436 アルト×シェリル 2008/09/24(水) 00:04:27 ID:C+zFZQX2
〉414の者です
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額、目尻、唇へとあきるほどのキスを注いでくれるアルトに、シェリルはなされるがままになっていた。
泣いて強張っていた体の力はすっかり抜け、リラックスした状態でアルトの腕の中に納まっている。
泣いて強張っていた体の力はすっかり抜け、リラックスした状態でアルトの腕の中に納まっている。
「私にはもう、歌手として生きるしかないのよね」
ステージ上ではあれほどに力強いソプラノが、哀しげに弱く言葉を紡ぐ。
ステージ上ではあれほどに力強いソプラノが、哀しげに弱く言葉を紡ぐ。
「だから、俺が居てやるって言ってるだろ?」
その姿が痛ましく、アルトは安心させてやりたい一心で歯の浮くような台詞を囁いた。
その姿が痛ましく、アルトは安心させてやりたい一心で歯の浮くような台詞を囁いた。
しかし、シェリルは首を横に振る。
「例えば、アルトをどれだけ愛しても、子供だって授かれない。
女として一人前に生きることはもう、できないの」
女として一人前に生きることはもう、できないの」
孤児にとって、家庭というものがどれだけ憧れだったことか。
いつか子供に沢山歌を教えてやることが、夢だったのに。
いつか子供に沢山歌を教えてやることが、夢だったのに。
「ふざけんなよ」
アルトの抱きしめる力が、ぐっと強くなる。
アルトの抱きしめる力が、ぐっと強くなる。
「一人の女として、ずっと愛してやる」
さっきまでの触れるようなキスとは違う、深いそれ。
決して巧いとはいえないような、それでも必死な、少年らしいものだ。
さっきまでの触れるようなキスとは違う、深いそれ。
決して巧いとはいえないような、それでも必死な、少年らしいものだ。
「そんなこと言って、後から後悔しても知らないんだからね?」
「シェリル・ノームは、俺なんかを後悔させるような女じゃないだろ?」
「シェリル・ノームは、俺なんかを後悔させるような女じゃないだろ?」
アルトが空を目指さずにはいられないように、シェリルが歌わずにいられないように、
もう二人は、二人を求めずにはいられないのだった。
もう二人は、二人を求めずにはいられないのだった。
END