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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • Fate end/必死(前編)

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

Fate end/必死(前編)

最終更新:2007年07月13日 19:50

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だれでも歓迎! 編集

Fate end/必死 ◆CFbj666Xrw


どこか遠くで爆発音が聞こえた。
音の方向までは判らないけれど、きっと駆け付けられないほど遠くは無い場所だ。
「……『駆』!」
それを振り切って幾度目かの加速を行う。
(きっと……きっと大丈夫だ。プレセア達なら大丈夫!)
少年に出来ることは信じる事だけ。
そして自分の想いを貫く事だけだ。
『Chain Bind』
背後から伸びた鎖はギリギリで加速したジーニアスを捉え損なった。
すぐ近くの立木に絡みつき、それをギリギリと締め砕く。
耳障りな音を立て倒れていく木を置き去りにジーニアスとイリヤは走り続ける。
「この、ちょこまかと……!」
その先でジーニアスは幾度目かの転倒と共に急な坂、というより小さな崖を転げ落ちた。
「うわああ!!」
無様な声を上げて小さな崖を転げ落ちていくジーニアスの姿。
「ここで終わりね!」
イリヤもすぐさまそれを追いかけ、その小さな崖を滑り降りて。

「ウィンドカッター!」
「な、この……っ!?」
先に降りたジーニアスは一手早く詠唱を済まし、攻撃魔法でイリヤを迎撃した!
防御魔法を発動させる間もなく無数の風の刃がイリヤに襲い掛かる。
風の刃は、イリヤの着ている体操服の胸元を引き裂いた。
その下の肌には小さな傷だけが残されて、転倒した。
「え……?」
仕留め損なった。
それを認識した瞬間、地に転げたままのイリヤが叫ぶ。
「やっちゃえ、S2U!」
『Stinger Ray』
咄嗟にジーニアスは身をよじり……避けきれない!
放たれた高速の光弾はジーニアスの足を貫いた。
ジーニアスはゆっくりと、地に膝を付いて。
イリヤはゆっくりと立ち上がり、ジーニアスを見下ろした。
「その足じゃ、もう追いかけっこは無理ね」

「う……ぐっ。ど、どうして?」
完全に不意を突いたはずだ。
なのにどうしてあれほど僅かな傷しか付けられなかったのか。
ジーニアスの問いに、イリヤは勝ち誇った笑みを浮かべて答えた。
「この体操服はね、バリアジャケットっていう魔力で構成した鎧なのよ」
「そんな物、いつの間に用意したんだ……?」
「翠星石と戦った時よ。ギリギリでこれを作れたおかげで私は生き残れた。
 常時魔術で効果は高くないけど、その程度の魔術じゃ殆どの衝撃は防げるわ。
 それに破れるほど強力な攻撃に対しては爆発させて衝撃を相殺する魔術も有るの。
 一回きりならもっと強力な魔術が直撃しても防げるって事。
 ……わかったでしょ? あなたに勝ち目なんて無いのよ」
「そ、そんな…………」
ジーニアスは青ざめて歯を噛み締めた。
気付くべきだった。
二戦目でファイアーボールを放つよう誘導された時、一部は命中したのに殆ど応えていなかった。
更に確か、小さな少女がバリアジャケットがどうとか言っていた。
(あれに気付いていれば……!
 それじゃ初級魔法じゃダメだ。少なくとも中級魔法。
 だけど不意打ちじゃないならきっと防御魔法も重ねてくる。上級魔法か……でも……)
言うまでもなく高度な魔法の呪文詠唱は長くなり、消費魔力も増大する。
先程イリヤに放ったのが初級魔法だったのも少しでも確実に不意を打つためだ。
長い詠唱の隙については一つだけ手が有った。
しかし今のジーニアスの残存魔力量では十分な魔法を発動できるか、怪しい。
(どう足掻いたって魔法を打ち込めるチャンスは一回だけだ。
 それで確実に倒さないといけないのに、中級魔法で倒せるの……?)

「さあ、終わりよ」
悩みも祈りも想いにも時間が足りない。
イリヤがジーニアスへと杖を向けた。
ジーニアスは膝を付いたまま片手で地面を掴み、倒れまいとイリヤを睨む。
掌に食い込む石が鈍い痛みを伝えていた

     * * *

さくらとベルフラウは走っていた。
ジーニアスを追って行ってしまったイリヤを捜して。
「なにこれ、樹が折れてるよう。えっと……締め付けて折ったみたい」
「どうやらあっちのようですわ。急ぎましょう」
砕き折られた樹を後目に二人は走る。
遠くからさっきも何度か聞いた魔力弾の音が聞こえた。戦場は近い。
しかし半ば崖のような坂が見えたその時、その足が止まった。
「あなた達は……」
「あなた、さっきの……!」
横合いから飛び出してきたのは桃色の髪をした少女だ。
戦いが始まってすぐ、さくら達からは離れた場所で明石薫と戦っていた少女。
その少女プレセアだけがここに居た。
「か、薫ちゃんはどうしたの!?」
だから当然のように訊き、そしてプレセアは当然のように答える。
「倒しました」
息を呑むさくらに代わりベルフラウが確認をする。
「それは、殺したという意味で良いのかしら?」
「そう取ってもらっても構いません。確認は……していませんが」
「……どうして?」
矢継ぎ早に再びさくらが問い掛ける。
「どうしてそんな事するの!? その……人殺しなんて、そんな……」
「…………人殺しは彼女の方です」
プレセアとて一度は殺し合いに乗った身だ。
この島で誰も殺さずに改心できたのは単なる結果に過ぎない。
人のことを言える身では無いと思っていた。
それでも彼女の理性はこう判断した。
彼女達は明石薫の危険性を知らないようだ。
それなら“それを指摘すれば戦いを避けて速やかにここを通れるかもしれない”
プレセアにとって何より優先すべき事はこの先の戦場に速やかに駆け付ける事なのだ。
「明石薫と言いましたか。私は、彼女が八つ当たりで二人の人間を殺す所を見ました」
「!!」
その言葉にさくらは凍り付いた。
プレセアは更に言葉を続ける。
「そうですか、知らなかったのですね。
 ジーニアスによればあの白い少女も殺し合いに乗っている殺人鬼です。
 彼女達と組んでいるあなた達が人殺しである可能性も考えていました」
人殺し。
あなた達が、人殺し。
これまで恐る恐る使っていたその言葉が自分にも向けられた時、さくらの脳裏に恐怖が再生した。
『その血まみれの格好、その剣…君も誰かを殺してるんだろう? 今度は君の番ってだけさ』
その恐怖は不快な言葉と。
――血溜まりの中に転がる女性の生首で出来ていた。
さくらの目の前に転がった……首。
「ひっ、ち、違うよ! わたしそんな事してない!」
「馬鹿を言わないでください。私はこんな悪趣味な遊戯に乗るつもりはありませんわ」
さくらとベルフラウが口々にそれを否定する。
「あと、あなたの言葉を信用する証拠は有りますの?」
ベルフラウはイリヤを疑っていたし、薫の事も信用はしていなかったが、敵だって信用できない。
その確証が欲しくて聞いて、しかしプレセアは肩を落とす。
説明は出来るかも知れないが、出来たとしても時間が掛かるだろう。
やはり無理にでも押し通ろうと覚悟を決めた矢先に。

『彼女は嘘を言っていません』
落ち着いた言葉が響いた。

「今の声は……?」
プレセアは突然の言葉に戸惑いながら周囲を見回した。
『ここです』
再び、手の中から声が聞こえた。
その中に有るのは飾り気の無いハンマーだ。
「まさか、アイゼンさん? やっぱりグラーフアイゼンさんなんですか!?」
それまで口出しをせずにいたリインが驚きの声を上げる。
「どうして、何も言ってくれなかったんですか?」
『話しかけられる状況が有りませんでした』
「……あなたは意志が有ったんですね」
グラーフアイゼンの答えにプレセアが戸惑いの色を見せる。
それは彼が全てを見ていた事を意味する。自分の、暴走を知っている事を。
しかしグラーフアイゼンは証言する。
『推移は有りましたが、彼女の言葉に嘘は有りません』
プレセアを保証した。
「そのグラーフアイゼンというのは信用できますのね?」
「えっと、性質上アームドデバイスが嘘を吐く事は無いはずです。
 マスターがそう指示していたら別ですけど、その様子も無いと思います」
デバイスというのは基本的に魔術師をサポートする杖であり、従うものだ。
意志が有るデバイスはその範囲内で非協力的態度を示す事も有り得るが、それ以上は起きない。
リインの分類される、使用者を乗っ取る事故が起こりうる融合型デバイスは例外的存在である。
その性質上、自発的に嘘を吐くことはまず有り得ないと言っていいだろう。

しかし聞かれなかった事を言わなかったり、言葉が足りない事は十分に起こりうる。
プレセアは“明石薫が八つ当たりで二人の人間を殺す所を見ました”と言い、アイゼンはそれを肯定した。
プレセアがそういう光景を見た事は事実だが、それだけでは語弊が生まれるだろう。
『ただし明石薫の件については若干の補足が――』
「続きは後です」
しかしそれを正そうとするグラーフアイゼンの声は遮られた。
プレセアは一秒でも早く仲間の元に駆け付けたかったのだ
少なくとも攻撃に迷う程度の信用は得られたと判断し、プレセアは再び走り出す。
戦いの音が響く戦場に向かい、グラーフアイゼンをしかと握り締めて、走った。
……真実は明かされない。

「ま、待って!!」
さくらは惑いながらも叫ぶ。
だがプレセアは振り返らない。走り続ける。
「どうするつもりですの? 貴方は!」
「わたしは……っ」
ベルフラウの叱責じみた言葉にさくらの思考が乱れた。
何が良いのか悪いのかが判らなくなる。
明石薫は悪い人だったのか? それを殺したというプレセアは良い人なのか?
イリヤは悪い人なのか? 良い人なのか?
女の子を見捨てて逃げた、でもプレセアの仲間の、イリヤと殺し合うジーニアスは?
(で、でも……行かせたらイリヤちゃんが殺されちゃう! それだけは絶対ダメ!
 誰がいい人なのかわるい人なのかわからないけど、それでも殺し合いなんていけない!)
混乱の先に見えたのは小さな答え。
さくらがその結論に辿り着くまでの時間は僅かだった。
しかしその僅かな迷いの間にプレセアは視界の外へと走り去って……いなかった。
何故か少し先で足を止めて横合いの茂みを振り向いた。
すぐに姿を隠すはずだったさくら達から見える場所で、立ち止まっていた。
(行かせちゃダメ! 止めなきゃ!)

さくらは咄嗟にクロウカード『風』を引き抜き、プレセアへと向ける。
強引にでも止めて、それからもっと話し合おう。
イリヤの所に行くなら一緒に行って戦いを止めよう。
誰かが死ぬなんていけない。
誰かを殺すなんていけない。
殺し合いなんて、絶対にダメだ!
「ダ、ダメですさくらさん!」
「待ちなさいさくら!」
制止の声が聞こえた時にはもうさくらの肺は言葉を作るべく息を送り出していた。
制止の言葉を認識した時にはさくらの喉は声を絞り出していた。
制止に疑問を抱いた時にはさくらの魔法は既に完成していた。
「『風』!!」
渦巻く風が急いでその場を離れようとしたプレセアを絡め取って。

次の瞬間、横殴りに叩きつけられた岩がプレセアを跳ね飛ばした。

「………………え?」

     * * *

イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは冷や汗を流しながらも、勝利を確信した。
ジーニアスの反応は明らかに、イリヤのバリアジャケットを貫く手札が無い事を意味する。
後はイリヤが失敗を冒さなければいい。
例えば防御魔法無しで魔法の直撃を受ける。
例えば狙いが甘くて攻撃魔法を回避される。
そういった隙を見せれば殺される強敵には違いない。
一度目の時はそんな油断をして、運が悪ければどうなっていたか判らなかった。
(だけど……勝つのは私なんだから)
彼が油断ならない強敵である事はもう知っている。
ジーニアスは明らかにイリヤを『誘き寄せた』。
無様に逃げる振りをして一対一の戦いに誘い込み、油断させてその隙を突いてきた。
最初の戦いの時だって、魔術の早撃ちに見せかけて別の手を打ってきた頭の良い少年だ。
しかし彼の手札も、尽きた。
(小細工というのは確かに効果的だわ。
 でも幾ら小細工をした所で、根本的な力の差が埋まらない限り無意味なのよ)
かつて彼女が有した強大な従者を、不意打ちの魔弾などではなく想定外の聖剣が打ち倒したように。
イリヤの体を聖杯に『この世全ての悪』を操る言峰綺礼を、想定外の聖剣の鞘で打ち破ったように。
イリヤを打ち倒し、そして救ってくれた衛宮士郎のように。
(シロウ……私に力を…………)
大切な人の名を想い、彼のペンダントを握り締めようとした指が――空を掴んだ。
「…………え?」
胸元のペンダントが無くなっていた。

それはジーニアスのウインドカッターが直撃した時の事だ。
胸元を浅く切り裂いた風の刃は、首から下げていたペンダントの紐を断ち切ったのだ。
イリヤの胸元から転げ落ちたペンダントは転び転がり、地面の石に紛れている。
――ジーニアスは、苦し紛れに握り締めた石の感触がおかしい事に気が付いた。

「これは……?」
開いた指の中に有ったのは紅い宝石。
イリヤが身につけていた、彼女の大切な人が持っていた宝石。
「か、返しなさい!」
イリヤは最初、怒りの表情を見せた。
大切な人の物を取り上げられた事による単純な怒りだ。
それはすぐに動揺によって染め変えられる。
ジーニアスの表情に生気が戻ったのだ。

(そんな、どうして――!?)
急激に膨れる驚愕と不安を感じながら、イリヤはジーニアスに向けて魔力弾を放った。
だが魔力弾はジーニアスが咄嗟にランドセルから引き出した奇妙な物に防がれる。
海底探検用パックの寝袋だ。
人を喰らうような大型の鮫の襲撃を想定したこの寝袋は、無数のトゲだけではなく、
大型鮫の最初の一噛みには抗しうる強靱な素材で作られていた。

そしてジーニアスは詠唱を始める。
「天光満つる所に我はあり」
イリヤはその呪文に聞き覚えがあった。
最初に戦った時にジーニアスが使おうとした、少なくとも三小節を要する強力な攻撃魔法。
「そんな時間与えない!」
『Stinger Ray』
S2Uから放たれた高速の魔弾は防ぐ間もなく襲い掛かり、寝袋ごとジーニアスを貫いた。
寝袋が弾け飛び、ジーニアスの姿が露わになる。
イリヤはジーニアスの脇腹が魔弾に抉られているのを視認した。
影絵にしても輪郭の窪みが見えるほどの重傷だった。
噴水のように噴き出す血が見る間に彼と地面を染め上げていく。
寝袋に隠され致命傷にはならなかったが、放っておけば死に繋がる程の傷。
そうでなくとも詠唱の続行など出来るはずがない傷。
……そのはずだった。
「黄泉の門ひらく所に汝あり」
それでもジーニアスは止まらない。
全ての意識をこの一時に集中させて詠唱を続行する。
「この、止まれぇ!!」
更に続けて叩き込まれたS2Uではなくイリヤ自身の魔術がジーニアスを叩く。
強烈な衝撃の直撃を受け、ジーニアスは無数の骨が砕け折れる音を聞いた気がした。
(……呼吸はできる)
それでもその詠唱は止まらない。
(声は出せる。意識も有る)
痛みなど気にもならない。
自らの詠唱だけが少年の世界の全て。
(ボクはもう止まらない!)
「どうして止まらないの!?」

――コンセントレート。
それはスペルチャージに加えてリズム、スピードスペル、キープスペルという、
呪文の詠唱を補佐する4つのEXスキルを複合させる事で発動する高度なEXスキルだ。
その習得は呪文詠唱の為に全てを特化した事を意味する。
EXスキルという技術には様々な可能性が存在している。
防御面を強化するもの。戦場を速やかに動き回るもの。行動を阻害する効果を防ぐもの。
協力攻撃に関するもの。隙を少なくするもの。成長速度を早めるもの。
etcetc…………。
それらを4つ取捨選択する事により様々な恩恵を受け、戦いを有利に進める事が出来る。
それがジーニアスやプレセアが居た世界にあるEXスキルという技術である。
ジーニアスはその全てを詠唱に特化し、それ以外の恩恵を放棄した。
その結果として辿り着ける答えは極めて単純なものだ。

どれだけの攻撃を受けても、身を切り刻まれ炎に焼かれようとも詠唱を続ける覚悟。

ただしこの答えには一つ落とし穴がある。
例え如何なる覚悟をしようとも、死んだらそこまでだ。
もし一撃で殺される状況であれば、そんな覚悟など愚行に過ぎない。
先程の集団戦でアルルゥが突き飛ばしてくれた時、詠唱を諦めなければ死んでいた。
だが今は違う。
イリヤは判断を間違えたのだ。
イリヤは殺せずとも一撃さえ当てればジーニアスを押さえ込めると誤認していた。
そしてその一撃に十分な余裕が有ると思いこんだ。
ジーニアスが最初と同じ、強力だが詠唱が長いとっておきの魔法を使おうとした事で。

その詠唱を覚えていたイリヤは術の威力よりも確実に先手を打てる速射性を選択し、
十分に狙いを付けてジーニアスを攻撃した……それが彼女の過ち。
ジーニアスは『即死さえしなければよかった』のだ。
寝袋は遮蔽物として狙いの正確さを落としてくれるし、僅かだが威力も抑えてくれた。
それはせいぜい死ぬのが1撃遅れるだけの差。
しかしその1撃は今、勝敗を左右する価値を秘めている!

「S2U、早く! 早く!!」
イリヤがS2Uで必死に攻撃魔法を練り上げる。
ジーニアスを確実に殺せる威力はS2Uを使うしかない。
だがここでイリヤはもう一つの過ちを冒した。
速射性の高い高速弾スティンガーレイではなく、一撃必殺のスティンガーブレイドを選択したのだ。
それは攻撃魔術の直撃を受けても倒れないジーニアスを確実に倒すためだったが、
その選択はイリヤにほんの一手だけの、しかし決定的な遅れを作り出す。
「出でよ、神の雷」

そしてイリヤ最大の誤算――いや、運命の悪戯。
イリヤの胸から転げ落ち、ジーニアスの手の中に収まった一つの宝石。
イリヤの大切な思い人、衛宮士郎の持っていたペンダント。
それはかつて衛宮士郎が死の淵を彷徨った時、彼を助ける為に使われた宝石だ。
その内には偉大なる魔術師が数十年を掛けて溜め込んだ膨大な魔力が入っていた。
その大半は衛宮士郎を蘇生する時に使い果たされて、もう無い。
だが残滓は残っている。
死の淵に居た人間を完全に蘇生する程の膨大な魔力の、ほんの一欠片。
それだけでは強力な攻撃魔法一発分には相当しない、小さな魔力が。
ジーニアスが必殺の魔法を放つ為の、ほんのあと一歩を満たせる魔力が残っていたのだ。

(シロウ――!)
少女が身につけていた大切な人の想い出は彼女を追いつめる刺客に変わる。
自らの願いの為に人を殺め、騙し、傷つけた彼女を裁く雷へと変わる。
それに気付いた瞬間、イリヤの心に亀裂が走った。
(シロウはやっぱり、私の事を許してはくれない)
衛宮士郎は正義の味方だった。
自分が傷付く事を怖れず、誰かが傷つけられる事を何よりも嫌っていた。
私欲の為に罪の無い誰かが踏み躙られる事を許せない人間だった。
だから。
(私は、ただ……シロウと一緒に――)
シロウがこの事を知れば、きっとイリヤの事を許してはくれない。
彼は優しく、その罪を裁こうとまではせず、許そうともするかもしれない。
それでもきっと……彼はイリヤを許せない。
イリヤはそんな答えに辿り着いていた。
それなのに尚、イリヤは願いを捨てられない。
「――もっと生きていたいだけなのに!!」
だってそれは、みんなは当たり前に許される事なのだ。

『Stinger Blade. Execution Shift』
S2Uから必殺の魔法が紡がれた。
幾つもの勝機が重なっても尚、イリヤが魔法を紡ぐ時間は残されていた。
それでもジーニアスが最後の一声を叫ぶ時間もまた十分に残されていた。
幾つもの偶然はそれだけの遅れを生みだした。
どちらにせよそれは相打ち、どうした所でジーニアスの死は変わらない。
その死にイリヤを道連れに出来るだけ。
だけどそれは、価値のある道連れだとジーニアスは思う。
(そうだ、今度こそ逃さない。逃がしたらきっと、また人が死に、騙される!)
発動し生成された魔力の刃が届くより遥かに早く、ジーニアスはイリヤを睨み付け。
――凍り付いた。

(……ごめん、翠星石…………キミの仇、取れなかったよ……)

ジーニアスの魔法がイリヤに届くことは、無かった。

     * * *

一刻も早く仲間の元に駆け付けるために、プレセアは走っていた。
その為にさくら達と和解する事も後回しにした。
和解する間に他の場所で仲間が殺されては何にもならないのだから。
だがあと僅かで少し開けた場所、戦いの舞台に辿り着けるという所で。
……殺気を感じた。
(誰……?)
プレセアは横合いの茂みを振り返る。
正確に言うなら茂みの向こう、木々と木々の隙間の先に視線を向ける。
……そこには、意味の無い呻き声を上げて焦点の定まらない目をしている少女が居た。
その周囲には無数の木々や岩が渦巻いていた。
「……まだ生きていましたか、明石薫」
少し様子がおかしいとは思ったが、それを考える余裕は無い。
轟、と音を立て彼女の周囲に浮遊していた岩が射出されたのだ。
その直径たるや子供の背丈ほどもあるだろう。
当たれば良くて重傷、下手をすれば死にかねない程の巨岩だ。
(でも単純……いえ、前回よりも単調な攻撃です)
プレセアと薫の間にはまだ若干の距離があり、その軌道も直線的だった。
咄嗟の回避は不得手なプレセアでも十分に回避できるだろう。
プレセアは軽く横に跳んで大岩を避けようとして。
「『風』!!」
「しまった――!」
突如飛来した風の渦がプレセアを襲った!
渦巻く風が手足を絡め取り、その動きを、居場所を固定する。

プレセアは大岩の直撃を受けた。
身を逸らす事も、受け身もできずに大岩を叩きつけられた。
出来たのはグラーフアイゼンを挟み僅かに衝撃を干渉する事だけ。
プレセアはボールの様に高々と跳ね飛ばされ。
それから、遠い地面へと落ちていった。

「プ、プレセアちゃん!?」
さくらの悲鳴が上がった。
結果として彼女はプレセアへの攻撃を補助したのだ。
それも死んでしまいかねないほど危険な殺意を。
「お待ちなさい、さくら! あそこを見て!」
慌てて駆け出そうとしたさくらを引き留め、ベルフラウは茂みの向こうを指差す。
そこに居たのは言うまでもなく明石薫の姿だ。
プレセアが吹き飛ばされた方に視線を向けて、やや俯きながら浮揚している。
その表情はさくら達から、見えない。
「薫ちゃん!? どうして! あんな事をしたら死んじゃうじゃない!!」
「………………」
さくらの叫びに応えて、薫はゆっくりとさくら達に向き直る。
それからやはりゆっくりを顔を上げて。
「…………え?」
さくらは戸惑いの声を上げた。
明石薫の目は焦点が合っていなかった。その瞳は何も映していない。
明石薫の口はだらしなく開きっぱなしだった。その声は言葉を紡がない。
「…………あー…………」
意味の無い呻き声が漏れるだけ。
その声と同時、周囲を渦巻いていた残骸の幾つかがさくらに向けて射出される。
岩が。枝が。砂利が。樹が轟音と共に飛来する。
「薫ちゃん!?」
「『地』!!」
さくらの悲鳴とベルフラウの叫びが交差する。
残骸が到達する直前、大地が隆起し巨大な壁に変貌。
しかし到達した残骸の嵐は見る見るうちに無数のヒビを作り出す。

「ダメ、保たない!」
「させませんです! たてぇっ!!」
壁が瓦解し押し寄せた残骸を、リインが重ねた魔法陣が受け止めた。
もうもうと上がる土煙が視界を遮断する。
「大丈夫ですか、さくらさん!?」
「なにをしていますの、さくら! 殺されますわよ!!」
「ご、ごめんなさい! でも、薫ちゃんがそんな……っ」
「プレセアの話が正しかったという事でしょう!」
ベルフラウの叫びにさくらは息を呑んだ。
そう、この状況が示すのはそういう事だろう。
『明石薫はただの八つ当たりでも人を殺せる人間である』
プレセアが証言し、グラーフアイゼンが保証し、リインがその保証を保証した。
更にこの状況が全てを証明する。
「もう疑う余地は有りませんわ。
 確かにさっきまではそこまで危険に見えませんでしたけど、
 ちょっとしたキッカケで仲間すら襲う危険人物だったのでしょう、明石薫は」
「そんな……」
さくらは言葉に詰まる。
その瞳に満ちるのは不安と葛藤。
ベルフラウは苛立ちを言葉に篭めてさくらに叩きつける
「……何を迷っていますの。
 あなたの事だからあのプレセアという娘を助けるのでしょう?」
「あ、う、うん!!」
その叱責にさくらは自分の目的を思い出した。
彼女はとにかく、殺し合いなんて事を止めたいのだ。
「なら今はそれだけ考えなさい!」
「はい! ……ベルフラウちゃん、ありがと!」
「れ、礼を言われる事でもありませんわ。それより煙、晴れますわよ」
リインが防御魔法を維持する中、もうもうと上がった土煙が晴れていく。
だが煙が晴れた時、そこに明石薫の姿は無かった。

「……え?」
「さくらさん、リインがエリアサーチで捜します!」
「お願い、リインちゃん!」
「はいです」
対応は適切だと言えた。
エリアサーチが周囲に居る者達を探査する。
リインは即座にそれが誰でどういう状況なのかを把握して。
「薫さん、吹き飛ばしたプレセアさんに向かっています!」
「え……!?」
「あっちです! 急いで、間に合いません!」
――だからといって間に合うとは限らない。
リインの報告に色を失った二人は急いで薫達を追いかける。
だがその距離は僅かに遠く。
残された時間はあまりに短かった。


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