
[思考]:ああ……イッてしまいました
第一行動方針:えっと何をしてたんだっけ……なんかドキドキする、もしかして恋?
第二行動方針:二人(エヴァ&小太郎)とコナン君のお友達を探さなきゃ
第三行動方針:18時にリリスさんとデートか
最終行動方針:ロワからの脱出
[備考]
リリスと殺害数を競う約束をしました。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
リリスの唾液により強力な催淫作用を受けて、かなりボケています(持続時間は次の人任せ)。
惚れ薬とは違い、頭の中がエッチな事で一杯になっていて冷静に思考が出来ないだけです。
七夜の短刀の使い方には気付いていません(説明書無し)
秘密の業物はただの箒だと思っています(放られたので少し抜け掛かっています)
【ネギ=スプリングフィールド@魔法先生ネギま!】
[状態]:健康(生気を奪われ少し疲労、催淫作用でドキドキのビンビン状態)
[装備]:七夜の短刀@MELTY BLOOD、仕込み箒(秘密の業物)@MELTY BLOOD
[道具]:スクール水着@魔法先生ネギま!、紙袋×1、支給品一式
[思考]:ああ……イッてしまいました
第一行動方針:えっと何をしてたんだっけ……なんかドキドキする、もしかして恋?
第二行動方針:二人(エヴァ&小太郎)とコナン君のお友達を探さなきゃ
第三行動方針:18時にリリスさんとデートか
最終行動方針:ロワからの脱出
[備考]
リリスと殺害数を競う約束をしました。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
リリスの唾液により強力な催淫作用を受けて、かなりボケています(持続時間は次の人任せ)。
惚れ薬とは違い、頭の中がエッチな事で一杯になっていて冷静に思考が出来ないだけです。
七夜の短刀の使い方には気付いていません(説明書無し)
秘密の業物はただの箒だと思っています(放られたので少し抜け掛かっています)
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:右腕骨折、自己嫌悪、精神的に疲労
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!
[道具]:支給品一式、全身黒タイツ@名探偵コナン、指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT
バカルディ@ブラックラグーン、銀の銃弾14発、殺虫剤、リリスの食料と飲み掛けの飲料水
[思考]: ネギお前、いい加減にしろよ
第一行動方針:競争なんてするかよバーロー。でもB-7に人がいたらヤバイな。どうしよ?
第ニ行動方針:灰原とネギの仲間を早めに見つけたい。
最終行動方針:ロワからの脱出する。
[備考]
リリスと殺害数を競う約束をしました。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
バカルディと飲み掛けの飲料水は、リリスが口をつけたため弱い催淫効果を持っています。
[状態]:右腕骨折、自己嫌悪、精神的に疲労
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!
[道具]:支給品一式、全身黒タイツ@名探偵コナン、指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT
バカルディ@ブラックラグーン、銀の銃弾14発、殺虫剤、リリスの食料と飲み掛けの飲料水
[思考]: ネギお前、いい加減にしろよ
第一行動方針:競争なんてするかよバーロー。でもB-7に人がいたらヤバイな。どうしよ?
第ニ行動方針:灰原とネギの仲間を早めに見つけたい。
最終行動方針:ロワからの脱出する。
[備考]
リリスと殺害数を競う約束をしました。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
バカルディと飲み掛けの飲料水は、リリスが口をつけたため弱い催淫効果を持っています。
【C-4/上空/1日目/午前】
【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(食料は無し)
[参戦時期]:原作ゲームのスタート時
[思考]:
第一行動方針:獲物を探して狩る
第ニ行動方針:18時にはB-7のタワーへ行く
最終行動方針:優勝して本当の身体を手に入れる
[備考]
コナン&ネギと殺害数を競う約束をしました。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
リリスの飛び立った方向は次の方にお任せします。
サキュバスの体液は強力な催淫効果を持ちますが、直接摂取しなければ効果は低いです
【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(食料は無し)
[参戦時期]:原作ゲームのスタート時
[思考]:
第一行動方針:獲物を探して狩る
第ニ行動方針:18時にはB-7のタワーへ行く
最終行動方針:優勝して本当の身体を手に入れる
[備考]
コナン&ネギと殺害数を競う約束をしました。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
リリスの飛び立った方向は次の方にお任せします。
サキュバスの体液は強力な催淫効果を持ちますが、直接摂取しなければ効果は低いです
●アイテム図鑑
【指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT】
魔力を与えられた古ぼけた指輪。魔法使いの杖と同じく、魔法の発動を補助する効果がある。
手が空く為、杖以外の武器を持つ魔法使いに好まれている。これはベルカナが愛用していたもの。
魔力を与えられた古ぼけた指輪。魔法使いの杖と同じく、魔法の発動を補助する効果がある。
手が空く為、杖以外の武器を持つ魔法使いに好まれている。これはベルカナが愛用していたもの。
【ワルサーPPK@パタリロ!(現実)】
映画007シリーズでお馴染みの警察用拳銃。小型で銃身が短く、携帯や抜き打ちに適している。
これは英国情報部のJ=バンコラン少佐(@パタリロ!)の愛用品。
本来は通常弾だが、パタリロが対悪魔用に用意した銀の銃弾とセットで支給された。
映画007シリーズでお馴染みの警察用拳銃。小型で銃身が短く、携帯や抜き打ちに適している。
これは英国情報部のJ=バンコラン少佐(@パタリロ!)の愛用品。
本来は通常弾だが、パタリロが対悪魔用に用意した銀の銃弾とセットで支給された。
【バカルディ@ブラックラグーン(現実)】
アルコール度60-80の強烈なキューバ産ラム酒。ロックとレヴィが飲み比べに使っていた。
殴れば鈍器、割れば刃物に、ライターと紙があれば火炎瓶にもなる優れもの。
リリスが直接口を付けたために唾液が混じり、弱い催淫効果を持ってしまっている。
でもたぶん子供が飲んだら催淫効果の前に酔いつぶれます。
アルコール度60-80の強烈なキューバ産ラム酒。ロックとレヴィが飲み比べに使っていた。
殴れば鈍器、割れば刃物に、ライターと紙があれば火炎瓶にもなる優れもの。
リリスが直接口を付けたために唾液が混じり、弱い催淫効果を持ってしまっている。
でもたぶん子供が飲んだら催淫効果の前に酔いつぶれます。
【飲み掛けの飲料水】
ペットボトル入りの飲料水。参加者全員に支給されているのと同じもの。
リリスが直接口を付けたために唾液が混じり、弱い催淫効果を持ってしまっている。
ペットボトル入りの飲料水。参加者全員に支給されているのと同じもの。
リリスが直接口を付けたために唾液が混じり、弱い催淫効果を持ってしまっている。
≪043:「ポレポレ~ッ!!」 | 時系列順に読む | 045:そうだ、おうちへかえろう≫ |
≪043:「ポレポレ~ッ!!」 | 投下順に読む | 045:そうだ、おうちへかえろう≫ |
≪000:オープニング | リリスの登場SSを読む | 073:それはきっと唯一の方法≫ |
≪023:(天才+マセガキ)2 | ネギの登場SSを読む | 057:カマイタチと悪戯な春風≫ |
江戸川コナンの登場SSを読む |