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desire

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desire

結果的に、双海亜美を探し出すことは叶わなかった。
結論から入る前に過程を、と言う人もいるだろうがとにかくそれしか言う事がなかった。

全員の治療が終わり、探し始めた頃にはすでに双海亜美は元の場所にいなくなっていた。
そこから周辺を探し出したがどこからも出てくる様子はなかった。
誰にも会いたくないと隠れているか、すでに違う遠い場所に行ったか。

「……はぁ」

結局、今の自分にはどうする事も出来なかった。
1時間以上探しても見つからないから仕方ないと言えば仕方はない。

だが、もう少し早く自分だけでも動けていればよかったのではないか。
少なくとも、風花さんに2人を治療させつつ任せて、自分だけでも亜美ちゃんを説得しに行くことは可能だったはずだ。
遭遇した際彼女がもっていたのは鋸であった。
それを装備しているという事は同時にそれが彼女が持っている最大の武器だという事だ。

もし銃を持っているならば温存せずとも使えばいい。
あんなわざわざ、奇襲のような形をして襲う必要はなかったはずだ。
つまり近づかなければ何の問題もない。
近づいてこようものなら逃げると言う選択肢だって取れる。
そもそも自分は銃を持っている、絶対的優位なはずだ。

なのに自分は向かう事さえしなかった。
皆の治療が終わるまで、ずっと、ずっと待っていた。

(……本当に)

心の中で呟こうとした時だった。
ふと、耳に音が入ってきた。
ぴんぽーんぱーんぽーん、と。

「……あ」

急いで端末を取り出し時間を確認する。
そこにはしっかりと、12:00と書かれていた。




     ◆     ◆     ◆




それからすぐに民家の中に入った。
理由は単純、放送を落ち着いて聞くためである。
外で聞いていて、途中で誰かに襲撃された、などとなった場合情報が聞けない可能性もある。

そこまで心配はいらないだろうが、警戒するに越したことはない。

流れてくる情報に、耳を傾ける。

死亡者、禁止エリア、それを知らせられる。
そして放送が終わった。

今言えるのはただ、これだけだ。
そうとしか形容する事ができないほどにこの放送は衝撃だったのだ。

まず、この6時間の間に12人も死んだという事実。
ここから導き出される事実は残酷としか形容できない。
自分たちの仲間に、その中でも双海亜美以外にも間違いなく殺し合いに乗っている人がいるという事。
ずっと一緒に頑張ってきた仲間が、殺しあっている。

「……」

誰も喋ってはいない。
いや、ここで何を喋ればいいのかわからないのだ。
恵美もエレナも死んではいなかった。
それを喜べばいいのだろうか……喜べるはずがない。
先ほども言ったが12人も死んでいる。
そんな状況で、最も仲のいい2人が生きているからと喜べるはずがない。
生きていて嬉しくないわけはない、だが……言うなれば不謹慎という言葉が似合うだろう。

目の前でさっきまで元気を振り向いていた環も、黙り込んでしまっている。
中谷育――――彼女にとっての仲のいい友達が死んだ。
その事が大きいのかもしれない。
そもそもとして、皆が死んでしまっている状況を悲しんでいるのかもしれない。

どちらにしろ言える事は、環の笑顔すら曇ってしまっている。
それほどまでに、命と言うものが重いと痛感する。


「……皆で、早く亜美ちゃんを探しましょう」


だが、進むしかない。
ここで悲しんでいても、どうしようもないから。
今生きているのだから、少しでも進まないといけない。

そんな『優等生』の虚言だ。

しかし虚言であろうとも、言葉は重い。
それひとつで場を動かすことは可能なのである。

「……そう、だね……早く亜美を探した方がいいぞ」

響ちゃんが、すぐに賛同してくれた。
風花さんも環ちゃんも、すぐに了承してくれた。
もうすぐお昼時でご飯もなんとかしないといけない事も念頭に入れながら、まずは4人で亜美ちゃんを見つけないといけない。

「とりあえず方針を決めましょう」

そもそもとして現状すべきなのは亜美ちゃんを見つける事である。
そのために4人でまとまって探していても効率が悪い。
せめて2人組を2つに分ける、という事はしたい。

「亜美ちゃんを探すのは先決ですが、ある程度探しても見つからないのであれば仕方ないと他の人を探した方がいいと思います。
 でも探すならば少しでも効率がいい方がいいです……だから2人組に分けたいのですけど、私が環ちゃんと一緒に行くので響ちゃんと風花さんの2人は別行動で探してくれませんか?」

この組み合わせにも一応理由はある。
私は武器……拳銃を仮にも持っていて怪我をしていない。
それに対して3人は重症ではないものの怪我をしている。

だから、一番危険……と言うよりは怖い環ちゃんを自分が見ていた方がいいと判断したのだ。
響ちゃんと風花さんも2人ならばよほど何かが起こらない限り問題は起こらないであろう。

「……それじゃあ、1時間だけ探しましょう……この場所に1時間後、13時に再度集合してください……それでいいでしょうか」
「それでいいと思います」
「たまきもそれでいい! だから早く探しに行こう!」

思ったよりも、理由も聞かれる事なく了承してくれた。
どうして2人組で探すのだ、どういう理由で組んだのだという事も聞かれない。
そう言う意味で少し驚いている。

「そ、それじゃあ今から行動を開始しましょう……連絡手段はないので亜美ちゃんを見つけても連絡は取れません。
 けど、見つけたからと言って無理はしないでください……命あっても物種ですから」
「はいさい! いやー……さすが、琴葉は頼りになるさー!」

響ちゃんが笑顔で私に言い放ち民家から出て行った。
それを風花さんがすぐに追いかける。

その姿を私は、ずっと見ていた。
出て行ってからも、ぼーっと2人が出て行った扉を。



「……ことは?」



と、そこで少し飛んでいた意識が戻ってくる。
すぐ傍には環ちゃんがいた。

「あ、ご、ごめんね……行こうか」

荷物を急いでとって、民家を出た。
今すべきことは、亜美を探す事なのだ。
こんな所で止まっていては、いけない。




     ◆     ◆     ◆

早く彼女を止めに行こう。
でも駄目なら他の事をしよう。
そんな誰でも言えるような言葉だけ吐いて。
恵美が言っているような、委員長みたいに。

自分だけで何もできなかったと言うのに。
怖がって逃げだしていたというのに。

偉そうに3人に指示をして。
実際その通りに動いてもらっている。

『いやー……さすが、琴葉は頼りになるさー!』

響ちゃんのこの言葉が、胸に刺さる。
私は何もしなかったのに。
私は何もできなかったのに。
頼りになるなんて、そんな風に言われて。

ただ、茫然となることしか出来なかった。
今の自分がとても滑稽に見えて。

なんと言ったらいいかわからない、そんな感覚に襲われる。


ただ……そんな中でもひとつ言える事があった。



――――私は、優等生<いい子>なんかではない。



【一日目/日中/B-2】

我那覇響
[状態]手に軽度の裂傷(応急処置済み)、動揺
[装備]なし
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0~1)、鉈
[思考・行動]
基本:プロデューサーを探しつつ、他の皆とも合流する。
1:風花と行動。
2:亜美を助けたい。まだ少し怖いけど……

豊川風花
[状態]左腕に裂傷(応急処置済み)、失血(軽度)、服の左腕部分が切断されている
[装備]アイスピック
[所持品]支給品一式(救急箱一部使用)、ノコギリ、ランダム支給品(0~1)
[思考・行動]
基本:皆を信じて、このイベントに諦めないで立ち向かう。
1:響ちゃんと亜美ちゃんを探す
2:亜美ちゃんを止めなきゃ……
3:琴葉ちゃんも響ちゃんも無理はしないでね。


【一日目/日中/B-2】

田中琴葉
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]支給品一式(救急箱一部使用)、ランダム支給品(0~1)、ワルサーP38(8/8)予備マガジン×3
[思考・行動]
基本:プロデューサーを探しつつ、他の皆とも合流する。
1:大神環と行動……亜美を探す
2:風花、環と共に亜美を説得する。
3:動けなかった事に罪悪感と無力感。
4:自分自身に嫌悪。

【大神環】
[状態]体中に擦り傷(応急処置済み)
[装備]なし
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(1~2)
[思考・行動]
基本:みんなと一緒にいたい、いまはことはについてく。
1:あみを探したい
2:みんな、元気ない……?
3:いく……



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 大神環 
 我那覇響   ♪空の向こうへ 
 豊川風花 


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