如月 朔(きさらぎ さく)は、加藤和恵による漫画作品『青の祓魔師』、およびそのアニメ版に登場するキャラクター。
正十字騎士團日本支部に所属する上一級祓魔師であり、独自の呪術と科学技術を融合させた退魔術を操る。その特異な戦闘スタイルから“絡繰師(からくりし)”の異名を持つ。
正十字騎士團日本支部に所属する上一級祓魔師であり、独自の呪術と科学技術を融合させた退魔術を操る。その特異な戦闘スタイルから“絡繰師(からくりし)”の異名を持つ。
概要
正十字騎士團日本支部の最深部に位置する「第十三號研究所」の所長を務める、祓魔師にして研究者。29歳。
取得している称号(マイスター)は、悪魔薬学や魔術障壁(結界術)を専門とする「医工騎士(ドクター)」と、悪魔を使役する「手騎士(テイマー)」。
物腰柔らかで、常に敬語を崩さない穏やかな人物だが、その内面には研究に対する強い探究心と、目的のためには手段を厭わない冷徹さを秘めている。
彼の専門は、日本古来の陰陽術をベースに、西洋悪魔学と最新の科学技術を組み合わせて開発した「絡繰式神(からくりしきがみ)」を使役する、極めて特殊な退魔術である。
正十字騎士團日本支部の最深部に位置する「第十三號研究所」の所長を務める、祓魔師にして研究者。29歳。
取得している称号(マイスター)は、悪魔薬学や魔術障壁(結界術)を専門とする「医工騎士(ドクター)」と、悪魔を使役する「手騎士(テイマー)」。
物腰柔らかで、常に敬語を崩さない穏やかな人物だが、その内面には研究に対する強い探究心と、目的のためには手段を厭わない冷徹さを秘めている。
彼の専門は、日本古来の陰陽術をベースに、西洋悪魔学と最新の科学技術を組み合わせて開発した「絡繰式神(からくりしきがみ)」を使役する、極めて特殊な退魔術である。
生い立ちと異端の研究
陰陽師の末裔
如月家は、古くから日本で「鬼」や「妖」と呼ばれてきた悪魔を祓ってきた、陰陽師の家系である。正十字騎士團が日本に設立された際にその傘下に入ったが、聖書や西洋悪魔学を絶対とする騎士團の中では、彼らの呪術は「土着の迷信」「非科学的」と見なされ、長らく主流から外れた異端として扱われてきた。
陰陽師の末裔
如月家は、古くから日本で「鬼」や「妖」と呼ばれてきた悪魔を祓ってきた、陰陽師の家系である。正十字騎士團が日本に設立された際にその傘下に入ったが、聖書や西洋悪魔学を絶対とする騎士團の中では、彼らの呪術は「土着の迷信」「非科学的」と見なされ、長らく主流から外れた異端として扱われてきた。
両親の死と思想の変化
朔の両親もまた、騎士團に所属する祓魔師だった。彼らが命を落としたのは、十数年前に発生した悪魔災害の現場である。その災害で出現した上位悪魔に対し、如月家に伝わる伝統的な封印術は一切通用しなかったという。両親を目の前で失った朔は、この時、「伝統を守るだけでは、悪魔の進化には対抗できない」という事実を痛感する。
この悲劇をきっかけに、彼は古臭いとされてきた一族の術に、西洋悪魔学の理論と科学的なアプローチを取り入れ、全く新しい退魔術を確立するという、いばらの道を歩むことを決意した。
朔の両親もまた、騎士團に所属する祓魔師だった。彼らが命を落としたのは、十数年前に発生した悪魔災害の現場である。その災害で出現した上位悪魔に対し、如月家に伝わる伝統的な封印術は一切通用しなかったという。両親を目の前で失った朔は、この時、「伝統を守るだけでは、悪魔の進化には対抗できない」という事実を痛感する。
この悲劇をきっかけに、彼は古臭いとされてきた一族の術に、西洋悪魔学の理論と科学的なアプローチを取り入れ、全く新しい退魔術を確立するという、いばらの道を歩むことを決意した。
“絡繰師”と呼ばれる所以
彼の研究の集大成が、彼の異名の由来ともなった「絡繰式神」である。これは、悪魔の力を封じる呪符を貼った和紙と、軽量かつ強固な木材、そして彼自身が討伐・研究した悪魔の素材(爪、鱗、牙など)を組み合わせて作られた、自律行動型の絡繰人形である。
朔の最終的な目標は、祓魔師自身が前線に立つことなく、この絡繰式神の部隊が悪魔を殲滅するシステムを完成させることにある。それは、両親のように祓魔師が命を落とす悲劇を二度と繰り返さないため、彼が自らに課した壮大な研究であった。
彼の研究の集大成が、彼の異名の由来ともなった「絡繰式神」である。これは、悪魔の力を封じる呪符を貼った和紙と、軽量かつ強固な木材、そして彼自身が討伐・研究した悪魔の素材(爪、鱗、牙など)を組み合わせて作られた、自律行動型の絡繰人形である。
朔の最終的な目標は、祓魔師自身が前線に立つことなく、この絡繰式神の部隊が悪魔を殲滅するシステムを完成させることにある。それは、両親のように祓魔師が命を落とす悲劇を二度と繰り返さないため、彼が自らに課した壮大な研究であった。
作中での活躍
初登場
彼が物語の表舞台に初めて姿を現すのは、京都・不浄王編の直後である。不浄王との戦いで騎士團が得た大量の胞子や、サタンの炎の痕跡などを分析する特別研究チームの責任者として、ヴァチカン本部から招聘された。
そこで彼は、サタンの息子である奥村燐と初めて接触する。彼は燐の青い炎に対し、恐怖や敵意ではなく、純粋な科学者としての強い好奇心を示し、燐を「最高の研究サンプル」と評して不気味な笑みを浮かべた。
初登場
彼が物語の表舞台に初めて姿を現すのは、京都・不浄王編の直後である。不浄王との戦いで騎士團が得た大量の胞子や、サタンの炎の痕跡などを分析する特別研究チームの責任者として、ヴァチカン本部から招聘された。
そこで彼は、サタンの息子である奥村燐と初めて接触する。彼は燐の青い炎に対し、恐怖や敵意ではなく、純粋な科学者としての強い好奇心を示し、燐を「最高の研究サンプル」と評して不気味な笑みを浮かべた。
イルミナティとの戦い
啓明結社イルミナティが世界各地で引き起こす悪魔災害においては、後方支援の要として、また技術顧問として活躍する。イルミナティが用いる人工的な悪魔や、虚無界(ゲヘナ)と物質界(アッシャー)を繋ぐゲートの術式を、その豊富な知識で瞬時に解析。彼が即座に作成した対抗術式の呪符は、多くの祓魔師の命を救い、戦局を有利に進める上で重要な役割を果たした。
また、この戦いの中で、彼は自身の絡繰式神部隊を初めて実戦に投入。人間では進入不可能な高濃度の瘴気が漂うエリアの掃討や、陽動、負傷者の救助など、その有用性を騎士團上層部に証明して見せた。
啓明結社イルミナティが世界各地で引き起こす悪魔災害においては、後方支援の要として、また技術顧問として活躍する。イルミナティが用いる人工的な悪魔や、虚無界(ゲヘナ)と物質界(アッシャー)を繋ぐゲートの術式を、その豊富な知識で瞬時に解析。彼が即座に作成した対抗術式の呪符は、多くの祓魔師の命を救い、戦局を有利に進める上で重要な役割を果たした。
また、この戦いの中で、彼は自身の絡繰式神部隊を初めて実戦に投入。人間では進入不可能な高濃度の瘴気が漂うエリアの掃討や、陽動、負傷者の救助など、その有用性を騎士團上層部に証明して見せた。
燐の炎の解析
物語が進むにつれて、朔の興味はより一層、奥村燐の持つ青い炎へと注がれていく。彼は、燐の炎が虚無界の根源に繋がる未知のエネルギーであると仮説を立て、その謎を解き明かすことが、全ての悪魔を滅する鍵になると考えている。
そのためには、倫理的に問題のある手段も厭わない。燐の精神状態を揺さぶって意図的に炎を暴走させようと試みたり、戦闘のどさくさに紛れて炎のサンプルを採取したりと、その探究心は時として狂気的な領域にまで踏み込む。
物語が進むにつれて、朔の興味はより一層、奥村燐の持つ青い炎へと注がれていく。彼は、燐の炎が虚無界の根源に繋がる未知のエネルギーであると仮説を立て、その謎を解き明かすことが、全ての悪魔を滅する鍵になると考えている。
そのためには、倫理的に問題のある手段も厭わない。燐の精神状態を揺さぶって意図的に炎を暴走させようと試みたり、戦闘のどさくさに紛れて炎のサンプルを採取したりと、その探究心は時として狂気的な領域にまで踏み込む。
他の登場人物との関係
奥村兄弟
燐と雪男、対照的な二人を、彼は極めて興味深い研究対象として観察している。サタンの力を持ちながら人間として生きようとする燐を「制御不能なエネルギーを内包した、極めて不安定なサンプル」として。また、人間でありながら悪魔の力に魅入られ、精神的な脆さを見せる雪男を「安定と不安定の臨界点に存在する、観察しがいのある精神構造」として分析している。兄弟にとって彼は、頼れる味方であると同時に、何を考えているのか分からない底の知れない存在として映っている。
奥村兄弟
燐と雪男、対照的な二人を、彼は極めて興味深い研究対象として観察している。サタンの力を持ちながら人間として生きようとする燐を「制御不能なエネルギーを内包した、極めて不安定なサンプル」として。また、人間でありながら悪魔の力に魅入られ、精神的な脆さを見せる雪男を「安定と不安定の臨界点に存在する、観察しがいのある精神構造」として分析している。兄弟にとって彼は、頼れる味方であると同時に、何を考えているのか分からない底の知れない存在として映っている。
メフィスト・フェレス
騎士團日本支部の支部長でありながら、悪魔の王(デーモンロード)でもあるメフィストのことは、初めからその正体を見抜いていた節がある。しかし、彼はその矛盾を追及するのではなく、「利用価値のある存在」として静観している。メフィストもまた、朔の持つ才能と、その危険な思想を理解しており、自らの壮大な計画における重要なカードの一枚として彼を扱っている。二人の間には、互いの腹を探り合うような、緊張感に満ちた協力関係が築かれている。
騎士團日本支部の支部長でありながら、悪魔の王(デーモンロード)でもあるメフィストのことは、初めからその正体を見抜いていた節がある。しかし、彼はその矛盾を追及するのではなく、「利用価値のある存在」として静観している。メフィストもまた、朔の持つ才能と、その危険な思想を理解しており、自らの壮大な計画における重要なカードの一枚として彼を扱っている。二人の間には、互いの腹を探り合うような、緊張感に満ちた協力関係が築かれている。
勝呂竜士
由緒ある寺の跡継ぎであり、伝統を重んじる勝呂にとって、朔のやり方は到底受け入れられるものではない。「悪魔の素材を研究に使うなど邪道」「伝統的な術を軽んじている」と、勝呂は朔に公然と反発する。
これに対し、朔は「古き良きものを守りたいのであれば、まず生き残らなければ。そのためには、変化を恐れてはなりません」と静かに諭す。二人は、「伝統をいかにして未来へ繋ぐべきか」というテーマにおいて、常に対立する関係にある。
由緒ある寺の跡継ぎであり、伝統を重んじる勝呂にとって、朔のやり方は到底受け入れられるものではない。「悪魔の素材を研究に使うなど邪道」「伝統的な術を軽んじている」と、勝呂は朔に公然と反発する。
これに対し、朔は「古き良きものを守りたいのであれば、まず生き残らなければ。そのためには、変化を恐れてはなりません」と静かに諭す。二人は、「伝統をいかにして未来へ繋ぐべきか」というテーマにおいて、常に対立する関係にある。
性格・思想
究極の合理主義者
彼の行動基準は、善悪や感情、あるいは伝統といった曖昧なものではなく、常に「合理的か、非合理的か」「研究の進展に寄与するか否か」という点にある。そのため、目的を達成するためであれば、一般的には非人道的とされるような手段を用いることにも躊躇がない。彼の研究室には、実験によって命を落とした悪魔の亡骸が数多く保管されているという。
究極の合理主義者
彼の行動基準は、善悪や感情、あるいは伝統といった曖昧なものではなく、常に「合理的か、非合理的か」「研究の進展に寄与するか否か」という点にある。そのため、目的を達成するためであれば、一般的には非人道的とされるような手段を用いることにも躊躇がない。彼の研究室には、実験によって命を落とした悪魔の亡骸が数多く保管されているという。
犠牲なき退魔の追求
彼の冷徹で非情とも思える研究姿勢の根底には、一つの確固たる信念が存在する。それは、「祓魔師の犠牲をゼロにする」という、両親を失った彼自身の悲痛な願いである。
彼が目指すのは、人間が危険な前線に立つことなく、自らが開発した絡繰式神や呪術システムが自動的に悪魔を駆逐する未来。その理想を実現するためならば、自らが「非情なマッドサイエンティスト」と謗られることすら厭わない。彼の冷徹さは、その悲しいまでの優しさの裏返しとも言える。
彼の冷徹で非情とも思える研究姿勢の根底には、一つの確固たる信念が存在する。それは、「祓魔師の犠牲をゼロにする」という、両親を失った彼自身の悲痛な願いである。
彼が目指すのは、人間が危険な前線に立つことなく、自らが開発した絡繰式神や呪術システムが自動的に悪魔を駆逐する未来。その理想を実現するためならば、自らが「非情なマッドサイエンティスト」と謗られることすら厭わない。彼の冷徹さは、その悲しいまでの優しさの裏返しとも言える。
物語への影響
新たな祓魔技術の導入
如月朔というキャラクターの登場は、『青の祓魔師』の世界における「悪魔との戦い方」に、新たな可能性を提示した。これまで、祓魔は聖書の一節を詠唱したり、使い魔を召喚したりといった、西洋的なファンタジーの要素が強かった。しかし、彼の操る「東洋呪術」と「科学技術」は、この世界観にSF的な側面を加え、戦いのバリエーションをより豊かなものにした。
新たな祓魔技術の導入
如月朔というキャラクターの登場は、『青の祓魔師』の世界における「悪魔との戦い方」に、新たな可能性を提示した。これまで、祓魔は聖書の一節を詠唱したり、使い魔を召喚したりといった、西洋的なファンタジーの要素が強かった。しかし、彼の操る「東洋呪術」と「科学技術」は、この世界観にSF的な側面を加え、戦いのバリエーションをより豊かなものにした。
燐と雪男への問いかけ
彼は、奥村兄弟がそれぞれ抱える問題点を、研究者としての客観的な視点から容赦なく突きつける。燐に対しては「その力は君自身のものなのか」、雪男に対しては「君のその弱さは本当に人間だけのものなのか」と。彼の存在は、奥村兄弟が自らの出自や力、そして心の弱さと向き合い、成長していく上で、避けては通れない壁として機能している。彼は、物語の根幹に関わる「悪魔とは何か、人間とは何か」という問いを、科学のメスで解き明かそうとする、もう一人の探求者なのである。
彼は、奥村兄弟がそれぞれ抱える問題点を、研究者としての客観的な視点から容赦なく突きつける。燐に対しては「その力は君自身のものなのか」、雪男に対しては「君のその弱さは本当に人間だけのものなのか」と。彼の存在は、奥村兄弟が自らの出自や力、そして心の弱さと向き合い、成長していく上で、避けては通れない壁として機能している。彼は、物語の根幹に関わる「悪魔とは何か、人間とは何か」という問いを、科学のメスで解き明かそうとする、もう一人の探求者なのである。
