舞い降りし道標 ◆ElBBuB18Y2
吉良吉影は何よりも『平穏』を愛する男である。
無駄に目立つ事を良しとせず、常に三番目を狙う事で周りに敵を作らないようしてきた。
夜はグッスリ八時間以上の睡眠を取る事を心掛け、ストレスを溜め込まないようにする。
何をするでもなくひっそりと『平穏』な生活を送る事が吉良吉影の生き方であり、それが自分の幸福だという事も分かっていた。
だから、この殺し合いの場へと連れて来られた時、彼は愕然を感じずにはいられなかった。
整形の能力を持つスタンド『シンデレラ』を利用して、空条承太郎達から逃げおおせたまでは良い。
顔を変え、名前を変え、『川尻浩作』として新たな『平穏』な生活送っていく筈であった。
大きなトラブルは合ったものの、吉良はその障害を乗り越えたのだ。
その矢先だ。
その矢先に―――気付けば、見知らぬ部屋へと連れて来られていた。
学校の体育館のような部屋には、十人や二十人では効かぬ程の人々がおり、その誰もが困惑を顔に張り付かせていた。
それは勿論、吉良吉影も例外ではない。
理解が全く追い付かぬ事態に、殺人鬼たる吉良も焦燥と困惑を覚えずにはいられなかった。
そんな中、注目を集めた青スーツの男。
簡易な情報収集を行ったり、人々に落ち着くよう語り掛けたりと、男は非常に冷静な対応をしていたように見えた。
男の呼び掛けに、一時は平穏が訪れたように思えた。
だが、それは仮染めの平穏でしかない。
直後に現れた、平戸ロイヤルという奇想天外な格好をした女性から語られた『殺し合い』。
眼前で純白の修道服に身を包んだ少女が殺害され、謎の力で身体の自由が奪われた。
平戸が語るには、脳内に小型の爆弾が仕掛けられているらしい。
つまり、こういう事だ。
死にたくなければ、殺し合え。
生きて帰りたければ、殺し合え。
全員が全員を殺し尽くして、生き延びろ。
そう、言うのだ。
猟期殺人犯たる吉良からしても、狂っているとしか思えぬ発想のゲーム。
そして、無慈悲に淡々とゲームは開始され、吉良吉影の『平穏』が無惨に崩壊する。
容易く、呆気なく崩れ去った『平穏』を前に、吉良吉影はどのような行動を選択していくのか。
それは、彼のみぞ知るという事だった。
無駄に目立つ事を良しとせず、常に三番目を狙う事で周りに敵を作らないようしてきた。
夜はグッスリ八時間以上の睡眠を取る事を心掛け、ストレスを溜め込まないようにする。
何をするでもなくひっそりと『平穏』な生活を送る事が吉良吉影の生き方であり、それが自分の幸福だという事も分かっていた。
だから、この殺し合いの場へと連れて来られた時、彼は愕然を感じずにはいられなかった。
整形の能力を持つスタンド『シンデレラ』を利用して、空条承太郎達から逃げおおせたまでは良い。
顔を変え、名前を変え、『川尻浩作』として新たな『平穏』な生活送っていく筈であった。
大きなトラブルは合ったものの、吉良はその障害を乗り越えたのだ。
その矢先だ。
その矢先に―――気付けば、見知らぬ部屋へと連れて来られていた。
学校の体育館のような部屋には、十人や二十人では効かぬ程の人々がおり、その誰もが困惑を顔に張り付かせていた。
それは勿論、吉良吉影も例外ではない。
理解が全く追い付かぬ事態に、殺人鬼たる吉良も焦燥と困惑を覚えずにはいられなかった。
そんな中、注目を集めた青スーツの男。
簡易な情報収集を行ったり、人々に落ち着くよう語り掛けたりと、男は非常に冷静な対応をしていたように見えた。
男の呼び掛けに、一時は平穏が訪れたように思えた。
だが、それは仮染めの平穏でしかない。
直後に現れた、平戸ロイヤルという奇想天外な格好をした女性から語られた『殺し合い』。
眼前で純白の修道服に身を包んだ少女が殺害され、謎の力で身体の自由が奪われた。
平戸が語るには、脳内に小型の爆弾が仕掛けられているらしい。
つまり、こういう事だ。
死にたくなければ、殺し合え。
生きて帰りたければ、殺し合え。
全員が全員を殺し尽くして、生き延びろ。
そう、言うのだ。
猟期殺人犯たる吉良からしても、狂っているとしか思えぬ発想のゲーム。
そして、無慈悲に淡々とゲームは開始され、吉良吉影の『平穏』が無惨に崩壊する。
容易く、呆気なく崩れ去った『平穏』を前に、吉良吉影はどのような行動を選択していくのか。
それは、彼のみぞ知るという事だった。
◇
「ふざけるな……」
そして吉良吉影は殺し合いの会場にいる。
顔中から汗を噴き出させながら、左手を口元に寄せて、爪を噛む。
例えば欲しい玩具を買って貰えなかった時、例えば褒めてほしいのに誰も頭を撫でて貰えない時。
そんなどうしようもない事態に直面した時、吉良は良く爪を噛む癖があった。
今もそうであった。
どうしようもない現実に、吉良は強く強く爪を噛む。
顔中から汗を噴き出させながら、左手を口元に寄せて、爪を噛む。
例えば欲しい玩具を買って貰えなかった時、例えば褒めてほしいのに誰も頭を撫でて貰えない時。
そんなどうしようもない事態に直面した時、吉良は良く爪を噛む癖があった。
今もそうであった。
どうしようもない現実に、吉良は強く強く爪を噛む。
「ふざけるなよ……」
爪を噛む口から、声が漏れる。
その言葉に焦燥はなく、苛立ちと混乱だけがあった。
夜の市街地にて、落ち着かぬ様子で何度も何度も同じ場所を往復し、ブツブツと言葉を零す。
その言葉に焦燥はなく、苛立ちと混乱だけがあった。
夜の市街地にて、落ち着かぬ様子で何度も何度も同じ場所を往復し、ブツブツと言葉を零す。
「何だったのだ、アレは」
吉良吉影の脳裏には、ある光景が焼き付いていた。
その焼き付いた光景は、吉良から平常心を奪わせるには充分すぎ、彼の心に大きな波を立てていた。
爪を噛み、ウロウロと徘徊しながら、吉良は思う。
先の体育館にて見せ付けられたモノ。
気付かぬ内に拉致された事や、殺し合いを強制された事―――言ってしまえば、そんな異常事態すらもどうでも良くなってしまうようなモノであった。
その焼き付いた光景は、吉良から平常心を奪わせるには充分すぎ、彼の心に大きな波を立てていた。
爪を噛み、ウロウロと徘徊しながら、吉良は思う。
先の体育館にて見せ付けられたモノ。
気付かぬ内に拉致された事や、殺し合いを強制された事―――言ってしまえば、そんな異常事態すらもどうでも良くなってしまうようなモノであった。
「何なのだ、あの―――」
全てがどうでも良く思える程に、そのモノは強烈なインパクトを有していた。
欲望が噴出する。
入手したい、独占したい、愛でたい、鑑賞したい。
そのモノは、何よりも優先すべき存在である『平穏』いすらも超越して、吉良吉影の心を根本から揺らがしていた。
興奮が止まらない。
股間がいきり立つのを我慢できない。
今にもイッてしまいそうだ。
アレを思い出せば、こんな腐った殺し合いの場でさえも薔薇色に見える。
こんな殺し合いに参加させられたのも、アレと出会う為だと思えば何て事はない。
寧ろ、感謝すら覚えてしまう。
こんな『平穏』とかけ離れたふざけた殺し合いが、アレのお蔭で光り輝いて見える。
欲望が噴出する。
入手したい、独占したい、愛でたい、鑑賞したい。
そのモノは、何よりも優先すべき存在である『平穏』いすらも超越して、吉良吉影の心を根本から揺らがしていた。
興奮が止まらない。
股間がいきり立つのを我慢できない。
今にもイッてしまいそうだ。
アレを思い出せば、こんな腐った殺し合いの場でさえも薔薇色に見える。
こんな殺し合いに参加させられたのも、アレと出会う為だと思えば何て事はない。
寧ろ、感謝すら覚えてしまう。
こんな『平穏』とかけ離れたふざけた殺し合いが、アレのお蔭で光り輝いて見える。
「―――美しすぎる手はッ!!」
吉良吉影が見たモノとは、美しい、余りに美しすぎる『手』であった。
先の体育館で見た『手』。
それは、異常に支配された体育館にて、臆する事なく立ち上がった少女のモノであった。
威風堂々とした態度と、凛とした口調で平戸ロイヤルへと言葉を飛ばしていた少女。
少女の姿を……いや、少女の『手』を認識した瞬間、吉良の理性は弾け飛んでいた。
幼少時に見たモナリザの手。
その時感じたインパクトすらも超越して、吉良は少女の『手』に魅了された。
この世界に、こんな美しいモノが存在したのか。
先の体育館で見た『手』。
それは、異常に支配された体育館にて、臆する事なく立ち上がった少女のモノであった。
威風堂々とした態度と、凛とした口調で平戸ロイヤルへと言葉を飛ばしていた少女。
少女の姿を……いや、少女の『手』を認識した瞬間、吉良の理性は弾け飛んでいた。
幼少時に見たモナリザの手。
その時感じたインパクトすらも超越して、吉良は少女の『手』に魅了された。
この世界に、こんな美しいモノが存在したのか。
ああ、手に入れたい。
手に入れ、共に過ごしたい、食事をしたい、散歩をしたい、買い物をしたい、ドライブをしたい、頬ずりをしたい、舐め回したい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、
愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい―――、
手に入れ、共に過ごしたい、食事をしたい、散歩をしたい、買い物をしたい、ドライブをしたい、頬ずりをしたい、舐め回したい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、
愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい、愛でたい―――、
(くッ、お、落ち着け、落ち着くんだッ。これはマズい、平静を失っているぞ!)
ブンブンと物凄い勢いで頭を左右に振り、吉良吉影は脳裏に蔓延る『手』についてを忘れようとする。
美しすぎる『手』によって思考が完全に縛られている。
異様とも云える現状に於いて、冷静さを欠いた行動は確実に命の危険へと繋がる。
例え、キラークイーンがあろうとも絶対は有り得ない。
空条承太郎や広瀬康一のような厄介なスタンド使いが参加させられているとも限らないのだ。
『平穏』を望むならば、『平穏』を目指すならば、一旦は忘れた方が良い。
頭を空にし、冷静な判断を以て、今後の事について思慮していかねばならない。
美しすぎる『手』によって思考が完全に縛られている。
異様とも云える現状に於いて、冷静さを欠いた行動は確実に命の危険へと繋がる。
例え、キラークイーンがあろうとも絶対は有り得ない。
空条承太郎や広瀬康一のような厄介なスタンド使いが参加させられているとも限らないのだ。
『平穏』を望むならば、『平穏』を目指すならば、一旦は忘れた方が良い。
頭を空にし、冷静な判断を以て、今後の事について思慮していかねばならない。
(まずは現状の確認と今後の指針についてだ。どうすれば『平穏』な日常に戻れるのか、考えねば……)
と、十数回に及ぶ深呼吸の末、何とか冷静を取り戻した吉良吉影。
だが―――そんな彼の前にその人物は、現れる。
まるで吉良が行った必死の努力を嘲笑うかのように、出会いは唐突で運命的なものであった。
だが―――そんな彼の前にその人物は、現れる。
まるで吉良が行った必死の努力を嘲笑うかのように、出会いは唐突で運命的なものであった。
(足音……?)
吉良が立つ暗闇の市街地。
まばらに聳えた街灯によりある程度の明るさは保たれているものの、やはりまだ薄暗の市街地である。
暗闇というのは、それだけで人々に恐怖感を与えるものだ。
現状の殺し合いという状況も鑑みれば、その恐怖感は幾何のものか。
常人ならば、恐怖に出歩けなくなるという事態も、充分に有り得る。
そんな深夜の市街地から、足音が聞こえてきたのだ。
一歩一歩に力強さを感じる堂々とした足音であった。
吉良は思わず隠れる場所を探していた。
『手』の存在により上擦った思考で他の参加者と邂逅するのは得策ではない。
相手が殺し合いに乗っている可能性だってあるのだ。
せめて、もう少し落ち着いてから遭遇したい所である。
まばらに聳えた街灯によりある程度の明るさは保たれているものの、やはりまだ薄暗の市街地である。
暗闇というのは、それだけで人々に恐怖感を与えるものだ。
現状の殺し合いという状況も鑑みれば、その恐怖感は幾何のものか。
常人ならば、恐怖に出歩けなくなるという事態も、充分に有り得る。
そんな深夜の市街地から、足音が聞こえてきたのだ。
一歩一歩に力強さを感じる堂々とした足音であった。
吉良は思わず隠れる場所を探していた。
『手』の存在により上擦った思考で他の参加者と邂逅するのは得策ではない。
相手が殺し合いに乗っている可能性だってあるのだ。
せめて、もう少し落ち着いてから遭遇したい所である。
「そこの男性。少し話したい事があるのですが」
何処か隠れる場所を、と忙しげに視線を動かす吉良へ言葉が飛ばされた。
迷いの無い凛とした口調であり、その声は吉良にも聞き覚えがあった。
声のした方へ視線を動かし、市街地から歩いてくる人物を視界に捉える。
やはり、見覚えのある人物だ。
迷いの無い凛とした口調であり、その声は吉良にも聞き覚えがあった。
声のした方へ視線を動かし、市街地から歩いてくる人物を視界に捉える。
やはり、見覚えのある人物だ。
「あ、あああッ……!」
胸元が大きくはだけた学生服を身に纏い、腰まで伸びた鮮やかな黒髪を左右に振って、その女性は現れた。
吉良の視線は殆ど無意識の内に釘付けとなっていた。
吉良の視線は殆ど無意識の内に釘付けとなっていた。
思考が止まり、視線を動かす事ができない。
そこに、あったからだ。
先の部屋にて見た、美しい、余りに美しすぎる『手』がそこにある。
ほんの数メートルという距離に、その『手』があった。
気付けば吉良は行動を起こしていた。
その『手』が欲しい。
入手したい、独占したい、愛でたい、鑑賞したい。
ただそれだけを想い、行動を開始する。
少女の『手』へと、吉良吉影が自身の『手』を伸ばす。
そこに、あったからだ。
先の部屋にて見た、美しい、余りに美しすぎる『手』がそこにある。
ほんの数メートルという距離に、その『手』があった。
気付けば吉良は行動を起こしていた。
その『手』が欲しい。
入手したい、独占したい、愛でたい、鑑賞したい。
ただそれだけを想い、行動を開始する。
少女の『手』へと、吉良吉影が自身の『手』を伸ばす。
「む、どうしました―――」
吉良吉影は、連続殺人鬼である。
『手』を愛でるという猟期的な性癖に従い、これまで二十八人もの女性を殺害してきた。
そこに痛める良心など存在せず、ただ自分の欲望に則って殺人を犯す。
彼から言わせれば、無駄なストレスを溜め込まない為の対処法なのだろう。
その手で触れ、対象を爆弾とし、『手』以外の全てを爆破する。
それだけで女性の『手』は傷一つない綺麗な姿で吉良のものとなる。
そんな凄惨な、だが吉良からすれば楽チンで簡単な方法で、何人もの女性の『手』をものにしてきたのだ。
数多の女性を惨殺してきた手が、美という言葉をそのまま発現したかのような『手』へと伸び―――遂に、触れた。
吉良の手により、女性の『手』が包み込むように握られる。
そして、
『手』を愛でるという猟期的な性癖に従い、これまで二十八人もの女性を殺害してきた。
そこに痛める良心など存在せず、ただ自分の欲望に則って殺人を犯す。
彼から言わせれば、無駄なストレスを溜め込まない為の対処法なのだろう。
その手で触れ、対象を爆弾とし、『手』以外の全てを爆破する。
それだけで女性の『手』は傷一つない綺麗な姿で吉良のものとなる。
そんな凄惨な、だが吉良からすれば楽チンで簡単な方法で、何人もの女性の『手』をものにしてきたのだ。
数多の女性を惨殺してきた手が、美という言葉をそのまま発現したかのような『手』へと伸び―――遂に、触れた。
吉良の手により、女性の『手』が包み込むように握られる。
そして、
「い、いきなりの事で気味悪く思うだろうが……ど、どうか一緒に行動を取らせては貰えないだろうか」
『手』を優しく握ったまま君主を前にした騎士のように跪き、吉良吉影はそんな言葉を吐いた。
それはまるで、中学生の男児が初恋の女性へと告白するかのよう。いや、明らかにそれ以上の激情が吉良の表情には宿っている。
心中の激情を現すかのように、吉良の両目からは滝の如く涙が流れ出ていた。
声を震わせ、頬を赤らめ、そして双眸から涙すら流して―――連続猟期殺人犯が女性へ言葉を飛ばす。
そう、吉良吉影からすれば、それは初恋のようなものであった。
かつて見た理想である、モナリザの『手』すらも遥かに凌駕した、美しすぎる『手』。
殺し合いという厳しすぎる現状に、一度は忘れようとした『手』。
五十人以上もいる参加者の中から、その『手』と、いの一番に再会したのだ。
『運命』を感じずにはいられなかった。
そして、『運命』を感じた心は、もはや理性で制御できるものではなかった。
感情が爆発し、身体を支配する。
涙がとめどなく溢れ出し、声が震える。
自分はこの『手』と出会う為にこの場へ呼ばれたのだと、吉良は本気で考えていた。
この殺し合いは『手』を入手する為の試練なのだと、吉良は本気で考えていた。
この『手』と永劫なる『平穏』を過ごす為の、『試練』。
『手』を前にして、決意は一瞬で固まっていた。
それはまるで、中学生の男児が初恋の女性へと告白するかのよう。いや、明らかにそれ以上の激情が吉良の表情には宿っている。
心中の激情を現すかのように、吉良の両目からは滝の如く涙が流れ出ていた。
声を震わせ、頬を赤らめ、そして双眸から涙すら流して―――連続猟期殺人犯が女性へ言葉を飛ばす。
そう、吉良吉影からすれば、それは初恋のようなものであった。
かつて見た理想である、モナリザの『手』すらも遥かに凌駕した、美しすぎる『手』。
殺し合いという厳しすぎる現状に、一度は忘れようとした『手』。
五十人以上もいる参加者の中から、その『手』と、いの一番に再会したのだ。
『運命』を感じずにはいられなかった。
そして、『運命』を感じた心は、もはや理性で制御できるものではなかった。
感情が爆発し、身体を支配する。
涙がとめどなく溢れ出し、声が震える。
自分はこの『手』と出会う為にこの場へ呼ばれたのだと、吉良は本気で考えていた。
この殺し合いは『手』を入手する為の試練なのだと、吉良は本気で考えていた。
この『手』と永劫なる『平穏』を過ごす為の、『試練』。
『手』を前にして、決意は一瞬で固まっていた。
「わ、私はアナタを守り抜いてみせる。絶対に殺させない、他の誰にもッ!」
吉良吉影は、決意する。
「……何を言っているのだ。私とアナタは出会ったばかり―――」
この『手』を、引いてはこの『手』を動かす女性を、最後まで守り抜くと―――、
「そんな事は関係ないッ! 私は決意したぞ、アナタを最後まで守り抜くと! アナタにどう思われようと、守る! 私の命に……『平穏』に代えても、私はアナタを守り抜くッ!」
それこそ命を、『平穏』すらも懸けて、守り抜くと―――、
「―――必ずだッッ!!!」
吉良吉影は決意する。
(決めた……決めたぞッ! 私は『最も新鮮な状態』でこの『手』を手に入れるッ! そして! 願い事で、『手』を永久に新鮮な状態を保っていられるようにするッ!!)
そう―――最後に、最も新鮮な状態で『手』を入手する事を、決意する。
その為に、守り抜く。
守り抜き、守り抜き、この女性が最後の一人となるまで守り抜き、そして最後に女性を殺害する。
最も新鮮な状態で『手』を入手できれば、後は何も悩む事はない。
あの平戸ロイヤルとやらが言っていた『願い事』で、『手』を新鮮な状態で保てるようにすれば良いのだ。
そうすれば、あの『手』を『完全な状態』で手に入れる事ができる。
一生を、あの『手』と過ごす事ができる。
一生、あの『手』を愛でる事ができる。
『川尻浩作』となった事で『平穏』は手に入れた。
後は『完全な状態』でこの『手』を入手できれば、もはや待っているのは『幸福』だけだ。
『平穏』で、『幸福』な生活が待っている。
その為ならば、喜んでこの殺し合いを受け入れよう。
如何なる敵が相手であろうと、この少女を守り抜こう。
全ては『平穏』で『幸福』な世界の為だ。
吉良吉影は、決意する。
少女を守り抜く事、『手』を守り抜く事、全てを決意する。
守り抜き、守り抜き、この女性が最後の一人となるまで守り抜き、そして最後に女性を殺害する。
最も新鮮な状態で『手』を入手できれば、後は何も悩む事はない。
あの平戸ロイヤルとやらが言っていた『願い事』で、『手』を新鮮な状態で保てるようにすれば良いのだ。
そうすれば、あの『手』を『完全な状態』で手に入れる事ができる。
一生を、あの『手』と過ごす事ができる。
一生、あの『手』を愛でる事ができる。
『川尻浩作』となった事で『平穏』は手に入れた。
後は『完全な状態』でこの『手』を入手できれば、もはや待っているのは『幸福』だけだ。
『平穏』で、『幸福』な生活が待っている。
その為ならば、喜んでこの殺し合いを受け入れよう。
如何なる敵が相手であろうと、この少女を守り抜こう。
全ては『平穏』で『幸福』な世界の為だ。
吉良吉影は、決意する。
少女を守り抜く事、『手』を守り抜く事、全てを決意する。
「そ、そうか……」
殺人鬼の異様な胸中を知らぬ女性は、唐突な告白にキョトンと目を見開いていた。
普段は(色々な意味で)周囲を圧倒する立場にいる筈の女性が、唐突でそれでいて熱烈な告白に、逆に圧倒されていた。
気圧されていたと言っても良い。
その圧倒的過ぎるパラメーターや絶対王政さながらの振る舞いから、女性は他者から告白をされた事など殆どなかった。
羨望や憧れの言葉は幾度となく投げかけられど、アナタを守るなどと言われた事は一度もない。
……まあ、言葉にせずとも、彼女を守ろうと傍らにて努力を続ける青年ならばいるのだが。
閑話休題。
一先ず女性は、吉良の真っ直ぐすぎる告白に、完全に圧倒されていた。
ともすれば頬すら朱に染めて、女性は吉良を見詰める。
普段は(色々な意味で)周囲を圧倒する立場にいる筈の女性が、唐突でそれでいて熱烈な告白に、逆に圧倒されていた。
気圧されていたと言っても良い。
その圧倒的過ぎるパラメーターや絶対王政さながらの振る舞いから、女性は他者から告白をされた事など殆どなかった。
羨望や憧れの言葉は幾度となく投げかけられど、アナタを守るなどと言われた事は一度もない。
……まあ、言葉にせずとも、彼女を守ろうと傍らにて努力を続ける青年ならばいるのだが。
閑話休題。
一先ず女性は、吉良の真っ直ぐすぎる告白に、完全に圧倒されていた。
ともすれば頬すら朱に染めて、女性は吉良を見詰める。
「……う、うむ。では、共に行きましょう」
「い、良いのか……!? 私と行動してくれるのかッ!?」
「ええ、此方としても心強い限りです。……と、まだ名乗っていませんでしたね。私は黒神めだかです、よろしくお願い致します」
「そ、そうか。良かった、本当に良かったッ! 私は……吉良、吉良吉影だ。よろしく頼む、そして大船に乗ったつもりでいてくれ、めだかちゃん」
「い、良いのか……!? 私と行動してくれるのかッ!?」
「ええ、此方としても心強い限りです。……と、まだ名乗っていませんでしたね。私は黒神めだかです、よろしくお願い致します」
「そ、そうか。良かった、本当に良かったッ! 私は……吉良、吉良吉影だ。よろしく頼む、そして大船に乗ったつもりでいてくれ、めだかちゃん」
自己紹介を終え、二人は歩き出した。
不純かつ猟期的な動機から、同行者の死守を心に誓う殺人鬼。
そして、同級生の凶行を阻止できなかった事に対する悔恨を、唐突の告白というサプライズにより一時とはいえ忘れる事ができた少女。
どうにも奇妙な二人組が、夜の市街地を進んでいく。
不純かつ猟期的な動機から、同行者の死守を心に誓う殺人鬼。
そして、同級生の凶行を阻止できなかった事に対する悔恨を、唐突の告白というサプライズにより一時とはいえ忘れる事ができた少女。
どうにも奇妙な二人組が、夜の市街地を進んでいく。
【E-4・市街地/一日目・深夜】
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:黒神めだかの『手』を『完全な状態』で手に入れる。
1:黒神めだかと共に行動し、黒神めだかを守る。
2:隙を見て他の参加者を殺害していき、最後の最後に黒神めだかを殺害する。
【備考】
※『川尻浩作』となり、承太郎達から逃亡を果たした直後から参戦しています
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:黒神めだかの『手』を『完全な状態』で手に入れる。
1:黒神めだかと共に行動し、黒神めだかを守る。
2:隙を見て他の参加者を殺害していき、最後の最後に黒神めだかを殺害する。
【備考】
※『川尻浩作』となり、承太郎達から逃亡を果たした直後から参戦しています
【黒神めだか@めだかボックス】
【状態】健康、動揺
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:殺し合いを阻止し、平戸ロイヤルを止める
1:吉良吉影と行動する。
【備考】
※少なくとも改神モードを会得した後からの参戦です
※詳しい行動指針は後の書き手さんに任せます
【状態】健康、動揺
【装備】なし
【持ち物】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考】
基本:殺し合いを阻止し、平戸ロイヤルを止める
1:吉良吉影と行動する。
【備考】
※少なくとも改神モードを会得した後からの参戦です
※詳しい行動指針は後の書き手さんに任せます
時系列順で読む
投下順で読む
キャラを追って読む
| 行動開始 | 吉良吉影 | 壊【そげぶ】(後編) |
| ロイヤルボックス | 黒神めだか |