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Believe your change

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Believe your change


――――私の心は晴れ切っていませんでした。

少し前に決意をして移動したばかりなのにこれじゃあ笑われてしまいそうですが。
ですが、それに値するだけの事象が起きたのです。

第一回放送、プロデューサーさんの声が聴ける機会。

最初、あの人の声が流れた時に嬉しいような悲しいような。
そんな感情に私の心は一瞬支配された。
仮にも信じ、恋をしたあの人のその声に。

だが、そこにあったのは非情な現実だった。
12人もの仲間が死亡した。
禁止エリアの通告。
その事実だけを淡々と述べただけ。

たったそれだけで、終わりだなんて。
あんなに皆の事を思って行動してくれたプロデューサーさんがだ。
死んだという事実を淡々と述べて終わったのだ。

それがどうしたのだ、と言われるかもしれない。
確かにバトルロワイアルの進行役は淡白であるべきだ。
バトルロワイアルで描かれていた放送も、基本的に淡白なものであった。
それが普通だ、それくらいはわかっている。

だが、圧倒的に、絶対的に、違う点が1つあるのだ。

バトルロワイアルでの主催者と城岩中学が過ごした時間、
私達とプロデューサーさん達が過ごしてきた時間、
そこには圧倒的に差がある。
1日どころか数時間、開幕時の数分と言っていい彼らの関係と1年近く一緒に過ごしてきた私たちの関係の差が。

「プロデューサーさん……なんで」

原作の通り盗聴器でもついているなら、聞こえるかもしれない。
だが、ついてなくて声が届いているかもわからない。
それでも、一つだけ今聞きたいことがあった。



「なんで……そんなに冷静なんですか……?」



死んだ12人は、少し会っただけの中学生ではないのに。
ずっと一緒に頑張ってきた仲間だと言うのに。
何故、あの人は悲しむ素振りすら見せなかったのか。



春香さん、皆を引っ張っていける凄い人だった。
プロデューサーさんにお菓子を作ってきたと言いながら渡していた。
その際に転んで作ったお菓子を散乱させてしまったなんてことがあった。

真さん、男の人みたいなのに女の子な人だった。
迷った時にすぐに相談に乗ってくれたり、少しドキッとさせる所があった。
空手の稽古を通してアイドルとして成長していた時の彼女の笑顔は忘れられない。

奈緒さん、どんな時でも皆を元気づけてくれる人だった。
いつでも食べている印象がついてて、その笑顔はこちらまで元気にさせてもらっていた。
でもそんな彼女のアイドルへの情熱を1周年ライブの時に知ったのは記憶に新しい。

可奈ちゃん、猪突猛進という言葉が似合う元気な子だった。
千早さんに憧れていた彼女だが最初は歌がお世辞としてもそんなに上手くないと言うほどだった。
だが、彼女のひたむきさで初めてのCDの時には彼女らしい素晴らしい歌が聞けた。

莉緒さん、大人な雰囲気を持っているのにどこか抜けている人だった。
とにかく残念なのだが間違いなくあの人の大人っぽい雰囲気は私には届かないなと思わされた。
オイルを塗ってくれと頼まれていた時のプロデューサーさんの顔もはっきりと覚えている。

茜ちゃん、どんな時でも騒がしい人だった。
プロデューサーさんに対して煽っていたりプリンを要求していたりしていた。
だがそんな彼女もアイドルとしての仕事に手を抜いていた事は間違いなくなかった。

千鶴さん、セレブだと言い続けるなかなか変わった人だった。
だけれど実際の所は面倒見のとてもよい凄くいい人だった。
アイドルに対しても見下すと言ったことがなく真摯に向き合っているところは皆が知っている。

ジュリアさん、最初見たときはすごい怖い人だと思った。
けれど歌への姿勢だけは千早さんにも負けないほどであった。
どんどん彼女の本当の姿が見えたときには、最初抱いた感情は消えていた。

育ちゃん、可愛らしくてとても良い子だった。
10歳ながらにアイドルを頑張っているのはすごいの一言だ。
でもまだ幼く、プロデューサーさんが影からアシストしていたりすることが多々あった。

翼、14歳とは思えない容姿と相応の内面を持ち合わせた子だった。
外見だけれはなくアイドルとしての能力もとても高くてすごいと思った。
……プロデューサーさんに対して誘惑していた時の彼女に対してムッとした時もあったけれど。

ひなたちゃん、とても和やかな場の雰囲気を落ち着かせてくれる子だった。
田舎の事を喋る時に、必ずと言っていいほど笑顔で温かみのある所だったんだろうなぁと想像させてくれた。
その彼女の笑顔はこちらの心を和ませる何かがあるのだろうとまで思った。

そして――――美也さん、いつでもほんわかとしているどこかずれたような人だった。
皆が花見を楽しんでいる中、プロデューサーさんとオセロをしていたり。
サッカーをすると言っているのにバレーボールをしてたり。

ここであった時も、呑気だなぁなんて思っていたのに。
彼女は、私を責める事なんてしなかった。
私を……最後まで、笑顔にしようとしてくれた。

そんな、とても優しくて、凄い人だった。



その12人は、みんなみんな死んでしまったのだ。
皆とのどこの場面を思い出しても……そこにはある姿があった。
それは、言うまでもない――――プロデューサーさんの姿であった。
ずっと彼は、私達の隣にいたはずなのだ。

それだけ、彼の中には思い出があるはずなのに。
なんで、ここまで落ち着いて死者の名前を呼べるのだろうか。


「……」


あの人の中に、思い出はなくなっているのだろうか。
表情が見えないだけで、こんなにももどかしい。
本の中での世界ならば、本当の表情がわからなくても想像できた。
だが、ここは本の世界でもなんでもない。

彼の表情が見える事なんて、絶対にないんですから。

「……でも、信じたいですよね」

今までの私なら、折れていたかもしれないけれど。
私には、美也さんがついている。
真っ直ぐに生きていくことが、できる。
――――そんな気がしたから。


だから、私が信じたプロデューサーさんを、信じたい。
何を信じたいか、なんてわからないけれど。


「……まずは、誰かを探しましょう」

今の自分は、あまりにも非力と言っていい。
誰か、他に仲間がいた方がいいと言うのは鉄則だ。
バトルロワイアルでも、『彼』はいろんな人と会い続けた。
『縁の切れ目が命の切れ目』――――それがこのバトルロワイアルだと踏みましたから。


「それじゃあ、行きましょうか……風の流れのままに流離う、一人の少女として!」


皆を、プロデューサーさんを。
みんなみーんなハッピーにしちゃいましょう。

えいえい、おー。



【一日目/日中/D-7】

七尾百合子
[状態]精神的疲労(軽微)
[装備]なし
[所持品]支給品一式、軍用ナイフ、鍋蓋、べろちょろ、不明支給品1
[思考・行動]
1:幸せをおすそわけ
2:プロデューサーさんを信じたい……?
3:あずささんは、危険だ


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