(投稿者:A4R1)
AM 10:20
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アルトメリア連邦 市街前>
一体どれくらいの距離を走ったのか想像も出来ない時間の間車に揺られ続け、
ようやくアルトメリアの市街の一角に辿り着いた。
「首都までまだ距離はありますが、休憩したほうがいいですね。」
「領土より北で降りて、幾つの給油とGの襲撃とプリン枯渇があったんだろうな…オレ達…。」
「もう覚えてないやぁ…。」
「今回の目的のお店の「プリンパフェ」は絶品らしいですよ?」
「本当ッ!?」
嗚呼…プリン味のスナックじゃない純正のプリンが食べられる事が出来るだなんて…。
「ねぇ!何って言うのそのお店は!!早く行こうよ!!ねぇ!!」
「お願い、強く押さn・あ痛だぁー!!!」
「あ…ご、ごめんなさい…。」
「えぇと、そのお店の名前は『サウシレア』…。」
「よーし!食べるぞー!!」
「キキ…張り切ってるな…。」
「キキ、食べ荒らさないようにお願いします。」
「お店を食べちゃダメだよ!!」
「わかってるよ!!」
「パフェだけじゃねぇ!!付け合わせも残さず食え!!」
「パフェに付け合わせは無いよ!!」
<アルトメリア連邦 市街>
「ここですね。」
「うわぁー!!」
「落ち着けキキ!!」
「すっごくおめめがきらきらしてる…。」
「キキはここで待っていてください。ナナさんの骨折を観ないといけませんから。
くれぐれも、人様のプリンを強奪しないように…。」
「そこまでしないよ!!」
「オレもこの店で待っていいか?」
「いいですけど…どうなさいましたか?」
「単に、この店の料理に興味があるって言う訳だけど、
他にキキの暴走の際にはオレがやってやんねぇとなぁ…!!」
「信用されてないのかなボクって…。」
「あなたの暴走の恐ろしさを味わっていますからねイイさんは…。」
「い…医者へ何時向かうのだ…?」
いつの間にやらボクの隣で満身創痍になっていたナナさんが悲痛な言葉を口にしていた。
「ナナ…。」
〈カフェ サウシレア〉
「何でナナさんは全身複雑骨折という重症に?」
「おいおい…ベルト有り、緩衝材装着したとはいえ、
まだ安全な訳じゃないあの車内が平気だったっつーのかよ…。」
「危うく吐きそうになったけど…。」
「そんな次元じゃなかっただろ…。」
「プリンもちょっぴりこぼしちゃったし…。」
「それより、お前以外ボッコボコになっただろうがよ!!」
「あ。」
「あ。じゃないだろうが!!
オレですらヤバいと思うほどの衝撃、ミミやリリ、ナナが受けたら無事で済むわけねぇだろ!!」
「た、確かに…。」
「…まぁ、リリならあれぐらいの負傷は何とかできるだろうから、医者達に任せるしかねぇな…。
オレ達はゆっくり何か食うとでもするか。」
「うん。」
店のドアを開けると様々な料理の匂いが流れてきた。
昼前だというのにややアルコール臭がつよいけど…
「何だアイツら…。」
その原因を見たイイが、露骨に嫌気のある顔になった。
酒のボトルが乱雑に転がっているテーブルに座っている集団が騒いでいる。
全員男性で、粗末なチョッキにピストルの収まったホルスターを腰に下げている。
離れた所で楚々とお冷を口にしている女性以外にお客はいないみたいだけど…。
「見ろ…ウェイトレスの子が困り果ててるぜ…。」
集団の内の一人がウェイトレスのウィスキーのボトルを持つ腕を掴み、
「へへへ…今日は嬢ちゃん一人だな…。」
「ぃっ…そ、そうですかど…。」
「近頃馬鹿でかいGやら、妙な軍隊が争ってるだろ~?そんな奴等と関わるとあぶないだろうさぁ~。」
「そ、それはさうですけど…。」
その会話に耳を傾けつつ、集団の特徴を探ってみた。
(襟のカフスが全員同じオオカミのモチーフだ…。)
(ボタンじゃないのか?)
(違うみたい…。)
「こんな陳家な店にもったいないぜ~。俺たちのチーム、シャープエナに来なよ~。」
「そ、そんなぁ。」
「この店のマスターもいねぇだろ。俺たちならいつでも可愛がってやれるからよ!な!」
「誰かお助けを~…。」
「てめぇらいい加減にしろよ!!!!」
とうとうイイの癇癪が炸裂した。
座っていたイスを押し飛ばしてまで勢いよく立ち上がった。
「ふぁぁっ!?」
「何だ?お前ら~。」
「てめぇらに名乗る名なんかねぇ!!」
「店員さん、逃げて!」
「は、は、きゃぁっ!!」
「おぉっと、もうちょい付き合ってもらうぜぇ~。」
「そいつを離せ!」
「るせぇっ、これからいいことしようっつーのによう…ヘヘヘ…。」
「いぁやぁーッ!」
「てめぇっ!」
顔を近づけられた店員さんの悲鳴がトリガーとなり、
「離せっつってんだろうがぁッ!!!」
とうとうイイの鉄拳がその男の胸板めがけ飛んだ。
「ごぁっ!?」
イイが二歩目を踏んだかどうかという時には、もう男性は店の壁に叩き付けられていた。
3mという距離を瞬く間に縮めた脚力に一団が騒然となった。
ウェイトレスさんがその隙にカウンターの奥へ無事避難したのを確認できた。
「この女ただもんじゃガぁッ!?」
「てめぇらただじゃすまさねぇぞ!!」
言葉を紡がせる暇を与えず二発目を打ち込む。
「ちぃっ!!ぐぁっ!?」
「キキ!!」
一団の一人が手にした銃を咄嗟に撃ち落とした。
「昼前から酒の臭いをぷんぷんさせた上でお店の人に嫌がらせをするのは見逃すわけにはいかないね…。」
「女が何を偉そうに…。」
「待て!こいつらMAIDかもよ!?」
「何!?」
「まともに勝てる相手じゃないわけだ!!」
「あ、テメー勝手に逃げんな!!」
「そこまでであす!!」
「!?」
「ウェイトレスさん!?」
先ほど避難したばかりのウェイトレスさんが、グレネードランチャーを引っさげて来た。
「これ以上店を汚すつもりなるば怒りましよ!!」
「つけあがんじゃねぇぞオラァ!!」
ついに集団が逆上した。
全員銃を抜いて手近なテーブルを蹴倒しその裏に隠れる。
「木のテーブルなんか木っ端みじんにしてやるぜ!!」
「え、ちょまって!!」
ロケットランチャーを構えようとしたイイを制した。
「ダメだよむやみに死者を出しちゃ!!」
「お店が吹っ飛んだぶん修理費徴収しるです。」
「…そこまで払いたくねぇ…。」
しょぼくれるイイとウェイトレスさんを連れてカウンターの裏に飛び込んだ。
「ウェイトレスさんの銃も威力がかなりあるとおも―」
次の瞬間には集団のど真ん中で小さい爆発が起こり、薄茶色の煙に覆われた。
呆気にとられてちょっとだけ開いた口がピリリとした刺激を感じ取った。
「ぶ、えっくしょ!?」
「おぉお痛ぇ!!?」
集団が咳き込みや催涙に襲われ出した。
「コショウとトウガラシを発射したのか!!」
「手作りせづよー。」
「なかなか出来はいいと思うんだけど…。」
「どうしたのでしか?」
「こっち、ケホ…風下だよね…。ゴホッ!!」
「ひあ?」
「おぉぉぉしみるぞやべえぞコレ!?」
「言うの遅れましたです…。」
「ヴェイドレズざんだげ完全武装だどがぞんなぁゲホッ!!」
「ごめんなさいです…。後で無料で料理をていきゅうします…。」
いつのまにやらサングラスに三角巾で顔を防御していたウェイトレスさんが頭を下げる。
…なんかコワイ…。
「それで手を打つか…くぁああ…。」
喉と鼻がやられたボクに対して、イイは顔から出る物が全部出てきていた。
「ぶざげだマネをじやがって!!ようじゃじねぇ!!」
集団も涙鼻水よだれを流しながら応援を連れ込んできた。
「怒ってるみらいですね。」
「無理もないでず。」
「オレも怒りてぇ。」
「堪えで。」
煙で喉の奥が腫れてしまったみたいで、ものすごい鼻声になってしまった…。
ミミちゃんやリリさんには聞かせられない…あ、ナナさんも。
「あ、お客さま!お逃げください!!」
ウェイトレスさんがカウンター横に座ったままの女性に避難を促した。
その叫びにゆっくりと腰を上げると、非難するどころか、
「奴らの横暴な態度に腹を据えかねていたところじゃ…。」
ボク達の横に来ると、懐から拳銃を取り出した。
「加勢するぞ。」
見た目に反し話し方が年を召されている…。
「用意周到でずね。」
「この辺りは前からならず者がおったからのぅ。ようやく尻尾を見せたようじゃ。」
「亜人じゃないだろこいつら。」
「本当に尻尾があるわげじゃないがら…。」
「慣用句じゃ…。」
「なに!尻尾はまたにかくs「だがらぞういういみじゃないっでば!!」
「一団の手がかりが見えたっていうころですよね。」
大きく頷きイイを見てため息をついた。
「なんでその事がわからなかったのかねぇ、イイや。」
「ばーさん、オレの名前知ってるのか!?」
ギョッとしたイイに、ヨヨさんがカッとなったみたい。
「誰がばーさんじゃ!!ワシは
アラキ・ヨヨじゃ!!」
「見えねえんだもの!!声聞く限りばーさん、ヘタするとババアじゃねぇかよ!!」
「バカもん!!」
「あごぁああ!?」
一喝と同時に右肩に人差し指を打ち込まれたイイが絶叫を発して跳び上がった。
「ババア呼ばわりとは失礼な!!」
「イイがすごぐぐるじんでまずが…。」
「この痛みはよだれがとまらねぇ…!!」
「ざっぎがらながればじめでだどおもうげど。」
ドロップか飴がすごく欲しい。
「ヨヨざん…でじだね?」
「そうじゃが…キキや、喉声がひどいのぉ…。」
「スパイスグレネードなんでふが、風向きにすっぱいしつぁいました…。」
「ながながづよいぎぎめでず。」
「時と場合を考えて使うものじゃ…どれ…。」
苦笑いしながら、ボクの喉に指をお゛
「きゅ…ッっ!?」
「辛抱じゃ。」
「がーはごほっ!!」
気管に指を押し込まれた!!
「し、しんじゃいますって!!」
「よくな、りましたね。」
「あ、本当だ…。」
「喉の障害を自発的に解消するよう訴えるツボを押したのじゃ。」
「そうなんですか…。あれ?イイは…ああ!!」
「や、やめお、いだだだ!!」
「バカ野郎!!オレは目も肩も痛えんだよ!!」
目の痛みに耐えきれずに暴れるイイがそこにいた。
「ヨヨさん、止めてくださいよ!!」
「ワシをババア呼ばわりしたバツじゃ。もうすこしあやつは苦しませておくとする。」
「修理費を請求しなくた…。」
「ワシが捕まったら身が危ういのお…。」
ヨヨさんも出費と身の危険は怖いようで…。
「うぐッ!?」
近づきあぐねていた時、イイが妙なうめき声をあげてその場に倒れた。
「イイ!?」
「どうしたのじゃ!?」
あわてて駆け寄ると、イイの背中に何かが見えた。
「杭…?」
「う、動けねぇ…。」
「いかん!近づくな!!」
「うっ!?」
忠告らしい一言が聞こえた瞬間、膝から力が抜けたらしく、床が頬を鼻を打った。
「だいじょうふですか!?」
「行くでない!!」
「あぁ、来たらこいつらがどうなるかわからないぜぇ…?」
さっき逃げ出していた男が、別の男をひきつれて店先に立っていた。
手に何かを持っているような…。
「その銛でふたりになにしらですか!!」
「こいつはエターナルコアによる強化を打ち消すスピアーガンだぜぇ…。
おっと、変なマネはしない事だ…こいつには命中したMAIDのコアを粉微塵に砕く機能だってあるんだぜぇ…。」
「そ、そんあ…!!」
不敵に笑い、ボクとイイを乱暴に持ち上げる男たちの後ろにもう一人誰かが…。
「ど、どうすれヴぁ…。」
「こいつらの命が惜しけりゃ、俺達の組にはいrブグァゥッ!?」
イイを捕まえていた男が崩れるように倒れていくと思った瞬間、
「兄貴!?がぁっ!!」
ボクを捕まえていた男も錐揉みつつ吹き飛んだ。
落下したはずみで、槍が外れた。
「MAID達にその手は触れさせない…。」
力強く渋い声が聞こえた。
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最終更新:2009年07月22日 12:06