第四回放送 ◆yX/9K6uV4E
そこに移るのは、アイドル達。
ちひろは余りにも輝かしいものに、ただ、目を奪われていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いつまでも、花が咲き誇るように、希望に目を輝かせている、日向の花ような少女が、其処にあり続けていた。
「まず、燻っていた蕾が、最高の『希望』が大きな花を咲かせた、大輪の大輪の花を。これからの苦難を知らずに」
雨にうたれながら、それでも止まらない涙を流し続ける少女が、何時までも泣いていた。
「そして、最悪の『絶望』がまた想い出した……二度とどうしようもなく戻れないくらいくらいに」
粉々に砕かれた器、それでも少女は前を一つ一つを拾い尽くそうとしていた。
「もう一つの絶望は、その『粉々になった心』を抱えながらも……それでも希望へ向かっていく」
まるで死に装束をまとうかのように、晴れ衣裳を着て、少女達は寄り添っていた。
「最期の『煌きの命』は可憐に煌いて、なおも強く『素直な獅子』は友の為に尽くすと誓い、そして、『三つの和音』は、遂に重なり合おうとして……その先には有るのは、何?」
どんな時でも二人で居た小さな子達。その小さなてのひらは何時までも重ねられていた。
「『お姫様』と『悪者』は、主人公を失っても、なお寄り添い続けて、必死に物語を紡ぐ……『
カナリア』の様に」
悪夢に悩まされながらも、救えなかった命を思いながらも、彼女は決して諦めてはいなかった。
「全部救おうとして、救えないと苦しんで。それでも、救おうとする『優しい姉御』は、誰かを救えるの?」
いつも握っていたライナスの毛布は既に無く、虚無を感じるように、少女が空を見つめていた。
「いつも持っていたモノを失って。ただ、その時の感情に全てを委ねる貴方はきっと『がらんどう』」
ベッドの上で、胸元に手を当てながら、必死に少女が歌声を出そうとしていた。
「きっと、歌えなくなる。大切な人に、贈る歌を。それでも、『癒しの女神』は、いつも何度でも、輝くものを見つけられるのでしょう」
身体を休め終わり、戦うしかない少女が、淡々と武器の整備をしていた。
「たった独りきりの『敵』は、ただ愚直に戦い続ける。それしかないから」
大切な人を失っても、なおその女性は、何処までも飛んでいた。
「『
こいかぜ』は今もなお吹き続けて……翼を失い、でもまた翼を手に入れた貴方の終着点は何処?」
チャイナドレスを纏った女性は、眼鏡をなおしながら、大切な友の事を思い出していた。
「用意された駒の生き残り……『追憶の桜』は、一つの枝を折られても、思い出を糧に、歩みを止めず」
傘を差しながら、沢山のものを背負った少女が、ただひたすらに歩いていた。
「温かい太陽を背負い、主人公の願いを受け、人魚姫の幸せを継いで、哀しみを断ち切る強さの『四つ葉』を持った少女の夢は、歩き続けて」
三人組のなかでたった独りだけ選ばれた少女が、意志を持った目で前を見つめていた。
「『新しい波』は、小さな肩に、何もかも背負って。崩れない様にと、必死にもがいて、自分が必要だと叫び続けるしかない」
目に闘志を灯して、ただ、ひたすらに、少女は魂を燃やしていた。
「『熱血少女』は、心にいつも熱いものを。生き様を魅せるように。受け継いだものを誇りに、何処までも熱く」
片目を髪で隠した少女が大切な人の隣で、見守るように付き添っていた。
「『懸命な悪夢』は大切な人を支えて、一生懸命に自分のできる事を、探して……そして見つけだして」
車椅子に座った片足の少女は、付き添う大切な人の隣で、今もなお、あがき続けていた。
「たとえ、片足を失ったとしても、見定めた心は、折れず、『魂の歌声』を何処までも、響かせるのね」
自分の居場所を探していた少女は、自分がすべき事を見つめ、話し合おうとしていた。
「『勇気の花』は自分のできることを掴もうとする。それは何処までも迷っていても、きっと絶対に掴めると信じているから」
ただ、会いたい人を探して、誰よりも大きい彼女は、何処までも走り回っていた。
「『星』は、純粋に、何処までも、あいたい人に、あいたくて。そして、何時までも純粋に光を失わない、例え泣きたくなっても」
婦警の制服は着た女性は、勇気を出そうとしていた少女達を優しく見つめていた。
「貴方は何時だってそう。どんな時でも周りの人をよく見て。そして、涼しげに佇んで導こうとする。本当貴方は、『大人』です」
声も笑顔も失った少女は、更なる死に出会う事を知らずに、ただ、眠っていた。
「『新しい世代』といわれ、いつでも、貴方の大切なものを忘れなかった。それなのに『失った笑顔』を貴方は本当に取り戻す事が出来るかしら?」
京美人を体現したような少女が、空を見ながら、ただ祈っていた。
「支えたいと願い、傍に居続けて……でも、貴方は一人ぼっち。だから、必死に仲間を支えて。『祈り続ける織姫』は彦星に見て欲しいって祈り続けるのだけ」
自分が犯した罪に、ただ恋をしている少女は、しっかりと向き合おうとしていた。
「何処までも揺れた『恋』は、なるべきものを見つけて、そして、また、きっと、恋をする」
自分の正しさを信じて、たった一人、大人にも子供にもなれない彼女が、決意を固めていた。
「『正義の花』は今、咲き誇って。 貴方の正しさは、きっと何処までも尊い。例えそれが大切なものを踏みにじってさえも」
沢山の夢があって。全てに欲張る事を決めた、女性はその全てを掴もうとしていた。
「大切な人も、絶対叶えたいものも。全部欲張る事を決めた彼女は、誰よりも手ごわい。『夢』は絶対かなえるものなのだから」
孤島に一人だけ、一人だけ残された少女は、大切な花を想い、散る事を想い、一人で散ろうとしていた。
「ノアの箱舟に、助け出された花は、希望であったはずなのに。絶望に染まった『思慕の花』…………希望の花と話して。どんな思いを、花を咲かせるのかしら?」
そして、奪われながらも、全部をつかめないと思っても、それでも少女は、大切なものだけは護ろうとしていた。
「そして『蒼穹』は終わらない。終わりを認めない。例え何かも切り捨てても、それでも本当に大切なものだけは、終わらせない為に」
――――パンッ!
「極めて順調です! 皆、よく、頑張りました。此処から、新たな一日が始まり、新しい幕が、開かれますよ!」
――――そうして、『希望』を望む女性が、手を強くあわせた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
こんばんは!
皆さん、そろそろ一日が終わりますよ!
突然の雨で休んでる人が多かったかな?
いい休憩になったでしょうか?
けれど、雨も止みましたね!
これからはずっと晴れるそうです!
皆、頑張ってください!
早速、死者の発表をしますね!
以上三名。
んー、雨が降って休んでた人が多いとはいえ、三人ですか。
ちょっと、少ないかな。
ので、ので!
皆さん――――本当頑張ってくださいね?
貴方達は、忘れてはいけない事がありますよね。
そう!
――――貴方に掛かっている命は一つじゃないのですから。
さて、禁止エリアを伝えますね。
2時にF-6
4時にD-1
よく覚えて置いてくださいね。
これで放送は終わります。
一日が終わって新しい日が着ますね。
そして、生き残ってる人達も半分です。
凄いですね、残っている貴方達は、本当、希望に満ち溢れている。
絶望に、負けず。
何処までも、それは、正しいんですよ。
だから、貴方が持つもの全てを。
貴方の『アイドル』を。
見せ付けなさい。
それが、生きるという事ですよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『プロジェクトの中間報告書 千川ちひろ』
状況は極めて良好。
『完璧の希望』の候補は極めて多く、このままの推移すれば、生まれると予想される。
その為の仕掛けもうまく作用しており、素晴らしい結果になるだろう。
そして、それは『哀しみしかなかった、あの大災害』を乗り越えて、
絶望を希望に変える力になるでしょう。
その為のプロジェクトなのですから。
きっとプロジェクトの名前通りになるでしょう。
そう
プロジェクト――――アイドルマスター。
その名に相応しいアイドルが、
きっと、生まれますよ。
【残り 28名】
最終更新:2016年04月20日 00:54