忘れてはならないもう一人◆/VN9B5JKtM
ラッド・ルッソと思しき白スーツの男が近くに居る。ウルフウッドからその知らせを受け、チョッパー達は西に向けて大通りを駆けていた。
まぁ正確に言えば走っているのはチョッパーだけで、残りの三人はその背に乗って周囲、特に後方を警戒しているのだが。
「ハッ、ハッ……!」
現在地はE-4の西端、そろそろE-3に差し掛かるところだ。
後ろから誰も追って来ないところを見ると無事に逃げ切る事ができたようだが、チョッパーの消耗が予想以上に激しい。
白スーツの男から逃げるため、背に三人の仲間を乗せて1km近く走って来たのだ。
それもマラソンのように自分のペースで走るのではなく、短距離走のような全力疾走。疲労が溜まるのも当然と言えよう。
「チョッパー君。疲れてるみたいだし、ホテルでしばらく休憩しようか」
「ハッ、ハッ……! まだ、大丈夫……ハァッ……!」
「そない息荒げて言うても説得力あらへんわ。もうじき放送や、ホテルの探索も兼ねてそれまでは休むで。ええな?」
有無を言わせぬウルフウッドの声色に押し切られ、チョッパーも渋々ながら承諾する。
確かに先を急ぎたいという気持ちはあるが、疲れているのは事実だし、ホテルに人が集まる可能性も十分にある。
最初の予定ではそのまま通り過ぎるつもりだったが、仲間を集めるという目的のためにはホテルに寄ってみるのも悪くはない。
やがて見えてきたのは、大都市の中心にでも建っていそうな立派なホテルだ。
チョッパーはホテルの前で足を止める。そこは殺し合いの開始直後にルフィが寝そべっていた辺りなのだが、この場にそれを知る者はない。
「ゴメンな、みんな。急いでるのに、俺のせいで……」
「みぃ。チョッパーはこのチームの要なのです。少しぐらいゆっくりしていってもバチは当たらないのですよ」
「え!? お、俺がチームの要!?」
「そうだよ。チョッパー君は怪我人の治療も出来るし背中にみんなを乗せて走れる、いざという時には戦う事も出来る。
ほら、チョッパー君がいないと私達とっても困っちゃうんだよ? だよ?」
「バ、バカヤロー! そんな風におだてられたって全然嬉しくねーぞ! このやろが!」
「とか何とか言いつつも本音が顔に出とるで。…………よし、この辺には誰もおらんようやな。入って来てもええで」
様子を探っていたウルフウッドが安全を確認し、手招きするのに従ってホテルの中に入って行く。
今までずっと雛見沢で暮らしていた梨花はこんな大きな建物は見た事がないのか、広々としたロビーを物珍しそうに見渡している。
チョッパーを休ませようと手近な部屋に入ろうとするレナをウルフウッドが引き止める。
「ああ、ちょい待ち。部屋は二階や」
「どうして? チョッパー君も疲れてるんだし、一階じゃダメなのかな? かな?」
「一階やと外から丸見えや。見つかったら窓から侵入されるかも知れへんし、あの火傷顔の女みたいにいきなり鉛弾ぶっ放すような輩もおるからアカン。
それに二階ぐらいの高さならヤバイ奴がドアぶち破って襲って来ても、嬢ちゃんら抱えて窓から飛び降りればええからな」
「レナ、俺も休むなら少しでも安全な場所がいいし、ウルフウッドの言う通りにしようぜ」
そう言われればレナにも断る理由はない。この中で一番こういった事に慣れているのは間違いなくウルフウッドだ。
ミカエルの眼でマスター・Cに暗殺者としての心構えを叩き込まれた彼は、殺人者がどのように考え行動するか、知り尽くしている。
ウルフウッドを先頭に階段を上り、目の前にあったパーティー用の大部屋を避けて隣の客室のドアに手を伸ばす、が。
「何や、鍵かかっとるんか?」
「まぁ普通はそうよね。でもフロントには誰も居なかったし……勝手に持ってけ、って事かしら?」
「あ、待って梨花ちゃん。確か支給品に……」
フロントに向かおうとした梨花を呼び止め、ゴソゴソとデイパックを漁るレナ。
中から取り出したのは一見何の変哲も無いフラフープのような輪。
それを見て何か納得したような梨花と、それがどうしたとでも言いたそうなウルフウッド、そして何が起こるか楽しみといった様子のチョッパー。
三対の視線が向けられる先で、レナがその輪をドアに押し当てた瞬間、輪のサイズに合わせてぽっかりと穴が空いた。
「おぉーっ! すげーぞ、レナ! 今のどうやったんだ!?」
「えへへ。この輪っかなんだけど、通り抜けフープって言って、壁とかドアにくっつけると向こう側に通じる穴が空くんだよ」
「ほぉー、けったいな道具もあるもんやなぁ」
彼等は放送まで一時の休息を取るため、穴をくぐり抜けて部屋の中へと入って行った。
◇ ◇ ◇
『ではこれより第三回目の放送を開始する』
時刻は午後六時。
ギラーミンの声が部屋中に木霊し、梨花の鼓膜を震わせる。
これから圭一の名が呼ばれるのだと思うと、やはりショックは隠せない。
だが、圭一の死は既に受け入れた。
レナも病院で圭一への思いを吐き出した。
どんなに悲しくても、辛くても、前に進む準備は出来ている。
それなのに。
今回の放送で呼ばれたのは彼の名だけではなかった。
「そんな……詩ぃちゃん……」
園崎詩音。前回の放送で呼ばれた
園崎魅音の双子の妹。
彼女がこの殺し合いでどのように行動してきたのかは分からない。
仲間を探して歩き回っていたのかも知れないし、疑心暗鬼に囚われて他人を傷つけて回ったのかも知れない。
梨花自身、何度と無く繰り返してきた惨劇の中で狂気に囚われた彼女に殺された事もある。
だが、それでも。
彼女もまた、力を合わせて惨劇に立ち向かった、かけがえのない仲間だった。
また一人、大切な友人を失ってしまった。
せっかく運命を打ち破って掴み取った幸せが、指の間からポロポロと零れ落ちていく。
百年の時を生きているというのに、自分には何もできない。
仲間を守る事も。
仲間を見つける事も。
仲間の死を看取る事さえも。
思考の泥沼に陥りそうになったその時、梨花の頭にウルフウッドの手がポンと乗せられる。
「ニコ、ラス……」
「知り合いが呼ばれたんやろ? 辛いなら我慢せんと全部吐き出したらええ」
ガシガシと乱暴に頭を撫でられる。
態度はぶっきらぼうだが、その言動の端々からは気遣いを感じ取れる。
不器用な優しさが沁み込んで、荒んだ心を落ち着けて行く。
この馬鹿げた殺し合いに呼ばれて良かっただなんて思う事は、これから先どれだけ生きたとしても絶対に有り得ないけど。
それでもこの地で最初に出会ったのが彼だった事だけは素直に喜んでもいいかも知れない。
もちろんそんな恥ずかしい事、面と向かっては言えないが。
ウルフウッドは梨花の頭から手を放すと、未だ俯いたままのレナに視線を投げる。
「ワイらが邪魔やっちゅうなら横の部屋に引っ込んどる。落ち着いたらおまえらも来ぃや」
そう言うと、チョッパーを連れて通り抜けフープで壁を抜けて隣の部屋に移って行った。
後には梨花とレナ、そして二人を包む重苦しい沈黙だけが残された。
「…………んなさい」
「レナ?」
俯くレナの口から微かに声が漏れる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「レナッ! どうしたの!? しっかりして、レナ!」
呼吸と間違えてしまいそうなほど弱弱しい声で、ここには居ない誰かに向かって謝罪を繰り返すレナ。
その肩をつかんで揺さぶり、必死に呼び掛ける。
いつまでも何もできないままではいられない。せめて仲間を慰めるぐらいは自分がしなければ。
「あ…………梨花ちゃん……わた、し……。どう、しよう……私、圭一、君との約束……守れ、なかったよぉ……」
「圭一との約束?」
その言葉を聞いて梨花が脳裏に思い浮かべたのは、劇場で見た圭一の最期の姿。
ライダーの固有結界から帰還した時には圭一は既に事切れていたため、梨花は圭一と会話する事は出来なかった。
だが、圭一と共に結界内にいたレナなら、圭一の遺言を聞いていてもおかしくない。
「圭一君……最期に言ったの……。みんなの事、頼むって……。レナになら……任せられる、って……なのに、詩ぃちゃんが……!」
圭一は自分が死ぬその瞬間まで、仲間の事を思っていた。
自分達は圭一にとってそれほどまでに大事な存在だったんだなと思うと、少しだけ誇らしくなる。
圭一が何を思って死んでいったのか、それを見たレナがどんな気持ちだったのか、その場に居なかった梨花には分からない。
それでも一つだけ確かな事がある。
「彼の最期の言葉を未来を生きるための糧にするか、それとも己を過去に縛りつける枷にするか、それはあなた次第。
でも、これだけは言える。圭一はレナに死んで欲しくなかったから、絶対に生きて帰って欲しかったから、だからそう言い遺したのよ。
だって、その『みんな』の中には……レナ、あなたも含まれているんだから」
圭一は繰り返す世界の中で、自分の命を賭けてレナを狂気から救い出した事もある。
その仲間思いな圭一が、レナの重石になる事を望むはずがない。
「あ……あ…………圭一君……魅ぃちゃん、詩ぃちゃん…………うっ、あ、あぁぁ……」
むせび泣くレナをそっと抱き寄せ、幼子をあやすように優しく背中を叩く。
自分はここに居ると、自分はどこにも行かないと伝えるように。
やがて嗚咽が止み、レナが勢い良く顔を上げた。
目の前で輝くその瞳には確かに意志の光が灯っている。
爛爛と、煌煌と、炯炯と、瞳の中で青い炎が燃え上がってゆく。
「そう、だよね……。まだ、梨花ちゃんが生きてる。沙都子ちゃんが生きてる。私が、生きてる。
それなのに、こんな所で立ち止まってちゃ、それこそ圭一君に合わせる顔がないよね……。
あはは、やだなぁ。何だか私、梨花ちゃんに慰められてばっかだね……」
「気にしないでいいのよ。悲しい時は支え合う、苦しい時は助け合う、辛い時は信じ合う、それが仲間ってものでしょう?」
たとえ自分一人では何もできないとしても。仲間と協力すれば、どんな困難だって乗り越えられる。
あの時、諦めかけていた自分に圭一がそう教えてくれたから。
「うん……ありがとう、梨花ちゃん。……圭一君も、魅ぃちゃんも、詩ぃちゃんも、きっと私達を見守っててくれるよね」
「ええ、きっと見守っててくれるわ……」
何もできないと嘆く前に、まずは自分に出来る事を精一杯やろう。
◇ ◇ ◇
ウルフウッドはチョッパーを連れて隣の部屋に移動した後、部屋に備え付けの冷蔵庫から酒を取り出し、一人グラスを傾けていた。
隣ではチョッパーが同じく冷蔵庫から取り出したコーラを飲んでいる。
今回の放送ではウルフウッドやチョッパーの直接の知人が呼ばれる事はなかった。
「なあ、さっきの放送で呼ばれたアーチャーって、劇場に居たアイツだよな?」
いや、正確には一人だけ呼ばれたのだが、別に死んだからといってウルフウッドの心は全く痛まない。
と言うか正直、アレを知人とは認めたくない。
第二回放送までの悪行の数々を聞いた身としては、死んだのも今までの行いに対する報いではないかと半ば本気で思っているぐらいだ。
「劇場の横にでっけぇ穴が空いてたし、やっぱりあの片目の男にやられちまったのかな?」
ウルフウッド達がライダーと別れて劇場を出た時には二人はまだ戦闘中で、背後から轟く破壊音や叫び声を耳にしながら病院に向けて走っていた。
だがそれから約二時間後、劇場の傍を通った時には既に戦闘の音は止んでいて、地面にぽっかりと大穴が空いているのが遠目にも確認できた。
恐らくアーチャーと片目の男、二人の戦闘で出来たものだろう。それだけでもあの場であった戦闘の激しさを物語っている。
「さぁな。片目の男に殺られたんか、それともソイツを殺った後に別の誰かに殺られたんか、そこまでは分からへん。
一つ言えるんは、あの男を殺った奴がまだこの辺りをうろついてるかも知れへん、っちゅう事や。おどれも気ぃ抜いたらあかんで」
「お、おう! 大丈夫だ、レナ達は俺が守ってみせるからな!」
あの男は人間としては最低だったが、その倣岸な振る舞いに見合うだけの実力があった事も確かだ。
もしも、満身創痍だった片目の男がほぼ無傷のアーチャーを殺したのだとすれば。あの男はとんでもない化物だったという事になる。
パニッシャーが無い今、そんな相手とまともにやり合って生き残る自信は無い。
ウルフウッド達の代わりにアーチャーがあの片目の男と戦ってくれたようなものだから、一応は借りということになるのだろうか。
(最初から最後までいけ好かん奴やったが……。まぁワイは牧師やからな、祈るぐらいはしたってもええで)
口の中だけで聖句を呟き、酒杯を仰ぐ。
それで弔いは終わったとばかりに、アーチャーの事は頭から追い出す。
今はそんな事よりも先に考えなければならない事がある。
泣き虫リヴィオ。いや、今は
リヴィオ・ザ・ダブルファングと名乗っているんだったか。
劇場で再会したリヴィオは僅かに昔の面影が残っていたものの、あの泣き虫リヴィオとはあまりに違いすぎた。
急速に成長した肉体、自分以上の身体能力、異常な再生力、そして体中に染み付いた血と硝煙の臭い。濃密な死の気配。
心当たりなど一つしかない。自分と同じ、ミカエルの眼の暗殺者。
幸い、と言うべきだろうか。先の放送ではリヴィオ・ザ・ダブルファングの名は呼ばれなかった。
だが、もう一度リヴィオと出会った時、自分は一体どうすれば良いのだろうか。
「それにしてもウルフウッド、お前って意外に優しかったんだな。見直したぜ」
「じゃかあしいわ。ガラやないっちゅうんは自分でもよぉ分かっとる」
そう、所詮人殺しは人殺しだ。
一度その手を汚してしまえば、あとはどこまでも堕ちていくだけ。
返り血で真っ赤に染まった手では、あの孤児院の子供達を抱きしめる資格すら無い。
だから何年も帰らなかったというのに。
古手梨花。
この地で出会った、まだ十歳かそこらの少女。
放っておくのも忍びないから余裕がある内は守ってやろう、最初に声をかけた時はその程度の気持ちだった。
実力もあり、信頼できる相手――そう、例えば
ヴァッシュ・ザ・スタンピードのような人間に出会えたらそこで別れるつもりだった。
それなのに。
図書館の近くで麦わらに出会った時も、劇場でレナ達と出会った時も。頑なまでに自分から離れようとしない。
知り合ってまだ半日程度しか経っていないのに、やたらと自分を信頼している。
あんな風に無垢な笑顔を向けられると。絶対の信頼を寄せられると。
あの孤児院での暮らしを、温もりを、思い出してしまう。
例えばウルフウッドと梨花の二人で行動していて、そこにリヴィオが襲撃してきたら。
自分の命だけでも一杯一杯なのに、梨花を守り、その上でリヴィオも殺さずに捕らえる。
自分には無理だ。
あの人死にを異様に嫌う男、ヴァッシュ・ザ・スタンピードならば。たとえ自分がボロボロになったとしても、誰一人として死なせずに場を収めるだろう。
だがニコラス・D・ウルフウッドにはそんな芸当は出来ない。あくまで人間でしかないウルフウッドには、全てを救えるほどの余裕は無い。
全てを掬い取ろうと欲張れば、掌中に収まり切らなかった命が手の端から零れ落ちてしまう。
それは守りたかった誰かの命かも知れないし、ひょっとしたら自分自身の命かも知れない。
それが嫌ならば、自分の手で誰かを切り捨てなければならない。
孤児院でギリギリの生活をしている子供達のためにも、自分は死ぬ訳にはいかない。
相手が誰であろうと、敵として自分の前に立ちはだかるのならば容赦なく引き金を引く。
危ないと思えば躊躇せずに銃弾を撃ち込む。祈りながら頭に二発、心臓に二発。それがウルフウッドの生き方だ。
そう、たとえあの泣き虫リヴィオだとしても、自分の敵になるならば……。
「チッ……見捨てられる訳、ないやろが」
「ん? 何の事だ?」
「何でもあらへん、こっちの話や」
あるいはこの殺し合いに呼ばれる前の、ヴァッシュと二人で旅をしていた頃のウルフウッドならば、リヴィオを切り捨てていたかも知れない。
だがこの地で梨花に出会い、今まで共に過ごしてきたウルフウッドには出来ない。
あの孤児院での生活を思い出してしまった今となってはリヴィオを切り捨てる事など出来ない。
(リヴィオ……あのアホンダラが。ワイが守りたいモンの中にはおどれも入っとるんやで)
自分を殺そうとしている相手がリヴィオだと気付いた時は、心臓が凍りつくかと思った。
身内に銃口を向けられている。そして自分も身内に銃口を向けている。
一歩間違えば身内に殺される。一歩間違えば身内を殺してしまう。
二度と味わいたくない、最悪の気分だった。
(せやけどこればっかりはトンガリに任せるっちゅう訳にもいかんからなぁ)
それでも、これはウルフウッドがやらなければならない事だ。
ヴァッシュなら何があっても梨花達を守るだろう。
それどころか襲って来た相手さえも守ろうとするに違いない。
敵も味方も関係なしに、その場に居る全員を守ろうとする、それがウルフウッドの知るヴァッシュという男だ。
だが。ヴァッシュではリヴィオを殺さずに無力化する事は出来ても、救う事は出来ない。
リヴィオを救えるのは、ウルフウッドしかいない。
(待っとれや、泣き虫リヴィオ……おんどれはワイが救ったるからな)
決意は固く、けれども決して口には出さず。ウルフウッドは杯を空ける。
◇ ◇ ◇
ウルフウッドが瓶を一本空けた頃、壁に穴が空いてレナと梨花が入ってきた。
「何や、もうええんか? なら出発前にメシにするで」
「二人とも、これでも飲んで元気出せよ。ホラ」
チョッパーが差し出したコーラをレナが笑顔で受け取る。
その目元はまだ赤いが、放送直後のような暗い雰囲気は消え去っている。
静かに、けれども明るい雰囲気のまま食事を済ませ、今後の予定を話し合う。
と言っても遊園地、廃坑、古城跡の順に回って仲間を集めるという方針に変わりはない。その前に軽くホテルを探索する、というのが加わっただけだ。
客室は一部屋ずつ確認するのは時間が惜しいので、フロントに全部屋の鍵が揃っているのを見て利用者は居ないと判断した。
もちろんレナ達のように鍵を使用せずに侵入した可能性もあるが、通り抜けフープのような支給品がそう多くあるとも思えないので先を急ぐ事にした。
レストランや浴場といったホテル内の施設も一通り見て回ったが、結局どこにも人影は無かった。
「ここには誰も居ないみたいだし、そろそろ出発にしよっか」
「俺もちょっとは期待してたのに、残念だな」
実は四人が部屋を出る数分前までは、他の参加者を探してゼロがホテル内の施設を回っていた。
だからほんの少しでも運命がずれていれば、彼等はこのホテルで出会うはずだった。
もし一階の部屋で休んでいれば、室内の物音や話し声が外に漏れていたかも知れない。
もし通り抜けフープがなければ、部屋に入るためにフロントにある鍵が必要になった。
もし部屋を出るのがあと少し早ければ、ゼロと同時期にホテルを探索する事になっていた。
そうなれば彼等はゼロと遭遇し、互いの目的が相容れない以上、激突は必至だった。
だが幸か不幸か、彼等はすぐ近くに居ながら互いの存在には気付かず、このホテルが戦場となる事はなかった。
いや、ここは素直に『幸運にも』と言うべきなのだろうか。
確かに危険人物の討伐もレナ達の目的の一つだが、超人的身体能力に瞬間移動、さらにはKMFまでをも駆使するゼロと交戦すれば甚大な被害を受けていただろう。
自分達が危地にいる事にも気付かないまま奇襲を受け、そのまま全滅する、という最悪の結果も有り得たかも知れない。
数々の偶然が重なり合い、レナ達は魔王の潜む伏魔殿を無事に抜ける事が出来た。
流れ行く景色を横目に見ながら、四人は次の目的地、遊園地へと先を急ぐ。
現在地はF-2エリアの北部を流れる川を越えた辺り。
もう間もなく、彼等は世界の中心へと、足を踏み入れる。
【F-2 遊園地前/1日目 夜】
【チーム名:○同盟チョッパー組】
1:主催者の打倒。
2:劇場を迂回して遊園地、廃坑、古城跡を訪れ21時までにB-4民家へ向かう。禁止エリアの場合H-4、G-4へ。
2:グラハムとの合流(先発が会えなかった場合)
3:
サカキ、
ミュウツー、片目の男(
カズマ)、赤髪の男(クレア)、リヴィオ、ラッド、電気の少女(美琴)を警戒。
クレアという女性、佐山、小鳥遊、
アルルゥ、ヴァッシュを信用。アーチャーはやや信用。
ハクオロも一応信用。真紅、沙都子は情報不足で保留。
※別世界から呼ばれたということを信じました。
※会場のループを知りました。
【
トニートニー・チョッパー@ONE PIECE】
[状態]:腹部と顔にダメージ(中)、全身にダメージ(中)、疲労(小)、腕に○印、深い悲しみ、獣形態
[装備]:包帯、ランブルボール×4@ONE PIECE
[道具]:支給品一式×4(2食分、水1/10消費)、タケコプター@
ドラえもん、タオル、救急箱、病院で調達した医療道具、ホテルで調達したコーラ
[思考・状況]
1:レナや皆を守り抜いてみせる。その為なら……
2:仲間と会いたい
3:グラハムの様子を見る。(別れている為現在実行不能)
4:ギラーミンを倒し、脱出する。
5:イスカンダルの臣下になるかはまだ決められない。
6:川に落ちたゾロが心配。
[備考]
※参戦時期はCP9編以降。
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
【
竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康、深い悲しみ、私服、右腕に○印
[装備]:包帯、デザートイーグル(残弾数6/6)、シェンホアのグルカナイフ@BLACK LAGOON、常盤台中学の制服
[道具]:支給品一式×4(4食分、水1/10消費)、ドライヤー、双眼鏡、ゾロの地図
デザートイーグルの予備弾×12、不死の酒(空瓶)、絶縁グローブ@ポケットモンスターSPECIAL、通り抜けフープ、手榴弾×3
ロベルタのメイド服@BLACK LAGOON、ガムテープ、ビニール紐(少し消費)
[思考・状況]
1:梨花、沙都子と一緒に必ず脱出する
2:グラハムが心配
3:何とかして首輪を外したい
4:イスカンダルの勧誘は保留。
[備考]
※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
※梨花とウルフウッドの仲について察したようです。
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康、腕に○印
[装備]:包帯、真紅の衣装
[道具]:支給品一式×3(1食分消費)、インデックスの修道服@とある魔術の禁書目録、ミッドバレイのサクソフォン(内蔵銃残弾100%)@トライガン・マキシマム
蓮の杖@とある魔術の禁書目録、月天弓@終わりのクロニクル、フシギダネ(モンスターボール)@ポケットモンスターSPECIAL
きせかえカメラ@ドラえもん、きせかえカメラ用服装イラスト集
[思考・状況]
1:必ず生き残る。
[備考]
※ウルフウッドを信頼、けどちょっとむかつく。
※電車に誰か(
橘あすか)が乗っているのに気づきました真紅に気づいたかどうかは不明です。
※サクソフォンの内蔵銃に気付いていません。
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン・マキシマム】
[状態]:全身の数箇所に浅い傷、腕に○印
[装備]:デザートイーグル50AE(8/8 予備弾25)、包帯
[道具]:支給品一式×2(1食分消費、地図と名簿は3つずつ)、SPAS12(使用不能)、チーゴの実×3@ポケットモンスターSPECIAL
○印のコイン、AMTオートマグ(0/7)、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×二枚、洋酒
ロベルタのスーツケース@BLACK LAGOON(ロケットランチャー残弾7、マシンガン残弾80%、徹甲弾残弾10)、ヴァッシュの衣装
AK47カラシニコフ(30/40、予備弾40×3)、二重牙@トライガン・マキシマム、二重牙@トライガン・マキシマム
拳銃の予備弾30発
[思考・状況]
1:梨花たちについて行く
2:古手梨花を守る。(別れたなら同行者に託す)
3:リヴィオを救う。
4:ヴァッシュとの合流。
5:ジュンを殺害した者を突き止め、状況次第で殺す。
6:武器を手に入れる、出来ればパ二ッシャー
[備考]
※自身が梨花の事を名前で読んでる事に気づいていません。
※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
※ラッドの再生がミカエルの眼の改造技術に起因するものではないかと推測を立てています。
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最終更新:2012年12月05日 02:50