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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 夢であるよう、あらぬよう

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

夢であるよう、あらぬよう

最終更新:2008年01月29日 17:44

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だれでも歓迎! 編集

夢であるよう、あらぬよう ◆IEYD9V7.46



         ~これまでのあらすじ~

ニケ「やった……ついに四天王を倒したぞ……これでジェダのいる玉座の間の扉が開かれる!!」
ジェダ「よく来たな、すけべ大魔神ニケ、そしてその仲間たち……待っていたぞ……」
(ギイイイイイイ)
ニケ「こ……ここが玉座の間だったのか……! 感じる……ジェダの魔力を……」
ジェダ「ニケよ……戦う前に一つ言っておくことがある。
    お前は私を倒すのに『ミニ八卦炉』が必要だと思っているようだが……、
    そのとおりだ、実はマスタースパーク一発で死ぬ」
ニケ「な 何だって!?」
ジェダ「そしてこの魔次元の外にタイムパトロールを始めとする救援組織を呼んでおいた。
    あとは私を倒すだけだなクックック……」
(ゴゴゴゴ)
ニケ「フ……上等だ……オレも一つ言っておくことがある。
   ここにトマっていう俺の知り合いがいたと思ったが、別にそんなことはなかったぜ!」
ジェダ「そうか」

(ガバッ)
トマ(墓下)「そうか、じゃなああああいっ! ヒドイ! ヒドイですよ勇者さあああん!!
       何で僕を無視してなかったことにしているんですか!?
       って何ですかこの横にある(墓下)っていうどっかで見たものは――っ!?」
ニケ「ダメだろ、トマ。おまえ死んだんだからさー。死んだやつは出てきちゃダメだ、死んでなきゃー」
トマ(故)「ぐぬぬぬ勝手に死んだことにされるなんて……! ……そうだ、いいんですか勇者さん? 
      僕をぞんざいに扱ったりしたら、僕が掴んだ取って置きの情報が手に入りませんよ?」
ニケ「取って置きー?」
トマ(死)「そうです、実はジェダを倒すには『ミニ八卦炉』っていうアイテムを」
ニケ「それさっき聞いたわ、ジェダ本人からベラベラと。
   おまえって本当に間が悪いよなー、盛り下がるから帰っていいよ」
トマ(出番終了)「ちょ、本人からってそんなバカなうわ離せ何を、出番終わりですか――――!?」
(バタン)

ニケ「じゃ、気を取り直して……行くぞジェダ! ウオオオオオオ!」
ジェダ「さあ来いニケ!」



――――ニケたちの勇気が世界を救うと信じて……



……と、いうことがありました。あらすじ終わり。



不思議です。
長かったはずなのに、色んなことがあったはずなのに、
それ以外が頭から抜け落ちてしまったみたいに、思い出せません。
この世界での私の歩みは、こんなに薄いものだったのかな?
ノート1ページに簡単に収まってしまうほどに、平坦なものだったのかな?
答えは出ません。何かが私の頭に硬い硬い蓋をして、大切なものを見せてくれません。
あるいは、柔らかすぎる掴みどころのない靄が、ほんとうのことを覆い隠しているのかもしれません。
とにかく、答えは出ません。
答えの出ないまま、曖昧な気持ちをずるずると引きずりながら、私は前を見ます。
たった今、私の視界の中で、あらすじの続きが展開され始めました。
ニケ君がいつもと変わらない軽快な足取りで、黒い外套を纏った蝙蝠みたいな男の人、
全ての元凶であるジェダに向かって行きます。
周りにあるのは、何百年もの時間の経過を感じさせる荒々しい石作りの壁、
そしてそれらをぼんやりと照らす、静かに揺らめくたくさんの蝋燭。
どこまでも無機的な空気の中、、私以外の2つの人影、エヴァちゃんとインデックスちゃんが、
ニケ君とジェダの様子を厳しい目つきで見守っています。
と、

「なのはあっ!」

石畳を蹴り進みながら、ニケ君が首だけで振り向いて私の名前を呼びました。

「俺が隙を作るから、トドメはおまえがさすんだぞ!」

他人事のように呆然と眺めていた私は、その言葉で現実に戻ってきました。
そうだった。私が……、正確には私が持っているミニ八卦炉が、
ジェダの弱点だって唐突に、しかもジェダ自身から告げられたばかりだったんだ。
途端に、不安になってきました。理由は分かりません。
自分にその役目をこなせるのか、失敗せずにできるのか……という不安とは、
また違うもののような気がしてなりません。
やっぱり違和感を解く鍵がぽっかりと抜け落ちている気がします。
空いた隙間と湧き出た不安を埋めるように、私は浅く肩を抱きました。
ニケ君はもう私のほうを向いていません、正面にジェダが近づいています。

「ふん、いかなマスタースパークと言えど、当たらなければな!
 おまえたちごときが私の動きを捉えることなど、永劫叶うまい!」
「はっ、それはどうかな?」

ニケ君の声には、ジェダを前にしても絶対に崩されない余裕の色が乗っています。
勝算がないと動かないのがニケ君です、当然のように秘策を用意していました。
自信満々にニケ君は跳び上がり、そして叫びます。

「『光魔法、カッコいいポーズ!』」

空中でポーズをとったニケ君に後光が差し……、いえ、違います、
ニケ君自体から広間の燭光を呆気なく呑み込み、塗りつぶすほどの眩い光が放たれました。

「む!? か、身体が動かんだと!?」

直後、ただでさえ悪い顔色を、更に悪化させたジェダの声が響きました。
光によって標本の虫みたいに射抜かれたジェダは、それまでの威厳が嘘みたいに声を震わせて狼狽しています。

「バカな、神体にまで影響を!? えぇい、動け、なぜ動かん!?」

と、そこへ高らかな笑い声が刺さります。

「ふはははー! どうだジェダ!
 この私が本気になれば、貴様ごときイチコロだ!」
「……エヴァ、自分も動けないのにカッコつけてもしょうがないかも……。
 ていうかエヴァは何もしていないよね?」
「ふん、私がニケに授けた策が功を奏しているのだ、つまりこれは私の力で何の問題もあるまい。
 だいたい、ニケに手柄を渡すのは癪に障るだろうが」

インデックスちゃんの指摘にエヴァちゃんが子供じみた屁理屈を返しています。
私もその光景を見てほんのちょっぴり和んでいましたが……。
次第に不安がぶり返し、ついにはこう思うようになりました。
おかしいな、って。
これが最後の戦いのはずなのに、みんなは暖かい部屋で団欒でもしているみたいにいつもどおりです。
緊張に縛られたり、恐怖に竦んでしまうよりはずっといいことだと思います。
けれど、どこか疎外感を感じてしまう自分がいるのも確かです。
身体の中から這い出てくる悪寒と戦い、堪えきれずに身を抱いているのは私だけ。
身が裂けそうな寒気にさらされているのは、私だけなんです。
どうしてこんなに温度差を感じるのだろう? 
何で、私はここにいるのに、いない気がするんだろう?

「……っく、待て、ここは一旦話し合おうではないか。
 貴族らしく! 文化人らしく! 優雅に茶でも啜りながら!!」
「ふん、この期におよんで命乞いか。無様なものだな。
 自ら冥王を名乗っておいてその体たらく、もはや情けをかける余地もない!
 ――――やれ、なのは! 奴を跡形もなく消し飛ばせ!」

鋭い声を受けて、私は追い立てられるようにミニ八卦炉を前に突き出しました。
これで、全てが終わるんだ。こんな島を抜け出して、みんな元の世界、元の日常に――

ドクン。

突然、口から飛び出すくらい、痛いほどに心臓が脈打ちました。
狭い肉体の殻を、中から壊して外に逃げ出したい、心臓がそう訴えてきたんです。
いつもの倍くらいの速さで脈が刻まれて、その更に倍以上の速さで、ミニ八卦炉を持った手がガタガタと震えています。
上下左右に細かく振動しているというのに、関節に鉄の棒でも通されたみたいに、
私の腕は動いてくれません。腕だけじゃありません、身体全体が動くことを拒否して、
ただただ心臓と血管だけが暴れるようにのた打ち回っていました。
身体が動かない理由は簡単です、理性が感情に負けたから。
そして、その感情の名前を私は知っています。多分……恐怖、だと思います。
誰に対して? 冥王ジェダ? 
……違う、と私はすぐに自問自答しました。
私が怖がっているのはきっと自分自身。そして何より、手に持ったミニ八卦炉、だったんだと思います。
理由は分かりません。考えれば、最初の違和感に立ち戻ります。
そこの鍵を開け、中に立ち入らない限り、全ての答えは見えないんです。
鍵はいつまで経っても見つかりません。
私は身を震わす以外、何もできませんでした。
みんなが「なのは」と心配そうに私の名前を叫んでも、どこから聞こえてくるのか、
それが自分に向けられたものなのか、どっちが前でどっちがが上で私はどこにいて何を――

「――行け、QB!」

金縛りの呪縛を緩和したのは、安らぎをくれる仲間の声ではありません。
命の危機を突きつけてくる、冥王の威令です。
反射的に天井を見上げると、数人くらい簡単に突き刺せるほどに大きく、鋭い針が降って来るのが見えました。
巨大な針に、おまけのように羽、胴体、手足、女の子の顔がついています。
見上げたまま、足が竦んだ私は瞳を揺らす以外に何もできません。

「高町なのはを殺し、ミニ八卦炉を奪うのだ!」
「なのはっ!?」

ブブブ、という五月蝿い羽音にみんなの声は掻き消されました。
ニケ君とエヴァちゃんは動けません。インデックスちゃんは足に力を入れ始めましたが間に合いません。
そしてやっぱり私の足は動きません。動くはずなのに、動きません。
恐怖が脚の自由を奪い、同時に恐怖から逃避するために、
私は堅く目を閉じ、耳を塞ごうとして――

「――テートリヒ・シュラアアアアアアクッ!!」

風に逆巻く大剣が、唸りを上げて弧を描き、私に迫っていた蜂を胴体から両断しました。
泣き別れになった上半身と下半身は地面に落ちて、両者は互いを求め合うようにビクンと数回跳ねたのを最後に、
二度と動くことはありませんでした。
助けてくれたのは誰? と、忽然の事態に私は置いていかれていました。
恐る恐る目を開けると、重そうな剣を携えた女の子がすぐそこに立っています。
私は知っています、大剣を振るったその女の子を。
私は知っています、可愛らしくも力強い、その声を。
私は知っています、赤い髪をお下げにしている、その後姿を。
私は知っています、小さくも立派な騎士、その子が誇りにしているその名前を。
だから、口にして、声に出して、確かめるように名前を呼びました。

「……ヴィータ、ちゃん……?」
「ボサッとしてんじゃねえ! 何考えてんだよなのは!?」

すぐに怒り顔を覗かせて、ヴィータちゃんの懐かしい叱声が飛んできました。
……懐かしい? 
変なの。そんなに長いあいだヴィータちゃんと会わなかったんだっけ?
まあ、いいよね。今、こうして目の前にいるんだから……。

「……なにジロジロ見てんだよ? おまえ何か変だぞ?」

気付かないうちに、ヴィータちゃんの顔をジッと見詰めてしまっていたみたいです。
私はハッとして謝ろうと思って……、結局、申し訳なさよりも嬉しさのほうが勝ってしまいました。
ついつい抑えようのない笑みが零れてしまいます。

「おい、なのはしっかりしろ! 頭でも打ったのか!?」

私の様子を本格的に不審に思ったのか、ヴィータちゃんの声色が深刻なものに変わりました。
ああ、本当に申し訳ないな……と思いつつも、私は素直な感情を打ち明けます。

「にゃはは、ごめんね。何だかヴィータちゃんに助けてもらったのが……とっても、嬉しくて……」
「……おまえ、何言ってんだ?」

ヴィータちゃんは大剣を地面に突き刺しました。
そのまま頬を指で撫でるように掻きつつ、気恥ずかしさに時折目を逸らしながらも、はっきりと言ってくれます。

「おまえの背中を守るのは、あたしの役目だろ?
 今までも、これからも。そして……」

揺らいでいた視線が結ばれて、真っ直ぐな声が心に届きます。

「遠い未来でも、な」

一瞬呆気にとられた私は、胸から湧き起こる感情に流されるように返事をしました。

「! ……うん、うんっ!」

私は首が折れるかというくらいに力強く、満面の笑みで頷きました。
そうしないと我慢できないくらい、溢れ出すほどの歓喜を、ヴィータちゃんの言葉から受け取ったからです。
わがままな私には、欲しいものがたくさんありました。
けれど、忘れっぽい私は実際に手に入れるまで、何が欲しいのかを思い出すことができません。
手に入れて、胸一杯に噛み締めるように行き渡らせてから、初めて私は気がつくんです。
ヴィータちゃんの言葉は私が欲しかったもの、間違いなくその中の一つだったんだなって。
欲しかったものは、まだまだたくさんあったんだと思います。
けれど、今はその言葉だけで充分です。もう、迷いはありません。
私を縛っていた見えない恐怖を吹き飛ばす、暖かくて力強い、勇気をくれる言葉をもらったから。
今なら、しっかりとミニ八卦炉を構えられます。
まずは目で標的を捉えて。
それから、揺ぎ無い砲口の先に、身じろぎ一つできないジェダの姿を据えて、宣言します。

「にっくきターゲットを狙い、放つは恋の魔砲!」

視線が、声が、砲口が。
全てが完璧な直線となってジェダを射抜き、焦点を合わせます。

「なのは、早く撃ってくれ! このポーズ疲れるんだよ!
「できるよ、なのは!」
「とっととあの胸糞悪い男を消せ!」
「……行けよ、なのは!」

周りからの声援が、包み込むように後押ししてくれます。
私の決意が伝わったのか、身の危険を感じたジェダが慌てて、

「待て、やめろ! 撃つな、撃ってはならん!」

汗をダラダラ流しながら、必死に懇願してきます。
惨めです。こんな人に私たちは弄ばれていたのかと思うと、もうこれっぽっちも容赦する気にはなれません。
自然と口から出たのは、抜けるように誇らしい、スペル宣言。
終わりを告げる、最後の魔法。

「恋符――――『マスタースパアアアアアアクッ!!』」

堤防が決壊したような光の奔流が放たれ、一直線にジェダに向かって押し寄せます。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!? 来るな、来るんではない!!
 いいのか、本当に私を撃ってもいいのか――――!?」

今さら遅いよ。四半秒もしないうちにあなたは



「――――――後悔するぞ」



え?


私は顔を上げてジェダのいた場所、今は白い光が我が物顔で蹂躙している場所を見やりました。
間もなくして光が消えて、同じようにジェダの姿も欠片も残らずに消滅していました。
私たちは勝った……んだと思います。けれど、どこか釈然としません。
ジェダの最期の言葉が鼓膜に張り付いて拭えないんです。
おかしいな。
後悔なんてするわけないのに。
私もみんなも、ジェダを倒してこの世界から抜け出すことを切望していたはずなのに。
何でジェダの最後の悪あがき、他愛のない戯言を、こんなにも気にしてしまうんだろう?

「やったな、なのは!」
「ふ、私の見込みどおりだったよ」
「これで全部終わったんだね!」

呆けた私に対して、みんなが笑顔で称賛の言葉をかけてくれます。
ほら、みんな喜んでいるよ。この笑顔に囲まれて、何で後悔する必要があるの?
私に燻っていた心懸かりは、そこであっさりと溶けていきました。
少しのあいだ談笑しあっていた私たちに、突然、地響きが襲い掛かります。
みんな一斉に振り返ると、ジェダの消滅した空間から、渦を巻いたオーロラのような穴が浮かび上がるのが見えたんです。
初めて見る異様な現象を前に、しかし私たちはそれが帰り道、ここを脱出する出口なのだと直感しました。

「俺は勇者だ、つまりナンバーワン!
 ゆえに帰るのも一番速ければならないのだあ~っ!」
「あ、待ってよニケ! 一人で先に行くなんてズルイかもっ!」

ニケ君が極光の靄に包まれていき、その後をインデックスちゃんとエヴァちゃんが追っていきます。
それだけで人足が途絶えることはありません。
どこかに隠れていたのか、生き残った数十人の子供たちが皆、我先にとばかりに早足で靄に向かって行きます。
寂然とした空間が一転、希望に満ち溢れた明るい喧騒に包まれました。
その光景を五感で感じながら、私は思い返します。
嫌なことは多かった。悲しいことも多かった……はずです。
どうやらここに来ても、私はまだ全てを思い出せていないみたいです。
けど、生き残った子たちの背中を見ていると、どこか感慨深いものがこみ上げてきて、
今だけは何も考えずに、素直に身を任せてしまうのもいいのかな、と思えました。
とは言え、いつまでも浸っているわけにはいきません。私もみんなに続こうと脚に力を入れました。
だけど、動きません。
変だな、と思いながら動かない脚に軽い気持ちで目を向けてみると、
白い三角形が脚から生えていました。
地面に縫い付けられているみたい。
そう思った直後、石床を割りながら無数の光が私の四肢胴体を貫き、
胸からは水袋を割るような音と一緒に人の手が生えてきました。
驚いた私は、何でもいいから言葉を口にしようとして、
だけど、声が出せません。
食道に何かが詰められたような圧迫感があり、吐き出すことのできない嘔吐感が駆け巡ります。
無理に言葉を押し出そうとしたら、代わりにゴボッという濁った音と一緒に血の塊が転がり出てきました。
手足が動きません。
粗末な操り人形みたいに、私は何本もの光に刺し貫かれています。
多分、光が消えても私は動けません。骨も神経も筋肉も腱も滅茶苦茶に断ち切られてしまったから。
今も身体の中でブチブチという音が鳴らされて、穴の空いたホースみたいにピューっと血が吹き出ています。
魔法が使えません。
私の胸から生えた手が、小さく光るビー玉みたいなリンカーコアを掴んでいます。
一瞬で赤黒くなった自分の惨状が見るに耐えなくなった私は、堪らず視線を外し前を見ました。
するとそこには二つの人影、温度の感じられない幽鬼のような影があったんです。
一つは明るい浅緑色のドレスを着た、片腕が途中で途切れた女の人。
もう一つは、濃紺の上着をラフに着込んだ、浅黒い肌の屈強な男の人。
二人とも顔だけが影に覆われていて、表情を窺うことはできません。
ふと、その二人の間に割って入るように、三つ目の人影が靴をこつこつと鳴らしながら密やかに現れました。
桃色の艶やかな長髪をポニーテイルにした、凛然とした立ち振る舞いの女の人です。
手に提げた片刃の長剣、豊かな胸部を冷たく覆い隠す銀色の胸当て。
動きやすさと防護のしやすさを兼ね備えたその格好は、
前に友達の家で一緒にやったゲーム、それに登場した西洋の女騎士の姿と重なります。

――あなたたちは誰?

私は喋れない口の代わりに、ありったけの疑問を乗せた瞳を彼女たちに向けます。
相変わらずその表情は見えません。でも、マネキンみたいに全く感情がないわけでもないみたいです。
私の瞳を暗闇から覗き込んだ彼女たちに、揺らぎのようなものを感じ、私は安堵のようなものを得ました。
揺らぐものがあるなら、それは心があるということです。
これならきっと、私の拘束を解いてくれて、お話をすることもできると思います。
大丈夫です、心があるならきっと想いは通じるはずだから。
だから私は目一杯の力を振り絞って、一片の不安も与えないように、
そして、穏やかにお話を始めるために、ニコッと微笑みました。
私は頑張れました。身体のどこが切れて、どこが繋がっているのか全然分からないくらい、
痛みの激流が体内で暴れまわっています。それでも、いつもどおりにちゃんと笑うことができたんです。満点です。
すると、眼前に立っていた女騎士さんの腕が見えなくなって――
赤い飛沫が、飛び散りました。
同時に私の身体に浮遊感が湧き起こり、私はそのままべちゃっ、と地面にうつ伏せに倒れこみます。
痛いです。肋骨が数本、ゴトッという音を立てて身体の中でずれた気がします。
うつ伏せに倒れて良かった。仰向けに倒れていたら、引きずり出されて潰れかけた臓腑や、
はみ出した肉や脂肪が目に留まって、恐怖で失神してしまっていたかもしれません。
痛覚の性質が違うせいか、今回は見えなくても自分の身体がどうなっているのかの見当がつきました。
お腹のあたりが焼けるように熱いのに、外気にさらされたり石床と接触している部分を伝わったりして、
身体の中から冷たくなっていくのを感じるんです。
多分、私はさっきの女騎士さんに袈裟斬りにされたんだと思います。
それと同時に、私を刺し縛っていた光、操り人形の糸も切り裂かれていました。
糸の切れた人形の末路は決まっています。
支えを失い、自力で立つこともできなかった私は、為すすべなく地面に叩きつけられたんです。

「何を笑っている……っ、高町、なのはあッ!」

声が聴こえます。私はこの声を聴いたことがあります。何だか不思議です。

「貴様が、貴様のせいで、貴様さえいなければ――ッ!!」

何で怒っているの? ごめんなさい、わからないよ。

「主はやてがッ! 死ぬことはなかったのだッ!!」

……はや、て? 誰?

早手? 颯? 疾風? ハヤテ? はやて? ――八神、はやて?


ドクン。
抉れた身体の隙間から、零れ落ちそうなほど強く、心臓が跳ねました。
私は必死になり、伏せていた顔を弾かれたように上げてみましたが、そこにはもう誰もいません。
蜃気楼みたいに消えて……、いえ、違います。本当に消えちゃったんです。
さっきまで近くにいたはずの、ヴィータちゃんもいなくなっていました。
……やっと私は全部思い出せました。
フェイトちゃんが死んじゃったことも。
アリサちゃんの心に深い傷をつけてしまったことも。
はやてちゃんを……私自身の手で殺してしまったことも。
ヴィータちゃんもきっと、はやてちゃんと一緒に消えてしまったということも。
全部、思い出せました。
思い出したら最後、地に倒れた私はもう決して動こうとはしませんでした。
今なら、なぜ記憶が閉ざされていたのかがよく分かります――


   *   *   *


「ねえ、これがいい夢なの?」

(あなたは、どっちだと思う?)

「質問を質問で返すのはずるいよ」

(そう? あなたが悪い夢だと思っているなら、はっきりとそう言えばいいだけだよ)

「それは…………………………」

(答えられない? なら、本当の答えは解かっているんじゃないかな?)

「…………うん」

(言ってみて。答え合わせはしてあげるから)

「分かったよ。…………これは多分……いい夢、なんだよね……」

(どうして?)

「ジェダを倒して、生き残った子が元の世界に帰れたから。
 最初の放送のあと、一人の犠牲も出さないで」

(正解。そして、この夢はあなたが望んだものだっていうことも――)

「分かってるよ……」

(さすがに物分りがいいね。そうだよ、あなたは夢の世界にいても、
 現実の世界、現状の中で最もいい結果を無意識のうちに求めていたの。
 ありもしない幻想にも、掴みとれない願いにも決して縋ろうとはしなかった。
 夢の中でなら、みんなが生きている世界、海鳴市で見てきた日常と同じものを見ることだってできたのに、
 あなたはそうしなかった。
 ただひたすら、今この島にいる自分が掴める、現実的な未来の中で、
 最もいいものを選んでシミュレートしていたんだよ。
 友達が死んだという現状を覆すことなく、そこから更に突き進んで、
 努力に努力を重ねて、全てがうまくいった結果が今の夢なの)

「全部うまくいったとしても、私は最後にこうなるの?」

(答えが欲しい?)

「…………いいよ。試しに訊いてみただけだから」

(そう。……ねえ、もういい? 早くこの夢の幕引きに戻ろうよ)

「うん……そう、だね……」


   *   *   *


最後の一人が、靄を潜ったみたいです。
今ごろ生き残った人たちは、家族や友達、
大切な人たちとの再会に涙を流しながら喜んでいるんだと思います。
失った命の重さに気付いていながらも、きっと今だけは笑っているでしょう。
そうであって欲しいと、私は願います。

静かです。
さっきまで広間を満たしていた騒がしい歓喜は、嘘みたいに消えました。
まるでお祭りの後みたいな寂寞感がゆっくりと湧き出てきます。
提灯みたいに揺らめくたくさんの蝋燭。
それに囲まれた、広間の中央に居座るオーロラみたいな靄は、
役目を終えたお神輿みたいに静粛に佇んでいます。
ぼんやりと眺めていると、やがて靄が小さく、薄くなり始めました。
あれが消えたら、私はもう元の世界には帰れません。
家族にも友達にも会えません。翠家に帰ることもできません。
それでも私はピクリとも動きませんでした。
全身がぐちゃぐちゃになっているから、ではありません。
頑張れば身体のどこかが動ける、まだ動かせる部分が残っているはずなのに、
私は最初から、出口へと手足を伸ばすという選択肢を捨てていたんです。
生きている神経にも死んでいる神経にも、「動け」という命令が伝わることは、微塵もありませんでした。
これでいいんです。
私は元の世界に帰れないから、帰っちゃいけないから。
ただ、みんなの笑顔、一人でも多くの笑顔が守れれば、それで充分なんです。
それさえあれば、私は前を向いて歩いていけます。
帰る場所がなくても、前だけを見続けて笑うことができるんです。

綿菓子みたいに小さな靄が、ついに空気に溶けて消えました。
同時に、広間にあった蝋燭の火も全て消えて、何も見えなくなりました。
冷たかったはずの石畳の温度は、いつの間にか血まみれの私の体温と同じ温度になっていました。
祭りが終わります。夢も終わります。


   *   *   *


夢を見ていました。
夢の中の私は、その役目を終えて静かな眠りにつこうとしています。
暖かなベッドはそこにはありません。見守ってくれる人は誰もいません。
たった一人で、ひっそりと。
身も凍るような酷薄な世界に、その命を埋めようとしています。
胸に抱くのは、もう帰れない日常への憧憬。
そして、他の人を救うことができたという、僅かばかりの達成感。
それ以外には本当に何も残っていない、抜け殻みたいな様相でした。
そのボロボロになった心と身体の中で、不思議なことに唯一、顔だけはたった一つの傷も付いていません。
ばかりか、その顔には見るものに安らぎを与える、朗らかな笑みが浮かべられていたんです。
とても幸せそうな微笑です。夢の中の私も夢を見ているのかもしれません。
目覚めることがあったらどんな夢だったのか尋ねてみたいです。
……けど、訊かなくても結果は分かりますね。きっと私はこう言うに違いありません。


――――とっても、いい夢でした。



【A-3/工場内部(仮眠室)/1日目/夜】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力枯渇寸前、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、
    孤独感、全てに対する絶望、理性と狂気? 睡眠中
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら
[道具]: なし
[思考]:――――
第一行動方針:睡眠と休息を取る
基本行動方針:ジェダを倒して生き残りで脱出?

備考:胡蝶夢丸を服用しました。効果は持続していると思われます。
  次の夢の内容は次以降の書き手さんにお任せします
  エーテライトで両手両足を拘束されています。
※なのはのベッドにはイヴの書いた置手紙が置いてあります。
今の状態で起きても、手紙の内容は把握できる位置にあります。



≪195:刀銀十字路(前編) 時系列順に読む 197:夜の帳と跳ぶ為の言葉ならびにキャーッ!名無しさんのエッチ!≫
≪195:刀銀十字路(前編) 投下順に読む 197:夜の帳と跳ぶ為の言葉ならびにキャーッ!名無しさんのエッチ!≫
≪193:カモフラージュ なのはの登場SSを読む 201:星は届かぬ空から堕ちる -Artificial magician-≫

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