「永沢、再び女の子を襲う」の巻◆JI0DYaB8oI氏
G-6エリアの川岸。
そこに玉葱のような物体が浮き沈みしていた。
否、それは玉葱ではない。
それは……
そこに玉葱のような物体が浮き沈みしていた。
否、それは玉葱ではない。
それは……
「ぶはっ!」
その少年、永沢君男はようやく息を吹き返した。
覚えているのは、ある少女に向けて銃を向け、引き金を引こうとした瞬間まで。
その後のことは分からず、気づいたら川に浮いていた。
(どうやら、誰か別の存在に横から襲われたようだね…まったく、余計なことをしてくれるよ)
あれからどのくらいの時間が経ったのかは正確には分からないが、川岸にはさっきまでいた場所と思われる
廃墟が見えることから、それほど長い距離は流されていないだろうと推測する。
(さっき僕を襲った奴は、まさか僕がまた襲われた場所へ戻るとは考えないだろうな。ここは相手の裏をかく為にも、
あえて廃墟の方に戻った方がいいかもしれない)
そう決めると、永沢は川から上がった。
そして、ランドセルを下ろして荷物を確かめる。
「ふぅ、どうやら荷物は流されなかったみたいだね」
荷物の無事を確認してひと安心した永沢は、目星をつけた武器に手をかける。
「銃ほど強力じゃないだろうけど、これはこれで使い道があるというものさ」
取り出したのは、やや小さめなボウガン。
小さいだけに殺傷力は低めだが、説明書きによると先端には毒が塗られているようだ。
即効性の痺れ薬らしい。完全麻痺とまではいかないが、手足が痺れて行動力が低下するのは確実だろう。
「ふぅん。どうせなら一発で死ぬ毒薬とかが塗られていれば良かったけど…まぁ贅沢を言っても仕方ないな」
ちなみに矢は全部で15本ある。
永沢は矢を1本セットして残りの矢が入った矢筒をズボンに吊るすと、獲物を求めて南へと歩き始めた。
その少年、永沢君男はようやく息を吹き返した。
覚えているのは、ある少女に向けて銃を向け、引き金を引こうとした瞬間まで。
その後のことは分からず、気づいたら川に浮いていた。
(どうやら、誰か別の存在に横から襲われたようだね…まったく、余計なことをしてくれるよ)
あれからどのくらいの時間が経ったのかは正確には分からないが、川岸にはさっきまでいた場所と思われる
廃墟が見えることから、それほど長い距離は流されていないだろうと推測する。
(さっき僕を襲った奴は、まさか僕がまた襲われた場所へ戻るとは考えないだろうな。ここは相手の裏をかく為にも、
あえて廃墟の方に戻った方がいいかもしれない)
そう決めると、永沢は川から上がった。
そして、ランドセルを下ろして荷物を確かめる。
「ふぅ、どうやら荷物は流されなかったみたいだね」
荷物の無事を確認してひと安心した永沢は、目星をつけた武器に手をかける。
「銃ほど強力じゃないだろうけど、これはこれで使い道があるというものさ」
取り出したのは、やや小さめなボウガン。
小さいだけに殺傷力は低めだが、説明書きによると先端には毒が塗られているようだ。
即効性の痺れ薬らしい。完全麻痺とまではいかないが、手足が痺れて行動力が低下するのは確実だろう。
「ふぅん。どうせなら一発で死ぬ毒薬とかが塗られていれば良かったけど…まぁ贅沢を言っても仕方ないな」
ちなみに矢は全部で15本ある。
永沢は矢を1本セットして残りの矢が入った矢筒をズボンに吊るすと、獲物を求めて南へと歩き始めた。
* * *
「はぁ、はぁ、はぁ……小狼くん…小狼くん…」
血まみれのさくらは、まだショックから立ち直れないでいた。
――あの首、どう見ても本物のあの首は、一体誰のものなんだろう?
なんでわたしのランドセルに入ってたんだろう?
あの女の人もジェダとかいう人に殺されたんだろうか?
いくつもの疑問が頭の中をグルグル回る。
「小狼くん…小狼くんは無事だよね……」
血まみれのさくらは、まだショックから立ち直れないでいた。
――あの首、どう見ても本物のあの首は、一体誰のものなんだろう?
なんでわたしのランドセルに入ってたんだろう?
あの女の人もジェダとかいう人に殺されたんだろうか?
いくつもの疑問が頭の中をグルグル回る。
「小狼くん…小狼くんは無事だよね……」
どこをどう歩いたのか分からないまま時間が過ぎ、気がつくとさくらは病院の裏手にいた。
少しここで休んでいこうと、裏口から入りかけた時……
少しここで休んでいこうと、裏口から入りかけた時……
――ヒュンッ
「いっ!」
何かが腕に当たった。
直後、身体が痺れ始める。
動けないほどではないが、上手く言うことを聞かない。
「な…なななに…? いったいいいい…」
すでに舌まで痺れてきている。
痺れのせいで手にしていたラグナロクを落としそうになるが、聞こえてきた足音に警戒して、何とか我慢する。
「また外れちゃったか…首を狙ったんだけどな。やっぱりお話みたいに上手くはいかないな」
さくらが声がした方を振り返ると、玉葱のような輪郭をしたずぶぬれの少年、永沢がボウガンを持って立っていた。
永沢はゆっくりと次の矢をセットしながら、ジリジリと間合いをつめてくる。
「その血まみれの格好、その剣…君も誰かを殺してるんだろう? 今度は君の番ってだけさ」
「ち、違…」
さくらは動かない足で後ずさるが、もつれて上手く歩けない。
「上手く動けないだろう? この矢には痺れ薬が塗られてるのさ。さぁ、じっとしてれば今すぐ楽にしてあげるよ…」
「ほ…ほえええええ~~!」
永沢がさらに歩み寄る。
(小狼くん…小狼くんに会えないままこんな所で死ぬなんて……)
壁際に追い詰められるさくら。
永沢は小さく笑うと、ボウガンを構えた。
「観念したようだね。じゃあトドメを刺して…」
(……全体にイヤ!)
強い想いと共に、さくらは永沢を睨みつける。
「!?」
次の瞬間、さくらは力を振り絞って、手にしていたラグナロクを永沢に投げつけた。
全身が痺れていたため直撃こそしなかったが、最後の力を振り絞って勢い良く投げられたそれは、
ラグナロクの攻撃力と相まって、永沢の右腕をかすめただけで血を噴き出させた。
「う、うわっ!」
永沢が怯んだその隙に、さくらは動かない身体を引きずるようにして病院の中へ逃げ込んだ。
「くそっ!」
永沢は慌ててボウガンを撃つが、自動ドアが閉じてしまい矢は当たらなかった。
何かが腕に当たった。
直後、身体が痺れ始める。
動けないほどではないが、上手く言うことを聞かない。
「な…なななに…? いったいいいい…」
すでに舌まで痺れてきている。
痺れのせいで手にしていたラグナロクを落としそうになるが、聞こえてきた足音に警戒して、何とか我慢する。
「また外れちゃったか…首を狙ったんだけどな。やっぱりお話みたいに上手くはいかないな」
さくらが声がした方を振り返ると、玉葱のような輪郭をしたずぶぬれの少年、永沢がボウガンを持って立っていた。
永沢はゆっくりと次の矢をセットしながら、ジリジリと間合いをつめてくる。
「その血まみれの格好、その剣…君も誰かを殺してるんだろう? 今度は君の番ってだけさ」
「ち、違…」
さくらは動かない足で後ずさるが、もつれて上手く歩けない。
「上手く動けないだろう? この矢には痺れ薬が塗られてるのさ。さぁ、じっとしてれば今すぐ楽にしてあげるよ…」
「ほ…ほえええええ~~!」
永沢がさらに歩み寄る。
(小狼くん…小狼くんに会えないままこんな所で死ぬなんて……)
壁際に追い詰められるさくら。
永沢は小さく笑うと、ボウガンを構えた。
「観念したようだね。じゃあトドメを刺して…」
(……全体にイヤ!)
強い想いと共に、さくらは永沢を睨みつける。
「!?」
次の瞬間、さくらは力を振り絞って、手にしていたラグナロクを永沢に投げつけた。
全身が痺れていたため直撃こそしなかったが、最後の力を振り絞って勢い良く投げられたそれは、
ラグナロクの攻撃力と相まって、永沢の右腕をかすめただけで血を噴き出させた。
「う、うわっ!」
永沢が怯んだその隙に、さくらは動かない身体を引きずるようにして病院の中へ逃げ込んだ。
「くそっ!」
永沢は慌ててボウガンを撃つが、自動ドアが閉じてしまい矢は当たらなかった。
* * *
「い、痛たたいい、いい痛いよぉ……」
動かない身体を引きずりながら、病院の中を逃げるさくら。
途中で診療室らしき部屋を見つけると、そこで左腕の傷の様子を確かめた。
距離が遠かったためか、幸いにも矢はあまり深くは刺さっていない。
痺れて上手く動かない右腕で、さくらは何とか左腕に刺さったボウガンの矢を抜く。
そして、部屋にあった薬で唯一名前を聞いたことがある薬品、オキシドールを傷口にぶっ掛けた。
「ぎゃ!……うぐぐ」
あまりの激痛に叫び声を上げそうになるも、部屋にあったタオルを噛んで耐える。
消毒を終えると、傷口を包帯でぐるぐる巻きにした。
巻き方は乱雑だったが、これで応急処置にはなるはずだと判断する。
(うぅぅぅ…痛いよぉ。身体も動かないし、これからどうなるんだろう?)
さくらは不安になりながら、診療台に横たわるとカーテンを閉める。
さすがに今の状態で逃げ続けるのは疲れるので、ここに隠れてあの少年が諦めるのを待ったほうがいいと思ったからだ。
(……絶対、だいじょうぶだよ)
心に思うのは無敵の呪文。
どんなときだって、この言葉に勇気を貰ってきたが…
それでも不安は消えなかった。
(小狼くん……)
動かない身体を引きずりながら、病院の中を逃げるさくら。
途中で診療室らしき部屋を見つけると、そこで左腕の傷の様子を確かめた。
距離が遠かったためか、幸いにも矢はあまり深くは刺さっていない。
痺れて上手く動かない右腕で、さくらは何とか左腕に刺さったボウガンの矢を抜く。
そして、部屋にあった薬で唯一名前を聞いたことがある薬品、オキシドールを傷口にぶっ掛けた。
「ぎゃ!……うぐぐ」
あまりの激痛に叫び声を上げそうになるも、部屋にあったタオルを噛んで耐える。
消毒を終えると、傷口を包帯でぐるぐる巻きにした。
巻き方は乱雑だったが、これで応急処置にはなるはずだと判断する。
(うぅぅぅ…痛いよぉ。身体も動かないし、これからどうなるんだろう?)
さくらは不安になりながら、診療台に横たわるとカーテンを閉める。
さすがに今の状態で逃げ続けるのは疲れるので、ここに隠れてあの少年が諦めるのを待ったほうがいいと思ったからだ。
(……絶対、だいじょうぶだよ)
心に思うのは無敵の呪文。
どんなときだって、この言葉に勇気を貰ってきたが…
それでも不安は消えなかった。
(小狼くん……)
* * *
出血が思ったより酷かったので、永沢はさくらを追いかける前に傷の手当てをすることにした。
落ちていたラグナロクの刃を使って服の袖を破き、右腕を何とか縛る。
まだ血は出ていたが、そんなことよりも痺れ薬の効果が残っているうちにあの女の子を殺さなければならなかった。
「痛い……痛いなぁ……あの女の子…絶対にトドメを刺さないと…」
そしてラグナロクを拾ってランドセルにしまうと(重くて振り回せず、何であの女の子は投げられたのかと不思議に思った)、
永沢はゆっくりと病院の中へ足を踏み入れた。
落ちていたラグナロクの刃を使って服の袖を破き、右腕を何とか縛る。
まだ血は出ていたが、そんなことよりも痺れ薬の効果が残っているうちにあの女の子を殺さなければならなかった。
「痛い……痛いなぁ……あの女の子…絶対にトドメを刺さないと…」
そしてラグナロクを拾ってランドセルにしまうと(重くて振り回せず、何であの女の子は投げられたのかと不思議に思った)、
永沢はゆっくりと病院の中へ足を踏み入れた。
【G-7/病院の裏口/1日目/午前】
【永沢君男@ちびまる子ちゃん】
[状態]:右腕に切り傷(縛ってあるが、まだ出血中)、ずぶぬれ
[装備]:小型ボウガン(装填済み) ボウガンの矢(即効性の痺れ薬が塗布)×12
[道具]:基本支給品 ラグナロク@FINAL FANTASY4 不明支給品×1
[思考]
第一行動方針:さくらを殺す
第二行動方針:傷の手当て
第三行動方針:とにかく殺す
基本行動方針:運命を受け入れ、殺し合う
【永沢君男@ちびまる子ちゃん】
[状態]:右腕に切り傷(縛ってあるが、まだ出血中)、ずぶぬれ
[装備]:小型ボウガン(装填済み) ボウガンの矢(即効性の痺れ薬が塗布)×12
[道具]:基本支給品 ラグナロク@FINAL FANTASY4 不明支給品×1
[思考]
第一行動方針:さくらを殺す
第二行動方針:傷の手当て
第三行動方針:とにかく殺す
基本行動方針:運命を受け入れ、殺し合う
【G-7/病院内/1日目/午前】
【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:血塗れ、左腕に矢傷(簡単な処置済)、全身に痺れ(30分ほどで治る)
[装備]:パワフルグラブ@ゼルダの伝説
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
第一行動方針:痺れが治まるまで隠れて永沢をやり過ごす
第二行動方針:協力してくれそうな人を探す。
基本行動方針:小狼と合流する、襲われたら撃退する(不殺?)
【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:血塗れ、左腕に矢傷(簡単な処置済)、全身に痺れ(30分ほどで治る)
[装備]:パワフルグラブ@ゼルダの伝説
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
第一行動方針:痺れが治まるまで隠れて永沢をやり過ごす
第二行動方針:協力してくれそうな人を探す。
基本行動方針:小狼と合流する、襲われたら撃退する(不殺?)
【小型ボウガン】
子供でも使いやすいサイズのボウガン。
殺傷力は低いが、矢には即効性の痺れ薬が塗られていて、相手の行動力を低下させる。
ただし、痺れ薬は本当に痺れる程度。動けなくなるわけではない。効果は30分ほどで切れる。
子供でも使いやすいサイズのボウガン。
殺傷力は低いが、矢には即効性の痺れ薬が塗られていて、相手の行動力を低下させる。
ただし、痺れ薬は本当に痺れる程度。動けなくなるわけではない。効果は30分ほどで切れる。
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