モゴウィ・タンバ - 架空アニメキャラ用語辞典

概要
モゴウィ・タンバは、フェルスケイロ王国出身の歴史学者兼考古学者である。特に、二百年前に途絶えたとされる「銀の指輪の時代」、すなわちプレイヤーが活躍した時代の研究における第一人者として知られている。彼の研究スタイルは、神話や伝承に頼るのではなく、あくまで物的な証拠と論理的な考察を重んじる実証主義的なアプローチを特徴とする。その生涯をかけて、二百年前に世界を襲ったとされる大変動の謎と、スキルマスターたちが姿を消した真相の解明に挑んでいる。

王立アカデミーに籍を置きながらも、その探求心の多くはフィールドワークに向けられており、各地の遺跡や古代の遺物を求めて王国中を旅している。その過程で、二百年の時を経て蘇ったハイエルフ、ケーナと出会い、彼女の存在そのものが生きた歴史的資料であると確信。以降、ケーナの動向を追いながら、世界の真実に迫っていくことになる。

生い立ち
タンバはフェルスケイロ王国の辺境に位置する、古い伝承を語り継ぐ一族の末裔として生を受けた。幼少期から、村の長老たちが語る「一夜にして城を築き、山脈を穿った神々」の物語に強い興味を抱いていたが、他の子供たちとは異なり、それを信仰の対象としてではなく、解明すべき謎として捉えていた。特に、神々が残したとされる幾何学的な模様を持つ遺物（プレイヤー時代のアイテムの名残）に心を奪われ、その機能や製造方法を解き明かそうと独学で研究を始める。

青年期になると、その才能を認められて王都の王立アカデミーへの入学を推薦される。アカデミーでは、主流であった神学的歴史観に疑問を呈し、独自の理論を展開した。彼の卒業論文である「スキルマスター非神格論」は、スキルマスターたちが神ではなく、異世界からの来訪者であった可能性を物的な証拠から論じたもので、学界に大きな波紋を呼び起こした。この論文は、一部の革新的な学者からは絶賛されたものの、多くの保守的な権威からは異端として激しい批判を浴びることになる。

しかし、この経験が彼の探求心をさらに燃え上がらせる結果となった。アカデミー卒業後は、自らの理論を証明するため、誰の援助も受けずに私財を投じて各地の調査を開始。数々のプレイヤー関連遺跡を発見し、古代魔法具の解析に成功するなど、着実に実績を積み重ねていった。その功績がやがて王国にも認められ、現在は王室からの資金援助を受けながら、半ば独立した立場で研究を続けている。

作中での活躍
物語における彼の初登場は、ケーナが蘇生して間もない頃に訪れた古代の地下遺跡である。彼はその遺跡がプレイヤーによって建造されたものであることを突き止めて調査を進めていたが、そこに現れたケーナが、いともたやすく遺跡のトラップを解除し、ガーディアンを鎮める様子を目の当たりにする。さらに、彼女の指に光る「銀の指輪」と、常軌を逸した魔法の能力から、タンバは彼女が二百年前のスキルマスター、あるいはその直系の子孫であると直感する。

当初、彼はケーナに対して強い警戒心と学術的な好奇心を抱き、距離を保ちながら彼女の行動を観察していた。王国へ提出する報告書にも、ケーてナを「観測史上最大級の脅威となりうる、正体不明の魔法使い」として記述している。しかし、彼女がその力を私利私欲のために使うことはなく、むしろ困っている人々を助ける姿を何度も目撃するうちに、次第にその認識を改めていく。

特に大きな転機となったのは、プレイヤー時代の情報端末が眠る遺跡の調査においてであった。タンバを含む王国の調査団が誰も解読できなかった古代の言語（日本語）やシステムログを、ケーナが当然のように読み解き、操作する姿を見て、彼は自説の正しさと、彼女が持つ知識の計り知れない価値を確信する。この一件以降、彼はケーナに対する一方的な観察者をやめ、対等な研究協力者として接するよう努めるようになる。とはいえ、彼の探求心が暴走し、ケーナのプライベートに踏み込みすぎた結果、彼女の逆鱗に触れて手痛い制裁を受けることも少なくない。

対戦や因縁関係

• ケーナ

タンバにとって、ケーナは研究対象であり、畏怖の対象であり、そして時として協力者でもあるという複雑な関係である。彼はケーナを「歩く歴史的遺産」と呼び、その言動すべてを記録しようと試みるため、ケーナ本人からは鬱陶しがられることが多い。直接的な戦闘関係になることはないが、彼の執拗な知識欲と、自由を愛するケーナの価値観は頻繁に衝突し、知的な対立を繰り返している。しかし、世界の謎に迫るという共通の目的においては、互いの知識と能力を認め合う、奇妙な信頼関係で結ばれている。

• スカルゴ、マイマイ、カータツ

ケーナの子供たちである彼らに対しても、タンバは強い学術的関心を寄せている。特に、長寿であるエルフやドワーフの生態、そしてスキルマスターから直接スキルを受け継いだという彼らの成り立ちは、タンバの研究にとって非常に重要なサンプルである。そのため、彼らの能力測定や聞き取り調査を再三にわたって申し込んでいるが、母親であるケーナによってそのほとんどが却下されている。

• フェルスケイロ王国

王国への忠誠心は持ち合わせているが、それ以上に真実の探求を優先する。彼の研究成果は王国の国益に繋がる一方、世界の根幹を揺るがしかねない危険な情報をもたらす可能性も秘めている。そのため、王国上層部の一部からは彼の研究を危険視する声も上がっており、彼の活動は常に監視下にある。

性格や思想
根っからの探求者であり、冷静沈着な合理主義者。あらゆる事象を客観的に分析し、感情や先入観を排して結論を導き出そうと努める。彼の原動力は権力欲や名誉欲ではなく、純粋な知的好奇心と、世界の真の姿を知りたいという強烈な渇望である。

その一方で、研究に没頭するあまり、他者への配慮に欠ける面も多々見られる。興味の対象に対しては時間を忘れて質問を浴びせかけ、相手の都合を考えない強引な調査を行おうとすることもある。彼にとって、人は時に解析すべきデータや情報源として映ってしまい、その人間性そのものへの理解が追い付かないことがある。

しかし、決して冷酷な人物というわけではない。彼の行動原理の根底には、過去の悲劇を繰り返させないために歴史から学ぶべきだという信念が存在する。スキルマスターが消え、世界が変貌した真実を解き明かすことが、リアデイルの未来をより良くするために不可欠だと固く信じている。

物語への影響
モゴウィ・タンバは、物語における世界観の解説役という重要な役割を担っている。彼の研究と考察を通して、読者はケーナが眠っていた二百年間にリアデイルの世界で何が起こったのか、そして人々がプレイヤーという存在をどのように認識しているのかを深く理解することができる。

また、彼はケーナにとって、現代のリアデイルにおける常識や価値観を教える案内人のような存在でもある。ゲーム時代とは大きく異なる世界の仕組みや文化を、彼の専門的な知識を通じてケーナ（と読者）に提示することで、物語に深みとリアリティを与えている。

彼の探求は、しばしば新たな物語のきっかけを生み出す。彼が発見した古代の遺物や解読した情報が、ケーナを新たな冒険へと導いたり、過去のプレイヤーが関わった事件の真相を明らかにする鍵となったりする。彼は戦闘で活躍するタイプのキャラクターではないが、その知性をもって、ケーナの旅路に不可欠な羅針盤として機能し続ける、物語の重要な推進力の一つである。