地獄巡り◆CFbj666Xrw氏
「ボクにしがみ付いて。逃げるよ!」
イエローは叫びと共にボードを走らせる。
ターボエンジンが火を噴いてスケートボードを急激に加速する。
目指す方向はわざわざ転進する理由も無い。南だ。
だがスケートボードは丈を乗せる為に減速し、乗せた事によりその加速にも遅れが生じた。
その隙にヘンゼルは素早くその方向に走った。
それでも既に加速し始めヘンゼルから離れる二人に追いつくにはまだ遅い。しかし。
「武装錬金!」
瞬時に発動したバルキリースカートのブレードが橋のアスファルトに噛みついた。
ブレードは噛みついたアスファルトを抉って跳躍。
更に橋の柱を次々と抉って推力に換えて加速する。
その加速は二人乗りスケートボードの初速を軽々と上回った。
(回り込まれる――!!)
しかしイエローも素早く判断し進路を転進する。
「離さないで!」
「あ、ああ!」
イエローの叫びを受けて丈は目の前の小さな体を強く抱き締める。
加速した速度が右に流れ急速旋回。強く振られる体、それでも離すまいとする腕。
見る間に景色が流れ風が全身をなぶる。慣性と遠心力が重力の存在を忘れさせる。
イエローの素早い判断はギリギリで一つの成果を上げた。
ヘンゼルのバルキリースカートは二人の間近のアスファルトと橋の金具に突き刺さったのだ。
そのまま旋回を完成させて二人は北へと加速した。
「ちぇっ、外れちゃった」
ヘンゼルは笑いながらバルキリースカートのアームを動かしてブレード引き抜く。
「まあいいや、二人乗りならすぐに追いついて……あれ?」
だが一本のブレードはすぐには抜けなかった。
橋の金具、金属部分にガッチリと噛みついたブレードがヘンゼルに僅かな遅れを与えたのだ。
ヘンゼルはムッとなりながらも他のアームで勢いを付けてそのブレードを引き抜く。
その僅かな時間に二人との距離は更に広げられた。
道は直進だ、更に距離は広がるだろう。だが。
「……逃がさないよ」
くすり笑うと共に高速精密起動する4本のアームが道路を抉り推力に換え始めた。
加速するヘンゼルは二人の追跡を開始した。
イエローは叫びと共にボードを走らせる。
ターボエンジンが火を噴いてスケートボードを急激に加速する。
目指す方向はわざわざ転進する理由も無い。南だ。
だがスケートボードは丈を乗せる為に減速し、乗せた事によりその加速にも遅れが生じた。
その隙にヘンゼルは素早くその方向に走った。
それでも既に加速し始めヘンゼルから離れる二人に追いつくにはまだ遅い。しかし。
「武装錬金!」
瞬時に発動したバルキリースカートのブレードが橋のアスファルトに噛みついた。
ブレードは噛みついたアスファルトを抉って跳躍。
更に橋の柱を次々と抉って推力に換えて加速する。
その加速は二人乗りスケートボードの初速を軽々と上回った。
(回り込まれる――!!)
しかしイエローも素早く判断し進路を転進する。
「離さないで!」
「あ、ああ!」
イエローの叫びを受けて丈は目の前の小さな体を強く抱き締める。
加速した速度が右に流れ急速旋回。強く振られる体、それでも離すまいとする腕。
見る間に景色が流れ風が全身をなぶる。慣性と遠心力が重力の存在を忘れさせる。
イエローの素早い判断はギリギリで一つの成果を上げた。
ヘンゼルのバルキリースカートは二人の間近のアスファルトと橋の金具に突き刺さったのだ。
そのまま旋回を完成させて二人は北へと加速した。
「ちぇっ、外れちゃった」
ヘンゼルは笑いながらバルキリースカートのアームを動かしてブレード引き抜く。
「まあいいや、二人乗りならすぐに追いついて……あれ?」
だが一本のブレードはすぐには抜けなかった。
橋の金具、金属部分にガッチリと噛みついたブレードがヘンゼルに僅かな遅れを与えたのだ。
ヘンゼルはムッとなりながらも他のアームで勢いを付けてそのブレードを引き抜く。
その僅かな時間に二人との距離は更に広げられた。
道は直進だ、更に距離は広がるだろう。だが。
「……逃がさないよ」
くすり笑うと共に高速精密起動する4本のアームが道路を抉り推力に換え始めた。
加速するヘンゼルは二人の追跡を開始した。
イエローと丈の乗ったスケートボードは橋の上を疾走する。
襲い来るヘンゼルを引き離して、北へと。
襲い来るヘンゼルを引き離して、北へと。
「……あれが、さっきの服の持ち主か」
森の茂みの中から彼はその光景を見ていた。
橋の上をターボの付いたスケートボードでこちらに向かって疾走する二人の少年。
片方はフードを身に纏っているだけらしく、風ではためく隙間から白い肌が見えている。
干してあった服、正確にはその下着(衣服は活動的な男の子服だった)からすればこちらは女だ。
もう一人の少年は頭から血を流しながらもそれにしがみついていた。
「ケケッ、色気ノネーチンチクリンダナ。ヤッチマエバ色気モ出ルカモシレネーゼ?」
チャチャゼロの囃す声を無視して考える。
「あの二人は多分、拡声器で非戦を訴えたバカと、服も放ってそれを助けに行ったバカだな」
「取リ入ンノカ?」
「おまえまでバカな事を言うな。
確かに取り入りやすいだろうが、あんな無茶な奴らに付き合えるか」
「ジャー殺ッチマウカ? アノ二人ヲ殺シチマエバ一気ニ3人斬リダゼ」
確かにそれは魅力的な提案だ。
あの二人は脇目も振らずにスケートボードでひた走っている。
通り過ぎ様に茂みから天罰の杖の“バギ”を当てて、転倒した所を殴り殺す。
それは大して難しい事ではないだろう。だが。
「それも無しだ。後ろの遠くの方を見てみろ」
「ナニ? ゲゲ、ナンダアリャ」
メロが指差すそこにはもう一人誰かが居た。
500m以上離れた遠目からではよく判らないが、足から複数の細い何かが生えている。
それは高速でその何かを動かしてスケートボードを追いかけ始めた。
車のような速度で走るスケボーにこそ劣るが、相当な速さだ。
「『アーティファクト』カ? イヤ、ドッチカッテート科学側ミテーダナ」
「魔法の次は未来兵器でも出てきたか? 何にしろ、あんな奴を相手にできるか」
「オイオイ、ソレジャ見逃シチマウノカ?」
「まさか。様子を見るんだ」
そうすればうまく行けば漁夫の利にありつける。
メロは森の茂みに隠れ二人を見送った。
森の茂みの中から彼はその光景を見ていた。
橋の上をターボの付いたスケートボードでこちらに向かって疾走する二人の少年。
片方はフードを身に纏っているだけらしく、風ではためく隙間から白い肌が見えている。
干してあった服、正確にはその下着(衣服は活動的な男の子服だった)からすればこちらは女だ。
もう一人の少年は頭から血を流しながらもそれにしがみついていた。
「ケケッ、色気ノネーチンチクリンダナ。ヤッチマエバ色気モ出ルカモシレネーゼ?」
チャチャゼロの囃す声を無視して考える。
「あの二人は多分、拡声器で非戦を訴えたバカと、服も放ってそれを助けに行ったバカだな」
「取リ入ンノカ?」
「おまえまでバカな事を言うな。
確かに取り入りやすいだろうが、あんな無茶な奴らに付き合えるか」
「ジャー殺ッチマウカ? アノ二人ヲ殺シチマエバ一気ニ3人斬リダゼ」
確かにそれは魅力的な提案だ。
あの二人は脇目も振らずにスケートボードでひた走っている。
通り過ぎ様に茂みから天罰の杖の“バギ”を当てて、転倒した所を殴り殺す。
それは大して難しい事ではないだろう。だが。
「それも無しだ。後ろの遠くの方を見てみろ」
「ナニ? ゲゲ、ナンダアリャ」
メロが指差すそこにはもう一人誰かが居た。
500m以上離れた遠目からではよく判らないが、足から複数の細い何かが生えている。
それは高速でその何かを動かしてスケートボードを追いかけ始めた。
車のような速度で走るスケボーにこそ劣るが、相当な速さだ。
「『アーティファクト』カ? イヤ、ドッチカッテート科学側ミテーダナ」
「魔法の次は未来兵器でも出てきたか? 何にしろ、あんな奴を相手にできるか」
「オイオイ、ソレジャ見逃シチマウノカ?」
「まさか。様子を見るんだ」
そうすればうまく行けば漁夫の利にありつける。
メロは森の茂みに隠れ二人を見送った。
イエローと丈の乗ったスケートボードは橋を抜けて疾走する。
森の脇の道路を直進して、北へと。
森の脇の道路を直進して、北へと。
「大丈夫? えーっと……」
「丈……城戸丈です」
「丈さん、大丈夫? まだしばらく走らないといけないんだけど……」
「ええ、なんとか。ありがとう、本当に……っつ」
だがその声は苦しげだ。
拡声器という戦いに向かない物でとはいえ、鈍器で力いっぱい額を殴られたのだ。
自分の手で触れた時、その額は寒気がするほど柔らかかった。
もし頭蓋骨が陥没でもしていたら……
「き、君は……?」
「ボクはイエローです。イエロー・デ・トキワグローブ」
疾走するボードの上で大きな声で交わした短い会話。
今は互いに名前を名乗るだけの時間しかなかった。
「もうすぐ分かれ道だ。
西の森の方にも細い道は延びてるみたいだけど、東に逃げよう。
そうすれば北でも南でも長い道に出られる。このボードなら逃げきれるはずだ」
言葉通り道の先には丁字路が見えてくる。南北へ、そして東に延びる三つ又の分かれ道。
いや、正確には丁字路ではない。細いが森へと入る道路も見えていた。十字路だ。
「ま、待った、あそこ……!」
「えっ!」
だが丈が指差す先を見てイエローは息を飲む。
十字路の北東角に少女が立っていた。
その頭部には獣の耳が生えている。
少女はこちらを見つめていた。
少女は緑色の宝石を掲げた。
宝石が輝き空間が捻れて。
「オピァマタ!」
少女の声が奇怪な魔獣を召喚した。
「丈……城戸丈です」
「丈さん、大丈夫? まだしばらく走らないといけないんだけど……」
「ええ、なんとか。ありがとう、本当に……っつ」
だがその声は苦しげだ。
拡声器という戦いに向かない物でとはいえ、鈍器で力いっぱい額を殴られたのだ。
自分の手で触れた時、その額は寒気がするほど柔らかかった。
もし頭蓋骨が陥没でもしていたら……
「き、君は……?」
「ボクはイエローです。イエロー・デ・トキワグローブ」
疾走するボードの上で大きな声で交わした短い会話。
今は互いに名前を名乗るだけの時間しかなかった。
「もうすぐ分かれ道だ。
西の森の方にも細い道は延びてるみたいだけど、東に逃げよう。
そうすれば北でも南でも長い道に出られる。このボードなら逃げきれるはずだ」
言葉通り道の先には丁字路が見えてくる。南北へ、そして東に延びる三つ又の分かれ道。
いや、正確には丁字路ではない。細いが森へと入る道路も見えていた。十字路だ。
「ま、待った、あそこ……!」
「えっ!」
だが丈が指差す先を見てイエローは息を飲む。
十字路の北東角に少女が立っていた。
その頭部には獣の耳が生えている。
少女はこちらを見つめていた。
少女は緑色の宝石を掲げた。
宝石が輝き空間が捻れて。
「オピァマタ!」
少女の声が奇怪な魔獣を召喚した。
「待ってくれ、僕達は……!」
問答無用。
少女アルルゥの魔獣オピァマタ(本名タマヒポ)は口から毒の息を吐き出した。
急激にボードを減速させるが止まりきれない。
わだかまるその中に突っ込んでしまえばきっとただでは済まないだろう。
「そうはいかない!」
イエローは身を震わせて、フードに願った。
イエローの身に纏うフードは支給品シルフェのフード。
その機能は周囲に風を巻き起こす事で飛び道具を吹き払う事!
轟と鳴った風がオピァマタの毒の息を吹き散らした。
「むー」
アルルゥは唸り、もう一度今度は別の石を掲げる。
同じ召喚獣で同じ飛び道具でも、ワイヴァーンの炎ならあの程度の風では防げない。
「待ってくれ! はぁ……はぁ……僕達は、殺し合う気なんて無い!」
丈が必死に声を絞り出す。
「……でも、てき」
「敵じゃない!」
「みんなたおさないと、かえれない」
「え……!」
「アルルゥ、おとーさんとこ、かえる」
(帰る……そうか……!)
丈は息を呑む。
そう、確かに殺し合いに乗らないと叫んだ所でそれだけではどうにもならない。
この殺し合いの主催者達をどうにかするか、脱出手段が無ければ逃げられない。
(首に填められた首輪を外せない限り、僕達は……)
「帰る方法は他にも有る!」
イエローが叫んだ。
「イエロー……?」
丈はこの時ようやくイエローが少年ではない事に気づいた。
それでも君を付けるのが彼の口調だったが。
「きっと。ううん、絶対に。みんなで諦めなければ、絶対に帰れる!
帰る方法は絶対に見つかる!」
「………………」
「信じて!」
その言葉は単純で、根拠が示されたわけでもない。
だがそれでもアルルゥは、迷った。
深く考えて行動する事はあまり得意では無い。
別に頭が悪いわけではないが、例えば薬師として修行を積んでいる姉や、
賢王と称えられた彼女の父などとは比較にならない。
何よりも大きな違いは、あまりに純粋な事だ。
彼女は人見知りこそ激しいが、与えられた情報は割と素直に信じてしまう。
このバトル・ロワイアルの主催者が提示したルールも、あっさりと信じてしまったのだ。
一に他の全ての参加者は殺し合う敵であるという事。
二に最後の一人は元の世界に帰れるという事。
三に脱出する手段は無いという事。
この理論が有る以上、『私は殺さない』という言葉は意味が無い。
相手が殺そうとしなくとも、結局は殺さなければ帰れないのだから。
だがここで掛かった言葉は『他にも手段は有る』だ。
問答無用。
少女アルルゥの魔獣オピァマタ(本名タマヒポ)は口から毒の息を吐き出した。
急激にボードを減速させるが止まりきれない。
わだかまるその中に突っ込んでしまえばきっとただでは済まないだろう。
「そうはいかない!」
イエローは身を震わせて、フードに願った。
イエローの身に纏うフードは支給品シルフェのフード。
その機能は周囲に風を巻き起こす事で飛び道具を吹き払う事!
轟と鳴った風がオピァマタの毒の息を吹き散らした。
「むー」
アルルゥは唸り、もう一度今度は別の石を掲げる。
同じ召喚獣で同じ飛び道具でも、ワイヴァーンの炎ならあの程度の風では防げない。
「待ってくれ! はぁ……はぁ……僕達は、殺し合う気なんて無い!」
丈が必死に声を絞り出す。
「……でも、てき」
「敵じゃない!」
「みんなたおさないと、かえれない」
「え……!」
「アルルゥ、おとーさんとこ、かえる」
(帰る……そうか……!)
丈は息を呑む。
そう、確かに殺し合いに乗らないと叫んだ所でそれだけではどうにもならない。
この殺し合いの主催者達をどうにかするか、脱出手段が無ければ逃げられない。
(首に填められた首輪を外せない限り、僕達は……)
「帰る方法は他にも有る!」
イエローが叫んだ。
「イエロー……?」
丈はこの時ようやくイエローが少年ではない事に気づいた。
それでも君を付けるのが彼の口調だったが。
「きっと。ううん、絶対に。みんなで諦めなければ、絶対に帰れる!
帰る方法は絶対に見つかる!」
「………………」
「信じて!」
その言葉は単純で、根拠が示されたわけでもない。
だがそれでもアルルゥは、迷った。
深く考えて行動する事はあまり得意では無い。
別に頭が悪いわけではないが、例えば薬師として修行を積んでいる姉や、
賢王と称えられた彼女の父などとは比較にならない。
何よりも大きな違いは、あまりに純粋な事だ。
彼女は人見知りこそ激しいが、与えられた情報は割と素直に信じてしまう。
このバトル・ロワイアルの主催者が提示したルールも、あっさりと信じてしまったのだ。
一に他の全ての参加者は殺し合う敵であるという事。
二に最後の一人は元の世界に帰れるという事。
三に脱出する手段は無いという事。
この理論が有る以上、『私は殺さない』という言葉は意味が無い。
相手が殺そうとしなくとも、結局は殺さなければ帰れないのだから。
だがここで掛かった言葉は『他にも手段は有る』だ。
アルルゥはこの情報もあっさりと信じた。
だからアルルゥは迷う。
このまま殺し合いを続けるか、それとも目の前の少年(?)達を手助けするか。
殺人に忌避感が無い以上、感情としてはどちらでも良い。
どちらがより確実に元の世界に帰れるかなんて判らない。
ただ……
「みんなを殺して生き延びたりしたら……きっと君のお父さんは、怒るぞ……」
丈の言葉が更にアルルゥを迷わせ、二人が更に説得を続けようとした時……
風が吹いた。
ボードも止まっているその僅かな静寂の瞬間に、風に乗って。
……どこか。
響いて方角も判らない何処か遠くから、かすかに『チョキン』という音が聞こえた。
その音がアルルゥの迷いを断ち切った。
このまま殺し合いを続けるか、それとも目の前の少年(?)達を手助けするか。
殺人に忌避感が無い以上、感情としてはどちらでも良い。
どちらがより確実に元の世界に帰れるかなんて判らない。
ただ……
「みんなを殺して生き延びたりしたら……きっと君のお父さんは、怒るぞ……」
丈の言葉が更にアルルゥを迷わせ、二人が更に説得を続けようとした時……
風が吹いた。
ボードも止まっているその僅かな静寂の瞬間に、風に乗って。
……どこか。
響いて方角も判らない何処か遠くから、かすかに『チョキン』という音が聞こえた。
その音がアルルゥの迷いを断ち切った。
「――いく」
アルルゥの言葉に従い再び丸い魔獣は毒の息を吐き出した。
「また……!? 離さないで!」
イエローはもう一度シルフェのフードで風を起こし毒ガスを吹き払う。
「ケホケホッ、わ、わかった!」
丈が再びイエローの体を強く抱き締めると同時に、イエローはボードを発進させた。
だが十字路の北東にはアルルゥが居る。北へも東へもその脇を抜けなければならない。
後ろも駄目だ。あの少年が追いかけてくるだろう。
残る道は……森。
イエローと丈の乗ったボードは、十字路よりほんの十数m手前の細い林道へと飛び込んだ。
「…………おう」
アルルゥもそれを追いかけて林道へと走っていく。
迷いは無い。全て倒して、元の世界に帰ろう。
迷いは綺麗さっぱりと消えていた。
アルルゥの言葉に従い再び丸い魔獣は毒の息を吐き出した。
「また……!? 離さないで!」
イエローはもう一度シルフェのフードで風を起こし毒ガスを吹き払う。
「ケホケホッ、わ、わかった!」
丈が再びイエローの体を強く抱き締めると同時に、イエローはボードを発進させた。
だが十字路の北東にはアルルゥが居る。北へも東へもその脇を抜けなければならない。
後ろも駄目だ。あの少年が追いかけてくるだろう。
残る道は……森。
イエローと丈の乗ったボードは、十字路よりほんの十数m手前の細い林道へと飛び込んだ。
「…………おう」
アルルゥもそれを追いかけて林道へと走っていく。
迷いは無い。全て倒して、元の世界に帰ろう。
迷いは綺麗さっぱりと消えていた。
イエローと丈の乗ったボードは再び疾走する。
森の中の細い林道を、西へと。
森の中の細い林道を、西へと。
林道とはいえ細いながらもアスファルト舗装された道路だ。
二人の乗るターボスケボーが加速すればそうそう追いつかれたりはしない。
そう、おいつかれはしなかった。だが。
…………チョキン。
風に乗って聞こえてきた、さっきと同じかすかな音。
「……なんだ? この音」
……チョキン。
道の先に少女が飛び出る。その片手に有るのは無骨で巨大なハンマー。
「まさか――!?」
チョキン。
少女はもう左手のハサミをしまい、右手でハンマーを振りかざした。
「うわあああああああああああああああああ!!」
急旋回するボード。だが。
(まにあわない――!!)
少女プレセアはハンマーことグラーフアイゼンを振り下ろした。
乗り手を失ったボードが、宙に舞った。
二人の乗るターボスケボーが加速すればそうそう追いつかれたりはしない。
そう、おいつかれはしなかった。だが。
…………チョキン。
風に乗って聞こえてきた、さっきと同じかすかな音。
「……なんだ? この音」
……チョキン。
道の先に少女が飛び出る。その片手に有るのは無骨で巨大なハンマー。
「まさか――!?」
チョキン。
少女はもう左手のハサミをしまい、右手でハンマーを振りかざした。
「うわあああああああああああああああああ!!」
急旋回するボード。だが。
(まにあわない――!!)
少女プレセアはハンマーことグラーフアイゼンを振り下ろした。
乗り手を失ったボードが、宙に舞った。
* * *
「あ……ああ……!!」
少年は、それを見ていた。
ただ見ているだけだった。
猪名寺乱太郎。
彼はスケルトンメガネにより森の木々を透過して全て目撃した。
最初は恐怖の対象であるメロの動きを観察していただけだった。
メロが森の出口の近くに行ったのを見てその先を透視して……二人を見つけた。
スケボーに乗った二人が道を直進して獣耳の少女に襲われる所を見た。
それでも飛び出せなかった。
不可思議な妖術で奇怪な妖怪を使役する少女が怖ろしくて。
(逃げて、無事に逃げて――!!)
ただそう祈る事しか出来ず……幸いにもその願いは叶った。
説得は失敗したようだが二人はなんとか無事にその場を逃げ切ったのだ。
だが安堵の息を吐く間はなかった。
森の中を進むその先を見て、乱太郎は彼女の存在に気づいたのだ。
寒気がした。
片手でハンマーを振り回し、片手で奇怪なハサミをチョキチョキと鳴らす彼女の存在が。
そのハサミの音が届いていればまた違ったかも知れない。
迷いを断ち切るそのハサミの音が聞こえていれば乱太郎は飛び出せたかも知れない。
――そして死んでいたかもしれない。
乱太郎にとっては幸いにも、その音は聞こえなかった。
乱太郎から見れば少女との間には一切の障害物が存在しない。
だがそれはスケルトンメガネで見ているからだ。
現実に二人の間に存在したたくさんの森の木々はハサミの音を吸収してしまっていた。
再び走り始めたターボ付きスケボーの音もハサミの音を阻害していた。
だからそれは無音劇のように進行して。
道路を破砕したハンマーの一撃が、ようやく少年に戦いの音を届けた。
「~~~~っ!!」
思わずギュッと目を瞑る。
また自分のせいで誰かが死んだ。手を差し伸べれば助ける事も出来た筈なのに。
その恐怖と嫌悪に耐えきれず、透視の眼鏡を付けていながら乱太郎は世界を閉ざした。
だから乱太郎はその先に関わる手段を失った。
救急セットもスケルトンメガネも、使えなかった。
少年は、それを見ていた。
ただ見ているだけだった。
猪名寺乱太郎。
彼はスケルトンメガネにより森の木々を透過して全て目撃した。
最初は恐怖の対象であるメロの動きを観察していただけだった。
メロが森の出口の近くに行ったのを見てその先を透視して……二人を見つけた。
スケボーに乗った二人が道を直進して獣耳の少女に襲われる所を見た。
それでも飛び出せなかった。
不可思議な妖術で奇怪な妖怪を使役する少女が怖ろしくて。
(逃げて、無事に逃げて――!!)
ただそう祈る事しか出来ず……幸いにもその願いは叶った。
説得は失敗したようだが二人はなんとか無事にその場を逃げ切ったのだ。
だが安堵の息を吐く間はなかった。
森の中を進むその先を見て、乱太郎は彼女の存在に気づいたのだ。
寒気がした。
片手でハンマーを振り回し、片手で奇怪なハサミをチョキチョキと鳴らす彼女の存在が。
そのハサミの音が届いていればまた違ったかも知れない。
迷いを断ち切るそのハサミの音が聞こえていれば乱太郎は飛び出せたかも知れない。
――そして死んでいたかもしれない。
乱太郎にとっては幸いにも、その音は聞こえなかった。
乱太郎から見れば少女との間には一切の障害物が存在しない。
だがそれはスケルトンメガネで見ているからだ。
現実に二人の間に存在したたくさんの森の木々はハサミの音を吸収してしまっていた。
再び走り始めたターボ付きスケボーの音もハサミの音を阻害していた。
だからそれは無音劇のように進行して。
道路を破砕したハンマーの一撃が、ようやく少年に戦いの音を届けた。
「~~~~っ!!」
思わずギュッと目を瞑る。
また自分のせいで誰かが死んだ。手を差し伸べれば助ける事も出来た筈なのに。
その恐怖と嫌悪に耐えきれず、透視の眼鏡を付けていながら乱太郎は世界を閉ざした。
だから乱太郎はその先に関わる手段を失った。
救急セットもスケルトンメガネも、使えなかった。
* * *
………………。
「……外れちゃいましたね」
ぽつりと呟く少女に二人は慄然となる。
イエローと丈は死んではいなかった。
スケボーを減速しても間に合わないと判断したイエローは丈と共にボードから飛び降りたのだ。
シルフェのフードは巻き起こした風により大きく跳躍する事も出来る。
だがスケボーはそのまま滑り、すぐ脇で起きた路面の破砕に巻き込まれ、吹き飛ばされた。
舞い上がったそれはガランゴロンとプレセアの背後で音を立てた。
もしかするとどこか壊れてしまったかもしれない。
しかも目の前にはハンマーを持った少女。スケボーはその背後。
大跳躍により回り込もうとしても慣れない身では隙が大きい。
きっと次は……叩き落とされる。
西への道は完全に塞がれ、スケートボードは失われた。
「どう……して……?」
丈は粗い息を吐きながら問い掛ける。
「どうして……こんな、殺し合いなんかに……?」
「アリシアに会うためです」
「それは、元の世界の……」
「死んだ妹です」
息を呑む。
プレセアは迷うことなく話す。別に話す理由は無かったが、黙っている必要も無い事だ。
「みんな殺して、願いを叶えて、アリシアに会う。簡単ですね」
二人には掛ける言葉が無い。プレセアに届けられる答えが無い。
そんな二人に対し一切の頓着も情も無く、プレセアは再びハンマーを振りかざした。
「くそ、まだだ!」
イエローは丈の手を引いて走り出す。
(逃げる。逃げ切るんだ。この場を生き延びれば……!)
そうすればまだ可能性があると、そう思った。だが。
「…………いた」
道の先には一人の少女が現れていた。
アルルゥ。
石より魔獣を召喚して使役する、殺し合いに乗った少女。
「それなら森に――」
「危ない!」
丈がイエローを押し倒した次の瞬間、その首があった場所を鋭い刃が薙払う。
掠めた刃が丈の肩を切り裂き派手に血が噴き出した。
「うあぁっ!!」
「丈さん!? い、今のは……!」
息を呑み視線を移すその先に、森の木々に突き刺さる4本のブレードが映った。
ブレードはアームに付いていた。
アームの根本には装着部分。
バルキリースカートを装着したヘンゼルが森の中に浮いていた。
「やあ。やっと追いついたね」
ヘンゼルは天使のような笑顔を浮かべたその唇から。
「避けてくれて良かった。一撃で殺しちゃったら楽しめないものね」
あまりにも邪悪な言葉を紡ぎ出す。
林道の西にはハンマーを手にしたプレセアが。
林道の東にはサモナイト石を構えたアルルゥが。
林道の北の森にはバルキリースカートを装着したヘンゼルが鎮座した。
容赦の無い殺意を持って殺人者達が取り囲む。
「もう……ダメだ…………」
思わず丈は絶望する。
どうしようもない。
この3人は他の2人と殺し合うかもしれない。
だけどその中で丈もイエローも殺される。それに……
(視界が……揺れる……)
頭を強く打った状態で右へ左へ振り回されるように走り回り、斬られた肩口の血は止まらない。
症状が好転する要素なんて何も無い。
状況は好転する要素なんて何も無い。
どう転んでも丈は終わりだ。それも、一人の少女を巻き込んで。
「すまない……僕のせいで…………」
小さな声で軽率な行為を謝罪して……丈は、イエローの目が諦めていない事に気が付いた。
「まだだ。まだ、一方向残ってる」
「そんな……正気か?」
確かにまだ南方向は空いている。だがスケートボードはもう無いのだ。
距離の近いプレセアや遠距離攻撃が出来るアルルゥ、
何よりバルキリースカートを装着しているヘンゼルから逃げきれる可能性は限りなく零に近い。
「でも、そこしかない。それに……」
イエローは視線を一人一人に向ける。
プレセア。アルルゥ。ヘンゼル。3人の、殺し合いに乗った者達。
だがそれは一言で括れる存在では無かった。
3人にはそれぞれ全く違う理由が有り、目的が有ったのだ。
彼女達にとって他の二人もまた敵でしかない。
踏み込んでイエローと丈を狙おうとすれば、その隙を突かれるかもしれない。
「……睨み合えば、少しくらいスキが生まれるかもしれない」
丈は目の前の少女の勇気と判断に感嘆した。
そうだ、最期まで足掻いてみても良いはずだ。
「判った、南に逃げよう。それじゃ……」「せーの…………」
ゴー、のかけ声をしようとした瞬間。
二人から5m余り前方。南の森に、新たな少女が舞い降りた。
少女は凍り付く二人を前に口を開く。
「ムシャクシャする……纏めてブッ殺してやる!!」
森に凄烈な怒号が響きわたった。
「……外れちゃいましたね」
ぽつりと呟く少女に二人は慄然となる。
イエローと丈は死んではいなかった。
スケボーを減速しても間に合わないと判断したイエローは丈と共にボードから飛び降りたのだ。
シルフェのフードは巻き起こした風により大きく跳躍する事も出来る。
だがスケボーはそのまま滑り、すぐ脇で起きた路面の破砕に巻き込まれ、吹き飛ばされた。
舞い上がったそれはガランゴロンとプレセアの背後で音を立てた。
もしかするとどこか壊れてしまったかもしれない。
しかも目の前にはハンマーを持った少女。スケボーはその背後。
大跳躍により回り込もうとしても慣れない身では隙が大きい。
きっと次は……叩き落とされる。
西への道は完全に塞がれ、スケートボードは失われた。
「どう……して……?」
丈は粗い息を吐きながら問い掛ける。
「どうして……こんな、殺し合いなんかに……?」
「アリシアに会うためです」
「それは、元の世界の……」
「死んだ妹です」
息を呑む。
プレセアは迷うことなく話す。別に話す理由は無かったが、黙っている必要も無い事だ。
「みんな殺して、願いを叶えて、アリシアに会う。簡単ですね」
二人には掛ける言葉が無い。プレセアに届けられる答えが無い。
そんな二人に対し一切の頓着も情も無く、プレセアは再びハンマーを振りかざした。
「くそ、まだだ!」
イエローは丈の手を引いて走り出す。
(逃げる。逃げ切るんだ。この場を生き延びれば……!)
そうすればまだ可能性があると、そう思った。だが。
「…………いた」
道の先には一人の少女が現れていた。
アルルゥ。
石より魔獣を召喚して使役する、殺し合いに乗った少女。
「それなら森に――」
「危ない!」
丈がイエローを押し倒した次の瞬間、その首があった場所を鋭い刃が薙払う。
掠めた刃が丈の肩を切り裂き派手に血が噴き出した。
「うあぁっ!!」
「丈さん!? い、今のは……!」
息を呑み視線を移すその先に、森の木々に突き刺さる4本のブレードが映った。
ブレードはアームに付いていた。
アームの根本には装着部分。
バルキリースカートを装着したヘンゼルが森の中に浮いていた。
「やあ。やっと追いついたね」
ヘンゼルは天使のような笑顔を浮かべたその唇から。
「避けてくれて良かった。一撃で殺しちゃったら楽しめないものね」
あまりにも邪悪な言葉を紡ぎ出す。
林道の西にはハンマーを手にしたプレセアが。
林道の東にはサモナイト石を構えたアルルゥが。
林道の北の森にはバルキリースカートを装着したヘンゼルが鎮座した。
容赦の無い殺意を持って殺人者達が取り囲む。
「もう……ダメだ…………」
思わず丈は絶望する。
どうしようもない。
この3人は他の2人と殺し合うかもしれない。
だけどその中で丈もイエローも殺される。それに……
(視界が……揺れる……)
頭を強く打った状態で右へ左へ振り回されるように走り回り、斬られた肩口の血は止まらない。
症状が好転する要素なんて何も無い。
状況は好転する要素なんて何も無い。
どう転んでも丈は終わりだ。それも、一人の少女を巻き込んで。
「すまない……僕のせいで…………」
小さな声で軽率な行為を謝罪して……丈は、イエローの目が諦めていない事に気が付いた。
「まだだ。まだ、一方向残ってる」
「そんな……正気か?」
確かにまだ南方向は空いている。だがスケートボードはもう無いのだ。
距離の近いプレセアや遠距離攻撃が出来るアルルゥ、
何よりバルキリースカートを装着しているヘンゼルから逃げきれる可能性は限りなく零に近い。
「でも、そこしかない。それに……」
イエローは視線を一人一人に向ける。
プレセア。アルルゥ。ヘンゼル。3人の、殺し合いに乗った者達。
だがそれは一言で括れる存在では無かった。
3人にはそれぞれ全く違う理由が有り、目的が有ったのだ。
彼女達にとって他の二人もまた敵でしかない。
踏み込んでイエローと丈を狙おうとすれば、その隙を突かれるかもしれない。
「……睨み合えば、少しくらいスキが生まれるかもしれない」
丈は目の前の少女の勇気と判断に感嘆した。
そうだ、最期まで足掻いてみても良いはずだ。
「判った、南に逃げよう。それじゃ……」「せーの…………」
ゴー、のかけ声をしようとした瞬間。
二人から5m余り前方。南の森に、新たな少女が舞い降りた。
少女は凍り付く二人を前に口を開く。
「ムシャクシャする……纏めてブッ殺してやる!!」
森に凄烈な怒号が響きわたった。
「待っ――――」
何も言う間は無かった。
次の瞬間、少女から放たれた閃光がイエローと丈を包み込んだからだ。
そして――凄まじい、轟音が訪れる。
強烈な閃光と凄まじい爆発音が響きわたる。
とてつもない光と音の乱舞だ。
それに伴う余波か、強い風が吹き荒れた。
やがてその光がゆっくりと収まった時。
二人の居た場所には幾らかの血が残っているだけだった。
「……残りも吹き飛ばしてやる」
強烈な何かを放った少女は、うっすらと笑いながら、また手の中に何か集め始める。
プレセアとヘンゼルはそれに向けて身構えた。
何も言う間は無かった。
次の瞬間、少女から放たれた閃光がイエローと丈を包み込んだからだ。
そして――凄まじい、轟音が訪れる。
強烈な閃光と凄まじい爆発音が響きわたる。
とてつもない光と音の乱舞だ。
それに伴う余波か、強い風が吹き荒れた。
やがてその光がゆっくりと収まった時。
二人の居た場所には幾らかの血が残っているだけだった。
「……残りも吹き飛ばしてやる」
強烈な何かを放った少女は、うっすらと笑いながら、また手の中に何か集め始める。
プレセアとヘンゼルはそれに向けて身構えた。
* * *
「ハッ……ハッ…………ハッ……ハッ…………」
アルルゥは走っていた。
ついさっきまでは他の3人と共にイエローと丈を睨んでいた。
いつでもサモナイト石から魔獣を召喚出来るように身構えていた。
だが今のアルルゥは、道路を逆進している。
時折背後を振り返りながら、走る。
時折梢の隙間から空を見上げつつ……アルルゥは走り続けた。
アルルゥは気づいたのだ。
アルルゥは森を知っていた。
森の樹の堅さを。土の柔らかさを。葉の重さを知っていた。
森の匂いを知っていた。その中に人が入った時の匂いを知っていた。
だから変化が起きれば何かが変わった事に気づけたし、
変化が起きなければ何も変わっていない事に気づく事が出来た。
だからアルルゥは走り続けた。
アルルゥは走っていた。
ついさっきまでは他の3人と共にイエローと丈を睨んでいた。
いつでもサモナイト石から魔獣を召喚出来るように身構えていた。
だが今のアルルゥは、道路を逆進している。
時折背後を振り返りながら、走る。
時折梢の隙間から空を見上げつつ……アルルゥは走り続けた。
アルルゥは気づいたのだ。
アルルゥは森を知っていた。
森の樹の堅さを。土の柔らかさを。葉の重さを知っていた。
森の匂いを知っていた。その中に人が入った時の匂いを知っていた。
だから変化が起きれば何かが変わった事に気づけたし、
変化が起きなければ何も変わっていない事に気づく事が出来た。
だからアルルゥは走り続けた。
* * *
「今のは…………」
メロは茂みの中にいた。
イエローと丈が囲まれたあの道路の、南の森の茂みに居た。
南の、といっても少し離れた茂みだ。
彼はそこから虎視眈々と彼らの様子を窺い、漁夫の利を狙っていたのだ。
遠くから見ていた彼は、それ故にその全景を見る事が出来た。
渦中の者達からは死角となる場所もしっかりと見ていた。
「……つまりは“そういう事”なのか?」
「ケケッ、残念ダッタナ。獲物ヲ横取リサレチマッタゼ」
「チャチャゼロ。聞いておくが、さっきのは『魔法』か?」
「ワカンネー。ケド、魔法デ出来ル事ダゼ」
その答えの時点で、少なくとも道の向かいに居る少年の奇妙な武器とは違う物らしい。
「魔法ッテ言ッテモ東洋ト西洋デ大分ト違ウシ、流派モ有ルシ、属性モ有ルゼ。
オレガ何カラ何マデ知ッテルワケネーダロ。ケド……」
チャチャゼロは視線だけを動かして、空を見上げた。
「……ナンカ魔法ッポイゼ?」
メロは茂みの中にいた。
イエローと丈が囲まれたあの道路の、南の森の茂みに居た。
南の、といっても少し離れた茂みだ。
彼はそこから虎視眈々と彼らの様子を窺い、漁夫の利を狙っていたのだ。
遠くから見ていた彼は、それ故にその全景を見る事が出来た。
渦中の者達からは死角となる場所もしっかりと見ていた。
「……つまりは“そういう事”なのか?」
「ケケッ、残念ダッタナ。獲物ヲ横取リサレチマッタゼ」
「チャチャゼロ。聞いておくが、さっきのは『魔法』か?」
「ワカンネー。ケド、魔法デ出来ル事ダゼ」
その答えの時点で、少なくとも道の向かいに居る少年の奇妙な武器とは違う物らしい。
「魔法ッテ言ッテモ東洋ト西洋デ大分ト違ウシ、流派モ有ルシ、属性モ有ルゼ。
オレガ何カラ何マデ知ッテルワケネーダロ。ケド……」
チャチャゼロは視線だけを動かして、空を見上げた。
「……ナンカ魔法ッポイゼ?」
* * *
明石薫はくらくらしながら闇の中を漂っていた。
そこは真っ暗だった。
何も無い。何も聞こえない。
だが遠くの方に何か明るい場所がある。
そっちに近づいてじっと見つめて……薫は首を傾げた。
「あっれ~? なんだか最初に~死んだ女の人が見える~」
最初に死んだ女の人は優しげに笑うと薫に向けて手を招く。
「あらあら、お嬢ちゃん大丈夫? 早くこちらにいらっしゃい」
よく判らないが招かれているなら行くものだろう。
(あの姉ちゃん、おっきくなった姿は出る所が色々スッゲーんだよな。
柔らかそーで色々ぼーんとでっかくて……うー、スッゲー!)
オヤジ趣味全開でふらふらと近づこうとする。
が、また誰かの声がする。
「まだ来ちゃダメだ! 早く戻れって! まだ仲間がいるだろ!」
その声にはさっぱり覚えが無いが、言ってる事はしごくもっともな気がした。
「そ~いえばいたっけ~。んじゃ~またね~」
だから素直に帰る事にする。くらくらー。くらくら~。
「しばらく来るなよー!」
声はどんどんと遠ざかっていって。
明石薫は夢を見ていた。
気絶したまま、絶賛大爆睡中であった。
そこは真っ暗だった。
何も無い。何も聞こえない。
だが遠くの方に何か明るい場所がある。
そっちに近づいてじっと見つめて……薫は首を傾げた。
「あっれ~? なんだか最初に~死んだ女の人が見える~」
最初に死んだ女の人は優しげに笑うと薫に向けて手を招く。
「あらあら、お嬢ちゃん大丈夫? 早くこちらにいらっしゃい」
よく判らないが招かれているなら行くものだろう。
(あの姉ちゃん、おっきくなった姿は出る所が色々スッゲーんだよな。
柔らかそーで色々ぼーんとでっかくて……うー、スッゲー!)
オヤジ趣味全開でふらふらと近づこうとする。
が、また誰かの声がする。
「まだ来ちゃダメだ! 早く戻れって! まだ仲間がいるだろ!」
その声にはさっぱり覚えが無いが、言ってる事はしごくもっともな気がした。
「そ~いえばいたっけ~。んじゃ~またね~」
だから素直に帰る事にする。くらくらー。くらくら~。
「しばらく来るなよー!」
声はどんどんと遠ざかっていって。
明石薫は夢を見ていた。
気絶したまま、絶賛大爆睡中であった。
* * *
南……メロよりは北の場所。依然、少女はそこに居た。
ヘンゼルもプレセアも、それが明石薫と呼ばれる少女の姿である事は知らない。
ただ敵であるという事だけは認識して、身構えた。
少女は再び手の中に力を集め……そして再び、繰り返すように叫ぶ。
「ムシャクシャする……纏めてブッ殺してやる!!」
怒号と共に閃光が放たれる。狙いはさっきと同じ場所だ。
閃光が周囲を満たし轟音が森に響きわたった。
目も耳も役に立たない。それでもこの隙に攻撃を受けないように全神経を集中させる。
その閃光と爆発音が収まった時……少女の姿は消えていた。
「…………目眩まし?」
「逃げちゃった? それとも隠れたのかなぁ?」
プレセアは怪訝に小首を傾げ、ヘンゼルは不思議そうに呟いた。
確かに奇妙なほどに殺気は感じなかった。
二度目は風を巻き起こす事もない、おそらくはただの目眩ましだった。
だが何かが引っかかる。
周囲を慎重に見回すが、自分以外に居るのは一人だけ。
どうやらもう一人も逃げたらしい。
「まあいいや。ふふ、君は良い物を持ってるね」
ヘンゼルは笑ってプレセアの持つハンマーを見つめた。
プレセアはそれには答えず無言でグラーフアイゼンを構える。
「……やる事は、簡単」
単純明快。判りやすい事だ。
「みんな殺して」「ぜんぶ奪って」
「「最後に残る」」
悩む事なんてなにも無い。
少年と少女は激突した。
ヘンゼルもプレセアも、それが明石薫と呼ばれる少女の姿である事は知らない。
ただ敵であるという事だけは認識して、身構えた。
少女は再び手の中に力を集め……そして再び、繰り返すように叫ぶ。
「ムシャクシャする……纏めてブッ殺してやる!!」
怒号と共に閃光が放たれる。狙いはさっきと同じ場所だ。
閃光が周囲を満たし轟音が森に響きわたった。
目も耳も役に立たない。それでもこの隙に攻撃を受けないように全神経を集中させる。
その閃光と爆発音が収まった時……少女の姿は消えていた。
「…………目眩まし?」
「逃げちゃった? それとも隠れたのかなぁ?」
プレセアは怪訝に小首を傾げ、ヘンゼルは不思議そうに呟いた。
確かに奇妙なほどに殺気は感じなかった。
二度目は風を巻き起こす事もない、おそらくはただの目眩ましだった。
だが何かが引っかかる。
周囲を慎重に見回すが、自分以外に居るのは一人だけ。
どうやらもう一人も逃げたらしい。
「まあいいや。ふふ、君は良い物を持ってるね」
ヘンゼルは笑ってプレセアの持つハンマーを見つめた。
プレセアはそれには答えず無言でグラーフアイゼンを構える。
「……やる事は、簡単」
単純明快。判りやすい事だ。
「みんな殺して」「ぜんぶ奪って」
「「最後に残る」」
悩む事なんてなにも無い。
少年と少女は激突した。
* * *
閃光と轟音。
全てが白く塗り潰され、耳が痛くなるほどの轟音の中。
イエローと丈は何故かはっきりとその言葉を耳にした。
「さっきの力で跳び上がりなさい! 早く!」
聞いた事も無い声だったが、藁をも縋る気持ちでその言葉を信じた。
イエローは丈を抱き締めて真上に跳ぶ。
シルフェのフードが起こす強風の中で空に向けて飛翔する。
舞い上がった二人を力強い腕が抱き留めた。
丈の傷から血が地上に零れないように、“彼女”は丈の肩口を胸元に押し当てた。
「逃げますわよ」
一人の少女が空に浮き、二人をしかと抱えていた。
スケートボードのように何かを噴く事もなく、ただ風を切る音と共に景色が動く。
みるみる内に加速する彼女達はさっきまでのスケボーと同じくらいの速さで逃走を始めていた。
「あ、あなたは……?」
「ベルカナ=ライザナーザ。ベルカナで構いません。他に訊く事が有れば今の内にどうぞ」
「それじゃベルカナさん、さっきのは……何を?」
「さっきの子なら幻です。気にする事はありません。本物も凶暴な奴ですから」
イリュージョン。
それはベルカナの使う古代語魔法において飛行魔法フライトと同クラスの高等魔法だ。
効果は射程30m、半径5m直径にして10mの範囲内に高度な幻を作り出す事。
幻は視覚的聴覚的には完璧な幻像となり、術者が意識を集中させれば複雑な動きも行える。
だが術者が意識を放した今では単調な繰り返ししか出来ない。
古代語魔法の中でも珍しい事に、持続は術者が解除を念じるまでの永遠だ。
二度目の爆発音が聞こえると同時に、ベルカナは軽く念じて幻を消し去った。
あの少女がどこかに隠れたと考えて僅かな間でも様子を見てくれれば儲け物だろう。
「そうですか。助けてくれて、ありがとうございます」
「ええ、私も信用できる仲間を捜していましたから」
ベルカナは隠す事なくイエローの問いに答える。隠す必要は無いと判断した。
何故ならベルカナは機会を待ってずっと様子を見ていたのだから。
イエローはいつでも丈を見捨てる事が出来た。
そうすれば逃げきれる機会は幾つも有った。
だがイエローはそれをせず、見ず知らずの城戸丈を護ろうと身を危険に晒した。
ベルカナには城戸丈を信用できるという確証は無い。
しかしイエローは信じられると、確信していた。
「それに困っている人を放っておくわけにもいきませんしね」
こっちは建前だが。
「ですが……」
ベルカナは言葉を濁す。
イエローもそれに気づいた。
「……丈さん!?」
いつの間にか丈の言葉は途切れていた。その息は粗く、今にも意識を失いそうだ。
いや、こう断言しても良いだろう。……このままだと、死ぬ。
「は、早く治療しないと!」
「…………着きましたよ」
それには答えず、ベルカナは到着を伝える。
到着したのは城の上階のテラス。
中世よりは発展した程度の剣の世界出身のベルカナにとって、近場で理解できる場所はここだった。
現代的な施設である学校はベルカナの知らない施設だ。
そこにある保健室の存在を知っていれば選択肢は違ったかも知れない。
だがベルカナはそれを知らなかった。
そして学校と城以外の施設は……“遠すぎた”。
「ふぅ…………ぐっ」
テラスに着地する寸前でベルカナの腕の力が緩む。
イエローと丈は転がるようにテラスに落ちる。
咄嗟にイエローは負傷した丈を庇って倒れ込んだ。
「もっとそっと降ろしてください! 丈さんは怪我人なんですよ」
「ええ、ごめんなさい。……私、本来それほど力は有りませんから」
ベルカナは苦い顔でその言葉に答える。
身体強化魔法フィジカル・エンチャント・ストレングス。
それは一時的に魔法を掛けた者の筋力を増大させる魔法だ。
飛行魔法フライトの積載制限は緩やかだ。
だが、フライトの魔法で浮遊しているのはあくまで術者自身でしかない。
術者が持ちきれないものを持ち運ぶ事は出来ない。
ベルカナはお嬢様で魔法使いで小柄な外見通り、人並み以下の筋力しかなかった。
イエローと丈の二人を運ぶにはベルカナの筋力では不足している事は明白だったのだ。
だから、魔法で筋力を増強した。
この魔法はベルカナの世界の魔法によく有る『戦闘には十分』程度しか持続しない魔法だ。
その持続時間はジャスト3分。
その間にイリュージョンを使い幻像で二人に言葉を伝え跳躍した二人を受け止めて、
幻像を消し、更に2km近い距離を飛行する。
「計算上は間に合うはずでしたが……案外ギリギリですわね」
ベルカナの息も粗く、その顔には幾筋もの汗が滴っていた。
開始後に使った魔法を数えてみればいい。
明石薫を視る時に使用していたセンス・マジック。
明石薫の様子を見るために囮として歩かせたオーク。
明石薫から逃げるために発動させ未だに持続しているフライト。
明石薫を撒く為に使い彼女を事故らせたダークネス。
イエローと丈の両方を運ぶ為に使ったフィジカル・エンチェント・ストレングス。
それに二人を助け出す為に使ったイリュージョンだ。
ベルカナの世界において、魔法というのは多大な疲労をもたらすものだ。
魔法の上達によりその疲労はどんどん軽減されていくが、
例え疲労に耐える強靱な天賦の精神力を持った世界最高峰の魔術師であろうとも、
最下級の魔法を20発余りも撃てば気絶してしまうのだ。
(使える魔法はあと少し。この状況で有用な戦略は扉が一つの部屋に立て篭もって強力閉錠ですか。
戦闘になれば逃げるしかありませんわね)
言うならばベルカナも安全な休憩を必要とする窮した状態にあるのだ。
信用した相手なら自らの弱さも伝え互いの能力を把握し補完しあうべきだろう。
(連れてこられた者達は世界も能力も統一性が無いようですし)
空中から一連の出来事を見て、地図や支給品の中身と合わせて結論が一つ出ている。
この世界はフォーセリアとは全く違う未知の世界で、参加者も皆別の世界の住人だ。
最初に出会った少女も悪魔とはまた違う存在なのだろう。危険人物には間違いないが。
目の前の二人だって全く別の世界の知識や魔法、能力を持っていても不思議ではない。
信用し仲間と認めるならば、互いの能力は把握しておく必要がある。
だけど今はそれどころではない。
「ベルカナさん……?」
「私は大丈夫です。……その人は丈と言いましたね」
「は、はい……城戸丈です……」
丈自身が苦しげに自らの名を答える。
「まず肩の傷の処置をします。歯を食いしばって下さい」
ベルカナは丈に屈み込み、懐から布を取り出すと肩の傷の処置をし始めた。
その手際は的確な物だ。
患部の衣服を剥いで傷を露出させ……一瞬止まる。
すぐに気を取り直し、傷の周囲を拭き取ってから手早く止血を済まして、布を引き絞った。
「あぐっ」
思わず苦痛に声を漏らし、止まりきらない血がじわじわと布に染み込んでいく。
それでも肩の傷はそこまで深いわけではないし、処置も的確だ。
自然治癒でも追いつくかもしれない。
「……肩の傷はとりあえずこれで良いでしょう。それで丈さん」
ベルカナは言葉を切る。
言葉を探すように考えてから……言った。
全てが白く塗り潰され、耳が痛くなるほどの轟音の中。
イエローと丈は何故かはっきりとその言葉を耳にした。
「さっきの力で跳び上がりなさい! 早く!」
聞いた事も無い声だったが、藁をも縋る気持ちでその言葉を信じた。
イエローは丈を抱き締めて真上に跳ぶ。
シルフェのフードが起こす強風の中で空に向けて飛翔する。
舞い上がった二人を力強い腕が抱き留めた。
丈の傷から血が地上に零れないように、“彼女”は丈の肩口を胸元に押し当てた。
「逃げますわよ」
一人の少女が空に浮き、二人をしかと抱えていた。
スケートボードのように何かを噴く事もなく、ただ風を切る音と共に景色が動く。
みるみる内に加速する彼女達はさっきまでのスケボーと同じくらいの速さで逃走を始めていた。
「あ、あなたは……?」
「ベルカナ=ライザナーザ。ベルカナで構いません。他に訊く事が有れば今の内にどうぞ」
「それじゃベルカナさん、さっきのは……何を?」
「さっきの子なら幻です。気にする事はありません。本物も凶暴な奴ですから」
イリュージョン。
それはベルカナの使う古代語魔法において飛行魔法フライトと同クラスの高等魔法だ。
効果は射程30m、半径5m直径にして10mの範囲内に高度な幻を作り出す事。
幻は視覚的聴覚的には完璧な幻像となり、術者が意識を集中させれば複雑な動きも行える。
だが術者が意識を放した今では単調な繰り返ししか出来ない。
古代語魔法の中でも珍しい事に、持続は術者が解除を念じるまでの永遠だ。
二度目の爆発音が聞こえると同時に、ベルカナは軽く念じて幻を消し去った。
あの少女がどこかに隠れたと考えて僅かな間でも様子を見てくれれば儲け物だろう。
「そうですか。助けてくれて、ありがとうございます」
「ええ、私も信用できる仲間を捜していましたから」
ベルカナは隠す事なくイエローの問いに答える。隠す必要は無いと判断した。
何故ならベルカナは機会を待ってずっと様子を見ていたのだから。
イエローはいつでも丈を見捨てる事が出来た。
そうすれば逃げきれる機会は幾つも有った。
だがイエローはそれをせず、見ず知らずの城戸丈を護ろうと身を危険に晒した。
ベルカナには城戸丈を信用できるという確証は無い。
しかしイエローは信じられると、確信していた。
「それに困っている人を放っておくわけにもいきませんしね」
こっちは建前だが。
「ですが……」
ベルカナは言葉を濁す。
イエローもそれに気づいた。
「……丈さん!?」
いつの間にか丈の言葉は途切れていた。その息は粗く、今にも意識を失いそうだ。
いや、こう断言しても良いだろう。……このままだと、死ぬ。
「は、早く治療しないと!」
「…………着きましたよ」
それには答えず、ベルカナは到着を伝える。
到着したのは城の上階のテラス。
中世よりは発展した程度の剣の世界出身のベルカナにとって、近場で理解できる場所はここだった。
現代的な施設である学校はベルカナの知らない施設だ。
そこにある保健室の存在を知っていれば選択肢は違ったかも知れない。
だがベルカナはそれを知らなかった。
そして学校と城以外の施設は……“遠すぎた”。
「ふぅ…………ぐっ」
テラスに着地する寸前でベルカナの腕の力が緩む。
イエローと丈は転がるようにテラスに落ちる。
咄嗟にイエローは負傷した丈を庇って倒れ込んだ。
「もっとそっと降ろしてください! 丈さんは怪我人なんですよ」
「ええ、ごめんなさい。……私、本来それほど力は有りませんから」
ベルカナは苦い顔でその言葉に答える。
身体強化魔法フィジカル・エンチャント・ストレングス。
それは一時的に魔法を掛けた者の筋力を増大させる魔法だ。
飛行魔法フライトの積載制限は緩やかだ。
だが、フライトの魔法で浮遊しているのはあくまで術者自身でしかない。
術者が持ちきれないものを持ち運ぶ事は出来ない。
ベルカナはお嬢様で魔法使いで小柄な外見通り、人並み以下の筋力しかなかった。
イエローと丈の二人を運ぶにはベルカナの筋力では不足している事は明白だったのだ。
だから、魔法で筋力を増強した。
この魔法はベルカナの世界の魔法によく有る『戦闘には十分』程度しか持続しない魔法だ。
その持続時間はジャスト3分。
その間にイリュージョンを使い幻像で二人に言葉を伝え跳躍した二人を受け止めて、
幻像を消し、更に2km近い距離を飛行する。
「計算上は間に合うはずでしたが……案外ギリギリですわね」
ベルカナの息も粗く、その顔には幾筋もの汗が滴っていた。
開始後に使った魔法を数えてみればいい。
明石薫を視る時に使用していたセンス・マジック。
明石薫の様子を見るために囮として歩かせたオーク。
明石薫から逃げるために発動させ未だに持続しているフライト。
明石薫を撒く為に使い彼女を事故らせたダークネス。
イエローと丈の両方を運ぶ為に使ったフィジカル・エンチェント・ストレングス。
それに二人を助け出す為に使ったイリュージョンだ。
ベルカナの世界において、魔法というのは多大な疲労をもたらすものだ。
魔法の上達によりその疲労はどんどん軽減されていくが、
例え疲労に耐える強靱な天賦の精神力を持った世界最高峰の魔術師であろうとも、
最下級の魔法を20発余りも撃てば気絶してしまうのだ。
(使える魔法はあと少し。この状況で有用な戦略は扉が一つの部屋に立て篭もって強力閉錠ですか。
戦闘になれば逃げるしかありませんわね)
言うならばベルカナも安全な休憩を必要とする窮した状態にあるのだ。
信用した相手なら自らの弱さも伝え互いの能力を把握し補完しあうべきだろう。
(連れてこられた者達は世界も能力も統一性が無いようですし)
空中から一連の出来事を見て、地図や支給品の中身と合わせて結論が一つ出ている。
この世界はフォーセリアとは全く違う未知の世界で、参加者も皆別の世界の住人だ。
最初に出会った少女も悪魔とはまた違う存在なのだろう。危険人物には間違いないが。
目の前の二人だって全く別の世界の知識や魔法、能力を持っていても不思議ではない。
信用し仲間と認めるならば、互いの能力は把握しておく必要がある。
だけど今はそれどころではない。
「ベルカナさん……?」
「私は大丈夫です。……その人は丈と言いましたね」
「は、はい……城戸丈です……」
丈自身が苦しげに自らの名を答える。
「まず肩の傷の処置をします。歯を食いしばって下さい」
ベルカナは丈に屈み込み、懐から布を取り出すと肩の傷の処置をし始めた。
その手際は的確な物だ。
患部の衣服を剥いで傷を露出させ……一瞬止まる。
すぐに気を取り直し、傷の周囲を拭き取ってから手早く止血を済まして、布を引き絞った。
「あぐっ」
思わず苦痛に声を漏らし、止まりきらない血がじわじわと布に染み込んでいく。
それでも肩の傷はそこまで深いわけではないし、処置も的確だ。
自然治癒でも追いつくかもしれない。
「……肩の傷はとりあえずこれで良いでしょう。それで丈さん」
ベルカナは言葉を切る。
言葉を探すように考えてから……言った。
「言い残す事があればどうぞ。お聞きします」
「…………え?」
丈は呆然となる。
助かった。助けて貰った。そして逃げ延びた。
それなのにどうしてそんな事を聞くのだろう。
呆けた視線を受けたベルカナは沈痛な表情を作って答える。
「私は応急処置を学んだくらいですけど、傷の程度くらいは判ります。
あなたの頭の骨は割られています。これは応急処置程度ではどうにもなりません。
それに……息苦しくありませんか?」
「え……これは、疲れのせいじゃ……」
確かにいつの間にか丈は粗い息を吐いていた。
息苦しさを感じていた。
だが緊張の極地と激しい運動、それに疲労と単なる怪我からくる物だと思っていた。
ベルカナは首を振る。
「いいえ。毒です」
「――――!!」
丈とイエローの二人ともが息を呑む。
「肩口を切った刃に毒が塗られていたのか、傷口の周囲が僅かに変色していました。
毒がどの程度のものかは判りませんけど……期待はしないでください。
あなた達に頭部の傷と毒の両方を治療する手段が有れば別ですけど」
「そんな……」
丈もイエローも押し黙る。
城戸丈は医者の勉強をしている。だけど頭部挫傷なんてとても処置できない。
未知の毒に到ってはどうにもならなかった。
イエローも同じだ。
「これがポケモンなら治せるのに……」
イエローには傷を治す不思議な力が有った。だけどこれで治せるのはポケモンだけだ。
人間を治す事は出来ない。
そして支給品も、回復アイテムではなかった。
丈は呆然となる。
助かった。助けて貰った。そして逃げ延びた。
それなのにどうしてそんな事を聞くのだろう。
呆けた視線を受けたベルカナは沈痛な表情を作って答える。
「私は応急処置を学んだくらいですけど、傷の程度くらいは判ります。
あなたの頭の骨は割られています。これは応急処置程度ではどうにもなりません。
それに……息苦しくありませんか?」
「え……これは、疲れのせいじゃ……」
確かにいつの間にか丈は粗い息を吐いていた。
息苦しさを感じていた。
だが緊張の極地と激しい運動、それに疲労と単なる怪我からくる物だと思っていた。
ベルカナは首を振る。
「いいえ。毒です」
「――――!!」
丈とイエローの二人ともが息を呑む。
「肩口を切った刃に毒が塗られていたのか、傷口の周囲が僅かに変色していました。
毒がどの程度のものかは判りませんけど……期待はしないでください。
あなた達に頭部の傷と毒の両方を治療する手段が有れば別ですけど」
「そんな……」
丈もイエローも押し黙る。
城戸丈は医者の勉強をしている。だけど頭部挫傷なんてとても処置できない。
未知の毒に到ってはどうにもならなかった。
イエローも同じだ。
「これがポケモンなら治せるのに……」
イエローには傷を治す不思議な力が有った。だけどこれで治せるのはポケモンだけだ。
人間を治す事は出来ない。
そして支給品も、回復アイテムではなかった。
彼らには今は関係の無い事だが、毒はバルキリースカートに塗られていたわけではない。
毒は、アルルゥの召喚したタマヒポの毒の息によるものだ。
タマヒポが二度目に吐いた毒はイエローには届かなかったが、丈には僅かに届いていた。
丈も僅かに咳き込んだ程度だが、肩口など体表面に僅かながら付着したのだ。
その毒が、ヘンゼルに付けられた傷を通じて体内に侵入した。
ただでさえ丈の額の打撲は激しい運動と度重なる衝撃で腫れ上がっている。
致命傷になりうる二ヶ所の傷は城戸丈に緩やかな死を告げていた。
ベルカナにも、イエローにも、城戸丈にも、それを治癒する術は無い。
「だから私に出来る事は二つだけです。
言い残す事があれば聞きましょう。
それから……苦しみの少ない介錯位なら、引き受けますよ。
治せなくとも、死ぬにはもう少し時間が掛かるでしょうから」
少しの間、沈黙が訪れた。
イエローはそれでも必死に考えた。丈を助ける方法を。
(何かないか? 何か……丈さんを助ける方法……!)
だけど一向に何も思いつかない。
イエローの癒しの力はポケモンを治す物だし、持っている物も回復には使えない。
ベルカナは時折周囲を警戒しながらただ言葉を待っていた。
城戸丈は……考えて、悩んで、苦しんだ末に…………
毒は、アルルゥの召喚したタマヒポの毒の息によるものだ。
タマヒポが二度目に吐いた毒はイエローには届かなかったが、丈には僅かに届いていた。
丈も僅かに咳き込んだ程度だが、肩口など体表面に僅かながら付着したのだ。
その毒が、ヘンゼルに付けられた傷を通じて体内に侵入した。
ただでさえ丈の額の打撲は激しい運動と度重なる衝撃で腫れ上がっている。
致命傷になりうる二ヶ所の傷は城戸丈に緩やかな死を告げていた。
ベルカナにも、イエローにも、城戸丈にも、それを治癒する術は無い。
「だから私に出来る事は二つだけです。
言い残す事があれば聞きましょう。
それから……苦しみの少ない介錯位なら、引き受けますよ。
治せなくとも、死ぬにはもう少し時間が掛かるでしょうから」
少しの間、沈黙が訪れた。
イエローはそれでも必死に考えた。丈を助ける方法を。
(何かないか? 何か……丈さんを助ける方法……!)
だけど一向に何も思いつかない。
イエローの癒しの力はポケモンを治す物だし、持っている物も回復には使えない。
ベルカナは時折周囲を警戒しながらただ言葉を待っていた。
城戸丈は……考えて、悩んで、苦しんだ末に…………
「…………僕は」
【F-3/城・上階(2F以上)テラス/1日目/朝】
【色々終わった少年と届かない助け船】
【城戸丈@デジモンアドベンチャー】
[状態]:頭部挫傷、肩に傷(止血済)、肩の傷から毒侵入、緩やかな死
[装備]:黙陣の戦弓@サモンナイト3(矢:10本)
[道具]:基本支給品
[思考]:僕は…………
第一行動方針:………………
基本行動方針:ゲームには乗らず、仲間を探す
参戦時期:デジモンワールドでの冒険を終えた時点(アニメ一期終了後)
[備考]:タマヒポの毒が傷口から侵入しました。
【色々終わった少年と届かない助け船】
【城戸丈@デジモンアドベンチャー】
[状態]:頭部挫傷、肩に傷(止血済)、肩の傷から毒侵入、緩やかな死
[装備]:黙陣の戦弓@サモンナイト3(矢:10本)
[道具]:基本支給品
[思考]:僕は…………
第一行動方針:………………
基本行動方針:ゲームには乗らず、仲間を探す
参戦時期:デジモンワールドでの冒険を終えた時点(アニメ一期終了後)
[備考]:タマヒポの毒が傷口から侵入しました。
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:擦り傷多少、フードの下は何も着てない
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、
[道具]:スケッチブック、基本支給品、不明支給品×1(本人は確認済、回復以外)
[思考]:丈を助ける方法は無いの!? ベルカナは信用した。
第一行動方針:城戸丈を助けたい。
第二行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:できれば、服を取りに戻りたい
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[状態]:擦り傷多少、フードの下は何も着てない
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、
[道具]:スケッチブック、基本支給品、不明支給品×1(本人は確認済、回復以外)
[思考]:丈を助ける方法は無いの!? ベルカナは信用した。
第一行動方針:城戸丈を助けたい。
第二行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:できれば、服を取りに戻りたい
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
【ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT】
[状態]:健康、精神力切れかけ、飛行魔法効果持続中(もうすぐ切れる)
[装備]:返響器@ヴァンパイアセイヴァー、おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:基本支給品、木の枝
[思考]:見ず知らずで信用していないが丈を助けられなかった事は少し歯痒い。
イエローは信用し、無理をしようとしたら止め、護る。追っ手に警戒する。
第一行動方針:城戸丈が言い残す事が有れば聞く。必要なら介錯。
第二行動方針:安全を確保した上で精神力回復の為に6時間以上の睡眠を取りたい。
第三行動方針:仲間集め(ただし簡単に信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
明石薫(名前は知らない)の事を悪魔では無いが危険人物だと判断しました。
残った精神力はストーンサーバントなどを使えばその瞬間に気絶する程です。
[状態]:健康、精神力切れかけ、飛行魔法効果持続中(もうすぐ切れる)
[装備]:返響器@ヴァンパイアセイヴァー、おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:基本支給品、木の枝
[思考]:見ず知らずで信用していないが丈を助けられなかった事は少し歯痒い。
イエローは信用し、無理をしようとしたら止め、護る。追っ手に警戒する。
第一行動方針:城戸丈が言い残す事が有れば聞く。必要なら介錯。
第二行動方針:安全を確保した上で精神力回復の為に6時間以上の睡眠を取りたい。
第三行動方針:仲間集め(ただし簡単に信用はしない)
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
明石薫(名前は知らない)の事を悪魔では無いが危険人物だと判断しました。
残った精神力はストーンサーバントなどを使えばその瞬間に気絶する程です。
【F-5/森の出口/1日目/朝】
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:召喚術使用によるかなりの精神疲労、思いきりはさみの効果持続中
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)@サモンナイト3、ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品、クロウカード三枚(スイート「甘」、バブル「泡」、ダッシュ「駆」)
[思考]:…………おう
第一行動方針:城へ飛んでいった三人を追撃する。
第二行動方針:周りの敵を全員倒し、家に帰る。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
ただし、思いきりはさみの効果により30分程の間は方針を変えません。
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:召喚術使用によるかなりの精神疲労、思いきりはさみの効果持続中
[装備]:タマヒポ(サモナイト石・獣)@サモンナイト3、ワイヴァーン(サモナイト石・獣)@サモンナイト3
[道具]:基本支給品、クロウカード三枚(スイート「甘」、バブル「泡」、ダッシュ「駆」)
[思考]:…………おう
第一行動方針:城へ飛んでいった三人を追撃する。
第二行動方針:周りの敵を全員倒し、家に帰る。
参戦時期:ナ・トゥンク攻略直後
[備考]:アルルゥは獣属性の召喚術に限りAランクまで使用できます。
ゲームに乗らなくてもみんなで協力すれば脱出可能だと信じました。
ただし、思いきりはさみの効果により30分程の間は方針を変えません。
【E-5/森(E-5東北端)/1日目/朝】
【ヤバイ睨み合い】
【ヘンゼル@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:バルキリースカート@武装錬金、血の付いた拡声器
[道具]:支給品一式、スタングレネード×9
[思考]:さあどうやって殺そう?
第一行動方針:目の前の少女を殺してグラーフアイゼンを奪う。
第二行動方針:手に持って使える鈍器や刃物が欲しい(銃でも構わない。その時は姉様になる)
第三行動方針:遊ぶ
基本行動方針:いろんな人と遊びつつ、適当に殺す。
【ヤバイ睨み合い】
【ヘンゼル@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:バルキリースカート@武装錬金、血の付いた拡声器
[道具]:支給品一式、スタングレネード×9
[思考]:さあどうやって殺そう?
第一行動方針:目の前の少女を殺してグラーフアイゼンを奪う。
第二行動方針:手に持って使える鈍器や刃物が欲しい(銃でも構わない。その時は姉様になる)
第三行動方針:遊ぶ
基本行動方針:いろんな人と遊びつつ、適当に殺す。
【プレセア@テイルズオブシンフォニア】
[状態]:健康。軽い興奮状態。思いきりはさみの効果持続中
[装備]:グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはA’s、エクスフィア@テイルズオブシンフォニア
[道具]:思いきりハサミ@ドラえもん、カートリッジ×10@魔法少女リリカルなのはA’s
支給品一式
[思考]:一気に殴り殺しましょう。
第一行動方針:まず目の前の少年を殺す。
第二行動方針:出会った人間は殺す。
第三行動方針:できれば大斧が欲しい。
基本行動方針:優勝してアリシアを生き返らせる
※プレセアはアリシアの死を知った以降から参戦。名簿を見ていないのでジーニアスがいることに気が付いていません
※グラーフアイゼンはプレセアを警戒しています
[状態]:健康。軽い興奮状態。思いきりはさみの効果持続中
[装備]:グラーフアイゼン(ハンマーフォルム)@魔法少女リリカルなのはA’s、エクスフィア@テイルズオブシンフォニア
[道具]:思いきりハサミ@ドラえもん、カートリッジ×10@魔法少女リリカルなのはA’s
支給品一式
[思考]:一気に殴り殺しましょう。
第一行動方針:まず目の前の少年を殺す。
第二行動方針:出会った人間は殺す。
第三行動方針:できれば大斧が欲しい。
基本行動方針:優勝してアリシアを生き返らせる
※プレセアはアリシアの死を知った以降から参戦。名簿を見ていないのでジーニアスがいることに気が付いていません
※グラーフアイゼンはプレセアを警戒しています
ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナンがプレセアの背後に転がっています。
壊れている可能性があります。
壊れている可能性があります。
【E-5/森/1日目/朝】
【メロ@DEATH NOTE】
[状態]:健康。ほんのかすり傷程度。
[装備]:天罰の杖@ドラゴンクエストⅤ、賢者のローブ@ドラゴンクエストⅤ
[道具]:基本支給品(ランドセルは青)、チャチャゼロ@魔法先生ネギま!
[思考]:このまま隠れてこいつらの戦いを監視するか、それとも城に向かうか考え中。
第一行動方針:ヘンゼルVSプレセアか城に向かった連中の戦いの横から漁夫の利を得る。
第二行動方針:『3人抜き』を達成し、『ご褒美』を貰う過程で主催側の情報を手に入れる。
(ただし自分の非力さを考慮し、策略を尽くして安全確実な殺害を心掛ける)
第三行動方針:どうでもいいが、ドラ焼きでなく板チョコが食べたい。どこかで手に入れたい。
基本行動方針:ニアよりも先にジェダを倒す。あるいはジェダを出し抜く。
参戦時期:終盤、高田を誘拐する直前。顔には大きな傷痕がある。
【メロ@DEATH NOTE】
[状態]:健康。ほんのかすり傷程度。
[装備]:天罰の杖@ドラゴンクエストⅤ、賢者のローブ@ドラゴンクエストⅤ
[道具]:基本支給品(ランドセルは青)、チャチャゼロ@魔法先生ネギま!
[思考]:このまま隠れてこいつらの戦いを監視するか、それとも城に向かうか考え中。
第一行動方針:ヘンゼルVSプレセアか城に向かった連中の戦いの横から漁夫の利を得る。
第二行動方針:『3人抜き』を達成し、『ご褒美』を貰う過程で主催側の情報を手に入れる。
(ただし自分の非力さを考慮し、策略を尽くして安全確実な殺害を心掛ける)
第三行動方針:どうでもいいが、ドラ焼きでなく板チョコが食べたい。どこかで手に入れたい。
基本行動方針:ニアよりも先にジェダを倒す。あるいはジェダを出し抜く。
参戦時期:終盤、高田を誘拐する直前。顔には大きな傷痕がある。
【F-5/森の北側(魔法の闇の中)/1日目/朝】
【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[状態]:軽い昏倒。夢を見ている。あくまで夢。右足打撲。機嫌最悪。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バレッタ人形@ヴァンパイアセイヴァー
[思考]:むにゃむにゃ
第一行動方針:とりあえず、あの女(ベルカナ)は絶対殺す
第二行動方針:葵や紫穂と合流する
第三行動方針:葵や紫穂には負けたくない
最終行動方針:ジェダをぶっ飛ばす
備考:F-5の北西部の森に魔法の闇「ダークネス」の効果が残っています。
範囲は直径10m程で、12時間持続。範囲内は完全な暗闇で光は存在できません。
火を点けるなどは出来ますが明るくはなりません。照明魔法の「ライト」や「レミーラ」で
打ち消す事が出来ます。
【明石薫@絶対可憐チルドレン】
[状態]:軽い昏倒。夢を見ている。あくまで夢。右足打撲。機嫌最悪。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、バレッタ人形@ヴァンパイアセイヴァー
[思考]:むにゃむにゃ
第一行動方針:とりあえず、あの女(ベルカナ)は絶対殺す
第二行動方針:葵や紫穂と合流する
第三行動方針:葵や紫穂には負けたくない
最終行動方針:ジェダをぶっ飛ばす
備考:F-5の北西部の森に魔法の闇「ダークネス」の効果が残っています。
範囲は直径10m程で、12時間持続。範囲内は完全な暗闇で光は存在できません。
火を点けるなどは出来ますが明るくはなりません。照明魔法の「ライト」や「レミーラ」で
打ち消す事が出来ます。
【E-5/森/1日目/朝】
【猪名寺乱太郎@落第忍者乱太郎】
[状態]:健康。全身血まみれ。精神的に激しい動揺と恐怖。まだ目を瞑っている?
[装備]:スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER、血塗れの包丁
[道具]:基本支給品、旅行用救急セット(絆創膏と消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
酢昆布@銀魂
[思考]:こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
自分のせいでジャイアンと更に2人が死んだという自己嫌悪。対人恐怖症。
第一行動方針:………………。
【猪名寺乱太郎@落第忍者乱太郎】
[状態]:健康。全身血まみれ。精神的に激しい動揺と恐怖。まだ目を瞑っている?
[装備]:スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER、血塗れの包丁
[道具]:基本支給品、旅行用救急セット(絆創膏と消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
酢昆布@銀魂
[思考]:こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい
自分のせいでジャイアンと更に2人が死んだという自己嫌悪。対人恐怖症。
第一行動方針:………………。
≪053:Dash!! | 時系列順に読む | 063:踊れプルタタ≫ |
≪057:カマイタチと悪戯な春風 | 投下順に読む | 059:銀髪翠眼の導き手≫ |
≪027:「弱者の強み」 | ベルカナの登場SSを読む | 076:命の選択を≫ |
≪053:Dash!! | 城戸丈の登場SSを読む | |
イエローの登場SSを読む | ||
ヘンゼルの登場SSを読む | 063:踊れプルタタ≫ | |
≪020:うつろな魂 | プレセアの登場SSを読む | |
≪035:世界は美しくなんかない | メロの登場SSを読む | 086:「ごめんなさい」≫ |
猪名寺乱太郎の登場SSを読む | ||
≪015:魔技師と魔獣使い | アルルゥの登場SSを読む | 082:世の中捨てたものじゃないから≫ |
≪027:「弱者の強み」 | 明石薫の登場SSを読む |