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第6話

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第6話

『アルバート試作型取り扱い説明書』
※基本
まずエネルギー補給口を開けてください。(人間で言う口の部分にあります)
次にその中に『いけねぇキノコ』か『あぶねぇキノコ』を放り込んでください。(この時2つ以上は入れないでください)
すぐにキノコは分解され、アルバート試作型のエネルギーとなります。(なぜキノコなのかは企業秘密ですので質問されてもお答えできません)
アルバート試作型が起動しましたら、すぐに命令をして下さっても構いません。(ただしシャナン様の命令以外は受け付けません。これは最新の声紋照合システムを利用しています)
※アルバート試作型の能力
暗闇でも問題なく動きます。(最新のNVG…ナイトヴィジョンゴーグルを標準装備しています)
半径10メートル以内の生物を探知できます。(最新の生体センサーを標準装備しています)
アルバート試作型のボディはほとんどの魔法を受け付けません。(しかしながらそれなりの実力者の魔法は受け付けます)
アルバート試作型のボディはほとんどの物理攻撃を受け付けません。(しかしながらそれなりの達人の技や、それなりの武器を使用された場合は受け付けます)
レーヴァティンと呼ばれる片刃の剣が標準装備されています。(どこにでもある一般的な武器です。気に入らない場合は自費で別の武器を購入してください)
いくつかのパーツに加速装置が取り付けられています。(これはアルバート試作型の敏捷性を向上させるためです)
※以下注意点
キノコを二つ以上入れてしまうと暴走します。(暴走した場合は速やかに退避してください)
キノコ二つで約1時間の起動しかできません。(次世代機では起動時間を大幅に改善する予定です)
故障かな? と思ったらすぐに製作者のドクターベロ氏に連絡してください。(保証は付いておりませんので、修理費用はシャナン様の財布から支払っていただきます)

「…本当に大丈夫なのか…?」
シャナンはその手書きの説明書を読み、不安で胸が一杯になった。意味不明の単語も多かった。科学技術というものは奥が深い。深すぎて…不安。願わくば、尚徳が成功したとの報告を聞けますように。

こんこん、とドアをノックする音が聞こえた。
「シャナン様」
続いて聞きなれた女の声。
「ソラか…入れ」
ゆっくりとドアが開き、入ってきたのは僧侶の格好をした金髪の女だった。闇商会ブラックナイツのNO.2であると同時に、シャナンの恋人でもある。
「尚徳が失敗しました」
金髪の女…ソラの言葉に、シャナンは頭を抱えたくなった。願いは神にも悪魔にも届かなかったらしい。一瞬、自分の運命を呪いたくなった。すでに呪われていることに気付いてやめた。あの男が生きている限り、この呪いは解けない。
「シャナン様…」
ソラはシャナンに近づき、そっと口付けした。
「ソラ…」
シャナンはソラをぎゅっと抱きしめた。
「俺はあいつを…」
それは最大の目的。シャナンが闇に染まった原因。そいつの全てを壊してやりたかった。
「大丈夫です…私が…ついてます」
それは最大の願い。ソラの想い。ずっとシャナンのそばに居たいと思ったから。
「ああ…必ず…消し去ってやる」
例えばこの国を、この星で一番『汚れた』国にするように。
「シャナン様を苦しめる者は…みんな消えればいいんです」
例えばこの星で、二人だけになったとしても。それでもいいと思ったから。
また口付け。柔らかなソラの唇。舌を絡める。唾液が交わる。至福の時。
「その後…俺とソラの支配する、黒い帝国を創ろう」
愛しても愛し足りない。あらゆる苦痛を癒してくれる。
「はい…」
ソラもまたシャナンをぎゅっと抱きしめる。
時が止まれば良いと思う。止まらないと知っている。この世を創造したとされる『四十八種の龍』であってもそれは不可能。
ずいぶん長い間抱き合っていたような錯覚。実際には数分。シャナンは瞳を閉じ、少し考えてから決断した。
「アルバート試作型を起動させるぞ」
しかしソラの返事は聞こえなかった。 「ソラ…?」
返事の変わりに微かな寝息が聞こえてきた。シャナンに抱きついたまま、ソラは夢の世界を旅していた。
「…立ったまま寝るか…器用な奴だ」
おそらくは疲れが溜まっていたのだろう。
「しばらく…このままでいいか…」
どこかで鳥の鳴き声が聞こえた。それは朝の訪れをシャナンに伝えた。

to be continued

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