「林を進む象牙のやうに。所領を棄てる王のやうに。」
『Brightness falls from the Aria』
【名前】
アリア・ケーニギン=デァナハト
【容姿】
女性とは思えぬ2m弱の長身。腰元まで麾びく白銀のストレートヘア。自動人形に似た端整で無感情な顔立ちの右半は、長く伸ばした髪で覆われている。裏に隠れるのは、液晶複眼型の特殊義眼と焼け爛れたような醜い傷痕。遺された青い左眼は人殺しに特有の冷たい光を宿して、化粧にも微笑にも縁遠い。
しなやかで豊かな体つきと長い両脚を上物のシャツとスラックスに包み、遣り手の交渉人のように品のいいネクタイを締めてテーラード・ジャケットを羽織り、その上から黒いチェスターコートを纏う──脚元はビジネススタイルのレザーシューズ。その傍らに立てば、燻すような煙臭さと、仄かな香水のかおり、──死臭、血のにおい、或いは何かの軋む音。
【能力】
「ハングマンズ・ブラッド」
──Hangman's Blood:処刑人の血潮
破壊力-A スピード-C 射程距離-B
持続力-D 精密動作性-C 成長性-B
自分の「血」を触媒とし、思い描く通りの「武器」を召喚する能力。しかし、その対象は特異性のない(e.g.固有名詞的な「聖剣」等でなく、現存技術で量産可能な)ものに限られる。
自身の血で出来た血溜まりより武器を"引き揚げる"形で能力は行使される。手で触れるなど、必ずしも何らかの力をかける必要はなく、任意で自動かつ即座に出現させることもできる。血が乾いた場合、触媒としての機能は失われる。
血溜まりの面積より大きな武器を召喚することはできない。血溜まりが掠れたり途切れた場合は一つの面積とは見なされない。ただし砲門や銃口・切っ先など、兵器の一部分だけを召喚することは可能。
また特に火砲類の場合、彼女の意志によって遠隔射撃もできる。その場合、最低でも機関部までを「露出」させておく必要がある。
+
召喚した武器、とか
+
格闘武器
いわゆる刺剣。細身で長い刀身を持つ西洋剣。ヴァルキリーの護衛戦闘機ではない。
召喚される時にはかなり勢いよく飛び出てくるので、アリアは予め「軽く血を飛び散らした」上でこの手の細い武器を刀身だけ召喚、敵を貫く ── という戦法を好む。
長いものでは刃渡り2mくらいの奴もある、らしい。少し血を飛ばすだけで呼び出せるため、よく使われる。
騎兵槍。使い方はレイピアと同じ。真面目に振るうことは殆どない
Executioner's sword.斬首刑の時、処刑人が用いる剣。突く必要がないため基本的に切っ先は潰されていて、その代わりにエラく大きな刀身を持つ奴もあったりする、らしい。
アリアは身長並みの大きさがあるコイツを片手でブン回す。控えめに言って、メスゴリラ
またの名を旋棍。沖縄発祥の打撃武器。ガードにも使えるし逆手に持てば刺突武器としても扱える。意外と海外にも進出してるとか何とか。
ロール中では金属製のオーソドックスなものを二本一対にて使用。二刀流が性に合うらしい
+
各種銃器
12.7×99mmの大型機銃弾を連射する重機関銃。ベルトリンクごと召喚した。威力・精度・射程・速射性能すべて申し分なく、単発射撃ならkmクラスの狙撃運用にも堪えうる代物。
あんまりに高性能なので現実だとそろそろ100年選手。普通は地面に据え付けて使うが、アリアはサイボーグなので腰だめで撃つ。流石に両手持ち。適切な部位を狙えば、ハードターゲットにも十分に有効打を与えられる
5.56×45mm弾を使用する重機関銃であり、比較的軽量なガトリングガン。6銃身。装弾数1200発。ゴム弾の弱装弾を装填して使用した。
ガスオペレーションで銃身の回転まで行うという中々珍しいガトリングガン。バッテリーがなくても動く。とはいえ現実ではボツ兵器として時代の仇花と散った
5.56×45mm弾を使用する軽機関銃。分隊支援火器とも言う。ベルト給弾式でバカスカ撃てる。交換用のバレルはない。まあ何れ撃ち捨てる代物なのでコックオフしても大丈夫。
通称「アハト・アハト」。第二次世界大戦におけるナチスドイツの代名詞的高射砲。優れた構造と威力は本来の対空運用のみならず、直接射撃による対人・対戦車運用でも高い成果を挙げ、連合軍の兵士を震え上がらせた。
ロール中では対人榴弾を使用。あろうことかアリアはこいつを室内で撃っている。およそ無神経。
20mmガトリングガンを搭載した艦載式の対空機関砲。上部のレドームにて認識した動体を無差別に迎撃する。使用するのは劣化ウラン弾芯の焼夷徹甲弾。
こいつも室内で撃っている。無神経の極み。鼓膜とか大丈夫なんだろうか?
消音対物ライフル。マークスマンライフルとしての性質が強い、バレル長に匹敵する巨大なサプレッサーが特徴的な一挺。ブルパップ式、ストレートプルのボルトアクション。装弾数5発。
12.7mmの大口径弾を亜音速で発射することにより、狙撃銃としての射程距離を犠牲にしつつも、優れた貫徹力と消音性を両立している。コンクリくらいなら余裕でブチ抜く。
ワルサー社製の狙撃銃、WA2000の近代化改修型。.408Chey-Tac弾を使用するセミオート式のスナイパーライフル。
装弾数8+1発。バレル上部にピカティニー・レールを装備する他、暗視望遠装置を標準で装備する。ただしこいつは架空モデル。
ソ連製のサブマシンガン。第二次世界大戦でソ連軍に広く使用された。ぺーぺーしゃ。通称バラライカ。召喚したのはドラムマガジン仕様。7.62×25mmトカレフ弾を使用する。
ソ連製の軽機関銃。7.62×54R弾使用。ラッパのようなフラッシュハイダーと、機関部上部の丸く平たいパンマガジンが特徴的。お陰で装弾数も多い。
FPS界隈ではタチャンカの銃として有名。実際のところアンティーク。というかアリアは中の人の趣味で銃器を召喚している節がある
オーストリア製の狙撃銃。ボルトアクション。装弾数5発。弾薬は.308ウィンチェスターから338ラプア・マグナムまで西側の狙撃銃っぽいのは凡そ使える。TPGとはドイツ語で「戦術精密狙撃銃」の略。
日本や米国ではマイナーでメディアへの露出も少ないが、欧州のスポーツシューティング市場ではメチャクチャ人気のある銃らしい。マッシブな見た目とサムホールグリップがカッコいい。
イタリアのタンフォリオ社製シングルショット・ピストル。ブレイクオープン式。当然ながら装弾数1発。弾薬は色々使える。ロール中では50口径の対人麻酔弾を使用。
特筆すべき点としてコルト・ガバメントのトリガーグループをそのまま流用している。マグリリースがブレイクオープンのボタン。
余談ではあるが、現実において火薬式の麻酔銃というのはマイナー。理由は簡単で初速が速すぎる為。弾頭が普通に対象を殺傷してしまう。
実際S&W.500マグナム弾をベースに作るとして、投与できる麻酔薬の量も考慮すれば、相当に装薬量を減らして弾頭を大きくしないといけないと思う。
対人用の麻酔銃というのもマイナー。暴徒鎮圧なら催涙弾やゴム弾なんかで事足りてしまう。投薬量が少なすぎれば効かないし、多すぎれば後遺症の危険があり、最悪の場合では死亡してしまう。
基本的にはリスクとリターンが釣り合わない。でも能力者はみんな強靭だし大丈夫なはず。
アメリカのデトニクス社製となる45口径の自動拳銃。星の数ほどあるコルト・ガバメント派生モデルの中でも、世界最小のガバメントとして有名なコンシールド・キャリー。装弾数6+1発。
銃社会かつ45口径大好き≒ガバメント大好きなアメリカ人の国民性にマッチして中々に売れたらしい。見た目も中々にスマートでカッコいい。
ロール中では片想い(?)の相手に護身用として渡した。なんでこいつかって言ったらカスタムグリップに刻まれてるデトニクス社のエンブレムが「蛇」のそれだったから。けれどもう、「あの子には要らないもの」らしい。
+
その他火器
散弾を発射する特殊な地雷。只←こんな形をしている。下の二脚を地面に刺して使う
リモコン・ワイヤー・センサー等さまざまな起爆方式があり、起爆すると内部の炸薬により内蔵の鉛玉700発が地雷の前方に向けて弾け飛ぶ。「指向性」の所以。
ショットガンを至近距離で撃たれるようなものなので当然威力は相当なもの。ただし当てるのにもそれなりに頭を使う
【戦法】
サイボーグの優れた身体能力を最大限に活かした、後述の二丁拳銃と軍隊格闘術ならびに「ハングマンズ・ブラッド」を組み合わせた近距離高速格闘戦を主軸とする。
2mクラスとなる大型義体へと極限まで効率化されて充填された人工筋肉とチタンアロイ・フレームは水国の攻撃武器並義肢規制法(T.A.W.P.B.)を完璧に無視した代物であり、感圧点を16^2まで増設した外皮組織や官給品の空間受動電探を内蔵した右複眼など、五感も極めて鋭敏。
加えて補助電脳にインストールされた長中短距離それぞれの射撃制御ソフトは、動作パッケージでなく飽くまでも脳幹からの神経伝達上のノイズを除去することを重視し、理論精度値と状況対応力の両者を限界まで高めたハイエンドモデルである。
その射撃能力は一驚に値するもので、後述するAMTオートマグⅧ〝シュプール〟拳銃を使用した場合、50m以内であれば3秒間の行進間射撃でもX圏にピンヘッドしてマガジン全弾ワンホールできるほど。
CQBやCQCの練度も高く、徒手空拳における白兵戦は無論のこと、銃やナイフを握った状態での投刃・拳撃・蹴撃なども習得している。およそ武器と名前のつくものなら、たとえ武器とは呼べぬようなものでも、立派な人殺しの道具として扱える女。
そこに更に能力による攻撃も加わるのだから、その攻勢は生半なものではない。特性上、負傷すればするほどに強力かつ多数の武器を召喚してくるため、彼女の流す"血"には十全な警戒が必要となる。
キルゾーンの中にいると強烈な連撃を執拗かつ迅速に繰り出され続ける。格闘術の心得がないのなら付き合わない方がいい。可能であれば遠隔攻撃、でなければ一撃離脱に徹するのが吉。
弱点は頭。顎部などへの痛烈な打撃による脳震盪、或いは直接に脳組織を破壊する攻撃などが特に有効。異能を積極的に活用する極端な攻勢の戦闘スタイルは被弾の多さにも直結しており、手脚の一本や二本くらいなら破壊するのは容易。
また総合的な戦闘能力は特筆に値するが、各分野に分解して見た際には、どうしてもプロフェッショナルに遅れを取る場合もある。例えば剣の腕前で見るならば、剣聖には敵わない。本職の狙撃手へのカウンタースナイプへも、遅れを取りがち。
【装備】
アルカディア・マシン&ツール社が「一部法執行機関に所属する全身義体者向け」に開発した、M1911ベースのオートマチック・ハンドガン。メタルフレーム、シングルアクション。装弾数5+1発。セフティによるセミオート/フルオート切替式。
対物狙撃銃用の.408チェイタック・マグナムを親薬莢とした、60口径15.2×50mmラプア・テレスコープド弾を使用する。弾頭は劣化ウラン製の焼夷徹甲弾。「シュプール」とは本銃の11インチバレル仕様に対する俗称。
給弾方式は拳銃としては珍しいガスオペレーテッド。特徴として「弾薬を大きく前傾させてマガジンに装填する」という独自の構造により、グリップの過度な大型化を抑えつつ極めて強力な実包を使用することに成功している。
その代わりに装弾数が犠牲となっており、実効制圧力としてはリボルバーのそれにも劣る。「オートマチック・ハンドガンでフルサイズのライフル弾を凌駕する弾薬を撃つ」という目的の為だけに設計された性質の強い銃。
当然ながら、本来ならば1kmを超える超長距離狙撃に用いられるような弾薬を(サブアームとしては規格外のサイジングではあるものの)バレルの短いハンドガンから発射する関係上、その威力と反動は凄絶の一語。
可動部位の少なさと工作精度の高さから来る精密性とアサルトカービンに匹敵する銃身長から、射程距離もまたハンドガンのそれではない。アリア自身の並ならぬ身体能力も相まって、500ヤード程度のクイックドローならば易々とセンターに着弾させてしまう"狙撃拳銃"。
アリアはこれを二挺拳銃で扱う。右手だけで撃つ。それでいて普通に連射するし普通に当ててしまう。サイボーグの面目躍如。マズルフラッシュがヤバい。
グリップパネルにはレーザーサイトを内蔵。グリップセフティはビーバーテイル、かつAFPB連動のスクイズコッカーに換装されており、優れた携行安全性とトリガーフィーリングを両立している。無論のことコック&ロックも可能。なおマガジン底部には彼女自身の血液が不乾処理を施されたゲル化状態で充填されている。これにより弾倉内に直接「弾丸」を召喚するため、基本的にリロードを必要としない。
↓参考資料
アルカディア・マシン&ツール社が「一部法執行機関に所属する全身義体者向け」に開発した、M1911ベースのオートマチック・ハンドガン。装弾数5+1発。シルバーフレーム、シングルアクション、ガスオペレーテッド。バレル長11インチ。セフティによるセミオート/フルオート切替式。
散弾銃用の20ゲージ薬莢を改造した16×46mmショットスラッグ・マグナム弾を使用する他、その散弾仕様である.63口径拡散対人実包の発射さえも想定した特異な"全自動散弾拳銃"。「ナインボーラー」の愛称は、その口径(6+3=9)ならびに推奨弾頭がダブルオー・バックの9粒弾であることに由来する。
同弾薬はワッズをプラスチックからタングステンカーバイドに置換することで、性能を維持しつつ大幅な全長の短縮に成功。また限界密度まで充填したトリプルベース装薬によって、その初活力は12ゲージ強装弾クラスにまで引き上げられている。
高重量の低速大口径弾と高拡散性の特殊散弾を併用し、こと至近距離においての瞬間的な射界形成能力を最重視。重量、反動、装弾数、取り回し、銃身の摩耗速度、運用上の柔軟性、ランニングコストその他あらゆる欠点を切り捨てるという、いっそ狂気的なコンセプトのもと設計された特殊用途拳銃である。
アリアはこれを二挺拳銃で扱う。左手だけで撃つ。排莢口も左側に移植されているほか、グリップパネルにはレーザーサイトを内蔵。グリップセフティはビーバーテイル、かつAFPB連動のスクイズコッカーに換装されており、優れた携行安全性とトリガーフィーリングを両立している。無論のことコック&ロックも可能。
なおマガジン底部には彼女自身の血液が不乾処理を施されたゲル化状態で充填されている。これにより弾倉内に直接「弾丸」を召喚する為、基本的にリロードを必要としない。
↓参考資料
硝子で作られた中空の投げナイフ。中には彼女の血が充たされている。能力で錬成されたもの。ギリギリ手のひらに収まらない程度の刃渡りに、細長い刀身。それなりの数を、コートの下に隠している。
斬れ味はそこそこ。決定打にはなりにくいが、着弾した箇所を血塗れにできる。まとめて投げれば、それなりに大きな武器でも召喚できる。
【性格】
感情を表に出すことは少ない。この手の人間の例に漏れず冷酷で冷血。躊躇うことなく他人を殺せる女。しかし、残酷ではない。
必要であれば動揺せずにいられるというだけであり、優しくなれないわけでも、人の温かみを忘れたわけでもない。自分なりの正義感を持ち合わせている。
わりあい感傷的に、身の上話をすることが多い。自分の体のほとんどを人工物で代替してしまった彼女は、「生きる実感」が持てなかったらしい。
なればこそ死地に自ら身を置き、誰かの命を奪い、誰かに命を狙われて始めて、際立つ自分の「生」を感じられる、のだとか。ある種の狂気者。
だから自分を殺してくれそうな人には好意を抱く。それがきっかけで、誰かの容姿や性格を好きになる。強い人は愛しい。けれど其の癖リードしたがるタイプ。ワンナイト・ラヴも、少なくはない。
─── そして何時からか、ひどく迂遠な経緯をもって、彼女は自身のいのちを諒解した。なくした彼女の半身を、見つけられたから。
何だかんだで面倒見がいい。お節介焼き。気に入った人間にはどこまでも優しくする。そんな誰かの過去を知りたがる。痩せこけた良心を満足させるため、だろうか。
たぶん、美男美女に弱い。憧れているのかもしれない。儚げで、哀しい過去を負うなら、なおのこと。憐れみなんて偉そうな感情は、易々と投げかけないけれど。
ついでに言うなら、「自分と似たような境遇」の人間に入れ込みがち。すなわち、幼少期よりの人体実験の被験者。救いがないなら尚の事。 ──── そしてまた、「そういう形」で誰かを弄ぶ人間は、絶対に許さない。
本名、リーリエ・クラウディウス=ハインライン・フォン=シュネーグレッヒェン。
風の国 出身。国境付近、緑の溢れる或る小さな街にて、それなりに裕福な一軒家の長女に産まれる。どこまでも優しい両親に育てられ、分不相応なことを望まなければ、なにひとつ不自由のない暮らしであった。
しかし10歳の頃、隣国の水国にて生じた独立紛争の戦火に、「彼女」の街はごく自然に巻き込まれる。 ──── ある日、学校から帰ってきた時、「彼女」の家は焼け落ちていた。制空権争いに敗れた戦闘機の墜落先として、偶然に休暇を取っていた両親と、産まれたばかりの妹が炎に呑まれた。
そうして「彼女」は戦災孤児となり、ありがちな少女兵に身を落とすことになる。革命を謳う掠奪者たちに、振るわれたのは暴力と陵辱。1回分のモルヒネとAK-74を駄賃に握らされ、前線拠点の防衛を命じられた。その役割は兵士であり、人質でもあった。
しかし速成でさえない兵士に何ができようか。結果として「彼女」は空対地ミサイルと榴弾砲の嵐に巻き込まれ、両腕と腰から下を失う重傷を負う。薄れゆく意識の中、夜空は誰にも味方しなかった。
それでも人道的な陸戦条約に則った水国の特殊部隊に救護された「彼女」は、幾つかの政治的思惑を前提とした「全身義体化」の手術を受ける運びとなった。そこに選択の余地はなかった。
──── 水国と風国が共同で軍を動員させたことにより、紛争は数週間で終結を見た。そして「彼女」は機械の身体を与えられ、新たな名前を与えられ、水国陸軍の機械化特殊機動部隊/通称"701部隊"に配属される。
「アリア・ケーニギン=デァナハト(夜の女王のアリア)」。それが「彼女」の ─── アリアの、名前であった。そう呼ばれることに抵抗はなかった。
そこからは余り多くを語る必要もない。あまり公には出来ない汚い仕事をこなし続け、やがて自身の恩師となる人物に従事し、それさえも失ったのなら彼女は単なる生き人形で、故に後藤の手によって見出され、今に至る。
自己の存在に悩んでこそいるが、その本質は家族の死と向き合えないまま、ここまで来てしまった憐れな傀儡。冷酷と暴力を標榜するのは、ひとえに強さを求めるため。もう二度と誰かを喪いたくないと願うから。
その内面は脆い少女のものに他ならない。人並み以上の義憤を宿し、茫洋に生きる中で"同類"を探して、そこに家族の影を見出す。 ──── 自身の寄って立つ御旗となる、真の"正義"を求めて。
好きな食べ物は、量があるなら何でも。義体の稼働出力を確保する為、とにかく沢山食べる。スイーツ好き。パフェとかあげると喜ぶ。
好きな酒は、レミーマルタンのルイス・サーティーン。ストレートか、気が向けばロックで。
好きな煙草は、マールボロ。それなりにヘビースモーカー。1日で1箱吸う。義体なので、そこまで喫煙のリスクは大きくない。
趣味は読書、ダイビング、チェスの棋譜並べ。愛車は黒いニュー・ランチア・ストラトス。ちなみに、両性愛者。
【概要】
外務八課 の隊長を務めるサイボーグ。元は水国軍の非正規実験部隊に所属していた。強化人間かつ異能力者。裏の世界では其れなりに有名なヒットマンだった、らしい。
義体化率は90%を超えているとされ、正規軍時代に負った傷によるもの──とも。少なくとも、造血器官・脳・神経系と「顔の皮膚」を除いた殆ど全身を人工物に置換している。「自分が自分であった証」が欲しかったらしい。
任務の内容は、色々と人には言えないもの、とのこと。軍用高性能義体の法外なメンテナンス費用を賄うため、八課の資金源から少なからぬサポートを受けている。
現在は
水の国 首都フルーソの郊外にある、埋立宅地の人工島群に建てられた高層マンションに住んでいる。暮らし向きは、それなりに裕福。
義体は、深層学習機能を持つ自己構築型ナノマシンによって成形された第八世代イモータル・サイバネティクス型。人工臓器開発の技術が多く応用されている。
体組織との拒絶反応が僅少かつ軽度であり、ボディフレームは内外共にほとんど人間と変わらないのが特長。血も出るし、肌は柔らかく、涙だって流せる。優れた自己修復機能を持ち、四肢欠損程度なら元の手足があれば縫合だけで治癒できる。
人間と同じく、栄養素と酸素と水分その他で各器官を稼働させる。外部電源には一切依存しない。ただし消化器系や各種臓器の多くは、マイクロ・ケミカルプラントで効率化・簡略化されている。単純な代替臓器であり人間のそれと同じ機能を持つのは、心臓・肺・胃程度。
心肺機能が停止した場合は直ちに脳殻付嘱の生命維持装置が起動し、理論上48時間までは頭部だけで生存することが可能とされる。無論のこと超硬質チタン合金製の外殻ごと脳組織を破壊された場合は、その限りでないが ── 。
【記憶野】
「浪漫主義者」。荒れ果てた街への偵察任務中に出くわした。色々と、自分や相手の生き方に関して話した。同類と言われて、否定はできなかった。
「職務的殺意」。蛇教の活動が目に余ると、軍上層部からの命令を受けたので、排除を試みた。結果としては、痛み分け。次は絶対に殺すと心に決めている。
そうしてそれは成就したのだろう。答えのない疑念に封じられたまま。
「恩義」。 ──のちに「共感」。「同意」。「共犯」。任務で深い手傷を負った所を助けてもらった。ちょくちょく癪に触ることを言うし、阿呆な自称アラサーだが、どこか憎めない。中華料理をたくさん奢ってもらった。ついでに宿まで借りた。それなりに恩は返したが、まだ返し足りないとも思っている。
しばらくして再び会った時、ふたりは互いに想い人を探していた。これから互いにどうすべきか話した。ある意味で、接吻を交わした仲。
はじめは「錯綜」。いずれは「共感」。やがて「憐憫」。 ── そして「愛情」。「信頼」。「依存」。曰く、家出娘。曰く、行き倒れていた。気まぐれに拾って、自宅に上げてやった。お互いに嘘を吐いたまま、落ち着くような探り合うような、不思議な時間を過ごした。 ── 最後には、一線を超えた。接吻を重ねた仲。
愛しく、疑わしく、馬鹿馬鹿しい。そういう関係。共に過ごした夜の中で、手に刻まれた生々しい刺青と、胎に刻まれた痛々しい傷痕を見た。だから、次に会う時はきっと、殺し合うことになる。
畢竟ふたりは殺し合った。けれども其れは愛し合うのに似すぎていた。あまりに彼女は生きる実感をくれた。ゆえに決着は付かなかった。おまけに二度も看病する羽目になった。理由は、分からない。だから、次に会うときはまた、殺し合うことになる。
そのはずなのに、今度は自分が助けられた。生首だけになっていた所を拾われて、やさしく抱き締められて、交わす言葉は告白に似ていた。それでも、ふたりを分かつものはあって ── 結果、彼女の泣き顔を見た。彼女の過去を知った。だから、次に会う時はもう、殺せるか分からない。
それでも結局、ムリフェンを殺そうとした。蛇神の降り立つ儀式の直前、旧市街マルタの小さな礼拝堂で、何もかも粉々にする感情の打つけ合い。死闘の後、勝敗を制したのはアリアだった。 ── 殺さなかった。殺せなかった。死なないで、 ── そんな泣き言まで吐いた。
きっと神様の優しい巡り合わせで、かえでは命を取り留めた。絶望する彼女のこころを、今度こそ思い切り抉り抜いた。そこに注いだのは、絶えなき愛情。 まだ、全てが終わった訳では、ないけれど。
ゆえに未だ足りない。罵り合って、傷つけ合って、けれど愛し合って、 ─── なにか忘れてしまった気がするけど、今はそれにさえ溺れていたい。一つ屋根の下、ふたりの日々が始まった。
なのにそれさえも永いものではなかった。虚構世界への巡礼にて、彼女のかけた呪いは解けた。眼前で見せつけられた絶望は、アリアの心を折るのに十分すぎるものだったから。だから、 ─── もう一度、会いたい。
そして、その願いは叶えられた。かつての友に導かれ、もう一度彼女を抱き締めて、交わした約束と合言葉。だから、次に会う時は必ず、殺し合うことになる。
だのに酷く迷惑な遣り方で呼び付けられて、滅茶苦茶な我儘を吐かれて、それでも愛していたいと思えた。理解した。私は、わたしは、彼女に救われたい。失った物を見出すのならば、永遠に貴女を守るから。流星群の墜つる先、結ぶのは、きっと。「しなないで」。 ─── 貴女の願いは全て叶えるの。「宿世」。いずれはきっと、「婚姻」。
「馬鹿な子」。路地裏で、どこにでもいる悪党たちと青臭い闘い方をしていたところを助けた。ありがちなヒーロー。けれど、だからこそ、希望もあるというのだろうか。
話すうち、驚くほど自分がお節介焼きになっていることを自覚した。だれかさんを助けたのも、きっと、そのせいだ。あまり、死んで欲しくはない。
「侮蔑」 ── のちに「有能」。あの子のことが知りたくて、蛇の信徒にインタビュウしていた所、絡まれてしまった。最初は思い切り煽り合った。そうしてイザコザに発展した。
けれど筋は良かった。荒削りでも、色々と。口先もよく回った。公安に置いておくには勿体無い人材だと思った。次会えるなら、親しくしたい。やつの心境は知ったことではないけれど。
「協力」。蛇教のとあるアジトにて、かえでを追う最中に出会った。色々と言い当てられて驚いた。そして興味深くもあった。
白神鈴音なる友人を助けようとしているらしい。阻む理由もないが、手を貸さない理由もない。ただし道を違えるなら覚悟しろと、互いに忠言はした。
「憤怒」。許さない。許さない。許さない。貴様だけは、絶対に。 ──── それでも、「葬送」。ゆえに、「継承」。
「協力」。のちに「心配」。蜜姫かえでを助けてほしい。その代わりに、白神鈴音へ力を貸してもいい。そういう関係性。けれど、 ─── "生きてる"?
「照準」。「罪意」。一度目は殺し合った。心を揺さぶる命の遣り取りが出来る、数少ない相手。然して最後、貴女に見出したのは誰かの影。礼を失していたから、傷の手当てだけはした。
二度目も殺し合った。歪んだ形でも負い目はあったから、トドメを刺すことはしなかった。そうして彼女の正体を知った。 ─── 殺してやりたい相手だと、狼としての血が騒ぐ。
「信頼」。二度ほど背中を預け合った、腕の立つ剣客。いつか干戈を交えてみたい。そしてあわよくば、私の同胞にならないかしら。
「義憤」。友人と、その大切な人を蹂躙して侮辱した。絶対に許さない。必ず殺してやる。
「協力」。「敬意」。同業者のひとり。ヤバい目に遭ってる所を助けてやった。子供のくせに覚悟は一人前だった。手を貸してやらないことはない。
「同情」。「軽蔑」。「憐憫」。それでも「尊重」、ゆえに「理解」。されば「協力」。
愛しい人を奪われて、取り戻そうと足掻かぬ愚かしさ。数発ブン殴らないと気が済まなかった。だが同じ志と覚悟があるなら、同じ所を見るのも悪くはない。
「協力」。それと、幾ばくかの「罪意」。遠隔操作の義体越しに会って、これからの戦いに備える決意を交わした。取次をさせてしまったのは、どこかで埋め合わせしなければ。
はじめ「侮蔑」。それでも「協力」。 ─── 少しだけ、「憐憫」。たとえ残酷な世界でも、いずれ貴女の行く先へ、ひとつの救いがありますように。
「腐れ縁」。軍属時代からの知り合い。一時期は付き合っていたけれど、自然消滅した。それでも色々と、信じている。だから今でも変わらず、「相棒」。 ───「祝福」。
【省察】
It kills me not to know this ───
その忘却は私を殺したけれど、
but I've all but just forgotten ───
もはや何一つ憶えていないの。
What the color of her eyes were ───
この瞳が嘗て何色であったのかも、
and her scars or how she got them ───
この身に嘗て負った傷の故さえも。
So tell me now, If this ain't love then how do we get out? ───
だから教えて頂戴。これが愛でなければ何だと言うの?
〝Aria Königin der Nacht/夜の女王のアリア〟
──── I do, I do emergere dal fondo per lottare e poi.
──── salire in alto piu che mai.
──── I do, I do guardare nel futuro e sorridere.
──── con una nuova identita.
──── senza temere nulla piu.
+
設定語り、覚え書き、落書き帳。
名前の意味は「夜の女王のアリア(aria königin der nacht)」。
キャラクターの元ネタは、まあ、某シロマサ作品の、あの人とか。銃を使うキャラと聞いて中の人が思い浮かぶキャラの属性は大体入っている。けれどここまでメンタル弱くなるとは思ってなかった。
能力名の元ネタは、同名のカクテル。ジンとか、ラムとか、ブランデーとか、シャンパンとか、いろいろ豪勢に混ぜて作る。ぜいたく。
CV:坂本真綾。もう少ししたら、1995年くらいの田中敦子、あるいは斎賀みつき。性転換したら塩沢兼人
銃の名前の元ネタ。フリゲの洞窟物語に出てくる最強の銃「シュプール」と、アーマード・コアに出てくる最強のランカー「ナインボール」。ジャッカルとシルバーボーラー要素もある。
完全な余談だが、バレルが11インチのコルト・ガバメントは実在する。ガスオペレーテッドのガバメントも実在する。スクイズコッカーを組み込んだガバメントも実在する。流石に銃器大国アメリカで最も愛された拳銃は伊達ではない
投げナイフの"My Foolish Heart"は音楽のタイトルが元ネタ。椎名林檎のやつ
テーマ曲──
『I do』/Ilaria Graziano
VIDEO
『Savior』/Rise Against
VIDEO
+
天野風攻殻立ち※意味不明
デッサンってむずかしい!!顔ってむずかしい!!塗りってむずかしい!!んあー!!!
+
◆S6ROLCWdjIさんに描いていただいたイラスト!です!
わたしの5000兆倍くらいうまい
最終更新:2018年10月05日 22:36