farewells
自分の中にある原初の風景は、モノクロだ。
色一つない世界。まるで、お姫様を閉じ込める鳥籠の如く。
手を伸ばそうが、目を凝らそうが、何も変わらない。
きっと、四条貴音は永遠に其処から出られないのだろう。
夢を見ること無く、何かに希望を持つこと無く。
微睡みから覚めた貴音は茫洋とした意識を正常に戻し、来たるべく放送に耳を傾ける。
流れ出す無機質な声。大切であった仲間達の名前が呼ばれていく。
色一つない世界。まるで、お姫様を閉じ込める鳥籠の如く。
手を伸ばそうが、目を凝らそうが、何も変わらない。
きっと、四条貴音は永遠に其処から出られないのだろう。
夢を見ること無く、何かに希望を持つこと無く。
微睡みから覚めた貴音は茫洋とした意識を正常に戻し、来たるべく放送に耳を傾ける。
流れ出す無機質な声。大切であった仲間達の名前が呼ばれていく。
「死にましたか、春香」
この島にいる少女の中で一番輝いていたであろう彼女。
天海春香はプロダクションの中でも随一だったのではないか。
天海春香はプロダクションの中でも随一だったのではないか。
「どれだけ輝こうとも、この地では儚く散る一枚の花弁に過ぎませんか」
けれど、彼女は死んだ。もう二度と言葉を交わすことも、ファンに歌を届けることもない。
死んでしまえば、人は無価値だ。ただの屍肉の塊、何を想おうとも答えは返ってこない。
死んでしまえば、人は無価値だ。ただの屍肉の塊、何を想おうとも答えは返ってこない。
「所詮は駒。掃いて捨てる程存在する換えの聞く贄」
ふと見上げると、天高く登った太陽が燦々とした日光を振り下ろしている。
煩わしさもあったのか、貴音は思わず瞼を閉じ、顔を顰めてしまう。
ほんのりと浮かぶ汗は、いつものアイドル活動で生じるものと同じだ。
そう、同じなのだ。こんな場所に隔離されて、殺し合いを強いられていても変わらないものもある。
そして、変わらざるを得なかったものがある。
煩わしさもあったのか、貴音は思わず瞼を閉じ、顔を顰めてしまう。
ほんのりと浮かぶ汗は、いつものアイドル活動で生じるものと同じだ。
そう、同じなのだ。こんな場所に隔離されて、殺し合いを強いられていても変わらないものもある。
そして、変わらざるを得なかったものがある。
「…………どれだけ足掻こうとも、この箱庭は破られない」
くすんだ輝きを放つ石ころが、此処に一つ。
粉々に砕け散った宝石が、此処に一つ。
世界は泡沫、夢幻の如く。
輝きの向こう側から自分の意志で退場した自分が、今更何を想えばいいのだろうか。
笑う、嗤う。声を上げ、口を釣り上げ、いつものように。
なんて空っぽ。滑稽な女だろうか。勝手に諦めて、伸ばされた手もヤケクソ気味に切り捨てて。
それでいて、一瞬でも、彼女達の仲間を気取ろうとしていた。
粉々に砕け散った宝石が、此処に一つ。
世界は泡沫、夢幻の如く。
輝きの向こう側から自分の意志で退場した自分が、今更何を想えばいいのだろうか。
笑う、嗤う。声を上げ、口を釣り上げ、いつものように。
なんて空っぽ。滑稽な女だろうか。勝手に諦めて、伸ばされた手もヤケクソ気味に切り捨てて。
それでいて、一瞬でも、彼女達の仲間を気取ろうとしていた。
「空はこんなにも綺麗だというのに」
空。青空。手を伸ばしたその先に広がる青は、際限なく広がっている。
きっと、それは綺麗と評せるものだし、素晴らしいと賞賛されるだろう。
比類なんて存在しない青だから。
他の青と比べように無いくらい輝いているその世界は、誰もが羨む桃源郷だ。
きっと、それは綺麗と評せるものだし、素晴らしいと賞賛されるだろう。
比類なんて存在しない青だから。
他の青と比べように無いくらい輝いているその世界は、誰もが羨む桃源郷だ。
「地を這う私達は愚かで醜いのはどうしたものでしょうか。ねぇ、真」
困ったように笑いかけた先には物言わぬ躯と成り果てた肉塊が今も目を見開いたまま倒れている。
どくどくと流れ出した血は、草原を赤く染め、水たまりを作っていた。
身体にまとわりつく嫌悪感が、それらを汚らわしいと認識する。
どくどくと流れ出した血は、草原を赤く染め、水たまりを作っていた。
身体にまとわりつく嫌悪感が、それらを汚らわしいと認識する。
「……答えなど返ってくるはずもないのに」
適当な言葉を最後に、貴音は真に背を向けて前へと歩き始めた。
気の向くままに、諦観に満ちた世界に絶望して――夢を見る。
気怠げに足を動かし、握り締められた拳銃をくるくると回す。
気の向くままに、諦観に満ちた世界に絶望して――夢を見る。
気怠げに足を動かし、握り締められた拳銃をくるくると回す。
「今更。此処から帰れたとして、元の日常は絶対に迎えてくれない」
皆で力を合わせればきっと何とかなる、とは思えなかった。
少なくとも、元の日常に死んでいった仲間達とプロデューサーはいない。
壊れて砕け散った輝きが再び蘇ることは、ない。
それはアイドルという職業を痛いぐらいに知っている彼女だからこそ、感じたことだった。
だから、彼女は諦めた。何もかもを諦めて凶行に走ってしまった。
少なくとも、元の日常に死んでいった仲間達とプロデューサーはいない。
壊れて砕け散った輝きが再び蘇ることは、ない。
それはアイドルという職業を痛いぐらいに知っている彼女だからこそ、感じたことだった。
だから、彼女は諦めた。何もかもを諦めて凶行に走ってしまった。
「どうせ誰も救われないならば。夢を二度も見れぬ世界ならば」
終わらせた夢の続きが、彼女をアイドルへと繋ぎ止めている。
生きるのは選択であり、悔恨だ。
いつだって人間は選んで、捨てて――最後に後悔をする。
こうしておけばよかった、ああしたら失敗しなかったなんて捨て台詞を口癖に、灰色の靄をかけてしまう。
生きるのは選択であり、悔恨だ。
いつだって人間は選んで、捨てて――最後に後悔をする。
こうしておけばよかった、ああしたら失敗しなかったなんて捨て台詞を口癖に、灰色の靄をかけてしまう。
「私の手で壊してしまえばいい。何もかも、全ては泡沫。完膚無きまでに壊して、壊して、最後に――」
汚れてしまった右手を、天高く伸ばす。青い空へと、夢が終わる最果てへと。
――私が死んで、零になる。
その言葉は、ほんの少しの“四条貴音”を乗せて、耳に溶けていった。
何故だろうか。手を伸ばした瞬間、微かに希望の歌が聞こえた気がした。
あぁ、これが悔恨なのだ。
天海春香が終ぞの時まで抱いた理想が垣間見え、自分が諦めた夢の先は、きっと綺麗なのだろう。
何故だろうか。手を伸ばした瞬間、微かに希望の歌が聞こえた気がした。
あぁ、これが悔恨なのだ。
天海春香が終ぞの時まで抱いた理想が垣間見え、自分が諦めた夢の先は、きっと綺麗なのだろう。
「さぁ、終わらせましょう。誰一人として逃がさない。この夢はもう腐り果てている。 どうしようもなく、やり直しがか効かない程に」
されど、それはただの夢だ。
夢を見るには、貴音は大人に過ぎた。聡明に過ぎた。
夢を見るには、貴音は大人に過ぎた。聡明に過ぎた。
「ならば、総てを壊して――最後に私も潰えましょう」
もう戻れない道を、四条貴音は一人で進み――そして、朽ちていく。
【一日目/日中/C-8】
【四条貴音】
[状態]健康、諦観
[装備]Colt Lawman(5/6) [所持品]基本支給品一式×2、予備弾丸×60(.357 Magnum)不明支給品1~3
[思考・行動]
基本:総ては泡沫。
1:諦観。
【四条貴音】
[状態]健康、諦観
[装備]Colt Lawman(5/6) [所持品]基本支給品一式×2、予備弾丸×60(.357 Magnum)不明支給品1~3
[思考・行動]
基本:総ては泡沫。
1:諦観。
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