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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

Opening01

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匿名ユーザー

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「あ~あ、負けちゃったかあ…」
少女は、つまらなさそうに言った。その瞳に映るのは、もう一人の自分。
自らの生み出した世界と共に敗北し、最後のあがきも失敗した自分自身を彼女は無表情に見つめていた。
少女は、用心深い性格だった。それはかつて彼女が種族の最下層であったことの名残。
この世界の『雛形』を掌握し、圧倒的な力を手にしたのちも、その性分は変わることがなかった。
その用心深さが彼女に『保険』を用意させた。手に入れた『世界』を使って生み出した、自らのすべてのデータをコピーしたバックアップ。
力こそオリジナルに及ばないが、知識、知恵、性格すべてが同じ存在。
「さぁて、どうしよっかな…」
オリジナルですら敗北した彼女に、彼らを敵に回すだけの力は無いことは、自分が一番良く分かっていた。
もうバックアップを用意することもできない。次の敗北は、完全なる消滅を意味する。
すでに自らの持つカードは彼らに知られ、用意した切り札も失った。不利なゲームにわざわざ乗るのは好みではない。
しばし彼女は考え、そして、大人の女の笑みで、笑った。
「とりあえず、テーブルを変えましょう。私は、私の世界が欲しいだけ。手に入れられるのならば、どのファルガイアでも一緒だわ」
この世界のデータライブラリ、ヒアデスに触れ、彼女は知った。『遠き地球』は一つではないこと。そこへ渡ることも自分ならば、たやすいことを。
それゆえに彼女はあっさりとこの世界を去ることを決意する。
「場所は、私たちがいなかったところがいいわ」
知られていないこと、それは大きな武器になる。
「聞こえていないでしょうけど、さようなら。ヴァージニア」
ファルガイア最大の賞金首集団が誕生したその日、その言葉を最後に少女は誰にも知られることなく、この世界を去った。




初夏のさわやかな風がそよぎ、麗らかな日差しが優しい光を投げかけるテラス。
「今日も絶好の紅茶日和ですね柊さん」
そこで、世界の守護者アンゼロットは、完璧な手順で入れられた紅茶を飲みながら、目の前の男に言った。
「てめえ、いきなり拉致っといてんなことほざいてんじゃねえ!ってかこれほどけ!」
ガチャガチャと音を立てながら、鋼の鎖で椅子に縛りつけられた柊蓮司は、吠えた。
その言葉にアンゼロットは笑いながら答えた。
「そんなこと言って、解いたら逃げ出すじゃないですか」
「あたり前だ!今日でもう3ヶ月目突入だぞ!?たまには帰らせろ!」
柊は、世界の真実を知らなかった。あれでもアンゼロットは自分に振る任務を抑えていたのだと。
世界を揺るがした戦いの終結後、柊は朝から晩までのつきっきりの補習授業と追試の嵐を乗り越えることでかろうじて卒業を迎えることができた。
先生の話では後1回遅刻していたら留年確定だったらしい。
もし狙ってやったのならある意味恐るべき才能だよと、苦笑交じりに言われたとき、柊はその元凶の恐ろしさを垣間見た気がした。
かくして、不幸学生から不幸フリーターへとクラスチェンジを果たし、留年と言う楔を失った柊に待っていたのは、
とんでもない量のアンゼロットからの依頼だった。
世界をまたにかけた、任務に次ぐ任務。つい1時間前に任務を終え、もしかしなくても俺ってロンギヌスよか働いてね?労働基準法とか違反でね?
などと自問自答している間にまた拉致られて今に至る。
「どうせ家にいても寝るかゲームでもするくらいしかしないじゃないですか。いい年の若い人がそれでは後々困りますよ?」
「うるせえ!だからって2ヶ月連続して仕事を回すな!人生にはなあ、ただひたすらに惰眠を貪るような日が少しは必要なんだよ!」
「さて、和やかな雑談はここまでにして、今回の任務です」
「どこが和やかだっ!?」
柊の突っ込みは華麗に無視された。



『はるか遠き異界にて、新たな魔王が誕生する。異界は魔王の庭と化し、世界は、新たなる邪悪を敵に迎える。それを倒すには柊蓮司が必要となる』



「なんだこりゃ?」
目の前に置かれた紙に書かれた文面を読み、柊は首をかしげた。
「何って、もちろん預言ですよ?」
「預言って…何で俺がフルネームで入ってんだよ!?」
「そりゃあ、そういう預言ですから」
「んな馬鹿な預言、あるわけが…もしかしてあれか?皇子とにゃふうの日記なのか?」
あまりにもアレな内容に柊は突っ込みを入れ、その後思い当たる節に気づいて、げんなりとうめいた。
だが、アンゼロットの答えは意外なものだった。
「いいえ。残念ながら外れです」
それと同時にお付きのロンギヌスが紫の布に包まれたものを運んできて、柊の前で開いて見せた。その中のものを見て、柊は驚いたように言う。
それは、一振りの剣だった。柊のものとよく似ているが、ついている宝玉の色が違い、今の柊の魔剣と比べると少し小ぶりだった。
「こりゃあ…晶の魔剣か?」
「そのとおりです」
戦いの中で20,000年前の異世界に飛ばされた戦友の魔剣。異世界での戦いを終えた後、柊はせめて剣だけでもとファー・ジ・アースに持ち帰っていた。
そのあと自分で管理するのもなんだからとアンゼロットに預けていたものだ。
「この剣には20,000年分の異世界、ミッドガルドの情報が保存されていました。異世界の情報とは貴重なもの。
そこでロンギヌスに命じ、データの解析を進めていたところ、見つけたのが先ほどの預言と言うわけです」
「そうか…」
その言葉に、適当な相槌をうって、柊は考え込む。晶が残した預言。異界というのはミッドガルドだろうか?何にせよ、見過ごしていい内容でもない。
「…んで俺は何をすればいいんだ?」
柊はアンゼロットに向きなおり、聞く。
「引き受けて、頂けますか?」
「どうせ嫌だっつっても無駄なんだろ。とりあえず、話を聞かせろ」
「わかりました。では、ご説明いたしましょう」
アンゼロットが頷く。柊はそれに頷きかえし、先を促した。
「つい先日、この魔術師協会のデータベースに何者かがウィルスを投入し、データベースをハッキングしました」
「ハッキング?んなことできんのか?」
魔術師協会のデータベースには幾重にもファイアーウォールが設定されており、常時専門のスタッフが監視をしている。
更に呪詛を利用した魔術的防御まで施された、非常に堅牢なものだ。
そこいらの人間に突破できるものではない。ウィザードでも、それが可能なのはほんの一握りだろう。
「ええ。スタッフの話ではまるで生きているかのような反応の速さのウィルスだったそうです。幾重にも張り巡らせられた防御をあっという間に突破されました。
そして、ウィルスは何らかの情報を入手し、脱出を図ったのです。その後の必死の追跡で、相手の位置を特定することに成功しました。ですがその場所というのが…」
「異世界だった、と言うわけか」
「はい。それも主八界には含まれない我々にとってはまったく未知の異世界。1人送り込んだら、その後に増援を送るのには3日はかかる場所です。
そのような場所の任務には、とにかく腕の立つウィザードでなければなりません。また、預言が本当であるならば、その異界にいるのは新たなる未知の魔王。
並大抵のウィザードでは返り討ちにされてしまうでしょう。ですが、預言を信じるならば、柊さん、あなたならばそれを倒せるのです」
アンゼロットの言葉に、柊は少し考えた後、深くため息をつき、言った。
「わーったよ。アンゼロットの頼みならともかく、他ならぬ晶のご指名だ。行ってやるよ」
「私の頼みなら云々は後で言及するとして、とりあえずそうと決まれば善は急げと言います。すぐに手配しましょう」
「よし、まずはこの鎖を解いてくれ。引き受けると決めた以上、逃げたりはしねえからよ」
話がまとまり、柊は当然と言えば当然の要求をした。だがそれに
「それは出来ません」
アンゼロットは笑顔で答えた。
「…は?」
思わず柊の口から間抜けな声が漏れる。
「ただの異世界ならともかく、全く未知の異世界へ至るには、世界結界を突破するための力と、正確な弾道計算が必要なのです」
「弾道計算ってなんだよオイ!?」
アンゼロットの不穏な言葉に柊は必死の形相で鎖から逃れようとする。だが、魔術強化まで施された鋼の鎖はビクともしない。
そんな柊を生暖かい表情で見ながら、アンゼロットは手元のボタンを押す。
音を立ててテラスの床が開き、姿を現したものには、黒光りする筒と台座、導火線、そして金文字で彩られたプレートがついていた。そのプレートに刻まれた文字は



『柊蓮司カノンMk2』



「てめえまさかまた」
「では、準備をお願いします」
柊の言葉を遮り、アンゼロットが言うと同時に、ロンギヌスのメンバーがわめく柊を無視して椅子ごと抱え上げ、大砲の中に詰め込む。
アンゼロットは笑顔で傍らのロンギヌスが恭しく差し出したマッチを擦り、火を導火線に近づけた。導火線がバチバチと音を立てて短くなっていく。
「それではくれぐれも頼みましたよ、柊さん」
そう言い終わると同時だった。



どっか~~~~ん!



派手な音と共に
「覚えてろよ~!アンゼロットォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!」
柊蓮司は、星になった。





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