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  • フェイク・ヒーロー

神薙の巫女と堕ちし龍Wiki

フェイク・ヒーロー

最終更新:2025年02月15日 22:39

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 立ち昇る黒煙。
 崩れた建造物の数々。
 当に戦場の様相を呈する市街地の跡地にて──────。

 砲弾のような速度で突っ切っていくモノがあった。

 数瞬後、激しい衝突音が辺りに鳴り響き、建物の壁に叩きつけられたナニカは粉塵を巻き上げながら新たな瓦礫の山を築いていく。

「あいたたたた………………」

 呻き声を上げるナニカの正体は人間であった。
 紫の長髪をツインテールにした道化師のようなコスチュームに身を包んだ少女。
 北欧地域にて活動する巫女グループ、『@sGirls』に所属するロキの巫女ことフリスト=ヴィザルソンである。

「うーむ、こりゃちょっとヤバいかも……」

 事の発端はとある地方都市で起きたドラゴンの大量発生。
 グループのカバーエリアであったため、要請に応えて彼女達は駆けつけた。
 いざ現場へ来てみれば大半は低ランクのドラゴンであり、一般人にとっては脅威であってもそれなりの経験を積んだ巫女にとっては雑魚に等しい有象無象。個別に分かれて対処に当たっても問題無いだろうという判断からそれぞれ単独行動を取っていた。
 案の定、ドラゴンの群れは強力ではなかった。
 幾分予想していたより数が多く時間はかかったものの、担当エリアから全て駆逐することに成功した。──────はずだった。

「そう、ここまでは良かったんだけど……」

 しかし、襲撃はそれで終わらなかった。
 連戦に次ぐ連戦によって体力と巫力を削られ、油断し切っていたタイミングで今日一番の大物が現れた。
 翼のないトカゲみたいなヤツ。
 その体躯は大型バスを凌駕する程に長大。30mは見て取れる。
 おまけに息が臭くてツラはブサイク。おそらく絶対にモテないタイプだろう。
 そんでもって疲弊した状態で襲い来る非モテブサイクトカゲの猛攻を凌げるはずも無く、尾による渾身の一撃で派手にぶっ飛ばされたというわけである。

 以上、回想終了。
 ──────というわけで。

「だぁ、やっぱもうムリッ!ダルいからバックれまーす!」

 ロキの巫女が選択するは逃げの一手。
 これは断じて職務放棄ではない。
 雑魚は粗方倒したし、避難誘導はとっくに済んで一般人は付近にいないはず。
 避難先のシェルターはグループの他のメンバーが守りを固めている。
 もう十分に役目は果たしただろう。
 ここで撤退したとしても誰かに責められる道理も謂れも無い。
 寧ろ深追いして死んでしまっては元も子も無いのだからこれがこの場において最適解。
 きっとそのはず。間違いない。

「どうせあれくらいのドラゴンだったらウルフヒルドやウリカさん辺りが雑に片付けるだろうし!賢いフリストさんはムダな戦いはせず帰って寝るのであった!バイバイサヨナラー!」

 言うだけ言って踵を返し、トンズラをかまそうとする。
 その一瞬手前だった。

「ひっ……、ぐす……っ、ママ、パパ、どこぉ……」
「──────は?」

 本来この場で聞こえてはならない声を拾ってしまった。
 音源の方へフリストは思わず目を向ける。
 幻聴であったならばどれだけ良かったか。
 視線の先には就学しているかも怪しい年齢の女の子が瓦礫の陰に蹲って泣いていた。

(何で子供がいるのさっ!?避難が間に合わなかった!?)

 こんな場所に幼子がたった一人取り残されている理由は幾ら頭を捻ってもわからない。
 一体両親もしくは保護者は何をしているのか。
 単純にはぐれてしまったのかもしれないし、薄情にも見捨てて逃げてしまったのかもしれない。  
 或いは我が子を守るために既に犠牲となったのか。

(そんなことどうでもいい!早くどこか安全な所へ────!)

 今最も重要な事は彼女が危険な状況のド真ん中にいてしまっているという事実。
 現にドラゴンは弱った巫女などいつでも狩れるとでも言いたげに自分を捨て置いて、新たに発見した獲物へと狙いを定めていた。
 あっという間に女の子との距離が詰められ、無慈悲な鋭い爪が振り下ろされる。

「待……っ!」

 その間へ割り込むように身を乗り出して咄嗟に庇う。
 衝撃、そして一瞬遅れてやって来る焼けるような熱と激痛が背中へと刻まれる。

「かっ……は……っ!」

 強烈な刺激に叫び声すら上げられず肺から空気が漏れた。

「いったいなぁっ!もうっ!」

 それでも振り返って苦し紛れの反撃の巫弾を辛うじて繰り出す。
 運良く間抜けに晒していた眼に命中する。
 虚を突かれた動揺と痛みに悶えるドラゴンの爪や尾が無茶苦茶に振り回されるが、それらを掻い潜ってフリストは女の子を抱えて少し離れた別の瓦礫の陰へと迅速に移動して身を隠す。
 無茶な挙動をしたせいでジクジクとした痛みと共に傷口からドロリとした熱い液体が流れ出ていく気色の悪い感覚に苛まれる。

「つ……づぁ……っ、ケガは……ない?」
「うん……。でもおねえちゃんが……!」
「あぁ、コレ?へいきへいき」

 当然嘘。全身が痛くて今にも泣き出しそうだ。
 不安気な顔をする目の前の女の子を落ち着かせるための精一杯のやせ我慢と虚勢に過ぎない。だとしてもせめて年上の自分は気丈に振る舞わなければという最後のプライドを遵守して必死に堪える。
 だがしかし、いずれにせよ子供を抱えたままではあのドラゴンからは逃げられない。
 切り抜けるにはこの場で倒す必要がある。

 でも、どうやって?

 体力も巫力も殆どスッカラカン。
 おまけに直ぐにでも医者に診てもらわねばならないレベルの傷を負ってしまっている。
 ここから逆転する方法は最早─────。

(そんなもの、─────あるに決まってんじゃん)

 フリスト=ヴィザルソンは唇の端から血を流しつつも不敵に笑う。
 彼女が宿せし神性は北欧神話におけるトリックスター、ロキ。
 かの獪神が認めた少女がこの程度のピンチで万策尽きたなどと行儀良く諦めるわけが無い。
 勝ち誇っている敵に一杯食わせるためならば文字通り全てを利用する気概を見せてこそ相応しいと言えよう。

「ねぇ、キミ」

 傍らの女の子の両肩に手を置いて、同じ目線の高さになるように腰を落としてから顔を見据えて話しかける。

「名前は?」
「え?ゲ、ゲルダ」

 唐突なボロボロの巫女からの問いかけにゲルダと名乗った女の子は若干の戸惑いを見せつつも応えてくれた。
 不安に揺れているものの子供特有の無垢で澄んだ瞳。
 「これならば」とフリストは心の内でほくそ笑む。

「ゲルダ。ふふん、いい名前じゃん。フリストさ……じゃなくて私はフリスト。よろしくね」
「あ、ありがと。フリストお姉ちゃん」
「じゃあ、ゲルダ。一つ教えてあげる。へへっ、実はフリストさん今までは手加減してたんだよね。すぐにドラゴンを倒しちゃったらつまらないからさ。まー、『縛りプレイ』ってヤツ?」
「そうなの?」
「ほんとほんと!マジのマジ!」

 我ながららしくないことをしているとフリストは心の中で溜息を吐く。
 身を挺して子供を庇い傷を負うだなんて。
 しかし、己の保身を図るよりも先にわけもわからず勝手に身体が動いてしまったのだからしょうがない。
 そういった言い訳を含めてまるで──────。

(「ヒーロー」みたいじゃん。まったく、エレオノーラじゃあるまいし)

 フリスト=ヴィザルソンという少女はヒーローが嫌いだ。
 馬鹿の一つ覚えのように「正義」を連呼してさも当然のように暴力で自分の主義を押し付ける。
 暑苦しくてダサいことこの上無い。
 寧ろ様々な手練手管を駆使して社会へスマートにアプローチを仕掛ける悪役(ヴィラン)の方に感情移入してしまうことの方が多い。
 だが、偶には捻くれ者らしく逆張りしてやるのも一興か。
 覚悟は決めた。
 さぁ、純真なゲスト様を三文芝居の客席にご招待するしよう。

「ほら、背中に注目!さっきまであった傷が消えてるでしょ?ね?」
「ほんとだ……。魔法みたい」

 実際はロキに纏わる「変装」の権能により、幻術のようにそれっぽく見せているだけ。
 だから、傷は相変わらず治っていないし痛みはそのまま。
 「信じさせる」ための演出の一つに過ぎない。
 脂汗を噴き出させたり、呼吸を乱してセリフを詰まらせないよう取り繕いつつ細心の注意を払って虚飾を重ねていく。

「なんてったって巫女だからね。だから、痛がっていたのもぜーんぶ演技だよん。びっくりした?」
「そうだったんだ。……じゃあフリストお姉ちゃん、ひょっとしてすごく強いの?」

 聞き望んでいたその言葉を待っていた。
 すっかりフリストのペースに乗せられたゲルダの瞳は期待と希望を抱いている証である眩い輝きを取り戻している。
 あと一押しすれば、落ちる。

「そのとおーり!自慢じゃないけどフリストさん、北欧一強いんだ。だから、ちょっと離れた所から見ててよ。あんなドラゴンすぐにやっつけちゃうから!」
「う、うん!」

 これだけお膳立てすれば十分。
 準備は整った。
 ゲルダが安全な場所まで避難するのを見届けると、体の内側に意識を集中させて巫脈に巫力を流し込む。
 そこに先程までの枯渇感は無い。
 身体が光に包まれて今度こそ本当に傷が一時的に塞がり、力が漲っていく。

「よしよし順調順調♪──────っと、お出ましかい」

 権能が上手く作用している証を実感すると同時にドラゴンに発見された。
 あれだけ目立つ輝きを放っていたら当然か。 

「お待たせ、お色直しは終わったよ。さぁ、踊ろうか」

 人差し指を曲げて挑発する少女に呼応して漸く獲物を見つけたドラゴンは鼓膜を劈く咆哮を上げながら進撃する。
 蹴散らされる瓦礫。薙ぎ払われる自動車。
 そして、必殺の間合いまで接近すると再び長く鋭い爪が振り下ろされた。
 しかし、フリストにはそれら一連の動作の全てが見えていた。
 スローモーションのようなコマ送りでゆっくりと。

「遅いよ」

 避ける必要は無かった。
 ハイタッチするようにタイミングを合わせ、片手だけでいとも容易く受け止める。
 大型車両すら空き缶のように潰して切り裂く一撃を。
 衝撃が背後へと突き抜けて地面に亀裂を生じさせる。だが、フリストに全くダメージは無い。

「あーらよっと」

 逆に間の抜けた掛け声と共にフリストが軽く手首を捻ると合気道のようにドラゴンは宙へと投げ飛ばされた。
 30mもの巨体は受け身すら取れず地面に叩きつけられ、地震の如き揺れを辺りに轟かせる。
 勢い余って折ってしまった爪を地面へ無造作に捨てつつ、ロキの巫女はイタズラっぽく敵を嘲笑う。

「言葉が通じるなら先に謝っておくよ、ブサイクくん。今のフリストさん、どうやら『最強』だからさ」

 「信じさせた嘘を現実にする」。

 実像歪曲/虚構具現、獪神の意のままに(リアリティリフレクション/ホロウビジョン・ファブリケート・トリックスター)。

 それこそがフリスト=ヴィザルソンの持つ権能。 
 通常は言語の通じる敵を口八丁で騙して翻弄する能力だが、応用として物事を信じやすい無垢な味方に理想の姿を思い浮かべるように誘導すればこのように自己強化の手段として用いることができるのだ。
 しかし、いつまで保つかはわからない。
 一見強力な権能に聞こえるが、欠片でも騙す相手に疑いを持たせてしまったらそこで効果は途切れてしまう。巫力切れも以下同様。
 よって馬脚を表す前に決着を付けさせてもらうとしよう。

(次で決める!)

 残っている全ての巫力を注ぎ込み名を告げる。

「大神の槍(グングニル)、雷神の槌(ミョルニル)、豊穣神の剣(レーヴァテイン)」

 北欧神話における神々の武器。
 巫力で編まれた夥しい数のそれらがフリストの周囲の空間を埋め尽くさんばかりに現れる。

「回り騙るは口車。かつて我が配した神威の象り達よ」

 かの武器達は神話内においてロキがドヴェルグを騙して作らせたという。
 故にロキの巫女であるフリストはその逸話に基づいて性能が抑えられた贋作を召喚して扱うことが出来る。更に巫力を多く消費すればこの通り大量に揃えることが可能となるのだ。

「今一度我が手中に戻りて仇なす者を撃ち滅ぼせ」

 即ち──────。

「模造神器ノ殲滅雨(フィヨルギュン・イーヴァルディ)!」

 詠唱と共に万軍を葬り去る神々の武器がドラゴンへと降り注いだ。
 皮膚を貫く必殺の槍。
 骨を砕く雷霆の槌。
 肉を裂く勝利の剣。
 贋作と言えど高密度の巫力の結晶。
 命中と共に激しい衝撃が炸裂し、さながら絨毯爆撃のような破壊の渦を巻き起こした。

「────ッ!──────ッッッ────!!」

 圧倒的かつ一方的な蹂躙劇。
 全身に神器を突き立てられてハリネズミのように彩られたドラゴンが地面に倒れ伏す。
 そして僅かな断末魔すら上げられず数度僅かに痙攣した後、それっきり動かなくなった。

「これにておしまい。めでたしめでたし♪」

 閉幕を告げるお辞儀と共にフリストの巫女化が解けていく。
 ギリギリの戦いを制することが出来たが、無茶の代償の支払いは避けられない。
 再び傷が開き、疲労感と激痛に全身を襲われる。

「か、はぁっ……!ぐっゔぅ、きっついなぁ……!」

 これではとても立っていられない。
 咳き込んで吐血すると膝から崩れ落ち、そのまま倒れ込む。
 そんなフリストの様子を見かねて居ても立ってもいられなくなったのか、安全な場所に隠れていたはずのゲルダが心配して駆け寄って来た。

「フリストお姉ちゃん!」

 年下の少女は涙を流していたが、フリストはその頬を伝う雫を拭ってやることが出来なかった。
 原因は首から上以外は指の一本たりとも動かすことが叶わない程の消耗。
 だから、せめて安心させるための言葉を精一杯に振り絞る。

「ゲルダ……、無事だったんだ。よかった。この辺のドラゴンは全部やっつけたからもう大丈夫だよ」
「それよりもお姉ちゃんが……!さっきはケガしてないって言ってたのに……!」
「あー……、アレ噓だったんだよね。ほんとごめん。最後までカッコつけていたかったんだけど上手くいかないもんだね。たはは……」
「そんなこと別にいいってば!直ぐにお医者さん連れてくるから待ってて!絶対に動いちゃダメだからね!」

 「いや、もう既に動けないんデスケド……」と心の中でツッコむフリストを他所にゲルダは命の恩人を救うべく無鉄砲にどこかへと駆け出そうとしていた。
 気持ちはありがたいが幼子一人で瓦礫だらけの道中を歩かせるのは危険だ。
 せっかく救った手前、ミイラ取りがミイラにで怪我を負うのは後味が悪い。
 離れようとする背中に制止を促す。
 それに加えて──────。

「ヘイ、ゲルダストーップ」
「?」
「『お迎え』が来た」

 助けを呼ぶ必要がないことを既に察知していたから。

「いたいた!おーい、フリストせんぱーい!生きてるっすかー!?」
「何だよ結構元気そうじゃねぇか。よぉ、小悪党!調子はどうよ?」

 ゲルダが首を傾げると同時に「お迎え」ことレスキューが到着する。
 赤毛が共通するコンビ。
 一人は小柄で溌剌とした表情が印象的な少女。
 もう一人は長身かつ筋肉質ながっしりとした体格の女性。

 ラグンヒル=トッテン。
 ウルフヒルド=アンデルセン。

 両者ともフリスト=ヴィザルソンと同様に『@sGIrls』に所属する巫女であった。

「おっそいよバカウルフヒルド、アホラグンヒル。おかげで大変だったんだから。早く医療班呼んで来いウスノロー。じゃないと死ぬー」
「悪ぃ悪ぃ。そっちにそれなりのドラゴンが出たって聞いて飛ばしてきたつもりだったんだけどよ。いざ来てみりゃ全部終わってんじゃねぇか。こりゃ無駄足だったみてぇだな。このまま帰っていいか?」
「うひゃーでっかいドラゴン!これフリスト先輩一人で倒したんすか?やばいっすね!今まで少し軽蔑してたけどちょっと見直したっす!」

 合流して早々、三者三様で軽口の応酬が繰り広げられる。
 若干の悪態も混ざってはいるが、そこに不仲を連想させるギスギスとした雰囲気は感じ取れない。
 これが彼女達の日常の風景、平常運転なのだろう。
 ──────一方で。

「っと、話し込んでいる場合じゃなかった。傷の治療もそうだけどもう一つ大事なコトあるじゃん」

 内輪ノリについていけず完全に置いてけぼりを食らっている幼子を一瞥してフリストは小柄な方の赤毛の少女を辛うじて動く顎で指す。

「ラグンヒル、この子避難所まで頼むわ」
「了解っす!えーと、そこの……」
「ゲルダ」
「ゲルダちゃん!おいで!お姉ちゃんがもう怖くない所に連れてってあげるからね!」
「え、でも……」

 しかし、ゲルダはラグンヒルの誘導に従わず、困惑した顔でフリストを見つめていた。
 推測するに満身創痍の命の恩人を置いて自分だけが安全な場所に行ってしまうことに罪悪感を覚えているのだろう。
 その幼い優しさに対し、フリストはあえて軽い調子で送り出す。所謂「年上の気遣い」というヤツである。

「行きなよ。仲間が来てくれたおかげでもう大丈夫だからさ。それにまたキミが治るように祈ってくれたらフリストさん、きっとまた立ち上がれるよ」
「っ、お姉ちゃんありがとう!絶対に、絶対に死なないでね!」
「当たり前でしょ。キミがイメージした『最強』がこんな所で死ぬわけがないのサ☆!そんじゃ、バイバーイ」
「うんっ!バイバイ!」

 フリストがウィンクを飛ばして別れを告げると、ゲルダはラグンヒルに抱えられて去って行った。遠く離れて見えなくなるまでずっと手を振りながら。
 あの様子なら無事避難所まで辿り着けるだろう。
 これで漸く一息を付こうとしたところで同僚との軽口の叩き合いが再開される。

「にしてもよくやったじゃねぇかヒーロー」
「マジでやめろ。虫唾がランニングする」
「ドラゴンぶっ倒して守りてぇもんをちゃんと守り切った。そんなすげぇ奴を他にどうやって呼ぶのが正しいかなんてオレは知らねぇなぁ。その傷、相当必死になって無茶したんだろ?あの子の為に」
「だぁーもう!白状すると合ってるけどさぁ!キモいっ!洞察力がキモいわっ!」

 羞恥からそっぽ向いて悪態をつくフリストを眺めながら、ウルフビルドはニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
 多分顔を背けている捻くれ者の誰かさんの表情はリンゴのように真っ赤になっているに違いない。

「まぁ、そう言うなよ。んでどうよ?こういうのも中々悪くねぇだろ?」
「それは、まぁ……うん……。偶には、ね」
「ったく、素直じゃねぇんだから。ついでにもう一つお手柄があるぜ。とびっきりのがな」
「んん?」

 ウルフヒルドが指し示す方向に首を傾けるとその先には先程倒したドラゴンの死骸があった。
 つまりこのドラゴンには「倒すこと以上の価値」が存在するということなのだろうか。
 怪訝そうに顔を顰めるフリストに雷神の巫女は語る。

「お前が『@sGIrls』に入る前に起きた出来事だったから知らないのは無理もねぇけど、オレやウリカ、そしてソールヴァイの奴がずっと探していたドラゴンさ。アレはその雑兵に当たる下っ端だけどな。まさかお前が切っ掛けになってくれるとは」

 ウルフヒルドは自分達が所属するグループ、『@sGIrls』にとって因縁深いその名を口にした。

「──────ニーズヘッグだ」

 ニーズヘッグ。

 北欧神話において世界樹ユグドラシルの根を齧り蝕む害龍。 
 そして『@sGIrls』の先代リーダー、メルキルデ=ストルテンベルグを葬った仇敵。

「そりゃとんだビッグネームのご登場で。コイツが出てくる前に蹴散らした雑魚ドラゴン達、何かに怯えて恐慌状態っぽかったから変だと思ってたんだ」
「オレが担当していたエリアも似たような感じだった。おそらくこれから荒れるぜ。この北欧一帯がな」
「いつものことでしょ」
「ははっ、そいつは違いねぇな」

 視線の先で横たわっているドラゴンを辿って行けばいずれ相見える親玉。

 ニーズヘッグ=クイーン。

 推定される危険度はAランク。
 巫女として隔絶した力を誇る『臨界者』であっても苦戦は免れない最上位に君臨する絶対強者の称号。

「気ぃ引き締めていくぞ」
「ん、死なない程度に」

 フリストとウルフヒルドはその意味を噛み締めつつ、避けられぬであろう新たなる戦いの予感にそれぞれ目を細めるのであった。 

 ──────激突の日は近い。


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