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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

追補編

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4-83

―――お花畑の向こうで、担任がイイ笑顔で手を振ってました。

「って、走馬灯っ!?」

自分の声で、ベホイミは目を覚ました。
どうやら立ったまま気を失っていたらしい。時間にして数秒ほどだが、敵と相対している場にあっては致命的に近い隙だ。
だというのに、相手は涼しい顔で彼女を見ていた。
舐められていることに多少腹が立つが、ある意味それも仕方ないと認めていた。

敵である「アバター・HARI-MA」のしてくる攻撃には「常識が通用しない」。
いや、ウィザードである以上は当然といえば当然なのだが、そういうことではなく「ありとあらゆる理論が通用しない」のだ。
ベホイミは知らないが、これもまた当然だ。
アバターである彼らは人々の想念の結晶。
空想・信仰は信仰上の存在を強化する。精神を大きな拠り所とする彼らは、他者に存在を認められてこそその存在を世界に固着できるのだ。
逆に、強い想念の結晶である彼らは精神生命体としてその力がまとめられている。数多くの人間の欲望・想念をまとめ、形に成したものこそが彼ら「アバター」と呼ばれる存在なのだ。
つまり多くの人間が彼らに抱いている幻想、それが強ければ強いほど、無茶苦茶であればあるほど、それを現実にする力が彼らにはある。

(どうする?回避もできなきゃ隙もないって攻めようがないっすよ)

ベホイミはそれでも『空想されし無敵』を倒す術を探そうとする。
彼女は後ろに何千何万という人々の願いを背負っている。ここで倒れることは魔法少女として、なにより彼女自身の矜持と信念が許さない。
そんな彼女を、「アバター・HARI-MA」は笑った。

「ふん、諦めろベホイミ。お前では俺は絶対に倒せん」
「ずいぶん口が回るッスね、『勝負に絶対はない』ってところに赤線引いた辞書プレゼントしてあげましょーか?」
「教えてやろうか、その理由を」

ベホイミの軽口を完全に無視して話を続けるHARI-MA。
ちょっとは皮肉くらい解せよ、と思わなくもないが、理由があるなら聞いてやろうとベホイミは黙る。

「簡単だ。俺は『主人公』だからだ」
「……は?」
「『主人公』とは負けてはならぬ絶対の存在。その『主人公』様であるところの俺を、たかが『脇役』でしかないお前が倒せるとでも思っているのか?」

『主人公』とは物語において最後に勝たねばならぬ幻想。ゆえにお前程度では勝てないと。
そう、因果の仕組みをもって絶望を与えるHARI-MA。

(あぁ、なるほど。
『主人公』は負けない。なぜならお話の中心にいる存在だから。だからアンタは私に負けないと言ってるわけッスか)


成る程、成程、ナルホド、なるほど―――ふざけるな。


次の瞬間、ベホイミはHARI-MAの胸倉を掴んでいた。
HARI-MAの顔にはじめて驚愕が刻まれる。

「な―――お前っ」
「要は。アンタは守りたいものもなく、ただ自分が好き勝手に生きたいから、何者にも阻害されぬ力がほしかったから、その力を手に入れたと。
 それで主人公だから負けないと。そうほざくわけッスね。何かのために力を振るうわけでなく、他人の思いも考えることなく」

重い左フック。ベホイミの渾身の想いがこもったその一撃は、はじめてHARI-MAの足を地面から浮かせる。

「バカな!なぜこんな単純な一撃が俺を傷つけるっ!?」
「私がこの力を振るうのは、みんなの思いを守るため。明日の子供の笑顔を守るため。この街でまた、みんなと一緒に笑うため。
 私にこの力を与えてくれたのは、マヌケだけど一生懸命な宇宙人と私と日々過ごしている普通のクラスメイト。
 私はこの力を、この場所を守るために使う!」

連撃、連撃連撃、連撃連撃連撃連撃!
拳はすでに瀑布のごとく。HARI-MAは、単純な拳のラッシュを何故か見切ることはできない。
唐突に、拳の嵐が止む。浮いていた足で着地し、なんとか態勢を整えようとするHARI-MAだが、そうは問屋がおろさない。
ベホイミは、最高の一撃を叩き込むために体を大きく捻っていたのだ。

今までで最速にして最高の一撃が、HARI-MAの顎をかち上げる!

「おるぁぁぁぁぁあぁあぁっ!」

魔法少女としてどうなんだ、という雄たけびと共に叩き込まれた一撃により、今までHARI-MAを支えていた想念の結合が断ち切られた。
物理的衝撃で精神結合に影響を及ぼすという離れ業をやってのけた彼女は、ぐっと拳を握って吐き捨てる。

「脇役から主役に登りつめたスピンオフ魔法少女を、ナメんじゃねぇッスよ」

どこぞの魔砲少女も同じことを言いそうだな、と思いながら新感覚癒し系魔法少女ベホイミはHARI-MAの消滅を見届けた。

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