ゼン・ロン(然龍?)
梗醍果国の第八十九代国主オン・ワンの弟テン・ワンの息子で、ゼン・イクの父。
オン・ワン曰く弟に似通いゼン・イクとは更に瓜二つらしく、彼の目の前に現れた時に、粛清せざるを得なかった弟に対する罪滅ぼしの気持ちもあってか重用、父親の汚名を晴らした後に王族として迎え入れる為「ロン・ワン(龍汪)」の名を密かに贈った程。
オン・ワン曰く弟に似通いゼン・イクとは更に瓜二つらしく、彼の目の前に現れた時に、粛清せざるを得なかった弟に対する罪滅ぼしの気持ちもあってか重用、父親の汚名を晴らした後に王族として迎え入れる為「ロン・ワン(龍汪)」の名を密かに贈った程。
叔父の信用を得て厚遇を受けたが裏では、罪もない召使いや下女を書斎で拷問にかけて殺したりと、「魔王は聖者の顔で邪悪を成す」と言わしめる程で、東方を混乱に陥れようとした父テン・ワンをも凌ぐ残虐な行為に耽っていた。
後にそれが露見し、国主自らの詮議の場でオン・ワンに刃を向け騒ぎに乗じて宮城並びに関撰を脱出、子をなしただけで名ばかりの妻と息子(実子ゼン・イクとその異父兄)の元に盾として使う為に身を寄せる。
その極々僅かな時間が、ゼン・イクにとって美化された父との唯一の想い出となる。
結局は嫡子カイ・ワンが刺客として赴き彼を討つものの、前述の快楽殺人的(半分は自らの嗜好)な『儀式』によって溜め込んだ膨大な呪詛を己の生命と引き換えに放ち、その毒気を受けてカイ・ワンは後日落命。その弟であるソウ・ワン、ジュ・ワンも死んでしまった。
後にそれが露見し、国主自らの詮議の場でオン・ワンに刃を向け騒ぎに乗じて宮城並びに関撰を脱出、子をなしただけで名ばかりの妻と息子(実子ゼン・イクとその異父兄)の元に盾として使う為に身を寄せる。
その極々僅かな時間が、ゼン・イクにとって美化された父との唯一の想い出となる。
結局は嫡子カイ・ワンが刺客として赴き彼を討つものの、前述の快楽殺人的(半分は自らの嗜好)な『儀式』によって溜め込んだ膨大な呪詛を己の生命と引き換えに放ち、その毒気を受けてカイ・ワンは後日落命。その弟であるソウ・ワン、ジュ・ワンも死んでしまった。
その「呪詛の場」はきわめて強力で、結界で封じ込めてもオン・ワンやショク・ワン(幼く王家の醜聞を知らぬため呪われている自覚なし)をジワジワ蝕み、血縁者であるゼン・イクが己の血を持って解呪するまで消えることがなかった。
あまりの邪悪な行いから、表向きは存在そのものが抹消されており、またそれを知る数少ない者は憎悪を以て多くを語ろうともしない程である。
しかし長年、傍流でありながら王位に色気を出した者を容赦なく粛清し続けるオン・ワンを恐れるためか、風聞では「父、テン・ワンの罪に連座させられて、自らの命を差し出す代わりに家族の安全を懇願した」と美談に変わっている。
幼心に信じていた「謂れのない誤解」という期待を裏切られ、更にはその所業のせいで生き地獄を見る破目に逢ったゼン・イクは(表向きは「企みをしくじり敗者となった事」を罵りながらも)激しく憎んでおり、幻とはいえ父が目の前に現れた時にはその強固な自制心を失う程であった。
しかし長年、傍流でありながら王位に色気を出した者を容赦なく粛清し続けるオン・ワンを恐れるためか、風聞では「父、テン・ワンの罪に連座させられて、自らの命を差し出す代わりに家族の安全を懇願した」と美談に変わっている。
幼心に信じていた「謂れのない誤解」という期待を裏切られ、更にはその所業のせいで生き地獄を見る破目に逢ったゼン・イクは(表向きは「企みをしくじり敗者となった事」を罵りながらも)激しく憎んでおり、幻とはいえ父が目の前に現れた時にはその強固な自制心を失う程であった。