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  • 雲間を裂く真紅の翼、ヴェルメリアス

神薙の巫女と堕ちし龍Wiki

雲間を裂く真紅の翼、ヴェルメリアス

最終更新:2025年02月25日 20:38

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だれでも歓迎! 編集
 異常事態については慣れっこだと思っていた。

 『巫女連盟』ロンドン支部長である私、ウィリアム・ゴールドスタインは途方に暮れていた。
 『ティル・ナ・ノーグ』の巫女から「ロンドン郊外にて未確認の巫女と交戦。のち、任意同行を願い出ることに成功」との連絡を受け、その未確認の巫女とやらに話を聞こうとしてまず面食らった。

 ドラゴンを連れている。

 真紅のドラゴン。
 鱗は艶やかに太陽光を反射し、2本の角はねじれるように天へ向かって揚々と伸びている。尻尾は強靭そのもので、まさに威風堂々。「これぞドラゴンだ。文句あるか」といった佇まい。
 そいつが件の巫女の後ろで静かに構えている。
 それはまぁ一旦置いといて容疑者もとい巫女に注視する。その姿はまるで軍人のように、一眼見て機能性に優れたそれとわかる服装を身に纏っていた。
 動きやすく、かつ必要な部分にはアーマーが取り付けられている。素材は強化プラスチックのように見えるが、光沢の具合からそれ以外の特殊な樹脂で作られたものの可能性もあるようにも見てとれる。
 つまりまったくわからん。

「あー…。最近の巫女にはドラゴンに芸を仕込む派閥があるのかね?」

 目の前の非現実に、得意のジョークもキレが悪い。
 だが、この質問をしたことをすぐに後悔した。

「私はアクレイン共和国のリュドミラ・ホルヴァート。機神ロズリュート討伐任務の最中ワームホールに吸い込まれ、この世界に飛ばされたようだ」

 アク……なんだって?
 きしん?ワームホール?

 聞きたくもない未知の用語が次々と飛んできて、悪酔いでもしているかのような気分になってくる。

(この巫女は何処の何者だって?)
(ちょっと、アタシに聞かないでくださいよ!)

 「リュドミラ」と交戦した『ティル・ナ・ノーグ』の巫女たちはさっさと(まるで逃げるように)レッスンに向かって行き、残ったのはソロ活動のため手が空いているアリス・ヘルキャットだけになっていた。

 正直なところ、極めて心細い。

 アリスはアリスで端的に言えば変人であるが、どうやらこの異常事態に萎縮しているのかまるで借りてきた猫状態。はっきり言って頼りになるとは言い難い。

「……………………………………………………」

 目の前にはドラゴン。そしてナンセンスなワードをばら撒く正体不明の女。
 相対するこちらはただの中年親父と縮こまったネコ巫女。

 勝ち目は、無い。

「……とりあえずお前さん、いや君から話を聞きたい。その後ろの、……なんだ、キュートな爬虫類についてや、君が何処から来たのか、何者なのか、詳しく知りたいからね」
「ヴェルメリアスはラネンサス級ドラゴンだ、基本的に私の言うことしか聞かない」

 本格的に頭が痛くなってきた。
 雲行きが怪しい。さっきまで太陽が出ていたのに。
 まさに涙雨というやつか。
 それでも根気強く問答を続けていくしかない。

 …………。

 英語が通じるのは不幸中の幸いだった。
 彼女──「リュドミラ・ホルヴァート」の話をまとめるとつまりはこういうことらしい。

「私はこの世界とは異なる世界からワームホールを伝って飛ばされてきた。いわば『異世界人』にあたる」

「私の元の世界ではドラゴンと契約して機械仕掛けの神、『機神』を倒すための戦いに明け暮れている。こんなビルを建てる余裕もないくらいに人類は追い詰められている」

「私が契約したドラゴンは『ヴェルメリアス』。中型、高知性にあたるドラゴンで、少々気難しいが非常に頼りになる」

「仲間たちが待っているため、帰る手段があればすぐにでも帰りたい」

 最後については全くその通り、すぐにでも帰って欲しい。
 ただでさえなんでもありのドラゴンが暴れ回る世界なのに、人間に味方するドラゴンまで現れたらたとえそれが異世界の存在といえどこちらの容量オーバーである。
 パニックを引き起こさないために民衆に対して何と伝えれば良いのか。

 そんな私の苦悩を露知らず、来客用ガウンを着込んだリュドミラは落ち着いた様子でコーヒーを啜っている。
 紅茶には手をつけない。変わったセンスの持ち主だ。
 はてさてどうしたものやら────。
 チラリと後ろにいる巫女へと視線を送る。

「というわけだ。アリス、しばらく彼女と行動を共にして、何か不都合があったら対応して欲しい」
「……は?」

 呆気に取られるアリスを尻目に踵を返し、部屋を後にする。
 後ろから何やら罵声が聞こえてくるが、とりあえずは無視することにした。

 わかってくれアリス。
 これ以上異常事態には関わりたくないのだ。

 …………

 ハメられた。

 「変なドラゴンがいる」と聞いて、何やら楽しそうだと思って飛びついた依頼。
 そして、気がついたら「異世界の巫女」とやらと2人っきりで『巫女連盟』のビルの中。
 おまけに室内にはどう入ったのかドラゴンまで鎮座している。
 ……好奇心はネコをも殺すとはよく言ったものだ。
 このままでは緊張し過ぎて本当に死にかねない。
 とにかくこの事態を打開するためにアタシが選ぶのは、会話だった。

「あ、改めて自己紹介しましょ。アタシはアリス・ヘルキャット。この街、ロンドンで巫女をしているわ。貴女についても詳しく知りたいのだけれど。……いいかしら?」

 自分でも痛いほどわかる緊張で上擦った声。
 その様子を勘づかれたか否か、それとも単に気を遣われているのか彼女は淡々と答える。

「聞いてかもしれないが改めて。私はリュドミラ・ホルヴァート。この世界ではないところで巫女をしている……が、どうやら巫女という存在の意義について私達には若干の齟齬があるようだな」

 そう言ってコーヒーを飲み干した彼女は、カップをソーサーに置き何やら満足そうな表情を浮かべる。

「久々に美味しいコーヒーを飲んだよ。ご馳走様」

 ……来客用の、それも到底上等とはいえないコーヒー如きをここまで褒める者を初めて見たかもしれない。

(そもそもイギリスなら紅茶じゃないかしら……?)

 などとくだらない疑問が脳裏をよぎる一方で、リュドミラが溜め息まじりに談話を進めていく。

「私の世界では、神と敵対している。この世界ではむしろ神とは友好的な関係なようだね。少し羨ましいよ」
「そちらの世界の神サマは、そんなに危険なものなの?」
「極めて危険さ。有史以来、全部で22体……今は12体の『神』が残っている。山を砕き、湖を干上がらせ、雲を吹き飛ばし、星すら掴まんとする恐ろしい敵だ。ドラゴンたちの助力が無ければ、人類はとうの昔に絶滅していただろうね」

 おかげでコーヒーも満足に飲めない、と愚痴を溢すリュドミラ。
 向こうの世界に巣食う人類の敵は「量より質」らしい。

「こっちの世界の神サマは、基本的に人類に友好的ね。代わりにドラゴンと敵対しているわ。本当にいろんな種類がいて、それほど危なくない小ちゃなドラゴンから、このビルくらいの大きさのドラゴンまで様々。噂によるとこの星に巻き付いてるドラゴンもいるらしいの」
「それは凄いな。……味方にできたら頼もしそうだが。おっと、敵対しているんだったな」
「そうね、ちょっと残念だわ」

 2人してクスリと笑う。
 ちょっとだけ距離が縮まったような、気がした。

 外は相変わらず雨。

 いや、雨足が強まってきている。
 「霧の都」なんて言われているロンドンだが、嵐はさすがに勘弁願いたい。

 …………

 そんなささやかな願いも虚しく、外は荒天極まる様相を呈してきた。
 ごうごうと風が吹き、遠雷が曇天を彩る。
 雨音は激しさを増し、耳障りな音を奏でる。

 そして、恐れていたことが起きた。

「上空にドラゴンの気配がするわ……」

 基本的に仇敵であるドラゴンの気配は、巫女であれば大体てはあるもののなんとなくわかるものである。
 しかし、ここまでくっきりとその気配が感じられるのは初めてだ。
 アタシがこれまで相手してきたのはせいぜいCランクが限界。ソロ活動専門巫女は身の安全の保証を仲間に頼れない分、どうしても小粒の相手がメインになりがちだ。
 だが、上空のそれは明らかにCランクを逸脱した、凄まじい殺気と龍気を漂わせている。

 『巫女連盟』職員が慌ただしく部屋に入ってくる。

「上空の異常発達した積乱雲の内部に、ドラゴンを探知いたしました!」

 予感は的中した。
 だが、ドラゴンの場所が遠すぎる。積乱雲の高さまで翔ぶには天空神系の巫女が必要だ。

「アタシが翔べたら……」

 歯軋りする。
 相手の強大さを度外視しても、ツメすら届かない遥か遠くではどうしようもない。
 確か『ティル・ナ・ノーグ』の巫女たちはロンドンを遠く離れ、ウェールズに行くと言っていた。
 ここに巫女がいるというのに、手と足も出ないまま蹂躙されるしかないのか。

「ふむ。ならヴェルメリアスが翔べばいい。行こうか、アリス」
「え?」

 確かに荒天でもドラゴンなら問題なく飛翔できる。ドラゴンを操れるらしいリュドミラなら、もしかしたら対等に戦えるかもしれない。
 それでも狼狽えてしまった。

「どうした?何を固まっている?ヴェルメリアスに乗るぞアリス」

 ……聞き間違いではなかった。
 どうやら「アタシもドラゴンに乗る」ことになるらしい。
 もういい、腹は括った。
 いっそのことこの状況を利用して信仰を稼ぐだけ稼いでやる。

「空撮用ドローンを探してくるわ」

…………

「作戦は、こう」
 『巫女連盟』ロンドン支部のビルを背後にアタシは今回の作戦(と言っても簡素なものだけど)の説明を始める。

「まずはあの雲を突き抜けて、その上まで飛翔する」

「そこからヴェルメリアスの炎のブレスで雲を蒸発させ、内部のドラゴンを文字通り炙り出す」

「姿を暴いたあとはアタシの権能を使ってヒット・アンド・アウェイで仕留める」

「もしアタシが落ちそうになったら、カバーをお願い」

「以上!」

 空撮用ドローンをバックパックに詰め、対ドラゴン用の武装をチェックし、リュドミラもアタシも巫女装束に着替えて準備は完了。
 チームの相性はまるで考慮外。権能や連携についても未確認。そもそもバディは異世界の巫女。とどめに相手は推定ランクB。

 はっきり言って勝ち目は極限に薄い。

 でも、何故だか負ける気がしない。
 気分が高揚している。
 初めてステージに立った時のあの感覚に近い。

 凄まじい雷雨が降り注ぐ上空をキッと見つめ、リュドミラに合図を送る。

「準備はできてるわ」
「よし、では……行くぞ!アリス!ヴェルメリアス!」

 瞬間、ヴェルメリアスの羽撃きが豪雨を吹き飛ばし、垂直離陸による強烈なGがアタシを襲う。

「ぎ、ぎにゃあああああぁぁぁぁぁ!!?」

 ヴェルメリアスは背を上下に揺らしながら、尚も速度を上げ、矢のように天空のその先へと突進する。完全にアタシの無事は想定していない。

 これはマズい!振り落とされる!

 必死になって鱗と鱗の隙間を引っ掴み、なんとか振り落とされないよう縋り付く。

 速い。速すぎる。

 顔を濡らすのは雨だけではない。半分は冷や汗だ。今まで経験したことのない方向へ引っ張られるのがこんなに恐ろしいものなんて思わなかった。
 積乱雲に突入し、荒れ狂う暴風と雷のオーケストラに包まれる。脳が、耳が、腕が、指先が悲鳴を上げる。背中のバックパックの感触でかろうじて意識を保っていられる状態だ。

「……!」

 リュドミラが何か叫んでいるが、全く聞こえない。
 その直後、ついにアタシたちは積乱雲を突き抜けた。

 広がる青空。足元には雲海。
 高度3000メートルの世界。
 そのあまりにも清々しい空気に、アタシは息を呑む。
 先ほどの喧騒は嘘のように凪いでいる。
 ヴェルメリアスの背の上で体勢を整え、空撮用ドローンの準備をする。内蔵コンピュータの制御に従って、正確に四方に飛んでゆくドローン。

「作戦、開始ね」
「ああ、いくぞ」

 ヴェルメリアスの口から炎が噴き出し、積乱雲を焼き払っていく。しばらく雲を溶かしていくと、雲間にチラリと緑色の鱗が見えた。
 間違いない。あれが今回のドラゴンだ。
 こちらの動きに気づいたドラゴンは怒号をあげ、こちらに向き直り襲いかかってくる。
 ヴェルメリアスは突進をひらりと躱し、お返しとばかりに火焔を吹き付ける。だが相手のドラゴンもそう易々と何度もやられてはくれないらしく、嵐のブレスで対抗する。

 準備は整った。

 ドローンの空撮スイッチを入れ、「ボク」のショータイムが幕を開ける。

「レディースエンジェントルメン!本日はボクのショーをご覧いただきありがとう!」

「本日お目にかかりますは『ドラゴンの解体脱出ショー』!ボクの放つ無数の刃からドラゴンくんは果たして生還できるか!?」

「見事生還できたら拍手!生還できず哀れにもボクにコマ切れにされても拍手で見送ってやってください!」

 挨拶が終わると同時にチェシャ猫の「権能」でドラゴンの頭上にワープ。素早く鱗と鱗の隙間に短剣を撃ち込んでいく。
 ドラゴンは身を捩って抵抗するが、振り落とされる前に再度チェシャ猫の権能でワープ。行き先はヴェルメリアスの背。
 手筈通りにヒット・アンド・アウェイで次々と短剣をドラゴンの肉に撃ち込む。時折空から短剣を投げつけるフェイントを仕掛け、容易には動きを読ませない。
 首筋に4本、背中に15本、尻尾に5本、合計24本の短剣を撃ち込んだところで仕上げに入る。
 短剣一本一本をワイヤーで繋げていき、ひとつなぎの「電線」を作成する。背中を伝って走り回る感触にドラゴンは何か危険を覚えたのか暴れ始めるが、ワイヤーは余裕をもった長さをしているため千切れることはない。

「準備完了!それではお待ちかね!ドラゴンくんは刃から逃れられるか!?イッツ、ショータイム!」

 ボクは高らかに宣言すると、背中にある丁度真ん中に位置する短剣に手を当て、思いっきり巫力を流し込む。巫力がワイヤーを伝い、迸る。
 24本全ての短剣が食い込んだ肉に巫力を浴びせ、まるで電撃のようにドラゴンを貫く。

 ドラゴンは悲鳴をあげ、爆散……はしなかった。

 それどころか憤怒の咆哮をあげ、思いっきり大暴れする。たまらず振り落とされたボクは権能を使う余裕もなく、超高度の世界に投げ落とされる。

 マズい。実にマズい。

 ドラゴンは暴れまくっていて、とてもじゃないが背の上なんかに乗れる余裕はない。リュドミラとヴェルメリアスの場所もわからない。
 そんなボクの視界の端に、真紅の翼がチラリと映る。身体を捻りそちらを向くと、こちらに向かって手を伸ばしているリュドミラの姿があった。

「大丈夫か!」

 手を伸ばし叫ぶリュドミラ。
 ボクも彼女に向かって手を伸ばす。

 権能なんか使ってられない。
 ヴェルメリアスの速度が速すぎて背に乗れないし、落下するボクの速度も速すぎて仮にワープに成功しても背に叩きつけられる。
 限界まで伸ばしきった手が、なんとかリュドミラの手を掴む。ボクを引っ張るリュドミラ。久しぶりのヴェルメリアスの背は、とても広く頼もしく感じた。
 ボクたちは激昂するドラゴンから距離を取る。
 最初に立てた作戦は通用しなかった。だが、確かにダメージは与えたはずだ。でなければあそこまで怒り狂った様相は見せない。

「どうする?ヴェルメリアスの炎はあいつに対して有効打にはなりそうにないが」

 リュドミラが問いかける。
 ボクにはその答えがある。

「ひとつだけ、切り札があるよ」

 ボクはそういうと、バックパックから一振りの短剣を取り出す。氷のように蒼い等身を持った、見ているだけで切り傷を負いそうなほど鋭い短剣。

「ヴォーパルダガー。こっちの世界では有名な、ドラゴン殺しの必殺武器。世界に数本しかない、ボクの宝物さ」

 遺継装具ヴォーパルダガー。

 ボクが「チェシャ猫」の神装巫女となった時に一緒に手に入れた、非力なボクのとっておき。

「ヴォーパルダガーをヤツの腹部にある『コア』に突き刺す」
「『コア』?」
「こっちの世界のドラゴンの弱点ってところかな?さっきの攻撃の感触でコアは腹にあるのが解ったから、なんとかヴォーパルダガーを突き刺すことができれば、ボクらの勝ちだ」

 問題はドラゴンの腹を狙う手段だ。当たり前だが腹は下にあって、容易には狙えない。なんとかヤツをひっくり返す必要がある。

「ならば、私とヴェルメリアスが囮になろう。上からブレスを浴びせれば、ヤツは翻ってブレスで対抗するだろう。その隙を狙え」

 リュドミラの提案は彼女を危険に曝すものだ。
 だが、今はそれしかない。ランクの高いドラゴンの再生力は並ではなく、ましてやボク程度の巫力の攻撃などすぐに再生し終えてしまうだろう。
 肉の弛んだ今こそヴォーパルの一撃でトドメをさすチャンスなのだ。
 ボクとリュドミラを乗せたヴェルメリアスがドラゴンの上に陣取る。それに気づいたドラゴンはこちらの狙った通りに翻り、臨戦モードに入る。

「それではショーも大詰め!こちらのダガーの一刺しが最後の一本となります!果たしてドラゴンは全ての刃を躱し、耐え、生還できるか!?ご覧ください!」

 ボクの宣言と、2体のドラゴンがブレスを吐くのはほぼ同時だった。

 ヴェルメリアスの火焔のブレス。
 ドラゴンの嵐のブレス。

 両者の勢いは拮抗し、互いに譲らない。
 ボクは慎重に狙いを定め、ドラゴンの腹部に、小さな膨らみを見つけ出す。
 権能を使い目的地にワープ。そしてヴォーパルダガーを振り上げ……すべての巫力を振り絞り、ヴォーパルに込めて突き刺した。

 刹那。蒼い閃光が迸り、ドラゴンの身体を引き裂く。

 突き刺したヴォーパルを引き抜き、上空で待つヴェルメリアスに帰還する。
 下を見るとドラゴンの身体から無数の光芒が溢れ出している。もはや怒る余裕もなく、断末魔の悲鳴をあげながら身悶えするドラゴン。
 光は渦を巻き、どんどん膨れ上がり、ドラゴンを包み込んでいき……そして大爆発を起こし、散っていった。
 足元の積乱雲が霧散していく。

 勝った。
 勝ったのだ。

 リュドミラとハイタッチで喜びを分かち合う。
 ドローンを回収して、アタシたちはゆっくりと、地上へと帰還する。
 嵐とともに始まった空の激戦は、快晴とともに終わりを迎えた。

…………


「撮影した内容を放送できないィ!?なんで!何!!で!!」

 ドローンでの空撮映像を粗方確認し終わり、これから編集作業という時にウィリアム・ゴールドスタインからの一方的な通達。
 当然、アタシはブチ切れた。
 こっちは命懸けで高ランクのドラゴンと戦ったのに、ご褒美は一切無し!なんて許されるはずがない。
 何より、こんな刺激的なバトルを目撃できない視聴者が可哀想だ。

「リュドミラ・ホルヴァート及び紅竜ヴェルメリアスの存在が超国家機密に相当することになった。キミがドラゴンに乗って空から降りてくるところも目撃されているが、これを揉み消す仕事で手一杯になっていてね」

 頼むからこれ以上仕事を増やさないでくれ、と懇願するウィリアム。
 納得いかないが、国が絡むことに首を突っ込んで碌なことになった試しがない。ネコだって学習はする。

「まあ、仕方のないことさ」

 リュドミラ・ホルヴァート……撮影NGの原因は、素知らぬ顔でまたもやコーヒーを啜っている。
 なんだか煽られているような気分になり非常に不愉快だが、仕方がないのもまあ事実ではある。

「それにしても良いイチゴだ。私はイチゴが好物でね」

 ショートケーキをつつきながらイチゴを褒める。
 近くの売店で適当に見繕ってきたものだが、相変わらず妙に食べ物に関して食いつきが良い。

 ……「あちらの世界」はありふれた果物にありつけないくらい大変なのだろうか。

「イチゴならもっといいのが沢山あるわ。今度いろいろ紹介してあげる」

 イチゴと一緒にとびきり甘いスイーツを用意してやろう。コーヒーに合うような、とびきり甘いやつを。

「楽しみにしているよ」

初めて見るリュドミラの笑った顔は、ずいぶんと幼く感じた。

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