世界は皮肉に満ちていた(後編) ◆CFbj666Xrw
フェイトは少女と対峙していた。
長い銀髪の少女はくすくすと笑いながら、繊細な指で散弾銃を弄んでいる。
可憐な仕草はとても愛らしくて。
「さあ始めましょう。私達のためのお茶会よ。ブラッドパーティーを始めましょう。
これまでのように、そしてこれからのようによ」
その言葉は一切の理解を拒絶していた。
「待って、あなたはどうしてこんな……!? これまでのようにって……?」
問い掛けを銃声が封殺する。
正面からの散弾を、引き金が引かれる瞬間に身を逃がす事で回避した。
背後の樹に無数の散弾が炸裂し、粉砕する。
へし折れた樹はメリメリと音を立てて倒れていく。
それはフェイトと少女の間に倒れ込み、互いの視線を遮った。
「どうして? そんな事は簡単だわ」
フェイトはバトルピックを構えて警戒する。
声の主は足音も短く駆け出して樹を乗り越えて。
「それが世界のルールだからさ!」
「な……!?」
高く跳躍した短い銀髪の少年が、手に持った巨大な槍を振り下ろす!
フェイトはそれを受け止めようとせず大きく飛んで回避する。
少年は咄嗟に槍を向け直しつつも、着地して体勢を僅かに崩す。
その間にフェイトは慌てて周辺を見回した。
(二人居た!? さっきの少女は何処に……)
……間など無かった。
「隙だらけだよ、お姉さん!」
叫びと共に槍に付いていた飾り布がエネルギーへと変化する。
崩れた体勢をものともせず、巨大な槍が迫り来る!
「しま……!!」
慌ててかざした手の先に半透明な力場が発生する。
ディフェンサー、バリア系の防御魔法だ。
だが防御魔法がさして得意ではないフェイトのそれは槍の刃先を僅かにずらしただけで砕け散る。
「きゃああああ!!」
跳ね飛ばされた。
二度三度とバウンドして立木に叩きつけられる。
しかし追撃は無かった。今度こそ少年の体勢は崩れていたのだ。
「く……っ!」
だけど反撃する余裕なんて有るはずが無い。
フェイトは咄嗟に近くの茂みへと飛び込んだ。
身を隠す事で生き延びた。
長い銀髪の少女はくすくすと笑いながら、繊細な指で散弾銃を弄んでいる。
可憐な仕草はとても愛らしくて。
「さあ始めましょう。私達のためのお茶会よ。ブラッドパーティーを始めましょう。
これまでのように、そしてこれからのようによ」
その言葉は一切の理解を拒絶していた。
「待って、あなたはどうしてこんな……!? これまでのようにって……?」
問い掛けを銃声が封殺する。
正面からの散弾を、引き金が引かれる瞬間に身を逃がす事で回避した。
背後の樹に無数の散弾が炸裂し、粉砕する。
へし折れた樹はメリメリと音を立てて倒れていく。
それはフェイトと少女の間に倒れ込み、互いの視線を遮った。
「どうして? そんな事は簡単だわ」
フェイトはバトルピックを構えて警戒する。
声の主は足音も短く駆け出して樹を乗り越えて。
「それが世界のルールだからさ!」
「な……!?」
高く跳躍した短い銀髪の少年が、手に持った巨大な槍を振り下ろす!
フェイトはそれを受け止めようとせず大きく飛んで回避する。
少年は咄嗟に槍を向け直しつつも、着地して体勢を僅かに崩す。
その間にフェイトは慌てて周辺を見回した。
(二人居た!? さっきの少女は何処に……)
……間など無かった。
「隙だらけだよ、お姉さん!」
叫びと共に槍に付いていた飾り布がエネルギーへと変化する。
崩れた体勢をものともせず、巨大な槍が迫り来る!
「しま……!!」
慌ててかざした手の先に半透明な力場が発生する。
ディフェンサー、バリア系の防御魔法だ。
だが防御魔法がさして得意ではないフェイトのそれは槍の刃先を僅かにずらしただけで砕け散る。
「きゃああああ!!」
跳ね飛ばされた。
二度三度とバウンドして立木に叩きつけられる。
しかし追撃は無かった。今度こそ少年の体勢は崩れていたのだ。
「く……っ!」
だけど反撃する余裕なんて有るはずが無い。
フェイトは咄嗟に近くの茂みへと飛び込んだ。
身を隠す事で生き延びた。
「あれ、隠れちゃった」
少年、“今は”ヘンゼルはくすくすと笑う。
獲物の抵抗を無駄な努力だと嘲笑う。
ヘンゼルは確かにフェイトの正確な居場所を見失っていた。
もしこのまま当てずっぽうに攻撃をすれば反撃を受けるかもしれない。
しかしヘンゼルには必勝の確証が有った。
ヘンゼルは大きな樹の陰に隠れると、サンライトハートを核鉄へと戻してポケットに入れる。
続けて背中のランドセルから散弾銃と、長い銀髪のカツラを取り出した。
「やっぱりここはお姉様の出番だね」
長い銀髪を被れば、そこにヘンゼルはもう居ない。
そこに居るのはグレーテルだ。
「あの子“達”に天使を呼んであげましょう」
流れるように兄姉は言葉を交わし、楽しげに笑い合う。
樹の陰に息を潜めて、軽やかに散弾銃の狙いを付けた。
グレーテルもフェイトの居場所を見失っている。
だけどそれなら、出てきてもらえば済むことだ。
「騒ぎが起きれば、ウサギは驚いて飛び出さずにはいられないわ」
引き金を引いた。
少年、“今は”ヘンゼルはくすくすと笑う。
獲物の抵抗を無駄な努力だと嘲笑う。
ヘンゼルは確かにフェイトの正確な居場所を見失っていた。
もしこのまま当てずっぽうに攻撃をすれば反撃を受けるかもしれない。
しかしヘンゼルには必勝の確証が有った。
ヘンゼルは大きな樹の陰に隠れると、サンライトハートを核鉄へと戻してポケットに入れる。
続けて背中のランドセルから散弾銃と、長い銀髪のカツラを取り出した。
「やっぱりここはお姉様の出番だね」
長い銀髪を被れば、そこにヘンゼルはもう居ない。
そこに居るのはグレーテルだ。
「あの子“達”に天使を呼んであげましょう」
流れるように兄姉は言葉を交わし、楽しげに笑い合う。
樹の陰に息を潜めて、軽やかに散弾銃の狙いを付けた。
グレーテルもフェイトの居場所を見失っている。
だけどそれなら、出てきてもらえば済むことだ。
「騒ぎが起きれば、ウサギは驚いて飛び出さずにはいられないわ」
引き金を引いた。
* * *
(居た……あの茂みですね)
光子郎は森の中に踏み入り、ひたすらにある色を捜していた。
それは金色だ。
フェイトもイヴも長い金色の髪をしている。
あの色を捜せば森の中でも二人を見つけるのは容易いはずだ。
その目論見は当たり、光子郎はすぐに金色の髪が飛び出ている茂みを発見した。
(問題は……どちらかという事ですが)
だが問題はここからだ。
茂みに隠れているのがフェイトなのかイヴなのか、光子郎には判らない。
フェイトなら良いが、もしもあれがイヴならば極めて危険だ。
(慎重な行動が必要です。まずなにより絶対に声は出さないように……?)
茂みで金属質の何かが光を反射した。
次の瞬間、視界が音が閃光が聴覚が真っ白に轟音で弾けた!
「が…………!!」
直前の決意が幸いしてか殆ど声は漏れなかった。
ただ判った。
――撃たれた。
(……しまっ…た…………逃げ……ければ……!!
姿を見せちゃいけない……隠れて……逃げて…………!!)
よろめく足をくるりと反転させ、必死に足を交互に動かす。
声を出さずに茂みから茂みへと隠れるように。
姿無く音も無く。
痛みすら感じず頭の中は真っ白で耳鳴りが響く中で尚、思考だけが明晰に回り続ける。
(この状況で居るのは……フェイトさんと、イヴさんだけ……。
フェイトさんは仲間ですし銃も持っていない。
イヴさんは銃を持っていて……つまりあれは、イヴさんだ……!
見つかって、撃たれた……っ)
光子郎は完全な思い違いと一つの致命的ミスを冒していた。
イヴへの疑念のあまり、それ以外に敵が居る可能性を見落としてしまった事。
そしてそれを前提に金髪だけに集中し森を探索した事だ。
何かに集中する事は、それ以外に対して無防備になる側面を持つ。
光子郎は視界の端に一瞬だけ映った銀髪を認識しそこねた。
森の光景の一部や木漏れ日に紛れその色を見逃した。
グレーテルの居る場所からは茂みに隠れているフェイトの姿は見えなかった。
だが光子郎の姿が見えていた。
グレーテルはフェイトを誘き出す餌として光子郎を撃ったのだ。
光子郎は森の中に踏み入り、ひたすらにある色を捜していた。
それは金色だ。
フェイトもイヴも長い金色の髪をしている。
あの色を捜せば森の中でも二人を見つけるのは容易いはずだ。
その目論見は当たり、光子郎はすぐに金色の髪が飛び出ている茂みを発見した。
(問題は……どちらかという事ですが)
だが問題はここからだ。
茂みに隠れているのがフェイトなのかイヴなのか、光子郎には判らない。
フェイトなら良いが、もしもあれがイヴならば極めて危険だ。
(慎重な行動が必要です。まずなにより絶対に声は出さないように……?)
茂みで金属質の何かが光を反射した。
次の瞬間、視界が音が閃光が聴覚が真っ白に轟音で弾けた!
「が…………!!」
直前の決意が幸いしてか殆ど声は漏れなかった。
ただ判った。
――撃たれた。
(……しまっ…た…………逃げ……ければ……!!
姿を見せちゃいけない……隠れて……逃げて…………!!)
よろめく足をくるりと反転させ、必死に足を交互に動かす。
声を出さずに茂みから茂みへと隠れるように。
姿無く音も無く。
痛みすら感じず頭の中は真っ白で耳鳴りが響く中で尚、思考だけが明晰に回り続ける。
(この状況で居るのは……フェイトさんと、イヴさんだけ……。
フェイトさんは仲間ですし銃も持っていない。
イヴさんは銃を持っていて……つまりあれは、イヴさんだ……!
見つかって、撃たれた……っ)
光子郎は完全な思い違いと一つの致命的ミスを冒していた。
イヴへの疑念のあまり、それ以外に敵が居る可能性を見落としてしまった事。
そしてそれを前提に金髪だけに集中し森を探索した事だ。
何かに集中する事は、それ以外に対して無防備になる側面を持つ。
光子郎は視界の端に一瞬だけ映った銀髪を認識しそこねた。
森の光景の一部や木漏れ日に紛れその色を見逃した。
グレーテルの居る場所からは茂みに隠れているフェイトの姿は見えなかった。
だが光子郎の姿が見えていた。
グレーテルはフェイトを誘き出す餌として光子郎を撃ったのだ。
しかしここにグレーテルにとっても誤算が有った。
それは光子郎が悲鳴一つ上げず、静かに物陰を逃げていった事だ。
恐らくは仲間であるはずの光子郎の悲鳴を聞かせてやるはずだった。
それにより茂みから飛び出し、あるいは動揺したフェイトを探し当て、
一瞬でも生まれるはずの無防備な隙に散弾をプレゼントするはずだった。
だがその予定は崩れさる。
そしてフェイトは、射撃の為に姿を表したグレーテルの無防備な姿を目撃した。
「フォトンランサー!」
「え…………!?」
予定が崩れたグレーテルに三本の雷の槍が襲い掛かった。
一発目は辛うじてかわした。
二発目は左足を掠めて痺れを残した。
三発目は右腕に直撃した。
魔力ダメージだったが、魔力を殆ど持たないからこそダメージは大きい。
右腕はまるで動かなくなり、取り落としそうになった銃を慌てて左手で掴み取る。
「くぅ……!」
グレーテルは敗北を噛み締めた。
先手を打ってかなりのダメージを負わせたはずだが、負傷の度合いは判らない。
なにより相手には魔法が有る。理解できない不可思議な、強さが予測出来ない力。
他に仲間が居る可能性も有る。
「……ごきげんよう。またお会いできるかしら」
捨て台詞を残すと、グレーテルは身を翻して逃げ去った。
それは光子郎が悲鳴一つ上げず、静かに物陰を逃げていった事だ。
恐らくは仲間であるはずの光子郎の悲鳴を聞かせてやるはずだった。
それにより茂みから飛び出し、あるいは動揺したフェイトを探し当て、
一瞬でも生まれるはずの無防備な隙に散弾をプレゼントするはずだった。
だがその予定は崩れさる。
そしてフェイトは、射撃の為に姿を表したグレーテルの無防備な姿を目撃した。
「フォトンランサー!」
「え…………!?」
予定が崩れたグレーテルに三本の雷の槍が襲い掛かった。
一発目は辛うじてかわした。
二発目は左足を掠めて痺れを残した。
三発目は右腕に直撃した。
魔力ダメージだったが、魔力を殆ど持たないからこそダメージは大きい。
右腕はまるで動かなくなり、取り落としそうになった銃を慌てて左手で掴み取る。
「くぅ……!」
グレーテルは敗北を噛み締めた。
先手を打ってかなりのダメージを負わせたはずだが、負傷の度合いは判らない。
なにより相手には魔法が有る。理解できない不可思議な、強さが予測出来ない力。
他に仲間が居る可能性も有る。
「……ごきげんよう。またお会いできるかしら」
捨て台詞を残すと、グレーテルは身を翻して逃げ去った。
* * *
だらだらと溢れ始めた血を垂れ流し、光子郎は茂みの中を歩き続ける。
傷がどの程度の深さなのかはまるで判らない。
撃たれたのだから即死してもおかしくなかったが、
こうして逃げられる事からして急所は外れていたのかもしれない。
痛みは依然、殆ど無い。怖くなるほどに。
ただ寒さを感じつつあった。
(早く……皆に会わなければ……! それから治療と、イヴさんが危険だと……!)
だけどその足からも遂に力が抜ける。
そして、崩れ伏した。
「……ダメです……こんな所で…………倒れ…………」
呻く光子郎の上から、声がした。
傷がどの程度の深さなのかはまるで判らない。
撃たれたのだから即死してもおかしくなかったが、
こうして逃げられる事からして急所は外れていたのかもしれない。
痛みは依然、殆ど無い。怖くなるほどに。
ただ寒さを感じつつあった。
(早く……皆に会わなければ……! それから治療と、イヴさんが危険だと……!)
だけどその足からも遂に力が抜ける。
そして、崩れ伏した。
「……ダメです……こんな所で…………倒れ…………」
呻く光子郎の上から、声がした。
「…………光子郎、大丈夫?」
ブルーの声だった。
「ブルーさん……ですか……」
どうして出てきてしまったのかと思うが、一方で少しだけ希望を見る。
フェイトに伝えたかったが、この際ブルーにでも伝えておこう。
――自分の傷の深さも、判らないのだから。
「良いですか……今から言うことを、良く聞いてください……。
そしてフェイトさんを見つけて……伝えてください……」
「ええ……いいわ」
ブルーは落ち着いた声で、答えた。
……抑えきれない笑みをその顔に浮かべて。
「ブルーさん……ですか……」
どうして出てきてしまったのかと思うが、一方で少しだけ希望を見る。
フェイトに伝えたかったが、この際ブルーにでも伝えておこう。
――自分の傷の深さも、判らないのだから。
「良いですか……今から言うことを、良く聞いてください……。
そしてフェイトさんを見つけて……伝えてください……」
「ええ……いいわ」
ブルーは落ち着いた声で、答えた。
……抑えきれない笑みをその顔に浮かべて。
ブルーは自らの幸運の一つに感謝していた。
疑っていたのが見当違いの相手だったとはいえ、疑り深い男が死にかけで倒れている。
それもふたりっきりだ。
今なら光子郎を殺すのに大人の姿になる必要すら無い。
ブルーはランドセルからそっとガラス片を取りだした。
最初に散弾による銃撃が有った時に割れた、ガラス窓の一欠片。
鋭利なこのガラスで首の後ろを一刺し。
それだけで光子郎には確実な死が訪れる。
疑っていたのが見当違いの相手だったとはいえ、疑り深い男が死にかけで倒れている。
それもふたりっきりだ。
今なら光子郎を殺すのに大人の姿になる必要すら無い。
ブルーはランドセルからそっとガラス片を取りだした。
最初に散弾による銃撃が有った時に割れた、ガラス窓の一欠片。
鋭利なこのガラスで首の後ろを一刺し。
それだけで光子郎には確実な死が訪れる。
「イヴさんは……周囲の人間を騙して利用し、無価値になったところで殺害しています……」
光子郎は苦しい息で必死に訴える。
ブルーは自らの緊張を押し隠すように、それを嘲笑う。
光子郎は気づかない。
頭上でブルーが浮かべている笑みも。
光子郎の背中側に回した腕に握られた、ガラスも。
光子郎は苦しい息で必死に訴える。
ブルーは自らの緊張を押し隠すように、それを嘲笑う。
光子郎は気づかない。
頭上でブルーが浮かべている笑みも。
光子郎の背中側に回した腕に握られた、ガラスも。
「この傷も……彼女に撃たれました……」
「え……?」
ブルーは困惑し……しかしすぐにそれを振り切る。
(まさか。きっと誤射でもしたか、あるいは勘違いよ……)
この状況で嘘を吐く理由が有るとは思えない。
だがそんな事が有るはずも無いと、それを否定する。
静かに深呼吸をして息を落ち着けて、光子郎の背中側に回したガラスを……
「良いですか……イヴさんに気取られないように、フェイトさんと逃げてください。
あなたなら、できます……」
「ムリよ。わたしは子供だもの」
「いいえ……あなたの中身は…………大人です…………」
「!?」
凍り付いた。
「あなたは……落ち着いている。
受け答えだって、そうでした……。
イヴを護ろうと泣きそうになったりする一方で……今も、こんな時に落ち着いています」
「え……?」
ブルーは困惑し……しかしすぐにそれを振り切る。
(まさか。きっと誤射でもしたか、あるいは勘違いよ……)
この状況で嘘を吐く理由が有るとは思えない。
だがそんな事が有るはずも無いと、それを否定する。
静かに深呼吸をして息を落ち着けて、光子郎の背中側に回したガラスを……
「良いですか……イヴさんに気取られないように、フェイトさんと逃げてください。
あなたなら、できます……」
「ムリよ。わたしは子供だもの」
「いいえ……あなたの中身は…………大人です…………」
「!?」
凍り付いた。
「あなたは……落ち着いている。
受け答えだって、そうでした……。
イヴを護ろうと泣きそうになったりする一方で……今も、こんな時に落ち着いています」
光子郎はブルーの若返りを見破ったわけではない。
光子郎は未だにブルーの実年齢を見た目その物だと思っていた。
ブルーを大人だと言ったのは『子供なのに大人のように強い心を持っている』という意味であり、
イヴを護るなど仲間の為に必死になって泣く一方で、逆境でも泣かないでいられるという、
そういった精神的な面を何気なく誉めた言葉に過ぎなかった。
光子郎は未だにブルーの実年齢を見た目その物だと思っていた。
ブルーを大人だと言ったのは『子供なのに大人のように強い心を持っている』という意味であり、
イヴを護るなど仲間の為に必死になって泣く一方で、逆境でも泣かないでいられるという、
そういった精神的な面を何気なく誉めた言葉に過ぎなかった。
だが、ブルーの視点から見ればこの言葉の意味は変貌する。
光子郎は『ブルーの実年齢はもっと年上だがなんだかの手段で子供の姿をしている』と見抜いたのだ。
その理由は『イヴの時に泣きそうになったりする一方で泣くべき時に落ち着いている矛盾』だ。
その矛盾から、子供のフリをしているだけで実年齢はそうでない、騙していた事を見抜かれた。
それはブルーの認識する状況を一変させた。
光子郎は『ブルーの実年齢はもっと年上だがなんだかの手段で子供の姿をしている』と見抜いたのだ。
その理由は『イヴの時に泣きそうになったりする一方で泣くべき時に落ち着いている矛盾』だ。
その矛盾から、子供のフリをしているだけで実年齢はそうでない、騙していた事を見抜かれた。
それはブルーの認識する状況を一変させた。
「イヴさんは……あなたの幼い容姿を、集団に入り込む為の武器として利用している……」
これまではそれは自分がやっている事だと一笑に付していた。
だが今は違う。
ブルーは急いでガラスをしまい込むと、イヴについて考え出した。
これまではそれは自分がやっている事だと一笑に付していた。
だが今は違う。
ブルーは急いでガラスをしまい込むと、イヴについて考え出した。
相手の考えを知ろうとする時、人は大なり小なり相手の視点に立って考える。
しかしここに落とし穴がある。
それは幾ら相手の視点に立とうとも、そこから相手の事を想像する思考が自分の物である事だ。
知識において補完される事も有る。
例えば倫理的に人を殺すのは許されない事だから、皆は人殺しの自分を許さないだろうという具合に。
あるいは理論を積み重ねた先にどう考えても間違いのない思考が見える事も有る。
しかしそこまで明確に答えが用意されていない多くの場合において、
人は相手の中に自分の知るもの、つまり自分の考えうる事を見る。
人を騙そうと考えもしない者は、周囲の人々が自分を騙そうとするなど考えもしない。
逆に人を騙そうとしている者は、周囲の人々が自分を騙そうとする事を疑うだろう。
だからブルーは思った。
しかしここに落とし穴がある。
それは幾ら相手の視点に立とうとも、そこから相手の事を想像する思考が自分の物である事だ。
知識において補完される事も有る。
例えば倫理的に人を殺すのは許されない事だから、皆は人殺しの自分を許さないだろうという具合に。
あるいは理論を積み重ねた先にどう考えても間違いのない思考が見える事も有る。
しかしそこまで明確に答えが用意されていない多くの場合において、
人は相手の中に自分の知るもの、つまり自分の考えうる事を見る。
人を騙そうと考えもしない者は、周囲の人々が自分を騙そうとするなど考えもしない。
逆に人を騙そうとしている者は、周囲の人々が自分を騙そうとする事を疑うだろう。
だからブルーは思った。
『イヴは本当に怯える子羊か?』
最初に理論が状況を整理する。
光子郎は、ブルーが年齢を偽っている事に気が付いていた。
これはつまりブルーの状況を見抜いていた事になる。
その上で敵である筈のブルーに対して、イヴは危険だと助言した。
(いいように利用している筈のイヴが……アタシを操っていたってコト?
まさか。あのイヴにそんな事をできるわけが……)
怯えた瞳を思い出す。あの涙を思い出す。
あれを見てイヴを体の良い操り人形に出来ると思った。
だけど“子供に化けて泣き真似、怯えたフリまでしてみせたブルー”は思う。
(…………できる……そういう事なの?)
全てがフリだったとしても矛盾は無い、と。
そう、疑心が芽生えた。
光子郎は、ブルーが年齢を偽っている事に気が付いていた。
これはつまりブルーの状況を見抜いていた事になる。
その上で敵である筈のブルーに対して、イヴは危険だと助言した。
(いいように利用している筈のイヴが……アタシを操っていたってコト?
まさか。あのイヴにそんな事をできるわけが……)
怯えた瞳を思い出す。あの涙を思い出す。
あれを見てイヴを体の良い操り人形に出来ると思った。
だけど“子供に化けて泣き真似、怯えたフリまでしてみせたブルー”は思う。
(…………できる……そういう事なの?)
全てがフリだったとしても矛盾は無い、と。
そう、疑心が芽生えた。
「光子郎、詳しい話を……」
ガサリと音がして。
振り返ると、そこにイヴが立っていた。
「イヴ……!」
(聞かれた……!?
ううん、この距離なら……光子郎の声は切れ切れだった、聞こえてる筈がない。
だけど……これ以上は、話せない)
そしてまた、今度は逆からガサリと音がして。
フェイトが姿を表した。
4人は再び集まった。
ガサリと音がして。
振り返ると、そこにイヴが立っていた。
「イヴ……!」
(聞かれた……!?
ううん、この距離なら……光子郎の声は切れ切れだった、聞こえてる筈がない。
だけど……これ以上は、話せない)
そしてまた、今度は逆からガサリと音がして。
フェイトが姿を表した。
4人は再び集まった。
* * *
――フェイトは、見ていた。
グレーテルを撃退して少ししてから、フェイトは血の臭いに気が付いた。
最初は自分が出血しているのかと思ったが、跳ね飛ばされた傷は打撲に近い。
肋骨にヒビが入っているかもしれないが、血はあまり出ていなかった。
それから、その血の臭いが離れた方向から漂ってきている事に気が付いた。
(どこから……?)
そういえば最後のグレーテルの銃撃はなんだったのだろうか。
小動物か何かが居て、その動きをフェイトと見間違えたのだろうか。
それとも茂みを虱潰しに撃とうとした乱暴な一手だったのだろうか。
よろよろと立ち上がり……少し離れた地面に新しい血痕が付いてるのを見つけた。
「え……!?」
血の気が引いた。
この血痕は、誰のものだ?
戦った謎の少女に当たった有効打は最後のフォトンランサーだけだ。
魔力ダメージにしていたし、そうでなくとも血が出るような傷は付けられない。
フェイトのものでもない。
第一、血痕は点々と茂みの間を縫って工場の方へと続いているではないか。
「まさか……!」
痛む体を急き立てて血痕を追いかけた。
茂みの間を縫うそれを見落とさないためには、慎重に歩かなければならなかった。
それでも直に血痕の原因に辿り着く。
そこには……負傷した光子郎と、ブルーが居た。
(光子郎さん……!)
叫ぼうとした声が凍り付く。
光子郎はブルーに何かを話していた。必死に何かを伝えようとしていた。
だがブルーは……それを嘲笑っていた。
光子郎に見えないように、負傷した光子郎を抱えて声も無く笑っていた。
(ブルー……ちゃん……?)
そしてその手には……ガラスが握られていた。
光子郎の背中に回された、鋭いガラスを持った腕。
(それを……どうするの……?)
ブルーはゆっくりとそれを振りかぶって……!
「フォトン……!」
咄嗟にフォトンランサーを撃とうとして、止める。
ブルーの動きは止まっていた。
慌てた様子でガラスをランドセルに仕舞い込む。
……向かいの茂みが音を立てて、イヴが姿を表した。
きっと、彼女が現れたから止めたのだろう。
(ブルーちゃん……そんな…………)
それは殆ど決定的な場面と言ってよかった。
ブルーは……光子郎の危惧した通り、危険な人物だったのだ。
それでも話を聞きたいと、そして光子郎が負傷している事を思いだして慌てて、茂みから飛び出した。
最初は自分が出血しているのかと思ったが、跳ね飛ばされた傷は打撲に近い。
肋骨にヒビが入っているかもしれないが、血はあまり出ていなかった。
それから、その血の臭いが離れた方向から漂ってきている事に気が付いた。
(どこから……?)
そういえば最後のグレーテルの銃撃はなんだったのだろうか。
小動物か何かが居て、その動きをフェイトと見間違えたのだろうか。
それとも茂みを虱潰しに撃とうとした乱暴な一手だったのだろうか。
よろよろと立ち上がり……少し離れた地面に新しい血痕が付いてるのを見つけた。
「え……!?」
血の気が引いた。
この血痕は、誰のものだ?
戦った謎の少女に当たった有効打は最後のフォトンランサーだけだ。
魔力ダメージにしていたし、そうでなくとも血が出るような傷は付けられない。
フェイトのものでもない。
第一、血痕は点々と茂みの間を縫って工場の方へと続いているではないか。
「まさか……!」
痛む体を急き立てて血痕を追いかけた。
茂みの間を縫うそれを見落とさないためには、慎重に歩かなければならなかった。
それでも直に血痕の原因に辿り着く。
そこには……負傷した光子郎と、ブルーが居た。
(光子郎さん……!)
叫ぼうとした声が凍り付く。
光子郎はブルーに何かを話していた。必死に何かを伝えようとしていた。
だがブルーは……それを嘲笑っていた。
光子郎に見えないように、負傷した光子郎を抱えて声も無く笑っていた。
(ブルー……ちゃん……?)
そしてその手には……ガラスが握られていた。
光子郎の背中に回された、鋭いガラスを持った腕。
(それを……どうするの……?)
ブルーはゆっくりとそれを振りかぶって……!
「フォトン……!」
咄嗟にフォトンランサーを撃とうとして、止める。
ブルーの動きは止まっていた。
慌てた様子でガラスをランドセルに仕舞い込む。
……向かいの茂みが音を立てて、イヴが姿を表した。
きっと、彼女が現れたから止めたのだろう。
(ブルーちゃん……そんな…………)
それは殆ど決定的な場面と言ってよかった。
ブルーは……光子郎の危惧した通り、危険な人物だったのだ。
それでも話を聞きたいと、そして光子郎が負傷している事を思いだして慌てて、茂みから飛び出した。
* * *
「光子郎さん……!」
イヴとフェイトは負傷し倒れている彼に駆け寄った。
その傷は幸い、どうしようもないほど致命的なわけではなかった。
ただしそれは、治療手段が有ればという条件が付く。
布切れや棒による素人の応急処置程度では生き残れないだろう。
フェイトも、ブルーも、そんな技術は持っていない。
「私が……私が治します……!」
「え……!?」
「イヴ……!」
イヴとフェイトは負傷し倒れている彼に駆け寄った。
その傷は幸い、どうしようもないほど致命的なわけではなかった。
ただしそれは、治療手段が有ればという条件が付く。
布切れや棒による素人の応急処置程度では生き残れないだろう。
フェイトも、ブルーも、そんな技術は持っていない。
「私が……私が治します……!」
「え……!?」
「イヴ……!」
宣言したのはイヴだ。
光子郎に歩み寄るイヴの、髪の毛が変貌していく。
淡い輝きと共に奇妙なカタチを為していく。
その姿にフェイトは希望を見た。
フェイトの知らない力だけれど、イヴがそういうならそれはきっと真実だ。
これで光子郎は助かるとそう思った。
その姿にブルーは困惑した。
まだ疑心の時点でしかないブルーにとって、イヴの言葉の真偽が判らなかった。
その行為がどちらに転ぶか、咄嗟には想像すら出来なかった。
そして光子郎は、その姿に……恐怖した。
光子郎に歩み寄るイヴの、髪の毛が変貌していく。
淡い輝きと共に奇妙なカタチを為していく。
その姿にフェイトは希望を見た。
フェイトの知らない力だけれど、イヴがそういうならそれはきっと真実だ。
これで光子郎は助かるとそう思った。
その姿にブルーは困惑した。
まだ疑心の時点でしかないブルーにとって、イヴの言葉の真偽が判らなかった。
その行為がどちらに転ぶか、咄嗟には想像すら出来なかった。
そして光子郎は、その姿に……恐怖した。
(僕の死を……利用するつもりですか……)
光子郎はイヴに撃たれたと思いこんでいた。
だから言葉通りに治療するわけがないと確信し、トドメを刺すつもりだと考えた。
死んだ理由は『ごめんなさい、私の力でも手遅れだった』とでも言えば良い。
仲間を助けようとする事で信用を得られて一石二鳥だ。
その後で依然取り入り続けるイヴは、やがてフェイトとブルーをも殺害するだろう。
(だけど……どうすれば……)
この状況を変えるにはフェイトにイヴを敵だと信じ込ませるしかない。
(…………? フェイトさん……生きて……)
一瞬だけ違和感を感じた。
だけどそれについて考える間も無かった。
イヴはもう目の前まで迫って屈み込んできて…………
(僕の死を利用はさせません。
殺されるのは変わり無くても……助けたフリなんてさせません。
そうすればきっと、フェイトさんがイヴさんと戦ってくれる!)
光子郎は弱った全身の力を振り絞って首に巻いていたマフラーを抜き取った。
「え……!?」
否、それはマフラーではない。
抜き取った瞬間、そのマフラーは変貌していく。
柄が見えた。それから刃が……至近距離のイヴに向けて振られて…………!
「きゃあああ!!」
悲鳴が上がった。
光子郎はイヴに撃たれたと思いこんでいた。
だから言葉通りに治療するわけがないと確信し、トドメを刺すつもりだと考えた。
死んだ理由は『ごめんなさい、私の力でも手遅れだった』とでも言えば良い。
仲間を助けようとする事で信用を得られて一石二鳥だ。
その後で依然取り入り続けるイヴは、やがてフェイトとブルーをも殺害するだろう。
(だけど……どうすれば……)
この状況を変えるにはフェイトにイヴを敵だと信じ込ませるしかない。
(…………? フェイトさん……生きて……)
一瞬だけ違和感を感じた。
だけどそれについて考える間も無かった。
イヴはもう目の前まで迫って屈み込んできて…………
(僕の死を利用はさせません。
殺されるのは変わり無くても……助けたフリなんてさせません。
そうすればきっと、フェイトさんがイヴさんと戦ってくれる!)
光子郎は弱った全身の力を振り絞って首に巻いていたマフラーを抜き取った。
「え……!?」
否、それはマフラーではない。
抜き取った瞬間、そのマフラーは変貌していく。
柄が見えた。それから刃が……至近距離のイヴに向けて振られて…………!
「きゃあああ!!」
悲鳴が上がった。
* * *
「光子郎……さん…………?」
フェイトが茫然と、言葉を紡ぐ。
「光子郎さん!」
それは悲鳴となって。
「光子郎さん、どうして!? どうしてこんな……事に…………!!」
嘆きへと変わった。
フェイトが茫然と、言葉を紡ぐ。
「光子郎さん!」
それは悲鳴となって。
「光子郎さん、どうして!? どうしてこんな……事に…………!!」
嘆きへと変わった。
光子郎の体は切り裂かれていた。
反射的に刃に変えた、イヴの髪の毛によって。
転がった首が……怨めしそうに、イヴを見上げた。
反射的に刃に変えた、イヴの髪の毛によって。
転がった首が……怨めしそうに、イヴを見上げた。
「あ……ああ…………」
イヴは怯えていた。
「違う……私、こんな事をするつもりじゃ……本当に、本当に治そうと…………!
でも、でも……!」
突然、光子郎が剣を振るって襲い掛かってきた。そう思った。
だけど地面に転がっている剣に……刃は、無かった。
見るからに殺傷力の無い、猫のような奇妙な物が生えていた。
光子郎が何を考えてそんな物を手にしたのかは判らない。
しかしイヴに対して殺意を持って振るったようには、とても見えなかった。
「あ……いやああああぁああぁあぁあぁあぁあぁあああああああああああああああああ」
絶叫が上がった。
イヴは怯えていた。
「違う……私、こんな事をするつもりじゃ……本当に、本当に治そうと…………!
でも、でも……!」
突然、光子郎が剣を振るって襲い掛かってきた。そう思った。
だけど地面に転がっている剣に……刃は、無かった。
見るからに殺傷力の無い、猫のような奇妙な物が生えていた。
光子郎が何を考えてそんな物を手にしたのかは判らない。
しかしイヴに対して殺意を持って振るったようには、とても見えなかった。
「あ……いやああああぁああぁあぁあぁあぁあぁあああああああああああああああああ」
絶叫が上がった。
そしてブルーは……ブルーもまた、怯えていた。
ブルーの中でみるみるうちに疑心が膨れ上がっていた。
(イヴはこれで二人目を殺した事になる。
もう『ご褒美』まであと一人で、しかも自分を利用していると思いこんでいる少女と一緒に居る。
その少女は物理的には無力で、自分の方は戦いにおいて圧倒的な実力を持っている。
つまりフェイトと別れれば……いつでもアタシを殺せる。
やろうと思えばあっさりとアタシを殺して『ご褒美』をもらえる……そんな事って有る?
そんなの、偶然なんかで有り得るの?)
全身を悪寒が包み込む。
疑心は見る見るうちに未知という暗闇の中に怖ろしい鬼を作り出していく。
(まさかアタシは、いつでも『ご褒美』を貰えるように予備で置いておかれた獲物なの?
『ご褒美』は放送の時に必ず消費される。
でも今のイヴには遠近両方において十二分に戦える武器があるわ。
『ご褒美』で追加の支給品をもらう必要は無い。
多分ジェダに聞く事も無いし、怪我だってそこまでして治す必要は無いんだわ。
きっとそう、ううん、間違いなく!
この予想が当たっていたら、最悪だと一度目の放送直後にアタシは殺されてしまう。
でも……どうすれば良いの?
戦う? ムリよ、アタシ自身じゃ勝ち目なんて無い!
逃げる? ダメ、逃げられっこない!
廃病院の前でのビュティとイヴのやり取りは見ていた。
イヴは羽を生やして空を飛べる。あんなのから逃げられるわけがないわ。
不調そうではあったけど、あれだって全部演技だったのかもしれない。
もし手が有るとしたら……)
一つは『同行』のカード。
GIというゲームの、しかし本当に効果が有るらしい不思議なカード。
その効果は自分と半径20m以内のプレイヤーを対象にして、
行ったことが有る場所やプレイヤーの元に飛ぶという効果だ。だが。
(ダメ、これは使えない)
20m以上離れなければイヴも来てしまうとか、まともな飛ぶ先が少ない事は何とかなる。
問題はこれが『イヴから譲り受けたカード』である事だ。
これを使って逃げようとするなんて相手の掌で踊る事に等しい。
最低でもそれを阻止するカードは持っているだろうし、
効果が有るというのは嘘っぱちでただのゲームカードという可能性が一番高い。
だがその程度ならまだ良い。
最悪なのは、このカード自体が罠である事だ。
使おうとしたら使用者の命を奪うだとかそういう代物かもしれない。
それを考えると試しに使ってみる事さえ出来ない。
ブルーはイヴにより外敵から護られていたが、イヴから身を護る術は何一つ持っていなかったのだ。
(やっぱり、残った手は一つしか無い)
ブルーの中でみるみるうちに疑心が膨れ上がっていた。
(イヴはこれで二人目を殺した事になる。
もう『ご褒美』まであと一人で、しかも自分を利用していると思いこんでいる少女と一緒に居る。
その少女は物理的には無力で、自分の方は戦いにおいて圧倒的な実力を持っている。
つまりフェイトと別れれば……いつでもアタシを殺せる。
やろうと思えばあっさりとアタシを殺して『ご褒美』をもらえる……そんな事って有る?
そんなの、偶然なんかで有り得るの?)
全身を悪寒が包み込む。
疑心は見る見るうちに未知という暗闇の中に怖ろしい鬼を作り出していく。
(まさかアタシは、いつでも『ご褒美』を貰えるように予備で置いておかれた獲物なの?
『ご褒美』は放送の時に必ず消費される。
でも今のイヴには遠近両方において十二分に戦える武器があるわ。
『ご褒美』で追加の支給品をもらう必要は無い。
多分ジェダに聞く事も無いし、怪我だってそこまでして治す必要は無いんだわ。
きっとそう、ううん、間違いなく!
この予想が当たっていたら、最悪だと一度目の放送直後にアタシは殺されてしまう。
でも……どうすれば良いの?
戦う? ムリよ、アタシ自身じゃ勝ち目なんて無い!
逃げる? ダメ、逃げられっこない!
廃病院の前でのビュティとイヴのやり取りは見ていた。
イヴは羽を生やして空を飛べる。あんなのから逃げられるわけがないわ。
不調そうではあったけど、あれだって全部演技だったのかもしれない。
もし手が有るとしたら……)
一つは『同行』のカード。
GIというゲームの、しかし本当に効果が有るらしい不思議なカード。
その効果は自分と半径20m以内のプレイヤーを対象にして、
行ったことが有る場所やプレイヤーの元に飛ぶという効果だ。だが。
(ダメ、これは使えない)
20m以上離れなければイヴも来てしまうとか、まともな飛ぶ先が少ない事は何とかなる。
問題はこれが『イヴから譲り受けたカード』である事だ。
これを使って逃げようとするなんて相手の掌で踊る事に等しい。
最低でもそれを阻止するカードは持っているだろうし、
効果が有るというのは嘘っぱちでただのゲームカードという可能性が一番高い。
だがその程度ならまだ良い。
最悪なのは、このカード自体が罠である事だ。
使おうとしたら使用者の命を奪うだとかそういう代物かもしれない。
それを考えると試しに使ってみる事さえ出来ない。
ブルーはイヴにより外敵から護られていたが、イヴから身を護る術は何一つ持っていなかったのだ。
(やっぱり、残った手は一つしか無い)
それはフェイトに護ってもらう事だ。
フェイトは魔法使いだといい、更に謎の人物の襲撃を退けている。
イヴと比べてどちらが強いのかは判らないが、敵に回したくない実力者のはずだ。
とにかくフェイトと一緒に居なければならない。
フェイトの信用を得なければならない。
そう思うブルーに、イヴが縋り付いた。
「ブルーさん……」
「…………な……なに……?」
ブルーは目に見えるほどに怯えた。
だけど今のイヴはそんな事にすら気づかない。
「お願い……信じて。こんな事、やろうとしてやったわけじゃない。
だから信じて……そして……」
フェイトは魔法使いだといい、更に謎の人物の襲撃を退けている。
イヴと比べてどちらが強いのかは判らないが、敵に回したくない実力者のはずだ。
とにかくフェイトと一緒に居なければならない。
フェイトの信用を得なければならない。
そう思うブルーに、イヴが縋り付いた。
「ブルーさん……」
「…………な……なに……?」
ブルーは目に見えるほどに怯えた。
だけど今のイヴはそんな事にすら気づかない。
「お願い……信じて。こんな事、やろうとしてやったわけじゃない。
だから信じて……そして……」
――ゆるして。
「え……ええ…………もちろんよ…………」
ブルーの返答は震えていた。
それでもそう答える。自らの利用価値を残すために。
もし赦さないと答えればどう動くか判らない。
こう答えれば、まだ自分には利用価値が有るはずだ。
そんなブルーにイヴは少しだけ落ち着いた様子で、そして。
「それと、フェイトさんと……別れられないかな……」
「え……!?」
その声は小声で、フェイトに聞こえないように、恐る恐る紡がれていた。
「私は……フェイトさんの、大切な友達を殺してしまった。
前に進めって言われたのに……また同じ過ちを冒して……。
……もう、一緒に居たら…………どんな顔をすれば……!」
その言葉は真に迫り涙すら零していた。
だがそれはブルーにとって、『ここまで演じられるのか』という戦慄しかもたらさない。
「ダ、ダメよ。それはダメ。逃げるのは、ダメ。
それにさっきの奴がまた襲ってくるかもしれない、集まっていないと危ないわ」
「…………そう、ですよね…………ごめん……なさい…………」
イヴは俯き。
フェイトとの間にブルーを挟む位置に立った。
ブルーの返答は震えていた。
それでもそう答える。自らの利用価値を残すために。
もし赦さないと答えればどう動くか判らない。
こう答えれば、まだ自分には利用価値が有るはずだ。
そんなブルーにイヴは少しだけ落ち着いた様子で、そして。
「それと、フェイトさんと……別れられないかな……」
「え……!?」
その声は小声で、フェイトに聞こえないように、恐る恐る紡がれていた。
「私は……フェイトさんの、大切な友達を殺してしまった。
前に進めって言われたのに……また同じ過ちを冒して……。
……もう、一緒に居たら…………どんな顔をすれば……!」
その言葉は真に迫り涙すら零していた。
だがそれはブルーにとって、『ここまで演じられるのか』という戦慄しかもたらさない。
「ダ、ダメよ。それはダメ。逃げるのは、ダメ。
それにさっきの奴がまた襲ってくるかもしれない、集まっていないと危ないわ」
「…………そう、ですよね…………ごめん……なさい…………」
イヴは俯き。
フェイトとの間にブルーを挟む位置に立った。
しかしフェイトは、これをイヴのせいだと考えてはいなかった。
どうしてかは判らないが、光子郎はイヴに向けて風の剣を振るった。
ハズレが出たから良いが、そうでなければ死んでいたのはイヴだったかもしれない。
(光子郎さん……死にかけていたから……?)
失血で幻でも見て、だからイヴを殺そうとしたのだろうか。
そう考えれば光子郎の事は無理に説明できなくもなかった。
だけど、ブルーの事は……。
(死にそうで必死になっている光子郎さんを笑って……あんな…………)
明らかに意図的に、光子郎を殺そうとしていた。
どう思いたいどうこうではなくて、確証の領域に入る。
(どうして…………)
どんな理由が有るのか判らない。
ただ事実を事実として認めて、ブルーを危険人物だと理解していた。
(まさか、イヴの事も利用して……ううん、考えすぎてる)
思考が纏まらない。
本当はとても傷付いてしまったイヴに言葉を掛けなければならないのに。
これはイヴのせいではないと言わなければならないのに。
「光子郎さん…………」
今は、目の前の地面に転がる光子郎を悼む事しかできなかった。
どうしてかは判らないが、光子郎はイヴに向けて風の剣を振るった。
ハズレが出たから良いが、そうでなければ死んでいたのはイヴだったかもしれない。
(光子郎さん……死にかけていたから……?)
失血で幻でも見て、だからイヴを殺そうとしたのだろうか。
そう考えれば光子郎の事は無理に説明できなくもなかった。
だけど、ブルーの事は……。
(死にそうで必死になっている光子郎さんを笑って……あんな…………)
明らかに意図的に、光子郎を殺そうとしていた。
どう思いたいどうこうではなくて、確証の領域に入る。
(どうして…………)
どんな理由が有るのか判らない。
ただ事実を事実として認めて、ブルーを危険人物だと理解していた。
(まさか、イヴの事も利用して……ううん、考えすぎてる)
思考が纏まらない。
本当はとても傷付いてしまったイヴに言葉を掛けなければならないのに。
これはイヴのせいではないと言わなければならないのに。
「光子郎さん…………」
今は、目の前の地面に転がる光子郎を悼む事しかできなかった。
* * *
こうして一人は死に、盤面は混沌へと姿を変える。
ただ知ろうとし続けた光子郎こそが、もっとも真実から遠くに迷い込んでしまった。
ただ信じようと想い続けたフェイトこそが、ブルーの悪に気づいてしまった。
ただ全てを操ろうとしたブルーこそが、在りもしない影に怯え疑心暗鬼に囚われた。
ただ赦しを求めたイヴこそが、更なる罪を重ね本当の救いの手すら見失ってしまった。
ただ信じようと想い続けたフェイトこそが、ブルーの悪に気づいてしまった。
ただ全てを操ろうとしたブルーこそが、在りもしない影に怯え疑心暗鬼に囚われた。
ただ赦しを求めたイヴこそが、更なる罪を重ね本当の救いの手すら見失ってしまった。
イヴが信じるブルーは、イヴに悪魔を見ていて。
ブルーが求めるフェイトは、ブルーの罪を知っていて。
フェイトが救おうとするイヴは、フェイトから逃げたがっていて。
光子郎の想いは仲間に届く事無く、その貫き通した過ちが敵を狂わせた。
ブルーが求めるフェイトは、ブルーの罪を知っていて。
フェイトが救おうとするイヴは、フェイトから逃げたがっていて。
光子郎の想いは仲間に届く事無く、その貫き通した過ちが敵を狂わせた。
なんという皮肉か。
【A-3/工場(ファクトリアルタウン)前/1日目/午後】
【悪夢の三角関係】
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:胸を強く打撲(肋骨にヒビ有り?)、魔力消費(極小)
[装備]:バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、マジックバタフライ@MOTHER2、さとうきびセイバー@ボボボーボ・ボーボボ
[思考]:………………。
第一行動方針:まず…………
第二行動方針:ブルーになんらかの対処。イヴを救いたい。
第三行動方針:友人の捜索及び合流
基本行動方針:バトルロワイアルの打破
[備考]:光子郎から以下の仮説を聞きました。
1:この工場はなんらかのエネルギーが作動してるかどうかを確認している。
2:そのなんらかのエネルギーはここじゃない場所にある
3:そこは普通にしてたらわからないが、決して見つからないような場所ではない
【悪夢の三角関係】
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:胸を強く打撲(肋骨にヒビ有り?)、魔力消費(極小)
[装備]:バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、マジックバタフライ@MOTHER2、さとうきびセイバー@ボボボーボ・ボーボボ
[思考]:………………。
第一行動方針:まず…………
第二行動方針:ブルーになんらかの対処。イヴを救いたい。
第三行動方針:友人の捜索及び合流
基本行動方針:バトルロワイアルの打破
[備考]:光子郎から以下の仮説を聞きました。
1:この工場はなんらかのエネルギーが作動してるかどうかを確認している。
2:そのなんらかのエネルギーはここじゃない場所にある
3:そこは普通にしてたらわからないが、決して見つからないような場所ではない
【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康、4歳モード、イヴに激しい恐怖と誤解
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×3)、G・Iカード(『聖水』『同行』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE
[思考]:このままじゃいずれイヴに殺される……
第一行動方針:イヴから逃げたい。その為にフェイトの信用を得たい。
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟
第三行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。
また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。
ブルーは、双葉を始末したであろうと思っています。
フェイトの知人(なのは達)と、リリカルなのは世界の魔法についての知識を得ました。
G・Iカードについて『使っても阻止され、最悪罠が仕掛けられている』と思いこみました。
[状態]:健康、4歳モード、イヴに激しい恐怖と誤解
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×3)、G・Iカード(『聖水』『同行』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE
[思考]:このままじゃいずれイヴに殺される……
第一行動方針:イヴから逃げたい。その為にフェイトの信用を得たい。
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟
第三行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。
また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。
ブルーは、双葉を始末したであろうと思っています。
フェイトの知人(なのは達)と、リリカルなのは世界の魔法についての知識を得ました。
G・Iカードについて『使っても阻止され、最悪罠が仕掛けられている』と思いこみました。
【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(処置済み)、全身に中程度の打撲、精神衰弱、疲労感大、
[服装]:ナース服
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、G・Iカード(『左遷』)@H×H、
基本支給品一式[ビュティ]、神楽の傘(弾0)@銀魂、コンマ(ランドセル異空間)@ボボボーボ・ボーボボ、血塗れの服
[思考]:………………。
第一行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る。フェイトに会わす顔が無く、出来るだけ避けたい。
第二行動方針:危険回避のため、他人にはアタッシュケースを触らせないようにする
基本行動方針:ゆるして――
[備考]:イヴはコンマをどこかに落としたと思っている。ランドセルを逆さにすれば放り出せる。
自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
フェイトにもそれを感じ掛けたが、フェイトの友達である光子郎を殺してしまった事でもう赦されないと思いこんでいる。
[状態]:左腹部に銃創(処置済み)、全身に中程度の打撲、精神衰弱、疲労感大、
[服装]:ナース服
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、G・Iカード(『左遷』)@H×H、
基本支給品一式[ビュティ]、神楽の傘(弾0)@銀魂、コンマ(ランドセル異空間)@ボボボーボ・ボーボボ、血塗れの服
[思考]:………………。
第一行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る。フェイトに会わす顔が無く、出来るだけ避けたい。
第二行動方針:危険回避のため、他人にはアタッシュケースを触らせないようにする
基本行動方針:ゆるして――
[備考]:イヴはコンマをどこかに落としたと思っている。ランドセルを逆さにすれば放り出せる。
自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
フェイトにもそれを感じ掛けたが、フェイトの友達である光子郎を殺してしまった事でもう赦されないと思いこんでいる。
【泉光子郎@デジモンアドベンチャー 死亡】
[備考]:風の剣(ハズレ発動中)@魔法陣グルグルを握っています。
全身を切り裂かれ首も刎ねられて首輪も転がっています。
ランドセルには支給品一式(食料少し減)、ジャスタウェイ@銀魂が残っています。
[備考]:風の剣(ハズレ発動中)@魔法陣グルグルを握っています。
全身を切り裂かれ首も刎ねられて首輪も転がっています。
ランドセルには支給品一式(食料少し減)、ジャスタウェイ@銀魂が残っています。
【A-4/森/1日目/午後】
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:疲労(大)、右腕損傷&数時間は動かない、左足に痺れ、全身に重度のダメージ
[装備]:ウィンチェスターM1897(1/5)@Gunslinger Girl)、サンライトハート(核鉄状態)@武装錬金
[道具]:支給品一式、塩酸の瓶(残り1本)、神楽とミミの眼球
[思考]:少し疲れてしまったわ
基本行動方針:兄様(ヘンゼル)を探しつつ、効率よく「遊ぶ」
第一行動方針:そろそろ休憩場所を捜すのもいいかしら
第二行動方針:誰か新しい相手を見つけて遊ぶ。
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:疲労(大)、右腕損傷&数時間は動かない、左足に痺れ、全身に重度のダメージ
[装備]:ウィンチェスターM1897(1/5)@Gunslinger Girl)、サンライトハート(核鉄状態)@武装錬金
[道具]:支給品一式、塩酸の瓶(残り1本)、神楽とミミの眼球
[思考]:少し疲れてしまったわ
基本行動方針:兄様(ヘンゼル)を探しつつ、効率よく「遊ぶ」
第一行動方針:そろそろ休憩場所を捜すのもいいかしら
第二行動方針:誰か新しい相手を見つけて遊ぶ。
≪129:『』shift | 時系列順に読む | 133:海の見える街≫ |
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≪120:これが僕なりの戦い方――泉光子郎の場合 | フェイトの登場SSを読む | 149:優しさでは辛過ぎるから(前編)≫ |
ブルーの登場SSを読む | ||
イヴの登場SSを読む | ||
泉光子郎の登場SSを読む | GAME OVER | |
≪127:you-destructiv(前編) | グレーテルの登場SSを読む | 133:海の見える街≫ |