トカゲのような生き物はしっぽが切れても再生できる能力を持っていますが、人間には腕や足を再生する力がありません。この違いの理由は、細胞の能力と再生させるものの複雑さにあります。
トカゲのしっぽは比較的シンプルな構造をしており、再生にはそれほどエネルギーを必要としません。特別な細胞が新しいしっぽを作るように働くため、トカゲはしっぽを失っても再生できるのです。しかし、人間の腕や足は骨、筋肉、神経、血管など非常に複雑な構造を持っています。このような複雑な部分を再生するためには膨大なエネルギーとリソースが必要となり、再生がかえって命に危険を及ぼす可能性があります。
さらに、人間は進化の過程で知恵や技術を使って怪我を防ぎ、治療する方法を身につけてきました。そのため、再生能力よりも「怪我をしないようにする」「治療によって回復させる」といった形に進化しています。人間の体は、エネルギーを効率的に使うために再生能力を持たず、他の進化を選んできたのです。
再生能力がある方が良いと思われるかもしれませんが、人間は他の方法で進化し、複雑な構造を再生するためのエネルギー負担を避けるように体が適応してきました。
