アットウィキロゴ
ミリオンライブバトルロワイアル @ ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

ミリオンライブバトルロワイアル @ ウィキ

マイウェイ

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集

マイウェイ


どうしてだろう。
ただ、アイドルとして皆で過ごしたかっただけだったのに。
楽しくやれていれば、それで良かったのに。
可憐やあずささんと紗代子との初めてのシアターでのライブとか。
昴と一緒に見に行った日の出とか。
杏奈と一緒にやった節分ライブとか。
本当、楽しかったんだ。
幸せだったんだ、ずっとずっと。
こんな幸せが、いつまでも続くと思っていた。

なんで、こんな事になってしまったのか。
理不尽にもほどがあるよ。


ねぇ、教えてよ――――プロデューサー。
アタシは一体、どうすればいいの?


◆      ◆      ◆


「……ッ!」

キィン、という音が耳に残る。
握っていた出刃包丁が地面に落ち、跳ね返った音だ。
落ちた包丁を再び握ろうとする。
だが、震える手がそれを許してくれない。
手を近づけるだけで手の震えが増し、掴むことを許さないのだ。

「……やっぱ、ダメだよ……」

包丁を掴むことを諦め、膝を抱えて座り込む。
今のこの状況は、彼女――――木下ひなたにとって残酷すぎた。
普段から包丁を握っているのとは意味が違う。
この場で包丁を握るという事が意味をするのは、料理などではない。
紛れもない、殺人であった。

「皆を、傷つけるなんて……あたしにはできっこないよお……」

齢14の心優しい少女に、殺人などできるはずもなかった。
最初は、祖母の顔が浮かび死ねないと考え乗ることも考えようとした。
だが、実際に支給品に入っていた出刃包丁を握った瞬間、恐怖に襲われた。
人を殺すのは、誰でもわかるほど悪い事だ。
それを自分がして万一生き残ったとする。
その時、間違いなく祖母も村の皆も悲しむはずだ。

「……うぅ」

皆がこの殺し合いに乗らなければいい。
信じてはいるが、本当にそうであるとは思えない。
このまま何もしなければ、殺されてしまうかもしれない。
それは嫌だ、でも何もできない。

頭の中で何周しても、どうすればいいかがわからない。
ただ、今はこのまま座っているしかない。
誰にも会わず、ただうだうだとこの場でぼーっとしていたい。
誰にも邪魔されず、ずっと一人で。



「……ごめんね」



だが、次の瞬間その願いも崩れ去った。
背後から声が聞こえ、ひなたは驚きのままにそのまま前転の要領で前に倒れこんだ。
痛みで視界がブレて前が一瞬見えなくなる。
ようやく見えるようになった目に入ったのは、先ほど自分がいたところに深々と刺さっている鶴嘴だった。

「ひっ……!」

声を失った、当然である。
もし先ほど声に気づかずいたらどうなっていたのか。
想像するだけでも恐ろしい。
すぐに立ち上がり、鶴嘴を再び持ち直しているその人を見た。

「のりこ、さん……?」
「ごめんねひなた、もっと早く楽にしてあげれたのに……」

福田のり子が立っていた。
信じられなかった、信じたくなんかなかった。
だって、彼女は明るくて元気を周りに与えてくれる人だったから。
こんな殺し合いみたいなことに参加する人には思えなかったから。

「のりこさん……なんで」
「……ごめんね」
「こんなことするなんて、のりこさんらしくねぇべさ……どしてこんな事」
「……死にたく、ないんだよ」

のりこさんは、苦しそうに答えた。
今にも潰れそうな、弱弱しい声で。


「アイドルになって、ずっと楽しくてさ……ずっとずっと続くと思ってたのに……。
 死にたくない、こんな楽しい毎日なのに、もうなくなるなんて……嫌なんだよ!!」


のり子さんは、泣いていた。
嘘の涙ではない事など、すぐにわかった。
苦しんでいるからこそ。
どうしようもないからこそだ。
だから彼女は苦しんでいる。
まさに、さっきまでの自分と一緒だった。
ただ、自分と違っているのは、彼女には実行に移してしまう強さがあってしまったことなのだ。
自分は行動に移すだけの強さはなかった、だが彼女にはあった。
ただそれだけの違いだ。

「……諦めたら、だめだべ」

だから、弱い自分だからこそ、彼女を止めなくてはいけない。
今ならまだ止めることは出来る。

「あたしも、どうすればいいかわがんないけど……皆をどうにかして、生き残っても嬉しくなんかないよ」
「……アタシだって、嬉しくなんかないよ……引きずると思うしさ」
「だったら、一緒に頑張ればいいさ。 あたしも怖いけど……でもさ」



「お願い、のり子さんと一緒ならもっともっとがんばれるような気がするんだわ」



手を伸ばす、心をつかむために。
沈んでしまいかけている、彼女の心を救うために。



「……ごめん」

だが、届かなかった。
のり子さんは再び鶴嘴を構えた。
駄目だった、それだけしか考えれなかった。
鶴嘴が振り上げられるのを最後に、視界が真っ暗になったから。

あぁ、ばあちゃん……ごめん、ね。


◆      ◆      ◆


振り上げた鶴嘴は、振り下ろさなかった。
いや――――『振り下ろせなかった』と言うべきか。
振りおろしはした、だが次の瞬間だった。
右肩に何か重いものが当たり、鶴嘴の軌道が狂った。
再び鶴嘴は地面に深々と刺さる結果となる。
鶴嘴を抜こうとした時に、誰かが傍に現れた。

「……昴」
「…………」

永吉昴だった。
左手に持っているのは野球ボール、アレをアタシに向かって投げたのだろう。
野球好きで実際にやってるだけあって、すごい制球力だ。
そもそも、動作している時にを狙って当てるとかさ。
流石だよね、本当に。

「のり子、なんで……なんでこんな」

昴は悲しそうにアタシを見ている。
そんな悲しそうな顔はしないでほしいよね。
自分自身悲しくなってきちゃうんだからさ。

「なんでもなにもないよ……これが、アタシが選んだ道なんだから」
「……」

昴は、再び黙り込んでしまった。
そしてすごく悔しそうな顔を見せる、
アタシを止めるために色々考えてくれてるんだろうね。
すごくいい子だかね、昴は。

「なぁ、のり子……お前はさ、本当に殺し合いに乗るつもりだってのか?」
「そうだよ、さっきアタシがやろうとしてたこと見てたでしょ」
「……そうか」

また、昴が黙り込む。
再び二人の間に広がるのは、沈黙だった。
アタシは動かないし、昴も動かない。
さっき気絶したひなたも起きる気配はない。
まるで、時間が止まったかのようだった。



「……オレさ、プロデューサーに会いに行こうと思ってるんだよ」



あまりにも唐突だった。
静寂から解放された瞬間に聞いたその宣言は、あまりにも非現実的で。
プロデューサーに会いに行くなんて、不可能だと思った。

「……だからさ」

だけど、昴は真っ直ぐに手を伸ばす。
誰でもない、アタシに向かって。


「のり子も、一緒に行こう……今ならまだ、やり直せれるから」


その手が、アタシには、すごく眩しかった。


◆      ◆      ◆


結局、というか最終的にアタシは逃げた。
昴の手を掴むことはなかった。
やり直せる、って言ってももうアタシは手遅れなんだ。
昴に止めてもらってなければ、ひなたを殺していた。
もし昴が投球ミスをしていたらそのままひなたは死んでいた。

どれか一つの要因でもズレていたら、アタシは本当に手遅れになっていた。
そんなアタシに、今更どうしろというのか。
だから二度も伸ばされた手を振り払ったんだ。
でもひなたなら、謝れば許してくれるだろう。
あの子は優しい、優しすぎるから。

「だからこそ、辛いってのにね」

世の中には、許されない方が良いことだってあるんだ。
だからこそ許されない方が良いんだって。
許されたら、アタシが耐えられなくなってしまう。

あぁ、頭が痛くなってきた。
さっきまでの緊張で喉も乾いている。
すごいだるいなぁ……。
汗もかいてるし、早く水でも飲まないと。
脱水症状でダウンとか、一番やっちゃいけないしさ。
まずは汗を止めないといけない――――。

「……あれ?」

汗をぬぐうために顔を触ると、違和感があった。
目の下が熱い。
まるで、泣いているときに様な、そんな感覚だった。
というか――――泣いていた。

「……アタシ、なんで泣いてるんだろうなぁ」

「泣く資格なんて、あるはずもないのに」

水を取りだし飲む。
そして、顔に水をかける。
それで、涙の痕も消えた。
消えてないかもしれないけどそういう事にしよう。

「……行こう」

鶴嘴を片手に立ち上がる。
もう戻れない、そう心に言い聞かせて。

【一日目/朝/D-2】

【福田のり子】
[状態]精神的疲労(大)
[装備]鶴嘴
[所持品]支給品一式(水半分以上消費)、ランダム支給品(0~1)
[思考・行動]
基本:死にたくない、生き残る、そのためには……
1:覚悟を決める



◆      ◆      ◆



届かなかった。
彼女は鶴嘴を持って、逃げてしまった。
追おうにも、ひなたが心配で追うことは出来なかった。
結果的に言えばオレは今ひなたの傍で座っている。

「……」

のり子は進んであんなことをする奴じゃない。
それはオレもよく知ってるつもりだ。
バイクで一緒に日の出を見に行った仲だからな。

「……のり子」

だが、のり子はいつもの笑顔を見せてくれなかった。
どんな時でも前向きで、いつでも楽しそうな彼女はいなかった。
自分のやった事の重さに潰されていた。

オレは、救えなかった。
自分だったら、のり子に声が届くと思っていた節はあった。
どれだけ自惚れていると言われても、だ。

「……絶対、止めなくちゃいけねぇ」

のり子の手を掴めなかったこの手で、プロデューサーの手を掴めるわけがない。
皆で協力しないと、プロデューサーには届かない。
だから、まずはのり子を止めないといけない。
これ以上、彼女を苦しめる前に。


「のり子、オレ……諦めないよ、絶対……その手を掴んでみせる
 そして……プロデューサーを止める」


【一日目/朝/D-2】

【永吉昴】
[状態]健康
[装備]野球ボール
[所持品]支給品一式、野球ボール×5、ランダム支給品(0~1)
[思考・行動]
1:プロデューサーの真意を知った上で、彼の手を掴む。
2:ひなたが目を覚ますまで傍にいる
3:のり子を止める、なにがなんでも救い出す

【木下ひなた】
[状態]気絶
[装備]出刃包丁
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(0~1)
[思考・行動]
1:……

【鶴嘴】
福田のり子に支給
先端を尖らせて左右に長く張り出した頭部をハンドル部分に直角に連結した道具
主に固い地面やアスファルトを砕くために使われる

【野球ボール】
永吉昴に6個セットで支給
プロ野球で使用されているモデルの野球ボール

【出刃包丁】
木下ひなたに支給
魚や鳥・スッポン等を解体するときに使用する
大出刃の本出刃包丁である


 妖刀別嬪   時系列順に読む   Wonder world 
 妖刀別嬪   投下順に読む   Wonder world 
 Go straight!   永吉昴   beginner's first strike 
 GAME START!   木下ひなた 
 GAME START!   福田のり子   りんごのうた


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー