自分用SSまとめ
朋也「軽音部? うんたん?」 5/8 土
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
581:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:28:34.50:+UZ/pLeq0
5/8 土
唯「あぁ~カミサマ~お願い~二人だけの~」
上機嫌で口ずさむ。それは、軽音部の練習でよく歌われている曲だった。
もう何度も聴いていたので、俺もすぐにわかった。
もう何度も聴いていたので、俺もすぐにわかった。
憂「ふふ、お姉ちゃん機嫌いいなぁ。やっぱり、あしたは岡崎さんとデートだからかな」
朋也「知ってたのか、憂ちゃん…」
憂「はい。すっごく嬉しそうに話してましたよ、きのう」
朋也「そっか」
そう、俺は明日、唯とデートする約束を取り付けていたのだ。
今日は午前中で授業が終わるので、午後からは一人でデートコースの下見に行くつもりだった。
初めてのデートだったから、一応念を押しておきたかったのだ。
今日は午前中で授業が終わるので、午後からは一人でデートコースの下見に行くつもりだった。
初めてのデートだったから、一応念を押しておきたかったのだ。
憂「でも、岡崎さん。まだ、学生の内はエッチなことしちゃだめですよ」
朋也「わ、わかってるよ…」
なぜ釘を刺されるんだろう…憂ちゃんには俺がそんな奴に見えているんだろうか…。
しかし…つくづく保護者じみているな、この子は…。
本当に年下なんだろうか…。
しかし…つくづく保護者じみているな、この子は…。
本当に年下なんだろうか…。
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………。
582:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:29:46.26:jpDSDOMkO
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昼。
澪「う~…頭痛い…」
和「大丈夫? 風邪?」
澪「いや、そういうわけじゃないんだけど…熱もなかったし…なんでだろ」
見事に二日酔いしていた。
澪「顎もなんか痛いんだよな…」
それもそうだろう。
放課後デスメタルを名乗り、歯ベースなるものを披露していたのだから。
放課後デスメタルを名乗り、歯ベースなるものを披露していたのだから。
澪「それに、きのうの部活あたりから記憶がおぼろげなんだよな…」
澪「そこになにかヒントが隠されてる気がするんだけど…」
律「あー、なにもないよ。おまえはちゃんと練習してたぞ。それも、すっげぇテク見せつつな」
澪「ほんとか?」
律「ああ。だから、もう気にするな」
澪「う~ん…まぁ、いいか…」
醜態を晒してしまった過去は今、闇に葬られていった。
583:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:30:06.17:+UZ/pLeq0
真面目な秋山のことだ、知ればきっと、恥ずかしさで身動きが取れなくなってしまうんだろう。
それを未然に防ぐための処置だった。
それを未然に防ぐための処置だった。
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朋也(う~ん…どうしようかな…)
学校を出て、町の中をうろつく。
現地を巡りながら、彼女と二人で過ごすに耐えうるプランを練っていたのだが…
まったくいい案が思いつかない。というか、俺の経験程度じゃ、まず発想自体が浮かばない。
こういう時、誰か頼れる人間がいればいいのだが、生憎とそんなツテはない。
となると、ここは、そういった情報を扱っている雑誌を参考にしてみるのも手かもしれない。
現地を巡りながら、彼女と二人で過ごすに耐えうるプランを練っていたのだが…
まったくいい案が思いつかない。というか、俺の経験程度じゃ、まず発想自体が浮かばない。
こういう時、誰か頼れる人間がいればいいのだが、生憎とそんなツテはない。
となると、ここは、そういった情報を扱っている雑誌を参考にしてみるのも手かもしれない。
朋也(本屋にでも行くか…)
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朋也(………)
棚に並ぶ雑誌群。その中に、それらしいものを見つける。
表紙のあおり文には『鬼畜王が教えるデート必勝法!』とあった。
その鬼畜王というフレーズに惹かれ、一冊手に取ってみる。
表紙のあおり文には『鬼畜王が教えるデート必勝法!』とあった。
その鬼畜王というフレーズに惹かれ、一冊手に取ってみる。
朋也(なになに…)
漢ならストレートにいけ! 会った瞬間唇を奪うのだ! 後はわかるな?
ホテルに直行だ、がははは! 金が無いなら自宅でもいいぞ。
野外派の奴は、P12を開け。俺様おすすめの路地裏を教えてやる。ありがたく思え、がははは!
出かける前には、ハイパー兵器はちゃんと洗って…
ホテルに直行だ、がははは! 金が無いなら自宅でもいいぞ。
野外派の奴は、P12を開け。俺様おすすめの路地裏を教えてやる。ありがたく思え、がははは!
出かける前には、ハイパー兵器はちゃんと洗って…
584:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:31:16.14:jpDSDOMkO
パタム
俺はそこで読むのをやめた。
朋也(レベルが高すぎる…)
この筆者…いや、英雄とは生きている次元が違うような気がする。
その差をひしひしと感じながら、雑誌を棚に戻す。
というか…よく出版できたな、この雑誌…。
その差をひしひしと感じながら、雑誌を棚に戻す。
というか…よく出版できたな、この雑誌…。
朋也(それはいいとして…)
俺は再び雑誌を物色し始めた。
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朋也「はぁ…」
本屋から出てくる。結局、決めたのは映画を観にいくことだけ。
上映時間を調べて、それで終わりだった。
上映時間を調べて、それで終わりだった。
朋也(どうすっかなぁ…)
電車で都心部の方まで出れば、それなりにサマになったデートになるんだろうか…。
でも、俺はあまりこの町から出て遊ぶことはしなかったので、その辺の地理に疎かった。
今から付け焼刃で調べに行っても、実りがあるとは思えない。
やはり、地元が無難だろう。
でも、俺はあまりこの町から出て遊ぶことはしなかったので、その辺の地理に疎かった。
今から付け焼刃で調べに行っても、実りがあるとは思えない。
やはり、地元が無難だろう。
朋也「痛っ…」
585:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:31:43.90:+UZ/pLeq0
次に向かおうと身を翻した矢先、誰かに肩をぶつけてしまった。
ばさばさと本が地面に数冊落ちる。
相手方のものだろう。
ばさばさと本が地面に数冊落ちる。
相手方のものだろう。
声「おっと…悪いな」
朋也「いえ、こちらこそ…」
言いながら、その本を拾い集める。
朋也(って、エロ本かよ…)
これは、俺もそうだが、相手はもっと気まずいぞ…。
朋也「どうぞ。すみませんでした」
二冊重ねて手渡す。
男「おう、悪いな」
朋也(ん? この男どこかで…)
サングラスをしていたが、なんとなくその背格好や顔つきに見覚えがあった。
朋也「…あ」
男「…あ」
男「…あ」
思い出す。そう、この男は…
586:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:32:28.16:+UZ/pLeq0
朋也「あんた、サバゲーの…」
男「あん時の小僧か…」
男「あん時の小僧か…」
指をさし合う。向こうも覚えてくれていたようだ。
男「なんだ、おまえもエロ本買いに来たのか」
朋也「違うっての…」
男「ふん、そんなみえみえの嘘をつくな」
男「どうせ、買いたくても、恥ずかしくて一歩が踏み出せずに、この場で足踏みしてたんだろ?」
男「そこで、姑息なおまえはエロ本を買った客をここで襲うことにしたわけだ。どうだ、図星だろう?」
朋也「あんたにぶつかったのは偶然だ…」
男「だが残念だったな、この俺様を狙ったのが運の尽きよ…返り討ちにしてくれるわ、小僧ぉおっ!」
朋也「人の話を聞け、オッサンっ」
男「誰がオッサンだ。秋生様だ。秋生様と呼べ、小僧」
朋也「俺にも岡崎って名前があんだよ、オッサンっ」
秋生「小僧は小僧だろうが、この小僧が…真っ昼間からエロ本なんか買いに来やがって」
朋也「そりゃ、あんたのことだ」
秋生「まぁそうだが…ちっ、仕方ねぇな、そこまで言うなら、同士としてアドバイスをくれてやる」
587:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:34:08.99:jpDSDOMkO
一方的に話を進めていた。
この人とは一生まともな会話が出来そうにない。
この人とは一生まともな会話が出来そうにない。
秋生「いいか、まずは店内の監視カメラの位置をすべて把握するんだ」
秋生「そして、死角を縫うようにしてアダルトコーナーにたどり着け」
秋生「ここまでくればあとは買うだけだが…一応、少年ジャンプも二冊ほど一緒に買っておけ」
秋生「その間に挟んでレジを通せば、店員も『あ、なんだ。ただの成年ジャンプか』とサブリミナル効果で騙せるからな」
朋也「そんな回りくどいことせずに普通に買えばいいだろ…」
秋生「それができないっていうからアドバイスしてやってるんだろうがっ」
朋也「いらねぇよっ」
秋生「じゃ、なんだ、ここでエロ本を買っていく善良な市民を襲い続けるのか、てめぇは」
朋也「だから、んなことしねぇってのっ」
秋生「嘘をつけぇっ! さっきエロ本拾う振りしてポケットにしまってただろうがっ! 返せ、こらっ!」
朋也「無理があるだろっ! ポケットなんかに入んねぇよっ」
秋生「なら、腹に仕込んで喧嘩しにいくつもりだろ。ボディもらった時、ちょうど袋とじが破れるように調節しやがって…」
意味がわからなかった。
朋也(付き合ってられん…)
592:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:36:43.69:jpDSDOMkO
俺はオッサンを無視して歩き出した。
秋生「おーい、そっちにゃ本屋はねぇぞーっ。エロ本買うんだろーっ」
朋也(声がでけぇよ…)
朋也(う…)
通行人が俺とオッサンを交互にちらちらと見ている。
仲間だと思われているのだろうか…かなり嫌だ。
仲間だと思われているのだろうか…かなり嫌だ。
朋也(くそ…)
俺は逃げるように大急ぎでその場を立ち去った。
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朋也(ふぅ…えらいのに絡まれちまった…)
商店街のあたりまで駆けてきて、そこでやっと足を止めた。
少し息を整える。
少し息を整える。
朋也(遊んでる場合じゃない…デートコースだ、デートコース)
気を取り直して再び考えを巡らせる。
朋也(商店街…この辺を見て回るのもいいかもな…)
朋也(後は…)
593:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:37:17.19:+UZ/pLeq0
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朋也(よし…この辺でいいかな)
大まかな流れを固め、ひとまずは区切りがついた。
細かいことはその場の判断でいいだろう。
俺は腕時計を見た。まだ余裕で軽音部が活動している時間帯。
細かいことはその場の判断でいいだろう。
俺は腕時計を見た。まだ余裕で軽音部が活動している時間帯。
朋也(戻るか…)
学校へ足を向ける。
道中も、立てたばかりの計画を頭の中でずっと反芻していた。
道中も、立てたばかりの計画を頭の中でずっと反芻していた。
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『ごめんね ル~だけ残したカレー…』
部室の前までやってくると、音が漏れ聞えてきた。
今も練習中なのだろう。
今も練習中なのだろう。
がちゃり
扉を開け放ち、中に入る。
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ぎゃりぃっ!
弦を乱暴にひっかいたようなギターの音。それをもって演奏が止まった。
594:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:38:43.08:jpDSDOMkO
律「なぁんだよ、梓…いきなり変な音だして…」
梓「す、すみません、岡崎先輩がぶしつけに入ってくるのが見えたので、気が散っちゃって…」
律「あん?」
その一言で、部員たちがの視線が俺に集まる。
律「ああ、来たのか」
唯「おかえり~」
紬「今岡崎くんの分のお菓子、用意するね」
朋也「いや、いいよ。なんか邪魔しちゃったみたいだし…練習続けてくれ」
手をひらひら振ってテーブル席に向かう。
朋也「ふぅ…」
春原「用事ってなんだったの」
腰を下ろすと、春原がそう訊いてきた。
朋也「大したことじゃねぇよ。俺の行きつけの部屋があるんだけど、そこで空き巣してきただけだ」
春原「ははっ、そりゃ哀れだね、その部屋に住んでる被害者は…」
春原「って、待てよっ! それ、僕の部屋のことだろっ!?」
595:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:39:12.63:+UZ/pLeq0
朋也「ああ。堂々と土足で踏み込んでやったぜ」
春原「なんでそんな自慢げなんだよっ! つーか、パクッたもん返せっ!」
朋也「馬鹿、嘘に決まってるだろ。気づけよ。だからおまえは毎日がエイプリルフールって呼ばれるんだよ」
春原「んなの一度も呼ばれたことねぇってのっ!」
春原「ったく…いつもいつもおまえは…」
ぶつくさ言いながら紅茶を口にする春原。
そこで、シンバルの音が鳴り、また演奏が再開された。
顔を向ける。
そこで、シンバルの音が鳴り、また演奏が再開された。
顔を向ける。
梓「…っ!」
中野と目が合ったが、すぐに逸らされてしまった。
気のせいか、頬が赤く染まっているように見えるが…。
そんな、目が合ったくらいで照れるようなタマでもないし…俺の思い過ごしだろう。
気のせいか、頬が赤く染まっているように見えるが…。
そんな、目が合ったくらいで照れるようなタマでもないし…俺の思い過ごしだろう。
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梓「あ、あの…岡崎先輩…」
帰り道、中野が控えめに話しかけてきた。
朋也「なんだよ」
梓「き、きのうことですけど…」
596:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:40:24.69:jpDSDOMkO
もじもじとして言いよどむ。
多分、酔っ払っていた時の話を切り出そうとしているんだろう。
多分、酔っ払っていた時の話を切り出そうとしているんだろう。
梓「あの…岡崎先輩に抱きついたりしましたけど…か、勘違いしないでくださいねっ」
梓「あれはっ…ただ、気分がぽーっとなって、その…若気の至りというか…そんなアレだっただけですから…」
朋也「ああ、なんか変だったもんな、おまえ」
梓「うぅ…」
朋也「わかってるよ。変な気なんか起こしてないから、心配するな」
梓「…ちっともですか?」
朋也「ああ、まったくな」
梓「…ああそうですか、そうですよね、私、唯先輩や澪先輩と違って魅力ありませんもんねっ」
梓「わかりましたよ、もういいですっ」
怒ったように言うと、俺から離れていった。
朋也(なんなんだ…?)
気難しい奴だ…あいつをどう扱っていいのか、いまいちわからない。
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