Dash!! ◆o.lVkW7N.A氏
「ふふっ……、おかしいな」
ヘンゼルは、すぐ近くから聞こえてくる少年の言葉に耳を傾け、くすくすと声を上げた。
『法律』とか『権利』とか。耳慣れない単語の羅列が、可笑しくてたまらない。
そんなものが実在していると思えるなんて、この声の主はどれだけ幸せな日々を過ごして来れたんだろう。
ヘンゼルはそう疑問を抱き、またくすくすと盛大に笑声をあげた。
三度の食事と暖かい寝具が保障され、学校に行け、両親と笑って語り合える。
そんな生活を享受出来、当然だと感じる者だけが口に出すことの出来る『法律』や『権利』。
蜂蜜掛けチョコレートパフェよりもよほど甘い、そんな語彙はヘンゼルの中には存在しなかった。
『普通の子供』にとっての当たり前の権利など、ヘンゼルは持っていない。
遠い昔、ルーマニアのおうちで父様や母様と暮らしていたころには、もしかしたらあったのかもしれない。
けれどそれは、記憶の隅っこに追いやられた遥か過去のお話だ。
ヘンゼルは、すぐ近くから聞こえてくる少年の言葉に耳を傾け、くすくすと声を上げた。
『法律』とか『権利』とか。耳慣れない単語の羅列が、可笑しくてたまらない。
そんなものが実在していると思えるなんて、この声の主はどれだけ幸せな日々を過ごして来れたんだろう。
ヘンゼルはそう疑問を抱き、またくすくすと盛大に笑声をあげた。
三度の食事と暖かい寝具が保障され、学校に行け、両親と笑って語り合える。
そんな生活を享受出来、当然だと感じる者だけが口に出すことの出来る『法律』や『権利』。
蜂蜜掛けチョコレートパフェよりもよほど甘い、そんな語彙はヘンゼルの中には存在しなかった。
『普通の子供』にとっての当たり前の権利など、ヘンゼルは持っていない。
遠い昔、ルーマニアのおうちで父様や母様と暮らしていたころには、もしかしたらあったのかもしれない。
けれどそれは、記憶の隅っこに追いやられた遥か過去のお話だ。
今のヘンゼルには、法律も、権利も、夢も希望も未来も、――――何、一つとしてなかった。
「あのお兄さんが言ってること、僕には全然分からないや」
そう口にしながら、指先を唇に軽く当てて、小首を少しばかり右に傾いでみせる。
その表情は一見、さながら天使のそれと見まごうほど愛らしく、邪気の無いものに思える。
しかしヘンゼルは決して天使ではなく、どちらかと言えばその対極にある物に近い存在だった。
たとえ彼自身さえ薄汚い大人の被害者であり、本人には一片の責任も無かろうとも、彼は悪魔だった。
人造の悪魔、或いは堕天使と、そう呼ばれるに相応しい存在が、彼とその姉だった。
「もっと色々聞けば、お兄さんの言ってることも分かるかな?」
彼は極上の笑みをその顔面に称えると、まだ声変わりもしていないハイトーン・ボイスで呟いた。
ダンスでも踊るかのように達者な足捌きで、放送の聞こえる方向へと歩を早める。
その先に彼の好奇心を満たす相手が居ることを願いながら、歩く。歩く。歩く。
スキップまじりの足取りと、唇から紡がれる小さな歌声は、彼の気分の高揚を的確に表していた。
そう口にしながら、指先を唇に軽く当てて、小首を少しばかり右に傾いでみせる。
その表情は一見、さながら天使のそれと見まごうほど愛らしく、邪気の無いものに思える。
しかしヘンゼルは決して天使ではなく、どちらかと言えばその対極にある物に近い存在だった。
たとえ彼自身さえ薄汚い大人の被害者であり、本人には一片の責任も無かろうとも、彼は悪魔だった。
人造の悪魔、或いは堕天使と、そう呼ばれるに相応しい存在が、彼とその姉だった。
「もっと色々聞けば、お兄さんの言ってることも分かるかな?」
彼は極上の笑みをその顔面に称えると、まだ声変わりもしていないハイトーン・ボイスで呟いた。
ダンスでも踊るかのように達者な足捌きで、放送の聞こえる方向へと歩を早める。
その先に彼の好奇心を満たす相手が居ることを願いながら、歩く。歩く。歩く。
スキップまじりの足取りと、唇から紡がれる小さな歌声は、彼の気分の高揚を的確に表していた。
「Midnight with the stars and you. Midnight and a rendezvous.
Your eyes held a message tender.
Saying "surrender all my love to you" Midnight brouht us sweet romance」
Your eyes held a message tender.
Saying "surrender all my love to you" Midnight brouht us sweet romance」
それは、今となっては唯一の肉親であるグレーテルが、よくヘンゼルに歌ってくれる歌だった。
グレーテルの大好きな歌だ。そして、だからこそヘンゼルも大好きな歌だ。
グレーテルの大好きな歌だ。そして、だからこそヘンゼルも大好きな歌だ。
「I know all my whole life through, I'll be remembering you, whatever else Ido ……♪」
* * *
初めに聞こえたのは、歌声だった。
外国語だったので、何を歌っているのか丈には聞き取れなかった。
しかし歌声は透明度があり伸びやかで、まるで天使のそれのように思えた。
丈は徐々に近づいてくるその声に覚悟を決め、心臓に手を当てながらゆっくりと深呼吸した。
人、人、人、と指先で三度掌に書き、それをごくりと飲み込むまねをする。
意を決して振り返った先に一人の少年の姿を見つけ、丈は伸ばした腕を軽く振ってみせた。
それに気付いた相手が、こちらへ一目散に走り寄って来る。
笑顔で向かって来るその少年に、丈は出来る限りの勇気を出して声を掛けた。
「やあ」
片手を挙げて挨拶すれば、対する少年はにっこりと微笑み、小走りで自分のもとへと現われた。
パタパタパタ……と鳴る乾いた靴音が、静寂の中で驚くほど大きく響く。
何も手にしていないのを見せ付けるかのように、裸の両手をひらひらとさせながら、少年は丈に話し掛けた。
「こんにちは、お兄さん。お兄さんが、さっきまで大きな声でお話していた人?」
「あ、ああ。そうだよ。さっきの放送は僕がやったんだ」
首肯しながら、丈がランドセルから拡声器をちらりと覗かせてみせる。
ヘンゼルはそれを興味深そうに覗き込んで、ふーんと相槌を打った。
その瞳に輝く好奇心にどこかしら不穏当なものを感じて、丈は僅かに戸惑いを憶える。
しかし、その思いは一瞬胸に去来しただけで、すぐに消え去る程度のものだった。
「それ、ちょっと見せてくれない?」
「これ?」
頭に疑問符を浮かべながらも、丈は素直にランドセルへと腕を入れる。
取り出した拡声器をヘンゼルに手渡すと、丈は心配そうな声で忠告した。
「壊さないようにしてくれよ。これは、僕の大切な武器だ」
「武器? これが?」
手にした拡声器を物珍しそうにあちこち弄りながら、ヘンゼルは不思議そうにそう訊ねた。
丈は「うん、そうさ」と頷くと、伸ばした指先でヘンゼルの持つ拡声器を差して答えた。
「確かにそれは、人を殺したり倒したりする道具じゃない。でも、人を集めたり説得したりするのには最適だろう?
それを使ってたくさんの人数を集めれば、あのジェダとかいうのも倒せるかもしれない」
その丈の返答に、ヘンゼルは信じられない言葉でも聞いたかのように目を丸くした。
「じゃあ、お兄さんは、殺し合いをするつもりはないってこと?」
外国語だったので、何を歌っているのか丈には聞き取れなかった。
しかし歌声は透明度があり伸びやかで、まるで天使のそれのように思えた。
丈は徐々に近づいてくるその声に覚悟を決め、心臓に手を当てながらゆっくりと深呼吸した。
人、人、人、と指先で三度掌に書き、それをごくりと飲み込むまねをする。
意を決して振り返った先に一人の少年の姿を見つけ、丈は伸ばした腕を軽く振ってみせた。
それに気付いた相手が、こちらへ一目散に走り寄って来る。
笑顔で向かって来るその少年に、丈は出来る限りの勇気を出して声を掛けた。
「やあ」
片手を挙げて挨拶すれば、対する少年はにっこりと微笑み、小走りで自分のもとへと現われた。
パタパタパタ……と鳴る乾いた靴音が、静寂の中で驚くほど大きく響く。
何も手にしていないのを見せ付けるかのように、裸の両手をひらひらとさせながら、少年は丈に話し掛けた。
「こんにちは、お兄さん。お兄さんが、さっきまで大きな声でお話していた人?」
「あ、ああ。そうだよ。さっきの放送は僕がやったんだ」
首肯しながら、丈がランドセルから拡声器をちらりと覗かせてみせる。
ヘンゼルはそれを興味深そうに覗き込んで、ふーんと相槌を打った。
その瞳に輝く好奇心にどこかしら不穏当なものを感じて、丈は僅かに戸惑いを憶える。
しかし、その思いは一瞬胸に去来しただけで、すぐに消え去る程度のものだった。
「それ、ちょっと見せてくれない?」
「これ?」
頭に疑問符を浮かべながらも、丈は素直にランドセルへと腕を入れる。
取り出した拡声器をヘンゼルに手渡すと、丈は心配そうな声で忠告した。
「壊さないようにしてくれよ。これは、僕の大切な武器だ」
「武器? これが?」
手にした拡声器を物珍しそうにあちこち弄りながら、ヘンゼルは不思議そうにそう訊ねた。
丈は「うん、そうさ」と頷くと、伸ばした指先でヘンゼルの持つ拡声器を差して答えた。
「確かにそれは、人を殺したり倒したりする道具じゃない。でも、人を集めたり説得したりするのには最適だろう?
それを使ってたくさんの人数を集めれば、あのジェダとかいうのも倒せるかもしれない」
その丈の返答に、ヘンゼルは信じられない言葉でも聞いたかのように目を丸くした。
「じゃあ、お兄さんは、殺し合いをするつもりはないってこと?」
「当たり前さ。僕には大切な仲間が居る。帰るのを待っててくれる父さんや母さん、兄さんも居る
こんな島なんて本当は一秒だって居たくないけど、誰かを殺すなんてのはもっと嫌だ」
丈のレンズ越しの瞳は、真直ぐにヘンゼルを射抜いていた。
その視線に曇りが無いことに、ヘンゼルは驚き、そして奇異に感じた。
丈の言っていることは、ヘンゼルには理解不能な類のものだった。
ヘンゼルにとって『武器』とは、ブローニング自動小銃や戦斧やバタフライナイフのことだった。
『誰かを殺す』というのは、好きとか嫌いとか言ってられる事柄ではなく、強制されるものだった。
だからヘンゼルは丈の言葉がさっぱり分からず、仕方なく、困ったようにはにかんで頼んだ。
「あのさ、お兄さん。これ僕にも少し使わせてくれるかな?」
「いいけど……、誰か探してる人が居るの? だったら……」
安易に名前を出すのは危険だ――、と丈はそうヘンゼルに忠告しようとした。
しかし唐突に額に走った鈍い衝撃と痛みが、その台詞を中途で遮った。
突然の痛打に、丈はバランスを失って膝から倒れこんだ。
うつ伏せになった丈の頭へ、二度、三度、と容赦ない打撃が更に押し寄せる。
丈は驚愕の中、痛みのする箇所へと恐る恐る手を伸ばした。
しかし、そこがぶよぶよと柔らかく落ち窪んでいるのに気付いて、素早くその手を引っ込めた。
「……どう、して?」
「『武器』は『武器』らしく使わなきゃと思って。でも、やっぱりこれで殴るのはちょっと難しいかなぁ」
べっとりと血のついた拡声器と、倒れ伏す丈とを見比べながら、ヘンゼルは困ったように吐息した。
その無邪気な視線を痛いほど感じながら、丈は途切れ途切れにヘンゼルへと問いかける。
「なっ……んで、こんなこと、する……んだ?」
「……『なんで』?」
ヘンゼルは、取って置きの冗談でも聞いたかのように顔を綻ばせた。
声を上げて大笑いすると、血で濡れた丈の前髪を鷲掴み、強制的に頭部を上向かせる。
恐怖と驚愕に満ちた丈の表情を楽しそうに眺めながら、ヘンゼルはその耳朶へ囁いた。
「ねえ、お兄さん。お兄さんはさっき、『子供には権利がある』って言ってたよね。
子供は、殺したり、殺されたりしちゃいけないって。そういう権利があるんだ、って」
その問いに、こくこくと首を上下にして頷く丈を見つめ、ヘンゼルは続ける。
こんな島なんて本当は一秒だって居たくないけど、誰かを殺すなんてのはもっと嫌だ」
丈のレンズ越しの瞳は、真直ぐにヘンゼルを射抜いていた。
その視線に曇りが無いことに、ヘンゼルは驚き、そして奇異に感じた。
丈の言っていることは、ヘンゼルには理解不能な類のものだった。
ヘンゼルにとって『武器』とは、ブローニング自動小銃や戦斧やバタフライナイフのことだった。
『誰かを殺す』というのは、好きとか嫌いとか言ってられる事柄ではなく、強制されるものだった。
だからヘンゼルは丈の言葉がさっぱり分からず、仕方なく、困ったようにはにかんで頼んだ。
「あのさ、お兄さん。これ僕にも少し使わせてくれるかな?」
「いいけど……、誰か探してる人が居るの? だったら……」
安易に名前を出すのは危険だ――、と丈はそうヘンゼルに忠告しようとした。
しかし唐突に額に走った鈍い衝撃と痛みが、その台詞を中途で遮った。
突然の痛打に、丈はバランスを失って膝から倒れこんだ。
うつ伏せになった丈の頭へ、二度、三度、と容赦ない打撃が更に押し寄せる。
丈は驚愕の中、痛みのする箇所へと恐る恐る手を伸ばした。
しかし、そこがぶよぶよと柔らかく落ち窪んでいるのに気付いて、素早くその手を引っ込めた。
「……どう、して?」
「『武器』は『武器』らしく使わなきゃと思って。でも、やっぱりこれで殴るのはちょっと難しいかなぁ」
べっとりと血のついた拡声器と、倒れ伏す丈とを見比べながら、ヘンゼルは困ったように吐息した。
その無邪気な視線を痛いほど感じながら、丈は途切れ途切れにヘンゼルへと問いかける。
「なっ……んで、こんなこと、する……んだ?」
「……『なんで』?」
ヘンゼルは、取って置きの冗談でも聞いたかのように顔を綻ばせた。
声を上げて大笑いすると、血で濡れた丈の前髪を鷲掴み、強制的に頭部を上向かせる。
恐怖と驚愕に満ちた丈の表情を楽しそうに眺めながら、ヘンゼルはその耳朶へ囁いた。
「ねえ、お兄さん。お兄さんはさっき、『子供には権利がある』って言ってたよね。
子供は、殺したり、殺されたりしちゃいけないって。そういう権利があるんだ、って」
その問いに、こくこくと首を上下にして頷く丈を見つめ、ヘンゼルは続ける。
「……でもお兄さんは、胃液を吐くのさえ勿体無いくらいおなかがすいたことは無いでしょ?」
そう口にした刹那、ヘンゼルの瞳がすぅっと細くなった。
その瞳は丈を見据えていたが、焦点は僅かにぼやけ、実際にはもっと遠くの何かを見ているように思えた。
その瞳は丈を見据えていたが、焦点は僅かにぼやけ、実際にはもっと遠くの何かを見ているように思えた。
「汚物で濁った水溜りで顔を洗わされたこととか、アスファルトに飛び散った脳漿を犬みたいに舐めたことはある?
血で膠みたいに固まったドレスを着てくるくる踊らされたり、オジサンたちの機嫌を全裸で取らされたりしたことは?
遊び半分に殺人を強制されて、泣き喚く僕よりずっと小さい子の骨を砕き割ったことは――――?」
血で膠みたいに固まったドレスを着てくるくる踊らされたり、オジサンたちの機嫌を全裸で取らされたりしたことは?
遊び半分に殺人を強制されて、泣き喚く僕よりずっと小さい子の骨を砕き割ったことは――――?」
丈には、目の前の少年が何を言っているのか理解できなかった。
いや、理解しようにも出来なかった。。
裕福な家庭で、両親と兄と何不自由ない生活を送ってきた彼にとって、大変なことといえば受験勉強くらいのものだった。
デジタルワールドでは確かに辛い経験も多少はしてきたが、それですらヘンゼルの苦しみの百分の一にすら届きはしなかった。
いや、理解しようにも出来なかった。。
裕福な家庭で、両親と兄と何不自由ない生活を送ってきた彼にとって、大変なことといえば受験勉強くらいのものだった。
デジタルワールドでは確かに辛い経験も多少はしてきたが、それですらヘンゼルの苦しみの百分の一にすら届きはしなかった。
「お兄さんが言ってるのは、理想論なんだ。人は不平等なんだよ。権利なんて無いんだ。
……そう、だから僕らは、殺して奪わなきゃいけない。そうでもしないと、僕らには何も無いから。
服も食料もお金も玩具も命も、みんなみんな殺して奪わなきゃ」
「そ、んな、こと……ないよ」
丈が、喉を振り絞って言葉を紡ぐ。
しかし、対するヘンゼルは丈の言葉に耳を貸そうとしない。
かぶりを振って再び瞳を細めると、目の覚めるような底冷えのする声で告げた。
……そう、だから僕らは、殺して奪わなきゃいけない。そうでもしないと、僕らには何も無いから。
服も食料もお金も玩具も命も、みんなみんな殺して奪わなきゃ」
「そ、んな、こと……ないよ」
丈が、喉を振り絞って言葉を紡ぐ。
しかし、対するヘンゼルは丈の言葉に耳を貸そうとしない。
かぶりを振って再び瞳を細めると、目の覚めるような底冷えのする声で告げた。
「だから、お兄さんの命も、僕に頂戴?」
* * *
ヘンゼルは丈へと狙いを定め、手にした拡声器を大きく振りかぶった。
丈は恐怖に目を瞑って、何とか殴打から身を守ろうと慌てて両腕で頭を覆った。
しかし、次の瞬間、彼が耳にしたのは自分の頭が熟れたメロンのように潰れる音ではなかった。
丈は背後から響くモーターの駆動音に気付き、はっとして立ち上がり肩越しに背中を振り返った。
それだけで、猛烈な痛みが頭を駆け抜けたが、躊躇している暇は無い。
橋の向こうから物凄い勢いでやってきたスケートボードは、全くスピードを緩めることなくこちらに突進してきた。
その板上から、誰かの腕がこちらに向かってすっくと伸ばされている。
「掴まって!」
「え?」
瞬間、そう叫ばれて、わけも分からず目の前の腕を握り締めた。
強い力で身体がぐいと引っ張られ、アスファルトを踏みしめていたはずの足が片方、地面から浮く。
高速移動するスケートボードに全身が引き寄せられ、両腕が何か柔らかい感触のものを抱きかかえた。
ふわりと全身を覆う浮遊感に驚きを隠せない丈の、繋いだ掌を固く握り返し、イエローは告げた。
「ボクにしがみ付いて。逃げるよ!」
丈は恐怖に目を瞑って、何とか殴打から身を守ろうと慌てて両腕で頭を覆った。
しかし、次の瞬間、彼が耳にしたのは自分の頭が熟れたメロンのように潰れる音ではなかった。
丈は背後から響くモーターの駆動音に気付き、はっとして立ち上がり肩越しに背中を振り返った。
それだけで、猛烈な痛みが頭を駆け抜けたが、躊躇している暇は無い。
橋の向こうから物凄い勢いでやってきたスケートボードは、全くスピードを緩めることなくこちらに突進してきた。
その板上から、誰かの腕がこちらに向かってすっくと伸ばされている。
「掴まって!」
「え?」
瞬間、そう叫ばれて、わけも分からず目の前の腕を握り締めた。
強い力で身体がぐいと引っ張られ、アスファルトを踏みしめていたはずの足が片方、地面から浮く。
高速移動するスケートボードに全身が引き寄せられ、両腕が何か柔らかい感触のものを抱きかかえた。
ふわりと全身を覆う浮遊感に驚きを隠せない丈の、繋いだ掌を固く握り返し、イエローは告げた。
「ボクにしがみ付いて。逃げるよ!」
【F-6/橋/1日目/朝】
【城戸丈@デジモンアドベンチャー】
[状態]:額に激しい殴打(急ぎの処置が必要)、ビビり
[装備]:黙陣の戦弓@サモンナイト3 (矢:10本)
[道具]:基本支給品
[思考]
第一行動方針:この場から逃げる(ターボエンジン付きスケボーでF-6を南下中)
第二行動方針:信頼できる仲間を探す
第三行動方針:自分より年下の子に危害を加えようとしている、
もしくはそのおそれがある相手なら戦う
第四行動方針:現在の状況を詳しく知りたい
基本行動方針:ゲームには乗らず、仲間を探す
参戦時期:デジモンワールドでの冒険を終えた時点(アニメ一期終了後)
【城戸丈@デジモンアドベンチャー】
[状態]:額に激しい殴打(急ぎの処置が必要)、ビビり
[装備]:黙陣の戦弓@サモンナイト3 (矢:10本)
[道具]:基本支給品
[思考]
第一行動方針:この場から逃げる(ターボエンジン付きスケボーでF-6を南下中)
第二行動方針:信頼できる仲間を探す
第三行動方針:自分より年下の子に危害を加えようとしている、
もしくはそのおそれがある相手なら戦う
第四行動方針:現在の状況を詳しく知りたい
基本行動方針:ゲームには乗らず、仲間を探す
参戦時期:デジモンワールドでの冒険を終えた時点(アニメ一期終了後)
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康、フードの下は何も着てない
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、 ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン
[道具]:スケッチブック、基本支給品、不明支給品×1(本人は確認済)
[思考]
第一行動方針:この人を助けて逃げる (ターボエンジン付きスケボーでF-6を南下中)
第一行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:できれば、服を取りに戻りたいなあ……
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[状態]:健康、フードの下は何も着てない
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、 ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン
[道具]:スケッチブック、基本支給品、不明支給品×1(本人は確認済)
[思考]
第一行動方針:この人を助けて逃げる (ターボエンジン付きスケボーでF-6を南下中)
第一行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:できれば、服を取りに戻りたいなあ……
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
【ヘンゼル@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:バルキリースカート@武装錬金 血の付いた拡声器
[道具]:支給品一式、スタングレネード×9
[思考・状況]
第一行動方針:二人を追いかけようか?
第二行動方針:手に持って使える鈍器や刃物が欲しい(銃でも構わない。その時は姉様になる)
第三行動方針:遊ぶ
基本行動方針:いろんな人と遊びつつ、適当に殺す。
[状態]:健康
[装備]:バルキリースカート@武装錬金 血の付いた拡声器
[道具]:支給品一式、スタングレネード×9
[思考・状況]
第一行動方針:二人を追いかけようか?
第二行動方針:手に持って使える鈍器や刃物が欲しい(銃でも構わない。その時は姉様になる)
第三行動方針:遊ぶ
基本行動方針:いろんな人と遊びつつ、適当に殺す。
≪052:青い呪い | 時系列順に読む | 058:地獄巡り≫ |
≪052:青い呪い | 投下順に読む | 054:Alisa in Wonderland≫ |
≪001:Childrens in the foolish game | 城戸丈の登場SSを読む | 058:地獄巡り≫ |
イエローの登場SSを読む | ||
≪008:Blue blue dream | ヘンゼルの登場SSを読む |