「とある紅世の天罰狂い」 ◆Nxwpg0XSAk
「グノーシズムか何か分からないけど、許せないよこんなこと!!」
薄暗い森の中で修道服を着た少女は怒っていた。
このように非道な魔術の儀式をするような存在を許してやるつもりなどなかった。
彼女の記憶にある10万3000冊の中にはこの状況に当てはまる術式の数々が存在していた。
そのため、この儀式を潰すための最良の手を豊富な知識から求めていた。
(『蠱毒』?『強制進化』? 駄目、類似ケースが多すぎて分かんないよう)
だが、逆に多すぎてインデックスはどのような手を打てば儀式を阻害できるかは分からなかった。
(多すぎて分からない以上は何かヒントを探さなきゃ)
とにかく情報を集めるためにも行動すべきだと考え、移動するためにランドセルを肩に背負おうとする。
だが、彼女は忘れるべきではなかった。自らに生じた異変を。取り上げられてしまった凶器の存在を。
そんな彼女の体を一陣の風が通り抜け、白い穴だらけの修道服がどこかに飛んでいった。
だが、彼女の体は傷一つついてはいなかった。
かつては高い防御力を誇る霊装『歩く教会』と呼ばれた修道服は『幻想殺し』と呼ばれる、異能であれば
神様の奇跡ですらも打ち消せる右手に魔術的効果を破壊されてしまったために数十本安全ピンで服の形を留めていた。
だが、ピンが武装と見なされ全て取り上げられたために服を留めるものが失われていた。
「待てーーーーー!!」
彼女はそう言いつつ、同居人の貧乏性が移ったのかランドセルを持ったまま服を追いかけるが、
「あっ!!」
不幸にも飛ばされたのが海の方角であり、さらに不幸なことにそこは崖であったために空も飛べなければ
魔術も使えないインデックスではそれ以上追いかけることは不可能であった。
「うう……一張羅だったのに」
そこには自分の服が遠くの方に飛ばされていくのを眺めている、白いフードとパンツとランドセルで武装した
落ち込んでいる元白シスターだけが残された。しょうがないので何か役立つものを思いランドセルの中を探っていると
何か布の様な物を掴んだ。インデックスの表情に笑みがこぼれる。
「天にまします我らが神よ、あなたの子羊にどうかとうまのような不幸を与えませんように。エイメ~ン」
そんなことを呟きつつ彼女が取り出した物は服だった。ただし、服の形をした液体という表現が正しかったが。
「ふむ、ふむ、なるほど。ブルーのウンディーネで構成された糸を使って作られたドレスだね。
さらに匠の業によって計算され尽くして縫われたから、相性の問題もあるけど防御力は『魔女狩りの王』
でもヘッチャラかな、物理防御力もそこそこあるし。うん、いい仕事してるね」
そう批評しつつ魔道図書館としての脳に切り替えるが、
「って、これじゃあスケスケだよ!!」
すぐにお年頃の少女の脳に戻った。とはいえ、これを着るしかないのでおとなしく水の羽衣を纏いつつも
次の道具を取り出すべく、めんどくさいので当りにぶちまける。
ぼとぼとぼとぼと、と音を立てながらランドセルの中から放り出された物を眺めながら支給品を手にとっていく。
地図と名簿はざっと眺めてからすぐに一纏めになった説明書や武器以外の支給品と共に鞄の中に戻した。
どちらも完全記憶能力という一目みただけでどのようなゴミ記憶ですら覚えられる彼女にとっては、
これ以上見る必要もなかった。
上条当麻や風斬氷華などといった知り合いの名前が載っていなかったことに安堵と寂しさを覚えつつも
次の道具を手に取る。それは刀であった。苦労しつつも何とか鞘から抜いてみると、それは刃と峰が逆になっていた。
それを見た彼女の頭に疑問が浮かぶ。
「どういう理屈?」
そう言いながらランドセルを眺める。刀の詳しい造型など分からない彼女にとって、刀は魔術的な要素が
使われていないということしか理解できなかったため、自然と質量保存の法則を無視するランドセルに疑問を持った。
「まあいっか」
とはいえ、現在は科学の世界で暮らす彼女にとっては魔術が使われていない不思議な道具は
『科学が魔術に匹敵したもの』という程度の理解しか示さなかった。そうして行動しようとしたとき、
ふと違和感を覚えた。違和感の元となる服の内側に手を入れてみると、そこには何かが引っ掛ってあった。
「?…何かな?」
彼女が取り出してみると意匠の凝らした紅い宝石の付いたペンダントであった。ただし、魔力の様な物を帯びた。
「……遠距離連絡用の霊装…かな?」
「ふむ。見たところ唯の人間であるようだが、なかなか良さそうな目をしているようだな」
(繋がってる!?)
インデックスはいきなり遠雷の響くような声で喋りだしたペンダントに警戒しつつも、言葉を紡ぐことにする。
「あなた誰?」
「人に名を尋ねるときはまず自分から名乗るものであろう」
元々、本名を記憶から消し去っている彼女は呪いなど恐れないため名乗ることにする。
「…インデックス」
「我が名はアラストールという。お前を只者でない見込んで聞くが、我が契約者、名は平井ゆかりというのだが知らぬか?
いきなり暗闇に包まれたと思ったら、あれと逸れてしまったようだ」
とりあえず、名簿に乗っていない名を名乗られたことを不審に思いつつも自分も人のことは言えないし、
これは他の参加者の情報を知るチャンスかもしれない、とインデックスは考えた。
薄暗い森の中で修道服を着た少女は怒っていた。
このように非道な魔術の儀式をするような存在を許してやるつもりなどなかった。
彼女の記憶にある10万3000冊の中にはこの状況に当てはまる術式の数々が存在していた。
そのため、この儀式を潰すための最良の手を豊富な知識から求めていた。
(『蠱毒』?『強制進化』? 駄目、類似ケースが多すぎて分かんないよう)
だが、逆に多すぎてインデックスはどのような手を打てば儀式を阻害できるかは分からなかった。
(多すぎて分からない以上は何かヒントを探さなきゃ)
とにかく情報を集めるためにも行動すべきだと考え、移動するためにランドセルを肩に背負おうとする。
だが、彼女は忘れるべきではなかった。自らに生じた異変を。取り上げられてしまった凶器の存在を。
そんな彼女の体を一陣の風が通り抜け、白い穴だらけの修道服がどこかに飛んでいった。
だが、彼女の体は傷一つついてはいなかった。
かつては高い防御力を誇る霊装『歩く教会』と呼ばれた修道服は『幻想殺し』と呼ばれる、異能であれば
神様の奇跡ですらも打ち消せる右手に魔術的効果を破壊されてしまったために数十本安全ピンで服の形を留めていた。
だが、ピンが武装と見なされ全て取り上げられたために服を留めるものが失われていた。
「待てーーーーー!!」
彼女はそう言いつつ、同居人の貧乏性が移ったのかランドセルを持ったまま服を追いかけるが、
「あっ!!」
不幸にも飛ばされたのが海の方角であり、さらに不幸なことにそこは崖であったために空も飛べなければ
魔術も使えないインデックスではそれ以上追いかけることは不可能であった。
「うう……一張羅だったのに」
そこには自分の服が遠くの方に飛ばされていくのを眺めている、白いフードとパンツとランドセルで武装した
落ち込んでいる元白シスターだけが残された。しょうがないので何か役立つものを思いランドセルの中を探っていると
何か布の様な物を掴んだ。インデックスの表情に笑みがこぼれる。
「天にまします我らが神よ、あなたの子羊にどうかとうまのような不幸を与えませんように。エイメ~ン」
そんなことを呟きつつ彼女が取り出した物は服だった。ただし、服の形をした液体という表現が正しかったが。
「ふむ、ふむ、なるほど。ブルーのウンディーネで構成された糸を使って作られたドレスだね。
さらに匠の業によって計算され尽くして縫われたから、相性の問題もあるけど防御力は『魔女狩りの王』
でもヘッチャラかな、物理防御力もそこそこあるし。うん、いい仕事してるね」
そう批評しつつ魔道図書館としての脳に切り替えるが、
「って、これじゃあスケスケだよ!!」
すぐにお年頃の少女の脳に戻った。とはいえ、これを着るしかないのでおとなしく水の羽衣を纏いつつも
次の道具を取り出すべく、めんどくさいので当りにぶちまける。
ぼとぼとぼとぼと、と音を立てながらランドセルの中から放り出された物を眺めながら支給品を手にとっていく。
地図と名簿はざっと眺めてからすぐに一纏めになった説明書や武器以外の支給品と共に鞄の中に戻した。
どちらも完全記憶能力という一目みただけでどのようなゴミ記憶ですら覚えられる彼女にとっては、
これ以上見る必要もなかった。
上条当麻や風斬氷華などといった知り合いの名前が載っていなかったことに安堵と寂しさを覚えつつも
次の道具を手に取る。それは刀であった。苦労しつつも何とか鞘から抜いてみると、それは刃と峰が逆になっていた。
それを見た彼女の頭に疑問が浮かぶ。
「どういう理屈?」
そう言いながらランドセルを眺める。刀の詳しい造型など分からない彼女にとって、刀は魔術的な要素が
使われていないということしか理解できなかったため、自然と質量保存の法則を無視するランドセルに疑問を持った。
「まあいっか」
とはいえ、現在は科学の世界で暮らす彼女にとっては魔術が使われていない不思議な道具は
『科学が魔術に匹敵したもの』という程度の理解しか示さなかった。そうして行動しようとしたとき、
ふと違和感を覚えた。違和感の元となる服の内側に手を入れてみると、そこには何かが引っ掛ってあった。
「?…何かな?」
彼女が取り出してみると意匠の凝らした紅い宝石の付いたペンダントであった。ただし、魔力の様な物を帯びた。
「……遠距離連絡用の霊装…かな?」
「ふむ。見たところ唯の人間であるようだが、なかなか良さそうな目をしているようだな」
(繋がってる!?)
インデックスはいきなり遠雷の響くような声で喋りだしたペンダントに警戒しつつも、言葉を紡ぐことにする。
「あなた誰?」
「人に名を尋ねるときはまず自分から名乗るものであろう」
元々、本名を記憶から消し去っている彼女は呪いなど恐れないため名乗ることにする。
「…インデックス」
「我が名はアラストールという。お前を只者でない見込んで聞くが、我が契約者、名は平井ゆかりというのだが知らぬか?
いきなり暗闇に包まれたと思ったら、あれと逸れてしまったようだ」
とりあえず、名簿に乗っていない名を名乗られたことを不審に思いつつも自分も人のことは言えないし、
これは他の参加者の情報を知るチャンスかもしれない、とインデックスは考えた。
【A-4/森のある海に面した崖/1日目/朝】
【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストⅤ、逆刃刀・真打@るろうに剣心、コキュートス@灼眼のシャナ
[道具]:荷物一式
[思考]
1、アラストールと情報交換
2、バトルロワイヤルを止める
[備考]:主催者の目的を最後の一人か、この状況を何らかの魔術儀式に使うと考えています。
白い修道服はどこかに飛ばされてしまいました。
【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:健康
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストⅤ、逆刃刀・真打@るろうに剣心、コキュートス@灼眼のシャナ
[道具]:荷物一式
[思考]
1、アラストールと情報交換
2、バトルロワイヤルを止める
[備考]:主催者の目的を最後の一人か、この状況を何らかの魔術儀式に使うと考えています。
白い修道服はどこかに飛ばされてしまいました。
アイテム解説
【水の羽衣@ドラゴンクエストⅤ】
高い守備力とメラ ギラ系呪文や火炎に対する耐性を持ち、魔法使い系キャラクター用の強力な防具である。
なお鉄のよろいの防御力を25とした場合、水の羽衣は55。
水で出来たドレスで見た目はスケスケ。
高い守備力とメラ ギラ系呪文や火炎に対する耐性を持ち、魔法使い系キャラクター用の強力な防具である。
なお鉄のよろいの防御力を25とした場合、水の羽衣は55。
水で出来たドレスで見た目はスケスケ。
【逆刃刀・真打@るろうに剣心】
剣心が使う峰と刃が反対になった刀。真打であり名刀なので通常の刀よりは頑丈。
剣心が使う峰と刃が反対になった刀。真打であり名刀なので通常の刀よりは頑丈。
【コキュートス@灼眼のシャナ】
シャナの体内にあるアラストールと交信するためのペンダント型の神器。かなり頑丈。
シャナの体内にあるアラストールと交信するためのペンダント型の神器。かなり頑丈。
≪002:よつばとちよ | 時系列順に読む | 004:油断一秒重傷に≫ |
≪002:よつばとちよ | 投下順に読む | 004:油断一秒重傷に≫ |
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