自分用SSまとめ
朋也「軽音部? うんたん?」 夏
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 09:11:23.23:+UZ/pLeq0
それからも、俺たちは相変わらずな日々を過ごしていた。
昼には飯を食べながら他愛のない話に花を咲かせ、放課後になれば部室で馬鹿をやった。
そんなことをしていて、なにか実りがあるのかと訊かれれば、答えはノーだが…
それでも、確かに俺たちはその日、その時間を最大限楽しんでいた気がする。
昼には飯を食べながら他愛のない話に花を咲かせ、放課後になれば部室で馬鹿をやった。
そんなことをしていて、なにか実りがあるのかと訊かれれば、答えはノーだが…
それでも、確かに俺たちはその日、その時間を最大限楽しんでいた気がする。
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そして、一ヶ月、二ヶ月と過ぎ、夏が来た。
受験生にとっては、どうあっても乗り越えなくてはいけない山場である。
志望校を絞り、学部学科も決め、その目標に向けてひたすら邁進していかなければならない。
クラスの連中も、目の色を変えて勉強に打ち込んでいた。
休み時間でさえ常に参考書と向き合っているのだ。
誰もが具体性を持った未来に向けて全力をだしていた。
そんなある日。唯との会話の中で、進路の話題がのぼった。
受験生にとっては、どうあっても乗り越えなくてはいけない山場である。
志望校を絞り、学部学科も決め、その目標に向けてひたすら邁進していかなければならない。
クラスの連中も、目の色を変えて勉強に打ち込んでいた。
休み時間でさえ常に参考書と向き合っているのだ。
誰もが具体性を持った未来に向けて全力をだしていた。
そんなある日。唯との会話の中で、進路の話題がのぼった。
唯「朋也は、就職なんだよね」
朋也「ああ、そうだよ。俺の頭じゃ、進学は無理だからな」
唯「今から勉強すれば、間に合うかもよ?」
朋也「いや、今更勉強なんかしたくねぇよ」
唯「そんなこと言わずに…なんだったら、私がマンツーマンで教えてあげるよ?」
朋也「いや、いいよ…あ、でも、定期テストのヤマだけは教えてくれ」
こいつは休日に俺と遊び回っていたにも関わらず、前回の中間で平均8割越えを達成していたのだ。
それも、短期間でヤマを張った箇所のみ勉強しただけだという。
ここまでくると、カンが冴えているというよりは、抜群の要領のよさを持っているといって差し支えないだろう。
それも、短期間でヤマを張った箇所のみ勉強しただけだという。
ここまでくると、カンが冴えているというよりは、抜群の要領のよさを持っているといって差し支えないだろう。
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 09:13:31.72:jpDSDOMkO
やはり、この学校の一般入試を突破してくるだけの底力は備えているのだ。
唯「それはいいけど…大学受験の方も頑張ってみない?」
朋也「いや、さすがに大学受験には通用しないだろ、ヤマ勘は」
朋也「それ以前に、俺は大学に行ってまで勉強したいとは思わないからな」
唯「そっか…じゃあ、私もこの町で就職しようかな。そうすれば、朋也と一緒にいられるし」
朋也「馬鹿…おまえは軽音部の連中と大学に行って、またバンドやるんだろ?」
朋也「叶えろよ。それがおまえにとっての一番だ」
そう…俺はこの小さな町に留まり続けるだけの人間だ。
でも、唯は違う。広い世界を見て渡れる。だからこそ、俺が足かせになるのが嫌だった。
でも、唯は違う。広い世界を見て渡れる。だからこそ、俺が足かせになるのが嫌だった。
唯「でも、私は…」
朋也「つべこべいうな。おまえ、前にさ、俺にもう一度頑張れること見つけて欲しいって言ってたよな」
朋也「それで、いろいろと気にかけてくれただろ。今、俺があの時のおまえと同じ気持ちなんだよ」
朋也「全力で懸命になれることをやって欲しい。そうじゃなきゃ、平沢唯じゃないって」
朋也「な? だから、頑張れよ」
唯「…うん」
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74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 09:14:33.45:+UZ/pLeq0
薄々は感じていた。いや…最初からわかっていた。
俺たちの関係も、卒業と同時に… 終わってしまうことを。
唯は…軽音部の連中は、きっと志望校に合格する。
そして、この田舎町を出て、都会へと進学していくのだ。
そこで築かれる新しい人間関係や、新鮮な生活環境の中で暮らす中…
いつしか高校で過ごした日々の記憶は薄れていき、思い出に変わっていく。
三年間を軽音部の部員という繋がりで共有してきたその軌跡は、いつまでも変わらずに輝き続けるだろう。
けど…俺と春原がいた、一年という時間…いや、一年もないその短い時間の中で過ごした記憶はきっと…
きっと、すぐに色褪せてしまうんだろう。それは、唯が俺を好きでいてくれたという想いも同じで…
だんだんと思い出せなくなっていき…最後には忘れてしまうのだ。
それに、唯の器量なら、言い寄ってくる男も相当多いはずだ。その中に惹かれる奴がいても不思議じゃない。
俺はそいつと天秤にかけられて、勝つ自信がない。
そもそも、大学という高等教育機関にいるような人間だ。俺なんかより格段に将来の見込みがある。
俺じゃ到底叶えてあげられないような幸せも、なんなく与えることができるんだろう。
身を引くべきは、どう考えても俺の方だ。
結局は…そういうことだった。
俺たちの関係も、卒業と同時に… 終わってしまうことを。
唯は…軽音部の連中は、きっと志望校に合格する。
そして、この田舎町を出て、都会へと進学していくのだ。
そこで築かれる新しい人間関係や、新鮮な生活環境の中で暮らす中…
いつしか高校で過ごした日々の記憶は薄れていき、思い出に変わっていく。
三年間を軽音部の部員という繋がりで共有してきたその軌跡は、いつまでも変わらずに輝き続けるだろう。
けど…俺と春原がいた、一年という時間…いや、一年もないその短い時間の中で過ごした記憶はきっと…
きっと、すぐに色褪せてしまうんだろう。それは、唯が俺を好きでいてくれたという想いも同じで…
だんだんと思い出せなくなっていき…最後には忘れてしまうのだ。
それに、唯の器量なら、言い寄ってくる男も相当多いはずだ。その中に惹かれる奴がいても不思議じゃない。
俺はそいつと天秤にかけられて、勝つ自信がない。
そもそも、大学という高等教育機関にいるような人間だ。俺なんかより格段に将来の見込みがある。
俺じゃ到底叶えてあげられないような幸せも、なんなく与えることができるんだろう。
身を引くべきは、どう考えても俺の方だ。
結局は…そういうことだった。
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夏休みに入り、そこかしこで夏期講習に通う同級生をみかけるようになった。
そんな情勢を気にとめることもなく、俺は春原の部屋でいつものようにだらけていた。
そんな情勢を気にとめることもなく、俺は春原の部屋でいつものようにだらけていた。
春原「おまえ、このごろずっと僕の部屋いるけどさ、いいのかよ」
朋也「あん? 俺がいちゃ悪いのかよ」
春原「いや、別にいいけど、唯ちゃんほったらかしてていいのかなって思ってさ」
春原「マメにデートとかしとかないと、すぐ破局しちゃうぜ」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 09:15:47.85:jpDSDOMkO
朋也「唯は受験勉強で忙しいんだよ。軽音部の連中もな。一緒に夏期講習行くんだと」
春原「ああ、なるほどね。そういや、最近みかけるよね、そういう連中」
朋也「だろ」
春原「んじゃさ、受験生狩りいかない? やつら、模試代とかでけっこう金持ってんだよね」
朋也「そりゃ普通に犯罪だろ。悪ふざけでした、じゃ済まされないぞ」
春原「ま、そうだよね…言ってみただけだよ、暇だしね」
朋也「ならまずコタツしまえよ。暑くて邪魔だ」
春原「それはこの部屋のアイデンテテーに関わるから、無理だよ」
朋也「あ、そ」
そのおじいちゃん発音を軽く受け流す俺。
よくわからなかったが、こいつなりのこだわりがあるらしいことだけはわかった。
よくわからなかったが、こいつなりのこだわりがあるらしいことだけはわかった。
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夏が過ぎて、秋がやってくる。文化祭が催される季節の到来だ。
受験生にとって、最後の息抜きとなるイベント、文化祭。
創立者祭と違い、三年もクラスの出し物があるので、必然的にその規模は大きくなる。
この学校が一年で一番盛り上がる日だった。
もちろん、一般解放はしていたので、それも加味してだ。
受験生にとって、最後の息抜きとなるイベント、文化祭。
創立者祭と違い、三年もクラスの出し物があるので、必然的にその規模は大きくなる。
この学校が一年で一番盛り上がる日だった。
もちろん、一般解放はしていたので、それも加味してだ。