タバサと幽霊
―――???
「よし…これで行けるはず。佐藤君のおかげね。でも、多分魔神皇に通用するのは1回だけの1人だけ。
…魔界への片道切符を受け取ってくれる人なんて、見つかるのかしら?」
カタカタとパソコンをいじっていた、メガネをかけた少女が手を止め、傍らの少女に話しかける。
「そうですね~。ですが、何もしないよりはマシです。諦めなきゃ大抵のことは何とかなる、それが…」
黒のセーラ服におかっぱと言う今どき珍しい女学生の格好をした少女がメガネの少女に答える。
「ウィザードの考え方、でしょ」
メガネの少女が傍らの“ガーディアン”に何度も聞かされてきた言葉に応える。
「はい~。それに、勝算はあるんですよ~」
「勝算?」
「はい。前に宗一郎さんから伺ったことがあるんです」
頷いて少女はこの学園世界のトップシークレットをあっさりと口にする。
「今、ちょうど“カゲモリ”って言う、“悪魔”と密かに戦っている人たちがいるって。彼らに接触できれば、きっと協力してくれるはずです」
「でもどうやって?その人たちと接触できるパソコンって言っても…待って。そうか、戦っているのだったら!」
「はい~。戦闘中のダークサマナーさんたちのパソコンにアクセスできれば」
「分かった。待って。今検索してみる!…いた!妖獣マンティコア召喚後死亡ってなってるけどパソコンがまだ生きてる!」
カタカタとそのパソコンの悪魔召喚プログラムを遠隔操作する。
「それじゃあ、よろしくお願いします。桜花さん」
「了解です。それでは、ちょっと行ってきますね」
そう言うとその少女…桜花がひょいとパソコンの画面に触れ、そのまま中へと入って行く。
…魔界への片道切符を受け取ってくれる人なんて、見つかるのかしら?」
カタカタとパソコンをいじっていた、メガネをかけた少女が手を止め、傍らの少女に話しかける。
「そうですね~。ですが、何もしないよりはマシです。諦めなきゃ大抵のことは何とかなる、それが…」
黒のセーラ服におかっぱと言う今どき珍しい女学生の格好をした少女がメガネの少女に答える。
「ウィザードの考え方、でしょ」
メガネの少女が傍らの“ガーディアン”に何度も聞かされてきた言葉に応える。
「はい~。それに、勝算はあるんですよ~」
「勝算?」
「はい。前に宗一郎さんから伺ったことがあるんです」
頷いて少女はこの学園世界のトップシークレットをあっさりと口にする。
「今、ちょうど“カゲモリ”って言う、“悪魔”と密かに戦っている人たちがいるって。彼らに接触できれば、きっと協力してくれるはずです」
「でもどうやって?その人たちと接触できるパソコンって言っても…待って。そうか、戦っているのだったら!」
「はい~。戦闘中のダークサマナーさんたちのパソコンにアクセスできれば」
「分かった。待って。今検索してみる!…いた!妖獣マンティコア召喚後死亡ってなってるけどパソコンがまだ生きてる!」
カタカタとそのパソコンの悪魔召喚プログラムを遠隔操作する。
「それじゃあ、よろしくお願いします。桜花さん」
「了解です。それでは、ちょっと行ってきますね」
そう言うとその少女…桜花がひょいとパソコンの画面に触れ、そのまま中へと入って行く。
―――学園世界 居住区郊外
「死ぬ~。死んじゃうのね~!」
マンティコアの尻尾から弾丸の如く打ち出される無数の針を必死にかわしながら、空を駆ける竜…風韻竜のシルフィードがわめく。
「耐えて。大技には、準備が必要」
そんな竜の声に耳を貸さず傍らに本のようなものを抱えた青い髪の少女…“雪風”のタバサが呪文を詠唱する。
(一撃で仕留めないと…回復する暇を与えずに)
先ほど、自分の得意魔法である“ウィンディ・アイシクル”で与えたダメージは、マンティコアの強力な癒しの魔法で一瞬で消え去った。
そして今、タバサの杖の上には“ジャベリン”が浮いている。
氷で出来た巨大な槍を急所に叩き込めればマンティコアと言えどもただでは済むまい。
だが。それには近付く必要がある。そのチャンスがなかなか巡ってこない。
「ヌウ…スバヤクテ、アタラヌ」
老人の顔を持つ魔獣、マンティコアがしわがれた声で呟く。
「マズハ…ウゴキヲトメルカ…」
すぅっと息を吸い込む。
「!」
はっと何かに気づいたタバサが一時詠唱を中断し、耳を塞ぐ。
ルロアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!
次の瞬間、マンティコアが大きく吠える!
「な、か、身体がうまく動かないのね!?」
その吠え声に身をすくませたシルフィードが異変に気づく。
「お、落ちるのね!」
空中で急速に失速し、シルフィードが地面に落ちる。
それを察知し、とっさに“レビテーション”を使ったタバサがふわりと地面に降りる。
「モウ、ニゲラレヌ…マズハ、子供ノ肉、クウ」
あの竜の鱗はいかにも固そうだ。喰うならば、やはり女子供に限る。
そう考え、マンティコアはゆっくりとタバサに近づいて行く。
「に、逃げるのねおねえさま!シルフィも動けるようになったらすぐに逃げるのね!
私たちだけじゃ厳しいのね!誰か他の人を連れて来てリベンジなのね!」
「…今逃げたら、居住区の住人に被害が及ぶ。ここで仕留める」
どうやら目の前の魔法使いはまだ勝てる気でいるらしい。大きな槍の周りに大量の氷の矢を浮かべる。
その判断ミスをマンティコアは嗤う。
確かに魔法使いの用意した大きな氷の槍は当たればマンティコアにも十分なダメージを与えられそうだ。
だが、当たらなければ、否、急所に当たらなければ“ディアラハン”が使える自分には致命傷にはならない。
そこまで読み切り、マンティコアが攻撃を開始する。
タバサが準備した氷の矢を大量に飛ばしてくる。
正直かわせる量じゃないそれが次々とマンティコアに刺さり、血を流させる。だが、それは大したダメージにはならない。そして。
「…クウ!」
爪を振り上げて、タバサを仕留めようとした、そのときだった。
「…ライトニング・クラウド」
それより一瞬早く“本命”のスペルを完成させたタバサの杖の先から、雲…強力な電気を帯びた雲が溢れる。
バチバチバチッ!
その電流が血液を媒介にマンティコアの体内に流れ込む。強力な電流にマンティコアの顔が更に醜く歪む。
「グ…グア…」
強力なトライアングルスペルの威力の前に、マンティコアはたまらず膝を屈する。
「見せている方はおとり」
そう呟きながら、タバサはピタリと大きな杖をマンティコアの眉間に向ける。
マンティコアは慌てて逃げようとして、気づく。電流で痺れた体では動くことも、ディアラハンを使うこともできない、と。
「タ、タスケ…」
とっさに命乞いをしようとしたマンティコアの顔面を。
「…とどめ」
先ほど用意した巨大な氷の槍が貫いた。
マンティコアの尻尾から弾丸の如く打ち出される無数の針を必死にかわしながら、空を駆ける竜…風韻竜のシルフィードがわめく。
「耐えて。大技には、準備が必要」
そんな竜の声に耳を貸さず傍らに本のようなものを抱えた青い髪の少女…“雪風”のタバサが呪文を詠唱する。
(一撃で仕留めないと…回復する暇を与えずに)
先ほど、自分の得意魔法である“ウィンディ・アイシクル”で与えたダメージは、マンティコアの強力な癒しの魔法で一瞬で消え去った。
そして今、タバサの杖の上には“ジャベリン”が浮いている。
氷で出来た巨大な槍を急所に叩き込めればマンティコアと言えどもただでは済むまい。
だが。それには近付く必要がある。そのチャンスがなかなか巡ってこない。
「ヌウ…スバヤクテ、アタラヌ」
老人の顔を持つ魔獣、マンティコアがしわがれた声で呟く。
「マズハ…ウゴキヲトメルカ…」
すぅっと息を吸い込む。
「!」
はっと何かに気づいたタバサが一時詠唱を中断し、耳を塞ぐ。
ルロアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!
次の瞬間、マンティコアが大きく吠える!
「な、か、身体がうまく動かないのね!?」
その吠え声に身をすくませたシルフィードが異変に気づく。
「お、落ちるのね!」
空中で急速に失速し、シルフィードが地面に落ちる。
それを察知し、とっさに“レビテーション”を使ったタバサがふわりと地面に降りる。
「モウ、ニゲラレヌ…マズハ、子供ノ肉、クウ」
あの竜の鱗はいかにも固そうだ。喰うならば、やはり女子供に限る。
そう考え、マンティコアはゆっくりとタバサに近づいて行く。
「に、逃げるのねおねえさま!シルフィも動けるようになったらすぐに逃げるのね!
私たちだけじゃ厳しいのね!誰か他の人を連れて来てリベンジなのね!」
「…今逃げたら、居住区の住人に被害が及ぶ。ここで仕留める」
どうやら目の前の魔法使いはまだ勝てる気でいるらしい。大きな槍の周りに大量の氷の矢を浮かべる。
その判断ミスをマンティコアは嗤う。
確かに魔法使いの用意した大きな氷の槍は当たればマンティコアにも十分なダメージを与えられそうだ。
だが、当たらなければ、否、急所に当たらなければ“ディアラハン”が使える自分には致命傷にはならない。
そこまで読み切り、マンティコアが攻撃を開始する。
タバサが準備した氷の矢を大量に飛ばしてくる。
正直かわせる量じゃないそれが次々とマンティコアに刺さり、血を流させる。だが、それは大したダメージにはならない。そして。
「…クウ!」
爪を振り上げて、タバサを仕留めようとした、そのときだった。
「…ライトニング・クラウド」
それより一瞬早く“本命”のスペルを完成させたタバサの杖の先から、雲…強力な電気を帯びた雲が溢れる。
バチバチバチッ!
その電流が血液を媒介にマンティコアの体内に流れ込む。強力な電流にマンティコアの顔が更に醜く歪む。
「グ…グア…」
強力なトライアングルスペルの威力の前に、マンティコアはたまらず膝を屈する。
「見せている方はおとり」
そう呟きながら、タバサはピタリと大きな杖をマンティコアの眉間に向ける。
マンティコアは慌てて逃げようとして、気づく。電流で痺れた体では動くことも、ディアラハンを使うこともできない、と。
「タ、タスケ…」
とっさに命乞いをしようとしたマンティコアの顔面を。
「…とどめ」
先ほど用意した巨大な氷の槍が貫いた。
「…光ってる?」
マンティコアを倒し、手にした箱…マンティコアの牙に噛み砕かれる寸前に召喚者から奪った、パソコンとか言う召喚装置の異変にタバサは訝しげにつぶやいた。
「な、何か来るのね!」
古代種の勘が何かの到来を告げ、シルフィードがタバサに警告する。
「…!」
貴重な“情報源”だが命が無くなっては意味が無い。タバサは召喚装置を地面に置いて距離を取り、戦闘に備える。
先ほどの戦いで消耗した精神力の回復を行うべく、肩から下げた水筒を取り、中のものを少しだけ口に含む。
水筒の中身はエルクレストカレッジ製のMPポーション。タバサの魔法の連発で消耗された精神力が回復していく。
準備完了。いつでも戦える。
そして、それが現れる。
召喚装置の前に現れた魔法陣。そこから出てくるのは…
「…まずはうまく行きましたね~」
一見すれば、タバサよりは少し年上に見える少女が現れる。
学院で“あの人”のお付きをやっているメイドに似た髪形と、前に学院で見た、こっちの世界で言う黒い“セーラー服”をまとった少女。
だが…身にまとう力を受けてタバサは直感する。この少女は先ほどのマンティコアよりも、強い。
「大丈夫ですよ~。戦うつもりはありません~。今日はお願いがあって来たんです~」
その、強烈な存在感を持つ少女はタバサの緊張に気づき、のんびりした口調でタバサに言う。
「お願い?」
緊張感を持ったまま、タバサが少女に尋ねる。
「はい~。実はですね…」
喋り出そうとした少女に一瞬ノイズが走る。その事に少女は眉をしかめながら、言う。
「実体化用のマグネタイト残量がギリギリみたいですね~。ごめんなさい。事情を説明している時間が無いようなので、単刀直入に言います。
私と一緒に、魔界へ来てもらえませんか?非常に危険なことを頼んでいるのは分かっています。
お礼もできるかはわかりません。ですが、それを踏まえて、お願いします。私と玲子を、助けてください」
一言、そう言うと少女はタバサに向かって手を差出し、真剣な表情でじっと見つめる。
「駄目なのね!罠なのね!“魔界”とか言ってたのね!きっと怖いところなのね!きゅいきゅい!」
よろよろと身体を起こしながら叫ぶシルフィードの言葉を聞きながら、タバサはじっと目の前の少女を観察する。
強い力を秘めているのを感じる。魔力も、精神力もただものでは無い。恐らくはスクウェアクラスに匹敵する。
だが、その瞳には邪気がまったく感じられない。ただ純粋にタバサに助力を求めている顔だ。
そして、タバサは結論を出す。
「分かった。連れてって」
「おねえさま!?」
コクリと頷き、少女の手を取ったタバサにシルフィードは驚いて声を上げる。
「やめるのね!何が起こるか分からないのね!危険なのね!たまにはシルフィの言う事もきくのねこのちびすけ!」
色々と言いながら必死に身体を動かそうとする使い魔を安心させようと、タバサは一言だけ、口にする。
「大丈夫。ちゃんと帰ってくる」
そう言った、次の瞬間。
バツンッと、TVの電源が落ちるように少女の姿が消える…タバサと共に。
「お、おねえさま~~~!」
シルフィードの悲痛な叫びは、誰に届くことも無く、消えて行った。
マンティコアを倒し、手にした箱…マンティコアの牙に噛み砕かれる寸前に召喚者から奪った、パソコンとか言う召喚装置の異変にタバサは訝しげにつぶやいた。
「な、何か来るのね!」
古代種の勘が何かの到来を告げ、シルフィードがタバサに警告する。
「…!」
貴重な“情報源”だが命が無くなっては意味が無い。タバサは召喚装置を地面に置いて距離を取り、戦闘に備える。
先ほどの戦いで消耗した精神力の回復を行うべく、肩から下げた水筒を取り、中のものを少しだけ口に含む。
水筒の中身はエルクレストカレッジ製のMPポーション。タバサの魔法の連発で消耗された精神力が回復していく。
準備完了。いつでも戦える。
そして、それが現れる。
召喚装置の前に現れた魔法陣。そこから出てくるのは…
「…まずはうまく行きましたね~」
一見すれば、タバサよりは少し年上に見える少女が現れる。
学院で“あの人”のお付きをやっているメイドに似た髪形と、前に学院で見た、こっちの世界で言う黒い“セーラー服”をまとった少女。
だが…身にまとう力を受けてタバサは直感する。この少女は先ほどのマンティコアよりも、強い。
「大丈夫ですよ~。戦うつもりはありません~。今日はお願いがあって来たんです~」
その、強烈な存在感を持つ少女はタバサの緊張に気づき、のんびりした口調でタバサに言う。
「お願い?」
緊張感を持ったまま、タバサが少女に尋ねる。
「はい~。実はですね…」
喋り出そうとした少女に一瞬ノイズが走る。その事に少女は眉をしかめながら、言う。
「実体化用のマグネタイト残量がギリギリみたいですね~。ごめんなさい。事情を説明している時間が無いようなので、単刀直入に言います。
私と一緒に、魔界へ来てもらえませんか?非常に危険なことを頼んでいるのは分かっています。
お礼もできるかはわかりません。ですが、それを踏まえて、お願いします。私と玲子を、助けてください」
一言、そう言うと少女はタバサに向かって手を差出し、真剣な表情でじっと見つめる。
「駄目なのね!罠なのね!“魔界”とか言ってたのね!きっと怖いところなのね!きゅいきゅい!」
よろよろと身体を起こしながら叫ぶシルフィードの言葉を聞きながら、タバサはじっと目の前の少女を観察する。
強い力を秘めているのを感じる。魔力も、精神力もただものでは無い。恐らくはスクウェアクラスに匹敵する。
だが、その瞳には邪気がまったく感じられない。ただ純粋にタバサに助力を求めている顔だ。
そして、タバサは結論を出す。
「分かった。連れてって」
「おねえさま!?」
コクリと頷き、少女の手を取ったタバサにシルフィードは驚いて声を上げる。
「やめるのね!何が起こるか分からないのね!危険なのね!たまにはシルフィの言う事もきくのねこのちびすけ!」
色々と言いながら必死に身体を動かそうとする使い魔を安心させようと、タバサは一言だけ、口にする。
「大丈夫。ちゃんと帰ってくる」
そう言った、次の瞬間。
バツンッと、TVの電源が落ちるように少女の姿が消える…タバサと共に。
「お、おねえさま~~~!」
シルフィードの悲痛な叫びは、誰に届くことも無く、消えて行った。
―――軽子坂高校 電算室
「お帰りなさい!よかった!無事だったのね!」
数十台のパソコンが並ぶ軽小坂高校、電算室。そこに並べられたモニタの1つから這い出した桜花を見て、
赤根沢玲子はうまく行ったことに喜びの声を上げる。
「はい~。うまく行きましたよ~」
そう言いながら這い出した桜花が1人の少女の手をとり、引っ張り出す。
「よかった!この人がカゲモリ…」
そう呟いた玲子と、その少女は、同時に怪訝な顔をする。
「えっと。この子が?」
怜子はその青い髪の、小さな少女を見て。
「…“カゲモリ”を、知ってる?」
青い髪の少女…タバサはその少女が、本来知り得ぬことを知っていることに。
「はい。桜花さんから、聞いたんです。今、この“魔界”の外って学校だらけの異世界になってて、
その世界にはカゲモリって言う悪魔と戦っている人たちがいるって」
タバサを見ながら、簡潔に。
「…正直、こんな小さい子だとは思わな…いや、何でも無いです!」
正直な感想が漏れそうになったのを慌てて打ち消しながら。
「いい。慣れてる」
一方のタバサの方はそれを気にせず、かぶりを振って少女に問う。
「それよりも“悪魔”と言うのはあのモンスターたちのこと?」
「はい。倒すとマグネタイト…緑色の液体が残る奴です。あれはダークサマナーに使役された、この魔界の悪魔たちです」
「…詳しい話を聞かせて欲しい。それと、貴方達が誰なのかを」
次々と出てくる新情報に、長くなることを察したタバサが腰を据えて話を聞く体制をとる。
「そう言えばまだ、名乗っていませんでしたね。私は、赤根沢玲子と言います。この軽子坂高校の1年です。
“ガーディアン憑き”なんで、ちょっとだけですが、魔法が使えます。それで、こっちが私の今のガーディアンの…」
「どうも~倉沢桜花です~。ちょっと前までは輝明学園で、賢明の宝玉を守る、七不思議をやってました~」
メガネの少女…玲子が折り目正しく、桜花がどこかのんびりした口調で挨拶をする。
「…タバサ。トリステイン魔法学院、“雪風”のタバサ」
2人の挨拶にこくりと頷き、タバサが簡潔に名前を2人に告げる。
「分りました。タバサさんですね。それじゃあここでは落ち着いて話せないと思うので…」
怜子が立ち上がり、タバサを伴い、移動しようとした、その時だった。
「ここだな!魔神皇様に逆らう者たちがいると言うのは!」
ガラッと横開きの扉が開き、男子生徒が入ってくる。
傍らには何体かのモンスター…悪魔をつき従え、居丈高に玲子たちを見て言う。
「やはり貴様か!赤根沢玲子!魔神皇様に逆らうガーディアン憑きめ!
魔神皇様がお呼びだ!ついてきてもらう!行け、悪魔ども!」
主の命令を受け、悪魔の群れがタバサたちに襲いかかる。
「…すみません。どうやら話す前に戦うことになりそうです」
魔神皇の動きが予想以上に早かったことに玲子が苦々しげに顔を歪め、懐から拳銃を取り出す。
「まあ、どの道バレるとは思ってましたけど~。何なら私たちだけでやってもいいんですが、見てますか?」
傍らに炎の塊をいくつか召喚した桜花の問いタバサはフルフルと首を横に振った。
「いい。手伝う。協力しなければ、私も危険」
手にした大きな杖を構え、タバサが悪魔たちを見る。
「ん?何だ貴様!?この学校の生徒では無いな!?」
その青い髪と見慣れぬ制服に顔をしかめた男が言う。
「とにかく、邪魔をするなら、貴様も一緒に相手をしてやる!ゆけ、悪魔ども!」
手早くパソコンをいじりながら男が戦闘態勢をとり…
数十台のパソコンが並ぶ軽小坂高校、電算室。そこに並べられたモニタの1つから這い出した桜花を見て、
赤根沢玲子はうまく行ったことに喜びの声を上げる。
「はい~。うまく行きましたよ~」
そう言いながら這い出した桜花が1人の少女の手をとり、引っ張り出す。
「よかった!この人がカゲモリ…」
そう呟いた玲子と、その少女は、同時に怪訝な顔をする。
「えっと。この子が?」
怜子はその青い髪の、小さな少女を見て。
「…“カゲモリ”を、知ってる?」
青い髪の少女…タバサはその少女が、本来知り得ぬことを知っていることに。
「はい。桜花さんから、聞いたんです。今、この“魔界”の外って学校だらけの異世界になってて、
その世界にはカゲモリって言う悪魔と戦っている人たちがいるって」
タバサを見ながら、簡潔に。
「…正直、こんな小さい子だとは思わな…いや、何でも無いです!」
正直な感想が漏れそうになったのを慌てて打ち消しながら。
「いい。慣れてる」
一方のタバサの方はそれを気にせず、かぶりを振って少女に問う。
「それよりも“悪魔”と言うのはあのモンスターたちのこと?」
「はい。倒すとマグネタイト…緑色の液体が残る奴です。あれはダークサマナーに使役された、この魔界の悪魔たちです」
「…詳しい話を聞かせて欲しい。それと、貴方達が誰なのかを」
次々と出てくる新情報に、長くなることを察したタバサが腰を据えて話を聞く体制をとる。
「そう言えばまだ、名乗っていませんでしたね。私は、赤根沢玲子と言います。この軽子坂高校の1年です。
“ガーディアン憑き”なんで、ちょっとだけですが、魔法が使えます。それで、こっちが私の今のガーディアンの…」
「どうも~倉沢桜花です~。ちょっと前までは輝明学園で、賢明の宝玉を守る、七不思議をやってました~」
メガネの少女…玲子が折り目正しく、桜花がどこかのんびりした口調で挨拶をする。
「…タバサ。トリステイン魔法学院、“雪風”のタバサ」
2人の挨拶にこくりと頷き、タバサが簡潔に名前を2人に告げる。
「分りました。タバサさんですね。それじゃあここでは落ち着いて話せないと思うので…」
怜子が立ち上がり、タバサを伴い、移動しようとした、その時だった。
「ここだな!魔神皇様に逆らう者たちがいると言うのは!」
ガラッと横開きの扉が開き、男子生徒が入ってくる。
傍らには何体かのモンスター…悪魔をつき従え、居丈高に玲子たちを見て言う。
「やはり貴様か!赤根沢玲子!魔神皇様に逆らうガーディアン憑きめ!
魔神皇様がお呼びだ!ついてきてもらう!行け、悪魔ども!」
主の命令を受け、悪魔の群れがタバサたちに襲いかかる。
「…すみません。どうやら話す前に戦うことになりそうです」
魔神皇の動きが予想以上に早かったことに玲子が苦々しげに顔を歪め、懐から拳銃を取り出す。
「まあ、どの道バレるとは思ってましたけど~。何なら私たちだけでやってもいいんですが、見てますか?」
傍らに炎の塊をいくつか召喚した桜花の問いタバサはフルフルと首を横に振った。
「いい。手伝う。協力しなければ、私も危険」
手にした大きな杖を構え、タバサが悪魔たちを見る。
「ん?何だ貴様!?この学校の生徒では無いな!?」
その青い髪と見慣れぬ制服に顔をしかめた男が言う。
「とにかく、邪魔をするなら、貴様も一緒に相手をしてやる!ゆけ、悪魔ども!」
手早くパソコンをいじりながら男が戦闘態勢をとり…
数分後。
「う、うわあああ!?つ、強すぎる!?」
悪魔を全滅させられ、パソコンを破壊された男が恐慌をきたし逃げ出す。
「…強い」
傍らで玲子と桜花の戦う姿を見ていたタバサが正直な感想を言う。
怜子が魔法と銃で攻撃し、桜花が怜子を守りつつ炎の塊で攻撃する。
ぴったりと息の合ったコンビネーションは悪魔たちをたやすく打ち破り、傷一つ受けずに全滅させた。
「いえいえ~。タバサさんもかなりのものですよ。正直あそこまで正確な魔法を扱えるとは思ってませんでした」
桜花がタバサの使用した魔法を褒める。
タバサの魔法は威力だけで言えば桜花や玲子とそう変わらない。だが、コントロールと錬度が違う。
タバサが作り出した、ごく小さな氷の矢。無駄のない正確な魔法は、男の持っていたパソコンを一撃で破壊した。
「ともかく、移動しましょう。さっきの人が他のダークサマナーを連れてくるかも知れません」
怜子の提案にタバサはこくりと頷く。
「…これが、魔界?」
教室から出て、タバサは思わず息を飲む。
窓の外に広がるのは、紫色の空。
「はい。私たちがここに来て、もう3ヶ月は経ちます」
そのどんよりとした、閉ざされた世界を見ながら、玲子が言う。
「まずは、3階の非常階段から傲慢界…魔界に行きます。詳しい話は、そこで」
タバサが、こくりと頷くのを見て、玲子が歩きだす。そのすぐ傍には桜花がぴったりと張り付き、ふわふわと浮きながら移動する。
「…そう言えば、そのオウカは、何者?」
それを見て、タバサはぽつりと尋ねる。
「桜花さんですか?」
「そう。オウカは、自分を輝明学園の七不思議だと言っていた。だけど、彼女は私の知る輝明学園の制服とは、違う服を着ている。
それに、“カゲモリ”を知っていた。カゲモリはウィザードの中でも知っている人間はほんの一握りのはず」
タバサの知る“輝明学園”の情報と、大きく食い違う存在。確認しておくに、越したことは無い。
「そ~ですね~。学園内では割と有名なんですけど、外の人だと知らないかも知れませんね~」
ポンと手を打って、桜花はタバサに説明する。
「え~っと…私は先ほど、七不思議をやっていた、そう言いましたよね?」
「そう。確か輝明学園にそんな委員会があると聞いた。けれど、あなたらしき人物が出入りしてると言う情報は、聞いていない」
「はい~。私は委員会じゃなくて本物の七不思議…業界用語で言うところの「トイレの花子さん」だったのですよ~」
トイレの花子さん。桜花はそこを強調して言う。だが。
「…?トイレのハナコさん?」
あいにくハルケギニアにはそんなもんはいない。タバサに通じるはずも無く、タバサは首をかしげる。
「…あれ?知りませんか?トイレの花子さん」
こくりと頷くタバサに、桜花はあちゃ~と言う顔をする。
「…あ~。そう言えば日本人じゃないですもんね~。そりゃ~そ~ですね~。え~っと…」
しばし考えてタバサにも通じるように言う。
「幽霊って、分かります?」
ビクリと、タバサが少しだけ、固まる。
「…分かる」
「実は私、30年ほど前に恐ろしい魔王とのそりゃあもう激しい戦いの末に相討ちとなりまして…死んで幽霊になってしまったんですよ~。
この服はその頃の輝明学園の制服なのです。と言うわけなので、改めてよろしくお願いします」
「…よろしく」
軽く握りあった手が、氷のように冷たいことに寒気を覚えながらも、表情には出さないようにする。
「大丈夫ですか?なんだか、顔色が悪いですけど…もしかして、幽霊とか苦手ですか?」
「大丈夫。昔は怖かったけど、今は平気。問題無い」
まくしたてるようにタバサが言う。
嘘だ。実はちょっぴり怖い…学園世界に来てから。
(幽霊なんて、本当にいるとは思っていなかったのに)
タバサが幽霊が怖くなくなったのは、ハルケギニアでは幽霊なんてものが存在しないと思うようになったから。
だが、学園世界には幽霊は割と普通にいる。
ほとんど害の無い浮遊霊から、学園に被害を起こすような悪霊、果ては普通の学生に混じって勉強しているようなのまで、幅広く。
最近では悪霊退治から死後の生活相談までオカルト系の問題を引き受ける『極上生徒会心霊部』なんてなものまでできるくらいだ。
そんなわけで、タバサは、本物の幽霊がちょっぴり苦手だった…
悪魔を全滅させられ、パソコンを破壊された男が恐慌をきたし逃げ出す。
「…強い」
傍らで玲子と桜花の戦う姿を見ていたタバサが正直な感想を言う。
怜子が魔法と銃で攻撃し、桜花が怜子を守りつつ炎の塊で攻撃する。
ぴったりと息の合ったコンビネーションは悪魔たちをたやすく打ち破り、傷一つ受けずに全滅させた。
「いえいえ~。タバサさんもかなりのものですよ。正直あそこまで正確な魔法を扱えるとは思ってませんでした」
桜花がタバサの使用した魔法を褒める。
タバサの魔法は威力だけで言えば桜花や玲子とそう変わらない。だが、コントロールと錬度が違う。
タバサが作り出した、ごく小さな氷の矢。無駄のない正確な魔法は、男の持っていたパソコンを一撃で破壊した。
「ともかく、移動しましょう。さっきの人が他のダークサマナーを連れてくるかも知れません」
怜子の提案にタバサはこくりと頷く。
「…これが、魔界?」
教室から出て、タバサは思わず息を飲む。
窓の外に広がるのは、紫色の空。
「はい。私たちがここに来て、もう3ヶ月は経ちます」
そのどんよりとした、閉ざされた世界を見ながら、玲子が言う。
「まずは、3階の非常階段から傲慢界…魔界に行きます。詳しい話は、そこで」
タバサが、こくりと頷くのを見て、玲子が歩きだす。そのすぐ傍には桜花がぴったりと張り付き、ふわふわと浮きながら移動する。
「…そう言えば、そのオウカは、何者?」
それを見て、タバサはぽつりと尋ねる。
「桜花さんですか?」
「そう。オウカは、自分を輝明学園の七不思議だと言っていた。だけど、彼女は私の知る輝明学園の制服とは、違う服を着ている。
それに、“カゲモリ”を知っていた。カゲモリはウィザードの中でも知っている人間はほんの一握りのはず」
タバサの知る“輝明学園”の情報と、大きく食い違う存在。確認しておくに、越したことは無い。
「そ~ですね~。学園内では割と有名なんですけど、外の人だと知らないかも知れませんね~」
ポンと手を打って、桜花はタバサに説明する。
「え~っと…私は先ほど、七不思議をやっていた、そう言いましたよね?」
「そう。確か輝明学園にそんな委員会があると聞いた。けれど、あなたらしき人物が出入りしてると言う情報は、聞いていない」
「はい~。私は委員会じゃなくて本物の七不思議…業界用語で言うところの「トイレの花子さん」だったのですよ~」
トイレの花子さん。桜花はそこを強調して言う。だが。
「…?トイレのハナコさん?」
あいにくハルケギニアにはそんなもんはいない。タバサに通じるはずも無く、タバサは首をかしげる。
「…あれ?知りませんか?トイレの花子さん」
こくりと頷くタバサに、桜花はあちゃ~と言う顔をする。
「…あ~。そう言えば日本人じゃないですもんね~。そりゃ~そ~ですね~。え~っと…」
しばし考えてタバサにも通じるように言う。
「幽霊って、分かります?」
ビクリと、タバサが少しだけ、固まる。
「…分かる」
「実は私、30年ほど前に恐ろしい魔王とのそりゃあもう激しい戦いの末に相討ちとなりまして…死んで幽霊になってしまったんですよ~。
この服はその頃の輝明学園の制服なのです。と言うわけなので、改めてよろしくお願いします」
「…よろしく」
軽く握りあった手が、氷のように冷たいことに寒気を覚えながらも、表情には出さないようにする。
「大丈夫ですか?なんだか、顔色が悪いですけど…もしかして、幽霊とか苦手ですか?」
「大丈夫。昔は怖かったけど、今は平気。問題無い」
まくしたてるようにタバサが言う。
嘘だ。実はちょっぴり怖い…学園世界に来てから。
(幽霊なんて、本当にいるとは思っていなかったのに)
タバサが幽霊が怖くなくなったのは、ハルケギニアでは幽霊なんてものが存在しないと思うようになったから。
だが、学園世界には幽霊は割と普通にいる。
ほとんど害の無い浮遊霊から、学園に被害を起こすような悪霊、果ては普通の学生に混じって勉強しているようなのまで、幅広く。
最近では悪霊退治から死後の生活相談までオカルト系の問題を引き受ける『極上生徒会心霊部』なんてなものまでできるくらいだ。
そんなわけで、タバサは、本物の幽霊がちょっぴり苦手だった…