魔人と姫勇者 下

(投稿者:マーク)

1944/8/16 23時35分

この日リューマは柄にもなく緊張していた

一週間前のプロポーズ、自分が言った期限は明日、冷静を装ってはいたが内心では心臓が爆発するかと思っていた

「おれらしくねえな・・・・・」
そう自嘲気味につぶやくと楼蘭酒をあおる、素体の人間も酒に強かったのかメールとなった今では普通の酒ではまず酔う事はない
そんな風にバーで三本目の楼蘭酒をあおっているとそこに荒々しく複数の男達が押し入ってきた、全員が銃を真っ直ぐリューマに向けて構えている

「あん? 誰だお前ら」
リューマは慌てることもなく酒を飲み終えるとソファにどっかりと座った体制で聞く

「楼蘭所属の龍馬・・・貴様は特定メードとして処分が決まった、貴様のコアは我らが”正しく”利用しておこう」
敵が一人であることに安心しているのかその一人の兵士は安心しているのか笑みを浮かべながら言う

「はっ 一国も堕とせずにいまやほぼ壊滅状態の”ファンクラブ”に何ができる?」
リューマは懐から取り出した水筒から再び酒をあおろうとするがその水筒が突然はじけ酒がリューマにかかる

「口に気をつけろ・・・・今、貴様の命を握っているのは我々だということを忘れるな」
先ほどとは打って変わって怒りに打ち震えたその男は言う

「今、この町はほとんど我らが掌握した貴様は逃げ出すことも不可能だ」
と言いかけた時、不意にリューマは笑い出した 

「こいつぁ笑えるな!! メディシスがいない時を狙ったんだろうが、同じ方法でベーエルデーに返り討ちにあったのはどこのどいつだったかな?」

二週間ほど前、空戦メード部隊ルフトバッフェを擁するベーエルデー連邦に対し黒旗が乗っ取りを目的とした大規模なテロ攻撃を開始した
ベーエルデーは彼らが忌み嫌う亜人や空戦メードを多数擁しており黒旗にとっては目の上のたんこぶであったのだろう、

黒、赤、白の部隊が出払っているところを襲撃したまでは良かった、不運であったのは彼らがベーエルデーの”本当の恐ろしさ”を知らなかったことだろうか
結局2人のメードに加え普通の人間である司令官代行、鳳凰院鶯妃とその師匠なる者の計四人に部隊はあっけなく壊滅させられたという醜態をさらした

爆笑するリューマに男は青筋を立て銃口を向ける

「・・・・死ね!!」
だが銃は発射されることはなかった、

「あー あとよ 俺はな・・・・・」



















「酒飲んでるときにそれを邪魔されるのが一番嫌いなんだ」



















リューマはテーブルに転がっていた酒瓶を手に取り思い切り男の顔面に叩き込んだ


「ふぎっ・・・」
コアエネルギーを流し込まれた酒瓶はその瞬間に鋼鉄並みの硬度をもつ棍棒と化し吸い込まれるように男の顔面を粉砕し陥没させた


「た、隊長」「てめぇ!!」
他の隊員が激昂し銃を乱射する、リューマは走りながらそれをかわしてゆく
そして腰の銃 一撃の威力に優れたカストルを抜くと正確に頭を打ち抜いてゆく

「ふぅ・・・」
銃声がやんだバーには物言わぬ肉塊が転がった

「・・・・やべえな・・・・・」
バーの二階から外を見てみると店の前には黒旗の兵士達が銃を構えてあたりを警戒している、どうやらさきほどの乱闘は聞こえていないようだ
遠くからは煙が上がっていることからフロレンツの守備隊とも戦闘が始まっているのだろう

「とにかく広場にいくか」
そう言うとリューマは窓から下に飛び降り、そこにいた兵士に襲い掛かった




同時刻 フロレンツホテル 


「はあ・・・・」
ローラは本日何度目ともわからないため息をつく

(この数日間のを全ての回数を合わせたら一生分ぐらいになるんじゃないかしら)
そんな風に考えながらホテルの外にでる

「!!」

その瞬間殺気を感じとっさに横に飛ぶ、とさっきまで立っていた場所に深々と二本の楼蘭刀が刺さる

「へー やっぱり私の目に狂いはなかったね」
その声がするほうに目を向ければ奇妙な仮面をつけた女が刀を構え現われた 後ろには銃をもった兵士がたっている

「あんたに恨みはないけどさ・・・・・・消えてもらうよ」
そういった瞬間人間ではありえないスピードでローラに近づく

「くっ」
とっさに後ろに下がって攻撃をかわすが浴衣の袖がばっさりと切られる
(こいつ・・・・ヤバイ・・・)

デュランダルを抜き、斬りつけるが大振りゆえに簡単に受け流される拳銃を撃っても簡単にかわされる。
さらには遠隔操作された刀が彼女に向かっていきそれをさばくのに精一杯で防戦一方であった

(仕方ない・・・・”アレ”を使うしか・・・でもココじゃあダメだ、もっと広いとこじゃないと)

ローラは一気に跳躍すると広場のほうまで走り始めた

「・・・・逃げる気か・・・興ざめだが・・・命令だし高級鳥肉がかかってるんでね」
そう言うとローラを追いかける

ローラは広場に辿りつくと振り返り追跡者を待ち構える

「どうせ追いつかれるぐらいなら逃げるなよ・・・・」

「逃げる?あたしは奥の手を披露するだけっスよ」
そういうとローラはデュランダルを構えつぶやく
「・・・・デュランダル、”烈火”開放」

その瞬間デュランダルの刃が赤みを帯び突如激しく燃え始めた

(ふん 剣燃やしたぐらい珍しくもない)
今回の相手もハズレだったかと思い始めていた仮面の女は遠隔操作した刀を四方からローラに飛ばす

それに反応しローラは回転しながらそれらをなぎ払う、刀がデュランダルに触れた瞬間、刀が”消えた”

「なっ!?」

驚く女に構わずローラは接近しデュランダルで斬りつける、それを虎徹で受け流そうとするが悪寒がはしり
とっさに怨神籤の一本を抜いてそれで受け流す

だがデュランダルに触れた瞬間、刀が”消える”

「がっ・・・」
受け流しきれなかった斬撃が仮面の女のわき腹を”焼く”
とっさに距離をとって刃の消えた刀を見る、何かに溶かされたような断面に残った刃も真っ赤に輝き自重で曲がってしまっている

「これがあたしの奥の手”烈火開放”これはほとんどの物質を焼ききり、蒸発させる」
ローラはその剣を構えるかなりの熱を持っているにも関わらず彼女は汗一つかいていない



だがローラの視界の隅になにかが写った、




それは少年とその手をひく少し背の高い少女だった











避難のさいに家族とはぐれたのだろう 今のこの状況に気付いていない










「あなたたち!!早くここから離れなさい!!」
ローラは二人に大声で呼びかける、



「敵の目の前で余所見をするんじゃないよ」
その声が耳元で聞こえとっさに振り返った直後


































「・!!・・あ・・・・ガ・・・」



ズブリ、と柳鶴の刀がローラの胸を刺し貫いた


to be continued・・・






最終更新:2009年02月20日 17:24
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