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madromanticist

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だれでも歓迎! 編集
――ふたりの転機はいつのことでしたか。
――私が思うにAD2014の、あの日。
――希望崎に掛かる橋の上で、物語は動き出した。


  • ダンゲロス流血少女 -Girls and Blood- より



『超えられない壁』


時は少し遡り、希望崎学園――

その日、純情派優等生触手こと姦崎姦は、本日の授業を全て休むことを学園に伝え、帰路についていた。
和姦派でありながら触手の運命からつい女性をレイプしてしまう姦は、まれに一日の休みを取ることがあった。
常日頃、うっかりレイプをしてしまわないよう意識している姦であったが、いかんせんビッチとレイパーが蔓延る希望崎では気が緩みがちになってしまう。
だから、己の中のレイプ衝動が余りに高まってしまったとき、こうして学園から一旦離れることで緊張感を取り戻すのだ。
いわゆる休姦日である。

正門を出て、希望崎大橋に差し掛かったとき、姦は、橋の中ほどに佇む和装の女の子に気付いた。
袖の短い着物に女袴を履いたその女の子は、学園の校舎の方を窺ったり、かと思うとなにやら独り言を呟いたり、なにやら困り気味の様子であった。

既に正門は出て気も引き締まっているし、距離を取って声をかけるくらいならうっかり手がすべる(レイプする)こともないだろう――姦はそう考え、女の子に声をかけることにした。
困っている人を見かけたら放っておけない、姦は心根の優しい触手であった。

「どうしました?」

――突然の呼びかけに少し驚いたように姦の方を向いた女の子は、少し小首をかしげた後、姦のかけている眼鏡を見て合点がいったように笑顔になって言葉を返した。

「えーと、眼鏡をかけてらっしゃる触手さんということは、確か、姦崎……姦崎れ……姦崎さんですね」
「あ、僕の名前は女が三つで『れいぷ』と読みます」
「す、すみません……知っています……けど……その……」
「あ……ご、ごめんなさい……」

希望崎で日々を過ごしていると自分の名前が自己紹介の時点で高いハードルであることを忘れがちになってしまう。注意しなければと心に誓う姦。
微妙に気まずい沈黙の後、なんとか話をつないでみたところ、どうやら和装の女の子は希望崎の学生であり、今は持病の療養の為に休学中なのだという。
しかし、学園のことが気にかかり、正門の近くまでついやってきてしまったが、学園に入るのは危険だからと家の人から止められているため、これ以上進むわけにもいかない。
だからといって、このまま帰るのはあまりに寂しいから近くを散歩でもして気晴らしをしようかと考えたが、この辺りに引っ越してきて日が浅いため、どこに行けばよいのか悩んでいた――とのことである。

「元気なときは気の向くままに歩くんですけどね」

そういって寂しそうに笑う女の子を見て、姦は思わず自分が街の案内を申し出ようかと、一歩、踏み出した。
……が、はっとそこで思いとどまる。

自分がどんなに純愛を夢見ようと、和姦を望もうと、結局は触手である。
目の前の女の子をどんなに励ましたいと望んだところで、自分にできることはレイプ一択なのだ。
僕の名前の読みだけで頬を赤らめるような女の子の力になることはできやしない。
姦はそう自答し、踏みとどまった。

女の子は姦の挙動から、目の前の触手が自分を励まそうとして悩んでいることを感じ取ったのか、先程よりも明るい笑顔で姦の方へ歩み寄り、お礼を述べた。

「お気遣いありがとうございます、姦崎さん」

その笑顔を見た瞬間、姦は「まずい!」と直感した。
うかつにも女の子と近づきすぎたのだ。
もはや、手をすべらせれば触手が何処にでも届く距離である。
そして女の子と二人きりというシチュエーション、その上、近距離での笑顔だ。
触手を前にしてそんなことをしたらどうなるか、姦ならずともその帰結はわかりきっている。

「僕から離れて!!……って、あれ?」

なんとか手がすべる前に女の子から距離を取ろうとした姦であったが、そこで異常事態に気付いた。
いつもならすでに色々なところに入ってしまっているであろう己の触手が、全く反応しないのである。

「どうしました?」

不思議そうにこちらを窺う女の子に対し、何とか言葉を濁し、自分が女の子に近づくといつも挙動不審になることを告げる姦。
それを聞き「ああもしかすると」と、何か思い当たる節がある様子の女の子。

「多分この着物のせいですよ」

なんでも女の子の着物には所有者を護る能力があり、その能力とは、所有者が現在居る場所を、所有者の住居内だと世界に認識させるものなのだという。
大抵の魔人能力は射程が重要であるため、超遠距離能力でない限り、着物の中の女の子には魔人能力が届かないというわけだ。
「身代わりになった着物は大抵ダメになっちゃいますけどね」と女の子は付け足して着物の能力説明を終えた。
それを聞き、なるほどと納得する姦。
いくら触手といえど、その場にいない女の子をレイプすることは……まあよっぽどのことがないかぎりない。

「ですから、何か自動発動するような能力をお持ちでも、一緒に私の家へ上がらない限り大丈夫ですよ」

女の子の言葉を聞くうちに、姦の中に強く芽生える感情があった。
もしかしたら、この子となら――
長年の夢であった、手を繋ぎたくても繋げないような、そんな純愛ができるかもしれない。
女の子の家へ挨拶に行くときがゴールだなんて……正に正統派であり王道の恋の道じゃないか。
姦はありったけの勇気を振り絞り、己の触手としての運命を変えるための一言を吐き出した。

「この辺りのことがわからないなら、僕が案内しましょうか?」
「え?そんなご面倒をお掛けするわけには」
「いや、僕も今日は一日暇だったから、散歩でもしようと思っていたんです」
「……それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」

よし!僕はやるぞ!
姦は己の目指す夢に向けて、力強く一歩を踏み出した。

「あ、私、名前は夢追中と申します」
「あ、僕は姦崎姦といいます」
「し……知っています……」
「ご……ごめんなさい……」

目指すは遥かなる高み、人と触手との和姦――


――――――


時は流れ、妃芽薗学園――

夢追は姦との一日を思い出していた。

(触手さんとだって話し合って、仲良くなってわかりあえたんです)
(だから、今回だって、話し合えば仲良くなれるしわかりあえるはずなんです)
(お世話になっている番長グループの重職に就く方ですし)
(あの人(?)にも、面と向かって取材を申し込まないと)
(あの人(?)にも、ちゃんと面と向かって取材をしないと)
(ちゃんと取材を……)





「モザイクさーん!!モザイクさーん!!
申し訳ないですが、ちょっと私がこの人(?)に取材している間、
私とこの人(?)との間で待機しててもらえませんかー!!?」

――ごめんなさい!ごめんなさいっ!!

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