自分用SSまとめ
朋也「軽音部? うんたん?」 5/7 金
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
563:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:13:22.83:jpDSDOMkO
5/7 金
唯「おはよぉ~」
憂「おはようございます」
朋也「ああ、おはよ」
今日も笑顔で出迎えてくれる。
唯「はい、朋也」
手を差し出してくる。
唯「手、つないでいこ?」
朋也「ああ、そうだな」
俺はやさしく握った…
憂「あ…」
憂ちゃんの手を。
唯「って、そっちは憂だよっ」
朋也「じゃ、行こうか、憂ちゃん。俺たちの愛の巣に」
憂「は、はい…ぽっ」
564:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:13:42.62:+UZ/pLeq0
唯「って、こらーっ! ちがうでしょっ!」
憂「ていうか、愛の巣ってなんなの!? 憂もちょっと照れてるしっ」
朋也「なんかうるさいけど、気にせず行こうな」
憂「はいっ」
唯「ばかーっ! もう、ふたりともばかーっ!」
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
昼。
律「お、そのハムバーグうまそうじゃん。まるまるくれよ」
春原「やるわけねぇだろ。キンピラでも食ってろって」
律「あー、そういうこと言うんだ? ふぅん、そうですか…」
ここぞとばかりに髪を下ろす部長。
律「嫌い…春原くんなんて」
目をうるうるさせて春原をみつめていた。
565:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:14:59.72:jpDSDOMkO
春原「はぐぅ…」
心臓を押さえながら嗚咽する春原。
トキメキが直接臓器に叩き込まれ、よろめいていた。
トキメキが直接臓器に叩き込まれ、よろめいていた。
春原「ふ…ふふ…」
と思いきや、目を瞑り、不気味な笑いをこぼしていた。
すると、いきなり胸元をはだけさせ、髪をかきあげた。
すると、いきなり胸元をはだけさせ、髪をかきあげた。
春原「ふっ…」
顔にも角度をつけ、気合が乗っている。
律「…なにがしたいんだよ、おまえは」
春原「おまえごときに不覚を取ってしまった自分が許せなくてね…」
春原「きのう、対抗策を考えてきたんだ。それが、これさ」
律「…はぁ?」
春原「僕のセクシーな魅力で、おまえもたじたじってわけさ」
律「いや…キモいからやめてくれ。食欲が失せる」
春原「あんだとっ!」
さらに体をくねらせる。
566:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:15:29.15:+UZ/pLeq0
律「あー、わかった、わかったから…もうやめろ」
部長のほうが折れて、カチューシャをつけ、髪を上げた。
春原「ふふん、勝ったな」
律「キショすぎて早くやめて欲しかっただけだっての」
春原「はっ、バレバレな嘘つくなよ。僕の魅力の前にして怖気づいただけだろ」
春原「でも、どうしよっかなぁ、デコに告られたりしたら」
春原「僕、すでにムギちゃんと両思いだしなぁ…ね、ムギちゃん?」
紬「えっと…今、たわごとが聞えた気がするの」
春原「たわごとっすかっ!? ストレートすぎませんか、それ!?」
律「わはは! おまえの、ね、ムギちゃん? はもはやネタフリになってることに気づけよ」
春原「くそぅ…」
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
放課後。
567:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:15:48.42:CdU1ELpcO
変な話だが、本家でも渚に後輩や妹がいたらこうなってたんじゃないかと言う錯覚すら覚えるな
568:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:17:17.26:jpDSDOMkO
紬「今日はウィスキーボンボンを持ってきたんだけど…どうかな」
言って、テーブルの中央にボール型の器を載せる。
その中には、銀紙でパッケージされた固形物がたくさん入っていた。
その中には、銀紙でパッケージされた固形物がたくさん入っていた。
澪「ウィスキーボンボンって…中にお酒が入ってる、あのチョコのことだよな?」
ひとつ手にとって言う。
紬「うん。好き嫌いが別れるだろうから、ここで出すのもちょとあれかなと思ったんだけど…」
紬「でも、これを頂いた製菓会社さんの方から、感想が欲しいって言われちゃってて…」
紬「これ、新商品の試作品らしいから。それで、みんなにも意見をもらえたらな~って、思ったの」
澪「私たちがモニターになるってことか…うう…なんか、責任重大だな…」
紬「澪ちゃん、そんなに重く考えなくてもいいのよ。おいしかった、とか、微妙だった、とかでも全然オッケーよ」
澪「そんな漠然としてて参考になるのか?」
紬「う~ん、具体的な方がいいのかもしれないけど…でも、率直な感想が欲しいって言ってらしたし…」
紬「シンプルでいいと思うな」
澪「そうか…じゃあ、少しは気が楽だな…」
律「おまえはいつも考えすぎなんだよ」
包装紙を破り、口に放る。
569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:18:01.48:+UZ/pLeq0
律「お、けっこうイケる」
紬「みんなも、よかったら食べてみてね」
春原「当然僕はもらうよ。ムギちゃんの持ってきたものにハズレなんかないからね」
春原は一気に4つほど掴んでいた。
唯「私も、も~らおっと」
梓「私も、頂きます」
中野と唯もチョコに手を伸ばす。
俺も一つ食べてみることにした。
ボールから一つ取って、銀紙を剥がす。
もぐもぐ…
酒の味が濃いような気がしたが、なかなか美味かった。
俺も一つ食べてみることにした。
ボールから一つ取って、銀紙を剥がす。
もぐもぐ…
酒の味が濃いような気がしたが、なかなか美味かった。
澪「…あ、おいしい」
律「だよな? もう一個もらおっと」
唯「でも、なんか、苦いね…」
梓「お酒のせいですよ、それは」
唯「あずにゃんは平気なの?」
梓「はい、私は別に」
570:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:19:28.59:jpDSDOMkO
律「梓は将来酒飲みになるぞ、きっと」
梓「ウィスキーボンボンくらいで、変な未来を視ないでくださいよ」
春原「もぎちゅん…むぐ…うみゃいね…もれ」
律「って、おまえはリスか…頬袋にためやがって…」
―――――――――――――――――――――
律「あ、もう無いな…」
いつの間にかボールの中は空になっていた。
律「んじゃ、ここでティータイムも終わりか…食ったらすぐ練習だっけか」
律「だったよな、梓」
梓「…ひっく」
律「梓?」
梓「あー…あい?」
ふらふらと揺れて、目の焦点が定まっていなかった。
例えるなら、酩酊状態のような…
例えるなら、酩酊状態のような…
律「なんか…変だぞ、おまえ」
梓「あにが変だって言うんれすかっ!」
571:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:19:54.78:+UZ/pLeq0
ろれつが回っていない。
律「まさかおまえ…酔ってるのか?」
梓「んなわけないれしょっ!」
律「酔っ払いはみんなそう言うんだよ…つーか、ウィスキーボンボンで酔うって、おまえ…」
梓「だぁから、酔ってねぇーっつーのっ」
完全に酔いが回っていた。
梓「う゛ー…ったくもー…」
梓「………」
潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
朋也「な、なんだよ…」
梓「この…女たらし最低野郎…」
椅子を寄せて、俺の肩に頭を預けてくる。
今日はこいつが隣に座っていたのだ。
今日はこいつが隣に座っていたのだ。
朋也「なっ…」
梓「女の子にこんなことされると嬉しいんですよね、岡崎せんぴゃあは…」
梓「はふぅ…」
572:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:21:04.73:jpDSDOMkO
さらに体重を預けてくる。
朋也「お、おい…」
唯の手前、あいつの反応が気になって、ちらりと目を向ける。
唯「………」
なぜか笑顔だった…それが逆に怖い。
朋也「中野、離れ…」
ばぁんっ
机を叩く激しい音。
澪「こらっ、梓っ! 岡崎くん、困ってるらろっ!」
澪「…ひっく、う゛ー…」
律「って、澪も酔ってるし…」
梓「困ってませんよーだ…逆に喜んでますけどね、うふふ」
澪「そんあことないっ! 顔がすっごく困ってるっ!」
梓「えうー…?」
俺の顔を覗き込む。
573:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:21:24.83:+UZ/pLeq0
梓「あ、なんれすかっ! あたひじゃ不満だって言うんれすかっ!」
朋也「い、いや…」
澪「不満があるにきまってるらろっ! 梓みたいな幼児体型じゃっ」
梓「よ、幼児体型…?」
澪「そうらっ! 男の子は、胸があるほうが好きなんらぞっ!」
澪「ちょうど、その…わ、私くらいのらっ!!」
律「おお…澪なのに強気な発言だ…」
梓「じゃ、なんれすか? もしかして…澪先輩がこうしたいっていうんれすか?」
ぎゅっと強く腕を絡めてくる。
朋也(うぉ…)
中野の体温が伝わってくる。
こいつのいい香りも、ふわっと鼻腔をかすめた。
図らずもどきっとしてしまう。
こいつのいい香りも、ふわっと鼻腔をかすめた。
図らずもどきっとしてしまう。
澪「な、そ、そういうわけじゃ…と、とにかく離れなさいっ」
梓「わーっ、乱暴れすよーっ!」
中野がいつも唯にするように、今度は自分が秋山にひっぺがされていた。
574:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:22:37.95:jpDSDOMkO
澪「………」
今しがた主人を失った空席をみつめる。
澪「ちょっと疲れちゃった…」
そこに腰を下ろす。
澪「…岡崎くん、私、ちょっと疲れちゃった」
朋也「あ、ああ…そうか」
澪「…うん。ちょっと、疲れちゃったんだ」
朋也「ああ…知ってるよ」
澪「そう? じゃあ…体、預けてもいいかな?」
朋也「え?」
俺が答える前、そっと寄り添ってきた。
朋也「お、おい…」
澪「………」
目を閉じて、心地よさそうにしている。
邪険に扱うことがためらわれるような、安らいだ表情。
邪険に扱うことがためらわれるような、安らいだ表情。
朋也(ごくり…)
575:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:23:05.28:+UZ/pLeq0
正直、可愛かった。
梓「って、やっぱり自分がしたかっただけじゃないれすかーっ!」
澪「う、うわぁっ」
同じように引きずりおろされる秋山。
澪「ち、ちが…ちょっと疲れてたんだおっ」
梓「だお、じゃないれすよっ」
わーわーと言い合いになっていた。
春原「おまえ、おいしいポジションにいるよね、マジで」
朋也「そうでもねぇよ…」
見た目ほど状況は単純じゃない。
朋也(唯…)
唯「………」
朋也(う…)
笑顔をキープしていたが…口の端がひくついていた。
怒ってる…のか?
怒ってる…のか?
澪「あー、もう練習らっ! 練習するろっ!」
576:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:24:28.39:jpDSDOMkO
梓「う゛ー、そうれすね…練習れすよ…やぁってやるれすっ!」
ずんずんと練習スペースに踏み入っていくふたり。
紬「う~ん、お酒の調節がちょっと雑だったのかしら…報告しておかなきゃね」
律「今日はえらく事務的っすね、ムギさんは…」
澪「こらーっ! おまえらも、早くこーいっ!」
梓「たるんでますですっ! きびきび動くですっ!」
律「あー、はいはい、わかったよ…」
やれやれ、と肩をすくめて部長も席を立った。
琴吹もそれに続く。
琴吹もそれに続く。
唯「………」
唯だけがずっと座ったまま俺を見て微笑んでいた。
朋也「お、おまえも行ったほうがいいんじゃないのか…?」
唯「………」
無言で立ち上がる…やっぱり、俺を見たまま。
そして、最後までなにも言うことなく練習に加わっていった。
そして、最後までなにも言うことなく練習に加わっていった。
朋也(…ヤバイかもしれん)
577:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:24:53.03:+UZ/pLeq0
―――――――――――――――――――――
活動が終わり、下校する時間になっても秋山と中野のふたりは酔いが抜けていなかった。
その暴れようは、いつも騒いでいる部長と春原でさえ少し引き気味にさせる程だった。
秋山と通学路を共にする部長は、きっと帰り着くまで延々クダを巻かれ続けることになるのだろう。
それはいいとして…
その暴れようは、いつも騒いでいる部長と春原でさえ少し引き気味にさせる程だった。
秋山と通学路を共にする部長は、きっと帰り着くまで延々クダを巻かれ続けることになるのだろう。
それはいいとして…
朋也「いやぁ、あのふたりが酔うと、あんな感じになるんだな」
唯「………」
朋也「あー…暴れ上戸って言うのかな? ああいうのってさ…」
唯「………」
朋也(はぁ…)
無視され続ける俺。
朋也「唯ちゃ~ん…怒ってるのか?」
唯「………」
ちゃん付けで呼んでみたが、効果はなかった。
朋也「お~い…」
唯「…嬉しそうだった」
朋也「ん?」
578:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:26:25.46:jpDSDOMkO
唯「ニヤニヤしてた…顔が赤くなってた…デレデレしてた…」
唯「私だけだって言ってくれたのに…可愛い女の子なら、誰でもいいんだね、朋也は」
朋也「い、いや、そんなことねぇって。全然なんとも思わなかったよ、あんなの」
唯「嘘だよ。だって、すっごくだらしない顔してたもん」
そうだったのか…気づかなかった…そんなに顔が緩んでしまっていたとは…。
唯「あーあ、いいよねぇ、朋也はモテて。私、ハーレムの一人に加えてもらえて、うれしいなぁ」
ハーレムの一人、の部分を強調して言った。
皮肉を込めているんだろう。
本格的に拗ねてしまっているようだった。
皮肉を込めているんだろう。
本格的に拗ねてしまっているようだった。
朋也「変なこと言うなよ…俺の中じゃいつだっておまえが一番だぞっ」
朋也「ヒューッ! 唯、最高ゥッ! 超可愛いぜっ! あ~、幸せ者だ、俺はっ」
唯「…ばかみたい」
頑張ったのに、ばかって言われた…悲しい…。
朋也「はぁ…俺が悪かったよ…ごめんな、鼻の下伸ばしたりなんかして…」
朋也「もうそんなこと絶対しない…約束する。だから、機嫌直してくれよ…」
出したことも無いような情けない声色で、訴えるように言った。
かなり惨めな男になっていた。絶対他人には見せられない…。
かなり惨めな男になっていた。絶対他人には見せられない…。
579:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:26:54.52:+UZ/pLeq0
唯「ほんとに、約束守る?」
朋也「ああ、絶対」
唯「じゃあ…許してあげる」
朋也「そっか…よかった」
ほっと胸をなでおろす。
唯「………」
朋也「ん? なんだ?」
黙って俺を見ていたと思うと、急に近づいてきた。
そして、くんくんと匂いを嗅ぎ始める。
そして、くんくんと匂いを嗅ぎ始める。
唯「…あずにゃんと澪ちゃんの匂いが残ってる」
580:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 06:27:55.71:jpDSDOMkO
朋也「わかるのかよ…」
犬並みに研ぎ澄まされた嗅覚を持った女だった。
唯「…えいっ」
飛びつくくらいの勢いで腕に組みついてくる。
朋也「歩き辛くないか? 普通に手つないだほうがいいだろ」
唯「いいの。こうやって私も匂い残すんだからっ」
朋也「あ、そ…」
なんというか…縄張り意識の強い獣のような思考な気がする…。
まぁ、そんなこいつの行動も、可愛く思えてしまうのだが。
まぁ、そんなこいつの行動も、可愛く思えてしまうのだが。
―――――――――――――――――――――