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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第16話

最終更新:

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

side 柊蓮司


今日も今日とて、アンゼロットはテラスで日課のお茶を楽しむ。
午後の爽やかなひととき、そこへ落下してきた、謎の物体Xにアンゼロットは笑顔で言う。
「…御苦労さまでした。今はその疲れた身体を癒すことだけを考えてください」
「もっと他に言うことがあるだろ!?」
謎の物体Xこと柊蓮司が立ち上がって抗議する。
生身で異次元のはざまとついでに大気圏を突破した柊は、ボロボロだった。生死判定にも突入せんばかりの勢いだ。
「…さて、体も癒えたところで…」
「言っとくが、任務は引き受けねえぞ!俺は、生きて、家に帰って、あったかい布団で、寝るんだ!」
先手必勝とばかりに柊が釘をさす。柊蓮司、魂の叫びだった。
だが、それをアンゼロットは予想していたとでも言うように、笑顔で返す。
「…任務?何の話ですか?大体、わたくしが任務から帰ったばかりの柊さんに次の任務を言い渡すような外道だと思うのですか?」
「2ヶ月間1回も家に帰らせなかったのはどこのどいつだこのやろう!?」
柊の突っ込みを華麗に無視して、アンゼロットは上を指さす。柊は思わずそちらを見た。
そこにあったのは、1つのくす玉だった。固定する場所も無いのに空に浮かぶ謎のくす玉。
アンゼロットが手元のくす玉の紐に手をかけ、引く。
それと同時にくす玉が割れ、紙吹雪と垂れ幕が辺りに散らばった。その垂れ幕に書かれた文句は…

「…ロンギヌス御苦労さま記念豪華客船3泊4日ぶらり船の旅?」
「あの戦いより2ヶ月以上、みなはよく働いてくれました」
茫然と呟く柊に言い聞かせるように、アンゼロットが言う。
「おかげで、このファー・ジ・アースも小康状態ながら平和を取り戻しました。
そこで、日頃の感謝の意味をこめ、今回の旅行を企画したのです。柊さんにも、この旅行に参加してもらう予定です」
その言葉を聞き、柊は頷き、笑顔で聞く。
「そうか…それで、どんな罠なんだ?」
「信じていただけないのですか!?」
「当たり前だ!?」
心底驚いたように言うアンゼロットに、即答で柊は返す。
それをごまかすようにアンゼロットは一つ咳ばらいをして、言う。
「この旅行は、ロンギヌスはもちろん、赤羽くれはさんや緋室灯さん、至宝エリスさん、ナイトメアなど、
ここ1年辺りの重大事件解決の手助けをしてくださった方々、全員をご招待しています。
柊さんだけならともかく、その方たちに、わたくしがひどいことをなさるとでも?」
「…俺だけならともかくってのは置いとくとして、確かにな…」
アンゼロットの言葉に、柊は考え込む。柊とロンギヌス以外には、この世界の守護者は割と常識的な対応をする。
さらに全員と言うことは絶滅社や聖王庁の人間も呼ぶことになっているのだろう。
そんな相手に無礼な対応をしては、世界の守護者の威厳に関わる。
柊のたまにクレバーな頭がそこまで推理をした結果、柊は頷いた。
「…分かった。ありがたく、いかせてもらうぜ」
「はい。では、出発は2日後の昼です。それまでに準備を終えて、集合場所へ来てください。
集合場所については、柊さんの家に届いている招待状を参照してください。遅刻、厳禁ですよ?」
「分かった。んじゃな!」
そう言って柊は家へと帰って行く。久しぶりに帰れることになって浮かれているのか、小躍り気味だ。
「…コイズミ。それで、例の件はどうなっていますか」
それを笑顔で見送り、柊の姿が完全に消えたのを見届け、アンゼロットはお付きのロンギヌスを呼ぶ。
「は。つい先ほど、マスターテープが届きました」
「そうですか。では、1度確認をした後、問題が無ければすぐに量産体制に入りなさい。
そして、今回の旅行の参加者にお送りするのです。もちろん…」
「柊殿以外に、ですね」
「…よろしい。では、そのマスターテープをこちらへ」
その言葉にコイズミは恭しく、1枚のDVDを差し出す。そのタイトルは…

『はじめてのチュウ~カメラがとらえた衝撃映像!異世界でついに明かされる真実!柊蓮司に熱愛発覚!?そのお相手とは!?~』

「いい度胸です。柊さん…」
その顔に笑顔をはりつけながら、アンゼロットが言う。
彼女が手にしたティーカップが震えているのは、笑いをこらえるゆえか、それとも…
「2日後が、実に楽しみですね」
禍々しいオーラを発する笑顔で、アンゼロットが呟いた。

…1週間後、柊蓮司はげっそりとやつれた顔で
「こ、これなら任務の方がまだマシだった…」
と語り、撮影及び編集担当は成層圏のはるか彼方で
「ハーハッハッハッハ!ゴ主人様、ナイスボォォォト!!!!!」
と笑い転げることとなるのだが、それはまた、別の話。


side 七瀬晶


「そ、そんな…短期間で、こんなに強くなるなんて…」
ホワイトメイジであるアルフの少女が呻く。圧倒的な強さを手に入れた、魔王に対して。
今は仲間が辛うじて持ちこたえている状態だが、それも時間の問題だ。
圧倒的に不利な状況。
「こわい…こわいよ…」
恐怖に心が支配される。このままでは、死が待っている。
「大丈夫、だよ」
そんなときだった。少女の頭に優しい手が置かれたのは。
「晶さま…」
「私は、負けないよ。こんなところで負けてられない」
晶ほどの戦士なら、今の魔王の強さが分からないはずもない。
だが、それでもなお、晶は笑う。今は、未来へと繋がってる。その言葉を信じて。
「ですが…」
目の前の少女は、まだ震えている。
それを見て、晶は見る人を安心させるような優しい笑顔で、言う。
「…よし、この戦いが終わったら、とっておきの話を聞かせてあげよう」
「話?…晶さまの新しいお話ですか!?」
少女は、この異邦人の勇者の話してくれる、面白く、斬新な話のファンだった。
だが、最近はふさぎ込んで、なかなか新しい話をしてくれようとしない。
そう、少女は飢えていたのだ。晶のもたらす『笑い』に。
「もっちろん。完全新作オールナイト。ネタは、まだまだあるんだから」
「約束ですよ!?みんなにも、伝えてきます!」
そう言って少女は仲間の元へ駆けていく。理由はどうあれ、元気は出たようだ。
それを見送り、晶は空を見上げ言う。
「柊くん。私、決めたよ。私は、ミッドガルドで生きていく。
ファー・ジ・アースの未来は柊くんが繋いでいってくれるって信じてる。
だから私は、全力でミッドガルドの未来を繋ぐよ。それが、いつか柊くんに繋がるのなら」
そして、気合いと共に剣を構える。目標はもちろん、魔王の撃破!

「さ、さっさと終わらせなきゃね。七瀬晶プレゼンツ、晶七瀬のすべらない話はまだまだ沢山あるんだから!」
のちに、七瀬晶の残した数々の話はアルフに長く親しまれ、その中でも特に人気の高い話の主人公の名が、
アルフの古文書にフルネームで残る事態を引き起こすのだが、その事が本人にバレるのは、それから2万年後の話である。


side ARMS


「ありがとーございましたー」
パンとお釣りを客に渡しながら、新人の店員が愛想良く笑う。
「おや、見かけない顔だけど可愛い店員さんだね」
「はい!今日から短い間ですけど、このお店を手伝うことになったんです!」
「ははは。マリナちゃんも大変だな。こんな可愛い店員さんがアシュレー君と一緒じゃ、気が気じゃないだろう」
「もう、おだてても何も出ませんよ。あ、パン1個おまけしときますね♪」
「こりゃどうも。これなら、毎日来るのもいいかな」
「はい。お待ちしていますね♪」
そんな会話をしながら、客は出て行った。
「お~い。焼きそばパンが焼き上がったから、並べるの手伝ってくれ。リルカ」
奧からトレイ一杯の焼きそばパンを運びながら、アシュレーが言う。
「おっけ。ついでに焼きそばパン10個もらうね」
レジにお金を入れ、瞬く間に焼きそばパンを胃袋に納めながら、笑顔でリルカが答えた。
「それ焼きあがったパンの半分なんだが…」
かき入れどきの昼前に、いきなり半分に減った焼きそばパンを見ながら、アシュレーが茫然と呟いた。

「しかし、良かったのか?学校もあるんだろう?」
戦場のようなお昼ご飯タイムが終わり、一段落したところでアシュレーがリルカに聞く。
「ふふん。これでも最近では成績は上から数えた方が速いんだよ。
期末のテストでちゃんと成績残せば、問題無いって先生のお墨付きなんだから!」
アシュレーの問いにリルカは胸を張って答える。
「それにしても、リルカがマリナが子供を産むまで店を手伝ってくれるって言い出した時は、どうなるかと思ったけど…」
アシュレーが感慨深げに言う。
あの戦いから1ヶ月。そろそろ立ち仕事が辛くなってきたマリナは、上で休んでいる。
タウンメリアでも人気のパン屋である店を切り盛りするのは、アシュレー1人では辛い。
そこで、短期で店員を雇おうか、そんな話になった時のことだった。
『だったら私が手伝ってあげるよ』
そう、リルカが言い出したのは。
それからのリルカの行動は速かった。あっという間に魔法学校の許可を取り付け、下宿先を見つけてきた。
そして、パン屋の臨時店員として、働き始めたのだ。
「リルカ、しばらく会わないうちに逞しくなったんだな」
「もう!それって女の子に言う誉め言葉じゃないでしょ!…と、いらっしゃいませー」
玄関に取り付けられたベルが来客を告げる。その客を見て、2人は驚いた。
「「ブラッド!?それに…もしかしてメリル!?」」
無骨な大男と、可憐な少女。普通の人が見たら、何ごとかと思うような組み合わせだ。
「ちょうど近くを通ったので、挨拶のひとつもしておくべきだと思ってな」
ブラッドが2人に言う。
「お久しぶりです。いつもこの人がお世話になっています」
この人。とある場合以外普通は使わない呼び方で、メリルが2人で挨拶する。
「「この人って…ブラッド…まさか…」」
2人は驚きと疑惑でもってブラッドを見る。
「メリル…そういう誤解を招く発言はやめろと言っているだろう」
それに、苦虫をかみつぶしたような顔でブラッドが反論する。
「もう…私ももう、子供じゃないんだよ?だから、いいの。ね?あなた」
「あなたと言うのもやめろと言っているだろう!?」
下手をすると親子ほども年の離れた少女に手玉に取られるブラッド。
それは、いつも沈着冷静な彼を知る2人に取っては驚くべき光景だった。
「にしてもブラッドがタウンメリアに来るなんて、珍しいね」
「…ああ、この前の事件で、思うところがあってな」
リルカに聞かれ、ブラッドは言う。
「思えば、任務では世界中を回ったが、平和になった後の世界は、俺はほとんど知らん。
だから、俺たちが守った昨日と今とやらを見ておこうと思ってな。観光中と言ったところだ。
…本当は、1人で当てもなく回るつもりだったのだがな…」
「もう、そんなこと言って、帰って来ないつもりだったでしょ?おじちゃ…あなた。
私も、もう大人なんだから、ついて行く人くらい、自分で決めるよ」
「…モンスターの出る荒野の旅は危険だとあれほど言ったのだが」
「大丈夫。私、おじちゃんが守ってくれるって信じてるから♪」
「…やれやれ、と、言うわけだ」
嬉しそうに言うメリルにブラッドは頭を振って、言う。
「ちょっと待っててくれ。今、コーヒーでも入れる」
ようやくショックから立ち直り、アシュレーは厨房へと行こうとする。
「いや、これから宿を取らねばならん。2,3日はいるつもりだから、そのうち改めてお邪魔させて貰おう」
それを手で制止、ブラッドは外へと出て行く。
ぴったりとメリルが腕を組み、振り払う訳にもいかずとまどうブラッドを見て、
「ブラッド、ありゃあ尻に敷かれるな」
この件に関しては先輩であるアシュレーが呟く。
「アシュレーも人のこと言えないけどね」
「んなッ!?」
今日も今日とて、リルカの突っ込みはさえ渡っていた。

「…そう言えばさ、こんど生まれてくる赤ちゃんの名前、もう考えたの?」
ふと、思い出したようにリルカがアシュレーに聞く。
「名前?ああ、それならブラッドとリルカの名前を使わせてもらおうかと…」
「う~ん。それは、ダメ」
「えっ!?」
いきなりの駄目だしに、アシュレーは戸惑う。
「だって、私が来てるときに赤ちゃんがリルカって名前だと紛らわしいじゃん?
だから、別の名前にしといた方が良いよ」
「まいったな…そうなると、名前、どうしよう?」
「…それならさ、良い名前があるよ」
「え?どんな名前だ?」
「うん。言ってたんだ。元の世界じゃ、男の子でも女の子でも変じゃない名前だって」
そして、リルカは口にする。異世界の親友、ミッドガルドの魔剣使いの名前を。


side マリアベル・アーミティッジ


「なあ、マリアベル。一体なにつくってんだ?」
ゴーレムの修復作業を行うノーブルレッド城の轟音を背景に、トニーがマリアベルに尋ねる。
ここ数ヶ月姿が見えないと思ったら、ふらっと帰ってきて、それからはマリアベルはずっとそれにかかりきりだった。
「うん?…ああ、これはな、ドラゴン用の通信強化パーツじゃ」
ほとんど無い胸を張ってマリアベルは答える。
「ドラゴンの通信強化パーツ?」
「うむ。これをつければ、ドラゴン間の通信がこのファルガイアどころか別のファルガイアまで届くようになるという、
ノーブルレッド脅威のメカニズムじゃ!」
「別のファルガイアって、なんでんなもんつくってんだ?」
「ふふふ…あのロンバルディアが最後のドラゴンとも思えん。ドラゴン次元から、別のファルガイアに逃げ延びたドラゴンも必ずおる。
そいつらと通信が出来れば、別のファルガイアのことも分かる、そしてロンバルディアは別のドラゴンと話せて万々歳と言う訳じゃ」
それまで、理論としてあるのは知っていた。別のファルガイアの存在。
そして、今回の事件で出会った、別のファルガイアからの侵略者に、ファルガイアの更に外に存在する異世界からの来訪者。
とどめに異世界の技術で作られた次元間航行すら可能な超戦艦。
そんなものを見せられ、聞かされて黙っていられるほど、マリアベル・アーミティッジは枯れていないのだ。
「ついでに、婿捜しをするのも悪くはないかも知れぬな。ノーブルレッドが、そう簡単に滅びるとも思えぬ」
「そっか…なんだかすげえ話になったな。良く分からんけど」
「もっとも、わらわの最終目的は、そんなちゃちな話しでは無いがな」
そう、ノーブルレッドは誇り高い種族なのだ。侮辱されて黙ってるなど、その誇りが許さない。
「100年…否、10年で辿りついてみせるぞ。その時こそ、わらわをクソガキ呼ばわりしたこと、後悔させてくれるわ!」

後に、このマリアベルの決意が、複数のファルガイアを結び、ファルガイアに新たな時代を到来させるのだが、それはまた、別の話。

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